令和4年5月12日(木曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○新型コロナ対策の経過報告
○近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関し、公聴会に向け公述書を提出しました
【質疑応答】
○国道168号十津川村内助人トンネル内での事故発生について

 

 

司会:
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 初めに、発表案件についてでございます。本日は、発表案件が2件ございます。まず、1、新型コロナ対策の経過報告について発表いただき、質疑応答の時間を一旦取らせていただいた上で、2の発表に進めさせていただきます。
 それでは、まず、1、新型コロナ対策の経過報告につきまして、荒井知事より発表をいただきます。
 知事、よろしくお願いいたします。

 

 

【発表案件】新型コロナ対策の経過報告

知事:
 では、コロナ対策の経過報告ということで、皆さんにご報告を申し上げます。
 4月22日でしたか、連休に向けて一つの対策を打ち出しました。連休を過ぎまして、その対策の進捗・経過というような内容になろうかと思います。
 2ページ目をお開きいただきますと、新規感染者数の動向が載っておりますが、大阪府との連動というのは変わりはございません。蔓延防止を大阪府ではして奈良県ではしないということに関わりなく、連動しているという状況でございます。
 3ページ目でございますが、救急搬送困難事案が第六波の途中で発生いたしましたが、第五波のときはそういうことはございませんでした。その後、動向が注目されたわけでございますが、この注1に書いてございますが、困難事案というのは、4回以上、あるいは30分以上の待ち時間ということでございますけれども、困難事案は収束に向かっております。一方、救急搬送件数自身は変わりはないという状況がございます。
 4ページ目でございますが、トリアージ基準のその後ということでございます。4ページ目の左の、8%と書いてあります新型コロナ無症状で即時の治療が必要のない方の、原則入院の国トリアージ基準に疑問点を出したところでございます。県トリアージ基準では、原則入院を外そうということにしたわけでございます。原則入院から必要入院に変えたという奈良県トリアージ基準でございましたが、その右のほう、数は違いますけれども、それぞれ入院の必要な方のトリアージができているように見えます。
 その内容になりますが、5ページ目を見ていただきますと、治療が必要な、必要入院の治療、まずコロナ治療ということになりますが、コロナ治療は、このように血中の飽和度の低下などに対応するコロナに対する治療が行われているということを確認しております。当然、コロナ治療が4分の3を占めますので、行われているということでございます。
 もう一つ、6ページ目でございますが、コロナ軽症、基礎疾患重症化懸念というような方が入院されるときに、そのコロナ病床が必ずしも基礎疾患治療が十分でないということが懸念されておりました。コロナ病床で基礎疾患の治療が十分受けられるのかというのが、この6ページ目の最大のポイントでございました。対象は、妊婦あるいは外傷あるいは透析、妊婦・透析が大きなことであったわけですけれども、その入院された方は、コロナ病床に入られても、このような基礎疾患治療が行われているというところまでは確認をできました。
 次に、これが全てのコロナ病床で行われているのかどうかという確認でございますが、7ページ目でございますが、2月18日時点では、併診が、妊婦さんにはコロナ病床29病院のうち2病院でしか行われてなかった、あるいは透析では4病院でしか行われてなかったということの原因を医療関係者に探りました。すると、コロナ病床では、担当が1人であるとかの理由によって併診が行われてないということが分かってきましたので、他の診療科からコロナ病床へはせ参じて併診をするようにということを、これは指導や指揮ができませんので、お願いをしてまいりました。その結果、このように妊婦、透析の治療、併診治療が増加してきたという結果になってきております。このような具体的な方向での動きがあったということでございます。
 8ページ目でございますが、クラスター対策でございます。クラスターが発生して困るのは、医療機関、高齢者施設、障害者施設でございましたが、対象施設について、火気責任者と同様に、コロナ対策・感染対策責任者を任命・登録してもらうということを呼びかけました。その結果、ここに記載のとおり、医療機関では100%の任命・登録をしていただきました。高齢者施設はやや遅れていますが、進んできていることを報告できることをうれしく思っております。このような施設に持ち込まれる方は職員であることが多いと、笠原先生の研究で分かってきております。職員の方が持ち込まれて3日経つと院内蔓延するという事例がありますので、初日隔離をしてもらうということが、任命責任者の最大の仕事、ミッションでございます。そのようなことを中心にこれから展開していこうかというように思います。
 また、このコロナ対策責任者のパフォーマンスの効果の有無を見極めてからでございますが、さらに保育園とか学校についてのコロナクラスター対策責任者ということの任命も視野に入れて、検討を進めたいと思っております。
 9ページ目でございますが、ワクチンの接種でございます。ワクチンの接種は、今まで重症化予防が中心で、かつ感染予防というように、感染をしない、させないために、2つの予防措置がありましたけれども、3回目・4回目ワクチン接種は、効果は減じているものの、やはり効果があるということが分かってきました。また、時間の経過に伴い、効果が減少するということが分かってきております。したがいまして、奈良県では、3回目あるいは4回目の接種を続ける、あるいは加速するということを方針としております。そのようなコロナワクチン接種の状況報告でございます。
 また、コロナのワクチン接種は、高齢者あるいは医療従事者を中心として行ってきましたが、最近の感染者数の半数以上が若年でございますので、若年への接種というのが大きな課題でございました。3つ目のコラムでございますが、その点を視野に入れて、12歳から64歳までの接種率が、現在のところ46%まで上がっているということが大きな報告ポイントでございます。それと、12歳未満の小児接種についても今までよりも進んでいるというように思っております。
 感染者の若年化に対応することでございますが、若年者の方につきましても、コロナではその毒性が弱いということもあって抵抗力はあるかもしれませんが、コロナで若年の方もダメージを受けられることは間違いございませんので、余病併発ということの防止にもなろうかと思います。余病が発生しない、これは高齢者についてはさらに深刻でございますが、若年者についても同じようなことが言えると思います。
 10ページ目でございますが、3回目接種に係る年代別接種率でございますけれども、今、若年層への拡大の中で、40代、50代の接種率が進んできているということのご報告になります。
 また、11ページ目になりますが、県広域接種会場の設置と、広域接種を引き続き進めていきたいと思っております。5月20日からの広域接種会場の設置についてのご報告でございます。
 なお、4回目以降の接種も可能になるように準備を進めているというご報告でございます。
 以上、コロナの経過報告とさせていただきます。

