意見書第11号

子どもの歯の矯正治療に保険適用を求める意見書

 

 現在、歯の矯正治療の保険適用範囲は、特定の手術が必要な場合や、特定の疾患に起因するものなどごく狭い範囲に限定されており、原則として保険が適用となっていない。そのため、義務教育である小中学校の健康診断の結果、「要治療」と診断された場合であっても全額自己負担で治療しなければならない。歯並びが悪いと、全身の健康に大きな悪影響を与えることをはじめ、職業選択にも影響が出ることが懸念される。

 一般的に永久歯からの歯の矯正治療には、精密検査で5万円程度、矯正費用は30万円~70万円、毎回の診察には5千円~1万円と、総額で65万円~95万円かかるとされている。このような中、保険適用がされないままでは、経済的理由により子どもの歯の治療ができないという家庭が生じることが指摘されている。

 日本学校歯科医会によると「歯並びが悪いと全身に影響を及ぼすため、健診項目から『歯列・咬合』を外すことはできない」としている。学校健診で要治療となり受診した際に保険が適用されない項目は『歯列・咬合』だけであると、指摘されている。

 東京都歯科保険医協会の調査では、小中学校歯科健診で「要治療」とされた子どもの受診率は47・41%という調査結果が出ている。

 学校健診の結果、「要治療」と診断され、治療の受診結果を学校に提出することが求められているにも関わらず、保険が適用されないということは制度として不整合があると考える。

 よって、美容整形に該当しない子どもの歯の矯正治療に保険適用をすることを求める。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   令和3年10月21日

                              奈 良 県 議 会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      財務大臣

      文部科学大臣

      厚生労働大臣

      内閣府特命担当大臣(少子化対策)こども政策担当

 

     子どもの歯の矯正治療に保険適用を求める意見書