令和4年3月16日 知事定例記者会見

文字サイズ
  • 標準
  • 拡大
背景色
  • 標準

オミクロン株の特性と現在の感染状況に対応した奈良県医療提供体制の再構築に向けての意見交換を踏まえた経過報告

令和4年3月16日 知事定例記者会見

 

【資料全文】(pdf 765KB)

【映像】(YouTube)


 

奈良県では、ウイルスの特性と感染状況を踏まえ、それに対応できる医療提供体制の再構築に向けて、医療関係者と検討を重ねてきました。

本日は、次の各点について、3月10日に開催した「第4回奈良県新型コロナ医療対策会議」において医療関係者から頂いたご意見と、意見を踏まえた県の対応方針等について、ご報告いたします。

1 新型コロナ感染者の療養先トリアージ

2 新型コロナの感染者で、基礎疾患をお持ちの方や高齢の方などの治療・療養方針

3 新型コロナ対応病院などで新型コロナの院内感染が発生した場合の対応

4 後方連携(転院受入)の推進

5 自宅待機者・療養者への新たな連絡体制の運用

 

<参考>第4回奈良県新型コロナ医療対策会議奈良県立医科大学感染症センター笠原敬センター長 説明資料


 

1 新型コロナ感染者の療養先トリアージ

 

(1) 新型コロナ対応病床の占有率は高くなっています。

 

  図表

 

(2) 自宅で療養される方(自宅待機者・療養者)の、総療養者に占める割合も9割を超えるに至っています。

図表

 

(3) また一方、すべての療養者を入院させるとすれば、大都市及びその近郊地域において、その地域の持つ総病床数(一般病床数)を上回る都道府県もでてきます。

(すべての感染者を入院させる方針では、通常医療が成り立たなくなります。)

 

 

図表

 

   1‐(1) 県から医療関係者への問いかけ

 

 

 

以上を踏まえ、
感染者の中から、どのような方々に、優先して入院治療を受けていただくことが望ましいのか、医療関係者に意見を伺いました。

 

 

  1‐(2)医療関係者の意見 

 

 

 

[奈良県病院協会青山会長]
・新型コロナ感染前のADL(※)をしっかり把握した上で、その方を入院させるかどうかを判断することが重要。
・新型コロナ患者に、早期に経口治療薬を投与できる仕組みを作っていくことが重要。

※移動・排泄・食事・更衣・洗面・入浴等の日常生活動作

[南奈良総合医療センター松本院長]
・経口治療薬の処方など、早期に医療介入でき重症化を避けられる方の入院は不要。基礎疾患が重篤で、新型コロナによって急速に死亡するリスクが高い方こそ、入院が必要。

 

[奈良県立医科大学附属病院吉川院長]
・食事ができない、バイタルサインが不安定である、注射薬を用いた治療が必要であるなどの病状的あるいは医学的に入院相当の患者が入院すべき。予防的な入院は必要ないが、入院が必要な状態になったら速やかに入院できる体制であることが大前提。 

 

 

  1-(3)県の対応方針

 

 

 

患者のADLに関する聴取内容や確認ポイントをまとめ、関係医療機関に周知したい
中和抗体薬・経口治療薬の投与など、早期に医療介入ができ重症化を避けられる方の入院は不要との考え方を基本としたい

 

基礎疾患が重篤で、死亡リスクの高い方の入院は必要と考えられる
しかし、県が入院か、高齢者施設か、在宅かの判断をするにあたり、どのような基準に基づけばよいのかについては、引き続き、関係者と協議を重ねたい

 

 

2 新型コロナの感染者で、基礎疾患をお持ちの方や高齢の方などの治療・療養方針

 

(1) 新型コロナ感染症死亡者の年齢は、80代以上の方が、男性では78%、女性では86%となっています。

図表

 

 

(2) また、これらの亡くなられた方々の39%が、新型コロナが直接の死因と認められないと医師の方々が判断されています。
統計上、新型コロナ感染症死亡者の範囲を広くとり、新型コロナが主因で死亡した方でない方も新型コロナ死亡者に含めている結果です。

図表

 

(3) さらに、新型コロナ感染症が死因と医師が認められた方々においても、79%の方が基礎疾患があると報告されています。

図表

 

   2‐(1) 県から医療関係者への問いかけ

 

 

 

以上を踏まえ、
高齢や基礎疾患のある方々が新型コロナに感染された場合、自宅や高齢者施設から新型コロナ対応病床に入院させ、治療をどのように行えばよいのかについて、意見を伺いました。
また、そのような方々が、自宅または高齢者施設内におられる場合、どのように医療サービスをお届けすればよいのかについて、意見を伺いました。

 

 

  2‐(2) 医療関係者の意見

 

 

 