 

 

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま発表いただきました案件につきましてご質問ございます方、挙手にてお願いをいたします。
 読売新聞さん。

 

 

記者(読売新聞):
 トリアージの新基準を定められましたけども、現場の病院等の反応というのはいかがでしょうか。何か声が届いているようであれば。現場で、例えば、運用しやすいと言うとちょっと何かあれですけども、非常に対応がしやすくなったとか、そういった現場の反応があればお願いしたいと思います。

担当部局:
 一部の医療機関から、新しい基準になったことは歓迎するというようなお声をいただいたりですとか、運用を開始して間もない状況ですので、新規感染者数がだんだん減じている中という背景があるというところはございますけれども、特段、混乱が生じているというようなご意見はございませんし、こういった基準になったことでスムーズな対応ができているというようなお声もいただいているところです。今後も状況は、関係者といろいろとお話をしながら、検討を進めていきたいと思っているところです。

 

 

知事:
 これからも様子を見ていかなければいけないと思っておりますけれども、これは今までの方針で大きな変化だと思いますが、原則入院から、私の言葉で言えば必要入院というように大きな変更をしたわけでございます。今までの感染者数抑制のための、飲食店時短などを含む社会活動抑制につながる国の方針が、病床逼迫という、それこそトリアージ基準になっておりました。
 ところが、原則入院であればこそ病床逼迫と感染者増がロジカルにリンクするということになりますけれども、これを自宅療養ができればそれでいいよということにすれば、社会活動を圧迫する要素で病床逼迫という基準が外れてくることになろうかと思います。気がついておられないかもしれませんが、そのような大きな意識といいますか、方針の転換の要素が入っているということをお伝え申し上げたいと思います。

 

 

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問はいかがでしょうか。
 産経新聞さん。

 

 

記者(産経新聞):
 療養先、トリアージの件なんですが、今回のこの運用法では、無症状で即時の治療は必要ない方の入院は、もうなくなったという理解でよろしいんですか。

 

 

知事:
 そう思います。奈良県では、医療関係者と協議をして、このようなトリアージでどうでしょうかということを提案して、それでいきましょうということになって、実行を始めたというように認識をしております。それが遺漏ないかどうかということは経過観察を十分しなければならないというように思いますが、現在までのところ、そのもくろみどおり順調に進んでいるようには思いますが、まだ不測の事態になるかもしれませんので、特に、自宅とか高齢者施設での感染者の扱いということはまだ検討要素として残っております。このような議論に至りました経過は、コロナ病床に入るよりも基礎疾患のある方、あるいは高齢者の方は、高齢者施設とか自宅のほうが、ADLという、その生活環境がいいのではないかということの問題提起でございます。そのような方について原則入院というよりも、むしろ居心地のいいところ、あるいはADLを上げる日常生活の環境を維持できるところのほうが、トリアージの選択先としていいのではないかというのが基本的な目的意識でございますので、現場志向の判断というように思っております。様子を見て、また遺漏があれば変えていくのは当然でございます。オペレーションリサーチの考えでございます。

 

 

記者(産経新聞):
 すみません、あと1点。今回の資料にもありますコロナ病床のある29病院ですけど、前回、コロナ病床以外の病院にもこういった受入れの要請、お願いをしていくということだったんですが、その辺りの進捗度合いというのはどうなんでしょう。

 

 

知事:
 コロナになると、自宅でいるよりも近所の病院に入ったほうがいいよというようなこともありましたが、それをコロナ病床として扱うのか、非コロナ病床としてコロナ患者を受け入れるのか、入院で可能なのか、外来でしかできないのか、コロナ患者の外来受入れというのはちょっとずつ拡大しているように思いますけれども、そのような方向での模索をしているような状況でございます。非コロナ病床でも、例えば透析患者を受け入れてほしいというようなお願いをいたしました。その報告はまだ受けておりませんけども、何か進捗がありましたかね。

 

 

担当部局:
 非コロナ病床の拡充ということですけれども、前回の4月20日の本部会議でお示しさせていただきましたように、現にコロナ対応していただいているところ以外にも呼びかけをさせていただいておりまして、本部会議終了後、直ちに全ての病院、また関係団体等に対して、本部会議の資料を配布等しながら周知いたしまして、実際に担当の方に説明をさせていただいたりですとか、個別に働きかけを今させていただいているところです。そんな中で、今後の検討を前向きにしていただいているところも幾つかございますので、増えていく見込みはあるのかなと思っておるところです。
 また、透析の関係ですけれども、コロナ対応病院ということで現時点、重点医療機関ではないところでも、コロナの患者さんを外来等で診ていただいているところは実績としては既にございまして、透析の体制については、かねてよりどういった体制でやっていくべきかということは、関係機関と議論しているところですので、整理でき次第、また周知等を図っていきたいと思っておるところです。

 

 

