令和3年2月3日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日、まず会見の冒頭に2点ご報告がございます。1点は、住民の円滑なワクチン接種に向けて、もう1点は、新型コロナウイルス感染症の重症度に応じた対応について、この2点でございます。

 それでは荒井知事、よろしくお願いいたします。



【報告】住民の円滑なワクチン接種について

《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)



知事:
 ワクチン接種が始まりますが、ワクチンを打つ人のところにワクチンを適時適切に届けるということが県の大きな役割だと思っています。国は、市町村に役割を与えて、市町村が打つんだよと。市町村が打つとなると、お医者さんがいないところや場所をどのようにすればいいか分からないということがあるので、相談に乗る組織をつくりましたが、この際、県と市町村で、奈良モデル的に一緒にしようと。ワクチンが届くと、国から県に届けるのは国のお仕事。県に届くと、県内のお仕事というように分けて、県内に届いたワクチンは即日でも翌日でも、ワクチンを打つ人のところに届くというオペレーションを志したいと思います。ロジ(ロジスティクス)ということです。この臨床的な観点は何もありません。ロジという配達屋になろうと職員に言っています。

 配達屋になるには、国の配達システムがうまく機能するかどうか分からないという言い方も変ですが、心配しながら進めた方がいいかと思う。県内のどこに届けるんだ、ここに届けてください、届いたらすぐに接種場所に届けるように、システムをつくっておこうと。あまり時間がありませんが、そのように改めて志して、県と市町村でまずオペレーション協議をしましょうということです。県医療・介護保険局長が責任者になり、今週中にでも連絡協議会を開始したいと思います。テーマは、ワクチンを県で市町村へ届ける時、国からばらばらと届くのか分からない。まとめて届くなら、その小分け、仕分けをしないといけない。最初から小分けしてあれば仕分けだけでいいけれども、小分けされていなければ県内でしなければならない。その場所はどこかと。そういうロジの課題がたくさんありますので、どのようなケースであってもロジの課題を克服できるように市町村と十分連絡とっておこうと。ワクチンの小分け・配送体制をどのようにするか、これはもう県は運送屋になろうと。そこで、市町村と、どこで打つのか、どこに届ければいいのか、打つ場所でワクチンのコンテナが何日もつのか協議をする。小分け・頻回配送という配送の役目をしなければということになろうかと思います。併せて、ワクチンを打つ方の確保というのは必要だと思います。

 開業医のクリニックで打つのは、あまりうまくいかないのではないかと思っていて、これまた相談事になります。お医者さんがいれば体育館でも打てると。小学校の予防接種のようなもので、予防接種は体育館や学校でしますので、学校でするというのは一つのやり方。場所をどこでする、どこで打つのか市町村と協議して早く決めておこう、いつ来ても対応できるようにしようというのが、このワクチン接種に対する奈良県の考え方です。

 国がどのようにやるのか、今の時点であまりはっきりしないので、少し心配しています。市町村の責任となると、余計心配しています。ワクチンを打つ人がいない、場所はあるけれどもどういう役割があるのか明確ではないという課題に対して、どのように届くのか明確に、どのように決まっても奈良県の場合はスムーズにいくように検討、協議会をしよう。体制が整ったら、オペレーション担当の人が、とにかくネットワーク、スマホなり携帯で常時連絡を取る。足らない、余った、余ったら横渡ししないといけないとかもしれません。何日ももたない、生鮮食料品の配達業というようなイメージです。県のことは運送屋だと考えてくれよと言っていますので、そのようにしようかと思っています。急ぎますので、今週中に協議したいと思います。


質疑応答

毎日新聞:
 ワクチンなんですが、県内で優先して接種をする人が大体どれぐらいの数になるのか、知事は把握されているんでしょうか。

知事:
 国は、医療関係者に優先したい意向です。主に県が直接配達したり、県がその医療関係者と相談して、ここで打ってくださいと言うことになりますので、市町村の役割よりも県の役割が大きいと思います。

