【案件】
○今年の県政の主な出来事・今年の漢字について
【質疑応答】
○次期知事選について
○令和4年度予算について
○南都銀行旧本店跡地の構想について
○今後の新型コロナウイルス感染予防について
○エネルギー政策について
○大阪ビル火災を踏まえた県の火災予防について
【案件】今年の県政の主な出来事・今年の漢字について
司会:
それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
本日は、今年最終の知事定例記者会見となりますので、令和3年県政の主な出来事及び今年の漢字につきまして発表をお願いしたいと思います。
それでは、荒井知事から、2件続けて発表のほうをお願いいたします。知事、よろしくお願いいたします。
知事:
今年最後の会見になりました。一年いろいろお世話になりました。鍛えていただき、ありがとうございました。なかなか成長しませんけれども、大変お世話になりました。また来年もよろしくお願いいたします。
それでは早速、今年の仕事最終版ですけれども、県政の主な出来事、お手元の資料に出来事をずっと並べておりますが、この中で、私が県政中心に、県が行ったこと中心になりますけれども、挙げていきたいと思います。よろしいでしょうか。この中でピックアップという形です。重複すること、同じ項目は、同じ番号を打っています。1から順番に行きますが、1番は、コロナ関係です。1の1、4月の制度融資、これと、健やかな「都」の(4)の、奈良県独自の緊急対処措置というのがコロナ関連ということで、1番目の項目に上げております。
2番目の項目ですけれども、栄える「都」の(6)でありますが、第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムの開催地に奈良県が選定されたということは、大きなことだと思っております。
それから、3つ目の項目は、賑わう「都」の(3)奈良まほろば館の移転リニューアルオープンが8月にいたしましたことも大きいかと思います。
それから、4番目でありますけれども、楽しむ「都」の(1)大規模広域防災拠点整備事業が緊急防災債の適用が決まりまして、着工が本決まりになったというのが大きなことかと思っています。
それから、5番目ですが、急遽でございますが、昨日発表になりましたが、大和川の特定都市河川の指定というのが、実は奈良県だけでまずスタートいたしました。トップバッターで、1人だけ登場したということで大きいと思っています。国の補助率は3分の1から2分の1にかさ上げされるということで、実務的にはとても大きな事項でございまして、特定都市河川で大和川だけがとにかく先行指定されたというのは、私から見ると大きなことだと思っております。
6番目でございますが、便利な「都」の(2)大和西大寺駅の高架化及び移設計画であります。もう何十年、私が関与してからも20年できなかった近鉄との合意ができたというので、スタート台に立てたという意味でとても大きなことだと思っています。
7番目ですが、2つ一緒にしておりますが、健やかな「都」の(2)天理大学は大学ラグビー選手権で初優勝というのが大きなことだと思いますが、それとともにくっつけてしまったわけですが、天理大学出身の大野将平選手が柔道のオリンピック金メダル二連覇というのが大きなこと。一緒にくっつけて申し訳なかったですが、スポーツ関係、天理関係ということで、7番目の項目に上げさせていただきました。
それから、8番目の項目ですが、智恵の「都」の中で、第2期奈良県教育振興大綱の策定と文化振興条例の施行ということでございます。教育・文化、文化財保護課というのが教育委員会しか置けなかったのが、文科省に呼ばれて奈良県として陳述をして、法律改正があって、知事部局にも置けるようになったという改正がありました。それを受けて文化振興条例を、文化財保護と活用という項目も入れて作ったものでございますし、教育振興大綱も、知事が新教育振興大綱を作成できるという法律改正があってできたものでございますので、知事部局としての教育・文化への関与という点でとても大きくて、その実行をさせていただいたという意味で、8番目の項目に併せて入れております。
それから、9番目として、奈良県フォレスターアカデミーの開校ということでございます。条例とフォレスターアカデミーの設立は既にできておりましたが、開校まで至って、入学定員も大変好調といいますか、希望が多かったということもございますので、フォレスターアカデミーの開校というのは、こういう森林環境管理制度を国の意向に反してと言ってもいいぐらいに県の条例でやって、それの担い手として県フォレスターを養成するというのは、とても大きなことだと思っています。県の条例が国の法律の、法に抵触はしないんですけど、法の精神に逆らってやったというふうに私は思っています。
