令和2年12月23日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 これより知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の発表案件は、1件でございます。登大路瓦窯跡の現地保存につきましてです。本年の最終の知事定例記者会見でもありますので、発表案件に引き続きまして、令和2年県政の主な出来事、最後に今年の漢字と、発表を3件させていただきます。よろしくお願いいたします。


【発表案件】登大路瓦窯跡の現地保存について

《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)


知事:
 今年の最後の記者会見ですので、今年一年大変お世話になりました。ありがとうございました。いろんなことが起こりましたが、ふつつかなままですけれども、よくお付き合いいただきましてありがとうございました。まず、お礼申し上げたいと思います。

 発表案件ですが、登大路瓦窯跡の現地保存ということです。県立美術館の裏にございますので、経緯を申しますと、文化会館、美術館を一体的に整備しようということで、あそこに婦人会館などがあったんですが、美術館のアネックス(別館)でもつくろうと。また、文化会館に車寄せがありませんので、全体の車寄せとして美術館の裏を車が回るというターミナルにしようと、そういう構想で検討を固めておりました。それで婦人会館など県の施設を移転しました。あるいは建物を廃棄し、文化財の発掘調査を行いました。

 ところが、文化財の発掘調査中に、この瓦窯跡が見つかったと、そういう経緯です。その値打ちということになりますが、遺跡は、現地保存と移設保存と記録保存と3つの方法がありますが、大概の場合は記録保存です。現地保存は年に1つもあるかないか、数年に1度あるかないかというのが現実ですが、この度は現地保存しようと判断したものです。

 もう一つのポイントは、文化財保存課がこういう判断をするわけですが、以前は教育委員会の所管でした。現在は、知事部局所管になっています。私が知事として文化財保存担当者として判断したので私の発表になったという、その2つ目の経緯も大きなことです。大きなことといいますのは、文化財保存課が教育委員会に設置すべきと法律で決まっていたのが、法律の改正によりそれが変えられるようになりました。法律を改正するときに関係者の意見聴取ということで私も行きましたので、文化財の保存と活用という観点から知事部局のほうがいいですよという陳述をした経緯があり、その最初の知事判断の適用ということにもなりますので、この年末に発表したものです。

 現地保存の値打ちは、時期、それと保存具合など資料に書いていますが、次のページで位置と現状写真になっています。今日、資料をお配りしたと思いますが、実は個別に判断するのか、基準があるのかということになります。実は基準というのも、知事が判断する、あるいは教育委員会でも同じですが、判断するに当たっての基準は必要だということで、ずっと検討してまいりました。その指針というのが、案という段階ですけれども、できかけております。この指針案は知事の指針ということにもなりますので、この案を適用したということにもなります。基準の指針の成立自身は、あと決裁をして公表するだけのものですので、この案を実質的に適用したということです。

 このような県の指針ができるのは、全国でも初めてではないかと思います。といいますのは、国にもこのような指針がないということは分かっております。どういうわけか埋蔵文化財の保存・活用のための指針というのはなかったんですね。個別の責任者、文化財のご担当者の判断と、個別ご判断ということになっていたのではないかと思います。しかし個別で、基準というのは文書になかったと思いますが、このように議論してもらいますと、ごく常識的な基準が10項目ほど並んでおります。それを総合的に判断するという責任者が要ることになるわけですが、登大路瓦窯跡の現地保存が判断の基準の適用ということです。

 この基準の中身からいいますと、1番目の、他の類例に照らし、相当古いということが大きなことだと思います。それから、2番目の、出土遺物の希少性が高い。瓦窯跡というのは方々にありますが、希少性が高いということがあると思います。その性格で希少性が高いというのは、報道資料の2番目、あるいは4番目です。

 それから、3番目の、文献資料の記載と一致するというのも大きなことだと思います。報道資料の4番目、大寺(興福寺)造瓦と関係するということです。資料にはそう書いていますが、私は、それとともに5番目の、遺構と出土遺物が歴史的に画期的なものなどにあたると。時代性があるという点も私はあるのではないかと思っています。瓦は皆さんご存じのように、韓国、韓半島の漢人が持ってきた技術です。日本には瓦がなかった。飛鳥は茅葺きです。大嘗宮は茅葺きということで瓦がなかった。それで構築物をつくるのに、木を差すと腐ってしまうので、石で浮かせると。石でして、掘っ建て柱というのを立てて瓦で押さえると。重りをしてやる。大極殿がそのような構造になっておりますけれども、それでは今の建築基準法では住めないということになりますが、昔はそれで耐震としていたと。だから柱が多くなって、重くなるという構造です。

 瓦が必要だったという、これは韓半島から伝わった構築物の構造物の様式なり、その現実ということになりますが、その伝わった時期に東大寺の大仏殿までつくった国ですので、遺構、大極殿もそのような関係でつくったと。大極殿がそのような様式で復元できたのは、あまり物や、設計図が大極殿はなかったんですが、世界遺産になるときに奈良基準というのが出て、これも世界遺産の対象にしていいよと。大極殿の地下は免震構造で大きな機械が入っています。これは昔あったのかというと、全くなかったと。最近のもの。しかし、様式がそうだからというのでユネスコの中でも議論があったとも聞いておりますが、これでもいいよと、大極殿自身も世界遺産にするよと、こう言ってくれたわけで、まだ議論する人がいました。私がユネスコに行ったときに、あれはおかしいという人がいましたが、ユネスコが認めたものです。

