2023年1月号
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奈良県には農業に活用できる土地の面積(耕地面積)が1万9800ヘクタール(全国44位)と小さく、限られた土地を効率的に利用する必要があります。また、担い手の減少や耕作放棄地の発生などのさまざまな課題があります。
そこで、県では「特定農業振興ゾーン」を設定し、高収益作物への転換や担い手の確保、農地の整備などを集中的に進めています。
今回の特集では、奈良県独自の取り組みである「特定農業振興ゾーン」について紹介します。
奈良県の農業
奈良県は京阪神に近いという立地を生かして、ニーズに合わせたさまざまな作物を栽培しています。農業産出額は395億円(全国45位)ですが、柿や花き(キク)は全国有数の産出額を誇ります。
「特定農業振興ゾーン」を知る
「特定農業振興ゾーン」とは
県では、農地の有効活用と農業の生産性向上を図る区域(ゾーン)として、平成30年より「特定農業振興ゾーン」を設定しています。
地域の特徴に応じたゾーンの計画を県が策定し、地域の実情や課題を踏まえ、ゾーンで具体的に取り組む整備実施計画を市町村が策定しています。
「特定農業振興ゾーン」では、高収益作物への転換や担い手の確保、耕作放棄地の解消や農地の整備など、農地を良好な状態で有効活用するための施策を市町村や地元と協働して集中的、優先的に推進します。
これまでに県内の3市4町で、9地区を設定しました。今後も新たなゾーンの設定に向けて手続きを進める予定です。
これまでの設定状況
平成30年9月 |
広陵町寺戸地区 |
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広陵町百済川向地区 |
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田原本町法貴寺地区 |
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田原本町八田地区 |
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川西町下永東城地区 |
平成31年3月 |
五條市丹原地区 |
令和2年12月 |
宇陀市伊那佐東部地区 |
令和4年3月 |
大和郡山市三橋地区 |
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平群町上庄・梨本地区 |
「特定農業振興ゾーン」での取り組み
地域の特徴を踏まえた高収益作物への転換
地域の農業産出額の向上に向けて、地域に適した高収益物の導入・生産拡大や、JAなどと連携し新たな産地を形成。
多様な担い手の確保
将来の地域農業発展のために、市町村と協力し、農業への新規参入や企業参入など、多様な人材を確保し、生産者の組織化(集落営農)などを推進。
農地の利用集積、整備、耕作放棄地の解消・防止
農作業の省力化や耕作放棄地の解消を図るため、なら担い手・農地サポートセンターと連携し、担い手への農地の集積・マッチングを進め、大区画化や用排水施設などの基盤整備を実施。
施設や機械の整備
生産性の向上や省力化を図るため、スマート農業技術の導入や必要となる施設・機械を整備。
「特定農業振興ゾーン」の生産者の方にお話を伺いました
主にイチゴの「古都華」を栽培しています。「みんなで一つのいいものを作ろう」をモットーに、手間を惜しまず、毎日イチゴに向き合っています。
ゾーンでは、農業の生産体制の拡大にしっかりと取り組めるため、この地域から農業を盛り上げていきたいです。
大和丸なすの栽培は曾祖父の代に始めました。今はトマトや野菜苗も作っていて、地域の大和丸なす苗はすべて当農園が供給しています。
ゾーンの計画は大和丸なすが中心となっていて、産地を盛り上げるような担い手が出てくることを期待しています。
ホウレンソウやミズナなど野菜の有機栽培に取り組んでいます。今年で7年目になり、生産技術は身に付いてきましたが、畑の排水不良や労働力不足など、安定生産に向けての課題がたくさんあります。
ゾーンの設定により、行政と共に、これらの課題が解決できることを期待しています。
県内の「特定農業振興ゾーン」に設定された地を知る
それぞれの地域の特徴に応じた計画を県が策定し、将来に向けたさまざまな対策を市町村・地元と共に実施しています!
