【発表案件】
〇供用の見通しが得られた道路・街路事業の公表について
【質疑応答】
〇コロナ禍での経済対策について
〇奈良市新斎苑の用地購入に係る市長への求償権放棄について
〇リニア中央新幹線について
〇環境債の検討について
【発表案件】供用の見通しが得られた道路・街路事業の公表について
司会:
それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
初めに、本日の発表案件についてでございます。本日は、発表案件が1件ございます。1、供用の見通しが得られた道路・街路事業の公表についてでございます。
それでは、荒井知事から発表いただきます。
知事:
道路・街路事業の供用見通し、公表ということでございます。
道路のつくるときの段取りですけれども、まず、調査路線の決定というのがあります。調査路線の決定から始まります。調査路線の決定は、奈良県の場合は、必要性と、用地取得と、首長の後押しと、その3つを基本条件にしております。必要性と、道路用地取得と、首長の後押しということで、毎年数か所を調査路線に決定いたします。調査路線に決定いたしますと、事業化して、予算をつけます。事業化が進みますと、ある期間、工事のできるような用地取得ができたら工事着手、その後にこの完成時期公表、それから供用、その段階でございます。調査決定、事業化、工事着手、完成時期発表、供用と、この段階にありますので、そのような段階を経た供用公表を12か所、今日発表させていただきます。
お手元の資料がその内容を書いてございますので、合計12か所ということでございますが、この中で、たくさんありますので特徴別に分類して申し上げたいと思いますが、4種類あるように思っております。1つは、都市部の路線、これは畝傍駅前通りと香芝王寺道路でございます、都市部の路線。もう一つは、幅員の拡幅が多いんですけど、道路拡幅で多いのでグレードの高いといいますか、歩行者、歩道も入っている拡幅が、例えば今木出口線の馬佐~新野というようなとこがございます。
それから、もう一つ例が追越し車線ということで、登坂車線が入っているのが1つございます。国道369号の香酔峠ということでございますけれども、これはスピードアップが図れますので追越し車線というのが1つあります。
それから、車道のみ拡幅という路線が、国道309号の西原工区から始まって、数多くあります。これは田舎の路線ということでございます。地図というか絵は出ないですかね。この表で見ていただきますと、都市部の路線2車線、畝傍駅前通りということでございますので、右下の図を見ていただきますと、歩道が2つある、これは都市部の路線で、幅員がたくさん要るということでございます。
もう一つは、香芝王寺道路、出していただけますか。これは都市部の路線でも4車線ありますし、歩道もあるということでございますので、都市部の道路の典型ですけども、この規模になりますと、なかなか開通までいくのに手間がかかっております。今までこの規模の路線は、中和幹線と、大和中央道、それと今、工事にかかっております西九条佐保線といったような道路がありますので、県としては大事業ということでございます。
それから、歩行者、歩道の入っている、今木出口線を出していただけますか。馬佐~新野というとこでございますけれども、右下にありますように車道は2車線ですけれども、歩道が片方にしかないということでございます。畝傍駅前通りの都市部と違うということでございます。片方の歩道があるというので、グレードがそこそこ高いと。
その次に、香酔峠というのを出していただきますと、香酔峠は、このように歩道が山の中で取れないですけれども、追越し車線の3車線目を歩道にする代わりに追越し車線にしています。これは数が少ないですけれども、山の中で渋滞すると追い越せないとまた危ないということがありますので、追越し車線をつくるということで、この供用公表では、香酔峠って割と難所、坂が多くて難所と言われたところを完成するという、一部北も完成していますが、これで全線開通というような公表でございます。
その次は、ちょっとグレードは下がりますが田舎の路線で、西原工区を出していただけますか。西原工区というのは、右下にありますように、また上の写真で見ていただきましても分かりますように、本当に山道であります。このような中を2車線確保するということを奈良県の山の中でしておりますので、そのようなちょっとずつ安全道路をつくっていくということをしております。西原タイプの309号以下、小橡工区、高野天川線なんか本当に田舎の路線でございますが、そのような工事区間開通、短い路線が多いんですけれども、工事完了の公表をさせていただいている次第です。4種類ほど道路の種類があると。大都市の広い道路から、田舎のこのような1車線も、擦れ違いもできないような路線を、擦れ違いできるようにするという路線まであるということでございます。
