新型コロナウイルス感染症対策 正しい情報に基づいて正しく対処
奈良県緊急対処措置経過報告9.7
令和3年9月7日 知事定例記者会見
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目次
1.対処を正しく行う基本的姿勢に則り、正しく対処
2.重症者や死亡者を減らす医療提供体制の確保
3.感染のリスクを下げる正しい感染防止対処方法
4.ワクチン接種を早く進めて、重症化阻止と感染予防を図る
・感染症対策の基本となる疫学は、統計に基づいています。疫学の基礎になる数字にいつも注目しましょう。
・感染症のリスクをゼロにするのは難しいことですが、科学的判断に基づいてリスクを下げる行動をとることは大事です。どういう行動がよりリスクを下げるのかに注意しましょう。
・屋外で人と十分な距離(2m以上)をとっていれば、飛沫感染のリスクは低いことが分かってきました。熱中症リスクのある場合、屋外でのマスクの着脱を考慮しましょう。
・クラスターの経験により、どうすれば起きなかったのかが分かってきています。クラスター経験をクラスターの予防に結びつけましょう。
専門的知識に基づいた正しい情報から学び、合理的根拠に基づいて行動する |
・ワクチン接種が進めば、重症者、感染者は減ってきています。重症化予防中心の高齢者の接種に続き、全年代でのワクチン接種を進めましょう。
・大阪における感染状況との連動性に着目し、大阪との往来においては、常に、「マスクを外した1~2m以内の対面には特に注意しましょう」(感染リスクが相当下がります)。
・「マスク」に加え、「換気」そして「消毒」まですれば、「感染リスクを相当程度下げる」ことができ、「通常生活の維持が可能」になります。
・笠原先生監修の「感染リスクを下げる正しい感染防止対処方法」を参考にしましょう。
・過度な対処を強いないように、また不適切な対処は避けるようにしましょう。
過度な対処は長続きしません。また、効果がないことが分かれば、そのような対処は続けないようにしましょう。
・感染症との戦いは、通常、長く続く戦いです。戦いの力を持続させるために、できるだけ日常生活を維持しながら対処しましょう。
(1)重症者や死亡者を減らすことが医療提供体制の最大の目標です
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新型コロナウイルス感染症対策において最も大事なことは、重症者や死亡者を減らすことです。
そのためには、医療提供体制の充実が不可欠です。
感染者全員の入院・宿泊療養を基本とし、自宅での入院・入所待機者や自宅療養者の健康管理、応急処置に万全を図ってまいります。
(1)-① 感染者に占める死亡者の割合は、概ね全国平均を下回る状況を維持しています。
引き続き、死亡者数に注目し、死亡者を増やさないよう取組を進めます。
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(1)-② 重症者の状況の各県比較は難しい状況です。(厚生労働省の統計には、入院されている者のうちの重症者数のみが反映されているため)
一つの試みとして、厚生労働省の公表資料をもとに、その時点における療養者に占める重症者の推移を比較しました。
重症者の分析を進めるため、国における全国ベースでのデータの公表を望みます。 |
重症対応病床は最後の砦です。必要な重症対応病床を確保します。 |
現在、重症対応病床34床を確保・維持しています。
これまで、奈良県では、全ての重症患者を重症対応病床で治療することができています。
引き続き、重症者を充分手当する体制を堅持します。
第4波に比べ、第5波の重症者の波が低いのは、高齢者に対するワクチン接種が進んだことが要因の一つと考えています。
引き続き、重症者数の動向とその要因に注目していきます。 |
宿泊療養施設入所者、入院・入所待機者、自宅療養者に対して、重症化予防を徹底します。 |
a 医師・看護師を確保しています。
b 患者の健康状態の確認を徹底しています。
c 体調急変(悪化)時に対応できる体制を構築しています。
d 酸素の投与を可能にしています。
○ 医師(オンコールを含めて24時間対応)
<主な業務内容>
・電話による診察
・夜間のオンコール対応
・症状悪化時の入院の必要性・緊急性の判断
・酸素投与の指示ほか
