◆ 諮 問「特定年月日に申請した図書館館外貸出申込書のうち、あなたの申請書に記載したあなたの個人情報 特
定年月日付けで発出した「奈良県立大学附属図書館の利用禁止について(通知)」の起案に係るあなたの
個人情報」の部分開示決定に対する審査請求についての諮問事案
◆ 実施機関 公立大学法人奈良県立大学理事長
◆ 事案の経過 (1)開示請求 平成31年3月19日
(2)決定 令和元年5月17日付けで部分開示決定
(3)審査請求 令和元年8月16日
(4)諮問 令和3年5月18日
(5)答申 令和5年1月6日
◆ 諮問に係る不開示部分
奈良県立大学附属図書館の嘱託職員及び日々雇用職員並びに奈良県立大学学生の氏名
<不開示理由>
条例第14条第2号に該当
あなた以外の個人に関する情報が含まれており、開示することにより、当該個人の権利利益を侵害するおそ
れがあるため
◆ 審議会の結論
審査請求人が特定年月日付けで行った「私が附属図書館をいつからいつまで利用したかわかる文書」の個人
情報開示請求に対し、実施機関は、令和元年5月17日付けで行った個人情報部分開示決定において特定した個
人情報以外に、実施機関は、審査請求人が提出した他の図書館館外貸出申込書など、当該開示請求に対応する
個人情報を改めて探索、特定の上、開示決定等すべきである。
<判断理由>
一般的に、開示請求書の「開示請求に係る個人情報を特定するに足りる事項」欄に記載された開示請求の内容
については、実施機関の職員が、当該記載から、開示請求者が求める個人情報を識別できる程度の記載があれば
足り、請求された個人情報が特定されたものとして扱うことになる。したがって、実施機関が、審査請求人が「
附属図書館をいつからいつまで利用したかわかる文書」という開示請求を、利用の始期と終期が分かる個人情報
の開示が求められていると理解したことは、直ちに誤りであるとまではいえない。
しかしながら、実施機関によると、奈良県立大学附属図書館公開要綱第6条第2項では「館外貸出を希望する者は
、「図書館館外貸出申込書」に必要事項を記入のうえ提出しなければならない。」と規定され、第7条第1項では
「館長は、館外貸出希望者の利用目的その他を適当と認めたときは、希望者に館外貸出カードを交付する。」、
同条第3項で「館外貸出カードの有効期間は、交付日より1年間とする。」と規定されており、館外貸出カードの
有効期間は1年間とのことである。ただし、同カードの有効期間満了後も引き続き館外貸出を希望する場合、図書
館館外貸出申込書を有効期間内に提出しなければならず、有効期間を経過後に申込書を提出した場合は、当初の有
効期間満了日以降に利用資格の空白が生じるとのことである。
そうすると、審査請求人が附属図書館を利用可能であった期間は、間隔をはさんで複数回存在する可能性がある。
このことをふまえて審査請求人の附属図書館利用の始期と終期とを確認するには、審査請求人が提出した図書館館
外貸出申込書を全て特定する必要があると考えるのが相当であるから、審査請求人が提出した他の図書館館外貸出
申込書に記載された審査請求人の個人情報も本件開示請求に対応するものと考える。また、これらの個人情報以外
に、実施機関が審査請求人の利用資格に係る電磁的記録に記録された個人情報を保有しているのであれば、その個
人情報も本件開示請求に対応するものと考えるのが相当である。