それから、10番目ですが、大和平野中央プロジェクトの推進と、協定を5月にして、11月には「スーパーシティ」構想のキックオフ会議に至ったと。大和平野中央の大きなプロジェクト事項が10番目に入れております。
そのような、私から見て10個選ぶということになりますと、そのような項目を今、簡単に申し上げましたような理屈で選ばせていただきました。
次に、今年の漢字ということも……。色紙のほうが。これですね、ご披露させていただきたいと思います。
「命」という字でございます。この「命」の、大和言葉でもありますし、漢字でもありますので、説明資料を配らせていただきますが、命を選んだ理由ということになりますけれども、コロナがやはり関連いたします。コロナが大きなことでありましたので、コロナ対策で一番大きい事項、大事な事項は、やはり命ということでございました。それが何より県政の周りにあることで、何よりですと。それと、県ではあまり発生いたしませんでしたが、いろんな命を落とされる事件が起こってきているように思いますので、命を大切にしない風潮にならないように、いろんな格差とか、何といいますか疎外感、alienation(エイリエネーション)と言いますけれども、疎外感ですね、社会に置いてきぼりをくっているというような感じがすごく衝動的にエネルギーになってきている風潮が世の中にあるように思いますので、いま一度、コロナに対抗した命の大切さと、世の中の格差が主因だと思っておりますけれども、あるいはその格差というのが客観的な格差である場合と、主観的な格差、落ちこぼれたじゃないかというような意味の格差、意識ですね、これは割と大きなことだと私は思っていますが、その結果、他傷されるあるいは自傷される、自傷したり他傷したり、他傷して自傷するというパターンが出てきておりますので、これは注目をしたい事情だと私は思っています。いずれにしても命というのはとても大事だなということを、今年の私から見た字にしたいと思っています。
その命という字の、漢字と大和言葉があるのですけれども、我々漢字の命というのはとても慣れております。この資料では、にわか勉強でありますけれども、口という字が、令に口を添えたということで、令は、帽子をかぶり膝の上に手をついて神様の言葉を聞く人の姿という漢字の解釈です。口は、神様への祝詞を入れる容器で、これが合わさって命とは、祝詞を上げて祈りをささげる人に神様の啓示として与えられるもの、大切なもの、神様からいただいたという、東洋の漢字ですので中国の思想で神様からいただいたもの、手を膝についてそのいただいたものに頭を下げているというような雰囲気になります。
この「命(めい)」とか「命(みょう)」とかという漢字を大和言葉の「命」というのに当てられたのは、何かすごいなと今となって私は思います。「いのち」というのは、「い、の、ち」と、「い」と「ち」が大きな語幹になるようでございます。「い」というのは、「いく」とか「いき」とかという、ふっと吐くような、あるいは生きているというような、「い」というのはすごくパワーのある、「い」も「ち」もパワーのある言葉のようです。「ち」は、おろちの「ち」とか、霊力、パワー、どちらもパワーというような、「い、の、ち」というのは、この「の」を解釈すると、「ち」というのは霊力があって、それを表現すると「い」になるのかとも思われますけれども、大和言葉で「いのち」と言っていたのが、この漢字の「命(みょう)」とか「命(めい)」と当てたというようなふうになります。
年に一度の漢字を書くわけでございます。多少勉強してご披露し、にわか勉強ですけれども、ご披露させてもらってもと思って、このような紙も入れて、私なりの今年の漢字とさせていただいた次第です。
説明は以上にさせていただきます。
司会:
それでは、ただいま発表いただきました令和3年県政の主な出来事、また本年の漢字、今年の漢字につきましてご質問ございます方、挙手にてお願いいたします。
☆質疑応答
記者(NHK):
今年の漢字に関連してお伺いしたいんですけれども、この字を選んだ理由として、コロナのことを上げられたかと思うんですけれども、その命を守る上で、県のコロナ対応というのが非常に重要だったかと思うんですけれども、改めて今年の県のコロナ対応について振り返って、ご自身としてどのように評価されているかということをお伺いできますでしょうか。
知事:
