令和2年11月11日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。

 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症の最近の最新の状況を踏まえて、知事より県民の皆様へのお願いがございます。

 知事、よろしくお願いいたします。


【発表案件】新型コロナウイルス感染症の最新の状況をふまえた県民のみなさまへのお願い
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 まず、新型コロナウイルス感染者が、全国もそうですが、奈良でも増えてきていますので、その状況報告と注意喚起のお願いをさせていただきたいと思います。

 資料に簡単に状況をまとめております。まず2ページ目ですが、1週間単位でまとめますと、波が一度下がってきていたのが、ここ2週間ほど増加傾向、全国の傾向と同じような傾向ですけれども、10月下旬頃から増加傾向に転じている状況です。

 第二波の感染の状況を分析しますと、全感染者は645名と、今日現在で数えております。一次感染と、二次感染、三次感染、四次感染、このように分けられるんですが、一次感染で明確に大阪関連と分かっているのが205名、32%おられます。そのほか感染元が調査中で分からない方が167名、約4分の1おられるんですが、そのうち大阪に通勤・通学された方が約60名おられたり、大阪から県内に通勤・通学されているなど、大阪と往来されている方を大阪関連として計上するとすれば、一次感染はほとんどが大阪関連というのが奈良の実情です。

 大阪に行かないでくださいと奈良は一度も言ったことがありません。大阪から来ないでくださいと言うこともありません。気をつけて行ってらっしゃいということを言い続けております。大阪へ通勤されている方が奈良県で3割近くおられますので、通勤を止めてくださいというわけにはいきません。通勤をして帰ってこられた方には、向こうでうつらないように、また、帰ってこられてもうつさないようにということが、もう切なるお願いです。一次感染がこのような傾向であることが分かっておりますので、改めてこの全体像を理解していただいて、改めて、同じトーンになりますが、気をつけて行って、また気をつけて帰ってきてくださいとお願いしたいというのが本日のメインの願いです。

 また、さらに付け加えますと、これまでのところ、北海道やその他の地域でGoTo関連で感染者が増えているんじゃないかと疑いを持っておられる方もおられますが、奈良県の場合は、県外からの観光客が感染元になった事例は皆無です。探しても見つかりません。GoTo関連はないということを、この前、赤羽国土交通大臣が来られた時もはっきり申し上げました。これは事例としてそうであり、まだこれからのことは分かりませんが、気をつけて来ていただきたい、また、奈良は気をつけております、ということです。

 二次感染者が247名おられます。さらにその二次感染の方が三次に、三次の方が四次にうつされるということは、四次まで行くと2名と、ほとんどおられませんので、二次感染が多いということがおわかりいただけると思います。一次感染は、どう考えるかですが、大阪でうつらないようにと言ってもなかなか往来自粛は難しい。すると、二次感染を防ぐのが奈良県の大きな目標になろうかとずっと思っております。

 一次感染と感染元調査中の方、ほとんどが大阪関連と申し上げましたが、例えば大阪でうつされた方が帰ってこられても、奈良で二次感染を起こした方そのうちの28%です。すぎないという言い方はちょっと問題かもしれませんが、7割強の方が県内で二次感染を起こしておられません。一次感染までです。この二次感染を起こさない方が増えて、二次感染を起こした3割近くの方が減ってくることが願いです。県内での感染防止、三次感染、四次感染と僅かですが増えていく中で、二次感染がなければ三次感染ございませんので、二次感染を防ぐというのが県でできる大きな目標とご理解願いたいと思います。大阪でうつされた方でも、県内で二次感染を起こした方は約3割弱ということが実情です。

 二次感染者の内容、感染経路類型についてですが、二次感染者が247名おられ、そのうちの約8割が3つの類型になります。家庭が36%、部活動・寮生活が24%、友人と飲食・カラオケが2割、その3つで大体8割を占めております。約2割がその他になりますが、他の地域で問題になっております福祉施設・病院などのクラスター、あるいは職場というのは奈良は比較的少ない状況です。油断はもちろんできませんけれども、関係者の皆様のご努力があろうかと思っております。福祉施設・病院、また職場など、他地で大変大きくなっておりますこのような感染のクラスターは、奈良県ではございません。

 それと、先ほど申し上げました、観光クラスター、夜の酒場クラスターというのは皆無ですので、資料にも出てまいりません。そうしますと、この8割を占める二次感染者の中で、部活動・寮生活というのは特殊な感染類型、特殊といいますか、よく分かった感染類型です。そのよく分かったというのと、よくあるというのには違いがあって、よくあるのは、ご家庭と友人との飲食・カラオケは要注意だと思います。それとともに、奈良県では感染された方の入院隔離を徹底しようとしております。入院対応可能病床を今、467床持っておりますが、最近の状況で、占有が93名、2割にとどまっておりますので、これも併せてご報告したいところです。

 それから、軽い方は宿泊療養に移っていただいておりますが、占有者は5名、5%と、まだ受入れに対しては余裕がある。県で、受入れ側としてすべき一番大きなことは、こういうことです。一挙に増えるとあふれて身の置場がなくなるというのが一番困ったことですので、とにかく病院の病床に来ていただくと、人にうつさないという事情も確保できるのと、重症化を防ぐというのが大きなことです。医師・医療の監視があるということは大変大きなことですので、これを今後とも確保していきたいと思っております。そのため、資料としてつけさせていただきました。

 以上のような状況を踏まえまして、県民の皆様へのお願いということになります。よくあるご家庭での感染、ほとんどが大阪から帰られた方がご家庭でうつされるというケースで、これまでに88名おられるということを先ほど申し上げましたが、注意事項としましては、家族と生活を分離と言うとちょっと慣れない表現ですが、今までの事例ですと、ご家庭に小さなお子さんがおられて、だっこしたりかわいがっておられて子供にうつされたと。そのような例がございますので、しばらく大阪勤務のお父さんは用心してもらうということになろうかと思います。一般的に言えば、1つは、大阪に勤務されて帰ってこられた方で、風邪症状や味覚・臭覚障害などが出てきたという方です。あるいは二次感染でそのような方からうつされた方がご家庭に帰られるという方。また、今日はちょっとやばいところへ行ったかもしれないという時だけでも用心してもらうと、随分違います。やばいかどうかは分からないことが多いんですが、勘を働かせて、大阪で夜会食したよ、今日はちょっと人数が多くて大分話をしたよ、というようなことだと思います。普段なら全然いいんですが、このような時期ですので、家族にちょっと今日は失礼して、早くお風呂に入って早く寝るというような習慣を持ってもらうと随分違ってくるというご注意を申し上げたいと思います。

 2つ目の類型で、これも数が多かったですが、部活動・寮生活がございます。その部員の方に風邪症状や感染したリスクがある場合でも、部活動はしよう、しないといかんと。ちょっと熱があっても訓練するんだという風習があるのが逆目に出ているようにも思います。体調が悪いとか、ちょっと心配な人は部活動に参加しないではなく、参加させないというところまでお願いできたらと思います。来ちゃいかんと。今までの部活動の方針と違うわけです。ちょっと体調が悪くても出てこいというのが体育会系のしきたりであったかと思いますが、この際、そういうことをやめていただければとお願いするものです。

 また、寮生活でうつされたケースが多かったので、寮で騒ぐというのも、これは今までありきたりの風習でしたが、個室管理といいますか、生活分離を徹底されると感染するリスクが大きく軽減されると分かってきているものです。

 3つ目の類型の友人と飲食・カラオケですが、奈良では飲食の場でうつされたケースはほとんどございません。飲食でうつされたケースであるのは、オーナーが感染されていて、お客さんを呼び集めて感染させたとか、桜井のケースでは、店のおかみさんがお客さんにうつしたというケースがございます。お客さん同士でうつるといったケースはまだ発見されておりません。とすると、場所が悪いのではなく仲間が悪かったというのが今までのケースですので、うつす方に対してのお願いということになりますが、場合によっては咳が出るから危ないかもしれないと、うつす自己リスク管理ということになりますが、リスクがあると思われる方は参加させないということは部活動と違って難しいわけですので、参加しないという自己判断をしていただきますようにお願いしたいと思います。

