第17回新型コロナウイルス感染症対策本部会議

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新型コロナウイルス感染症対策 1年の振り返りと今後の重点取組

令和3年1月26日 第17回奈良県新型コロナウイルス感染症対策本部会議

 

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映像】(外部リンク)

「新型コロナウイルス」という未知の敵との戦いに当たって、奈良県では、3点の基本方針により対処してきた。


方針1 感染者を早期発見・即時隔離し、感染された全ての方に入院治療、宿泊療養を提供する。

方針2 重症化予防により、死亡や後遺症の発生をおさえる。

方針3 感染経路の類型を明確化し、類型に応じた明確な注意をする。

 

 昨年1月28日から今年1月22日まで、約1年間の感染者数は、2,797名。

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 感染者を居住地別に見ると、1年間で100名以上の感染者が発生した8つの市で、全体の3/4を占める。

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方針1 入院治療・宿泊療養提供

 自宅療養0は、1年間を通して維持。

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 新型コロナ発生以前の奈良県の感染症指定病床は24床
 運用病床の拡大に努め、1月25日時点において14病院368床を運用。

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入院病床の状況

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入院病床の占有率の状況

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 重症対応病床についても拡大。

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重症対応病床の状況

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重症対応病床の占有率の状況

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 宿泊療養施設では、常駐看護師2名、毎日1回医師の定期巡回により、入所者の健康観察を実施。
 症状変化時には、速やかに入院調整。            

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宿泊療養の占有率の状況

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 感染者を早期発見するため、PCR検査(抗原検査を含む)の目的を重症化予防から感染拡大防止に切り替え、症状の有無にかかわらず、感染が疑われる場合は検査を実施。

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 検体採取場所の拡大と並行して、県保健研究センターの能力向上、民間委託の活用などにより、検体採取から判定までの期間を出来る限り短縮

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 大和郡山市内の福祉施設・医療機関の職員を対象にPCR一斉検査を実施したところ、1月25日現在で887名が検査を受けられ、全員が陰性

・実施時期:令和2年12月24日~令和3年1月13日までに希望のあった施設・医療機関から順次実施
・検査対象:大和郡山市所在の入所系福祉施設及び病院・有床診療所に勤務する職員

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方針2 重症化予防

 大都市近郊の府県の中では、奈良県の人口10万人当たり死亡者数は、低位

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 2,797名中、重症となった者(死亡含む)は90名(3.2%)、その3/4が70代以上の高齢者。
死亡者は32名(1.1%)で全員が70代以上。

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 感染者のうち、70代以上15%

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 大都市近郊の府県の中では、奈良県の人口10万人当たり感染者数は、低位

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方針3 感染経路の類型の明確化

 全感染者2,797名のうち、約半数の1,317名が2~5次感染者

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 第2波で2次感染が増加、第3波では2~5次感染が1次感染を大幅に上回る。

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 1次感染の3/4が大阪関連、大阪へ行ってうつされたケースが大半を占める。

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 1次感染では、第1波、第2波、第3波とも大阪関連が多い傾向に変わりはないが、第3波では大阪から来た人からの感染が増加。

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 2次~5次感染では、家庭内感染が最も多く、約半数を占める。

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 第2波以降、友人との飲食等による感染が増加。
 第3波では、社会福祉施設や医療機関における感染事例が一気に増加。

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 発表段階では感染経路が不明な者についても、その後の調査により、出来る限り経路の明確化に努めた。

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引き続き、3点の基本方針を堅持した上で、新型コロナウイルスに必ず打ち勝つとの強い信念を持って、以下の項目に重点的に取り組む

1.病床・宿泊療養施設の確保

2.福祉施設のクラスター対策

3.ワクチン接種の円滑な推進

 

➣ 感染が判明した場合、速やかに入院又は宿泊療養先を決定する。(原則1日以内)

 

➣ そのために、必要な病床・宿泊療養施設の確保・運用に努める。

 ・民間を含め病床の追加を働きかけ

 ・新たな宿泊療養施設の募集

 

➣ この取組により、自宅療養0を維持する。

 

病床・宿泊療養施設の運用数と入院者・宿泊療養者等の推移

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大都市周辺の他県では、厚生労働省が公表している病床や宿泊療養の使用率が低いにも関わらず、自宅療養が発生。
→ 公表している病床や居室が即日運用できるか疑問

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入院病床の運用計画

➣ 現在、368床の新型コロナ専用病床を運用

➣ 1月25日から、新たに済生会奈良病院において、4床の運用を開始。

➣ 済生会中和病院において、通常医療への圧迫を避けるため、拡充病床を見直し。
(+8床→ +2床)