[奈良県医師会安東会長]
・自宅療養者の見守りを強化していきたい。重症化予防のため、経口治療薬(ラゲブリオ)の投与も進めていきたいので在庫保持の拡大(3個→5個)を国に働きかけてほしい。
・まん延防止等重点措置区域に限って、自宅療養者への初診・再診時の診療報酬の特例的な加算がなされた。まん防適用の有無で特例措置に差が出ることがないよう、国に要望してほしい。

 

[奈良県病院協会青山会長]
・食事や運動などで体を動かしADLを上げることで、高齢者の死亡率も減少すると思う。

 

[土庫病院山西院長]
・限られたベッドを有効に活用していくため、新型コロナの発生源を抑えることが必要。クラスターが発生した介護施設や高齢者入院の多い病院は人手がかかるので、医師や介護職等の派遣、物資の支給などの支援が必要。

 

[奈良県立医科大学附属病院吉川院長]
・高齢や基礎疾患のある方にも、従来と同様の質で、医療提供が必要。
・高齢者施設内で感染者が出れば、感染防止のため高齢者施設から避難させるという考え方も必要。また、施設への往診による初期対応で、重症化を予防するという取組も必要。

 

 

  2-(3)県の対応方針

 

 

 

基礎疾患をお持ちの新型コロナ感染者の治療に際しては、新型コロナ病床入院者にも、基礎疾患専門医に参画していただくようにしたい

自宅で療養される方には、
○医師会のご協力を得て、往診や電話等による診療を行う医療機関を拡充する(3月15日時点268医療機関)
○中和抗体薬・経口治療薬の投与体制を充実させる

 

高齢者施設における感染対策(ウイルスを持ち込まないための感染予防)に努めながら、施設内での感染判明に備え、高齢者施設の嘱託医等に医療提供の協力を求めるとともに、新たに医師会に対して、「高齢者施設への往診等を行う医療機関」リストの作成と往診等の協力を要請する

宿泊療養施設において、3月21日(予定)より、新たに中和抗体薬・経口治療薬の投与を開始する

自宅、高齢者施設、宿泊療養施設における医療提供体制の充実については、今後さらに医療関係者と協議を重ね改善を図っていく

 

自宅療養者への初診・再診時の診療報酬の特例的な加算は、全国一律にすべきということであれば、考え方が合理的でないので国への要望はしない

まん延防止等重点措置区域以外の地域で特例的加算が必要な地域があるということであれば、具体的な適用地域の考え方を示されれば検討する

 

 

 

3 新型コロナ対応病院などで新型コロナの院内感染が発生した場合の対応

 

(1) これまで奈良県内の全75病院において、新型コロナ対応病院を中心に院内感染が発生してきています。

図表

 

(2) その結果、院内感染が発生した病院で、発生した期間中には、救急搬送の応需率が大きく落ち込む(66%→53%)傾向が見られます。

図表

 

   3‐(1) 県から医療関係者への問いかけ

 

 

 

 

以上を踏まえ、

新型コロナ対応病院での院内感染を防ぎ、新型コロナ治療と救急搬送を含む通常医療との両立を図るためにも、新型コロナの院内感染をどのように防止したらよいのかについて、意見を伺いました。

 

 

 

  3‐(2)医療関係者の意見 

 

 

 

[奈良県病院協会青山会長]
・院内感染は入院患者による院内への持ち込みが懸念される。たとえ入院時のPCR検査が陰性でも、発熱があれば新型コロナ感染を疑って対応していくことが重要。
・新型コロナ対応のための一般病床閉鎖やマンパワー不足で、新型コロナ対応と救急外来対応の両立は難しい。新型コロナに対応する病院と、一般の救急外来に対応する病院を分けるという考え方も重要。

 

[南奈良総合医療センター松本院長]
・職員に感染者が出た場合の迅速な拡大検査と、濃厚接触患者の個室管理が重要。


[奈良県立医科大学附属病院吉川院長]
・集団生活を前提とする入院施設では対策に限界があるが、入院施設の個室や、対応する職員の数を増やすなど、構造的な改善が必要。もし感染者が発生しても濃厚接触者がでないように、患者・職員は普段から感染対策を徹底することが大事。           

 

 

 

  3-(3)県の対応方針

 

 

 

 

医療機関における即時の拡大検査と早期の濃厚接触者の院内隔離の徹底が必要

医療機関の感染対策のマニュアルを、奈良県立医科大学感染症センター笠原センター長の指導で作成し、周知する

 

 

 

 

4 後方連携(転院受入)の推進

 

(1) これまで県と関係団体が協調し、医療機関に働きかけています。

 

これまでの取組の成果

 

受入病床の確保

新型コロナ患者受入病床
3月15日現在 新型コロナ対応病床を516床確保

※今後3病院5床追加予定

 

透析対応医療機関

新型コロナに感染された透析患者に対応できる医療機関
3月15日現在 8医療機関

 

往診等対応医療機関

往診や電話等での診療を行う医療機関
3月15日現在 268医療機関

 