私からの発表は以上でございます。
司会:
それでは、ただいまの発表案件につきましてご質問のございます方、挙手にてお願いいたします。
知事:
それから、このような発表する意味という質問もあろうかと思って想定があったんですけども、だからというわけじゃありませんが、ちょっと言い添えたほうがいいかと思いますのは、このような発表をするように、積極的に発表しようということにしておりますが、それは、このような田舎の道でも道路の供用の見通しが、3年以内の供用見通しが出ておりますけれども、そういたしますと、その付近に住んでおられる方、あるいは店を持ちたいと思っておられる方などの投資の見込みあるいは暮らし方の工夫の見込みが、その道路がちょっとずつできますといろいろ変わってくるというふうに思います。道路ができますと、住みやすさにつながりますし、いろいろ商売するときの投資の仕方にも影響を与えます。経済・日常社会活動に大きく影響を与えるのが道路でございますので、なるべく県民の方に知っていただきたいというふうに思っています。このような見通しをなるべく県民の方が知っていただくようになればと思って、公表しているということでございます。以上でございます。
【質疑応答】 コロナ禍での経済対策について
司会:
発表案件の関係のご質問よろしゅうございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、その他のことも含めましてご質問ございます方、挙手にてお願いいたします。
記者(NHK):
コロナ禍での経済活動の回復というか、再開についてお尋ねしたいんですけれども、県として、この後予定されている様々なキャンペーンがあるかと思いますが、それの開始時期について、全ての市町村でワクチンの接種が完了した頃をもってという見通しを示されているかと思います。現状、各自治体のワクチン接種の、その進捗状況、それからキャンペーンの具体的な開始時期を含めて、見通しなど今どんな状況でしょうか。
知事:
経済活動を刺激しようという時期に入ってきたと思います。その刺激をする中で、コロナで一番打撃を受けたのは消費でありますけれども、消費の中でも飲食・宿泊という観光業を中心とした分野が大変打撃を受けたというふうに思われます。そのようなタイプの消費を刺激するためのキャンペーンを幾つか用意をしております。奈良県で用意をしておりますのは、かつていたしました「いまなら。キャンペーン」、県内、県民の方に県内の宿泊をしていただく方に、前回は7割だった、今回は5割、35%の割引をするという。2つ目は、ワクチン接種をされた方に割引クーポン券を、3,000円の飲食クーポンを発行するというキャンペーンでございます。その後、GoToイートの再開というキャンペーンもございますし、国のほうのまだゴーがこれから出るかどうかという、GoToトラベルのキャンペーンという、そのような4種類のキャンペーンが眼前にあるわけでございます。
そのようなキャンペーンの実施時期というのは、奈良県ではワクチン接種の2回目を終了した時期というふうに設定をしております。今のところ、11月下旬というふうになっております。11月、だんだん前倒しを、このようなことを言っております。だんだんその前倒しをしていただいておりますので、この10月25日までに奈良県では26町村が完了されました。また、10月末、もう少し時間ありますが、さらに7市町が完了予定でございます。市が入ってきております、10月末までに7市町が入っております。
11月に入りますと、11月の上旬に前倒しがどんどん行われてきておりまして、上旬に完了予定をお伝え願っているのは5市町がございます。1つの市だけが11月下旬ということでございます。一番大きな市ですけれども、それで、一番大きいですので、やはり2回接種してもらってたほうがいいだろうと。消費の、消費者の一番多いところでございますので、今それを待っているということになりますので、それが11月下旬ということになっておられます。それがもし早くされるようだったら、ちょっとばたばた感が出るかもしれませんが前倒し、先ほどの「いまなら。」なども前倒しできる可能性がございます。そう願っておりますけれども。今の事情ということは以上のようなことだと。
