令和3年4月7日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 まず最初に、本日の発表案件が1件ございます。京奈和自転車道につきまして、知事、よろしくお願いします。



【案件】京奈和自転車道の開通について

《資料》01_報道資料

《資料》02_京奈和自転車道がつながりました

《資料》03_世界遺産周遊サイクルルート

《資料》04_サイクリストにやさしい駐車場が始まります


知事:
 今日の発表案件でございますが、京奈和自転車道です。京奈和自動車道ではなく、自転車道が先につながりました。京奈和自転車道という構想はしばらく前からございまして、京都嵐山から木津川市、それから吉野川、五條から和歌山市まで、大河川の堤防を利用して自転車道が走っております。奈良県は、川が西に流れておりますので、縦につなげるのは多少難しかったわけですが、それをつなごうという構想を持ちまして、京奈和自転車道と名づけて整備を進めてまいりました。嵐山から和歌山港まで、全長180キロメートルの自転車道構想でございます。景色も違いますし、なかなか楽しめる自転車道だと思います。その京奈和自転車道が開通いたします。

 資料に書いておりますように、奈良県内は縦に通る。京都に入りますと、嵐山まで斜めに行きます。吉野に入りますと、和歌山港まで吉野川、紀の川を下ります。そのような180キロの長距離自転車道でございます。一つは、完成はもう少しかかるんですけれども、開通のご報告です。

 もう一つは、縦につながるものと違って、ぐるっと回る自転車道、世界遺産周遊サイクルルートと言っておりますが、天理から桜井、あるいは明日香、法隆寺、ぐるっと回れる自転車道の整備を実施しております。今後つながっていくというご報告でございます。

 三つ目は、サイクリストに奈良で楽しんでもらおうということから、駐車場、休息、飲食、あるいはシャワーなどができるサイクリスト駐車場を認定しようかという構想を持っております。そのようなサイクリスト向けの奈良観光というインフラ整備が進んできておりますので、そのご報告になります。以上でございます。

読売新聞:
 今回の自転車道が開通することで、やはり県内の観光や魅力向上につながると知事は考えられていますか。

知事:
 今まで自転車道は、ビワイチと言われる琵琶湖の周遊とか、アワイチと言われる淡路島周遊とか、そのような構想で整備されております。国では東海道自転車道という構想がずっと前からありまして、やっとできてくるような勢いです。日本は山もありますし、山を自転車で越えるのはサイクリストの醍醐味だそうですけれども、普通のサイクリストにとってみれば平地のほうがいいわけです。奈良県は、山の自転車競技は発達といいますか割と人気が高く、ツール・ド・フランスを模したツール・ド・北海道とか、ツール・ド・吉野とか、そういうような競技がございます。ところが、一般の人は、山を登るのはやはり訓練が要りますので、平地のほうがいいと。

 奈良の大和平野中央は、ほとんどが平地ですので、山がないわけです。ただ、川もないので堤防を利用するのは少し難しかった。利用しながら、縦に走るという工夫をしたというので、木津川自転車道とか吉野川、紀の川自転車道と少し違う工夫が要ったと思いますが、景色は抜群ですので、自転車で行くと思わぬところに行くことができます。

 観光の中では、例えば能の発祥の地で世阿弥が最初に能をした結崎座というのがありますが、結崎という地域に面塚という、面が落ちてきたという塚があります。それは川の堤防のそばなので、自転車でないとなかなか面塚まで行けないんですが、私、自転車に乗っていた時期がありまして、そこに行くと、ああ、面塚というのは本で読んだけど、ここだったのかという発見がありました。明日香も自転車で行くとすごく楽しいところになりますので、自転車で現地に行くというのも、そういう志向される人には奈良県は絶好だなと私は思いますが、今まで長距離の自転車道という構想がなかったので、数年前から、京奈和自動車道をもじって京奈和自転車道という構想で、つなげるということをしておりまして、やっとつながったという、私にとってはうれしい報告になります。