○ 看護師(各施設に複数名が24時間常駐)
<主な業務内容>
・電話による患者の健康観察
・健康相談(随時)
・入院が必要な患者の医療機関への搬送依頼
・酸素投与 ほか
○ 宿泊療養施設に常駐する看護師が、
1日に2回(朝・夜)、電話で健康状態を確認し、医師と情報を共有
○ 患者の状態に応じて、看護師が医師と連携し、医療機関に救急受入を依頼
○ 宿泊療養施設に留まる場合には、薬(常備薬)の提供や看護師による健康状態の追加確認を実施
○ 5月2日に、奈良県総合医療センター内に臨時の応急医療施設を設置
○ 体調急変(悪化)時には、入院までの間、必要に応じて、宿泊療養施設で一時的に酸素を投与
〔(3)‐②〕入院・入所待機者、自宅療養者に対しては、 |
a パルスオキシメーターの貸出をしています。
b 保健所の保健師等が健康観察を行っています。
c 看護師による電話相談窓口を設置しています。
d 市町村による生活支援を案内しています。
e 自宅等での健康状態の確認方法や過ごし方をリーフレットにまとめ配付します。
f 体調急変(悪化)時に対応できる体制を構築しています。
○ 入院・入所待機者、自宅療養者に、パルスオキシメーター(※)を貸し出しています。
これにより、自宅で肺の機能を評価できるようになります。
※指先に装着し、血中の酸素飽和濃度を測定する機器
○ ICT(MY HER-SYS)を活用した健康状態の確認
○ 電話による健康状態の聞き取り
○ 毎日夜間(17時15分~翌8時30分) ※昼間は保健所に直接相談
○ 8月1日~31日の相談件数300件
うち医療機関を案内した件数57件
市町村による生活支援の内容は、「買い物代行」、「医薬品の受取代行」、「マスク、パルスオキシメーター、食料品の配布」などです。
入院・入所待機者、自宅療養者に対しては、保健所への健康相談に加えて、市町村担当課での生活支援のご相談を案内しています。 |
e 健康状態の確認方法や過ごし方をまとめたリーフレットの配布 |
○ 緊急性の高い症状(表情・外見、息苦しさ、意識障害など)をまとめ、症状に該当する場合の連絡先を案内
○ 同居家族等がおられる場合の自宅等での過ごし方を記載
○ 自宅等で症状が悪化した場合に対応できるよう、新型コロナ対応病院が救急搬送に対応する仕組みを構築
○ 5月2日に、奈良県総合医療センター内に臨時の応急医療施設を設置
本日(9月7日)より、新たに1病院が新型コロナ対応病院となり、2床の運用を開始します。
引き続き、入院病床の確保に努めます。
456床(9月7日現在)
新型コロナ対応入院病床456床/ 一般病床10,712床 = 4.26% (全国22位) |
第5波の占有率の山は、第4波の時と同じような状況となってきています。 |
○ 妊婦や子どもに対応できる新型コロナ対応病院を確保
※これまで妊婦は全て入院していただいています
b 中和抗体薬(ロナプリーブ)の治療を受けられる体制の強化 |
○ 20の新型コロナ対応病院(9月1日時点)でロナプリーブを投与
○ 投与体制を強化するため、現在、関係医療機関と協議中
c 新型コロナ対応病院での入院治療後の患者を受け入れる一般病床の確保 |
○ 新型コロナの症状が軽快した患者や、新型コロナは治癒したもののリハビリ等の医療提供が必要な患者を受け入れる後方支援病院を確保
(4)-④ 入院病床の確保状況
[都道府県の新型コロナ対応病床への転換率の比較] |
9月10日より、「スーパーホテル奈良・大和郡山」で、新たに81室の運用を開始します。
さらに、複数の宿泊施設と調整中です。
711室(6施設) → 792室(7施設)
新型コロナ対応宿泊療養室792室/ 旅館・ホテル客室9,735室 = 8.14% (全国2位) |
(5)-③ 宿泊療養室の確保状況
[都道府県の新型コロナ対応宿泊療養室への転換率の比較] |
(6) 病床、宿泊療養施設と自宅療養等の者との関係 |
奈良県では病床や宿泊療養施設の収容力のオーバーフローの状況に注視しています。 |
8月25日時点で、奈良県では当該時点での感染者のうち約5割の方が自宅待機または自宅療養されています。奈良県では自宅療養者実質ゼロを目指し、この割合が下がるよう引き続き取り組みを進めてまいります。 |
(6)-② 入院・入所待機中、自宅療養中の者の内訳 |
(7) 学校、放課後児童クラブ、保育所等での検査体制強化 |
○ 学校等