記者(NHK):
ありがとうございました。
司会:
その他ご質問ということで。
記者(毎日新聞):
今の関連なんですけど、そうすると今、追加販売を停止しているGoToイートなんですけど、これは「いまなら。キャンペーン」の開始と同時ぐらいに再開……。
知事:
同時期になる可能性がありますですよね、11月下旬ということで。やはり第2回接種をされますと重症化も少ないし感染も少ないということで、お互いに安心だということでありますので、GoToイートも再開時期というのを、奈良県では、国の事業でありますけれども、再開とかその実行するのは県が大きく関与しておりますので、今ちょっと中断しているような感じでございます。再開ということは、2回接種完了時期ということで、先ほど及川さんの質問に答えましたが、11月下旬、一番大きな市が2回接種完了したらというふうに思っています。
記者(毎日新聞):
それと、たしか24日の首相官邸のまとめでは、以前、知事は、関西でも和歌山の接種率が高くて、追いつけみたいな感じで言ってましたけど、24日のデータを見ると奈良県は和歌山をようやく追い越してまして接種率が、これについてどう思いますか。
知事:
ああ、よく知っておられるんですね。そういう言い方は皆さんに失礼だけども、あまりこちらからも言ってない、資料としては発表しておりますけども、どういうわけか和歌山県がワクチン、最初トップランナーだったんですけど、どういうわけか最近トップランナーでなくなってきました。奈良県は、とにかく打とう、打とうでずっと、和歌山を見習えということで随分言ってたことがありますが、県、地区医師会が和歌山は随分頑張ったと、仁坂知事がいつもこう自慢されております。これなら奈良も、地区医師会の役割大きいから、地区医師会頼みますよと、資料にも市町村と地区医師会ということをわざわざ書いたぐらいのことでございますが、しかし、出だしは遅いんだけど、後でこう続けるのが奈良県のスタイルかなと思ったりもするんですけども。
今、全体上、2回目接種率は全国14位までなっています。上のほう、14位ではもう群馬とか山口とか随分進んでいるんです。やっぱり進むと経済の再開といいますか、再興についてもちょっと安心感が随分違うと思いますですね。ワクチン接種の少ない下のほうは、沖縄、大阪、埼玉、京都と、こういう並んでいるんですけども、この表、いつも発表している表の一部ですけども、これ見ますと、やはり大都市はワクチン接種進まないと、特に飲食・観光の経済刺激しようという、ちょっとおっかなびっくりのところもおありになるのかなと思っております。やっぱりちょっとワクチン接種の安心と飲食・観光の経済刺激というのは、できるだけパラレルにいけばというように思いますので、イギリスなんかわりとこう大胆に、アメリカもそうですけども、あれだけ感染者増えてもブレーキじゃなしにアクセル踏むぞと、こういうような、国民の皆さんの考え方だと思いますけども。日本は、感染者がちょっと増えるとやっぱりみんなびっくりされますので、死者が少なくなって通り過ごせば結果は後で出るんですけども、そのときはやっぱりみんな心配されるタイプですので、できるだけ慎重にというのが日本の国情といいますか、そのような感じがいたします。その中でワクチン接種というのは、我々のできる大事な仕事だというように思ってきておりますので、これからもワクチン接種を順調に進むようにしていきたいと思っています。
記者(毎日新聞):
知事は、当初、医師会のほうが全然協力してくれないとおっしゃってましたけど、ここまでワクチンの接種率が伸びて和歌山を追い越すぐらいになったということで、医師会ありがとうみたいな感じなんですか。
知事:
最初は、奈良県の地区医師会、出だしは遅かったもんだから、研修医を派遣したんですよね。それは首長が地区医師会動いてくれないんだという声を随分聞いた時期があったからですね。それで、研修医を派遣すると、注射を打てるのは俺たちだけじゃないというメンタリティーが発生したと思います。そのような、ちょっとワクチン接種料を上げるのにバーターされてるような感じがいたします。これは全国でもあるんですけども、医師会が値段をつり上げるバーターをされてたのは分かっておりました。そのようなことは表に出ないし、皆さんもあまり書かれないわけであります。それを、ほかの勢力があるよ。だから、国のほうでも歯科医師に打たせるよ。歯科医師に打たせるのに、奈良市も歯科医師が打っておられます。国のほうでは医師会反対するわけですよね、歯科医師に打たせちゃいかんと。いやいや、打てるんだから、看護師でも打てるんだからというような医療構造になっているんで。これちょっとアメリカだと、何かそういう資格があるのかないか分からん人がぽっぽっぽっぽっ打っておられます。日本の医療はちょっとそういう医療だということは、我々よくこの際、見なきゃいけないと思うわけです。だから、医師しか打てない注射じゃないということですね。歯科医師も打てる、研修医も打てる、看護師も打てるというのを。その出だしは遅かったですけど、あの手この手じゃないですけども、ほかの打ち手もいるよと言うと進み出したと私は思います。