 あと、ビワイチとつなげるということを三日月知事とも言っていますが、少し川を渡ったりしないといけませんけれども、180キロを一挙に行けるわけでして、ビワイチは途中ですので、京都へ行ってまた戻るというわけにもいきませんけれども、サイクリストにとってみれば割と面白い近畿の自転車道ということになると思いますので、奈良県の自転車道もその一翼を担わせていただくということになってきたと思っております。

毎日新聞:
 京奈和自転車道という名前を知らなかったんですが、非常に紛らわしいようなネーミングについて少しどうかなと思ったのと、京奈和自転車道というのは通称でしょうか、誰が名づけているんですか。

知事:
 京奈和自転車道というのはまだ通称かもしれませんが、あるいはもう確立したかもしれませんが、実は自民党の二階さんが何年も前に自転車道の会議を東京でされました。私も呼ばれて、彼は東海道自転車道を議員になる前からされておられたので、東海道自転車道に熱心だったんです。そこで奈良も何か自転車道というのを、東海道が走っておりませんので、東海道の延長というわけにはいかないんですが、東海道と匹敵するような街道、嵐山・木津川という京都の自転車道があるのと、きっかけになったのは和歌山県知事が、3県知事会で紀の川に自転車道をつくろうということを発表されまして、吉野川も付き合わないかという話がありました。では、吉野川もお付き合いして、吉野川・紀の川自転車道、五條から和歌山港までというように発想が一つ生まれたんですが、その際に二階さんの自転車道会議において、京奈和自転車道というものを結ぶという発想をその場でしたわけです。

 だから京奈和自転車道という発想は奈良県が真ん中にありますので、奈良県の発想ですが、その周りを見てみますと、アワイチとかビワイチとか、あるいは東海道自転車道というのがあります。それと京奈和自動車道がなかなかできませんので、自転車道の方が早くできるかなということもありました。京奈和自動車道は嵐山まで行けませんが、自転車道が嵐山までつながっているんですよね。これすごいです。それとコネクトというか、連結というのはインフラの基本的発想ですので、嵐山から和歌山港までというのが一つの、自転車インフラの整備という発想です。

奈良テレビ:
 先ほどビワイチとかアワイチの話も出ましたが、これはビワイチと並ぶような自転車サイクリストに向けた観光振興であるのかということ、また、ビワイチと連結させるようなお話が出てきましたが、詳しく決まっていることがあれば教えていただきたく思います。

知事:
 ビワイチ、アワイチはもう確立した大きな人気のある自転車道ですので、並ぶという意識は、新参であり、またそのような意識で並ぼうというのでつくったわけではございません。並んでくればそれはありがたいことですけれどもという程度です。

 もう一つは、ビワイチとアワイチというのはなかなか結びつかないですが、京奈和自転車道があるとビワイチと、ビワイチから和歌山港まで行くというのは一つの発想ですけれども、淀川だから大阪湾には行くけど、和歌山港までなかなか行かないので、ビワイチを回って木津川辺りまで、木津川があって、宇治川があって。例えばビワイチから回ると宇治川があります。宇治川から回ると木津川と交差しているところがあるんですよね。そこには京奈和自転車道が来ていますので、ラフな構想としては、ビワイチで宇治川を下って木津川を遡る。ここを短絡するルートはまだないですが、三日月知事とは、ビワイチと京奈和自転車道の構想を話しましたら、結びつけようということをおっしゃいましたので、そのようなことも、宇治川、木津川、それから佐保川、大和川堤防、寺川堤防、吉野川、紀の川堤防で結びつくということは、割と早く可能だと。少し回りますけれども、宇治川で木津川との合流まで行くということは、琵琶湖から嵐山まで行けるということでもありますので、一つの大規模な自転車道構想ということにもなろうかと思います。

