令和5年5月2日(火曜日)荒井知事退任会見

司会:

 おはようございます。

 ただいまから荒井知事の退任会見を始めさせていただきます。

 冒頭、知事から発言がございます。その後、記者の皆様からご質問をいただきたいと思います。

 それでは、荒井知事、よろしくお願いします。

知事:

 先ほど退任式もありまして、ご挨拶させていただきました。気持ちは同じでございますけれども、16年間、仕事をさせていただいて、職員の方の奮励努力は本当にすばらしかったというように改めて思います。感謝の気持ちとともに、誇らしい気持ちになるわけでございます。退任式でも申し上げましたが、職員の人たちにやればできるのだよというように激励の言葉を申し上げましたが、そのような気持ちで、この記者会見にも挑んでおります。

 16年間の仕事は、村井副知事にいろいろ言っていただきましたので、ああ、そうだったのだと思い返すことも多いのでございますけれども、16年間の振り返りの中で、そのちょうど16年前からになりますと、この5月の後半ですか、周産期の妊婦搬送事案というのが起こりまして、医療が、特にNICUとか、周産期の病床が少ないことが分かりました。私は何も知らないときに起こってしまったのですけど、5月の赴任で、5月に起こりましたので、東京に、同じ参議院の同期だった舛添さんが厚労大臣をされていましたので、そのおわびに上京したことを覚えております。その後、医療の改革に努めまして、今は奈良県は医療が大変進んだ県になってまいりました。きっかけはそういうことでございましたのを思い起こします。東京に上京いたしますときに、ちょうど思っておりましたのは、平城宮跡を国営公園にするというアイデアを持っておりましたので、それもついでに国交省と財務省に陳情に行きまして、その年のうちに年末の予算要求で国営公園が認められるということになりました。当初の思い出というように思い返したものでございます。そのほか、奈良モデルで、当初から市町村と連携をするということでございます。サッカーの監督のオシムさんが言っていたように、ミッドフィールダーになるのだということで、県庁の方向、流儀を決めて、後で奈良モデルと言っていただいたのですけれども、広域消防とか、国保の県営化、あるいは水道の一元化、まちづくりなどにつながってきているように思います。工場の立地、経済の立地件数なども市町村と連携がうまくいったところでは、大変進んでいるように思います。その間、第1期目でございましたけれども、平城遷都1300年がありまして、その際に東アジア中央政府会合いうのを提唱いたしまして、いまだに10年以上続いている状況でございます。それから、福祉の分野でも福祉奈良モデル条例を4年ほど前につくったのと、出所者を県の財団で雇うという、全国でも例のないやり方が進みました。森林環境制度も愛媛大学の村尾行一さんの指導で、日本の森林行政と全く違うやり方が奈良ではできるようになりました。それから、イベントでは、奈良マラソンとか、ムジークフェストなどが10年を迎えるようになりました。県庁の人が新しいことに取り組むことをたくさんしていただきまして、16年たちますと、誇らしく、うれしい限りでございます。

 そのような仕事をさせていただくきっかけをいただいたのは、柿本前知事に知事選に出なさいと促されたことがきっかけでございました。参議院の公認候補でございましたけれども、知事選に転換するということを決断いたしまして、そのようなきっかけでございましたので、仕事をしないと罰が当たるのではないかというぐらいの気持ちで仕事をさせていただいて、このような機会をいただきました柿本さんには、改めて感謝を申し上げたい気持ちでございます。仕事を一生懸命したことだけは認めていただけるのではないかというように思います。職員の奮励努力がこれからも続きますように、奈良県の発展は県政の奮励努力に、大いに踏ん張りにかかっているようにも見えますし、そのように県政が奮励努力すれば奈良県が発展するというようにも分かってきましたので、奈良県政の発展、また、奈良県の発展に心からご祈念申し上げたいというように思います。

 16年間の思い出は、村井副知事がおっしゃっていただきましたように、いろいろございますが、感謝の気持ちでいっぱいでございます。県政の発展を心からご祈念申し上げて、退任のご挨拶にさせていただきたいと思います。以上でございます。

司会:

 ありがとうございました。

司会:

 それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いします。

 NHKさん。

記者:

