大気汚染防止法の一部改正により、平成30年4月1日から水銀及びその化合物(以下、水銀等)の排出規制が始まりました!
○改正の背景
水銀は全世界を循環し、人為的排出が大気中の水銀濃度を高めているため、世界的に人為的な排出の削減・根絶が必要として、「水銀に関する水俣条約(以下、水俣条約)」が締結されました。条約に基づく排出規制等を措置するために、大気汚染防止法の改正がありました。
○改正内容
1.水銀排出施設に係る届出制度
一定の水銀排出施設の設置又は構造等変更をしようとする者は、都道府県知事に届け出なければなりません。
2.水銀等に係る排出基準の遵守義務等
届出対象の水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定め、当該施設から水銀等を大気排出するものは排出基準を遵守しなければなりません。都道府県知事は、当該施設が基準を遵守していないときは、必要に応じ勧告・命令ができます。
3.要排出抑制施設の設置者の自主的取組
届出対象外であっても水銀等の排出量が相当程度である施設について、排出抑制のための自主的取組を責務として求められます。
◎ 施行期日
平成30年4月1日
◎ その他
改正法の詳細については、環境省HP(外部サイトへリンク)をご覧ください。
対象となる
水銀排出施設 |
施設の規模・要件
(以下のいずれかに該当するもの) |
排出基準(注1)
(μg/N㎥) |
新規施設 |
既存施設
(注2) |
石炭専焼ボイラー |
・燃焼能力(注3)50L/時以上 |
8 |
10 |
大型石炭混焼ボイラー |
小型石炭混焼ボイラー(注4) |
10 |
15 |
一次施設 |
銅又は工業金 |
金属の精錬の用に供する焙焼炉、焼結炉(ペレット焼成炉を含む。)及び煆焼炉/金属の精
錬の用に供する溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含
む。)、転炉及び平炉:●原料処理能力1t/時以上
金属の精製の用に供する溶解炉(こしき炉を除く。):
●火格子面積1平方メートル以上
●羽口面断面積0.5平方メートル以上
●燃焼能力(注3)50L/時以上
●変圧器定格容量200kVA以上
銅、鉛又は亜鉛の精錬の用に供する焙焼炉、焼結
炉(ペレット焼成炉を含む。)、溶鉱炉(溶鉱用反射炉を含む。)、転炉、溶解炉及び乾燥炉:
●原料処理能力0.5t/時以上
●火格子面積0.5平方メートル以上
●羽口面断面積0.2平方メートル以上
●燃焼能力(注3)20L/時以上
鉛の二次精錬の用に供する溶解炉:
●燃焼能力(注3)10L/時以上
●変圧器定格容量40kVA以上
亜鉛の回収の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、
溶解炉及び乾燥炉:
●原料処理能力0.5t/時以上 |
15 |
30 |
鉛又は亜鉛 |
30 |
50 |
二次施設 |
銅、鉛又は亜鉛 |
100 |
400 |
工業金 |
30 |
50 |
廃棄物焼却炉
(一般廃棄物/産業廃棄物/下水汚泥焼却炉) |
● 火格子面積2平方メートル以上
● 焼却能力200kg/時以上 |
30 |
50 |
水銀含有汚泥等の焼却炉等 |
水銀回収義務付け産業廃棄物(注5)
又は水銀含有再生資源(注6)を取り扱う施設
(加熱工程を含む施設に限る。)
(施設規模による裾切りはなし。) |
50 |
100 |
セメントの製造の用に供する焼成炉 |
● 火格子面積1平方メートル以上
● 燃焼能力(注3)50L/時以上
● 変圧器の定格容量200kVA以上 |
50 |
80(注7) |
(注1)既存施設であっても、水銀排出量の増加を伴う大幅な改修(施設規模が5割以上増加する構造変更)をした場合は、新規施設の排出基準が適用されます。
(注2)施行日において現に設置されている施設(設置の工事が着手されているものを含む。)
(注3)バーナーの燃料の燃焼能力を重油換算で表したもの
(注4)バーナーの燃焼の燃焼能力が重油換算10万L/時未満のもの
(注5)水銀回収義務付け産業廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令で規定されています。
(注6)水銀含有再生資源は、水銀による環境の汚染の防止に関する法律で規定されています。
(注7)原料とする石灰石1kg中の水銀含有量が0.05mg以上であるものについては、140μg/N㎥です。
◎ 水銀排出施設の設置・構造変更の届出
以下の場合は、奈良県知事への届出が必要です。(届出先:奈良県景観・環境総合センター)
届出が必要なとき |
届出時期 |
届出書 |
根拠条文 |
水銀排出施設を設置しようとするとき |
工事着手の
60日前まで |
水銀排出施設設置(使用、変更)届出書
(様式第3の5) |
法第18条の28 |
法施行時に、すでに水銀排出施設に
該当するものを設置しているとき |
法施行から
30日以内 |
法第18条の29 |
以下の変更をしようとするとき
・水銀排出施設の構造
・水銀排出施設の使用方法
・水銀等の処理方法 |
工事着手の
60日前まで |
法第18条の30 |
以下の変更があったとき
・届出者の氏名、名称、住所、法人代表者氏名
・工場、事業場の名称又は所在地 |
事由発生から
30日以内 |
氏名等変更届出書
(様式第4) |
法第18条の36
第2項 |
水銀排出施設の使用を廃止したとき |
使用廃止届出書
(様式第5) |
水銀排出施設を譲り受け・借り受けたとき |
承継届出書
(様式第6) |
◎ 排出ガス中の水銀測定について
測定方法は、環境省告示第94号によります。
施設規模 |
測定頻度 |
4万N㎥/時以上の施設 |
4カ月を超えない作業期間ごとに1回以上 |
4万N㎥/時未満の施設 |
6カ月を超えない作業期間ごとに1回以上 |
専ら銅、鉛、亜鉛の硫化鉱を原料とする乾燥炉 |
年1回以上 |
専ら廃鉛蓄電池又は廃はんだを原料とする溶解炉 |
【届出様式】水銀濃度測定記録表
窓口:奈良県景観・環境総合センター
〒633-0062 桜井市粟殿1000
電話 0744-47-3805(直通)