反田 恭平(そりたきょうへい)さん
第18回ショパン国際ピアノコンクールで2位受賞。2021年に設立した株式会社のオーケストラJNO(Japan National Orchestra)のプロデュースを行うほか、リサイタルやオーケストラとのツアーを国内外で実施。
地域に愛されるオーケストラを目指して
奈良に初めて来たのは、中学校の修学旅行でした。奈良公園や東大寺を訪れましたが、意外と華やかな場所だというのが第一印象でした。2021年に奈良にJNOを設立し、奈良を拠点に音楽活動を始めてからは、奈良は厳かな場所だと感じるようになりました。夜、オーケストラのメンバーと二月堂に行った時は、神秘的でびっくりしました。春日大社でも演奏させていただいたことがありますが、奈良は「The 日本」という感じで、本当の日本が詰まっていると思います。
僕は、以前から音楽の学校を創りたいと思っていました。学校から世界的なソリストを輩出するためには、学校専属でかつプロのオーケストラが必要だと考えていました。世界で活躍するオーケストラで大人たちと共に演奏することで、子どもたちに演奏の楽しさや音楽の素晴らしさを伝えることができます。また音楽学校は、大都市ではなく、自然が豊かで空気が美味しく、文化や歴史がたくさんあり、外国の方がよく来る場所というのが僕が掲げた条件でした。音楽ホールや練習場などの活動拠点があり、そこから少しずつ活動し、県民の皆さんに支えられ応援され、そして国全体に応援してもらえるような、徐々に大きく成長していくオーケストラを創りたいと思っていました。
2018年に、奈良を創業地とする企業がドイツで開催するコンサートに急遽出演したことが縁で、奈良に音楽家の活躍の場であるJNOを創ることにつながりました。現在、世界各地で勉強している17名のメンバーが奈良を中心に活動を展開しています。音楽家にとって、演奏活動はとても大事なことだと考えているので、メンバーには、自分でリサイタルを企画して演奏をしましょうと話をしています。そして、少しでもクラシック音楽の演奏会が増えていくことが初年度の目標です。結構忙しくしていますが、メンバーも楽しんで活動をしていますし、奈良のこともとても気に入っています。
僕自身にとっても、奈良は非常に落ち着く場所で、自分にとってのホームです。帰ってくるところがあり、皆がお帰りといってくれる場所があるので、ショパンコンクールにエントリーし、最後までやりきることにつながったと思います。
今後も、このホームから世界に向けて活動するとともに、音楽家が安心して音楽を学び、音楽活動に専念できるアカデミー(音楽院)の創設に向けて活動を続けていきたいと思います。