奈良祭時記

県民だより奈良
2021年3月号

奈良祭時記
vol.21
十津川の大踊
十津川村の3つの地区で行われる踊り。
保存会の温井さん、平瀬さん、向峯さんにお話を伺いました。
小原
小原
武蔵
武蔵
西川
西川
十津川村
古くから伝わる盆踊り
 十津川村の大踊りは、17世紀頃に京都から伝えられた説や玉置山の山伏によって伝えられた説などがあります。小原、武蔵、西川地区の3地区の盆踊りにはこの「大踊り」と呼ばれる古い形式の風流(ふりゅう)踊りが伝承され、「十津川の大踊」として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。その起源は先祖供養として踊られたものとされ、小原と武蔵では1曲ですが、西川では3曲伝わっており、さらに近年に1曲を復活させました。
3つの地区で盛大に
 8月13日に小原、14日に武蔵、15日に西川で、20時頃から0時頃にかけて行われます。各地区の踊りにはそれぞれ特色があり、小原、武蔵では中央の櫓(やぐら)の周りを踊り、西川では櫓の前で踊ります。浴衣姿の参加者は、扇、太鼓、房のついたバチ、切子灯籠をつけた笹(ささ)などの持ち物を曲目によって変えながら踊り、お化けの仮装をすることもあります。踊りは酒宴も交えてにぎやかに行われ、かつては朝まで踊り明かすこともありました。大踊りを含む計20曲以上の盆踊りの曲目は、同じ調子が続かないように曲順が組まれます。踊りの様子を見ながら曲順を変更することもあり、参加者が楽しめるよう工夫しています。
雨天時は、お堂の中などで実施(武蔵)
雨天時は、お堂の中などで実施(武蔵)
「十津川村の宝」を次の世代へ
 今でも毎年50~70人程度で行われており、多くの帰省客も参加していますが、かつては100人近くの参加者がいたこともあり、少子高齢化や過疎化の影響を感じています。
 参加者は音頭取りの声に合わせて踊るため、音頭取りには踊りを熟知している人が選ばれます。踊りを継承するためには、その重要な役割を若い世代に託していく必要があります。そのため、村内10地区の団体で構成される連合会を立ち上げ、次の世代に踊りを伝える取り組みを進めています。
 先祖代々受け継がれてきたこの踊りは、十津川村の宝だと感じています。大切に守られてきた踊りを、十津川村全体で盛り上げ、継承していきたいです。
温井さん、平瀬さん、向峯さん
温井さん、平瀬さん、向峯さん
行ってみよう!
十津川村夏祭り「昴の郷ふれあい物語」 8月中旬
「十津川の大踊」をはじめ、各地区の盆踊りが約20曲披露されます。
昴の郷 多目的広場(十津川村平谷)
十津川村夏祭り
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