 先ほど退任に当たってのお気持ちをお話しいただきましたけれども、4期16年を振り返って、今の率直な気持ち、やり切ったというような充実感ですとか、どういったお気持ちでいらっしゃるかということをお話しください。

知事:

 退任の気持ちということを改めてお問合せになりました。先ほど申し上げましたように、感謝の気持ちがほとんど満タンでございます。感謝の気持ちと、職員がやってくれたというので、誇らしい気持ち、そのような気持ちでございます。退任の気持ちというのは、そのように思っています。

記者:

 今後の奈良県について、どのような奈良になったらいいというふうにお考えですか。

知事:

 奈良県政は、私の場合もそうだったですけど、知事が新しい県政を引っ張られますので、奈良県政の発展が奈良県の発展につながるということは確かでございますので、奈良県が発展するようにということを祈念いたします。具体的にこうということはございません。奈良県が発展すればいいと思います。いろんな意味で、やればできる、遅れてきたところもあることは確かでございます。先ほど思い起こしましたが、遅れてきているところの短い足を長くするということで、医療の足が短かったので、医療、足を長くする。経済力が弱いという、雇用が弱いというので雇用、企業誘致をするとか、ホテルを誘致するとかということをやってきたと思いますので、その奈良県政がバランスよく発展することを期待申し上げたいと思います。

記者:

 あと、最後に、今後の政治活動については、今後政治活動について、どのように関わっていかれるか、どのようにされるかということを教えてください。

知事:

 政治活動というのは、もう多分ないと思います。予測するわけではありませんけど、予定はございません。予定はございませんので、自分の政治活動の予定はございません。

記者:

 ありがとうございました。

司会:

 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 読売テレビさん。

記者:

 2点あるんですけれども、まず、4期16年振り返って、ご自身がやってきたことに点数をつけるとすると

100点中何点だと思われますかというのが1点目と、あともう1点が特にこの4期目はコロナもあって、本当にいろんな対策、独自の対策を行われてきたと思うんですけれども、そのコロナのときを振り返って、ああしとけばよかったなとか、何かそういった思うところがあれば教えてください。

知事:

 点数は、自分で現時点でつける点数はありません。私自身の主観的なのは、16年間、よくやってきたなと、その努力賞はあろうかと思いますけれども。政治の結果は、今分からなくても将来分かるというのがあります。将来の点数が上がるかもしれないし、今の質問の仕方も面白かったのですけど、今の点数言えよというのは、政治を今のパフォーマンスで判断しろよというのと同じようなご質問、政治は今やるけども、将来成果が出るのをやる、この時間をつなぐのが大きな役割であろうかというように思いますので、なかなか面白い質問だなと思って。今の点数を言えよというようなのが風潮になっているのだなというように思いましたが、私の点数は、後世でつけていただく点数もあろうかと思いますし、点数も主観的点数と客観的な点数があると思いますので、客観的なのは、今の点数、将来の点数、分かりませんねというような返事にもなります。主観的なのは、今分かりますけども、努力はしてきましたねというように思ったりいたします。その混ぜこぜの点数というご質問のように思いましたので、そのように分析をして返事を差し上げました。

 2つ目のコロナの振り返りでございますけども、最近の読売新聞で割とまともな振り返りが出ていますね。面白い。あれはまともな記事だと思いますよ。今日、1面を見て思いました。あれが、専門家がばっこし過ぎたというような記事がやっと出始めて、だから、時間が経つと皆、冷静に見るのだなという感じがいたしますね。今日の記事で出ていましたけど、あのときに行動経済学の大竹文雄さんが、感染者数だけではなく、経済との折り合いを行動経済学で盛んに言っておられたのですけども、もうもみ消されたような感じですけども、荒井さんもちょっとそのような傾向ありましたね。だから、検証は、そのときの判断、テレビさんだから、そのときに何かぱっと点数が出ないといけないということでありますけど、時が経ってくると、ああいう振り返りの記事が出るは、まだ見捨てたものじゃないなというように思っています。コロナもそんな感じがいたします。

記者:

 ありがとうございます。

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

記者:

 知事の退任式のご挨拶の中で、県職員に対して誇らしいというお言葉がございましたけども、逆に知事が自分自身が誇れるものといいますか、16年間大切にしてきたもの、譲れなかった、譲らなかった思い、そういったものがあったらお聞かせいただけないでしょうか。