担当部局:
 今まさに調査しているところで、全てを対象にできているわけではないんですが、大体規模感としては5万人ぐらいの規模になると考えています。

知事:
 5万人ということですね。

毎日新聞:
 ありがとうございます。

産経新聞:
 ワクチンに関して、市町村と具体的な連絡協議会みたいなものを設置するということなのか、あくまでこの会議を開催して相談をするということなのか。

知事:
 最初の方です。ネットワークをつくろうという意図で協議会をしようと。市町村も運び屋ですよという意識を植え付けたいと。県と市町村の運送会社ですと言い替えれば変ですが、そのようにやりたい。市町村の職員がワクチン接種できるわけではありませんので、医師を引っ張ってきて、この玉を入れてくださいとお願いするわけです。場所や人を引っ張ってきて、玉をそこに運ばないといけない。それは我々行政の共通の仕事というふうに奈良県では意識しようと。国が市町村に運ぶってあまりいいオペレーションじゃないように感じますので、こんな方向で奈良県は考え始めました。

産経新聞:
 ということは、奈良県内のワクチン接種の大まかな流れというのは、県として把握して管理しますよという、そういう方針でやっていかれるということですか。

知事:
 県が介入しますよ、一緒にやりましょうというオペレーションチームをつくろうということです。オペレーションチームは、単なる協議会での意見交換だけではなく、実動しないとオペレーションになりません。そのように願っています。

産経新聞:
 ありがとうございます。

共同通信:
 ワクチン接種について、先日一部報道で、県内の3町がワクチンの合同接種を進めていくような調整をしていると報道があったんですが、県としてこれから市町村とどのようにワクチン接種の方向性を決めていくかを決める前の段階でこのような動きが出てきていることについて、率直にどのように受け止めていらっしゃるのかを教えてください。

知事:
 その動きの内容がよく分からないんだけど、何かありますかね。

担当部局:
 吉野と大淀と下市が、一緒に体制の検討をしていこうということで進めておられます。今聞いている中では、吉野郡の他の町村にも声かけをするというようなことを聞いており、今、様々な市町村が接種体制に向けて検討されておりますので、独自の組合せ、さらに県としてそこを調整して、さらにいろいろに膨らますようなことがあれば、協力していければと思うところです。

知事:
 選挙の投票所の類似だと思えばね、市町村は慣れていますから。投票所のようにたくさん置けるわけではないと思いますが、もし投票所のようなものが置けるとすれば、接種率と投票率と関係するかどうかは分かりませんが、その場所の提供という点では市町村は慣れていると思います。報道で、自民党の中で、昼間家を離れているから職場でしろよという声がある。それを思って、接種は職場でできるようにすればいいのか。それに厚労大臣が反論されて、居住地主義でやりますと。錯綜する。これは正解だと思いますが、自民党の中の意見に対して反論されているようでありますが、住所地、居住地でやると。それだったら投票と同じかと思います。誰にしたかという確定ができますので。職場でやったら、またその情報、名寄せをしなければなりません。名寄せ、日本は割と下手だというような感じがします。

 それで市町村接種責任ということになってきたので、現実に物を運んで打つというのは、投票のように投票箱を置くわけで、接種箱を置いてやるのと似たようなこと、数は違いますが、そのような感じがします。市町村とうまくやっていきたいと思います。

共同通信:
 率直に、県が動き出す前に、こうやって地元自治体の方で積極的にワクチン接種に関してそういった議論をされていることについては、前向きな評価をされるのか。

知事:
 評価します。というのは、もう一つの課題は、役場に行くのは遠いんだけど、近くの、隣の役場に行っていいのかとかというような事例が出てきますから、投票所の数が少なくなったケースと考えると、投票所まで足を運ぶのが大変だといったケースをどうするのかというような現場のリアルな課題として研究しましょうねという提携をしていきたいと思います。原理よりも現場が大事かと思います。

共同通信:
 東京都練馬区が、ワクチン接種の関係で集団接種と個別接種を、うまくベストミックスさせて集団接種をすれば、短期間で接種が進むのではないかという、そういうモデルをつくって、それを厚生労働省としても先行事例として全国の自治体に通知をしているようなんですが、これまでの知事とのやり取りを聞いていると、開業医のクリニックで打つというのはなかなか現実的には奈良県としては難しいとおっしゃっていますし、私も個人的にはそのように思うんですが、報道で見ると大分県が同じ練馬区のモデルを導入しようという動きがあるようですが、知事は今、現時点ではそのモデルについてどうお考えでしょうか。