【質疑応答】奈良市新斎苑の用地購入に係る市長への求償権放棄について
記者(毎日新聞):
すみません、分かりました、ありがとうございます。ちょっと別の質問なんですけど、ちょっと奈良市のことで、もう以前から聞いて恐縮なんですが、今日から奈良市は臨時議会が開かれるようですが、例の新しい火葬場ですね、新斎苑の、以前の知事会見でも質問したんですけども、大阪高裁の判決が確定しまして、市長と地権者2人に合わせて1億2,000万ほど請求しなさいという判決が確定しました。
これに対して奈良市のほうは、市長へのいわゆる債権を求め、求償権ですね、これについてはもう放棄するが、市長には求めなくて地権者にだけ1億円ほど求めようという。知事は、以前からすごいこれ関心を持ってお詳しいので、この奈良市のやり方っていうことについて率直にどういうように感じてますでしょうか。
知事:
ああ、新斎苑の用地取得の訴訟関連ですね。奈良市は、3人といいますか、三者、共同不法行為ということで判決が出ました。その中で、奈良市は、議会に奈良市長だけ債務免除するというような要求されました。議会の態度にかかってきているわけでございますが、そのような要求されることの是非よりも、議会の対応が大事かなと私は思います。といいますのは、あの判決が、共同不法行為だというようなことで判決が出て、最高裁まで行っている中での議会の対応ということでございますので、地方議会と司法が全面対決する可能性のある事案だというように思っています。1つの規範に対して、司法の判断が優先されるのか、それを地方議会がひっくり返せるのかという、割と大きな判断のように思って、そういう観点で注目をしています。
議会がどのように判断すべきかというのは、奈良市の議会の専権的な事項でありますので、このように判断すべきかということを私は言う立場にございませんけども、このようなタイプの議会の判断で考慮すべき事項というのはあるように思います。考慮すべき事項というのは、1つは、平成24年の最高裁判決ですけども、議会の同じような債権放棄を議決したのが、議会の裁量権の範囲の逸脱または濫用と認められた議決になります。それは最高裁まで行きました。最終的には司法が勝ったことになるんですけども、議会の覆しがまた司法で覆されるというケースがありました。それは議会の裁量権の範囲の逸脱または濫用に当たるというようなケースがありましたので(24年の最高裁の判決は、債権放棄の議会の議決が違法、無効となる場合の基準を示したもので、当該議決そのものを無効としたものではありません。)、奈良市のケースはどうなるのかなと思って、このようなケースをよく勉強されるのが必要かというように思います。
そのような最高裁の24年の判決を受けまして、平成29年に総務大臣から通知が出ています。このような債権放棄の議会議決は、できることになっているんだけども、慎重にやるようにという総務大臣通知でありますけど、それを、この2つをどのように奈良市議会が判断されるかというのには注目をしております。多分そのようなことを勉強されて、それでもするという判断ももちろんあると思いますが、そうなりますと訴訟、訴訟の連続になるような気がいたします。これは予測ですので、私が言っても言わなくても結果出てくる話です。
地方の首長という立場は同じでございますので、奈良県は、鑑定価格以上の用地買収は絶対しないということを決めて、先ほどの道路の買収でも首長が用地取得のめどを地元の自治会とか地権者につけてこられたら、道路を優先して建設しますよということをもう公言して、言っております。そのときに鑑定価格以上では絶対買いませんからねということを公言しております。どんな事情でも、なかなか鑑定価格以上で買うというのは勇気の要ることでありますので、必要性があったということについては、判決で、必要性はあるにしても裁量権逸脱だと、こう判決が出ております。