知事:

 自分自身で誇るというのは、ちょっとそういうタイプの思考はございませんけれども、大事にしてきたことと言い換えますと、大事にしてきたことはもちろんございます。この知事という職で大事にしてきたことはございますが、これは地方政治でも大事にしなければならないと今改めて思うわけでございます。首長の大事にすべきことというふうに言い換えますと、首長はやはり仕事をするのが大事ですので、党派で数を争って、その数で勝った、負けたというのではなく、政治の中でも首長は政治を通じて、議会との折衝を通じての仕事ですけど、首長は実務を担いますので、まず第1の条件は、真面目にしなければいけないということです。真面目にしない首長も確かにおられます。真面目でないということの私の定義は、選挙に通りたいばっかりで、仕事を適当にするというタイプの人はあまり好きじゃないものでございますので、真面目に一生懸命する首長のほうが私はいい首長じゃないかというふうに主観的な点数をつけております。だから、私自身、誇るべきというよりも、大事にしてきたところは、首長は真面目に一生懸命しなければいけないというふうに思ってまいりました。その点が一番で、ほとんど全てですね。そういたしますと、いろいろ知恵をいただくことが多いです。真面目にするというのは、奈良県をよくしたいという思いがあるからで、奈良県をよくするための真面目さというのは、ほかの市町村でも同じようにあるべきだと私は思います。読売新聞さんの質問されたことを、誇らしくというよりも、大事にしてきたことをというように質問を解釈いたしましたら、真面目にその地域の発展を願うということです。国の政治家であれば国の発展を願うというのが大基本だと思います。そのような人には、いろいろ知恵をいただくということは実感しています。予算もいただいてきましたけれども、県政の発展のために真面目に知恵をいただきたい。知恵の托鉢といって言っておりましたけども、知恵を托鉢するのが役所時代から大きな仕事でございました。知恵をいただきたいなと思って回って、ほっつき歩いたという記憶がございます。だから、真面目に奈良県政の発展を願うということでございますので、それを16年間、努めてきたということは、自分の主観的な意識ではあろうかと思います。私の言葉で言えば、愚直に努めたというふうに思っております。仕事を愚直に追求した。そのときは、天が助けてくれるという、知恵をいただくというふうに思っておりましたので、そのような16年間であったというふうに思います。

記者:

 ありがとうございます。

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

記者:

 県職員の方に対する感謝の気持ちはあったんですけれども、やはり県民あっての県知事職だと思います。現在、県民の方に対して、今どのような思いでいらっしゃいますでしょうか。

知事:

 政治の世界では、県民の中でも、奈良の発展を願う県民と、自分だけのことを願う県民がおられることは確かでございます。県民一般ということは、政治の場では分析が不足してるように思います。一般的には県民の方に支持していただいたので、感謝を申し上げたいと思います。支持するから感謝ということではなく、仕事を真面目にやるから支持するよというような県民の方もおられましたので、そのような方には感謝を申し上げたいというふうに思います。自分だけのことを考える県民もおられることは確かでございます。そのような中で、県民あっての政治というときの、政治は公のものでございますので、今の言い方ですと、私の利益と公の利益があり、公の利益を追求するが公務でございます。職員が宣誓いたしますけども、全体の奉仕者という言葉があります。全体の奉仕者ですから、今の県民という言葉の中で、県民個々の奉仕者ではないということを明言したいと思います。県民全体の奉仕者であるべきだというふうに思いますので、それは皆様も間違わないようにと思います。県民の一部の人が私欲に駆られて反対されることは当然ありますけど、それも県民、市民という名で反対されるわけでございますが、その見極めは皆様の大きな仕事だと思います。公の利益を追求される反対なのか。公の利益といって私欲を差し替えるテクニックが政治の場ではあるということは皆さん、よくご承知のことだと思いますけれども、言葉を曖昧にしないということはこれから日本の政治にとっても大きな意味があろうかと思います。県民あっての政治という言い方はちょっと曖昧な感じがいたしますので、県民の皆様、公の利益向上を狙う県民の皆様の支持については、おかげさまでというふうに思います。そのように言い換えたいと思います。お分かりになりましたでしょうか。