知事:
 まだ十分ではないですが、個人的な希望という程度であれば、個別接種と集団接種を併用できたらいいかなと。集団接種というのは、巡回集団接種のイメージですね。この接種班が訪問接種ということになりますが、字とか小学校区に今日行きますよということになると、小学校の体育館で打ちます。今日、何時から何時まで接種しますといって巡回する。その小学校区の人は、何時から何時までの間に来てくださいというふうにできたら押しかけ接種ということになります。プッシュ型接種、押しかけ集団接種。それに行けなかった人は個別の役場に来てくださいというようなこともあろうかなと、これは概念的なことなので、現場でちょっと相談しなければいけないと思います。考えとしてはあろうかなと今承りました。

NHK:
 今のワクチンの話で、知事は居住地主義が原則的にはいいかなというお話でしたけれども、そうなりますと、平日の日中の時間帯に仕事などで違う自治体に出かけている人たちはどうするかというところの整理は一定程度必要なのかなと思うんですが。週末にお医者さんに負担してもらって接種の場をという話があるのかなと思ったり。どんな体制を考えておられますか。

知事:
 やり方の話だと思います。投票所なら、投票の開場時間を8時まで延ばすとか、なるべく多く職場に行かれる方にも来られるようにという工夫がありますので、先ほど投票の延長だと申し上げましたように、ちょっと工夫ができると。職場で打てよと直接的に言う前に、今、夜遅く帰る人が普通は少なくなってきているから、夜でもいいですよ、夜いらっしゃいという手もあると思う。普通の人は夜でなくて昼間でいいんだけど。すると、接種時間を夜もするなど延長するという手はあろうかと。

 それもまた現場での検討ですから、私がこれがいいと言うのもおこがましいんですが、アイデアとして、昼間出かけている人はどうするのといったら、住所主義というのは、夜そこに帰られるだろうということが前提になっていますので、夜帰られる人には、その帰られる時間に近いときに打ってもらうと。夜、(自宅で)食事をされる方が多いとすれば、食事後も打てますよ等、解消する余地は十分あろうかと思います。現実的に考えた方がいいということだと思います。アイデアだけはこのように言いますが、現実的に現場で考えてもらうとうまくいくと思っています。



【報告】新型コロナウイルス感染症の重症度に応じた対応

《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)



知事:
 この前、毎日新聞社から「中等症の数が多い」と質問がありましたので少し調査しました。で、今日になりました。

 何枚かフリップがありますが、軽症、中等症、重症の区別ということから始めさせていただきます。

 中等症に認定されるのは、ここに書いてありますように、お医者さんが決めるということになりますが、お医者さんが決めるのはどういう基準で決めているのか、「私どもにも言ってくれないと困りますね」ということですので、当然ですけれども。肺炎を伴う状況と書いていますが、結局レントゲンで肺炎像を認めるということが基本です。肺炎像は客観的に分かりますので、肺炎像を認める症状だと。

 そのときに、どのような治療をするのか。中等症の治療は、肺の炎症が起こるわけですから、治療薬を与え炎症を抑えるなどと推察します。必要に応じて酸素投与、これは酸素マスクを当てるということのようです。(重症の治療に用いる)人工呼吸器は、管を中に入れて強制的に酸素を送る。だから重症と中等症はまた随分違うと。私も素人なので、質問があると勉強できるので感謝しています。同じような肺炎症状の延長ではありますが、治療の仕方が随分違う。人工呼吸器、またECMO、炎症を抑えるような治療薬と聞いております。軽症は、レントゲンで肺炎像などの症状がないということです。

 中等症の感染者数の推移ですが、このような状況です。2月2日現在で、今、陽性者の方が295名、重症は4名です。中等症は112名。軽症が179名。だからほとんど中等症だというのは、そうではないということは分かってきています。この中で中等症が増えてきているということは、確かです。