 3つの類型の中で一番気をつけていただきたいことを列挙した次第です。

 最後に、8割を占める二次感染の類型から判断しますと、今申し上げたような注意をしていただくと、リスクは随分軽減されて、感染が爆発的に拡大されるのは防止できると思います。これまでの統計処理調査に基づくと、今申し上げたことを従来よりも固い考えで申し上げられるようになってきていると思います。県民の皆様には、感染拡大防止に十分ご注意していただく際に、先ほどの類型の場合には、これだけは気をつけようと。家庭あるいは部活あるいは会食などでは、そのように十分注意をしていただいて観光や食事を楽しんでいただければとお勧めを申し上げる次第です。

 私からの説明は、以上です。

司会:
 ありがとうございました。

 それでは、本案件につきましてご質問ある方、挙手でお願いいたします。


質疑応答

  
NHK:
 知事、冒頭でも10月下旬から感染者数としては増加傾向にあるとおっしゃっていましたが、これはいわゆる第三波が来ているという認識で今いらっしゃるんでしょうか。

知事:
 数が増加しているのは資料の2ページ目にあります。資料には入っておりませんが、大阪はすごく増えていますよね。大阪関連が一次感染ではほとんどだということとあわせると、当然大阪が増えたら奈良も増えると、一次感染はということは当然予想されるわけであります。そのような波が来ているという推察もできるわけです、多分当たっていると思いますが。だから、大阪が増えたら仕方がないのかということが先ほどのストーリーになりますけれども、一次感染は、往来がありますので、大阪が増えたらある程度増えるということは傾向としてあるのかなと判断いたします。

 そのときに、大阪でなぜ増えたのかということはなかなか私どもでは分からないところがあります。10万人あたりの感染者数で断トツに多いのが東京と沖縄なんですね。その場所の特徴はまた分析を、そういう感染経路分析を国でやってもらったらと思うんですが、3番目に多いのは大阪です。外国でもそうだと思いますが、大都市型のコロナ感染拡大というのが日本の状況ですので、大都市感染拡大の隣接地、奈良においての心がけとして、ロックダウンと言われる壁をつくって、行くなと。こういうのも日頃付き合いのないところではあるかもしれません。シカゴに行くなとか、ミネアポリスに行くなと、こういうことがあり得ると思います。

 奈良の場合は、毎日通勤・通学されており、向こうからも来られていますので、そういうロックダウンは不可能だし、またお勧めできない。すると、先ほど申し上げましたように、一次感染は増えている。一次感染が増えると、さて二次感染が増えるかどうかというのが我々の大きな仕事で、一次感染が増えても二次感染増えないようにしてほしいというのが、先ほど繰り返し言っております切なる願いでございます。大阪が増えると、ある程度奈良の傾向として悲しいことですが増えてしまうと。しかし、ご家庭なり寮なり会食で、奈良でうつされるという二次感染を防止したいというのが願いですので、その点はぜひともご注意くださいと思います。増えていると一般的に考えても、奈良の事情に照らして、何が注意事項かということを切に県民の方に理解していただきたいということに尽きるわけです。

NHK:
 ありがとうございます。その関連で、県民の皆さんへの呼びかけとして、家庭では大阪などでリスクの高い場所に出入りした場合は生活の分離をという呼びかけをされましたが、まさに今、知事がおっしゃったように、生活圏が近接・一体化している中で、どういう場所に出入りした場合、家庭でどのように生活を分離するのかという結構判断が難しいのではないかと思います。具体的にどういったアイデアを想定されていますか。

知事:
 家族と生活を分離、例えば、大阪でうつったけれども、ご家庭で二次感染を起こさなかった人は7割おられるんですね。うつされたご家庭とうつされなかったご家庭の調査もしているんですが、うつさなかったご家庭は注意されているんですね。

 その注意の中身を、家族と生活を分離という表現にしているんですが、家族と生活を分離ということですので、大阪に行くなということは入っておりません。ご家庭に帰ってこられたときに、大阪に行っているからお父さん、しばらく気をつけてねと。例えば寒くなってきますので外套にウイルスが付着しているかもしれない。その外套に付着したウイルスが家族に、子供がお父さんの外套を触ってうつるかもしれない。そこで、お父さんの外套は玄関に置いておくから、家族は触らないようにしましょうねと。お父さんは、顔は合わせても、お子さんにこっちへ来いと言ってだっこしないで、早く手を洗って、うがいをして、できればすぐにお風呂に入って、服を着替えて家族の前に姿を現すと。それでも話をされるとウイルスが飛び出すかもしれませんので、直接の接触は避けるとか、距離を多少置くとか、食事のときはマスクを外しても、よしよしといって一緒に近くで食べないなど、そういう気遣いがあるご家庭はうつってないんですよね。

 うつすときの現場というのは、なかなかリアルで表現できないもんですから、その普通と変わらない生活しているご家庭がうつってきたという大まかな分類が分かっていますので、生活のちょっとしたスタイルを変えていただけないかというのが願いなんですが、それをうまく、家族と生活を分離とは何のことかというご質問の意味もあると思うんですけれども、そういう生活のちょっとした工夫をご家庭でしていただけたらと。ちょっとした工夫で随分違いますよということを言いたいものです。

 意味が不明かと思いますが、意味不明のことを書くと質問を誘発しますので、これは功を奏したということでもあるかもしれませんが、大変失礼いたしました。今のこの議論があった上で、もう少し明確に書くことができればと思います。またちょっと工夫をいたします。

NHK:
 ありがとうございます。それから、先ほどいろいろお話しいただいた中で、一次感染のほうですが、あえて県外からの観光客が感染元になった事例はないということを、知事も先ほど強調されていましたが、今、国でいわゆるGoToトラベルなどの一連のキャンペーンについて、感染者数が増えるに従って、対象地域をどうするかというような議論も出てきてはいるんですけれども、奈良県としては、GoToトラベルなどは特段その制限などをするものではないとお考えでしょうか。

知事:
 そうですね、少なくともと付け加えなければいけませんが、奈良県ではGoToを続けてほしいと、この前赤羽大臣が来られた時、この時は観光団体ばかりで、保健団体等はおられなかったんですけれども、GoTo継続の要望ばかりでございました。観光団体としてはそういうことですが、私は、奈良でGoToがあった後も、観光で来られてうつしたとか、奈良でうつされたということは皆無ですと、状況の報告をいたしました。奈良では、GoToというのは効果があって、害がございませんということです。

 例えば他の地域でGoTo関連の一次感染がどのように発生したかということ、例えば札幌で、そのGoToの一次感染者は誰かと、これは奈良で大阪関連というふうに調べられるほど簡単に調べられないと思いますが、しかし、どこで発生したか。来た人がうつした、その人はすぐ帰るかもしれませんので、東京の方は東京で発症されたと。そのときの濃厚接触場所はどこか、札幌に行った。うつしてないかという連携した調査が実は必要なんですね。それを綿密に調べる。今はそれしかできないんです。各国ともそれしかできないんですが、それをやっているほうがクールダウンできると私は思います。統計調査と物理的な隔離、分離で感染を相当防げると思います。ワクチンが適用されるまではそれしかないというのが世界の実情ですので、そのような経路分析と、その経路の分離、それがクールダウンにつながる。

 往来自粛、ロックダウンをすぐにしないで、多少うまくいっているのはどこですかね、ニューヨーク市がうまくいっているのかな。うまくいっているというとこまでいかないかもしれませんが、多少関心を持って見ているんですが、リサーチするところまであまりしていません。奈良で観光関連の一次感染というのはものすごく気にしてウォッチをずっとしてきておるということです。今のところということを付け加えなければいけませんが、それが発生したケースはありませんということは言える。これがずっと続けばいいなと思いますので、観光の受入れの方と、来られる方も注意されていると思いますけれども、どういうふうに観光で感染するものかというケースがありましたら、そういうケースが奈良で発生しなくても、同じようなことが起きないように注意してくださいねという注意報を発することはできると思います。