 話が飛びましたが、瓦で押さえるというので重要な建築部材の一つということ、木の柱、太い柱も大事ですが、重い瓦も大事で、その瓦をつくる技術が日本にはなかったのが、奈良時代、瓦がつくられるようになってきたというのが、5番目の画期的な、瓦は奈良時代に伝わった瓦窯の、最初かどうかまだ分かりませんが、そのような時期だということです。

 それから、6番目や9番目などというのは、これからの研究を待つ必要があろうかと思いますが、そのような判断で、知事判断で瓦窯跡というのを現物保存、ちょうど興福寺の境内でもありますし、関係が深いということで、保存場所としては技術的に保存の措置がとれるものということで県が関与しておりますので、美術館の裏の一角で、この場所を見ますと工夫は要ると思うんですが、文化会館と美術館の改修という、文化会館が耐震性がなく、その改修という課題がございますので、一体的に検討してまいりました。改めて現地保存ということを前提に、文化会館と美術館の裏を、美術館の改修を練り直したいと思いますので、本日発表させていただいた次第です。


質疑応答
  
奈良テレビ:
 この登大路瓦窯跡について、貴重な遺構が見つかって現地保存することについて、今の知事のお気持ちをお聞かせください。

知事:
 文化財の中で埋蔵文化財というのは、いろんな県民の方が、あんなの掘り出して保存するの大変だと、こうおっしゃる面があります。それと文化行政といいますか、文化庁が大事だというものといつもバッティングをしている面があります。

 奈良県はこれだけの歴史のある地域でして、文化財はどんどん掘り出して保存しようよと。その一番いい例が平城宮跡ですが、ああいう現地で残っている場所というのは奈良以外にあまりないのではないかと思うほど、保存場所が特定できるということですが、先ほど申し上げましたように、県民、市民の生活とバッティングする面が強いということになります。

 保存するにしても、どういう値打ちなのかということを知ってもらわなければいけない、あるいは調整のときに、現地保存が必要なのか、移設が可能なのか、記録保存で済むのかということを納得いく説明をした上で、埋蔵文化財を発掘をしてもらわなければいけないといつも思っておりましたので、国の文化行政プロパーですと、現地保存という圧力がかかるわけで、県民生活といつもこう何かバッティングして、その間に私どもが立つというような感じの印象でしたので、何か基準をつくって、現実的な対応できないかという。まだ課題は残っておりますが、そのように思っており、たまたま県有地の中の値打ち物ということになりますので、保存はしやすいし、他の利用との兼ね合いもできるという、いい現地であったということも現地保存ができ、値打ちがあるというのと両方重なったので、良い適用第1号になったと思っています。

 県民の生活の配慮ということは欠かせませんが、文化財の値打ちが分かると、どのように保存するのかという知恵も出ると思いますので、これから奈良の埋蔵文化財の保存と活用ということは、まだこれからの課題も残っておりますので、これをきっかけにご理解を賜るとともに、現場の知恵を出していきたいと思います。県はそのように努力をしたいと思いますので、ご理解を賜ればと思うところです。

読売新聞:
 当初発掘された時は現地保存しないという方針があったかと思うんですが、最初は何で保存しないという方針だったのか、もう一度ご説明をお願いできればと思います。

担当部局:
 平成27年の11月に発表しておりますが、その時に、しないという結論を出したわけではなくて、今、知事も申し上げたように、当初の建築計画もあったものですから、その辺りの判断との兼ね合いが問題としてはありました。それで、遺跡の内容と照らし合わせて、今回の決定、報告に至ったということでございます。以前に、しないという判断をしたことはございません。

読売新聞:
 ありがとうございます。

知事:
 現地保存でないと移設か記録になるんですが、そのような判断を確定したことはないと、議論の過程で、先ほど申し上げましたように大概は記録保存なんですよね。私の素人的な感覚では、他に類似のこういうものがあるよということが分かれば、そこに見に行けばいいので、あらゆるところで現地保存の必要はないんじゃないかと思うわけです。一番値打ちのあるものは現地保存すればいいんじゃないか。それは現実の生活との兼ね合いという観点から、そのようなことでもいいんじゃないかと。埋め戻す時は、記録保存は皆壊してしまいますので寂しいところではあるんですが、全部現地保存すると何もできないというのが、人類どこもでもそうですけれども、そのような現実があります。

 埋蔵文化財というのはなかなか難しいですけれども、埋蔵文化財も取り出せるものは移して、水に入れて保存すると、木簡のようなこと。土系のこういう構造系のものは、そこでしかできないという記録をちゃんと残してやることでも十分だと聞いておりました。これもその対象かどうかという吟味はずっと行われていたと思いますが、その後、私のところに来る報告は、どんどんこれは値打ちがあるとグレードアップしてきたように思います。最初はそれほどの値打ちだと分からなかったんじゃないかということを私から言ってもいいくらいの過程でありました。どんどん値打ちが上がってきたというような印象を受けます。