知事:
 今ご報告がありましたように、具体的にやりますよというところまで至ってないというように思います。非コロナ病床でコロナ患者を、軽症の人を中心でも受け入れられるかどうかという課題でございます。そのときに、外来止まりなのか、入院まで可能なのか、そのときに他の患者さんにうつさないということが大きな課題でございますので、外来の受付のほうがそういうことが可能なのか、外来の病院内のトリアージができるかどうか。すると、診療所ではなかなか難しいとか、いろんなことがある。発熱外来のように別棟をつくって、そこでその様子を見るというようなことは実際に行われておりますが、例えば、コロナ患者の方の腎臓透析は、わざわざコロナ病床に行くのは遠いから、近所のかかりつけ医にそのまま行きたいという方がおられると思います。それはコロナにかかったときでも受け入れられるのかどうかというのが大きなことでございます。
 また、一般病院に入っても、コロナ時代ですので、お見舞いは抑制されているのが現状でございます。すると、見送りができないというような苦情がございました。これはまだ解決しておりません。コロナ患者さんあるいは一般患者さんが、どのように身内の方と接触ができるのかということの課題はまだ残っておりますので、手探りでございますが、その研究を進めないといけないというように意識をしております。

 

 

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかに、コロナ経過報告の関係でご質問はよろしいでしょうか。
 それでは、次の発表に移らせていただきます。2、近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関し、公聴会に向け公述書を提出しました、につきまして荒井知事より発表いただきます。
 知事、よろしくお願いいたします。

 

 