 三日月知事にはそういう発想がおありですので、結びつけるという点では一つのパーツになる可能性は高くなった。木津川自転車道は京都府がずっと前にされてますので、ビワイチ・木津川自転車道というのはあると思います。そこに一翼を、中継ぎをさせてもらうと和歌山港まで琵琶湖から行けますよというような連結パターンになればと願っています。


質疑応答

型コロナウイルス感染症拡大への対応について

NHK:
 新型コロナウイルス蔓延防止等重点措置について伺います。昨日の国会答弁で西村大臣が、感染が増えている地域については、機動的にこの措置を追加していきたいというような趣旨の答弁をされた中で、増えている地域の一つとして奈良県も例示しました。知事としては、現時点で奈良県内の感染類型を踏まえた場合、蔓延防止等重点措置の適用を要請するかどうか、その必要性についてどのようにお考えでしょうか。

知事:
 昨日の会見ですか。早速鋭い。当然だと思いますけれども、西村大臣のご見解は承知しています。多少ご連絡があったんですが、西村大臣がおっしゃった中で、多分奈良県のこともおっしゃったんですね。奈良県は大阪での感染が多いと聞いているので、大阪の蔓延防止は効くと思うが、奈良での蔓延防止が必要かどうかはこれからの判断だというようなことをおっしゃったと聞いております。今朝仕入れたんですが、西村大臣の会見から引用されましたので、付け加えますが、別途、奈良県の場合は、大きな繁華街があるというよりは大阪との関連で、往来は生活圏で通勤・通学があり、どういう対策が講じられるか県と連携して対応したいとおっしゃっています。これは奈良県の我々の立場をよく理解されていると思います。

 今度の感染増加の原因を探っておりますと、前から多かったんですけど、大阪で感染された方がさらに増えているといった傾向が見られます。大阪での感染は、若者が多くなっている傾向です。奈良のケースですと、若者は大阪に行って飲食をされるのが日常になっているということから推察されます。奈良に来られない、その反映ですが、蔓延防止重点措置の大きな施策は、飲食の時短・自粛・短縮だと思いますが、奈良でうつされるというよりも、大阪でうつされるケースが奈良の典型的なケースですので、こちらからもウェブの知事会でも申し上げましたが、奈良はどちらかというと特殊な例なので、あまり知事会では注目はしてもらえませんでしたけれども、西村大臣はよく捉えておられるなと一つ安心しました。それを踏まえて奈良県の飲食店における時短を中心とした蔓延防止重点措置の是非というご質問にもなろうかと思いますが、メインは、例えば若者が大阪に行って飲食で感染されて帰ってきて、家庭でうつす、あるいは仲間にうつす、クラスターになるというようなケースが典型的な例です。それが今度はもう一つ変異ウイルスが絡んでくる。変異ウイルスは感染力が高いと言われておりますので、それで広がっているというのが一つの推測のパターンです。そうしますと、奈良県内での飲食を抑制するというのは少し違うように感じられます。一番大事なメインの波を防止するというのは、大阪での飲食を何とかやめてほしいというのが一番の対策になる。

 2つ目は、割と難しいんですが、家庭内での感染を防止する手を何とか打てないか。家庭内で感染される家庭とされない家庭が分かれてきています。感染されないのには、注意が要って努力が要りますのでなかなか大変だということがメインの対応になります。

 蔓延防止重点措置を適用するというのは、そこから少し劣後的、離れた対策になると思います。それをやったから、この増嵩を抑えられるというわけではないと思っております。

NHK:
 そうしますと、奈良県としては、この措置の適用をというよりは、大阪への往来といいますか、そちらの方に力点を置いた対策、呼びかけをしていくお考えということですか。