 中等症がどの程度の割合で増えたのかを、このような資料で見てみました。割合としては増えております。中等症が38%にまでなってきた。肺炎症状、肺炎像の症状がある方が増えてきているということになります。肺炎像があったら、臨床的なことは分かりませんが、その量が大きかったり深刻だったりという判断があって、治療されるということになろうかと思います。ほかの症状もあろうかと思いますが、その外形的な状況は、増えてきていることは確かですけれども、まだ4割弱だというご報告です。

 中等症の患者の推移をずっと見てみると、2月2日時点で、中等症の中で、先ほど申し上げましたように酸素を提供する、酸素マスクを与える人と、そうでない中等症とに分けられます。中等症が皆、酸素マスクをするのかというと、そうでもないということが分かりまして、112名のうち酸素投与が必要というのは52名で、酸素投与なし治療、肺炎像がありますが酸素投与なし、私のような素人目で見ると扱いについては軽症と同じではないかという感じがしますが、肺炎像があることで中等症になっているということです。中等症になると、全員が酸素マスクをしているかというと、そうではありません。半分以下だということが分かりましたので、それもご報告申し上げておきます。中等症のご質問がありましたので、このような勉強をさせていただきました。ご質問に感謝を申し上げます。

NHK:
 今お話しいただいた中等症ですが、数は増えてきていますよというお話でしたが、かなり専門的な分析になるのかもしれないですが、なぜ数が増えてきたと今考えていらっしゃるのか。中等症以上が増えることによって医療現場にどういった負担が考えられるか。あるいはそれに対して県としてどういった手を差し伸べなければいけないとお考えでしょうか。

知事:
 適切なご質問ですが、なぜ増えてきたかはまた分析します。関係するのは中等症の年齢かと。重症の方は高齢者が多いということは分かっています。中等症も同じ傾向があるのではないか。今日は多少その議論をしましたけれども、資料として持ってきておりません。次回また持ってきますが、年齢と関係するのではないかと推察はできます。中高年の方が増えてくると肺炎になりやすいという傾向はあるかもしれない。医療は統計だと教えてもらっています。

 中等症患者増加の理由はすぐには分からないですが、統計上はこのように推察できると思いました。高齢者の割合の増加が1つあるかもしれない。割合からすると、高齢者の数が増えたら中等症の数も増えるという関係にあります。しかし、全体の患者数が増えて、若者の数が増えたら、中等症の率が下がるという関係にあるかと思われます。そういった推論のロジックが正しければ、跡はたどれると思っています。それを試してみたいと思います。統計上の判断が一番真実に近いと思います。

 もう一つは、中等症になると酸素マスクをするということになりますが、酸素マスクをするのは人工呼吸器ほど大変ではなく、日頃の通常診療でも酸素マスクは与えられます。酸素マスクの酸素吸入器は大概置いてあるように聞いておりますので、医療として特別の付加的な施設投資ではないように思います。これも確かめます。要はそういうことができる病床があればいいかということですので、結局は病床の確保に還元されることになると思います。

 病床の確保について奈良県は、改めて申し上げますが、自宅療養ゼロを続けておりますので、これを堅持するということで、中等症の病床確保という心配も克服できると思っています。

毎日新聞:
 今の中等症の関係でいうと、余計な手間はかからないかもしれないですけど、入院期間が長くなる傾向にあると。もし分析をされるのであれば、中等症の方の入院期間が大体どれぐらいなのかという事も。聞いている話では2週間以上かかる人もいるということで、その分病床が塞がれてしまうという。

知事:
 それもまた報告します。今まで聞いた知識で、2、3日遅くなるかなと聞いた記憶があります。12日間くらいなのが14日くらいになっていると聞いた記憶がありますが、また改めてまとめて答えさせていただいてもよいかと。中等症の入院、それも統計的に、皆さん(=報道機関)がいつもされているように裏づけを十分取ってご報告するのが一番いいかと思いますので、真似をする心がけで勉強したいと思います。

産経新聞:
 中等症について、先ほど施設的な面での負担はあまりないだろうというお話があったんですが、一方で看護師さんの体制等、人手という面での負担を県がされたりはしないんでしょうか。