 有識者の方が最初ぱっと見ていると値打ちがすぐ分かった人もいるかもしれませんが、その値打ちを判断するのにいろいろ研究を重ねていただいたと思います。それとともに、私の方は、その基準をちゃんとつくらないと判断できないよと、研究者の一存で決めるのはおかしいよということをもう口酸っぱく言っておりましたので、その基準がほとんど出来上がってきております。決裁という形式が残るだけになってまいりましたので、この基準を実質的に適用しましたという形で発表させていただいたということです。

担当部局:
 すみません、先ほど私から27年と申し上げましたが、29年の11月に以前の重要な遺跡が見つかっていることをご報告いたします。29年でございます。失礼いたしました。

奈良新聞:
 現地保存される瓦窯の時期、時代というのは、奈良時代と平安時代と鎌倉時代の、どの時代のものを何基保存されるのでしょうか。

担当部局:
 実際には今、3基をかなりきちんとした形で、今埋め戻した形で保存しておりますが、それはいずれも奈良時代後半のものと考えております。それで、恐らくほぼ同じ場所で中世の鎌倉の後期あるいは中世後半等、連綿とほぼ同じ場所で瓦窯が操業されているということが分かっております。残っているのは奈良時代後半のものと認識しております。

共同通信:
 現地保存になると、県立美術館にかかる影響があると思いますが、状況としては、これはもう建てないということなんですよね。

知事:
 現地保存の場所はここしかないんですが、美術館の裏でたまたま空き地になるんですけど、先ほど申し上げましたようにあそこにアネックスをつくって、文化会館に入るバスがぐるっと回れるようにしようという構想で検討していました。上皇后陛下が県立美術館の古事記展に来られた時は、車寄せがない美術館ですので、こんな車寄せのないところでよくつくったなと、その設計を冷やかしていたんですが、そのようなこともあって、美術館に入るために後ろに車寄せをつくろうという構想でしたが、このような発掘がありましたので、美術館の後ろをどのようにするか知恵を出さないといけない。

 もう一つは、現地保存だと、見えない現地保存というのはあまり今時意味がないと思います。県民の方あるいは来訪者の方にご理解いただくような展示というのも大きな要素になりますので、現地保存のこの窯跡をどのように展示するのかというのが一つの課題になります。展示とその他の予定する構築物との兼ね合い、どのようなセッティング、レイアウトでするのかというのを、展示の仕方とその他の周りとの兼ね合いと、この2つの課題がまだ残っております。だからそれをどうするかを、私のところで決めるような案がまだ出てまいりません。ただ、美術館の後ろにアネックスをつくろうということと、文化会館と一緒にしようということでしたので、この際、奈良公園全体あるいはこの辺りの文化の展示力といいますか、そのわくわく感を上げるための研究をしようと、ちょっとものを大きく考えてその現地保存のやり方を至急検討しようかと指示をしています。せっかくだからと思っております。

産経新聞:
 先ほど知事が文化会館の耐震性がないので、その補強を考えているということをおっしゃっていたんですが、となると、この文化会館と美術館の一体改修という方針自体は変わらないということですか。それに今回の保存というものが加わってくるということでしょうか。

知事:
 ちょっと揺れ動いています、正直言って、一言で言うと揺れ動いて。といいますのは、最初は一体的に美術館の改修もそのアネックスも一緒にしよう。というのは、車寄せが文化会館の裏になるから。文化会館の車寄せがないので、車寄せをつくって転回場は美術館の裏にしようというので、文化会館の東側にある階段は撤去しようと、そういう案でございました。それは一体改修の考え方、デザインということ。それが、発掘調査すると遺跡があるぞというので、遺跡があるぞの前に、発掘調査すると念入りにせないかんとなって、どうも遅れそうだというので。それと文化会館の耐震性の課題ががっと浮き上がった。その最初の一体改修のときは耐震性の問題があまり出てこなかったんで、それはあったんですけど、それをあまり意識しなかったという。それが耐震性の問題があったから文化会館は閉めてでも耐震改修を早くせないかんという課題。すると一体改修なんて言ってられないから、これ時間かかるので、文化会館の耐震改修を早くせないかんじゃないかというので、これ第2フェーズでそういう方向にかじを切って進みました。

 それと、その耐震改修だけすると全体のレイアウトというのがなかなか、美術館の奥がどうなるか分からないままだから、なかなかいい案が出ないという面もありました。それでずっと今までのところ来てるんですが、現地保存をするということを決めますと、至急に美術館の奥のレイアウトと文化会館の改修を、この際、一体的なデザインをして、文化会館をもう一挙にその耐震改修も含めて早期に着手できないかという論が出ますので、その点について検討を指示しています。そのような方向でできるかどうか検討してくださいと私からお願いしています。まだあまり議論が進んでいませんが、それは最近のことで、この現地保存と兼ね合いになるような議論になっております。

 すると、指示は一体改修ということか、というご質問ですが、最初の一体改修とまたちょっと違って、耐震性がない、裏に埋蔵文化財が出てきた、しかし改修をしなければいけないというのを、ちょっと時差はあっても一体的に考えなければいけないということは確かでございます。一体的に進めようということはなかなか難しいですが、一体的に考えた上で耐震性の強化を最初にしたらどうかと、今、検討の方向になっているという程度です。最初の一体改修に戻ったのかというと、ちょっと違うんですが、一体的に考えようとは改めて思っていますというような答えになろうかと思います。経緯もありましたので、ちょっとまたごちゃごちゃ説明いたしました。