知事:
 そういうことです。「よりは」とおっしゃったのは大変いい表現だと思います。比較の話ですので、大事なのは、この統計を見ると大阪での若者の飲食感染がメインになってきていると。一次感染というのは最初にうつされて持ち帰った人ですが、奈良県にとって持ち帰った人の4分の3は大阪での感染なんです。行って感染された方、それがずっともう高止まりで減ってこないんです。二次感染が増えていますが、二次感染は家庭とクラスター、そのような構造です。メインはそのような構造を阻止するというのが一番の対策です。

 そういたしますと、大阪での蔓延防止重点措置というのは、効果があると助かるなということになります。さらに、大阪のどこに行ったら困るのかということを具体的に言えばいいなと。例えば大阪のここは安全ですよ、と。大阪に通勤しないでとは言えませんので、するとついでに飲食されて、うつされて帰ってこられる方が奈良県にはわんさとおられます。それを何とか防止したいなと思ってずっときております。行っても大丈夫な飲食店と、ややリスクの高い飲食店とを分けるということを、蔓延防止措置の延長でされると大変ありがたいと思います。リスクの高いところに、例えばここは大丈夫だというマークが貼られていると、それが認証とされる、山梨方式と言われているような方式です。県がそのようなことを調査して、飲食店の中で防止されるとリスクがすごく減るということが分かっています。飲食店でもこのようなことをするとリスクが減りますよと。それをちゃんとやっているかどうか、県が責任持って見ましょうということを山梨県がされております。東京都がされてないという話なんですが、自主申告ではなく客観認定をするという動きがあれば、奈良県でもそのような、大丈夫な飲食店を認定するという動きには乗っていきたいなと思っています。

NHK:
 今のは、つまり奈良県内の飲食店でもそういう認定の制度を導入したいという。

知事:
 もしそういう動きになればですね。山梨県はされておりますが、山梨県はやっぱり飲食、繁華街があって、そこを防止しようという策であったと思います。奈良県は、そういう飲食繁華街でうつっているという実例が少ないので、やる必要性は低かった。ないとは言えませんが、低かったと。申告の類型調査では、奈良県のこの飲食店でうつしたというところまで分かっているケースはまだないので、どこでうつったから、ここを時短してくださいというほどの証拠がないというのが奈良の実情です。

 山梨県は、多分そういう飲食店があって、そこを抑えると安心して飲食店に行けるということを山梨方式とされているので、それを例えば大阪でされますと、大阪に行っているけども、認定された飲食店へはお勧めだけど、そうでないところには行かないようにと、あるいは同じことを奈良でできないかと言われたら、奈良でもしてもいいかなという状況です。これから急激にそのような方向の話が進む可能性がありますので、蔓延防止重点措置の変異株という形で進展するパターンとして進むことがありましたら、奈良県でもそのようなことに乗っていきたいなとは思っております。

NHK:
 今、具体的に例えば大阪府などと連携して、周辺何県かでそういう飲食店の、監視といいますか、認定といいますか、そういう仕組みづくりしていこうという議論は何か始まっているということですか。

知事:
 それは国の音頭ということになりますので、奈良からイニシアチブを取っているわけではございません。西村大臣が蔓延防止適用の中で、必要に応じて重点措置の適用と言っておられますので。その中で今みたいな考え方が入ってくる可能性があるのかなと予測をしております。

 それを踏まえて、奈良県もそういう方向であれば、一つには、大阪で山梨方式が適用されるのには歓迎ですよと今初めて申し上げられると思います。そのような措置を国が音頭をとられますと、奈良県もそれに同調する用意はしたいと、今日初めて申し上げる次第でございます。

関西テレビ:
 昨日、一昨日と感染者数が最多を更新しましたが、それに対する受け止めと、現状なぜ増えてしまったのかということをお聞かせいただけたらと思います。

知事:
 増加しております。当然ですけれども、心配をしております。一層気を引き締めて対応していきたいと改めて思います。明日、対策会議を開きたいと思います。今までの情勢分析と今後の対応について対策会議を開いて、議会にもその報告をしていきたいと思っております。