何か総じての印象なので、皆様とちょっと違う感覚かもしれませんが、どちらかというと国も地方も感染者数に振り回されたコロナ時代だったというふうに思います。大事なのは、感染者数じゃなしに、命、重症者数とか、それから出る、命、死者数というのが大きな数字だったと思います。そのような意味でも命というのを、基本的に最も大事なのは命ですと思っております。それは県のコロナ対策にも関係しておりますが、命を守るのが我々の最大のミッションだということです。感染者は増えなければ、コロナによって命を落とされる方は少なくなるというロジックなんですけれども、命を落とされるのは、先ほど言いました事故でも事件でもいろいろありますし、あらゆる命を落とすことから守らなきゃいけない責務はもちろんあるわけでありますけれども、コロナ対策で最も大事なのは命としてよかったのかなと私は思います。
といいますのは、外国の感染者数あるいは死者数に比べて、特に死者数はるかに少なければそれでいいんだというわけではありませんが、とても少ないまま推移してきています。地域差分析でも、奈良県は死者数はとても少ない状況でございました。努力の方向ということになりますので、その努力の方向が正しいかどうかというのは国なり我々議論しなければいけないのですけれど、改めて命が一番大事な努力の方向じゃないかと私は思っています。
記者(NHK):
ありがとうございました。
知事:
よろしいですか。
司会:
ほかにご質問いかがでしょうか。
記者(奈良テレビ):
県政の主な出来事をいろいろピックアップしてお話しいただいたんですけども、昨日発表されました大和川の特定都市河川の指定の件につきまして、先ほども知事がすごい補助が上がるというようなことをお話しされていましたけども、これから市町村ともいろんなお話をしていくのかなと思いますが、具体的にどういった治水策をしていきたいと思っていらっしゃいますか。
知事:
大和川は、ご存じのように亀の瀬というところでつぼまっています。したがって、上流で遊水地をつくらないと水があふれてしまう構造になっています。上流でダムをつくって防ぐというのは、大和川のこの中流になるとできない状況でありますので、まず本流については、国のほうで大規模遊水地を5か所つくる計画をつくっていただいて、直轄事業としてやっていただいております。その直轄事業で100万立米の水をためるという計画で進んでおりますが、その財政的な負担について言えば、国が3分の2を助成されて、自己で負担されて、県が3分の1を負担する、市町村の負担は本流についてはないわけでありますけども、それは用地買収を早くして事業していただきたいというのが目標で、これはそのような仕立てです。
ところが、大和川にはたくさんの支川があります。北から南から支川が流れ込んでいます。それがあふれる実績がございました。支川があふれると住宅地に水がつくということを市町村は実感されています。支川の遊水地対策は、市町村の上流と下流ありますけども、市町村の仕事というふうに振り分けてきております。そのときに、今までの負担割合は、国から交付税が出て、3分の1を負担します、残りは市町村がやりなさいと。国3分の1負担、交付税がありますので市町村が負担が基本でありますが、奈良県の場合は市町村負担の半分を県が負担しますよということを自主的に申し出ておりました。それでちょっと今、記憶で、それぞれ約3割負担になっていたと思います。3分の1負担が国の補助金で、約3割が市町村、県の負担。本来なら市町村の負担は約6割ですけども、約3割を県が負担しますよという仕立てになり、間は交付税であと埋めていただくというようなことでありました。
ところが、国が3分の1から2分の1に上がりますと、5割のうち、また国が交付税で入る残りを、市町村と県で負担すると、2割ぐらいに下がってきたんだと思います。これはとても大きなことなので、負担がそれほどに低くなると、奈良県の市町村は財政状況が全国でも相当悪いほうですので、県がそのように負担するという申出と、国の負担が3分の1から2分の1になると、私、とても大きなことだというふうに思っています。それをまだ大きく出ていませんが、県としては特筆すべき事項だと思って、この10大ニュースに上げました。
これからどうするんですかって、今まで仕立ての話の説明で長くなって恐縮でしたけども、そのようになれば弾みがつきますねというのが言いたかったことです。市町村に弾みがつきますねと。
総合治水計画で計画はたくさんの支川の計画は上流から下流までありますけども、上流と下流が一体となって進めましょうと、下流だけして上流はほったらかしだったら、効率が上がりませんからというのが県が市町村に申し出ていることで、その上流・下流一緒になって総合治水対策をしましょうという地域も出てきております。これはとてもいいことでございますので、そのような仕立てについて弾みがつくのではないかというように思っています。言葉で言えば、大和川の総合治水計画、それに弾みがつくと。それを実行すると、掘った遊水地の穴だけ水があふれないことになりますので、確実に減災されるということになりますので、もうとにかく掘って掘ってたくさんの遊水地をつくっておきたいというのが、単純に言った気持ちでございます。すみません、長くなりまして。