 どういう観光の感染の類型かというものがまだよく分かりませんので、ある地域でもこのようにうつっているからということで、北海道の知事が国へ要請されましたが、どのように国がそのリサーチに対応されるかと関心を持っています。そのような、大きなリサーチ、小さなアクションというのが一番いいかと思います。小さなことは小さな行動ですね、大きな行動でなくていいと思います。そのような繰り返しだと私は思います。

産経新聞:
 先ほどGoToトラベルの話をされていましたが、一方で、友人との飲食はやはり気をつけていただきたいことに入っているとおっしゃいました。GoToイートで、今は県内も含めて友人との会食の機会も増えて、かつ国も推奨しているという状況ですが、その点について何か気をつけてほしいこと、あるいは今後も推進したいと思っておられるのか、その点をお聞かせください。

知事:

 全国の様子は先ほど申し上げましたようによく分かりません。他地の様子はよく分かりませんので、何とも申し上げようがないですというのが現状です。奈良は、GoToイートでも、GoToトラベルでも、クラスター的な感染の発症はありません。それぞれ注意していただいたおかげだと思います。みんな他地の事例について、とにかく騒がない、騒ぐ前にリサーチしようよというのが私の気持ちです。リサーチなしのコメントなしと思っています。

産経新聞:
 分かりました。また一方で、以前からこの冬場に感染が拡大するのではという懸念がずっと言われていますが、知事が気をつけてほしいとおっしゃったことは、8月、9月の段階からずっとおっしゃっていたことと現状変わりはないと思うんですが、この冬場にかけて、新たにより気をつけることはありますか。

知事:

 冬場だから、気温が下がると、北海道の感染のように、寒いところであれば感染が増えるよと、こういう報道がされています。もっともらしいんですが、具体的にどうかということに関心がございます。具体的なリサーチなしにコメントなしで、冬場に増えるのは、こういう事情で増えるんだと。換気が大事だと言われており、空気の流通がよければ感染しないということですが、空気の流通がよくてもご家族と濃厚接触したり、お客さんと身近で話をすれば、大阪でのうつされ方を見ていますと、換気では万全じゃありませんよということも併せて申し上げなければいけないなと思います。

 何か一つにすがるというリサーチあるいは報道の内容であろうかと思いますが、そういうことよりも、リサーチを続けて工夫を小さな行動につなげることになれば、感染リスクが減り、感染者が減るということになろうかと思います。個別の行動の累積だと思います。今はコロナとの対応はそういうことしかないと思っています。今までは感染類型の実例がなかったので分析もできなかったのですが、分析が出てくると、ウイルスも変化してきておりますが、うつされるほうの知恵も出るのが人類です。医薬品の知恵以前に、統計の行動パターンの知恵が人類にはありますので、ペストが出たら山の上に行こうということで、助かった方と助からなかった人が分かれたというのが数百年前の実例で分かっています。どこにいれば助かるのか、致死というケースもありますので、そういうことを冷静に判断して、リサーチを続けた国が勝つと、リサーチを信奉した地域、ご家庭が勝つと私は思っています。

産経新聞:
 基本的には行動に気をつけていただいて二次感染を防ぐというのが知事のお考えだと思いますが、一方で先日の介護施設のクラスターであるとか、あるいは小さなお子さんが感染された場合に、どうしても親御さんとの接触は避けられないなど、いわゆる濃厚接触の避けようがないケースというのはあると思います。そうしたところへの対応あるいは支援、特に介護施設の場合はどうしても高齢者の方の体を触って介助することが不可欠になると思います。その辺りの対策や、県として支援できることというのは考えていらっしゃいますか。

知事:

 感染の確率は接触するとリスクが上がってまいります。それが各地の介護施設クラスターになっていますが、資料5ページでその他に分類されていますが、福祉施設等のクラスター、病院のクラスターが、「極端に」とつけていいかどうか分かりませんが、奈良は(クラスターになった)現場が少ないんですね。だから注意事項と言われても、もっといろんな事例が発生すればリサーチをして注意事項がリアルに報告できるんですが、発生しないと注意の事項が発生しないというのが、先ほどから申し上げてるとおりリサーチなしにはコメントなしの実例です。リサーチがないところで、コメントをする資格もないと思います。

 しかし、注意はしないのかということは、こちらから注意をするほどの事例、ケースがまだ十分な知見がないんですというのが正直なところなんですが、現場には知見がおありだと感じています。これだけ発生しないのですから、いろんな工夫をされていると思います。高齢者のデイサービスなどでもうつる可能性はあるし、そういうケースはあるんですが、どのようにすればいいのかという勉強はしております。ありきたりの注意をするのは嫌ですし、ありきたりの注意は害を及ぼす可能性があるとも思いますので、こういうケースでは、こういう注意すればよかったんですよということを積み重ねていくスタイルを取っていきたいと思っています。その観点から、今申されたケースについて、こちらから知見というほどの立派なことは、少し言い方は変ですが、まだ発見してないという状況です。現場がこのように頑張っていただいておりますことには、もう感謝しかございません。

 現場の「こうすれば助かったよ」という知恵は、成功体験で注意するというのもなかなか難しいんですね。失敗体験こそ注意の源になるわけですので、失敗を注意につなげるというのがリサーチの一番大きな値打ちだと思います。それがあれば、リアル感のある注意も出てくると思うわけですが、奈良県がこのような実情ですので、失敗からの注意という、リアル感のある注意が、私の頭の中にはなかなかまだ浮かんでこない。幸いに、と申し上げてもいいかと思いますが、注意はしていただきたいと思います。

産経新聞:
 この感染元調査中というのが、当然大阪と比べれば少ないと思うんですが、167名、26%いらっしゃるということで、これはやはり県内での感染が広がっていると考えておられますか。以前から知事は、大阪での感染を注意しましょうと呼びかけていらっしゃいますが、県内における感染あるいはどういう場所が危険なのか、どういう注意をすればいいのかというところを何か考えておられますか。

知事:

 今までいろいろフォローしてきて、今日はまだその資料はありませんが、地域別感染状況ということになりますと、奈良は北西部に集中しているんですね。大阪との交流があって二次感染も大阪関連ですので、大阪で感染された方が奈良の南部に週に1回行くかというと、そういう人はレアケースですので、南部には感染が少ないという実情にあると思います。

 他の地域でもそうだと思います。よく調べていませんが、例えば札幌で感染拡大しても、他の地域に札幌から二次感染で北海道内感染と、そういう人の交流があるかもしれませんが、割と少ない状況であると思います。奈良では、大阪へ毎日通勤されている方は感染リスクが高いわけですので、用心していただきたいなというのが今日の一番大きな願いです。地域別で見ると、大阪に往来されている地域というのはやはり感染が多いと、今日はまだその資料は出していませんが、そのような分析も進めております。それは、地域が悪いのではなくて、大阪へ往来されている方がその辺りに住んでおられて、大阪で感染されたことから、それらの地域で起こったということになろうかと思います。

 また、通勤ばかり言っていますが、実は大阪から通勤・通学されている方が奈良で感染させたというケースもあり、先ほどの寮クラスターなどはそういうケースだと思われます。しかし、大阪から通学・通勤をするなとは言えませんので、気をつけてくださいねと。大阪から来られる方に私が直接注意報を発するわけにもいきませんので、寮クラスター、運動クラブクラスターなどは、大阪から来られて感染リスクがあると思われたら、体がだるいとか体調の変化がある場合には、参加するなというところまで言っていただきたいというのが、ケースBの注意事項になっています。そのように、少しずつ注意事項を具体的にできたらという願いは持っておりますので、表現とか内容がまだ十分でないですが、そのような分析とご注意と、リサーチとご注意ということをコメントを繰り返していって、それが効果があればと願っているところです。

毎日新聞:
 第一波の時に、感染者が急増している地域に奈良県も県民の不要不急の往来自粛などを要請していたと思いますが、今回他県を調べてみると、直近1週間当たり、人口10万人当たりの感染者数が5を超えた地域への不要不急の往来を控えるようにと求めている県もあるようです。奈良県も入ってますけれども。知事は今回、東京や北海道、沖縄、大阪への不要不急の往来について、県民に考え直すようにとか、自粛を求めたりというお考えはあるのかどうかと、今後一定の基準に達すると出そうかなというお考え、あるいはそういう打合せなどをしているのかどうか教えてください。