その点、必要性については司法の態度は明確になって、必要性と裁量権という関係については司法の態度は明確になっております。それを真っ向から議会が否定されると、もう正面衝突というような感じがいたします。議会のほうは、慎重にというより、よく見て判断されることになると思いますが、ちょっとよそから見た意見ですので、意見というほどでも、感想ということでありますので、あまりしんしゃくしていただく必要もないかと思いますけども、同じ首長の立場で他人事ではないなというようにいつも思っておりますので、余計に言いまして申し訳ありません。
記者(毎日新聞):
ありがとうございます。
【質疑応答】リニア中央新幹線について
司会:
ほかにご質問ございます方、挙手でお願いいたします。
奈良新聞さん。
記者(奈良新聞):
奈良新聞の谷村と申します。リニア中央新幹線の件でちょっと何点か質問させていただきます。今回の衆議院選で、奈良県選出の国会議員の方は、盛んにこの4年間で奈良県内のリニア中央新幹線の中間駅が決まると言っています。そこで、今、奈良県が準備していること、また、JR東海や国から何か新たに報告なり連絡なりあったかどうか、それをお聞きします。
知事:
衆議院のことと。
記者(奈良新聞):
衆議院選挙で来県していた現職の国会議員の方が、何人かが、何かこの4年間でリニア中央新幹線が決まるんだというのが応援演説とかで盛んに言ってるんですけども、それに関して、県は進捗も含めて、奈良県で準備していることや。
知事:
リニア新幹線ですか。
記者(奈良新聞):
そうですね、はい。
知事:
リニア新幹線、リニア中央新幹線、奈良市付近を通過するということは、もう50年来、決まっておりますので、それの実行ということでいつもお願いをしております。
衆議院の関係になりますと、リニア議連というのが自民党の中にありますので、リニア議連がいつもこう後押しを、このようなプロジェクトはいつもリニア議連、議連が後押しをするパターンがあるんですけど、奈良県の先生方もリニア議連に入って、大阪の方は割と熱心、竹本直一さんがリニア議連の委員長をしていただいて後押しをしていただいていることになりますが、そのようなリニア議連が名古屋以西、三重県、奈良県、大阪ということですけど、三重県だけはヒアリングをされたんですけど、奈良県まだなんですね。ちょっと政権交代があったり、政権交代というか総裁交代があったりしたので、必ず衆議院が終わると奈良県の意向ということを聞かれると思いますので、そのようなときにいろいろ意見を申し上げる、大事な議連の内容だと思っています。
そのような中で、特に東京-大阪の関係では、静岡の水問題が一番先生方の大きな課題でありますけども、その中で意見としては、まだ少数なんですけども、できるところから早くしろよという意見もあるんですね。どうせ東京-名古屋で一段落するのではなしに、東京-大阪までの開通が一番大事なんだろうからというような趣向の意見もあります。奈良県にとってみれば、そのような全線開通が最終目標でありますので、西のほうからでも工事をされませんかということを訴えていこうかと思っています。すると、できるところは奈良県は協力いたしますので、できるところはしといたほうが、どうせするならしといたほうがいいですよといったタイプの意見を、リニア議連にも申し上げようかと思っています。
その早くしてほしい、されたらどうですかという意見の具体的な中身に、奈良県は、五條に大規模防災拠点をつくりますということを中央で陳情して、緊急防災・減災事業債の適用を認めていただいて、来年度からその緊急防災・減災事業債を適用した事業を開始しようかと思っています。そのような事情がありますので、私、10月にJR東海の本社に行ってきました。葛西さんと山田さんが会っていただきまして、奈良県では土砂、土捨場ですね、土捨場もなるべく谷を埋める大規模防災拠点の取っかかりが間もなくするんですよ、ぜひ土捨場にご利用することを考えてくださいということを直接アピールしてきました。JR東海さんにとっては初めての情報だったようですけども、それはありがたい話で検討するよと、タイミングはどうなるのかなとおっしゃってましたので、こちらのほうが早く土捨場ができるかもしれませんので、「ここ掘れワンワン」というのも早く言ってくださいねというようなことを言って帰りました。
そのように、プロジェクトの土を取るのと、土を捨てる場所、タイミングが合えば大変効率的にいくと。その間をできれば貨物列車で輸送すると、大量輸送で、かつ環境に影響しない輸送方法ができるので、それも考えてますよということも申し上げてまいりました。それは奈良県で考えますからというので、そういう出だしの申入れをこの10月にしたというような段階でございます。そのようなこともリニア中央議連があったら申し上げたいと思っています。選挙が終われば、年内にはお呼出しがあるんじゃないかなと思っています。