記者(奈良テレビ):
ありがとうございました。
司会:
よろしいでしょうか。ほかにご質問いかがでしょうか。
記者(産経新聞):
今年一年について印象的だったのがコロナ対策で、奈良市をはじめとする緊急事態宣言を出してくれという要望に対して、県はずっと拒否をされてきた。その判断というのがどういう、命ということに関わるのかどうかも含めて、改めて教えていただければと思います。
知事:
一言で言えば、奈良県では効果がないと思ったからです。しなくても下がってしまったので、しなくても別の原因で効果があったというように思われます。以上です。
記者(産経新聞):
つまり、命には関わらないということで。
知事:
いや、命にもちろんこだわって、関わっているじゃないですか。
記者(産経新聞):
だから…。
知事:
命を救うのに要らないことをしないと。
記者(産経新聞):
要らないことだったという判断だということですね。
知事:
そういうことです。
記者(産経新聞):
ありがとうございます。
司会:
ほかにご質問いかがでしょうか。
記者(産経新聞):
印象的だったのが、春ぐらいですか、奈良市の行基の供養堂かもしれないという遺構が出てきまして、それを奈良県は保存しようと動き出したんですけども、結局断念されました。そのことについての知事の思いというか、菅原遺跡って覚えていないですか。
知事:
ああ、菅原遺跡。
記者(産経新聞):
はい、あれが保存ができなかったということ。
知事:
思い出しましたが、何か、物理的というか、もうできない、その土地だったか何かでもうできない形状とか、工作があったというように今思い出しています。保存しようにもできなかったというような実態があったというように今、思い出しています。多分そうだったと思いますけども。
記者(産経新聞):
遺跡が失われるという、話が合えば、そのまま国史跡になっていたレベルのものだったと思うんですけども、それが失われるということについてはどのようにお感じですか。
知事:
だから、できないものはできないというだけの話だったと思います、このケースについては。
遺跡の保存の考え方というご質問であれば、遺跡の保存は、記録保存と移転保存と現地保存と3つあります。記録保存は、ばっちりしたと思います。記録保存でも十分、相当の保存、ほとんど遺跡の保存で8割、9割ぐらいは記録保存です。それで後世に残す記録保存があれば、後世の足しになります。この現地保存は、さらに現地保存の可能性と、意味ということを判断してすることになります。県文化会館、美術館の裏にアネックスをつくろうと思って発掘しておりましたら、興福寺の登大路窯跡が出てきまして、これは現地保存することに決めております。それは保存がふさわしく、かつ現地保存が可能だということであります。それが不可能であればいかんともしようがないじゃないですか。平安京、現地保存が望ましいといっても、分からないからできないですよね、幾らあなたが叫んでも、できない。
記者(産経新聞):
ただ、奈良市がもう少し早く動いていればとかね、そういう思いはありましたか。
知事:
少し今、思い出せません、どうしてそういう事情になったのか。事情があったように思っています。多少残念な気持ちになったような記憶はありますけども、誰がというようには思い出せません。
記者(産経新聞):
あまりここに上げるほどのものではなかったということですね。
知事:
ああ、この主な出来事に。だってしなかったんだから。したら上げたかもしれませんけど。
記者(産経新聞):
分かりました。
【質疑応答】次期知事選について
司会:
ほかにご質問いかがでしょうか。
記者(毎日新聞):
今年最後の記者会見ということで、あえて質問させていただきますけども、知事は先月、「まほろばセミナー」において、ますます今後の奈良の発展に向けて意欲を語られていましたけども、4期目の任期はあと1年少しございますが、知事は次の知事選に向けて今どのようなお考えなのか、その心境を聞かせていただいていいですか。
知事:
ご質問のように4期目の終盤です、4年目ということで。来年度予算をしっかり仕上げていきたいなと思っています。4期目のことについて聞かれたので、大体それでもう答えになっていると思うんですけども、4期目の終盤、予算で仕上げていきたいということで答えになっていると思いますが。まだ次の質問がありますか。