産経新聞:
 時期の目処として、少なくともいつ頃までにということはお考えでしょうか。

知事:
 どのような方向で検討を進めるかというのは、今みたいにちょっとまだふらついているという印象を申し上げましたが、先ほどの来年度予算のご質問と併せて、来年度予算をどのように、この辺りどうするかというのは、骨太方針会議(詳細は後述)の中のテーマの1つにしております。骨太方針会議のテーマ、10個ぐらいあるんですが、その1つですので、できれば来年度予算編成のときまでに、とりあえずこの時点での考え方をまとめたいと思っております。その中で、いつまでに何をできるのかということも姿が見えてくる可能性はあろうかと思っております。

産経新聞:
 ありがとうございます。


【発表案件】令和2年県政の主な出来事・今年の漢字について

《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)


知事:
 次の話題に行かせていただきます。県政の主な出来事。お手元の資料が細かくて読みにくいのではないかと思いますが、この中で例年10個ほど選んでご披露させていただきます。これは私の主観的な選び方ですので、決して10大と言われるようなものになるかどうか分かりませんし、順不同になるかもしれません。

 まずコロナ感染の関係で、コロナ感染症の対応の欄の1番目の、1月28日ですが、日本で最初のコロナ患者が発生した、それは奈良県の方だったということが分かりましたので、感染拡大防止対策をする出発点になりましたが、これをコロナ対策関係で選びたいと思います。それと、コロナ関係のその後、話が進んで、県内経済活性化に向かいました。コロナ他いろいろありますが、その代表とさせていただきたいと思います。

 それから、県内経済活性化については、3月に中小企業・小規模事業者の資金繰り支援、無利子・無保証料融資というのを踏み切りました。これは国の無利子・無担保に先駆けて実施し、少し早まったことをしましたが、1,000億円の融資規模が、今4,600億円まで膨らんで、そのために財政負担が400億円を超えるようになって、今あっぷあっぷしていますが、現実には倒産が去年よりも減ったと、コロナ関連が少なかったと、そのような数字も出ておりますし、県民には高利ということはありませんが、利率を無利子に借り換えることをされた事業者も多いようで、「よかったね」と言っていただいておりますので、苦しい中でもこれを挙げさせていただきたいということです。

 コロナの経済対策の2つ目は、年末年始一時中止をするかどうか、課題になりました「いまなら。キャンペーン」を開始したと、奈良県民に限って「いまなら。キャンペーン」をするよということが特徴ですので、これを挙げさせていただきます。

 コロナ関係を外れまして、「奈良新『都』づくり戦略」の中から幾つか選びたいと思います。これは県庁の仕事に関係する面があると思いますのでご容赦ください。賑わう「都」をつくる、の中で4月、7月と分かれますが、奈良県コンベンションセンターとJWマリオット・ホテル奈良がオープンというのを1つに捉えまして、県営プール跡地での複合観光施設ということになりますので、この2つを1つにしたいと思います。

 それから、5月、6月になりますが、瑜伽山園地を整備した上で一般公開したこと、「ふふ奈良」がオープンしたというのは、後の好評、人気が続いておりますので、これもいろいろ長年物議を醸したものですけれども、2つ目に挙げたいと思います。

 県として大きなことは、便利な「都」をつくる、に飛びますが、7月に大和西大寺駅の高架化、鉄道移設化について、奈良県案を基本として協議していくことに近鉄も合意をされましたので、大きなことかと思います。令和2年度末までに決着を見るべく、奈良県案を基本にして協議を進めなさいという国の方針があって、それで今進んでいるということは大変大きなことかと思っております。

 その次は、健やかな「都」をつくる、ということですが、3番目の、4月になりますが、更生支援の条例をつくりましたのと、財団を設立して9月に2名の出所者を雇用したと、これも全国でまだ類を見ない試みですので、挙げさせていただきたいと思います。

 その次は、智恵の「都」をつくる、というところの3番目になりますが、飛鳥・藤原の宮都の世界遺産登録に向けての推薦書(素案)を提出したということが大きなことだと思います。世界遺産登録に一歩を踏み出したと。今まで長年足が出なかった面ですけども、順調にいけばという注釈付ですが、素案を提出することから世界遺産登録が始まるこれまでの経緯でありますので、現実的に大きな一歩を踏み出したということを今年の出来事に挙げたいと思います。

 その次は、豊かな「都」をつくる、の4月になりますが、森林環境維持向上の条例と、次のフォレスターアカデミー条例ですが、これも他の地域の類を見ない、また国の方針にも入らなかった森林環境管理というスイスの、あるいは南ドイツの概念を入れて条例化をして、フォレスター制度に踏み出したということは県政では画期的なことだと思いますので、これを挙げさせていただきたいと思います。

 最後に、最近で起こっておりますことですが、鳥インフルエンザウイルスです。12月の特定家畜伝染病防疫対策、鳥インフル、奈良県では終息しましたが、まだ油断はできないと聞いております。この鳥インフルの件を挙げたいと思います。