【発表案件】近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関し、公聴会に向け公述書を提出しました

知事:
 それでは、ご報告申し上げます。報道資料にありますように、公聴会が7月14日に大阪で開催されることになりました。それに対しまして、この5月6日に、国土交通省運輸審議会に公述をしたい旨、意見を述べたい旨を申し入れました。その内容についてのご報告でございます。
 1ページ目をお開きください。「はじめに」に書いてありますが、奈良県にとっての公述をする意味でございます。近鉄の路線の県内の利用者は毎日十数万人に上っております。それに対して鉄道事業の在り方というのは、今まで運賃は鉄道事業者間の調整というのが基本的な考え方でございましたが、地域との共存共栄の観点が運賃値上げの際には入ってくるべきだと思うところでございます。また、運賃増と鉄道会社の地域サービス改善、地域への投資というのはどのようにリンクしているのか、利用者のみならず、地域の為政者としては重大関心事項でございます。
 運賃の値上げというのは、この認可による値上げでございますので、マーケット原則から例外的な措置になりますが、公聴会というのはそのような例外的な措置に対して用意されたものでございますので、県民の立場を代表して述べさせていただきたいというのが趣旨でございます。
 その内容でございますが、このような公述内容を運輸審議会に申し述べることになっておりますので、その概略を申し述べました。その内容をご報告させていただきます。
 1ページ目でございますが、まず、第1の分野で、効率的な経営の確保ができているかどうかという観点でございます。まず、鉄道事業と非鉄道事業との兼業という意味でございます。近鉄という会社の中では、非鉄道事業と鉄道事業が分かれており、私鉄事業の常でございます。近鉄の鉄道事業の比率は13%ということで、兼業比率が大変高くなっております。当然、兼業比率が高いのは、それ自体悪いことではございませんが、その非鉄道事業が鉄道事業を圧迫して、鉄道利用の収益あるいは人材を吸い取っているのではないかという懸念がいつも発生する分野でございます。兼業部門が好調であれば、鉄道事業も恩恵を被るんですが、逆であれば困るよということが、この部門の最大の課題でございます。
 また、そのためには、地域との非鉄道事業の繁栄を図るためには、鉄道は地域を走っておりますので、地域との協働というのが大きな課題でございます。日本の施設、とりわけ関東の施設はそのような方向で長年走ってきておりましたが、関西、とりわけ近鉄にはそのような兆しがなかったように思いますので、これは地域との非鉄道部門の共生はどうなっているのかということ、経営の方針としてはどうなっているのかというのが大きな関心事項でございます。非鉄道事業の繁栄が図られますと、地方にとりましては地方消費税の増嵩ということにも影響しますので、重大関心事項でございます。
 4ページ目になりますが、2つ目のポイントは、その収支状況でございます。鉄道事業が赤字になりまして、鉄道事業兼業の比率は収支としていつも報告されることになります。鉄道事業の営業収益については、このように250億台の営業利益を上げておりましたが、21年期におきましては赤字になりました。これは、赤字になったのは、ほかの企業、鉄道企業も同様でございますが、近鉄のみが値上げをされるということでございますが、近鉄はどうされたんでしょうかということが大きなポイントでございます。ごく素直な質問になります。
 3つ目でございますが、その背景にありますのが輸送人員でございますが、5ページ目でございますが、近鉄のみが輸送人員合計が減少しております。また、定期輸送人員、通勤・通学ということになりますが、それが減少しているのは近鉄のみということになります。鉄道経営の仕方に不備があったのではないか。それを安易に鉄道運賃に転嫁されては困りますよというのが、地域の声ですよということでございます。
 その次のページ目でございますが、客車走行キロ、原単位分析でございますが、このように原単位を書いてございます。営業キロ当たりの営業収益が低い、他社の半分ぐらいでございますけれども、これは路線長が長いということがあるので理解できるものでもございますが、客車走行1キロ当たりの旅客収入が他社に比べてやや低い、これはどういうことでしょうか。路線の構造の違いというのはあります。近鉄は名古屋まで、伊勢まで走っておりますので、そのような路線長の違いがあるのを、どのようにその経営の中で考えておられるのでしょうか。
 これは路線営業主体の大きな経営判断でございますけれども、その大きな通勤・通学の元手になっております近鉄奈良線、橿原線にとりまして、その路線の中での意味はどのように考えておられるのでしょうか。これには路線別収支の開示説明が必要かと思われます。路線別収支でもうかっているところももうかってないところも上げるのでしょうか。すると、もうかっているところからもうからないところ、例えばそのほかのところへ収支を移されるつもりでしょうか、というようなことが大きな論点になろうかと思います。
 その次の、従業員当たりの収益額、投資額でございますが、1人当たりあるいは1キロ当たりの営業収益が、1人当たりの営業収益額、1キロ当たりの設備投資額は大変低いものでございます。驚くほど低いものでございます。これがどういうわけかということでございます。左のほうの1人当たりの営業収益額は、生産性ということになります。生産性が低いのはどのようなことかという説明が要るのではないでしょうかという点でございます。生産性が低い理由として考えられますのは、過剰人員であるとか、非効率的職員の配置とかということ、あるいは効率化投資の遅れということが考えられます。それが他社に比べて、これはすぐに出てくると思いますが、説明責任はおありになるのではないかというように思います。効率化についての、これまでのことについての説明責任がおありになるのではないかと思います。
 また、設備投資額は大変低いということが出ておりますけれども、これについては、旅客の収益性に関係すると思いますが、あるいは後で出ますが快適性投資、特急特化の投資というように見受けられますけれども、旅客の快適性投資はどうなったのか。これは、もっと怖いのは、安全性への投資がどうだったのか。あるいは投資抑制がされてきた理由は何なのか。他社に比べて同じような経営をやってきて、これだけの差があるのはどのようなことであるのかということの、その説明責任がおありであるんのではないかというように思います。
 ざっとした経営についての内容の疑問点でございます。
 9ページ目以降は、サービス内容の水準についての疑問点でございます。
 1つ目は、特急偏重になっていないだろうかという点でございます。特急に多大な投資が行われてきた一方、一般車両については老朽化がほったらかしになってきたように思いますが、その追加料金が一般車両が走っている一般旅客にかかるという今度の運賃改定でございます。特急収支と日常路線収支との関係を、特急と一般車両との関係が明白になるべきだと思います。特急の投資をして一般料金の運賃の値上げで償うようにも見えますが、そのようなことでしょうかというのが疑問でございます。
 特急の観光客が増えるのは、奈良県にとってありがたいことでございますけれども、私の住んでいる近所でございますと、近鉄郡山駅のほうがお客さんが多いと思いますけども、特急は止まらないですけど、西ノ京駅には特急が止まるという状況でございます。そのような、特急運行政策というのはどのようなポリシーであったのか、これの地元説明は、今までこういうのはないのですね。地元無視というのが日本の施設の中の大きな、これは近鉄独特かもしれませんけれども、この際、ポリシーについての説明をしていただければというように思います。
 その次のことでございますが、安全への投資ということになります。近鉄橿原線、私の近所でございますが、視覚障害のある方がお亡くなりになりました。踏切の中の安全性ということに大きな課題を投げかけたものでございます。踏切の中の視覚障害者の安全性確保については、まだまだちょっと責任の分担、これは近鉄だけの責任ではないと思いますが、検討しなければいけないことになろうかと思いますが、何せ踏切の中で起こった事故でございますので、公道と兼用でございますけれども、行政だけに投げかけるわけにはいかないと思いますので、一緒に研究をする姿勢を取っていただけますでしょうかというのが大きなポイントでございます。
 なお、関西の大手私鉄の鉄道運転事故件数を、右のほうでありますと、近鉄が人身事故などは全体の半分を占めております。これはどういうわけでしょうか。これは大きな数字なんですね。このようなことは、ヒヤリハットを含めまして、このような傾向にあるのは大変心配をしております。大きな人身事故が起こる前に積極的に取りかかっていくべき最大の課題だというように見えますが、それについてのご姿勢はいかがでしょうかということでございます。