広陵町
1 寺戸(てらど)地区
イチゴ産地の復活を目指し、研修施設を設置し、新規就農者を育成。
2 百済川向(くだらかむかい)地区
ナスなどの生産拡大、生産者の組織化(集落営農)、ほ場整備による大区画化を実施。
田原本町
3 法貴寺(ほうきじ)地区
スイカ種苗などの生産拡大、イチゴなどに取り組む農家の育成。
4 八田(はった)地区
ナスやトマトなどの高収益作物の生産拡大と用排水施設の整備。
川西町
5 下永東城(しもながひがしんじょう)地区
結崎ネブカの生産拡大、タマネギなどの高収益作物に取り組む農家を育成。
五條市
6 丹原(たんばら)地区
青ネギなどの生産拡大、生産者の組織化(集落営農)、生産基盤の整備を実施。
宇陀市
7 伊那佐東部(いなさとうぶ)地区
スマート農業の導入により、ミズナやホウレンソウ、有機野菜などの生産拡大と品質向上に取り組む。
大和郡山市
8 三橋(みつはし)地区
次世代への大和丸なす産地の継承に向けて、販路の多様化、作業環境の改善に取り組む。
平群町
9 上庄(かみしょう)・梨本(なしもと)地区
イチゴや小ギクの生産拡大。農道や用排水路、ハウスなどの園芸施設などを整備。
農業を次の世代につなぐ
農地を貸したい、借りたい方は相談を!
なら担い手・農地サポートセンター
「なら担い手・農地サポートセンター」は、限られた農地を有効活用するために農地を貸したい人と借りたい人のマッチングを行っています。平成26年に発足し、これまで約830ヘクタールの農地をマッチングしました。農地を貸したい、借りたいと思っている方は、ぜひご相談ください。
(公財)なら担い手・農地サポートセンター
事務局長
田中 利亨(たなかとしなが)さん
農地は、農家の方の高齢化や後継者の不在などで耕作できなくなると荒れていきます。当センターは農地が荒れる前に、耕作してくれる農家へ農地のマッチングを行い、農地を有効に効率的に使ってもらうサポートをしています。貸し手と借り手の要望をきっちりと聞き、お互いが納得してマッチングできるよう誠実な対応を心がけています。
今後も、農地を有効に活用するため、県や市町村をはじめ関係機関と連携してマッチングを進めてまいりますので、農地を貸したい方、借りたい方は、ぜひ、なら担い手・農地サポートセンターにご相談ください。
所
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橿原市畝傍町53番地 |
電話
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0744-21-5020 |
買って応援!
県との協定直売所ネットワーク
「地(ち)の味(あじ) 土(つち)の香(か)」
県内には新鮮な農産物を購入できる直売所が多くあります。「地の味 土の香」で検索すると、協定直売所各店舗の詳しい情報が確認できます。
奈良県の農と林と食のアンテナショップ
「奈良のうまいものプラザ」
JR奈良駅ビエラ奈良1階にある「奈良のうまいものプラザ」。県産の農産物や加工食品、奈良の特産品などを販売するほか、県産食材をたっぷり使ったメニューを提供するカフェレストランも併設されており、奈良の魅力を発信しています。年中無休。
時
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7時〜21時(レストラン 7時〜15時、17時〜21時) |
所
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奈良市三条本町1-1 |
電話
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0742-26-0088 |
知って・食べて応援!
おいしい奈良の食材のレシピを紹介
おいしい食材が多くある奈良。その食材を知り、奈良の魅力を味わっていただきたく県産食材を使ったレシピを広報紙やHPなどで公開しています。
新発見!おいしい奈良
「新発見!おいしい奈良」は県民だより奈良で掲載しているコーナーです。県産食材を使った家庭で作れるレシピを隔月で紹介しています。過去に掲載したレシピはHPで公開しています。
これからの季節にぴったりのレシピもありますので、ぜひ確認してください。クックパッドでもレシピを公開しています。
詳しくはこちら▼
美味しい奈良のレシピ
県産食材をよりおいしく食べて欲しいと12名のシェフが家庭で作れるレシピを伝授。シェフならではのアイデアや調理法、食べ合わせの工夫などを参考に、おいしい奈良の食材をお楽しみください。
詳しくはこちら▼
問
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県担い手・農地マネジメント課 |
電話
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0742-27-7615 |
FAX
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0742-27-5351(特定農業振興ゾーンについて) |
問
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県豊かな食と農の振興課 |
電話
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0742-27-7401 |
FAX
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0742-26-6211(直売所やレシピについて) |