研究報告No.46再録

Drying and Impregnation for Heavy Timbers of Sugi Heartwood Ⅲ
- Preservative Penetration Observed on Boxed-Heart Square Timber of Sugi, Dried with Either The High-Temperature Setting Treatment or The Medium-Temperature Drying Adding Radio-Frequency Heating -

大断面スギ心材の乾燥と薬剤注入(第3報)
高温セット法または高周波加熱を併せた中温乾燥で乾燥したスギ正角への薬剤浸潤

寺西康浩・酒井温子・海本 一・増田勝則・田中陽子・伊藤貴文・桃原郁夫*1・矢田茂樹*2・藤本登留*3・蒔田 章*4・茂山知己*5・山口秋生*6・手塚大介*7・古田裕三*8

Journal of The Society of Materials Science, Japan, 65(5), 347-353(2016)

 

 適切に保存処理されたスギ心持ち正角の製造技術の開発を目的として、注入前の乾燥方法が保存処理製材の品質に及ぼす影響を検討している。中温乾燥、中温乾燥に高周波加熱を併せた乾燥、高温セット乾燥および高温セット乾燥に高周波加熱を併せた乾燥を行った奈良県産スギ心持ち正角、大分県産スギ心持ち正角を対象に、木材保存剤の浸潤および注入処理後の寸法変化を調べた。その結果、高温セット乾燥および高温セット乾燥に高周波加熱を併せた乾燥を行った奈良県産スギ心材、大分県産スギ心材に浸潤不良と推測される部位が認められた。また、中温乾燥したものよりも薬剤注入量や薬剤浸潤度が低くなる場合が確認された。さらに、注入後の乾燥工程や養生時の新たな表面割れの発生を防止するためには、材料に背割りを施す必要があった。一方、薬剤注入前の乾燥で中温乾燥に高周波加熱を併せて行う方法を用いた場合、浸潤不良や薬剤注入量および薬剤浸潤度の低下が見られない材料を短時間で調製できる可能性が示された。

キーワード:スギ心材、注入、薬剤浸潤、高温セット法、高周波加熱

*1 (国)森林総合研究所
*2 横浜国立大学名誉教授
*3 九州大学大学院農学研究院
*4 大日本木材防腐株式会社
*5 株式会社ザイエンス
*6 越井木材工業株式会社
*7 兼松日産農林株式会社
*8 京都府立大学大学院生命環境科学研究科

 

 

7種類の接着剤で作製したスギ集成材の屋外暴露試験(第1報)
せん断強度および木部破断率

柳川靖夫・原田充祥*1

木材学会誌63(1):34-40(2017)

 

 7種類の接着剤を使用して5プライのスギ集成材を作製した後木材保存剤で処理し、接着層を水平として10年間の屋外暴露試験に供した。暴露1、3、5および10年で試験片を採取してブロックせん断試験を行った。暴露10年後の全試験片でせん断強度を比較すると、接着剤間で有意な差が認められ、接着耐久性の低い接着剤ではせん断強度の低下が大きく、ばらつきも大きかった。木部破断率平均値は、暴露期間に伴い各接着剤とも漸減したものの、接着剤間の差は明確ではなかった。

キーワード:屋外暴露試験、集成材、スギ、せん断強度、木材保存剤

*1 アイカ工業株式会社

 

 

スギ心持ち正角に対する蒸気・高周波複合乾燥(Ⅱ)
-高温セット時間が内部割れの発生に及ぼす影響-

寺西康浩・海本 一・松元 浩*1・吉田孝久*2・古田裕三*3

木材工業.71(5),186-191(2016)

 

 前報に引き続き、スギ心持ち正角に対する適切な蒸気・高周波複合乾燥条件を明らかとするための検討を行った。本報では、高温セット後の乾湿球温度条件と高周波加熱された材内部温度が、内部割れの発生に及ぼす影響を検討した。その結果、本乾燥法において、高温セット後の乾球温度を90℃に調節することにより、内部割れの発生を抑制できることが示された。また、高周波加熱中の材温を125℃に設定すると内部割れが多く発生したが、材温を105℃に調節すると、内部割れの発生は少なかった。

キーワード:スギ、心持ち正角、蒸気・高周波複合乾燥、内部割れ

*1 石川県農林総合研究センター林業試験場
*2 長野県林業総合センター
*3 京都府立大学大学院生命環境科学研究科

 

 

スギ心去り平角の高周波乾燥
-加熱処理温度が内部割れの発生に及ぼす影響-

渡辺 憲*1・小林 功*1・寺西康浩・成瀬達哉

木材工業.72(2),50-54(2017)

 

 蒸気・高周波複合乾燥は、断面の大きな平角を効率的に乾かす方法として期待される一方で、高周波の加熱条件によっては内部割れが生じるという問題がある。本研究では、内部割れを回避しつつ効率的に脱水できる加熱条件を明らかにすることを目的に、スギ心去り平角の高周波乾燥試験を行い、加熱処理温度が内部割れの発生に及ぼす影響について検討した。

キーワード:スギ、心去り平角、蒸気・高周波複合乾燥、内部割れ

*1 (研)森林総合研究所

 

 

蒸気・高周波複合乾燥法とその研究

寺西康浩

木材工業.72(3),88-94(2017)

 

 国産針葉樹材を建築用製材として利用するためには、製材工場での適切な乾燥処理が求められている。その方法の一つとして、蒸気式乾燥による外部加熱に、高周波加熱による内部加熱を複合する「 蒸気・高周波複合乾燥法 」が挙げられる。本稿では、蒸気・高周波複合乾燥法の内容と、関連する幾つかの研究結果を紹介する。

キーワード:蒸気・高周波複合乾燥法、スギ、心持ち正角、内部割れ

 

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