第6回定例会議(令和5年8月9日開催)

開催概要

議決事項

令和6年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について

1(pdf 3788KB)><2(pdf 2691KB)

<学ぶ力はぐくみ課>

<特別支援教育推進室>

2

令和5年度奈良県社会教育委員の選任について
<学ぶ力はぐくみ課>

 リンクのない事項は、非公開で審議されたものです。

その他報告事項

1

県立高等学校における特色ある教育等の推進について(pdf 701KB) <高校の特色づくり推進課>

2

令和5年度全国学力・学習状況調査の調査結果の概要について(pdf 2366KB)

<学ぶ力はぐくみ課>



令和5年度第6回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和5年8月9日 
 10時30分

 

<閉会>
 令和5年8月9日
 11時55分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(出席)
 田中郁子(欠席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1  令和6年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について

議決事項2  令和5年度奈良県社会教育委員の選任について

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和5年度第6回定例教育委員会を開催いたします。本日は、田中委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項2については、各種委員の委嘱に関する案件のため、当教育委員会においては非公開で審議すべきものと考えます。委員の皆様にお諮りします。いかがでしょうか。」

     ※ 各委員一致で可決

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、本日の議決事項2については、非公開で審議することとします。」

○吉田教育長 「議決事項1『令和6年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択』について、ご説明をお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和6年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について説明いたします。
 今年度は、令和6年度に使用する県立中学校の教科用図書と、特別支援学校(小学部)における検定済み教科書及び文部科学省が著作の名義を有する教科書の採択、並びに学校教育法附則第9条の規定により、特別支援学校(小学部・中学部)における、一般図書、拡大教科書等の採択替えを行います。
  資料の1ページ目、県立青翔中学校が令和2年度に採択した教科用図書を、2ページ目、県立国際中学校が令和4年度に採択した教科用図書を、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令第15条に基づき、令和6年度も引き続き採択いたします。」
 
○岡田特別支援教育推進室長 「続きまして、特別支援学校(小学部・中学部)で使用する教科用図書の採択について説明いたします。
 特別支援学校で使用する教科用図書は、文部科学省の検定教科書、文部科学省著作教科書、学校教育法附則第9条の規定による教科用図書の3種類となります。
 資料の3ページをご覧ください。文部科学省検定教科書の採択については、小学部用の教科用図書については令和5年度が採択替えとなっております。教育効果が高まるような教科用図書を採択するため、各校において児童の実態に即して選定を行いました。中学部は令和2年度において採択替えを行っております。同一の教科用図書を4年間採択することになっているため、今年度は採択替えがございません。
 次に、資料の11ページをご覧ください。文部科学省著作教科書は視覚障害、聴覚障害、知的障害の障害種別に応じて文部科学省が作成したものです。11ページ上段の表が視覚障害者用、11ページ下段の表が聴覚障害者用、12ページから15ページが知的障害者用に選定された教科用図書となっております。
 次に資料の16ページをご覧ください。児童生徒の実態により文部科学省検定教科書及び文部科学省著作教科書の使用が適当でない場合、これらに替えて、学校教育法附則第9条第1項の規定による教科用図書を使用することができます。採択に当たっては、児童生徒の障害の種類やその状態、また能力や特性等を踏まえ最もふさわしい内容のものであるかについて留意する必要があるため、毎年採択替えを行うことができることとなっております。
 令和6年度に使用予定の教科用図書については、各特別支援学校において選定されたものを事務局で審査・検討し、一覧を作成しております。
 以上の選定結果について、教科用図書選定審議会からは、適正に選定されているとの答申をいただいています。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(美)委員 「これだけの数の教科用図書を選定するのは大変な作業だと思います。選定する際の具体的なポイントをいくつか教えてください。」

○岡田特別支援教育推進室長 「系統的に編集されており、各教科の主たる教材として各教科の目標達成に適したのものであるか、上学年で使用することになる教科用図書との関連性があるか、児童生徒の障害種別や特性等に応じたふさわしい内容、文字や表現、挿絵、題材かどうか等があげられます。例えば、知的障害者である児童生徒であれば、理解しやすく、ねらいのはっきりした内容であるか等の観点で選定しています。」

○三住委員 「☆印が付いている教科用図書について説明してください。」

○岡田特別支援教育推進室長 「☆印が付いている本は、文部科学省著作教科書です。文部科学省が著作の名義を有する教科書で、例えば小学部知的障害者用としてさんすう☆からさんすう☆☆☆、中学部知的障害者用として数学☆☆☆☆と数学☆☆☆☆☆があります。児童生徒の実態に応じて使用します。」