 その次の11ページ目でございますが、これは快適性への投資でございます。バリアフリーへの投資は、このご案内のように、近鉄は遅れております。バリアフリーについての、これは公的な補助でバリアフリーを進めるということがあって、補助金を増やしてきておりますが、なかなかいけません。かつて遷都1300年のときに、トイレットペーパー有料化は近鉄のみでございましたが、それについては遷都1300年主催者としてクレームをいたしましたら、変えていただきまして、その時点から無料化になったわけでございます。
 右のほうは、近鉄奈良駅の下りエスカレーターがございません。これについての今後のポリシー、ずっとつくられないつもりでしょうかということがポイントでございます。ここにある写真は、北東方面出入口で、これは実は県道でございます。道路の下の県道の階段でございますので、ここに下りエスカレーターをつけようと思って、県の議会で2億円の予算をいただきました。ここに下りエスカレーターをつくろうとして調査を始めますと、この場所は地下の埋設物が、大変支障埋設物がありまして、工事が8億円か10億円ぐらいかかるという報告受けました。下りエスカレーター1つで、この場所がちょっと問題だなということがありまして、近鉄の構内で、2億円の予算を使ってもらっていいから、構内の下りエスカレーターをつくってくれないかということを提案いたしましたが、近鉄の回答は、今でも思い出しますが、県が自ら設置して、県が維持管理をするとつくらせてあげますがと、こういう返事でございました。そのお言葉は今も変わっていないのでしょうかというのが、この大きな論点でございます。近鉄奈良駅下りエスカレーター問題ということにご認識をいただきたいと思います。
 12ページ目でございますが、普通運賃の水準、ここにありますように、左から見ても、高い水準がさらに高くなるということでございます。このような運賃改定はなかなか認められるものではないのですけれども、どのように説明されるのでしょうか。近隣府県と比較しても、近鉄は高いなということが明白にあります。上のほうで、改定率自身が、今度の改定、東急がやりますが、東急と比べても高いものになります。改定が進みますと、このように奈良ー大阪間では680円、760円になりますが、京阪などは400円、480円のままでございます。
 キロ賃という表現がございます。キロ当たり運賃ということでございます。例えば、キロ当たり賃率といいますか、運賃は680円を33キロで割ると20.6円になります。八木-難波間も20.5円でございます。ところが、下の阪急、京阪につきましては、400円を48キロで割りますと8.3円でございます。下のほうは9.2円でございます。キロ当たり賃率が倍以上になりますね。これはどういうことでしょうかというのが、当然の疑問としてあります。これはあまり地元に開示されない資料でございますので、やはりこの際、利用者の皆様にも知って、皆様を通じて知っていただきたい資料、数字でございます。
 これからのサービスの中に、通学定期券の値上げについてでございます。左のほうにありますように、東急は今度の値上げ申請で、通学定期券は据置きということでございます。小田急は、小児を一律50円にするということでございます。近鉄は、通学定期についても値上げを申請されております。2万7,000円を改定後3万円、6か月定期の場合、年間5,000円強の値上げになることでございます。国が、子供のいるお客さんへの所得保障あるいは援助をするというような時代に、国としてどういう判断をされるのか注目される分野でございます。
 右のほうは、県内利用者の負担増試算で、約60億円の負担増になると思われます。国はいろいろ物価高で、いろいろ物価抑制のための予算を提示されようとしている中で、このようなことをされるのかについて、国及び近鉄はどのように説明をされるのでしょうかというのがポイントでございます。
 それから、15ページ目でございますが、沿線関連投資ということでございますけれども、鉄道経営がうまくいく一つの要諦は、地域との共存共栄の姿勢にあろうかと思います。今まで近鉄は、そのような地域との共存共栄の姿勢はあまり見受けられませんでした。1つは、その証拠といたしまして、都心に投資を集中させてこられました。あべのハルカスが1,300億円の投資がありましたのが一つの象徴的でございます。県内のホテル投資は抑制をされてきておりました。近鉄京都駅にはホテルをつくられましたが、近鉄奈良駅にはつくってはいけないというように抑制をされてきておりました。一方、特急車両への投資が進み、一般車両への投資は進まない。投資について、地域から見ると大変アンバランスになっているように思います。日常的利用の値上げをその際、それについて日常的利用者への投資が十分でなかったと見受けられますが、その点をどのように説明をされるのでしょうかというのがポイントでございます。
 その次のページでございますが、沿線関連投資でございますが、上のほうは東急と阪急の投資でございますけれども、住宅地をつくって一方的に都心へ運ぶという従来型の施設経営では成り立たなくなってきているというのが、多くの施設経営の常識でございます。それは、沿線人口が減少するのに対応する、対応が遅れているのではないかという論点でございます。
 二子玉川の投資は、実は渋谷に行くお客さんよりも二子玉川に来るお客様を増やそう、第二のターミナルをつくろうというのが、もう長年かかってされておりましたが、その二子玉川投資は、地域との共存共栄の一つの象徴でございます。阪急西宮ガーデンズも同じでございます。住宅地の高齢化がありますと、退職者、非通勤でございます。退職者は自宅におられます。大阪に行かれることはありませんので、輸送人員減少に必ず続きます。ニュータウンは必ずオールドタウン化するのは必至でございます。そのための関東の施設は、人口構成を、高齢者に偏らないように、まばらにするようにということを長年かかって、何十年かかってしてきております。近鉄のポリシーの変更はあるのでしょうかというのがこの大きな論点でございます。沿線投資をして、通勤の逆輸送を行うということが大きな課題でございますが、そのような方針転向がこの際、あるのでしょうかというようなことでございます。
 右のほうは、JR西日本の新駅投資でございます。これは大変スムーズにいきました。連続立交を、県から国へ申し込んでスムーズにいきまして、高速道路を下、鉄道を上にして、その際、駅をつくるということを県から申入れをして、JR西日本、大変協力的で、1対1対1の三者等分の駅の投資で了解をしております。
 一方、近鉄の同じようなことでございますが、17ページ目になりますが、近鉄西大寺駅について、駅の改良、踏切改良、また平城宮跡の移設について、やっと一歩踏み込んだ対応をしていただいております。
 一方、その右のほうはリニア中央新幹線は、これはJR東海が決められるのですけど、多分、関西本線、JR西日本との接続は、このJR西日本が縦に走っておりますので、どこかで接続して、そこに駅ができる可能性はあろうかと思います。その際、近鉄の駅というのはどのように、近鉄の線はどのようにJRリニア新幹線と接続されるのでしょうか。いろいろ申し込んでおりますが、その中で、1つは、近鉄郡山駅、近鉄と交わるところにリニアという候補がありますが、その近鉄郡山駅設置の意向は不明でございます。その意向は確かでしょうかというのが大きな課題でございます。奈良のリニア新幹線の駅問題に絡む大きなポイントでございます。まちづくりをいたしますと、沿線人口は変わらないかもしれませんが、沿線交流は増加して、輸送人員の増加につながるというのが定石でございますが、そのような方向にかじを初めて切られるかどうかというのが関心事項でございます。
 最後の18ページ目でございますが、同じように駅投資によって輸送人員を増やすというのは、県の提唱している中身でございます。近鉄郡山駅の移設の問題、あるいは奈良県立医科大学周辺・新駅のまちづくり、御所駅中心市街地の駅舎の移転など県が提唱しておりますが、なかなか進みません。このような運賃改定を機会に、このような投資事項につきまして、今までどおりの姿勢でおられるのでしょうか、あるいは積極的に転換をしていただけますのでしょうかというのが大きな関心事項でございます。県民の立場を代表した関心事項を、このような形で提示をさせていただきたいと思います。
 最後のことでございますが、共存共栄を図られるという観点からの意見陳述でございます。また、日常的に鉄道利用をされている県民の方を代表してという意識もございます。
 これらの意見を6日に運輸審議会に申し入れましたので、運輸審議会は9日の時点でこのサイトに発表されているということでございますけれども、なかなか関心も呼ばないことだと思いますので、このような発表の形をさせていただきました。
 重く受け止めていただいて、前向きな対応を期待をしたいと思っております。以上でございます。