 これで10個ぐらいになったかと思います。これは私の独断と偏見で申し述べただけのことですので、お耳を汚しましたが、以上です。

 最後に、今年の漢字でございます。このような漢字を用意いたしました。「鐶」(かん)という字です。ご推察のように、これはコロナを表したいと思います。コロナは、日本では片仮名ですし、欧米では、世界中コロナと、こう呼んでおります。それはコロナウイルスの形が王冠の形のようだということですので、中国では、冠状病毒と言っておられます。冠状の「かん」は、王冠の「かん」ということですが、漢字を当てると中国語もコロナというのを音で当てる場合もあるわけですが、人名は音で当てられます。「特朗普(トランプ)」も漢字で、「倫敦(ロンドン)」も漢字で当てられる、漢字の音を利用されるんですが、コロナの場合、漢字の音を利用しないで冠状という意味を利用されています。日本は、片仮名という便利なものがありますので、コロナと言っているわけですが、その意味を振り返って、日本の漢字に当てたいと思ってこの「鐶」という字を、今年の一番のお騒がせ人という意味で、「鐶」ということを考えつきました。

 この鐶という意味は、たんすの輪っかとか、鍵を集める鐶ということです。金属製の輪ということですので、「わ」とも読みます。金属の方がお金よりも実用的で身近というような感じがします。王冠だと、コロナにその立派な名前をつけなくてもと個人的に思ったりしますが、金属の輪と表現してもいいのではないかと私はひねくれて思ったところがあります。

 金属の輪とコロナを表現しますと、そこから類推といいますか発展して、じゃりじゃりと鍵を束ねるような輪にもなりますし、実用品です。輪というのはすぐには壊れませんので、その輪を利用して我々が協力をしてコロナに対応するとか、生活を維持するとかという、コロナから我々が対応を迫られている面がありますので、この鐶という字は、そういう意味も、前向きな意味も読み取ってというつもりで、鐶を今年の字と、私の個人的な判断をした次第です。

 以上のようなことで、まず発表をさせていただきます。

NHK:
 今年の漢字について、「鐶」という字を選ばれて、かつコロナが意味の背景にあるというご説明がありましたが、改めてコロナ漬けになったこの一年を振り返って、来年はこのコロナとの闘い、どのような一年にしていきたいとお考えでしょうか。

知事:
 コロナのウイルスは世界中に飛び火といいますか、展開しました。最初は中国で発生して、中国の課題かといって見られてたのが、ヨーロッパにも行きましたし、アメリカにも行きましたし、インドにも行ったという大きな展開がありました。強敵であったかと思います。そのような状況がまだ続いているというのは、大げさに言えば人類との闘いになっていると思います。最近では、そのワクチンの製造が始まったというのは、人類はいつもそのように展開していますので、そのような大きな規模の闘争、闘いであったというのが1つ思い起こされます。これは奈良の知事の立場を超えて世界を見ると、コロナというのはすごい脅威をばらまいているんだなと見えるということでございます。

 もう一つは、経済とか生活との打撃度ということになりまして、その闘い方が欧米と東アジアあるいはアメリカ、インド、日本で、相当やり方があるんだなと。欧米でも南欧と北欧、スウェーデンが違うやり方でありましたが、いろんなやり方があるんだなと見えます。2つ目は、やり方の違いがあるなと。ワクチンが展開されるまでは、物理的に伝染を避ける、伝染病、あれは皆そのようなことしか、結核もそうでしたが、隔離する、避けるということしか人類に知恵はない。ペストもそう。ヨーロッパはペストの経験がありますので、メンタルにはそのような影響もあるのかなという関係があります。

 日本はもう古い話なので、みんなそういう記憶はありませんが、天然痘が奈良でありました。そのような記憶が生活の心理の中に残っていることはありませんので、もう安心な、とても衛生状況のいい国だと我々自身も思っておりますので、心理的なショックは日本も大きい面があったなと感じます。

 医学的な処方と社会的な処方と、社会的な処方の中での心理的な処方というのが要素として絡まっているんだなと、私がメッセージを出す場合に、いつもそのように思っておりまして、それをどのように発信すればコロナを、もう退治はできないので、そのワクチンにしろ殺虫剤にしろ、そういうものがない限りは、この我々の行動パターンで避けるということしかないものですから、どのように訴えるのかなかなか難しいことばかりでありました。私もうまくできなかった面もあろうかと思いますが、そのような闘いだと認識をしていました。

 そのような闘いがまだ続いているわけですが、こうしないといかん、ああしないといかんという言葉が随分出るんですが、まだ決め手はない状況だと思いますが、そのような中で今できる本質は、ソーシャルディスタンスという言葉で言われましたが、うつる人とディスタンスがあることが一番感染させない、されない大きなことで、原理的には分かるんですが、現実にそのようにしていないからどんどん広がる、欧米でもアメリカでもインドでも日本でもということになりますが、生活習慣の中にソーシャルディスタンスがもう埋め込まれて習慣化されているというのは、事ほど難しいことであろうかと、振り返りですので順を踏んでちょっとかったるく聞こえると思いますが、そのようにずっと考え、考え、考え、考えしてきたということです。

 いまだにその決め手というのはありませんが、年末年始を迎え、奈良のシチュエーションの中で一番お願いしたいことしか私の発言権はないように思っておりますので、奈良のその感染の仕方を見て一番気をつけなければいけないのはこれですよという程度のメッセージしか出せないなと。これは3つ目になりますが、奈良県の発信の仕方ということになると、そのようになってきた。振り返りでするとそのような、あまり意味のない振り返りでありましたけれども。