このような数兆円、9兆円にも上る大工事でございます。いろんな事例があるのが通常でありますので、それを乗り越えてJR東海、もうここまで工事が進んでますので、鉄道は途中でやめるということは、こういう工事はありません。数兆円無駄になりますので、必ず最後まで行くはずでございます。そのときにできるだけスムーズにいくように、地元が協力するという姿勢を奈良県では従来から出しております。
そのような動きをうまくマッチできるように、衆議院との関係でございますけども、それにそもそもこのような大プロジェクトは反対だと、そのように反対されている党派もありますけども、そのほか大体地域の関係者は、政治に関係される人は大体賛成しておられますので、水、環境、工事の配慮というのは当然であります。昔よりは随分工事の技術が進んできているように思います。技術を直接やる主体ではありませんけども、技術のことについても多少は見聞きをしておりますので、その喧伝されるほど心配はないというような感じはしています。
記者(奈良新聞):
確認ですけども、JR東海で直接会われたのは10月何日かということ、あと、西のほうから工事しませんかというのは、大阪から名古屋のという意味なのか。
知事:
いやいや、西のほうからだから、名古屋-大阪の間のどこからでもいいと思っています。できるところからされるのがいいんじゃないかと思っています。
記者(奈良新聞):
そこら辺はJR東海さんに会ったときにこの提案もされたということなんですか。
知事:
JR東海には西のほうからということはそうはっきり言わなかったんですけども、奈良工区については土捨場をつくりますので配慮してくださいと。それを考慮して工事の段取りをしてくださいという言い方をしましたので、西のほうから作れというのは奈良県だけの話ではございませんので。西のほうからというのは、大阪からというわけではないということは念を押しておきたいと思います。
といいますのは、大阪の、三重とか奈良付近というのは早く場所が決まる可能性、途中は決まる可能性ありますが、終着駅の大阪というのは新大阪にはなると思いますが、新大阪のどのように入るかということはまだ決着してなくてもめていますので、そういうところから工事することはなかなかできないと思います。工事のできるところというのは、路線が大体こうつくっていいなということが確定したところからつくると。大阪付近に行きますと、どのように新大阪に入るかまだもめていますので、それからやるということは考えられないと思います。
記者(奈良新聞):
ということは、10月何日に会われたかって分かりますか。
司会:
また確認をさせていただきたいと。
記者(奈良新聞):
分かりました、後で。よろしくお願いします。
知事:
あまり日程詰めないで、行ったことは確かですので。総務大臣に陳情した日ですね。
記者(奈良新聞):
総務大臣に陳情したというのは、リニア中央新幹線の件で。大規模防災拠点の。
知事:
総務大臣には、緊急防災債の陳情して、よっしゃと言っていただいた日ですから。
記者(奈良新聞):
分かりました。
司会:
よろしいでしょうか。
それでは、ほかにご質問いかがでしょうか。
記者(日経新聞):
関連ですけども、今おっしゃった土捨場というのは、奈良工区に関しての土捨場であって、名古屋以東の今工事している土をというわけではないですよね。
知事:
リニア中央新幹線ですか。
記者(日経新聞):
そうです。
知事:
奈良工区というのは、奈良県内のもの、別に責任というわけでもないんですけども。
記者(日経新聞):
県外のものをというわけではないですか。
知事:
奈良工区といいますか、奈良県内を通過するトンネルの土砂量は700万立米と膨大な量がありますので、700万立米の土砂というのは、谷を、例えば大規模広域防災拠点で谷を埋めると、土を買うというのは、それ自身も大変な費用になりますので、むしろ700万立米という土が出るところの土捨てをするのも費用になるし、買うのも費用になるから、それをマッチングすると大変費用の節約になるのではないかという観点であります。どれだけの土砂を入れられるかというのは、700万立米でもまだ十分空いてますよというような谷でありますので、奈良県内の通過のトンネルだけでなくて、いや、三重県のトンネルも捨場がないから持ってくるよとおっしゃったら、それでも谷が空いていればもちろんいいかというように思っていますが、その工事の調合といいますか、土が出るのと、土を受け入れるのというのは、これからいよいよ工事をどのように進めるかということになってきますので、一つの考慮事項として土捨場を考えて用意してますよと。それが五條市ですので、JR和歌山線という鉄道が近く走ってますので、鉄道輸送で利用すると環境へ影響が少ないですよということは考慮していただけるように申し込んだというのが内容でございます。