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。ほか、ご質問はよろしいでしょうか。よろしいですか。

 読売新聞さん。

記者:

 再度、幾つか追加で質問させていただきたいんですけども、県政の評価というのは将来判断されるべきでもあり、なかなか自己採点というのは当然難しいというのは承知の上なんですけども、振り返って、この16年間というのが奈良の歴史において、どういう位置づけだったか、どういうものにしたかったか、その点の知事の思いというのを聞かせていただけませんか。

知事:

 奈良の変化というのは、客観的な数字、エビデンスである程度フォローすることができます。主観と客観を混ぜこぜにしないというのが政治で大事なことでございます。エビデンスで振り返る範囲でございますと、先ほどの理論で、椅子のバランスが悪いと。短い足もあるし、長い足もあるというような中で、最も短い足は雇用だというふうに思います。雇用が奈良県では不足してきたと。それは若者の県外流出が激しくなってきた。元から激しいんですけど、ベッドタウンで人口が伸びているときは、若者はまだ子供ですから県外流出がなく、そのときに、将来、子供が就職年代に入ったときにここに雇用がないといけないという政治があれば、奈良県は変わっていたと思うんですけども、そのときにほったらかしだったんですね。そのベッドタウンで人口が伸びた。人口が減ってくると、これから大変だということの気づきが全体として政治的に遅い。今時点の点数を評価したいというような政治よりも、将来的に点数が評価されるような政治に変わることを望みますけれども、この16年間振り返ると、その間の時間があります。前と今という比較は、時系列の比較ができるという、政治の大きなことでありますので、ぜひそのような手法を皆さんも取っていただけたらと思います。その間が長いほど、変化が分かる。確かに16年間で大きな変化がございました。例えば経済では、有効求人倍率とか、女性の雇用率とか。県外就業率はもう大きく下がってきております。医療では、がんの死亡率が大きいということが数字で出てますので、職員の人にやればできるよということを言ったのは、そういう数字の裏づけがあるからでございます。それを追い続けるような政治のほうがいいと思います。EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングには、日本はまだなかなかなれないような状況ですけども、殊さらエビデンス・ベースドを主張してきたものでございますので、このような場での対話でもエビデンス・ベースドに変わればいいなというふうに改めて思います。何がよくなったのかということが具体的に数字で出るようになったほうがいいかと思います。経済の今のような工場の立地件数、雇用力の増加という、今まで欠けてたこと、脱ベッドタウンで狙ってきたことが数字で出るようになりましたということはあろうかと思います。16年間の振り返りを数字で見ると、よく分かるというふうに思います。

記者:

 分かりました。

 知事と会話をしてると、そういう何か政治への向き合い方、考え方というものを非常に強調されていたように今改めて感じるんですけども、そういった意味で、何かこのお気持ち的なものにまたなってしまうんですが、やはり就任直後に妊婦の搬送問題等もあり、知事職というのは、すごく人の、県民の命を預かる重責というものをずっと人知れず感じていらっしゃったんではないんかなと思うんですが、その16年間を終えて、今どうでしょう。ほっとしてるというか、何というか、勤め上げたなという、やり切ったなという、その辺りの思いはいかがでしょうか。

知事:

 政治は、人が住んでる場所の動きでございますので、今申し上げましたように、数字だけで見るわけにいかないのは当然であります。気持ち、感情がいろいろあって、その数字と違う感情が発生することも当然ありますので、その感情が将来的に悪いことにならないよう、いい方向に向かうような感情であれば、そういう国は安心だし、発展するように思いますし、そのような地域が発展するように思いますので、なるべく感情を発展系に向かうように、為政者としては願うばかりでありましたし、これからもそのように願いたいと思いますが、その感情に流されるのをポピュリズムと言われるようでございますので、ポピュリズムにならないようにということを改めて願います。いっときの感情で政治を動かすのは、あまりいい結果にならないということは歴史が証明しておりますので、感情があることは間違いございませんので、それを否定するわけにはいきませんけれども、なるべくエビデンスに基づいて、いい方向に動いているかという確証があったほうがいいし、そのようなことをメッセージでいただく方も確かにおられますので、朝日新聞さんが県民とおっしゃった中に、そのようなエビデンスを見られてる方と、見られてないことがおられることは確かでございます。そのような経験はさせていただきました。いろんな政治の場で複雑な経験もさせていただきましたけれども、先ほどのNHKさんのご質問で、感想ということになりますと、やっぱり感謝と期待といいますか、県政の立場を去るわけでございますので、よくなるようにという期待は持った次第でございます。もちろん、ほっとしてないかという水を向けられたような気がいたしますけど、多分、数日経つとほっとした感がどっと出てくるんじゃないかなと思います。それは、そんなふうにはならないよということは言えない。きっとほっとする気持ちがどっと出るんじゃないかなというふうに思います。