記者(毎日新聞):
5期目に向けてはどのような。
知事:
いや、5期目に向けては、また来年1年ありますので、よく考えておきたいと思います。
【質疑応答】令和4年度予算について
記者(毎日新聞):
来年度予算の話が出ましたが、来年度予算の編成が始まると思うんですけど、規模的にはどれぐらいになる見通しなんでしょうか。
知事:
そうですね、仕上がりはまだこれからですけども、来年度予算の編成ですが、まず、現在の時点で分かっておりますのは各課の要求額です。6,293億円です。昨年度の当初予算に比べて927億円も増えています。17.3%の増ということです。過去最大の要求が出てきている状況であります。これを財政課がこれから査定されます。要求がこのように膨らんでいるということをどう思われるかというのはあると思いますけども、1つは、国の予算とか補正も大変膨らんでおりますけども、それはコロナ対策の費用がとても大きいということが背景にあると思います。コロナ対策を除くとどうなるかというのは、また検証されることになると思いますけども、大きなこの要求の額が増えた第1の原因は、コロナ対策の費用が入っているということが大きいことだと思います。これが全てかどうかはもう少し見ないと分かりません。これだけの要求額でしたという報告は受けております。それを査定をして予算を編成するということになりますので、編成についてはこれからでありますけども、編成方針というようなご質問はなかったですか。
記者(毎日新聞):
方針も。
知事:
あったということでありますので、編成方針は、確たることではありませんけども、奈良県はやはり経済が弱いので、若者の流出が大きいということを、個人的には最大の課題だなと思ってきました。それは、経済というのはなかなか回復、盛り上がらない面があるので、どのようにするか地域の自立を図るというのは、どちらかというと大阪、コロナにも関係するんですけども、大阪への通勤者が3割おられて、その所得によって県民所得になっているというベッドタウン構造になっていますので、するとコロナで大阪に行ってうつされるという観点になると、なかなか行くなと言えないという、全国で一、二を争うベッドタウン、越境通勤の県であります。すると、若者の時代から出ていかれるので人口が大変減少している。これを回復するには、奈良県の経済を自立的にしていかなければいけないということを、この就任以来ずっと思って努力をしてきました。
来年度の予算ということになりますと、若者の流出を防ぎ域内の経済循環を好循環にするというのが、やはり引き続き大きな課題だと思っています。それには、時間がかかりますが、来年から15年後にリニア中央新幹線が奈良市附近に来るわけですね。15年後というのは、そう私は遠くない時期だと思っています。リニア中央新幹線の名古屋以東は工事が始まっていますので、名古屋以西の工事、先日、決起大会ありましたけども、2037年全線開業ということで、その際は奈良市附近に15年後にできるということでありましたら、それを目指して、実は大規模広域防災拠点、来年度着手といいますか、事業予算をつけたいと思っていますが、そこをリニア中央新幹線の土捨場にもしようということをもう表明しています。関連しているプロジェクトということになります。リニア中央新幹線が奈良市附近にできたら、その土捨場に対して鉄道貨物で土を運ぼうと。京奈和自動車道が大和平野の、橿原-高田はもうできていると可能性はありますが、土を運ぶときに大和平野、橿原-高田ができていなくて、大和北が地上を走ってますとダンプがとても大変なので、鉄道貨物で運ぼうかという構想にしました。すると、関西本線につくことは間違いありませんので、それを関西本線から土が出てくるところを鉄道貨物に乗せて関西本線でずっと王寺のほうへ行って、王寺の手前の法隆寺から畠田というところまで短絡線をつくって、和歌山線に結びつけるという構想を発表しています。そういたしますと、五條まで鉄道貨物が行くと。今の二見駅の下のほう、二見公園のある辺りに貨物の土捨場、鉄道が運んだ土の下ろし場をつくって、ベルトコンベアーでもダンプででも大規模広域防災拠点の土捨場にこれを積み上げて滑走路の土台になるところへ運び込むという構想ですので、それの設計などは来年度予算で要求したいと思っています。これはリニア中央新幹線の進捗に合わせて、この大規模広域防災拠点をする。和歌山線から延長して、紀の川市から関西空港まで直結をして、関西空港リニア奈良市附近駅の直通特急を走らせるというのも15年後構想に入ってくると思います、着々ですね。
記者(毎日新聞):
この予算要求というのは、国に対して。
知事:
その予算要求を、そのような項目を入れていこうかということになります。特に大規模広域防災拠点は入ると思います。リニア中央新幹線奈良市附近駅は、むしろJR東海の工事費になりますので。
記者(毎日新聞):
今の土捨場のことで、昨年9月か10月だったか、知事がJR東海の社長にそういうアイデアというか構想を示されたと思うんですが、その後、JR東海社長からは反応みたいなものはないのでしょうか。
知事:
この大規模広域防災拠点に中央に陳情して、総務大臣にほぼ確約が取れた段階で、その足でJR東海の葛西相談役と山田会長の、名誉会長だったのかな、ところに面談を求めて話をしました。この話もしましたので、ご存じなかったんだけど、葛西さんは、タイミングが合えばいいねとおっしゃいましたので、そのタイミングを合わすということを、今申し上げたような形でしたいと思います。だから、早くもう土捨場ができるから、早くここを掘れわんわんと言ってねと、これは大阪のリニア決起大会で使ったフレーズです。早くここ掘れわんわんと言ってくださいねとは何度も言っていますが、もうそろそろ本格的にわんわんわんと言っていただくと、県が勝手に掘ってもいいかと思うぐらいなんですけど。
記者(毎日新聞):
細かいですけど、この一石二鳥の構想ですよね。これ知事が考え出したんですか。
知事:
ほかの人、見当たらないから、多分、私なんでしょうね。
【質疑応答】南都銀行旧本店跡地の構想について
記者(毎日新聞):
分かりました。それでは、ちょっともう1点よろしいですか。先日、南都銀行さんが本店を移転するという発表しました。今の南都銀行さんの本店については、観光資源にできればというように頭取がおっしゃってましたけども、知事は近鉄周辺をこの前、まほろばセミナーでもおっしゃってましたけど、あの辺を景観を一体的に整備したいという構想も持っているようですけど、南都銀行の本店について、知事としては何か関心を持っているのか。
知事:
橋本頭取からそのようなご連絡がありましたので、その週末ですか、近鉄奈良駅の西口を降りて、小西町を通って、南都銀行本店の周りをうろうろしてちょっと見てきました。現地観察というのが私のいつもやる手ですので、見てきました。
あそこは、南都銀行本店があって、間に駐車場とかあって、一番こちらに三井住友銀行があるんですよね。三井住友銀行は、またああいう銀行ですから、交渉すれば、南都銀行のあの辺り一角を核にしたいというご意向であります。にぎわいの核にしたいというご意向ですので、そのような利用できる空間ということをちょっと見てきたかったんですけども、三井住友銀行とその間に南都銀行の敷地と、北のほうにちょっとビルがありまして、これは民間の人のビルです。これはちょっと一緒に参加されるかどうか分かんないなと思ってこう、韓国料理屋がありましたですね、ちょっと見てきました。しかし、中心になるところは利用可能かなと。三井住友銀行のビルを全部壊さなくても、それをまたリニューアルして、違う銀行じゃない施設にすることも可能ですので、そのような中で、橋本頭取が県のアイデアがあれば言ってくださいねというようなご意向だったと思いますので、観察をして、このような一角をどのようにするかということについて、アイデアを提供することができれば幸いです。それをどのように、あそこ南都銀行を文化施設に利用したらどうかというアイデアでございますので、それはいいアイデアだと思いますので、美術館機能の持った文化施設というようなことをおっしゃっていますので、美術館機能があるといいと思います。
それと、県としては、猿沢池と連動して、あそこは一之鳥居、春日大社の参道の延長ですので、一之鳥居から下りてきて猿沢池に行き、遊ぶ人は猿沢池に下りて元林院に行き、そのまま買物する人は真っすぐ下りて家路をたどるというような風情の一之鳥居でありましたので、その中心地にあるところを文化ゾーンにすると。
文化施設にするというのは、県では奈良公園の文化ゾーン構想を今、研究中ですので、その研究の検討会には青柳さんとか、籔内佐斗司さんとか、奈良博の井上館長とか、千田さんとかってもう数回議論していますので、その南都銀行をどうするかということも検討の対象に入れてもらうのも一つかなと思っています。広く意見を聞いて、いい雰囲気がグレードアップするような拠点になればということ、今のところそのぐらいの漠としたアイデアしかまだ頭に浮かびません。
記者(毎日新聞):
ありがとうございます。
【質疑応答】今後の新型コロナウイルス感染予防について
記者(時事通信):
コロナに関連した質問なんですけども、これから忘年会のシーズンに通常だとなると思うんですけども、今、感染状況が落ち着いている中で、職員に対しては、飲食店の振興のために店舗を使ってほしいとか、あるいは自粛をしてほしいとか、お考えはありますでしょうか。