知事:

 当初から変わっておりません。不要不急も含めて往来を自粛してくださいと言ったことはないです。気をつけて行ってくださいと、気をつけて帰ってくださいということを繰り返して言っております。それは今も同じことでございます。全国の感染状況を一般化しないということを先ほど繰り返し言っているわけです。北海道とか大阪で増えたから奈良も爆発的に増えるんだと、そういうことがもし報道されても、それは間違いだと。増えるところは、しかるべくして増えているんじゃないかという姿勢でリサーチするということですので、十分でないかもしれませんが、姿勢としてそういうことです。

 例えば人口10万人当たりの感染者数を並べてみますと、富士山のようになるんですね。今日その資料は用意していませんが、ほとんど3分の1ずつに分類されます。3分の1、富士山で言えば、8合目、9合目。ほとんど9合目にあるのが東京、沖縄です。10万人当たり、沖縄がとても高いんです。東京の事情とは違うと思います。沖縄が10万人当たりの感染者数が多い事情というのは、リサーチして教えてほしいなと思います。3つ目が大都市ですね、大阪とか愛知とかが、7合目、8合目ぐらいにあるんです。そのように3分類すると、奈良県の10万人当たりのランクは13位か、その3つに分類すると第1分類の裾野の方にあるんです。

 そのような状況ですので、この一番下のほうでもないし、真ん中のなだらかな里山風でもない。上り坂に入ったあたりの位置に奈良県がいるんです。この山の形は何を意味するのか、裾野もあるし、里山もあるし、急激な山も、この山の第1分類は、この里山に上がるところと、急に上がっているところと、これも2つ分けられるような状況です。10万人当たりという分析のアプローチは、大変いいアプローチだと私は思いますが、奈良で、山の高さからすれば、さっきの9合目、7合目といいますと、下から上がってきて奈良はその第1分類の裾野であっても、3合目か、4合目まで行かない3合目あたりなんです、人口10万人当たりのこの分類というのは3合目あたりなんです。

 繰り返し言っておりますが、3合目に位置する者が、全国状況の山を見上げて、あれはどういうことだという発言する中身はあまりないと。だから全国コメントはないんです。奈良コメント、それと山の3合目あたりから上を見て、下を見てといった立場しかありませんので、今のご質問に答えていないんだろうと思いますが、こんなに高い山があるから、そういうとこへ行くなと言わないかというと、不要不急であれば行かないようにという言い方は、今までしておりませんでしたと。そういうところに行くときは、場所に用心するのか、相手に用心するのかということになります。東京に陳情に行く出張が入っておりますので、用心をしながら行かざるを得ないという事情の方がたくさんあります。

毎日新聞:
 特定の地域の名前を挙げて、特に注意するようなことはしないんですか。

知事:

 特定の地域、大阪でも往来を自粛してくださいと言ったことがないということを繰り返し言っています。奈良県にとっては、今までの感染から見ると、大阪に行かなければ一次感染がないということが想像できるわけです。しかし、よほど爆発的になれば、ロンドンみたいに、やめたらどうでしょうかと言わざるを得ないかもしれませんが、大阪が富士山の噴火みたいに爆発したら、その3合目にあるところまで灰が降ってきたりするかもしれないと。それならばシェルターをつくるとか、逃げなきゃいけないということになるかもしれませんが、そういう状況ではまだありませんので、大阪で増えると、山の3合目にある奈良もやっぱり増える傾向があると。しかし、自粛をするというところまでではありません、用心してくださいということですので、特に奈良県は二次感染の防止に極力努めていきたい。できることといえばそういうことです。もう一つできることがあるじゃないかということは、大阪に行くなと。それは手法としてはありますが、現実的じゃないというのが奈良県の立場です。

毎日新聞:
 そのデータやエビデンスなどを重視しているもので、特に人口10万人当たりで急激に増えているような地域の名前を挙げられて、そこに行くときは気をつけてというようなことはしない。

知事:
 そうしません。長野県が、奈良で増えたから奈良の人来ないでって、奈良のこの実情を話しますとね、言っても言わなくても同じだなと思われるに違いないですよ。報道に出るから知るんですが、そういう変わったことを言うと報道されるので。しかし、そういうことはしません。


【発表案件】令和元年度県内市町村財政状況について
《資料(1:概要、別紙1~6、資料1~5)》 (新しいウィンドウが開きます。)
《資料(2:資料6、7)》 (新しいウィンドウが開きます。)
《資料(3:財政カルテなど)》 (新しいウィンドウが開きます。)

司会:
 もう一つの発表案件に移らせていただきたいと思います。

 令和元年度県内市町村の決算状況につきまして発表させていただきます。

 知事、よろしくお願いします。

知事:
 今度はまたちょっと堅苦しい資料ですが、財政状況とあります。例年この時期、国から各地方公共団体の財政、特に市町村の財政状況が9月に発表されます。それを受けて、県内の市町村の財政状況をこんな資料でまとめてきております。例年、去年までは財政状況の中で経常収支比率という、ご家庭で言えば収入と支出の比率になります。月給と日頃払う支出の比率というのは経常収支比率になるんですが、これが、市町村ですけれども、全国一悪い県であります。それをずっと気にしてこのような財政状況を報告しておりますが、首長ないし市民の方のアテンションが少ないということが悩みです。それはさておきまして、ご説明をしたいと思います。

 A3判の資料では、特に注意をしていただきたいという「重症警報」を発令しますというのが、今年、目新しいことです。重症警報発令は、奈良市、五條市、宇陀市、平群町、河合町です。重症警報の理由はあります。このような重症警報の発令した市町とは、財政改善に具体的に取り組むことにしております。これは各市町の事務方には当方の市町村振興課が既に接触をして、一緒に取り組みましょうということになっております。これは初めてのことですが、市町村の財務資料も一緒に調べるよと。調べてないで放っているんじゃないの、首長にちゃんと上げてないんじゃないのということまで踏み込んで財政改善に取り組みたいという意思を今日表明するわけです。

 今、重症警報、重症化率、コロナの重症警報と同じですけれども、なぜ重症になったのかと。熱が高いのか、体がだるいのかといった類いですが、大きく言って公債費、つまり借金と、人件費との2つに分けられますが、奈良市の場合、県内全市町村の財政のうち約3分の1が奈良市の財政なんですね。奈良市がよくなれば奈良県の市町村の財政がよくなるという事情がありますので、奈良市の財政改善状況というのは、奈良県市町村の全体の名誉のためにも頑張っていただきたいなと思っているところです。

 この重症警報発令対象になりました5つの市町の状況、発熱状況ということになりますが、例えば、公債費と人件費のうち、公債費で借金が増えた奈良市では、土地開発公社を解散してその借金を市が背負われました。また、はぐくみセンター建設で143億円。ところが、土地開発公社は隠れ借金と言われます。市の財政は悪くなっても、公社で隠れ借金しているよりも市へ戻されるほうが偉いことだと評価をいたします。また一方、人件費は、職員の数が多い。民生、衛生において、後で若干申し上げます。それと、技能職の給与水準が他の市町村平均に比べて高い。これも隠れ給与と言うと言い方がちょっと悪いですけれども、給与水準を手当で増やしておられるところがございます。それも具体的に市民には知られないことで、場合によっては市長も知らない。市長は知っているかもしれないけれども、市民に知られないことはこのように県が指摘するというスタイルです。

 五條市につきましては、公債費ですが、やまとクリーンパークとか老人ホームの整備にお金がかかっております。

 宇陀市は、合併前後に実施した施設整備に資料に記載の金額がかかっております。補助費は、美榛苑の問題があります。

 平群町は、大きなのは土地開発公社に借金がたまっておりましたが、それを町の借金にした。これは偉いことですが、一方、西口の駅前整備、かねてから懸案のことに踏み切られましたので、借金が増えたということです。一方、人件費は、高い給与水準がある。借金の理由と、給与水準の理由と全く動機が違いますので、この2つがあるのはあまりいいことではありません。