発熱外来認定医療機関

疑い患者への診療・検査が可能な医療機関
3月15日現在 413医療機関

県民がスムーズに受診できるよう、県のホームページで名称を公表
231医療機関 (413医療機関の内数)

 

 

(2) 一方、病床の占有率は高い水準にあり、新型コロナ病床の負担軽減のため、後方支援病院に新型コロナの軽快患者を移転するための連携体制を構築する必要があります。

グラフ

 

(3) 現在まで48の病院から新型コロナの退院基準を満たした患者の転院受入が可能との回答をいただいています。

転院調整

 

(4) 一方、この1年間で退院基準を満たした患者の受入件数は139件にすぎません。後方連携がスムーズに進まない理由として、「正しい知識の不足によるもの」、「医療連携機能が不充分であるもの」、「病院・施設の体制が不充分であるもの」が挙げられています。

 

退院基準を満たした患者の受入状況

 

 

 

   4-1 県から医療関係者への問いかけ

 

 

 

以上を踏まえ、
推進を図るための参考とするため、転院を受け入れることが難しいと判断される場合、具体的に、転院を受け入れることが難しい理由について伺いました。
また、後方連携(転院受入)を進めるにあたっての課題を、個々の事例について、具体的に、伺いました。

 

 

  4-2 医療関係者の意見 

 

 

 

[奈良県病院協会青山会長]
・各病院に新型コロナ患者を診れるか調査を行った。診ることができない理由として、病院の機能面や人的資源などがあった。一方で、後方病院として積極的な受入姿勢が見えてきたが、受け入れる患者の条件(基準)を示してほしいとの意見があり、整理したい


[奈良県総合医療センター菊池院長]
・新型コロナからは回復したが、基礎疾患があり、継続して入院治療が必要な方への対応(転院調整)について、奈良医療圏では連携の体制を構築し実績がある。

 

 

 

  4-3 県の対応方針

 

 

 

この1年間で退院基準を満たした患者の受入件数は139件にすぎず後方連携の推進が喫緊の課題であることから、県において、転院受入に関するポイントをまとめ、関係医療機関に配付するとともに、各病院に転院調整窓口を設置(明確化)

 

 

 

5 自宅待機者・療養者への新たな連絡体制の運用

 

3月18日(金) 運用開始予定

1次接触・2次接触の体制[9時~21時(毎日)]

郡山保健所 民間委託対応 20名(17時~21時 13名)

中和保健所 民間委託対応 25名(17時~21時 19名)

吉野保健所 保健所職員による対応

 

つながる窓口(電話相談窓口)の体制[24時間(毎日)]

9時~17時  6名(うち専門職2名)

17時~21時 5名(うち専門職3名)

21時~翌9時 3名(すべて専門職)

 

フロー

 

<参考>
第4回奈良県新型コロナ医療対策会議 奈良県立医科大学感染症センター 笠原敬センター長 説明資料

(pdf 432KB)

1日目


2日目


3日後


3日後の実際の感染の広がり


6日後


どうしたら良いか?


早期の拡大検査と濃厚接触者の隔離


 

「濃厚接触にならない」よう普段から注意する

 


院内感染事例への対応

• 有症状の患者が1名でも発生したら、即時に拡大検査

• この患者が初発とは限らない/感染拡大の程度を見極める

• 陽性者の同室患者は濃厚接触者として各々個室へ

• 陽性者の同室患者は陽性になる可能性が高い

• その後の有症状者は即時検査、3~4日後に再度拡大検査

• 患者から、または職員同士の感染職員が出始めるタイミング

• ここが更なる感染拡大を防ぐかどうかの最大の山場

• 病室や病棟をまたぐとまた振り出しに戻る


院内感染が拡大するパターン

• はじめに部屋をまたいで有症状の患者が複数見つかる

• すでに病棟全体に広がっている可能性が大きい

• すぐに病棟全体(患者+職員)の拡大検査を行う

• 濃厚接触者を特定しない(と感染が拡大する)

• 陽性者の同室者などは濃厚接触者として個室管理とする

• 検査が陰性でも濃厚接触者は個室管理/勤務から外す

• 感染対策を強化しない(と感染が拡大する)

• 職員はマスクに加えて目の保護、手指衛生の徹底

• 詰所もレッドゾーンかも。職員同士の接触も最小限に

• 患者は部屋にいるときも常時マスク

• 検査陰性を過信する(と感染が拡大する)

• 最低限の感染対策は継続。職員や患者の症状の有無を常に確認する習慣を。


初動時の情報共有と意思決定

• 初日に関係者が集まって検討会議

• 病院長、看護部長、病棟師長、診療科責任者、感染対策担当者、検査、理学療法士、事務など

• 新規陽性者や拡大検査結果判明時にその都度同様の会議

• 初動時は連日会議になることもありうる

• 会議内容の定型化と議事録作成および共有

• 濃厚接触者、接触者の特定、感染対策(ゾーニング)、検査対象者と検査スケジュール、患者移動、患者説明、病院機能(入院、外来、手術など)など