 そのような中での方向性、今の対応ですが、増嵩の最高を取った、最高の数値が出たということで、原因の分析、要因の分析をしております。先ほど申し上げましたように、大阪由来というのが、従来もありましたが、より多く見受けられるようになったというのが注目点の一つであります。それと、若者が増えてきている。高齢者が大阪に行ってうつされるというケースは、奈良県の場合はほとんどない。一次感染の4分の3が大阪でうつされて帰ってこられる方ということは、従来からもそうでありましたが、それが定着してきたということを奈良県の人にも意識していただきたいと思っています。

 もう一つは、変異株の存在です。変異株は、検体をどんどん増やしております。大阪でも増やしておられますけれども、変異株は感染力が強いと言われておりますので、感染力の強い変異株が大阪で増えると、奈良もその変異株を持って帰られる方が増えているということが推察されて、ある程度そういう傾向がエビデンスとして出ております。変異株の猛威という面もあろうかと思います。そのようなことが一番の原因ですので、3割の方が大阪に勤務されておりますので、行かないようにとは言えないんですが、奈良の生活文化として、大阪で飲食するという文化が定着しています。その反映として、奈良で飲食の場が少ないとか、行く場所がないということになっておりますが、この際、大阪での飲食は控えていただけたら、この増嵩はある程度抑制できるとはっきり申し上げられるぐらいの証拠が出ておりますので、この増嵩に当たりましては、明日そのようなことを申し上げたいなと思っています。

関西テレビ:
 ありがとうございます。続いて、例えばその大阪との往復ということを考えると、テレワークとか、奈良県内で完結する仕事であったり、そういうことを推進するようなお考えはありますか。

知事:
 コロナの関係でのテレワークというと、職場の感染の抑止につながると思います。奈良の立場から見てみますと、大阪での職場感染というのは割合としては少ないんですね。大阪での飲食感染が圧倒的なんです。だからテレワークだけやっていれば減るかというと、減ることは減ると思いますけれども、テレワークはするけれど大阪には遊びに行くんだ、飲み食いに行くんだって、これでは減らないですね。職場には行かないけれど繁華街に行くんだということであれば減らないということを、端的に申し上げたいということなんです。

 奈良の飲食を抑制すると、先ほどのNHKさんのご指摘についても、それだけではいかないということはエビデンスでありますので、メインは大阪での飲食、若者の飲食での感染に、従来からなってきているということで、持って帰られるのをぜひとも抑止したいと思います。テレワークはそれには効かないと思います。大阪に働きに行かなければ、ついでに寄っていたあの飲み屋には行かないというんだったらいいんですが、それは何割か減るということであります。テレワークのメインのターゲットではないように思います。

 テレワークも、この際、増やしていきたいと思いますが、他の地域でもそうだと思いますけれども、蔓延防止重点措置は職場の対策よりも飲食店の対策のようですよね。それは増嵩しているところが沖縄とか、西村大臣が言われた愛媛、これは松山だと思いますが、京都、山形は仙台との往来で奈良と似たようなところがあるんじゃないかなと思いますけれども、そのようなうつされ方の傾向をやっと国でも分析し始めていただいたかと喜んでいます。

関西テレビ:
 最後に、県民への呼びかけとしては、どのようなことを。

知事:
 そうですね、今、大分言いましたけれども、明日の対策会議でできるだけ知恵を絞って、分かっていただくように呼びかけられたらと思います。今日申し上げましたのは、呼びかけ風にしゃべっているところはありますけれども、やはりエビデンスを基にして、何を根拠に言っているのかということをできるだけ明確にして言いたいと思います。増加した原因はA、B、Cと、こうあると思いますが、やはり一番多いA、B、Cを中心に呼びかけていきたいと思っています。その順番からすれば、大阪での若者の飲食感染、行って、うつされて帰ってくる。その次は二次感染になるんですが、家庭での感染、それから3つ目がクラスター感染ということになります。