土は、もっと入れたいとおっしゃるのか、いや、もうこの程度でいいとおっしゃるのかは分かりません。もしリニアから出る土がもうほかで捨てるから、奈良県の五條市に行くのはこのぐらいでいいよともしおっしゃれば、まだ京奈和自動車道の大和北トンネル部分の土も80万立米とかもありますので、そのような土も利用できるし、土の種類というのは大事ですけども、川の堆積土砂を使えるかどうかも検討したりしておりますので、土をどのように扱うかというのは、これから日本の土木工事はとても大事なことでございますので、リニアというトンネルばかりのような工事についての、その土の処分というのは工事の大きな要素だと思います。その工事費というのは膨大な額であります。それに協力するというのは、地元の協力としては一番大事なことかというように思ってきております。
【質疑応答】環境債の検討について
記者(日経新聞):
それと、全然テーマが違うんですけども、4日ほど前に福岡市が、環境債を発行して、要するに環境のもろもろの政策に当てる債権を発行しましたが、最近、自治体の中でもそのESG債を発行している自治体が増えているようですが、奈良県はそこら辺の検討を今されているのかどうか、全く検討されてないのかどうか、その辺を教えていただけますか。
知事:
環境債。
記者(日経新聞):
環境債、社会貢献債も含めた、ESG債って最近言ってるらしいんですけども、その検討は。
知事:
環境債のそのような発行を、環境省が脱炭素とか地球温暖化の一環というふうにも聞いておりますけども、関心を持っております。奈良県では、今度11月5日にスタートするんですけども、大和平野中央スーパーシティ構想というので、コンソーシアムフォーラムというのを11月5日のキックオフでスタートさせようかと思っています。9月補正予算でその開催費用を認めていただいておりますので、今、勉強して、11月5日の開催にしようと。大和平野中央プロジェクトは、県立大学工学部(仮)の設置とスポーツ施設の設置を軸にした、ウエルネスとかスタートアップというのが中心だったんですが、「スーパーシティ」を目指すということなら、その範囲がさらに広くなってきます。
11月5日のキックオフでいろんなことを申し上げたいと思うんですが、今の環境債との関係では、大和平野シュタットベルケということに取り組もうかなと思っています。シュタットベルケは再利用可能といいますか、バイオマスとか、奈良県では難しい水力とか風力とかというような、自然の利用可能のエネルギーを電力、発電に向けるというようなことであります。それは環境債が使えそうですので、そのような大和平野シュタットベルケを実現するのに環境債を使おうかという構想を持っています。
その内容は、いろんな、燃焼して発電につなげる、奈良県では、発電につなげたものを地元還元できないかという発想をしています。地元還元ということは、住民の電力代、電気代を下げるとか、それで立地をさせてもらうとかというようなことも検討項目に入れています。それと、進出企業に対して電力を安く供給できるかどうか、あるいは特定農業振興ゾーンのようなものに発電とか電力で農業振興の省力化とか効率化が図れるかどうかというのは、農業地帯でのシュタットベルケというのは、そのような使い道も考えられるということであります。
それと、もし可能であれば、バイオマス発電をして、それで水素をつくって、つくられた水素で発電に回すという、二段階水素発電ということも勉強しています。これは実現するかどうか分かりませんが、水素もシュタットベルケでもあり、脱炭素発電でもありと、脱炭素エネルギーでもありということでありますので、大和平野中央でその場所を取れて、住民の合意が得られるかどうかというが大きな焦点であると思いますけども、大和平野中央スーパーシティ構想のテーマとして取り上げていこうかというように思っています。まだ発表の勉強している最中ですので、少しそのような勉強も項目も入っているということは確かでございます。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。