知事:
 中等症の観点から病床が足りているか、しかし病床があっても、他の県では多いんだけど、人が足りない。日本の病床は空病床かと揶揄される結果になっております。奈良県では病床というのは看護師も医師もいるのを病床と呼ぶようにしておりますので、空病床というのは、このコロナに対しては、ないと思っています。空き病床というのは、厚労省のキャップ制でいつも空き病床を確保していることが常態になってきているのが日本の医療界ですが、コロナはそんなことをあまりしてはいけないと思います。中等症の病床確保という観点では、病床というのは医師も看護師もいる病床です。奈良県においては、それは確保していますということに今のところは尽きると思います。

産経新聞:
 奈良県では確保病床には全て医師も看護師も手当てができているということなんですが、分かればでいいんですけれども、1病床あるいは看護師さん1人当たりに何病床割り振っているという基準が、県として何かあるんでしょうか。

知事:
 今の確保病床は、運用病床という名前で言っています。今まで確保病床と運用病床の乖離が大きかった。予定と実質とは違うから、実質ベースで統計を出していく。今の他の県でも病床数というのは確保病床じゃおかしいと思います。統一されてないと思いますが、奈良県では運用病床、実質病床を基準にしていきたいと。

 人が足りているかどうかということですが、運用病床に人が足りているかというのは、入院、中等症で扱っているところも、病院の病院ワイズといいますが、病院でどのように手当てするか。これは別の統計が要るんですけれども、今の入院全体からすれば、医大のように50床も60床も確保しているところや、30床ベースのところもあるし、10床ベースもあるし、4床ベースもあるんですよ。それは病院ごとの対応ということで、どれだけの看護師がコロナに対応しているかは病院ごとの対応ということになると思います。

 オペレーションについては、大量にコロナ対応病床を提供してもらっている県立医大は医師、看護師が足りているのかという方がむしろ心配。だから多分、そういう課題が発生するのは大量のコロナ対応病床を持っておられる病院だと思っていいのかなと思いましたが、全部調べられたら調べますけれども、特に大量に受け持っておられる病院は負担が重くなってないかという角度のご質問とも解釈できると思います。その点は今のような感覚で調べたいと思います。

毎日新聞:
 先日の対策本部で出ていた資料で、奈良県の場合は陽性となったら全員入院あるいは入所させるという方針ですが、現実には29人については入院・入所を求めているんだけども、入院・入所せずにそのまま自宅に居続けて、結局退院基準を満たして入院・入所しなかったというデータがあります。ほとんどの方の理由は、ペットを預けられないため自宅に居続けたということなんですが、知事はそのような方に対してどう言いたいですか。

知事:
 質問を予測したわけではありませんが、統計のデータを持ってきました。2月2日現在で、入院・入所拒否が39名おられます。僕は29人と、何かちょっと余計なことを言ったかもしれませんけども、39人です。39人のうち、ペットがいて世話をする必要があるといって入院・入所を拒否された方が8名。感染していない子供などがいて世話をする人がある方が8名。その8名のうち、子供の世話をする必要がある方が7名、1名が高齢の配偶者の世話。それから、家族全員同室での療養を希望された方、療養するなら一緒に入りたいと。これは実は探すと大きな部屋もありますので、そういうのでよければとご案内しようかと思います、それが6名で2組の方、3名ずつ。高齢者の両親1人とご夫婦かもしれませんし、子供1人かもしれません。一緒に療養したいと。想像するに、高齢者の片親がおられて夫婦というようなこと。それで、1人療養されると、一緒に療養したいというような方が6名おられます。それから、閉所恐怖症2名。仕事の都合で行けない1名。付添人を準備できない9名、これは知的障害の方です。それから、入院・入所をしたくない5名。これは理由がそれだけで分からないんですが、39名の内訳です。