 それから、河合町は、土地開発公社、同じことですが、町の借金にされたのはいいことですが、認定こども園建設にお金がかかったということが、このように単純に言えば分かります。

 その警報を発するだけではなかなか動いてくれないのが、ここずっと続いております。10年ほどそういう状況ですので、今度は踏み込んで県と市町村で財政状況の改善に向け合同勉強会をしましょうと。県と市町村の事務担当者で現状の把握、課題の洗い出しを行って、具体的な改善方策を検討しましょうと。で、首長へ提案して実施を働きかけましょうということに踏み込みたいと思います。市町の職員が頼りと、首長以前に職員が頼りという戦略をとりだしたということです。おたくの首長に一緒に物を言いましょうよということです。

 これは過去10年の経験で、財政状況に頓着ない首長も、どことは言いませんが、ずっとあったということで、財政を気にして運営しようよと言っても、気にしない人は、耳を塞がれるという傾向がございますので、市町と事務方で検討しましょうと奈良県の戦略としてとりだしました。特に財政状況の悪い団体への財政支援は、その中で知恵が出たら検討したいと思います。

 かつては、御所市と上牧町ですが、30億円の無利子貸付けを実行いたしました。これは一つの成果だったと思いますけれども、困ったから金貸せというだけでもなかなか財政が改善されませんので、そのような中に入ってしましょうと。なぜこのように名指しで重症警報を言うのかということになりますが、4つの重要指標がございます。経常収支比率、実質公債費比率などがございますが、そのうちの該当が2以上になれば重症警報になりますよという類型化をしております。奈良市は、図体が大きいんですが、奈良市と五條市が2、宇陀市、平群町が3、河合町は4という数がそろっております。簡単に各市町のポイントを申し上げたいと思います。

 奈良市のカルテですが、資料の右上の表、六角表ですと、飛び出ているのが悪いということですので、やはり公債費が悪い、人件費が悪いという、その当てがつきます。その下の方を見ていただくと、地方債が増えておりますが、土地開発公社を持ってくるのはいいことだと。173億円が増えていくのは、隠れ借金を見える借金にしたということで、いいことですが、だからやっているよとおっしゃったこともあるんですが、他も調べてみると、他の建設事業もありますねということです。

 その次のページ、人件費ですが、ラスパイレス指数というのがずっと低くてこれはよかったんですけれども、あるときからぱっと上がって、給与カットを廃止したというのがあまり財政的にはいいことではありません。それから、左の類似団体と比較して人数が多いという点がございます。類似団体と民生で105名も多い、衛生でも111名も多い、これはちょっと特記しないと、市民の方は知らないでしょうというぐらいのことです。

 3つ目は、平均給与の中でラスパイレスで増えているのと、技能労務職に手当を出され、これは組合折衝で何か妥協されたのかなと思われるわけですが、手当を出されている。これは経常収支、借金を戻すのは偉いけれども、一方、人件費をちょっと放漫的にされたと見えるわけです。すると、定員の適正化とか、民生・衛生、105名、111名多いところの適正化が課題になりますねということを、市民の方と情報共有をしたいと願うものでございます。歳入確保の中でこれらの収納率を上げてこられた、これも偉いことであります。徴収率のランクが上がっている、あるいは上がってこられたということは評価できる点です。

 次は、五條市について簡単に、これも公債費がほとんどを占めて、やまとクリーンパーク、体育館などの建設費が重なったということですので、公債費はじっと熱が下がるまで我慢するというのが基本になります。それとこれは褒めなきゃいけないのは、市税徴収率が全国平均を上回るということは、褒められるべきことだと思っています。努力はされていると。

 宇陀市ですが、やっぱり公債費が抜きん出ている。それと補助費。公債費、補助費が抜きん出ているということです。その原因は、そのページの右下にございますが、普通建設事業費が一挙に増加した。これは合併特例債を使おうと、合併特例債が出ても、こういうことになるから使わないでおこうという市町村も奈良県ではあったんですが、宇陀市はそのように使われたということです。その次のページは、徴収率も増えておりますが、ちょっと頭打ちになってきているような注意がございます。

 それから、平群町ですが、平群町もやはり公債費と人件費、同じようなパターンですが、どういうわけか公債費が増えると人件費も増えるということです。普通建設事業費が大きく増えてきているのが課題でございます。人件費は、ラスパイレスで山がぽこっと上がっているのが課題です。一方、町税の徴収率は上がってきておりますので、これはいいことであります。

 河合町ですが、公債費、人件費、その他の歳出が悪いということです。普通建設事業費というのが、この数年極端に増えてきている、これが課題のように思います。一方、ラスパイレスについては、真ん中ですけれども、給与削減を実施されているので、これは結構なことだと思います。一方、町税の徴収率が、青い数字が赤を下回るようになっていますが、懸案事項ということです。このように分かりやすく見える化をするということを努力をしていますが、これが市とか町の方に情報共有されないというのが県の悩みです。このような数字は市町で分析されないし、市町の市民だよりには載らないのが通常ですので、このような場で発表させていただき、それが市町の方の健全な心配ごととして伝わるようにということを願って発表させていただいた次第です。

 また後で市町村振興課から報道資料の説明をさせていただくことになろうかと思います。時間をとって恐縮でしたが、私からのご報告は以上です。

司会:
 それでは、本案件につきましてご質問ございます方、よろしくお願いします。

NHK:
 今回初めて重症警報の発令に踏み切ったということですが、市町村財政についてどういった問題意識、危機意識から、こうした措置を取ることに踏み切ったのかを改めて教えていただけますか。

知事:
 従来から出しております資料の中に、重症警報ランクというのがあるんですが、例えば資料3、14ページにあるように健康診断表をずっとこれで発表してたんですね。悪いのは左の赤になっているところです。要治療で、かつ前年度よりも悪化というのを名指しで。この資料をずっとやっているんですけれど、アテンションがないんですね。報道もしにくいんだろうと思うんですが、報道したらよくなるというわけでもない状況です。しかし、もうしつこく報道して、この財政カルテのこのような資料をつくっているのは、奈良県が(財政が)悪いからつくっていると言われればそうなんですが、そういう市町村財政に県は努力をして、場合によっては改善のために無利子貸付けの財政支援もした経緯があるんです。なかなか自主的改善努力が見られないというのがちょっといら立ちになっていますので、この14ページ目の左下の赤いカルテの中で特に悪いと思われるのは、ちょっと入院させると。療養指示をしていたのが入院しなさいと。勉強の入院ですので、首長を拉致するわけではありませんが、事務方と一緒に入院勉強しましょうと。いいカルテを出して首長に提言しましょうということで、首長のリーダーシップで随分変わってくると思います。首長は労働組合とも折衝しなきゃいけませんので、このような事情を説明して、組合に理解を求めてもらえるかどうかというのは、人件費などの削減です。

 また、地方債の発行は、予算編成権が首長にありますので、予算編成権でちょっと控えておこうというか、財政を考慮して事業債を発行しようということを、このような財政資料も見ていただいて、首長が見て事業展開をしていただけたらという願いを持っております。さっきのこの赤いところで、入ってますよというだけではなかなか首長まで意思が通らなかったという経験を踏まえて、一緒に事務方で勉強しましょうという意味の重症警報、これ警報だけではなく入院をしようということです。そのようなことをこれまで長年させていただいたのを踏まえてのことでございます。それをこういう形にしたのは初めてです。従来からの延長のスタイルということになります。

NHK:
 ありがとうございます。今回のその調査というか、取りまとめた対象ではないんですが、今、コロナの影響で、全国的に税収見込みが悪化するのではないかという指摘も聞かれます。県内の各自治体は財政状況があまりよくない中で、このコロナが財政に与える影響というのを、まだ数字は出てないんですが、知事として現状どういった見立てを持っておられますか。