登校後、体調の変調を来した場合であって、医療機関を直ちに受診できない場合等においても早期に陽性者を発見できるよう、文部科学省より「抗原簡易キット」を配布
・県立学校および総合寄宿舎については、県教育委員会を通じて配布予定
市町村立幼稚園・小・中・高等学校については、各市町村教育委員会を通じて配布予定
・私立学校についても、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専修学校へ配布予定
○ 放課後児童クラブ・保育所等
・早期に陽性者を発見し、感染拡大を防止するため、厚生労働省から放課後児童クラブ(学童保育所)・保育所等職員向けの「抗原簡易キット」が施設に配布予定
現在、市町村を通じて把握した、各施設等の配布希望を厚生労働省へ報告済
○ 保健所の体制強化
・本庁や感染者が比較的少ない保健所等に属する保健師による応援
・保健師が担当する業務を絞り込み、
保健所や福祉医療部内の他職種による応援を投入
国のシステム(HER-SYS)への報告データの入力・感染者の入所調整等
・外部委託の導入
感染者搬送・パルスオキシメーターの配送等
・感染者情報データベースシステムの開発
・看護師等の新規採用(募集中)
○ 本庁他部局からの動員
現下の急激な感染拡大の情勢に鑑み、他部局からの動員により体制をさらに強化
応援人数:10名(郡山保健所4名、中和保健所6名)
業務内容:疫学調査・宿泊療養施設等入所対応業務、検体搬送業務、接触者検査補助業務等
対応期間:8月27日~10月28日(予定)
○ 入院・入所待機者や自宅療養者への健康観察を充実させるため、往診やオンライン診療について医師会と協議を進めています。
監修
奈良県立医科大学附属病院感染症センター笠原センター長
(1) 専門的知識に基づいた正しい情報から学び、合理的根拠に基づいて行動する |
科学的に見ても、以下の対策は重要です
換気 |
換気により、ウイルスを含んだマイクロ飛沫を除去することで、エアロゾル感染を防ぎます。 |
マスク |
マスクには、飛沫抑制のほか、汚れた手で鼻や口をさわらないなど、複合的な感染防止効果があります。
特に、不織布マスクは有効とされています。
|
消毒 |
デルタ株は少量のウイルスでも感染することから、物品、ドアノブなどを介して感染することを防ぎます。
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距離 |
飛沫が届かない2m以上の距離を確保しましょう。
(または、マスクを着用のうえ対面にならず、換気が充分であれば、飛沫感染を防止できます。) |
ウイルス対策において、 マスクはもっとも大事です
マスクを正しく着けると、
飛沫が出ない → ① 飛沫感染が起きない
物や環境も汚染しにくい → ② 接触感染が起きない
エアロゾルも少ない → ③ エアロゾル感染も起きない
接触感染の防止にも → ④ マスクがあるから鼻や口も触らなくなる
3つの感染経路を遮断することが、最も大事です
デルタ株でも、対策は同じです
* デルタ株は、感染者の持つウイルスの量が多く、また、少ない量のウイルスでも感染することが分かっています。
粒子の小さいエアロゾルで感染するリスクも高くなっていることから、「換気でふせぐ」ことが重要です。
また、ドアノブなど身の回りの消毒も効果的です。
(2) リスクを正しく判断して、できるだけ日常生活の維持を |
(例) |
■ 人が密集している所には近づかない
■ ふだん一緒に生活していない人が集う環境で、マスクを外しての大声での会話や長時間同席など、3つの感染経路が全て高まるような状況を徹底して避ける
■ 認証制度などから判断し、感染防止対策を行っている店舗を利用する |
c リスクの低い場所では、多少リラックスして、できるだけ日常性を維持 |
(例) |
■ 一人でいる時にはマスクを外す。一人で車を運転している時はマスクは不要
■ 同居家族内では過度な感染対策は不要(かぜ症状のある時を除く)
■ 外で距離が取れる場合はマスクを外す
■ お互いがマスクをして換気ができていれば面会や研修会は可能
■ 誰も触っていなければ消毒は不要 |
(例) |
■ 営業時間よりも、ふだん同居していない人がマスクを外して対面になることがリスクを高めます
➢ 黙食、アクリル板、会話時のマスク着用の徹底 |
(例) |