 今度、特措法で、入所しないと過料をかけることが国会で決まります。これ、誰が過料をかけるんだというと、知事が判断するんだと。こういう状態で、知事がどう判断するのかと突きつけられた課題があります。それに対しての対処ということになりますが、今の時点で思っていますのは、このような状況ですので、過料をかけるという権限は発生しても、かけるには極めて慎重に対応したい。過料をかけるというやり方については、今でもそのようにはっきりと、いいかと思うぐらいなんですけど、状況を判断しますと、このような人に過料をかけるというのは考えられないと思います。

毎日新聞:
 入院したくないという理由だけの人には。

知事:
 5名の方には、過料をかけるぞと脅かすようなことが、もしかしたらあるかもしれませんが、そのくらいで、他の方にはもっともなご理由があるように感じますので、その方に過料をかけるということはしたくないと思います。

 結局39名の方は自発的療養をされ、回復されたというケースばかりですが、あまりお勧めしませんよと、入っていただけたら入ってくださいというのが望ましいと思います。例えば、ペットがいて世話をする必要があるという方には、実は今、奈良県で宿泊療養にペット可能な部屋を用意しているんです。これは8室あるんですがまだ利用されていませんので、ペットと一緒にいらしてくださいとご案内をしようと思っています。

 それから、家族全員での療養を希望されている方6名、2組おられますが、宿泊療養施設には広い部屋もあるんです。だから家族全員で来ていただいて結構ですよとご案内しようかと思います。

毎日新聞:
 それは全員陽性となった場合ですか。

担当部局:
 全員陽性の場合です。

知事:
 閉所恐怖症はちょっと困りましたね。付添人は、知的障害の方だから入院をこれこそ強要できないし、障害者施設で隔離して、そこに看護師を派遣するというやり方を考えております。それから、お子さんの世話というのもどのように対応するか分かりません。お母さんが陽性になった場合に、お子さんと一緒に住むのは感染させる可能性があるので望ましくないと思います。これは個別対応を研究したいと思います。まだここで、このようにしますという方向性も言えないようなケースだと思っています。

 このように39名から個別に出てくる情報というのは大変貴重です。感染経路や事情を探索するという行政手法をずっと取ってきたから、今このように分かるということです。事ここに至ってくるとだんだん詰まってくるので、このような情報を利用してやるべきことを発見するということを進めたいと思います。

 今申し上げましたように、今行きたくないとおっしゃっていても、そういう状況であるならば行ってもいいよとおっしゃる方も増えてくるかもしれないことを期待いたします。過料は慎重に考えたいということになります。

毎日新聞:
 自宅の療養については、県としてはあくまでも認めていかないと。

知事:
 自宅療養が実質ゼロというのは、このような方以外、1日、2日療養先を決める間は待っていただく方の2つしかありません。全部宿泊療養、または入院にたどり着いています。ずっと続けておりますので、最後までそれを続けたい。行政の一番大きな仕事はそれだと最初から申し上げておりました。それしかなかなか現実にできることは目につかないので、最初から病床確保、入院・宿泊療養施設確保ということを続けており、感染者数が追いかけてきた時もありましたが、辛うじてラッキーなことに、それに常に上乗せをするオペレーションが今までうまくいってきました。急激な上昇がない限り大丈夫だと思います。急激上昇、これはクラスターなんですけれども、急激上昇しない限り大丈夫というオペレーションに現在までなっていますし、これからもそれを堅持するという強い気持ちでオペレーションしたいと思っています。

毎日新聞:
 その39人の細かい内訳はどこに聞いたら分かるんですか。

担当部局:
 今、知事が全てお話しされましたので、私(医療政策局長)、もしくは疾病対策課に問い合わせていただけば回答させていただきます。

知事:
 取材してください。聞いていただいて、また調べます。お互い勉強し合ってという雰囲気、これはとてもいいことだと思っています。



緊急事態宣言の効果について


時事通信:
 緊急事態宣言についてお伺いします。先日の会見で、知事は、効果を見極めた上で、効果があれば同じようなことをしたいとおっしゃっていましたが、今、大阪や東京では若干感染者が減っていると思います。その現状を県としてはどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事:
 緊急事態宣言の効果、狙いはなんだろうかなと思って、国の動きあるいは関係県の動き、発言を聞いておりました。今度解除するにあたって感染症専門家と称する人の意見も聞きますと、病床逼迫が緊急事態宣言の一番大きな理由だとおっしゃっています。僕からすると、病床逼迫(を避けるの)は緊急事態宣言しなくてもしなければいけない話で、緊急事態宣言があるからするわけではありません。病床逼迫を避けるのは知事じゃないですか。知事に向かって緊急事態宣言を出されることに意味があるのかなと思ったぐらいなんです。県民の方や府民の方に病床が逼迫していますよと言う必要は、二次的ですよね。感染者がたくさん出ると病床が逼迫しますよ、という間接的な呼びかけになるように改めて感じました。