 

 

司会:
 それでは、ただいま発表いただきました案件につきましてご質問ございます方、挙手にてお願いいたします。
 日本経済新聞さん。

 

 

記者(日経新聞):
 ちょっと事実関係を教えてください。14日にこのような意見陳述する主体というのは、奈良県だけですか、今のところ。

 

 

知事:
 そうだと思います。おかしいでしょうか。

 

 

記者(日経新聞):
 あと、これ、今回こういう公述書を提出されることによって、知事の見立てとして、近鉄側が運賃を値上げするのをやめるとか、幅を少し減らすとか、そういうアクションがあるというふうに見立てをされているんでしょうか。

 

 

知事:
 この、県が公述することの意味ということになりますでしょうか。

 

 

記者(日経新聞):
 公述することによって運賃が変化があるかどうか、そこら辺の知事の見立てを伺いたいんですが。

 

 

知事:
 ここで今日申し上げたのは、運賃そのものについての説明をしてくださいねということが大きなことでございます。これだけの負担を県民あるいは利用者にかけるわけでございますが、一般企業は大概説明されますよね。日本の公益事業というのは、最近でこそ説明責任ということが随分言われるようになりましたけれども、説明責任のための公聴会ということは用意されております。その利用が十分ではなかったのではないかという意識は持ってきております。このような問題提起をして、利用者あるいは地域との対話というのが大きなことでございます。このような公益事業者、しかも大きな収入を地域からいただいておられる事業としては、地域との対話というのは必須だと私は思っています。そのようなことを実行していただきたいというのが大きな願いでございます。運賃の値上げについてどのようにするかという権限はございませんので、そのときの運賃値上げの納得感というのがより大きな目標にしております。
 それには、運賃値上げが効率的な経営の下での運賃、これはもう法律に書いてあることでございますが、効率的な値上げの下での運賃を収入しなさいよということでございましたが、ご案内のように、今日出しました資料のように、効率的な経営かどうか各社比較すると必ずしもそうでないということが分かってきておりますので、まず説明をしてもらわないといけないということでございます。今日皆様にお伝えしたいことの第1は、説明不足ではないでしょうかということの連続でございます。説明をした上で、その会社の方針を利用者に納得してもらうのが、あらゆる企業の基本的な動作じゃないでしょうか。日経新聞さんが一番よくご存じのお立場だと思いますので、このような言い方をさせていただく次第でございます。

 

 

記者(日経新聞):
 あと、ちょっと素朴な疑問ですが、近鉄はこれまで何度も値上げをしてきていると思うんですけれども、その都度、こういう公述書をされてきたというふうな記録には残ってないんですが、今回初めてこういうアクションされるというのは、このタイミングでどういう理由でしょうか。

 

 

知事:
 今までの公述会とか公聴会の意味は形骸化しておりました。私は担当の一翼を担っておりましたのでよく存じております。公聴会の参加者、利害関係人というような言葉が法律上ございますが、利害関係人を国土交通省は狭く解釈されて、鉄道事業者の利害調整というふうに運賃改定をしておられ、鉄道事業の繁栄のためには地域との対話を促すという方針があまり取られてなかったように思います。今回はそれについての石を投げ込むというような意識もございます。
 利害関係人というのは、地域の住民も大きな要素であります。利用者というのが利害関係人から外れているのはどういうことでしょうかというのが大きなポイントでございます。これは設置法にそのように書いて、利害関係人という言葉がありますけれども、利害関係人は事業者に限られる必要はないでしょう、利害関係人は利用者も含むというのが基本的な読み方ではないかと思います。それが今まで行われてなかったというような運賃の認可は、利害関係人というのは事業者間の調整ということでございましたので、それはちょっと時代遅れのように私は思います。それについての認識を広めたいということが一つはございます。

 

 

司会:
 ほかにご質問いかがでしょうか。
 NHKさん。

 

 

記者(NHK):
 度々今、知事、地域との対話という必要性についてお話をされていますけれども、現状を振り返ると、近鉄側の姿勢というのは、地域との対話が不足していたというご認識なのでしょうか、改めてその辺り、お考えをお聞かせください。

 

 

知事:
 近鉄との対話、近鉄との誰の対話かということになります。
 県との対話というのは、私どもから見た対話のこちらの一方ということになりますが、私が不足していたと思いますのは、近鉄と利用者との対話ということになります。利用者を、またさらに運賃の改定のときでも無視されるのでしょうかというのが、とても厳しい言い方になりますけれども、利用者と対話してください、私どもはその利用者の言葉を代弁してということを書いてございますが、利用者が思っておられる、いろんな利用者たくさんおられますので、その大層、大まかなところの代表ということでございますが、利用者との対話をするのはもう資本主義で大々原則であろうかと思います。このような私鉄では、役所と対話していればいいんだというのが近鉄のポリシーであることは重々承知しているんですけれども、それではちょっと時代遅れではないでしょうか。
 住民ということは、利用者との対話、あるいは将来の利用者になるべく地域の住民との共存共栄に向けての対話というのは必要ではないでしょうかという、その促し方をしたいというふうに思っています。そのような前向きな対話が不足といいますか、なかったように思いますので、今回の公述についての市町村とも意見聴取をしております。市町村の意見を集めて、また公述会では、市町村のいろんなその意見を踏まえて公述をしたいと思っておりますけれども、地域の住民を代表する大きなセクターは公共団体ということになります。
 ほかの団体は、学校法人など様々あると思いますけれども、私どもも一般に代表する地域の代表ということになろうかと思いますので、そのような意見を集めて公述をしたいというふうに思っております。この公述の概要を説明しろという、今の時期でございますので、このような形を県独自でまとめた次第でございます。利害関係人は即住民であると、利用者であるという観点で、利用者の観点で我々への投資が十分だったでしょうか、我々の扱いはちゃんとしてましたでしょうかという立場の陳述が多いと思いますけれども、そのような延長になろうかと思います。そのような利用者との対話をすることによって、会社の経営の安定が図られるというふうに思っているものでございます。