➣ 県立医科大学附属病院の新型コロナ専用病床1床を、2月中に重症患者に対応できるよう強化。

 

入院病床の運用計画

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重症対応病床の運用計画

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宿泊療養施設の入所基準を緩和し、新型コロナ感染者受入病院の負担軽減を図る。

・原則65歳以下 → 69歳以下

・保護者同伴の場合 小中学生以上 → 未就学児も可

 

見直し後の宿泊療養施設の入所基準

以下の要件を満たす症状悪化の可能性が低い軽症の新型コロナ感染者であること

・15歳~69歳の方(保護者同伴の場合は、未就学児・小中学生も可)
・重症化リスクのある基礎疾患のない方
・免疫抑制状態にない方
・妊娠されていない方
・食事に特段の配慮が必要でない方
・保護者同伴のない場合は、自立して宿泊生活ができる方


宿泊療養施設の運用状況

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 これまでクラスターは30件発生、クラスターによる感染者(初発者を含む)は、431名。(全感染者の約15%
12月下旬以降、福祉サービスでのクラスターが続発。

 

クラスター事案一覧

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 クラスターが発生した集団が、一時的に形成されたケース(飲み会、カラオケなど)では、集団外への感染拡大に注意が必要。
→ 接触者を速やかに特定し、PCR検査を実施。            

№20 職場親睦会(飲み会)クラスターの例
・7名の感染者のうち、3名から家庭内感染(クラスターの集団外)が発生。
・当該クラスターを起点として、集団外で感染した者は、14名


 クラスターが発生した集団が、継続するもの(医療機関、福祉施設など)では、まず集団内での感染の連鎖をくい止め、さらに集団外への拡大を阻止することが必要。
対策案(以下①~⑥)

 

№26 障害者支援施設(入所+通所)の例
・令和2年12月28日に通所事業所支援員1名の感染が判明後、1月18日まで3週間にわたり、断続的に職員、入所者及び通所利用者、合わせて41名の感染が判明。
・通所サービスの利用停止は行ったが、入所サービスは継続が必要であり、支援に当たっては身体接触が避けられず、感染拡大を阻止することが困難であったと推察。
・集団外(家族)への感染が2名。

 

①施設への持ち込みを防ぐために

職員の健康管理を徹底。

・マスク、ガウン、アルコールなどの感染対策物品を十分供給。

・職員の感染症対応力の向上を図るため、感染症の専門家による感染予防の研修や実地指導を実施。

②施設内で広げないために

マスクを外す場面での感染リスクを減らす。

食事は、個室で、又は非対面

カラオケ自粛

入浴入れ替わり

・介助するときは、マスクとフェイスシールドを着用

③クラスターが発生したら

速やかに現地確認を行い、濃厚接触者の特定や接触者のPCR検査などを適宜行い、感染の拡大を防止。

・速やかに感染症専門医、感染管理認定看護師、県職員が現地でゾーニングなど感染拡大防止のための指導を実施。

④療養体制の方針

・高齢者施設の場合 高齢者は、必ず入院

・障害者施設の場合

 入院治療が必要な人は、入院。軽症の人は、施設内療養を活用。

・施設内療養の場合 常駐看護師を確保。

 

⑤施設内療養の県内事例

陽性が判明した入所者又は利用者で入院が不要な方は、障害特性に応じて日常受けている支援を継続したうえで、施設の特定の建物(部屋)において療養

 

課題と対応(たかとりワークスの場合)

陽性者の健康観察

<日中> 施設の看護師 <夜間> 宿泊療養施設に駐在する看護師が電話で対応
 ※県立医大が相談対応、必要に応じてオンライン診療

支援員の確保
 社会福祉施設相互間の応援体制により、他事業所などから応援職員を派遣(たかとりワークスには5名)


⑥クラスター発生後の施設では

・施設の従事者は、業務を担当する区域を決めて固定。

・陰性の濃厚接触者を個室で隔離し、健康観察を実施。

・県立医大感染症センター長笠原教授から、陰性でかつ接触者でない人を、一定期間他の施設など安全な場所で隔離することにより、感染を防ぐとともに、施設職員の負担も軽減できるとのご意見をいただいた。

 

●国は、2月下旬以降、医療関係者、高齢者の方、基礎疾患のある方、それ以外の方に順次ワクチン接種を行う予定。
●住民への接種は、市町村が実施

県は、ワクチン接種を円滑に進めるため、支援体制を構築

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 県では、市町村の進捗状況や困り事を定期的に把握し支援する。


【想定される市町村の当面の事務】
・庁内体制の決定
・ワクチン保管の超低温冷凍庫設置場所の選定
・接種に必要となる医療従事者等の調整
・接種券の印刷準備(システム改修等) など