ICT対策の強化を求める意見書
新型コロナウイルスの感染が拡大し、国民生活に深刻な影響が及び、政府の支援にも関わらず雇用情勢は先行き不透明感が増している。政府は、緊急事態宣言による生活苦を和らげるために特別定額給付金を支給する対策を講じたが、オンライン申請よりも紙媒体での申請書提出の方が円滑に支給されるなど、政府自身のICT対策の立ち遅れが明らかになった。
ICT先進国と比較して我が国のICTへの取組が周回遅れであることが、国民生活にも足かせとなっており、ICT対策が重要な課題であることは、国民全体の認識となりつつある。そこで、次のとおりICT対策の強化を求めるものである。
記
1 ICT対策の強化による行政改革
行政のICT化が国民生活向上のために利便性を高めるよう、官僚機構の膨大な資料、印刷物、予算消化主義、秘密主義などの風土・文化を根本的に見直して、簡素で分かりやすい行政サービスと、すべての行政サービスの透明性を確保するICTシステムを構築するべきである。誰もが、いつでも、どこでも行政サービスを受けられる仕組みづくりとICTツールの提供を求めるものである。
2 ICTに関する職業訓練の強化
世界的に進行しているデジタル革命は第3期に突入し、あらゆる産業に大きな影響を及ぼしている。転職が必要となった勤労者に対して、職業訓練としてのICT教育を一層充実するべきである。
3 ICT教育の強化
デジタル革命のなか若い人材を育てるため、児童生徒に対するデジタルを活用した教育と、生涯教育で学び直す機会を提供し、各分野のトップクラスの授業を国民誰もが聴講できる教育ポータルサイトの提供に取り組むべきである。
4 中小企業のICT投資の支援
新型コロナウイルスの感染が中小企業に深刻な影響を及ぼしている。ビジネスモデルやサービス提供方法の見直しが求められており、地方経済を支えている中小企業もICT投資を推進できるよう、支援すべきである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年12月15日
奈 良 県
議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
財務大臣
総務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
行政改革担当大臣
デジタル改革担当大臣・情報通信技術(IT)政策担当大臣
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