知事:
 コロナが地方財政に影響を与える、悪い方に影響を与えるというのはもう確実だと思います。それは今回のテーマじゃないんですが、奈良はコロナ前から悪かったですよということを強調したいんです。強調したい、コロナで悪くなったんじゃないですよと。コロナのときに悪くなったらどうするかとのご質問ですので、ちょっと違うようには思いますけれど、コロナの影響は、財政にも悪い方向で影響します。奈良県でもそうですし、他は良くても悪くなります。日本の地方財政は、国の財政制度で支えられております。これは幸福なことでございます。甘えがあるんじゃないかと時々思います。県にも甘えがあるんじゃないか。国に要望すればいいんだと、構えておられる市町村がある。財政改革ということは、国に依存はしているけれども、自発性もないといけないという事情があると思います。国に依存しっ放しというのは、私はあまりいいお国柄じゃないと思っておりますので、その自発的な改革を促すのは地方政治だと。地方政治、先ほど申し上げた首長の意識ということになると思います。地方政治がよくなれば、財政が健全化する糸口が出ると信じておりますが、コロナで悪くなったという言い訳をしちゃいけないと。元から悪いんだからということ。コロナ以前から奈良県市町村は財政が悪いということを強調したい。奈良県ではコロナで悪くなったということは申しません。前から悪かったということを強調したいという気持ちでいっぱいです。

毎日新聞:
 今回の重症警報で、市民、町民に対して隠れた部分を明らかに、オープンにしたいということですが、改めて重症警報が出されたような地方自治体では、市民と町民にとってどういう影響が出てくることが懸念されますか。

知事:
 これは意識を覚醒といいますか、情報を共有化しようと。情報が行き渡ってないということを強調しているわけですが、それが何かアクションにつながるか。ちゃんとリアルに見ればやるべきことは分かりますねということになっているんですが、今まで10年以上この資料をつくって工夫していますが、なかなかワーストを脱却できない奈良県市町村財政。ワーストを脱却できないのはどうしてかなということを市町村振興課とも、もう毎年議論してきた結果です。どういう影響があるのかということですが、意識がよくなるといいますか、知ってもらうということを是非とも達成できたらということです。アクションの前に意識、それは首長の意識、また住民の方の意識というのが最も重要でございます。じゃあどうするかというのが、地方政治の本髄です。どのようにまちの発展のために支出をしていくかという、住民や議会の意識がとても重要でございます。

 ということが分かってきておりまして、市町村の財政当局はもう心配でいっぱいなんですよね。私どもは違う組織ですが、心配はしますけれども、一番心配なのは市町村の財政当局だということが分かって、それが仲間だと、パートナーは市町村の財政当局だということがこの警報の一番大きな意味です。だからその意識が、また周りの意識が変わればという願いがこもっているということです。

毎日新聞:
 このままだと市民サービスに影響が出ますよというようなことまで、県としては求めていきたいんですか。

 その財政状況、基本的なことを聞いて申し訳ないですが、財政状況が悪いと市民サービスに影響が出ると。だから、改善しないといけないですよという、そういうロジックなんですかね。

知事:
 ばらまきをしていて悪いのか、役場の人の給料が高くて悪いのかということをもう少し分析すると分かってくるんじゃないですか。ばらまきは、扶助費ということで表れます。扶助費が高いから悪かったのかというと、この分析では、公債費で悪い、人件費が悪い、もう一つ悪くなる要素は扶助費という、ばらまきにつながるんです。それはあまり出ていないからしてもいいんだということにはならないと思います。人件費を上げて扶助費は下げるという選択は、市民は望まれないと思われるんですね。普通は人件費を下げて扶助費を上げてほしいという望みになられるんじゃないかと思われますが、この事情を知られると、首長はどう判断されるかというのが大きいんじゃないかと私は思います。扶助費を下げるよといって、人件費が高いのを隠すということをされる首長が多かったわけですけれども、あまりしてほしくないことです。先ほどの奈良市で、ラスパイレスは平成28年からどんと上がって、令和元年に下がっているんですが、令和2年にまた上がるらしいんですよね。この事情を、扶助費と比較して、市民に配る予算なのか、役場の中で人数を増やして配る予算なのかということは、市民の最大の関心事だと思います。その前のページの六角形の図でみますと、物件費、扶助費はあまり変わらないんですね。人件費、公債費を扶助費と比較すると、公債費は将来のための投資ということですので、現在の支払い、将来の支払いということになりますが、人件費は役場の中の人に払うのか市民に渡すのかという違いがある。その出っ張り具合を見てくださいねというのが、このメッセージなんですね。皆さんにも理解をしていただいて、メッセージが伝わるようになるかどうかということはこれからですけれども、そのように理解が進めばいいなという願いはあります。

毎日新聞:
 例えば、今おっしゃった奈良市の人件費ですと、この技能労務職員、現業職のことだと思うんですが、この方たちの給与水準が高いというのは、特殊勤務手当がいろいろのっているという、そういう理解なんですか。

知事:
 この高い原因はね、書類をもう少し調べないと分からないから、市の財政当局と一緒に書類を調べましょうということで、市の財政当局には同意を得ています。そこから始めないと。それは、首長も、そこまでしていいよと理解をしていただいています。奈良は、財政が悪いのに、そういう意識が発生しなかったのが問題だというのは県の認識です。それが伝わるように願っておりますが、その伝わり方も奈良県は弱い。奈良県全体の公に伝わる、首長への伝わり方が弱いということは感じておりますので、個別的に勉強して、それが直接伝わるようにという手法だと考えています。一般的にワーストだよと言っても、あまり意識が覚醒されなかったという経験がありますので、悪い悪いと言うだけではよくならないです。いや、悪いのは俺のせいじゃないと。公債費なんかは、前の首長のせいだということには確実になるんですが、人件費のラスパイレスがこんな状態で給与カット廃止というのは、現職の首長の仕事であることが明白です。それは市と町の議会の判断になりますが。このような事情にあるということは議会も知っておられるんですかと県が言うと、県なんかに言われたくないと思われる議員もおられるかもしれませんので、市の財政当局と一生懸命資料をつくって、議会や首長に、また市民の方に上げていくという手法はどうでしょうかと提言して、それを重症警報の中での作業課題にしていきたいというのが奈良流儀でございます。

毎日新聞:
 この今回の5つの市町、どこからまず改善していくかという順番はつけていかれるんですか。

知事:
 今はワーストが2つ以上あるのを勉強しましょうということですので、勉強会に入りたいとおっしゃる、財政健全化メンタリティーの高い首長、市町村があれば歓迎いたします。このランクというのは、前からランクで悪いとずっとつけているんです。ランク、頓着ないですよね。ランクで表現しても気にならないもんとおっしゃっているような気もするので、ランクというのはあまり意味がないかもしれませんが。ランクのどこにいるかということは、住民の方が気にされないと。ここに住んでいたら将来税金が上がるかもしれないなと思われるのが普通の反応なんですね。

 だから税金が健全なところへ移っておこうかと言って、夕張から住民が逃げ出すかもしれない。全国にはそういうことは随分起こりますよね。もし移動可能な人がいれば、子供に、ここにはもう住まなくていいよ、もっと面倒見のいいところに住んでいいよ、と。それが東京への人口集中の一つの要因になっているように思います。財政が豊かですので、扶助費が高いということだから。若者が行くのは就職口があるからということなんですが、高齢者が大都市に行くのは面倒見がいいからということになります。奈良県の中で面倒見のいい市町村があれば行くよと集まっていきますが、その市町村の面倒見よりも特養の面倒見とか、お金のある人はそういう選択で県域をまたいで移られる状況があります。やっぱり居場所というのは、いい場所を皆探し求めておられることは分かりますので、いい場所を提供できるように、財政もしっかりと支えるようにというのが県の願いです。

共同通信:
 合同勉強会について教えてください。例えば、どのようなペースで進めていくのか。あと、資料にある首長への提案というのはいつ頃まで、どのような形を想定しているのか。また、この設置に当たって参考にした国や他府県の例はあるのか、教えてください。