 クラスターは、一度感染した職場ではあまり発生している実例はないんですね。だからそのケースは幾つも出てきますが、同じ場所で二度と発生することはないんです。ところが、飲食は知らない間に同じことをやっているとそこで、証拠はないですけれども、感染しているかもしれないということが想定されます。

 今、適切な推定というのがとても大事な仕事かと思っておりますので、呼びかけの内容は、そうだなと分かってもらえるような呼びかけをしたいと思っております。それと、やはり日常生活を大事にしていただくことがとても大切なことです。それと調和のとれた呼びかけをさせていただきたいと思っています。明日の会議でうまく呼びかけられるか、知恵を絞っていきたいと思っております。今日大分しゃべらせていただきましたが、その延長のような形にはなろうかと思います。

 
時事通信:
 先日、県庁内でクラスターが発生したかと思うんですが、それについての受け止めと、テレワークなど含めて職員の働き方をどのように対策をしていくのか、お願いできますか。

知事:
 県庁内でクラスターが発生いたしました。大変申し訳なく思っています。これだけクラスターも含めて、コロナ対策をお願いしている立場でございます。それで県庁内クラスターの発生の要因を調べています。3階で発生したわけですが、これも推定になりますけれども、うつってきた職員の方が中で勤務された、職場感染の一つの例でございます。大体ずっと、職場でマスクはしておられたので、マスクを外して感染したということではなさそうです。

 では、どこで感染したのだろうかということですが、推定できる原因は幾つかあるんですけれども、食事の時はマスク外してされますので、その時に前に人がいて感染したのではないかというふうにも推定できます。これは見えないことですので推定の連続でございます。もう一つは、いろんな備品やいろんなところを触っていると、そこからうつる。トイレに行って手洗いの場所の他を触ってというようなことも推定できますが、そのような推定原因を今探って、推定される原因が3つでも4つでもあれば、全部その防止をするようにしております。そのうちの1つで広がったということであっても、3つ、4つの推定原因を防止することによって、次の職場クラスターの発生を防ぐことができるので、推定原因を探ってそれを全部適用するという手法を取っております。

 それと、それより前に、当面のこととしてどれだけ感染が広がったかをPCR検査で進めております。PCR検査では、現在、3階を中心に37名の感染だと報告を受けております。奈良県職員は、3階のフロアに約300名おられますが、約300名にPCR検査を実施して、19名の感染者ということですので、1割弱。約300名のうち20名程度の陽性率ということになります。職場感染の例ですので、その対策は、推定の原因を含めて感染対策の徹底ということで、4月6日付で総務部から感染の防止の徹底のペーパーを出させていただきました。その中に、ご質問にありましたテレワークも入っておりますが、まず接触の機会を減らすという、短時間でその接触を行う機会を終えるように。それから時差出勤、テレワークなども進めるように。テレワークだけで収まるというわけでもないので、あらゆる推定原因を防ごうということでございます。会議をする場合、うつらないようにしようと。普通ならマスクしたままの会議になろうかと思います。

 それから、備品、部品などの消毒は徹底しよう。それから、職員自身はあまり神経質になり過ぎてメンタルが損なわれるといけませんので、日常生活を維持するような工夫をしてもらう。それから、今回はそういうことではなかったですが、職場の感染であって、飲食、宴会があったというケースではない。それは調べて分かっておりますが、そういうことでうつすことのないようにということも付け加えて注意をしております。広く注意をして、クラスターは徹底すればそこで二度と発生しないというのはいろんなケースでございますので、奈良県庁でも二度と発生しないように徹底できたらと願っております。