○三住委員 「学校ではどのように選定されるのですか。」

○岡田特別支援教育推進室 「各学校において、教科用図書選定委員会を開催して選定を行っています。各学校の教育課程、児童生徒の実態や学習課題等を考慮して選定します。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「県立高等学校における特色ある教育等の推進について、報告いたします。
 このことについては、生徒の可能性や能力を最大限に伸長するために、次のような特色化・魅力化を検討しています。
 まず、普通化等における特色ある教育の推進についてです。
 (1)進学教育の推進については、生徒の進路実現に向け、組織的・計画的に学力向上を図る取組を推進し、学習指導の内容及び方法の工夫改善を図ることを目的として、進学教育重点校と進学教育推進校を指定します。重点校については、生徒の進学希望や進学プロセスの状況に着目し、対象校を絞ります。具体的には、大学入学共通テストの受験者が7割以上の学校とします。また、推進校については、地域の中学校や高等教育機関との連携を実施している状況に着目し、対象校を絞ります。いずれも、地域性にも配慮しながら、重点校は、北部2校、中南部2校で、奈良、郡山、高田、畝傍を予定しています。推進校は、北部は、奈良先端科学技術大学院大学と連携している奈良北高等学校、中部は地元中学校と連携を進める橿原高等学校、南部も地元中学校と連携を準備している五條高等学校の3校を予定しています。重点校・推進校共に、それぞれの目的を遂行するために必要な中核教員の配置を予定しています。
 次に、(2)ICT教育の推進についてです。全ての県立高校の授業では、すでに一人一台端末や電子黒板の効果的な活用など工夫改善を行っていますが、ICTを更に活用し、多様なニーズに対応した学習内容や方法についてさらなる改善を図っていきます。具体的には、山辺高等学校通信制課程をオンライン教育推進校として指定し、オンライン教材を活用した新たな通信教育を実践します。
 続いて、スポーツ・文化芸術活動の推進についてです。こちらについては、部活動の活性化をとおして、生徒の競技力や表現力等を向上させ、進路希望にも活用可能な実績や資質・能力を有することができるよう部活動指導の工夫改善を図ることとします。
 スポーツ・芸術強化校は、全国レベルの実績を有する部活動を、また、スポーツ・芸術推進校は、部活動の状況を総合的に判断し、指定校と指定部活動を今後、決定する予定です。支援については、強化校では、指導力のある教員の柔軟な配置、推進校については、外部指導員等の指導者の招聘を検討しています。
 最後に、専攻科における特色ある教育の推進についてです。これについては、4月20日の定例教育委員会で、その他報告をさせていただきましたように、宇陀高等学校インクルーシブ幼児教育科において、豊岡短期大学とのダブルスクールによる保育教諭の免許取得や、特別支援学校における長期有給インターンシップの実施を予定しています。今後、学校と社会の接続の更なる強化を一層図っていきます。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○伊藤(忠)委員 「進学教育ですが、生徒が自分の進路について学力や生きる力を身に付けてもらうために、県教育委員会が力を入れていこうという取組だと思います。(1)の進学教育については学力向上が目的ですが、受験指導ではなく、生徒が自分の力を付けてより自分の進みたい道に進んでいけるように支援するということと理解しています。いわゆる受験教育や受験指導ではなく、基本的に生徒が自分のもてる力を最大限に生かして、自分の将来の進路に進んでいけるように支援することで、進学教育の意義があると思います。決して受験対策ではない生き方指導のような、今は人生100年時代という生き方みたいな問題が問われていますが、多感な10代のこれから自分の将来を考えていく上で大事な時期に、自分の力を考慮して進みたい道に進んでいけるような後押しをしましょうということでいいと思います。ですから、受験教育や受験指導ではない事をお願いしておきたいと思います。そのための環境づくりとしては、ソフト面では、指導される教員の問題があり、中核教員を配置されたり、教員も進学教育に力を入れられるような、指導力を向上するための研修を受けられる事も大事だと思います。環境面では、例えば自習室、広い部屋でなくても最近流行のブースみたいなものを作ったりすることなどです。今、子供の数が減少する中で、学級数が減ったりして教室が空きます。そういった教室を利活用して、学ぶ環境づくり、ハード面での支援が必要だと思います。具体的に校名が挙がってますが、これはこれまでの状況に配慮して、こういう方向が候補としていいのではないかと思います。
 後、今回のコロナ禍の中でICTが一気に進みましたから、オンライン教育というのも1つのツールとして生かしていくことが重要だと思います。
 スポーツ・文化芸術については校名は挙がってませんが、具体的に大体想定できるような高校があるので力を入れていただきたい。専攻科も、新しい取組でダブルスクールをしたり、インターンシップを活用して社会に出て活躍できる人材育成のための環境づくりという意味で大事だと思います。
 基本的にこの3つのタイプの特色づくりの取組は、奈良県の高校教育の実態に即したものと思います。私が主張したいのは、決して受験対策ではないということです。自由に生きるための力を発揮できるような中で、3つのタイプの特色化を進めていくというのは賛成です。」