担当部局:
 具体的なスケジュールは、これから考えていきたいと思っております。各市町村の事情もあると思いますが。ですので、その首長への提案が来年度の当初予算の段階までにできるのか、それから以降になるのかは、これからになると思います。勉強会は、すぐにでも調整をして立ち上げていきたいと思っております。

 他の県や国の例を参考にしたのかということについては、実はありません。他の県の財政の支援等は今までから調べておりますが、なかなか事例がないというのが現状ですので、このような勉強会は県として考えてご提示しているという状況です。

共同通信:
 ありがとうございます。

知事:
 事務方連合みたいなイメージです。中身は何かというご質問ですが、工夫をして両方で、資料は市町にしかありませんので、我々が他の資料を集めると、他市町と比較して客観的評価ができますし、総務省には類似団体という標準化のテクニックがありますので、それも利用して類似団体よりも奈良市が100名も多いのはどういうわけだろうかというようなことを分析、見える化すると。見える化というのは大きな手法だと思います。情報共有、真実を共有するというのは第一歩、今まで自然と隠してしまっていたのは大きな課題だと認識しております。このような勉強会で、特に財政状況の悪い団体への財政支援を検討するというのは、実はカルテを出すだけで元気になりなさいというだけでなく、薬も場合によっては出しますよということなんですね。

 では薬も、どんな薬があるのか。薬だけくれたら、今まで通りぐうたら三昧するからと、こういう首長だと薬の出しようがない。お医者さんも名医ではありませんが、お医者さんの役目を果たしたいという者にとっては、患者さんに意思がないと薬が効かないと思いますので、事務方、財政当局が改善しようと。しかし、一時的に助けが要るなと。県が助けてくれるから、いい薬を出してくれるからということがあったら首長に相談してみようというパターンが望ましいと思っています。

 改善と薬、財政支援がマッチすればということですので、今まで無利子貸付けという財政支援、多少の薬があって、これは随分効いたんです。20億か25億出して。だからそのようなことができるかどうかということ、人件費がそのままラスパイレスで給与を上げるから、その給与を県が肩代わりしてくれというような理屈は発生しないと思いますので、他の財政支援の糸口があるかどうかの勉強も含めてしたいという。この特定枠で出走しないと薬も出ないよというのが実情で、カルテと薬が両並びというような仕組みを奈良モデル的に考えていきたいということです。

共同通信:
 ありがとうございます。


知事の公用車について

毎日新聞:
 知事は、アルファードの公用車に乗っておられますが、知事の公用車をめぐって兵庫県が、アルファードからセンチュリーに替えたことを機に、県民から苦情もあったようです。例えば兵庫県のようにセンチュリー、超高級車に替えた県もあるようですが、知事の公用車について、どういうお考えをお持ちですか。

知事:
 何かセンチュリー、問題になっているの。あまり知らない。

毎日新聞:
 トヨタのセンチュリーにすると、それだけ金額がかかります。

知事:
 だから、ほとんど知らないからコメントしようがない。

 知れよとおっしゃっているの。世の中で報道されているから知れよ、コメントを言えよとおっしゃっているの。

毎日新聞:
 知らないということで。

知事:
 知らない。あまり知らない、何が報道されて、課題になっているのかということはあまり知らない。

毎日新聞:
 今、アルファードに乗られていることについてはどうお考えですか。

知事:
 アルファード、いいですよ。

毎日新聞:
 いいですか。

知事:
 そのぐらいしか、その程度ですからご理解ください。意識の低い知事ですから。

毎日新聞:
 いえいえ、特に考えはない、特に知らないので考えがないということですね。

知事:
 そういうことですね。ノーインフォメーション・ノーコメント、ノーリサーチ・ノーコメントです。


アメリカ大統領選挙について

時事通信:
 奈良県とは関係ないかと思いますが、アメリカ大統領選の結果はいかがですか、結果を踏まえて。

知事:
 奈良のことばかり言っているから、関西が受け付けないとアメリカに飛んで。アメリカについては少し言うことがあります。バイデンさんとは同じ大学の出身なんですね、聞かれたら言おうかなと、よく聞いていただいて。個人の情報ですが、シラキュース大で、彼は法学部、僕は行政学なんです。多分同じ時期にいたのか、僕は1970年から72年に。卒業生、シラキュース・アルムナイ(同窓生)という、同窓ということで。彼は上院議員ですが、私は参議院議員で、ずいぶん格も実力も違いますが、当然同じ同窓ですから親近感を持っておりました。

 その関連で言いますと、赤いステート、青いステートという色分け、あの辺り、アップステート・ニューヨーク(ニューヨーク州の北部、中部、西部)という、シラキュースはコーネルと並んで、こちらのほうにボストンがあって、ハーバード、横に80号という道路が並んでいるんですけれども、彼が今住んでいるのがデラウェア、コネチカット州の上院議員ですけれども、シラキュースまで行ってロイヤー(弁護士)になる、シラキュースで同じルームメイトが法科のイタリア系のフランク・ガルガーノという人だったんですが、バイデンさんと同じルームメイトになっていればすごかったですけども、ドミトリー(宿泊施設)に入っていて法科大学の人がいたというような、そういうノスタルジックな思いがある。

 それで、政治的には、シラキュースのようなまちは、モイニハン(ダニエル・パトリック・モイニハン)という民主党の厚生労働の大変功績のあった上院議員がおられて、民主党の牙城なんですね。思想も民主党系なんです。シラキュースのメソディスト派というキリスト教から建てた学校ですけれども、みんな民主党系で、ニューヨークから来られる。知らないで行ったんですが、ニューヨークの私立で授業料が多少高いから、金持ちの子弟が来るような私立学校というような感じだったんですが、そのような方で、民主党系の思想がキャンパスに横溢しているようなところで、イリノイ州とか、ああいうトウモロコシ畑が見えるようなまちと随分雰囲気が違うということを言われておりましたので、バイデンさんもそういう中での民主党ということかなと思いますが、話したことはないので、もし会ったらシラキュースの話をしたいなと思うところがあります。

 それと、奈良のJWマリオットホテルのGM(ジェネラル・マネージャー)はコネチカット州出身なんですね。クリストファー・クラークという人ですが、バイデン応援だろうなと言ったら、「当然。」と、こう言ってましたので、そういう郷土愛みたいなのがあるな、というのが身近な話題です。質問に全く答えず、アメリカ大統領選の感想という個人的なことに終始して申し訳ございませんが、全体の印象ですけれども、大統領選の意味は、内政のアメリカの中で分裂するとか、内政の意味というのと、外交の意味というのは随分違ってくると思います。

 日本にとっては、内政の意味はもちろん関心ありますが、内政について関心はありますけれども、政治的に言うと内政干渉だという反応があって、日本人ごときにという反応もありますから、内政についてはあまりコメントはできないと思います。外交については、特に中国との関係、私は海上保安庁長官をしていましたので、尖閣諸島に中国が来るときのアメリカ軍なりアメリカの対応、尖閣諸島が奪われると守るよと、こうアメリカ国防省が言ってくれているので、海上保安庁の職員もあそこで警察防衛をしている意味が、バックはいざとなれば向こうの軍艦に警察の船で対応するということはできない相談で、それは自衛隊ができるかというとできない相談ですので、最後はアメリカがついているかどうかは、中国軍がもうわかっていると思いますが。それには、台湾というのもあると思いますので、中国のその一次防衛線とか二次防衛線に出てくると、とても緊張感が出てきますね。尖閣諸島だけじゃなく、台湾ということになるとすごく緊張感が出てきます。

 バイデン民主党政権では守ってくれるのだろうかと、台湾の人も心配があろうかと思います。日本はそれほど深刻ではないと思いますが、尖閣諸島はどうなるのか。これは中国の態度との関係があると思います。トランプ大統領は、経済の対峙と防衛の対峙と、両にらみでやってこられたというような、その意味がどういうことかと、外交の分析というのはあろうかと。奈良県知事としては、あまり仕事には関心はないですが、今までの海上保安庁長官にいたということや、参議院の外交防衛委員会には入っていたことから、関心はございます。外交的な一番の関心事である尖閣諸島等に、どうバイデンさんは出られるのかということが個人的に、最初も個人的なので大変失礼いたしますけれども、関心があります。