 その中で、みんな3か月家にいて何もしないでということは、もう今どの国も難しいことで、経済で皆給料もらったりして生きてるわけですので、経済的な打撃は皆気にされて、それとの闘いということは政治的にはもう各地で、その繰り返しであったかと思います。日本でもそのような様子でした。

 仲のいい連れ合いというわけにもいきませんので、時々あっちに行け、いや、寄ってきた、ちょっと向こうに行けといって、経済活動をするとまた来たと。このような連れ合いのように見えますので、一緒に暮らすのはなかなか難しい敵だと思います。経済との、日常生活との折り合いというのは、ご家庭での工夫、地域での工夫、学校での工夫、国での工夫と、地域差があるように思いますので、地域差を分析して、せめてもの知恵を出す。経済との両立ということを念頭に知恵を出すということの局面に入っているかと思います。コロナだけというわけにはいかない生活、日常生活と経済との両立ということは常にこう考えなきゃいけないと思います。あまり振り返りにならないような所感になりましたが。

時事通信:
 引き続きコロナ対策が重要だと思うんですが、それ以外にも、例えば国体の誘致ですとか、いろいろ取り組むべき課題があると思うんですが、来年はどういったことに特に力を入れたいか、お聞きします。

知事:
 来年、コロナが続くと思いますが、コロナがどこまで眼前に漂うのかということ、それはそれとしてということを思いますと、我々の県政や奈良県の行方というと、やはりその構造的なことに政治はいつも取り組んでいなきゃ社会の発展はないだろうとも思います。構造的というのは、時間がかかるという意味でもありますし、構造が出来上がっていますので、時間がかかる大きなものは、その構造を変えるということになりますので、心理的な抵抗があったり、現実的な経済的な抵抗があったりというようなことはあるんですが、現実の方は人口が減ったり若者がいなくなったり、いろんなことが地方で起こっていますので、それは構造的な要因で起こっているケースの方が多いような感じがいたします。その構造的な要因を検索をして、構造的な要因にこそ政治が一生懸命やらなきゃいけないと私は思って、力はないですが、構造的なことをしてそれに取りかかる、時間はかかりますが、時間をかければできる面もあるという気もいたします。

 そのような観点でいきますと、来年に現象的なことにぱっと取りかかれる構造的なこと、ずっと取りかかっているのに来年はどのように進歩があるだろうかとつい見てしまうわけですが、そのような観点からいくと、奈良県は、構造的にはやはり大阪依存といいますか、経済の依存というのは、まず通勤者の方が3割いて、給料の源泉は大阪の経済からいただいておられると。だから大阪に働きに行くと高い給料で安い住居という、ハッピーな組み合わせだと思われていたんですが、大阪の経済が比較的沈んできました。今、統計を見ますと、奈良の給与水準は大阪よりも高いと、平均でも高いと言われる統計も出てきているぐらいなんですが、それは大阪に行っているから高いんだと言われてたのが、奈良の給与水準も全国10位ぐらいですかね、平均給与で。貯蓄額が全国1位とか、どういうわけか目立たないけれどもいい水準だと。

 しかしと言いたいんですが、ベッドタウンですので、平穏に暮らしていたけれど若い人が出ていってますねというのが大きな課題、構造的な課題。それを食い止めるためにどのようにするかというのが構造的なチャレンジということで、若者を食い止めるためのアイデアの1つとして、県立大学の工学系学部を考えました。技術系の人は県内に学部がないですから外に行ってしまうので食い止めるために工学系学部を置きたい。令和6年まであと4年ぐらいかかりますけれども、そのように踏み切って、一生懸命になっていますので、例えばそのような類いのことにチャレンジしていきたいと。

 あるいは、五條につくる大規模防災拠点というのは、私にとりましては、今まで自衛隊誘致で、誘致のときに紀伊半島の南海トラフの大災害は怖いですから、自衛隊に常駐してくださいという言い方をしてきたんです。しかし、石破さんが防衛大臣の時に、もう何回も会っていただいている。自衛隊は、防衛は防災省じゃないんだからと何度もおっしゃって、結局自衛隊の誘致から防災基地をつくるのはなかなか難しいというので、緊防債という総務省の防災プロパーの地方債にとりかかって、目処がちょっと見えてきたというので、これを確実なものにするというのが来年の前半の県政の最大の課題だと思っています。

 それから、来年、年度では令和2年度ですが、近鉄の移設について、西大寺駅の高架化までは近鉄がオーケーと言ってくれていますので、あとはその移設についても近鉄は反対じゃないけど、負担があるのは嫌だと、こういうことです。その調整ということになります。この調整ができれば、どのように移設するのかという案も提示できることになりますので、そのようになれば、奈良のこれからの大きなプロジェクトが形づくられるという年でもあるように思います。私から見ると、来年はその構造的な大きなことが発現する年になればと、本当に願っているところでございます。

NHK:
 今の質問に関連してなんですけれども、いろいろその構造的な課題に取り組みたいという中で、現在、来年度の予算編成作業にも今取り組まれていると思うんですが、どういったところに力を入れてその予算編成というのを行っていきたいとお考えでしょうか。