知事:
コロナは今、落ち着いておりますが、オミクロン株が発生をしておりますので、外国では急速拡大感染という状況が発表されています。感染力が強いことを思わせます。それに警戒をしなきゃいけないと思います。国の水際対策はなかなかそう、いつも効くわけではありませんので、入り込まれると、入り込まれた対策は各地でしなきゃいけませんので、これまでの対策の効果ということを国で検証して、これがいいよということをぜひ早くしてほしいなというように思っていますが、感染症を減らすのは3つの方策がありますけども、感染症自身を減らす、元を断てば一番いいんですけど、あとは医療体制を調える、それからワクチンを打つと、その3つが軸になると思いますが、地方でおりますと、ワクチンを早く打つというのが第五波までは効いたので、ワクチンを早く打つというのには、国のほうもそのような動きですので、第3回目のワクチン接種を早く打つというのが大きな課題にこれからなると思います。
それから、医療は、とにかく命ということをやはりこだわりたいと思いますので、命にこだわって、命を大事にするのは医療の役割でありますので、病床とか宿泊療養施設というのは確保していきたいと。あふれて自宅療養になっても、健康観察をするという体制を取っていきたいというように思います。これは、いつもやってきた延長になります。
もう一つは、感染拡大を防止するということはどのようにするかということが難題でありますが、お願いしたいのは、うつるのは個人から個人にうつると。集団感染というのは、個人個人がまとまっているから集団感染と、こう言われるわけですが、個人から個人にうつすのが基本ですので、その際の注意というのは、もう決まっている注意がありますので繰り返させていただきますが、1つはマスク、それから2つ目は換気、ちょっと今日、今、空気が入ってますが換気、それから接触感染がありますので消毒、それから距離ですね。皆様ともこのように距離があると、2メートルから4メートルの距離の中でしか感染しないと。こちらからテレビを映されている方には飛ばないということが分かっていますので、それを4つ気をつけていただくと感染リスクは激減するということは、繰り返しですけども、ご注意して、していただきたいと思います。マスク着用、換気、それと消毒、それから距離ですね、その4つをご注意していただきたいと思います。それをしていれば相当リスクは減ると思います。
そのいろんな状況が重なると、クラスターになったり、家庭での感染とか、感染力が強いですので広がりますけども、やはり効果のあるのから、日常生活との、日常生活を確保するというミッションといいますか目標も維持しなきゃいけませんので、日常生活が十分できないので体を悪くした、命に関わる事情に発生するというのもいけないことでありますので、コロナ関連で命を短くするというのはあってはならないことだと思いますので、その日常生活の維持というのも大きな目標になると思います。余計に怖がらないで、やることをやるというのは、行政でもそうですけども、日常生活でも守っていただくようにしていただければと思います。
【質疑応答】エネルギー政策について
記者(読売新聞):
ちょっと今年の県政の主な出来事とは関わりないんですけども、今年一年、世界を見ると、エネルギー政策、脱炭素というのが非常に大きな流れになっていて、日本もどうするかというようなところに立たされていると思うんですけども、来年すぐというわけではないと思うんですが、知事の今そういうエネルギー政策に関して構想があれば、教えていただけないでしょうか。
知事:
おっしゃるように、脱炭素というのはすごく深刻に、COP26もそうでしたですけど、あと被害がドイツとかアメリカの思わぬ時期の大洪水、それと山火事、それから竜巻というのは、気候変動が大きな要素になっていると思います。真鍋さんのノーベル賞とか皆関連して、世界の大きな関心が脱炭素であるとおっしゃられたのは、本当にそうだと思います。
この奈良県のような小さな県でも、エネルギーを脱炭素にするということを、もう一度ねじを巻きたいなと、これ希望で思っています。したいと思っておりますのは、シュタットベルケですね、地域エネルギーで地産地消に持っていきたいと思いますが、脱炭素のシュタットベルケは、奈良でできるのはバイオマス発電が一番大きなことかと思います。ただ、なかなかその発電量は少ないわけでありますけども、今、五條のほうでバイオマスの発電施設が建設中であります。山の中での発電になれば送電が要るわけでありますので、その需要のあるところ、奈良のような小さいところでも需要のあるところで発電ができれば、シュタットベルケ風になってくるということを願っています。そのようなことを積み重ねてと思います。