記者:

 ありがとうございました。

司会:

 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 共同通信さん、お願いします。

記者:

 私、17年前に奈良に京都支局から転勤してきて、最初は柿本さんでしたけども、荒井さんになってから、県政担当の初期をさせていただいていました。それで思うと、京都と奈良、どちらも全国的に見れば観光県ということではありますけども、京都が物すごく派手にやっているのに対して、奈良はほんまものがあるのに、なかなか届かない、知ってもらえないという中で、僕が来て、ちょっとそれはもったいないなという気持ちをすごく持っていたんですけども、荒井さんになられて、派手ではないですけども、おっしゃったように、平城宮跡の整備であるとか、そういう奈良でしかできない文化的なことにもかなり取り組んでこられたのではないかなと。それは、荒井さんがおっしゃるように、これからの成果として残っていくのではないかと僕は思っているんですけども、その点、荒井さん自身はどうお考えでしょうか。

知事:

 奈良の観光についてのご質問でございます。私は、観光部長というのを、今の観光庁長官が部長級で2年間したんですけども、当時は、観光が大旅行時代と言われるきっかけ、まだ中国がアウトバウンド出てなかった、日本のアウトバウンドが一番よかったんですね。だから、その当時は日本のアウトバウンドで、お客いらっしゃいというブームが来た時代でございまして、まだ日本は、世界のグローバルな旅行ブーム、ヨーロッパが一番進んでいるわけですけども、アジアでの旅行ブームの先兵、アウトバウンドの先兵なんて、今はインバウンドが大事だということになってきておりますけども、そのような流れの中で2年間仕事をさせていただいて、世界観光大臣会議というのを大阪で初めてした。その後もない、それが唯一の世界観光大臣会議ですけども、今の観光のそのような過程で観光の在り方というのを勉強いたしました。OECDの観光委員会も3年間おりましたので、ヨーロッパの観光を学んだことも影響しています。

 それで、奈良の観光というふうにここに来て見てみますと、観光の要素、幾つもあって、その全部がそろっているほうが観光地としてグレードが高いと思います。食べるのはいいとか、宿泊がいいとか、アクセスがいいとか、皆、Aがつくので、アコモデーションとか、アペタイトとか、アクセスとか、そのような、アトラクションとか、そういうAがつくようにOECDで言ったことありますが、それが今の京都の比較では、奈良は文化財というアトラクションのところではトップクラスだと思いますけども、そのほかのアペタイトという食とか、アコモデーションとか、アクセスというのについては、大分差がある。それを整備していくと観光地のグレードが上がるという作戦だったのですが、だから、欠けているところを補充しようという作戦で、ホテルの誘致と、これは雇用の戦略とも一致いたしますので、ガストロノミーツーリズムの世界大会をするとかという努力をしてきました。そのような動きがありますので、奈良の観光もそのような動きになってきているように感じております。すると、京都に追いつくとか、その京都のパターンとまた違う、奈良のパターンで、もっと文化財の本質を大事にしようと。深く知ってもらうと。特に先進的な深みが奈良はあると思います。それと国際交流が、京都は国風文化、奈良は国際文化というような違いはある。その違いをもっと本質的なものにしようという。最近できたのは、奈良を深く知る案内書というのが最近できました。それはすごい深みのある、専門家でもなかなか今までまとめた本がなかったので、それを作っていただいたというのが一つの奈良の本質を知ってもらう。そのためには、来てもらわなければいけない。来てもらって説明しなければいけない。すると、思い出に残ると。何か使った、おいしいものを食べた、どこでおいしいものを食べたかぐらいなんですけども、奈良の精神的な文化を、深いよというのは、リピーターにつながりますので、リピーターをつくろうという作戦でもございます。スピリチュアルな奈良ということを基軸にしたらどうか。そのためには、来てもらうためにはアクセスもいいし、食べ物もおいしいし、泊まる場所もあるということにならないと、そもそも見るだけで終わってしまう。まだ通過型観光の要素はありますけど、だんだん滞在型が出てきたと思います。まだまだ京都には、量的な、あるいは質的なレベルは全然違うと思いますけど、だんだんそれを奈良らしく追求するのは、その県政の大きな仕事の一つだというふうに思ってまいりました。いろいろ業界の方は自分たちだけで繁盛したらという思いがありますが、それは県民の方の一つですけど、そうはいかないのが観光のマーケットですので、やはり競争しながら大きくなるというのは京都のパターンであります。街道筋は皆そのようになっています。奈良は閉じ籠もった観光地でございました。だんだんそれをオープンにしようということをやってきましたので、そのようなことを理解していただく方も大分出て、特に東京の人は、奈良に泊まられる3分の1が関東の人ですけど、関東の人は、リピーターが多くて、やっぱり奈良が好きだと言っていただきますので、東海の「いざいざ奈良」も大変いい評判でございます。そのようなことをやっぱり地道にするしかないのが観光政策でございます。