知事:
 予算編成、今始まっておりますが、県では、「奈良新『都』づくり戦略」というのは150ほどのテーマがあるんですが、一年間で2回ほどラウンドして議論しました。これ大変進捗がありましたので、この「奈良新『都』づくり戦略」を踏まえた予算編集をしたいと思っています。財政課も、国でもそうですが、予算の財政当局の査定の話と政策の体系というのは必ずしも折り合わないんですね。いろんな会社もそうだと思いますが、財政当局と会社の方向が折り合うのは、担当がそれぞれ偉いから、なかなかそうもいかないというのが普通なんです。県はそれほどでもないですが、国はなかなか難しい。政調会長と財務大臣がいつも折り合うかというと、そうでもないというような。

 奈良県では、財政当局がこの「奈良新『都』づくり戦略」に沿って編集するよということを言ってくれています。だからこれに沿っての編集方針ということになると思います。その中で目玉といいますか、何を核にしてやるのかということになりますが、今、骨太方針会議というのをやり始めて、骨太方針会議は、国の骨太方針会議をまねたネーミングなんですけれども、先ほどの大規模広域防災拠点とか、近鉄とか、いろんな10個ほどの、あるいは大和平野中央というようなちょっと大きなプロジェクト、というようなことも踏まえて、骨太方針会議というのをやり始めております。その方向が出ますと、この来年度予算編成あるいは「奈良新『都』づくり戦略」の大きな柱になってくると予測しています。

 その骨太方針会議は、まだ今、進捗中でございます。予算編成時期に合わせて骨太方針会議の一定の来年度予算への対処となりますので、それを決めていきたいと思って、それは年明けになろうかと思っています。2月議会にこれを出しますので、そのときに「奈良新『都』づくり戦略」と、その中に入ります骨太方針会議の、年度を越えるときのスタンスというのが出てくるというように思います。それは、発想は私が言うことも多いんですけど、議論を重ねないとその方針案にプログラム化できませんので、そのようなやり方をしております。

 お楽しみにと、こう言いたいんですが、お楽しみには間違いないんですが、ご立派なのができるかどうか、いつも自信ないままそういう、インクリメンタル(増加部分を積み上げていく方式)といいますけど、現実の一歩一歩というようなやり方でやっていくのが私どもの流儀でございます。それが体系的に思いつきをぱっと言ってやるぞという政治のやり方もあるんですが、リーダーシップの取り方について、私は積み上げ方式の方が向いていますので、そのようなやり方で来年度また発表させていただきたいと思います。そのような中で、議論にも加わっていただくといいますか、第三者、外からの立場でつついていただくのは大歓迎でございます。


県立山辺高等学校の全国高校サッカー選手権大会への出場について

共同通信:
 県立山辺高校のサッカー部の飲酒問題についてお伺いします。教育行政なので、それ以上のことはと言ってしまえばそれまでのことだと思うんですが、やはり県の代表として高校のサッカー大会をというチームで起きた事案なので、それだけ注目を集めている案件だと思います。教育委員会は、一部の選手は出場を認めないという形になりましたが、学校自体は出場させるという判断が出たことについて、知事の意見をお伺いしたいと思います。

知事:
 ありがとうございます。高校生が飲酒というのはよくないことだと思います。飲酒自身はよくないことだと思います。で、それを受けて、たまたまサッカーの全国大会に出るという時の判断ということになります。その飲酒の判断について、経緯を見てみますと、随分反省されたということ。そのような反省をされたことを踏まえて、校長先生が、その出場者と出場、ピッチに入るどうかということではなく、大会に連れていく人ということを分けて出場しますと、こう判断されたので、このようなケースは校長先生の判断というのが全てと。あらゆるケースで、いじめもそうですし、生徒の暑さ対策も全てそうですので、校長先生の判断を尊重すべきかと思っています。

 その経緯、繰り返しますが、飲酒ですね、飲酒は悪いことに違いありません。それに対処されたのがいいかどうかというのと、出場の判断の適否ということですので、校長先生の判断に対しては私どもは第三者でございます。県立高校ですので、教育長が一緒に検討に入っておられるという経緯は存じております。その出場という中で、聞いておりますと、2名は大会に連れていけない、8名は連れていくけれど、8名が皆ピッチに入るかどうかは、これまた監督の差配だそうでございます。飲酒に至った事情がいろいろ判断されて、反省についても判断されたと思います。詳細は私には分かりませんが、校長先生の判断はあらゆるところで尊重すべきということになっております。今回の出場についても、校長先生の判断を尊重すべき事項であろうかと思っています。

共同通信:
 今回の山辺高校の問題の、その根深い部分としては、学校のサッカー部でありながらも、練習はクラブチームで行われているというところが、その責任の所在を曖昧にしている根源だと思われます。その点について、こういう仕組みをつくった、教育委員会がつくられていると思いますが、こういう仕組みはなかなか全国においてもまれなケースだと思うんです。この仕組み自体はいいことだと思いますが、そのことによってこのようなことが起きてしまったことについては、知事はどのようにお考えですか。