毎日新聞:
 基本的なことですが、知事は今現在の状況を第四波だと捉えておられますか。

知事:
 奈良県のことばかり申し上げておりました。全国の感染状況も全部が見えているわけではありませんので、それを踏まえてということになりますが、波の形が大体皆同じなんですよね、日本の波の形。その中で、今までは東京、関東が高かったんですが、今、大阪中心に関西が高くなった。これはどういうわけかと思います。関東は下がってきて、関西は上がったてきた。全国第四波と言うのか、関西第四波と言うのかというようなことを、厳密に凝る必要はないんですけれども、第四波と言うということにすると、どこの第四波かということにまでなりますので、私はそこまではっきりと言う資格といいますか、能力はないように思ってます。しかし、その波の高さや、波が上がってくるということについてはずっと注視、注意をしています。

 また奈良県の話に戻りますけれども、大阪の波と奈良県の波とは、全く同調しているんですね。明日それはお話ししますけれども、奈良の波を10倍すると大阪の波とぴったりなんですよね。どういうわけかなと。日を合わせてぴったりなんです。例えば大阪で500名感染した日は、奈良は50名とか40名とか、大阪が300名だったら奈良は30名、同じ日に1割だけ発生する、波がぴったりなんですね。ですから、大阪との同調性が強いと判断できるわけなんです。最初からそういう波があります。

 すると、先ほど申し上げました大阪ゆかりということについて、ミクロの経路分析からも同じようなことが言えるということです。奈良の場合は、ということになりますが。

 全国の場合は、コロナは物理的な感染ですので、鳥のように空を飛んで行くわけではありませんが、人が接触すると、人から人へうつっていくということですので、物理的に昔の江戸時代のように移動制限があるとこんなに絶対うつらない病原菌だと思いますが、このように移動が容易になった結果、うつった。すると、移動が頻繁なところは、うつる速度も速いということは観察できます。

 宮城でも、沖縄でも、北海道でも移動がある。それが飲食を伴う移動であればより広がっていると観察をいたします。すると、それが波の形になって、第四波と表現されるわけです。その感染の原因をたどってみると、結果的に第四波になるんですが、原因はそのうつり方が一番大事なので、往来の頻繁なところ、夜間に札幌まで飲みに行くと、そこでうつる確率が上がっていくということが一時ありました。沖縄も同じことかなと推察しております。

 奈良に来て飲む人が少ないから、奈良での飲食感染は少ないという結果になっている。ところが、大阪に行って飲む人が多いから、大阪でうつされて帰ってくる人が多いというふうにも観察ができるわけで、推察にまだすぎないかもしれませんが、相当程度、もうそのデータは出ていると思います。それが結果的に波になっていると。波があるから溺れるのではなく、溺れる人が多いから波ができるというようなことだと思います。

毎日新聞:
 では状況的には、奈良の状況も第四波に入っていると。

知事:
 私が言うよりも、そういうことだと言う人がいれば、そうかもしれないという程度です。大事なのは、原因を究明して、それを絶つというのが私どもの最大の仕事です。第四波だの、第五波だのと言っていたらコロナ感染者数が減ってくれるわけじゃない。まして、知事や市長がそんなこと言ったって、分かったとコロナが言ってくれるわけじゃないと思っています。何が原因かということをはっきりさせて、まだ分からないところも多いんですが、それを絶つようにできる限りの努力をするのが私どもの役目だと思っています。

毎日新聞:
 奈良県では感染者は基本的に全員入院させる、あるいは宿泊療養させるというスタンスを貫いています。今、病床の使用率は58%、ホテルの療養施設の使用率は80%を超えています。変異株の感染者が増えれば、変異株感染者はやはり退院するまでに時間がかかるということで、今後医療体制の逼迫が懸念されると考えています。