 

 

記者(NHK):
 ありがとうございました。

 

 

司会:
 ほかにご質問はいかがでしょうか。
 共同通信さん。

 

 

記者(共同通信):
 ちょっとこの今の話題とは若干ずれるかもしれないんですけれども、先月の踏切事故の関係で、手前の入り口の点字ブロックが1枚剥がれていたりとか、そもそもこの点字ブロックは、大和郡山市さんのが地元住民からの要望を受けてつけられて、その後は点検・修理については、特に法律の規定もなかったので行われてなかったという現状があると思います。まず1点聞きたいのは、行政として、この踏切の問題点を、どのように変えていきたいとお考えなのか。その上で、近鉄にはこういうことをしてもらいたいというのを伺いたいと思います。

 

 

知事:
 踏切の視覚障害者の人の事故というのは悲惨でございました。どのようにすれば防げたのであろうかということになります。関係者は、道路管理者、これはたまたま市でありますけど、県道の場合もありますので無関心ではおられません。そのときの踏切の中に入る入らない、入ったか入らない、最近進んでまいりましたが、ホームの点字ブロックですね、点字ブロックというぐらいですから、ここから向こうは危ないよということがあります。今の点字ブロックは、設置がありますのは、踏切の中に入るところの点字ブロックと、踏切から線路に落ちる、入ってからの側道の点字ブロックがございます。ところが、今回のケースは、入ったときに出口に向かっているのか、中に入っているのか分からない過程で、遮断機が鳴り出し、パニックになられたというふうに想像ができます。そのような出口方向への点字ブロックというのはまだ開発されておりません。点字でどうこうするというのは大きな踏切内の視覚障害者の安全性確保というのは、まだ検討課題が残っているというふうに認識をしております。例えばホームの点字ブロックが欠けていて、それを知らずに転落されたというのは、そこが欠けていたのが原因だったということは明白でありますけど、今回の事故は欠けてたがゆえに入ってしまったというところまでは、そのロジックはまだ成立してないように思います。もっと広く、踏切の中の視覚障害者の安全性確保という課題が突きつけられているように思います。そのときに、踏切の中は鉄道事業者の敷地で、道路管理者はその道路まででございますが、それが一体となって利用されているという踏切において、その安全性確保は国も関心事項でございます。国土交通大臣が記者会見で述べられておられますように、検討しなければいけないということでございますので、県も国の動向を注目しながら検討していかなければいけないと思います。
 そのときに、近鉄奈良駅の下りエスカレーターやバリアフリーと同じように関心薄いよ、近鉄は関係ないと逃げないでほしいというのが、今のところの申立てで、わざわざこのコラムで出した理由でございます。一緒に考えましょう、地域との共存共栄の中には踏切の安全確保も入ってますというのが、大きなポイントでございます。

 

 

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問いかがでしょうか。発表案件の関係でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 読売新聞さん。

 

 

記者(読売新聞):
 近鉄のこれまでの言い分といいますか、申請の理由を読むと、やはり、ない袖は振れないというか、お金がないから運賃を値上げして、バリアフリー等に回すというような主張をしているかのように感じます。この公聴会というのは、私は審議会が答申を出すものだと理解していますが、ちょっと何か直接的な言い方になりますけども、勝算があるとすれば、どの辺りがポイントになると今お考えでしょうか。

 

 