知事:
 飲酒問題と関係して、その監督者は誰かということが一つ問題としてあると思います。それは、もう一つその前に、学校の部活というのは、学校の運動場で教員資格のある人がすべきということになってたんですけども、今、その教員の部活に対する負担がかかり過ぎるから、アウトソースになると思いますが、外に出してもいいという風潮があるように思います。これは合理的な考え方だと思います。部活を止めて、私はクラブというのは、生徒が個人個人で地域のクラブに入るという方に展開するのが一つの方向だと思います。要は学校の名を上げるか、生徒にスポーツを楽しんでもらうかという、目標の比重の置き方であります。学校のスポーツは全国大会に出るために、学校の名を上げてこいよというために先生が張り切るというのが常であります。保体という世界でございます。私は保体ばっかりでも生徒をいじめてるんじゃないかと思ったりするところがあるんですが、生徒本位で考えると、クラブスポーツは合理的な面があるかと思ったりします。それも教師の負担を軽減する面もありますので、あるいは地域の他の生徒あるいは他の地域の人と交わるという教育効果があると私自身は思っております。

 今回のケースは、そういうアウトソースではなく、場所借りという、その時のサポーターという方がおられて、それが現実に山辺高校のスポーツ監督のサポーターとしておられたと聞いております。現実の生活は寮生活でおられたので、その生活面の監督者は誰かというふうに、こうなってくると思います。生徒は部活という範囲の中でその助けがあるという今の形式でありましたら、やはり学校の責任というのは基本的にあろうかと思います。その一部をアウトソース、どの程度までアウトソースしたのかという、部活のスポーツ活動のアウトソースと生活のアウトソース。

 しかし、任せたよということは校長先生なり学校は絶対言えない立場にあると思います。責任は全て学校に来るというのが、生徒の体にしろ、そこで発熱して救急した、任せてたから彼が、彼女が、任せた人がすることだと、そんな第三者的なことを学校の校長先生は絶対言えない立場にあろうという、それほど強い責任と権限が委ねられているのが日本の校長先生の姿だと思います。そのような校長先生は大体立派な校長先生が多いんですが、今回も、謝罪も方針も校長先生が出て説明されましたので、私はテレビでちらっと見て、立派な校長先生だなという印象を受けましたが、その詳細は知りませんし、詳細な説明は、立場が違いますので受けておりません。

 従来の考え方とすれば、校長先生が全ての最終責任者だと思いますので、現実の監督者というには、アウトソースの程度について、もう少し追及しなければいけないと思います。しかし、やはり飲酒したのは生徒ですので、生徒の中のあつれきといいますか、生徒間でそのような生徒もおられたとも聞いておりますが噂だけですので、そのような判断も踏まえて校長先生が判断されたと思います。そこまで踏まえておられたら、立派なご判断、尊重すべきご判断だと、外からの印象中心ですけれども、思っているところでございます。

共同通信:
 私もそこまで詳しくないんですが、生徒間のあつれきというのは、今ちょっと言える範囲でいいんですけれども、何か。

知事:
 何か聞いておられますか。私は詳細は知らないんですが、そんな噂もちらっと聞こえましたので、要は飲酒を先導する生徒がいたのかというような噂ですね。それをどのように判断されたのか私は知りませんので、あつれきという言い方をしたのは、そういう意味です。飲酒を先導した生徒がいたのかなと、それも証拠はありません、報告を受けておりませんので。そのようなこともあり得るかと思っていますので、真相にもしご興味があれば、ぜひ取材を深めていただきたいと思います。上っ面でなかなかいかないと、原理的なことと、現実はどうなのかということをすると、真のよくないことというのは見えてくるので、出場すべきかどうかというだけの判断ではなく、その過程で校長先生の判断をよく見なければいけないなとは、いつも思います。校長先生の判断は、全ての責任を負っておられますので、尊重すべきというのは原則的な判断がございますのと、今度のご判断でいろんな、あまり詳しくは知りませんが、よく考えて判断されたんじゃないかなという印象を持っているという程度です。

共同通信:
 クラブチームから学校に報告があった際に、寮内で飲酒を疑う行為があったと報告がありますけれども、校長先生が、家庭内で親子が飲み交わす飲酒だと思ったと勘違いされていたとおっしゃったんですが、その勘違いはそもそも生じ得ないんじゃないかなと記者会見で思ったんですが、どの辺り承知されているかわかりませんが、その辺りについてどのようにお感じですか。

知事:
 その話は存じませんでした。今初めて聞きましたが、学校で起こったことをいつももう少し詳しく聞いていた方がいいのかなという気もしますが、校長先生と教育長が相談されています。その報告は教育長が割としてくれるんですが、その程度の情報の中での私の所見ですので、いずれにしても現実の指揮監督の程度を私が言う立場にはないようになっています。教員の、校長先生も含めて学校の現場での所作というのは、首長が言う立場に全くありませんので、記者の方に求められてというのもあまりお答えしないほうがいいのかなと思うところがあります。そういうことを踏まえながら知ったところを多少申し上げたという程度ですので、責任者として申し上げる立場にはありませんということが前提になります。何か逃げているように取られても困りますが、そのように校長先生が全責任を持つ仕組みになっているということだから、校長先生が基本的にしっかりしてくださいねと、いつも教育長に言っております。

共同通信:
 ありがとうございました。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 今年最後で、繰り返しになりますが、いろいろお世話になりましてありがとうございました。年末年始、緊急会見がないように願うところでございます。皆様もぜひ健やかに、穏やかに過ごされますようにご期待申し上げます。私も、なるべく静かに書類を読み直したり、家でできればそういう年末年始を過ごしたいと思っております。いろいろお世話になりましてありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

司会:
 ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

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