 宿泊療養施設を増やすという方針でしたが、これは増える可能性はあるのか、また、病床を増やしていこうという考えは、今、知事にあるのかどうか。お願いします。

知事:
 とても大事な点です。受入れ体制で、自宅待機はさせないということを最大の目標にしています。今までは一人も出ていない。二、三日、自宅で待機することはありますが、それは自宅療養ではなく待機だと定義づけております。今おっしゃいましたように医療体制と宿泊療養施設の占有率が上がってきています。それでも自宅療養はさせないということを堅持したいと改めて思いますので、そうしますと宿泊療養施設の増加、入院病床の増加は必要になると思っています。今、入院病床数の増加と宿泊療養施設の増加を働きかけています。特に軽症が多く、宿泊療養施設の占有率がアップしていますので、宿泊療養施設の働きかけをして、4月中には新たな宿泊療養施設の確保の見込みはついているというところまで報告を受けています。

 いつからサービスを開始できるのか。4月中・下旬と報告を受けております。ですから、宿泊療養施設数は増やすということでほぼ固まってきたというご報告を明日にでもしようかと思っていたんですが、ご質問がありましたので、今日時点でご報告します。

 それから、入院病床の数についても、今、相当の病院で受け入れていただいている状況ですけれども、入院病床の占有率が5割を超えています。まだ少し余裕があるんですが、やはり変異株の感染力が強いと、一時にすごく伸びる。感染力が弱いと伸び方も緩やかで、退院される人があると病床も収まっていくという傾向です。急に増えると水が桶を越えてしまうので、入院病床を増やしていきたいと、今受け入れていただいている病院に、増床していただくように働きかけています。これは病院のこれからの対応ということになりますけれども、幾らかでも入院病床数が増えることを期待しています。これはまだ4月中に幾らという目処までは立っておりません。目処が立てば、またご報告したいと思います。



東京2020オリンピック聖火リレーの実施について

毎日新聞:
 聖火リレーについて、お隣の大阪が感染者がとても増えているということで、知事の独断で、大阪市については中止をしたいという判断をされたようです。この判断についてどう思うかということが1つと、奈良県でも感染者が増えていますが、聖火リレーについては、予定どおり実施されたい意向ですか。

知事:
 聖火は大阪を回ってこないんだから。奈良で動くんだから。大都市で気にされているのは沿道が混んだりということです。大阪でも、大阪市ではやめたいという意向だと聞いておりますので、ということは大阪市以外では聖火リレーをやるかもしれないと聞いております。その外にある奈良県も、その理論でいけば離れているので、蔓延している地域を避ければいいのではないかと思います。奈良県の中で、うちの市は蔓延しているから通ってくれるなという市があれば考慮しますが、今のところそういう声は来ていません。沿道が混むような地域だと心配ですが、そういうことは奈良はまだない。聖火リレーのためにコロナの感染が大幅に増えるということを心配はしていますが、そんな傾向はまだ見受けられない状況ですので、実行させていただきたいと思っています。

産経新聞:
 今、沿道が混むような地域があれば考慮するというお話だったんですが、例えば沿道に集まらないように、ですとか、自宅で中継・配信を見てください、というような呼びかけをするお考えはありますか。

知事:
 そのようにさせていただいています。あまりうつらないような配慮を、主催者としても、主催者側にも見物される方にも、していただくように配慮しているところでございます。4月11、12日が奈良県の聖火リレーの受持ちですので、当然そのような配慮をしながら、実施していきたいと思っています。聖火リレーで田舎を走ること自体で、そんなにうつるような感じはしないんですけれども、念には念を入れて、用心をしていきたいと思っています。

 先ほどのご質問とも関連しますが、コロナで聖火リレーをやめるのか、東京オリンピックが怖いから聖火リレーをやめるのかという論議もありましたが、地方の聖火リレーの実行というのは、東京オリンピックが怖いというのとは、また別の話かと思います。東京オリンピックの実行については、できるだけ配慮をしてオリンピックを実行していただければと私は思っていますので、今の奈良県が協力する分野はほとんどありませんけれども、聖火リレーでは協力をしていきたいと思っています。

司会:
 その他にご質問いかがでしょうか。幹事社さんもよろしいでしょうか。
 それでは、本日の知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

       
(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

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