知事:
 鉄道は、競争があると困るのは、同じ路線を走って運賃競争になっても、過剰投資になり、両方とも駄目になります。それを調整して免許という形で、ここは近鉄、ここは阪急と分けてきた経緯があります。その代わりに、運賃値上げするときには地域独占になりますので、勝手に上げられず、それは役所が運賃を決めますよという仕組みになっております。資本主義の自由運賃の例外ということになります。
 そのときに、ちゃんとした経営をしたかどうかということを吟味しますよというのが、認可は国土交通大臣がいたしますので、そのときにちゃんとしたその認可をしたかどうかというのを、審議会という、レーマンチェックといいますか、他者チェックでやろうというのが仕組みになっております。
 運輸審議会は、答申をするというのが通常でございます。私は運輸審議会に、運輸省在籍中に毎週、毎日行っていたときもあります。航空路線運賃で毎日、運輸審議会に行って、運輸審議会の答申を得るための諮問説明に行ってたことがあります。それはレーマンチェックですので、素人の方のチェックでやりますよということだから、このような幅広い内容を受け入れていただけると思っております。
 そのときの査定、兼業がちゃんと比率が収支やっているのかどうか、ない袖があるのか、どこか袖が後ろについているのではないかというようなチェックはします。それは運輸審議会ではなく、事務方がします。運賃班という優秀な人がチェックをいたします。そのようなチェックがマーケットの中で正しいかどうかという、その第三者チェックを運輸審議会がするということになります。それは、大っぴらに議論しましょうということになっているんですけれども、自由運賃の例外ですので、大っぴらな議論のほうが望ましいに決まっていますし、大きな影響があります。それが形骸化してきたように思います。
 だから、さきほど日経新聞さんのご質問で、運賃抑制を主張するのかというのは、それはその次の話でございます。納得感がある値上げであればいいですが、というのが今の時点でございます。今の物価高で値上げをするのは皆、気を遣って、輸入材料が高騰しました等、理由を必ず説明されたりします。便乗値上げというのは最近なかなかマーケットの競争が激しいとそういうことはできない状況で、値上げを抑制して売上げを増やす知恵を出されます。
 鉄道事業は、そういうことはございませんので、効率的経営での知恵の使い方が甘いんではないかといつも見ております。その甘い中でも、より甘いんではないかというのが、今日の資料で明白になってきていると思います。それは大っぴらに説明してくださいということでございますので、運輸審議会が、その諮問、答申をするわけでございますけれども、そのための公聴会ということは、そういう仕組みが用意されています。公聴会こそ、利用者の声を聞くべき仕組みだというふうに思っています。
 だから、日経新聞さんが言われたように、その影響をどのように与えるか分かりませんが、運賃値上げのこの価格形成の原点に返りますと、利用者の納得感というのが大原則ではないでしょうかというのが一番言いたいところでございます。その原則に基づいて運輸審議会にも訴えていきたいと思いますし、一般の人はなかなかこういう材料をつくれないと思いますが、県のような組織があり、多少の経験もありますので、まだまだ十分ではありませんけれども、このような資料をつくって、公述人としての資料を運輸審議会に投げ込んだというのが今の時点でございます。
 これからの展開が大事かと思います。それは今の運輸審議会の主催される公聴会の場を借りて、公聴会自身が対話の大きな場でございますので、地域との対話をしてもらうというのが大きなポイントでございます。対話をするテーマ、何について言えばいいのかということは、何について教えてほしいですよということを今日、大分出させていただきましたので、大概、公述人は賛成か反対かということを最後におっしゃるんですけど、これからの対話のやり方で、もうとにかくごりごりと押されると一番困ります。地域との対話でそれらしい回答を期待をしております。今後このようにするから値上げをさせてくれよというのが普通の会社の対応ですけども、普通ではないかもしれませんのでちょっと心配はしております。

 

 

記者(読売新聞):
 近鉄側の説明なしに値上げしたことに対する不信感というのが、とても大きいということですね。

 

 

知事:
 そういうことでございます。

 

 

記者(読売新聞):
 不勉強で申し訳ないんですけど、公聴会は、一般的にどのぐらいかかるものでしょうか。

 

 

知事:
 公聴会は一日ぐらいで終わる可能性があります。

 

 

記者(読売新聞):
 ああ、そういうことで。分かりました。ありがとうございます。

 

 

知事:
 大阪でされると聞いております。

 

 

国道168号十津川村内助人トンネル内での事故発生について

司会:
 よろしいでしょうか。
 発表案件の関係、よろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問も含めましてご質問のございます方、挙手にてお願いをいたします。
 朝日新聞さん。

 

 

記者(朝日新聞):
 5月2日に十津川村の国道168号のトンネルであった事故に関してお伺いしたいんですけども、県管理のトンネルで、ワイヤーがぶら下がっていて、そこにバイクがぶつかるという事故でしたが、県管理のトンネルでそういった事故が起きたことについての受け止めをお伺いしたいんですけども。

 

 

知事:
 十津川の助人トンネルですが、大変重大な事故でございます。今おっしゃいましたように、事故の内容はもう既報のとおりでございます。トンネル全体を県が管理していること、それから、県が発注した電線の工事をしていた事業者がいたこと、その2つが大きなポイントでございますが、そのケーブルが垂れ下がっていた。その垂れ下がった原因はどういうことかということが、今、調査が入っております。それは事故責任ということにもつながるということでございます。
 そのようなことで亡くなられたということでございますが、まず、ご遺族の方のお悔やみを申し上げる立場にあろうかと思います。そのときの事故原因の究明、再発防止というのは、基本的な管理者の責任だと思っています。
 亡くなられた方のご家族に、県庁職員が面談に伺っております。そのときのお言葉に私は感銘を受けました。そのお言葉が報道されているところもあると思うんですけれども、5月2日の、県の職員が参りましたときのお言葉でございますが、事故原因をしっかり調査して包み隠さず報告してもらいたいというお言葉でございます。立派なお言葉だと思って感銘を受けました。
 同じことを職員に私からも申し上げております。事故原因をしっかり調査して包み隠さず報告するようにということが、私から職員への嘆願でございます。そのような姿勢で、この事故原因の調査を進めたいと思います。責任にも直結しますので、責任があるからといって包み隠してはいけないよ、当然でございますけれども、警察の捜査、責任捜査が入っておりますので、情報の開示ということは、その捜査内容に関わることでもあろうかと思いますけども、とりわけご遺族の方には包み隠さず申し上げるのが我々のまず第一の義務かと思っております。そのような姿勢で、この事故原因の究明に努めたいと思っております。
 それにしても、トンネルという全体の管理責任のある場所で事故が起こったことについては、申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。このようなことがあるのかということで、びっくりするようなことでございました。なぜそのケーブルがぶら下がったのかということが、事故の直接原因である可能性が強いわけでございますので、それを単なる不幸と思わないで、どのようにそのようなことが起こったのかという究明をして、責任の一端を担っていることは間違いございませんが、原因追及の責任もございますので、ご遺族のご意向に十分沿う形で原因究明を進めていきたいと思います。
 改めてお悔やみを申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。

 

 

司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 幹事者さん、よろしいでしょうか。
 それでは、知事定例記者会見のほうをこれで終了させていただきます。

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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