■ 会議が終わってから換気するのではなく、会議中に換気
■ マスクができない場合は2m以上離れる
■ かぜ症状があったら登校・出勤しない
■ 気の置けない仲間だからこそ感染対策はお互いに注意
■ 相手がマスクを着けていない場合は、こちらはマスクに加えて眼も保護する
■ 社会福祉施設のクラスターの多くは、入所者が集まって飲食することが原因
➢ 飲食時の配席、アクリル板、距離、職員の目の保護が重要 |
リスクの高い場所には、こんな場面があります
ワクチンを接種しても、引き続き注意しましょう
ワクチンの発症予防効果は100%ではなく、また、ワクチンを接種した方から他人への感染をどの程度予防できるかも、まだ分かっていません
引き続き、親しい仲間うちでも、対面になる時にはマスクを着けましょう
県立高等学校等(中学校、高等学校、高等養護学校)では、生徒間の感染拡大を防止するため、 9月13日(月)から24日(金)の間、以下の措置を実施し、 50%を目標に接触低減を図るとともに、3つの感染経路の遮断についての指導を徹底します。
● 分散登校による授業を実施します。
■ 各学級を2分割して隔日で登校(通常の時間割)
■ 登校しない日は、自宅で、授業をオンライン・オンタイムで受講
● 学校行事を実施する場合は、時差登校や各会場の入場制限などを実施します。
● 部活動は公式戦等への出場のみとし、その4週間前からの練習は可能とします。
(4)-① 第5波においても、大阪府と連動した感染者数の動きとなっています。
大阪への往来に際しては、感染防止行動を徹底しましょう。 |
(4)-② 県北西部に位置する奈良市及び郡山保健所管内の主な市郡では、7月中旬以降同じような傾向で感染者数が同じように伸びている状況です。
ワクチン接種率の差で説明できる要因とそうでない要因が混ざっています。(参照) |
(4)-③ 中和保健所管内の主な市郡別では、8月中旬以降は大和高田市での感染者数の増加が目立っています。ワクチン接種率の差が反映されているように見受けられます。(参照) |
ワクチン接種率が低く感染者数が多い市町(赤丸囲み)は、青丸囲みのグループに入れるようワクチン接種の加速が望まれます。 |
(2) 生駒郡、北葛城郡、磯城郡のワクチン接種と感染者の関係 |
感染者数のバラつきはワクチン接種率の差だけでない要因が含まれています。要因分析を引き続き行います。 |
(3) ワクチン接種状況(9月5日現在) 【県全体】 |
全年代接種率が増加すれば、感染者減に結びつく傾向が見てとれます。 |
9月5日現在、2回目の接種率は46.9%であり、全国第19位となっています。
(なお、1回目の接種率は58.2%であり、全国第14位となっています。) |
(5) 市町村別全年代ワクチン接種済者数(9月5日現在) |
各市町村には接種の加速化に頑張っていただいています。 |
(6) 市町村別全年代ワクチン接種率(9月5日現在) |
市町村の間でも接種率に差があります。接種率の低い市町村と地区医師会には頑張っていただきたいと思います。
|
(7) 市町村別全年代ワクチン接種率(9月5日現在) |
接種率は、村・町・市の順に高い状況です。市町はさらに頑張っていただきたいです。 |
○ 接種対象者の8割強の方への接種が可能なワクチン量は、10月第1週までに配分
○ 各市町村には、配分予定を通知し早期の接種展開を要請
|
(9) 全世代の接種完了時期について(8月31日現在) |
全世代の接種完了時期について、市町村に調査。全市町村で11月末までに完了予定です。 |
(10) 教職員・保育職員、若年層、妊婦への接種推進 |
・県が設置した広域接種会場で優先接種対象者として接種を実施
(対象者福祉・医療関係者・教員等(家族を含む))
・県立学校職員を対象としたワクチン職域接種を実施
・市町村が実施するワクチン優先接種状況について現在調査中。調査結果は、市町村にフィードバック予定
・12歳以上のワクチン接種の可否について、保護者の方々へご判断いただくための参考資料として、現時点での知見を集約したQ&Aを作成
・接種済証の活用の検討
・市町村が実施するワクチン優先接種状況について現在調査中。調査結果は、市町村にフィードバック予定
県民の皆様と力を合わせて、新型コロナを克服しましょう。 |
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