 もとより、奈良県とバイデンさん、あるいは民主党というのはないですが、奈良県は中国との関係が歴史的には深いですので、東アジア地方政府会合といったような東アジアの会合が来年、西ジャワ州、インドネシアですけれども、ヨーロッパの知恵がアメリカの公約だったら、バイデン、中国とはけんかするぞ、北朝鮮とは仲よくするぞ、日本は味方だと、こういうふうに国際協調というか、マルチを横に置いて、前でやろうというのがトランプ流でしたが、バイデンさんだと、国際協調というのは、マルチのフレームをより大事にされるのではないかと思います。東アジアには、マルチのフレームというのはあまり発達しなかった。日本もバイ、バイ、バイでこうしてたわけですが、海上保安庁長官のときに、東アジア長官会合を提唱したんですけれども、アメリカと日本が提唱して、アメリカ、ロシア、中国、韓国が入って、カナダが後になったという、長官会合がある。私が辞める直前に皆来てくれて、ロシア、アメリカ、韓国の長官が来て、一緒に湯河原でゆば料理を食べたんですね。そのようなことがきっかけでずっと続いている、それが世界長官会合。特に警察のマルチの会合というのは意味があると。軍事紛争に至らないバッファになると思っていますので、バイデンさんになると、そういうマルチ思考に多少変わると。バイ、バイ、バイでなっているのが、バイデンでなく、マルチデンになるのかなと、期待はございます。それは経験からの期待ですで、奈良に結びつけようと思ってもなかなか結びつかないので、2つ。同窓だということと、海上保安庁長官、個人的な記憶に基づく特に安全保障上の期待ということになると思います。大変失礼しました。

時事通信:
 ありがとうございます。


近鉄奈良線の移設について

毎日新聞:
 先日、赤羽大臣が来県されましたが、その際に、近鉄線の移設、平城宮の話については直接お話をされたんでしょうか。

知事:
 しました。

毎日新聞:
 どのような内容か、可能な限り教えていただけないですか。

知事:
 秘密なんですけど、といって振ってしまってすみません。今までも近鉄の陳情をしておりますので、事務的なことも含めて言いますと、都市局長が来たんですね。都市局、これは大きい。都市局は、大臣陳情に行くと都市局長も、向こうの役所の中でいてもらうんですが、たくさんいる中で都市局長が奈良まで来られて。経験豊富な方で、都市局長がキーパーソンだと思います。近鉄問題解決の、失礼しました近鉄線問題、似たようで随分違う、近鉄線問題は近鉄問題だと思いますけれども、都市局長が来られた。

 あと、具体的に平城宮跡の平城宮いざない館の中で陳述の機会をいただきましたので、改めて申し上げました。秘密というほどのことは全くないですが、今年が大事な年だということを知っておられますので、どういう言葉か忘れましたが、解決の意欲を表明していただきましたので、とてもありがたいと。私はもうしつこく言って、申し訳なかったです。今年は藤原不比等が亡くなって1300年ですよと。藤原不比等がつくった平城宮跡で近鉄線が走っているのを改善したいと、藤原不比等のご意思が乗り移っているんですよと言わんばかりのことをしつこく言うもんだから、もう分かった分かったみたいな感じではあるんですけども。

 それと、このようなことになったきっかけは、平城宮跡、朱雀門の南側に立って、胡錦濤さんと冬柴大臣と私で三人で話しして。冬柴大臣はご存じのように中国の残留孤児になりかけて、お母さんとはぐれて一晩探して出会ったという、危うい経験をされた方ですので、中国への思い入れはとても深いんですけども、その方がこの平城宮跡の中を電車が走っているのは、ぜひもう解消したいということを胡錦濤さんの前で言われた。それを前で聞いている胡錦濤さんが、平城宮跡は長安の都を模した都だというので見に来られたんですが、朱雀門の上には立たれなかったんですよね。電車が通るからと。しかし、せっかくだから朱雀門の前で写真撮ってくださいというので、写真をぱっと撮ってすぐに下がられたんですけども、そのような経緯も目の当たりにしてますので、エピソードも申し上げまして、冬柴大臣のご意思を実は受けている面がありますよと繰り返し言って、藤原不比等も重ねて、今年が勝負年ですよと。

 実際に踏切道改良法で、4つの改良すべき踏切、これは解決しないといけないので、奈良県案で近鉄も検討を進めることには合意されている。具体的な選定についてどうというよりも、財政的な負担をしたくないということですので、例えば2,000億、2,200億かな、事業費の概算ですけど、連続立体交差。一つは事業者負担は約7%なんですね。約7%ですから、2,000億としても140億ぐらいになるんですが、大和西大寺駅の連続立交の負担はOKと、言っておられます。それは大和西大寺駅だけで、あとは負担しないよという近鉄の言いぶりですが、大和西大寺駅だけの負担だったら50億ぐらいなんですね。50億だけの負担で、あとは嫌だというのは、踏切道改良という責務もありますので。踏切道改良の責務の負担はやはり7%ぐらいは発生しますので、その分負担しないというのは移設を強要されるからということがあるんですけれども、移設強要というよりも、踏切道改良の責務も二重に発生していますので、その責務は負担という形で果たしてもらわなければいけないと。あそこで高架にするとか、地下化するというのはできない相談なので、踏切道改良のためにも移設しかないというのが今の状況ですので、その負担割合いかんということが大きな課題だと思います。都市局が大きな役目を果たすというように、立ち話ですけれど、そのような話を大臣とも都市局長ともさせていただきました。

毎日新聞:
 近畿運輸局が入った前回の法定協議会の次の会議の日程は決まってないんでしょうか。

知事:
 国は、最低の権限と責任はありますが、合同で会議するというのはありません。

毎日新聞:
 前回は奈良市、近鉄、県、運輸局でしたよね。

知事:
 整備局、運輸局合同会議は一度しましたが、具体的には、先ほどの財政に関係しますけれども、奈良市は県の考え方、あと負担問題が発生すると思いますが、奈良市はJRの連続立交だと県と同額負担されているんですね。連続立交と同じように、県と市の負担なんです。近鉄の負担問題は地元で近鉄と県、市で協議して、連続立交のスキームはあるからそれに乗るように持ってらっしゃいというのが国の基本的スタンスです。近鉄がごねたら国が調整すると、そういうスキームはないということです。

毎日新聞:
 前回やったような話合いの場というのは、前回以降設けてないですよね。

知事:
 それは近鉄と折衝しています。近鉄の理解が進めば解決すると思います。だから近鉄線問題は近鉄問題だと少し言い間違えたか正しく言ったか、どちらでしょう。

毎日新聞:
 県と近鉄、個別に折衝しているということですか。

知事:
 そうですね、事務的に、この線型がいいかどうか。負担の理屈は何かと、私どもは近鉄の主張する理屈はどこにあるのかということを折衝しています。つまりは、踏切道改良の鉄道者負担というのは、必ず発生します。それを拒否されるのはおかしいですねと、こちらの理屈を言っています。すると、移転がそこでできれば、そこで高架とか地下にできれば、その負担でいけますかといって、それは受けざるを得ないと、それしかスキームはないですから。嫌だと言ったら調整するというスキームは過去に例がありません。平城宮跡という文化特別史跡の中でできないから、外へ出たときの追加負担というようなものが発生すれば、それはどこでするのかということの課題かと思います。

 そのように都市局長とは話をしましたので、まだ糸口がないですけど、物事の本質はその2つだと思います。鉄道の踏切改良のための鉄道者側の負担は、そこでつくるということを前提にすれば、絶対嫌だと今言っておられますが、それはあり得ないですねということは主張していきたいと思います。コンプロマイズ(妥協)は、国が入ってもないことだと思います。

 ところが、そこでできない、外に出ると、線型が余計に負担かかる、それは中身は分からないんですけども、その分だけは何とかしてくれという言い方はされてませんので、普通だと思いますけど、そうならば議論は進むのかなと思っております。これはこちらの頭の中の整理ということにすぎませんが。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

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