東京で暮らしている息子は、幼少期を過ごした奈良にいつか戻りたいと言っていました。奈良は魅力的な所で、私自身も奈良の仏像に魅せられて移住した一人です。海外からも、奈良の自然と静寂に心のやすらぎを求めて何度も訪れる人がいます。奈良の魅力はそれほどまでに奥深く、多くの人を惹きつけています。 ですが、息子が抱く奈良のイメージは、子ども時代の思い出が大部分でしょう。保育園の同級生や先生と手をつないで散歩した田んぼのあぜ道、ランドセルを背に友だちと一緒に走って帰った通学路、なじみの理容店主の笑顔など、地域で安心して過ごした風景が息子にとっての奈良なのです。 今日もニュースで新型コロナウイルスの感染者情報と共に都会の映像が流れます。コロナ禍(か)の先行きが見通しにくい状況下で、帰省やUターンもままならず、どれほど多くの人が不安を抱えながら懸命に生きていることでしょうか。 しかし、どんな厳しい日常にあっても、せめて一瞬でも懐かしいふるさとに思いをはせて、ほっとできる時間があればと、心から願う毎日です。
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