 観光政策に目をつけたご質問をいただいて感謝を申し上げますが、そのような方向が続けばいいなとは思います。それこそ、多くの県民の方のご理解があればというように願うところでございます。ご質問ありがとうございます。

記者:

 ありがとうございました。

司会:

 ほかにご質問はよろしいでしょうか。

 奈良新聞さん。

記者:

 奈良新聞です。よろしくお願いします。16年間激務続きだったと思いますが、今日退任されて、これから何かやりたいことがあるとか、どう過ごしたいとか、その辺、伺えますか。

知事:

 今日の時点で特段ございません。公務はこの会見で最後だと思いますので、あとは離庁式でご挨拶するだけでございますので、そろそろほっとする時間が迫ってきているのかなと思っております。これからの予定はもうないですけど、人生を振り返りますと、知事での16年だけではなく、参議院の6年間も、運輸省の36年間もつくづく、いろいろな方のお世話になってきたなと、ご指導賜ったなというように思います。個人の関係でいいますと、もうそれこそ感謝の気持ちでいっぱいです。知事職の16年間は職員の方中心に県民の方への感謝という気持ちでいっぱいですけども、さらに人生を振り返りますと、いろいろ教えていただいた方々がたくさんおられますので、そのような方々への感謝の気持ちでいっぱいになります。本当に感謝しています。

 これからというのも、先ほど知事職に向かったときの柿本様の話をいたしました。思いもかけないご提案でございました。知事選に出馬しろというご提案でございました。当時は驚きましたですけども、そのようなハプニング的になってしまうこともあります。ただ、先ほどのご質問で、政治活動の予定はございませんので、多分ないと思います。多分というのは変ですけども、ないと思いますけども、個人的な予定というのは、予定ではありませんけども、多分暇ができたら、本が本棚にたくさんたまっていますので、蓄えた本をちょろちょろ見始めるのかな。それも楽しみの一つで、本を見るのと、あとは、実は楽器を今までしていたんですね、クラリネットとか、ピアノとか、バイオリンとか。またちょっと触ってみようかなと。昔おられた朝日新聞の女性の記者が記事でバイオリンを習い始めたよと書かれて、バイオリンは買ったのを持っていましたので、島村楽器店へ自転車でちょっと習いに通ったことはありますけども、ギコギコでもすると楽しいかなと。そんなふうにちょっと想像して、まだちゃんと指が届くかどうか分かりませんけれども、今楽しみは何かというふうに取りますと、そのような楽しみもあるかなというぐらいでございます。

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして荒井知事の退任会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:

 本当に歴代の記者さんたち、思い出す方もおられますけれども、大変お世話になりました。ありがとうございました。このような会見はもうないと思いますので、ほっとします。ありがとうございました。感謝を申し上げます。

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