上北山村河合地区では、村の1年の無病息災や五穀豊穣を祈願する弓引き行事が行われています。通過儀礼としての側面も強く、かつては射手(いて)を経て青年の仲間入りを果たしました。厳格な作法が特徴で、地区の住民により代々受け継がれてきました。
弓引き行事では4人の男子が射手をつとめます。射手はそれぞれ禰宜(ねぎ)、上殿(かみどの)、下殿(しもどの)、射返(ゆりかえ)しと呼ばれる役割があり、射返しは村の青年団の代表がつとめます。射返し以外の役割は全て村の小学6年生から中学3年生の男子が担います。 1月2日に「矢始め」という稽古始めがあり、その後7日までの6日間、朝から夜まで練習が行われます。7日には「的踏(まとふ)み」と呼ばれる的づくりが地区の住民によって行われます。 8日早朝に頭屋(とうや)(かつては年預(ねんよ)と呼ばれ、村の1年間の行事とお寺の雑事の世話係り)と射手は北山川で身を清め、氏神(うじがみ)である八坂神社に参拝します。その後、頭屋の家へ移動し、「矢立ち」と呼ばれる行事前の宴会が開かれます。宴会の終了後、景徳寺裏の射場へ移動し、弓引きを行います。まず住職が6本矢を射た後、射返しが2本の矢を放ちます。その後、禰宜・上殿・下殿が順に2本ずつ、矢を射り、3周繰り返します。最後に薬師堂にて御供(ごく)まきを行い、行事が終了します。
以前は、射手は河合地区の子どもたちが行っていました。しかし、少子化の影響により担い手が減少したため、15年程前からは河合地区に加え、上北山村の子どもたちも射手をつとめています。さらに、地域を離れた高校生などの若者にも射手をつとめてもらう取り組みを行っています。 また見学ツアーを企画し、行事の終了後に弓引きの体験をしてもらい、村外の人にも弓引き行事に関心を持ってもらえるような活動もしています。 「若者に興味を持ってもらって、地域に伝わる行事を後世に伝えていってほしい」との想いから、今後も行事を継続するための努力を続けていきたいです。
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