バイオマスが一番なんですけども、あと、バイオマスにごみを混ぜるとか、汚泥を混ぜるとか、プラごみを混ぜるとかってすると発電量が増えることが可能だと言われて、場所が問題なんですけども、そのようなごみとかの処理の発熱・発電で、その地域の方々に、もう電気代をただにするというようなアイデアを持っています。場所が見つからないんですね。そのシュタットベルケのバイオマスだけでなしに、ごみ、プラごみ、汚泥などを混ぜて、発電して能力を上げていこう、あるいは、水素をつくって水素発電にしようといったような構想は、とても魅力的で引かれているんですけども、場所があれば資本を一生懸命呼んできたいというのが今の状況です。
その場所を選ぶのに、その地域の電気代は周囲500メートル、1キロ範囲は電気代をただにするというようなことで、じゃあいらっしゃいということにはなかなかならないんですけども、なればいいなというように思って、今、場所探しをしています、実は。なかなか難しいですけど、場所を選ぶの。
記者(読売新聞):
なかなかやっぱり住民の理解がというのが。
知事:
そういうことですね。
記者(読売新聞):
分かりました。ありがとうございます。
【質疑応答】大阪ビル火災を踏まえた県の火災予防について
記者(奈良テレビ):
荒井知事は今まで、命を一番に考えたいというようなお話があったと思うんですけども、先週、大阪のビルのほうで大きな火災がありまして、奈良県の方も犠牲になったと思いますが、この大きな痛ましい事件を受けまして、荒井知事の受け止めと、また、奈良県でもこういった火災を起こさないように、何かアクションをしたいと思っていることがあれば教えてください。
知事:
大阪の火災は、悲惨な事故、事件でした。悲しいですね。もうとにかくショックであることは間違いないです、私のような隣県でありましても大変ショックです。受け止めというのも、今はショックで圧倒されているというような感じですね。あのような小さなビルで、今までも、元のああいうタイプの火災ですね、ビル火災で一酸化炭素で窒息されるというのは、ちょっと前になりますが、千日前ビルの火災が最初だったような気がします。千日前ビルで、あれは何か遊興施設が入っていた中で火災が起こって、随分たくさん亡くなられたのが最初、もう何十年も前ですけども、その後、現役時代ですけど、防災の研究会みたいなのにも入ってまして、そのようなビル火災の専門家の方の話を何度も聞いたことがあります。一酸化炭素は、もうぱっと吸うと、すぐに肺がアウトになってしまうということを記憶になっています。そのような事例だったのかなと思います。一酸化炭素で肺がもう機能しなくなる、あっという間に。
その一酸化炭素が、そのときの記憶で、比較的来ないのは床ですよと、床すれすれで伏せてた人は助かってましたよという防災専門家の話を今、ご質問があってちょっとその言葉がよみがえってきました。千日前の火災の研究をされてた方なんですけど、助かった人と、出口で折り重なって亡くなられてたんですね。みんな外に出ようと思って一酸化炭素を吸われた、そのときにずっと我慢をして下の方でうずくまってされてた人が生き残ったという話をされてました。そんなとっさでできる話ではないと思いますけども、そんなことを日頃頭に入れて、ビルに、クリニック行かれるわけではありませんので、思いもかけない火災だったに違いありません。あまりそれ以上のことは思いつきません、すみませんが。
記者(奈良テレビ):
この事件受けて、奈良県でもビルの何か、火災が起きないような何か対策とかお考えですか。
知事:
ああ、そうですね。一つ心配しますのは、事件ですので、類似の事件を起こす人が通常出てきます。駅で殺傷事件があると、違う駅で殺傷するとか、新幹線で暴れるとまた暴れる。このような火災が、アニメの火災がありましたけども、その関係ももしかしたらあるかもしれない、その流行というか。だから、奈良ということ関係なく、まねをする人が出るかもしれないということは心配しています。そのような観点から、類似の施設についてはご注意の通知をさせていただいたと聞いています。事務的なことですけども、類似の事件が起こるかもしれないので、似たような構造にあるお客様が来訪するところは用心してくださいということをご注意したと聞いています。取りあえずそのようなことぐらいですね。
記者(奈良テレビ):
ありがとうございました。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
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