 病床逼迫の直接的な原因は、病床の供給が不足していること。これは一次的には知事の責任ですよと。そのことを必死になってやってきた県からすると、そちらに向けられてしかるべき緊急事態宣言だったんだなと改めて思います。それはそれで病床を確保すると思ってもらったらいいだけの話なんで、医療機関を含めてということなんですけれども、その次はマニフェスト的に注意喚起すると。県民の方、住民の方に注意喚起をするという意味があるのか。

 緊急事態宣言という形のご注意を申し上げる、これはどこでもご注意、ほかの県でもやっていますので、アラートと言われるように、知事がやったこともありますし、国がやるのか、知事がやるのか、皆さんがされるのか。アラートというのは、その権威はともかくとして、誰でも注意はしなければいけない状況にあることは確かで、その注意が効かなくなってきていることも確かです。注意に従っていただけるかどうかというような状況になってきている。言ってみれば効果が薄れてきているなという感じがいたします。注意性という部分については効果が薄い。

 もう一つは、営業停止要求と補償、これはリアルな話。例えば飲食店がやり玉に上がっていますけれども、奈良では飲食店でうつされたケースがないから、これは空振りになる可能性があるんですね。飲食店というのは大都市でこそうつる場所になる可能性、それも本当に飲食店でうつっているかどうか分からないと最近言われているぐらいだから、これもちょっと分からないという感じ。緊急事態宣言に対するリアルな観察はとても大事だと思います。私のような観察者というのもあるかもしれないし、皆さん(=報道機関)のような高度な観察者もおられるかもしれないし、国からの観察者も。とにかく菅内閣が一生懸命されていますので、全員協力して収まればいいなと思います。

 コロナウイルスが(緊急事態)宣言すれば効くかというと、コロナウイルス自身には届かない。人間がうつすのを行動抑制で遮断しようという呼びかけであろうかと思います。それがうまくいけばいいなとつくづく思いますが、我々ができることは、うつされた方の病床確保ということにまず一番大きな重きを置くべきじゃないかと改めて思います。緊急事態宣言は国が判断されることですが、県としては、先ほど申し上げましたように、感染されても病床あるいは入院・宿泊療養、そこに入っていただくと自宅で療養されているよりも観察力は上がることは確かですので、そういうサービスを提供することが一番大きな役割かと改めて思います。

時事通信:
 そうしますと、現時点では県としては緊急事態宣言を要請したり、独自の宣言はあまり必要ではないとお考えでしょうか。

知事:
 宣言の効果がこんなにありますよとおっしゃっていただければ耳を傾けて、そちらに口を出しますが、今申し上げましたのは、そこまで効くかなというような感じの論点を申し上げた次第です。またその効果を見極めてというのは、このように効くよということを教えていただき、なるほどなと思ったら、そちらに向かうことはいつでもあります。今、何でも効果のあることには飛びつかなければいかんという状況であろうかと思います。効果のある、なしにかかわらず飛びつくのかというご質問は、ちょっと乱暴かなと思います。

時事通信:
 ありがとうございます。



奈良県選出議員の自由民主党離党について


共同通信:
 田野瀬議員の関係ですが、党を離党されて、県連でも要職を辞任されているようですが、この件について受け止めを率直に伺えればと思います。

知事:
 離党勧告というのは大きな処分だったと思います。田野瀬先生は、有為な方だと思います。したがって、このようなことで処分を受けられることになったのは大変残念に思っています。有為な方なので大変残念に思っているということに尽きるわけであります。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

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