○吉田教育長 「進学指導になるとどこに何人入れたかという意識になりますが、進学指導よりも幅広く進学教育を行いたいと思います。例えば、大阪ではグローバルサイエンスハイスクールとして探究活動を10校が取り組み、2月10日に発表会を実施しています。2月に重点校の4校から教員を1人ずつ選んで、大阪府に2週間程度研修に行かせる予定です。2月10日の探究の発表会も視察し、今後、この4校で探究活動の発表会を実施していきます。伊藤(忠)委員の意見を伺い進学教育というのは受験指導ではなく、探究活動を充実させる意味合いも含めて進めていければよいと思いました。」

○伊藤(忠)委員 「生徒側と教師側の観点が必要なので、生徒側では自分が将来どういう道に進んでいくかに力を発揮できるような取組を考えていかなければいけません。教師側では、受験指導になると何人大学に進学したかに関心がいくと辛いところがあります。それはあくまでも進学教育をした結果であり、その辺りをちゃんと整理しておかないと教師も取組に躊躇されるのではないでしょうか。」

○三住委員 「全体的にすごくいい試みだと思いますが、私は発想が基本的に違いまして、進学教育というか、大学入試が中心のところも前面に出すべきだと思っています。具体的には、塾に入って私立の実績のある学校へ入学して優秀な大学へ行くというようなお金を持っている人と、持っていない人とに分断されているこの社会を、県の税金を使って分断のないように戻す。それほど裕福でない家庭も進学で優秀な大学に入学できるようにする。進学だけでなくスポーツ・芸術においても、裕福な家庭が、子どもをいろんな部分で伸ばす社会を、もっと一般の人も伸ばせるようにしていきたい。
 例えば受験に限っても、今までは、勉強の苦手な子どもに合わせて、落ちこぼれをつくらないような社会をつくろうと日本社会は進んできたと思いますが、どんどん学力の高い子どもを伸ばしていくことが必要だということです。今まで学力を伸ばすのは裕福な家庭が多かったと思いますが、そうではなくて公によって伸ばそうとして欲しい。例えば、オリンピックでも強化選手に、国がお金出して強化しています。お金を持っている人がではなくて、公のお金で学力を伸ばそうとして欲しい。その一環として、普通の家庭でもお金持ちの子どもにも負けないように、公立高校での進学実績を伸ばして欲しい。子どもたちが学校に望むものは何かというと、やはり受験で大学に合格させて欲しい。親は、大学に合格して欲しいと要望をもっています。学力の高い子どもだけが伸びるのではなく、勉強の苦手な子どもも伸びる。発想としては勉強の苦手な子どもに合わすのではなくて、学力の高い子どもも伸ばすようにしてあげる。スポーツでも学力にしても、税金を使って伸ばしてあげようとして欲しいと思います。」

○伊藤(忠)委員 「公立学校は公教育の立場がありますので、それをトップレベルだけ集中してやるのは、社会から何か批判があるかもしれないけども、能力のある子どもたちをもっと能力アップして欲しいと思います。」

○三住委員 「スポーツにしても何にしても、子どもが頑張りたいというときに、何か県が頑張りたい子どもを引き上げる。力のある子どもを伸ばし、そうでなくても伸びたい子どもをどのように引き上げるかを施策として考えて欲しい。全体的なイメージはいいと思います。公立高校に入学する生徒が増えればよいと思います。」

○伊藤(忠)委員 「別の視点から、奈良県の置かれている立地の問題があります。大阪、京都とたくさんの優秀な私立高校があり、そこに生徒が結構流れていると思います。高校を選択するときに、県の公立高校か大阪、京都の私立高校か、それと高校だけではなく、大都市圏では結構予備校とか塾があります。要は受験に関するアウトソーシングができるところです。これは、お金がかかりますから、それこそ裕福な家庭は通わせることができるが、公立高校でも自分の将来の進路をしっかり考える力がつけられるんだというように、重点校と推進校を指定しようということですね。」

○吉田教育長 「学力の向上策としては、伊藤(忠)委員が仰るように基礎学力がついて大学進学の希望をもつ子どもの夢を叶えていく必要があると思います。それはAIドリルしかないのかなと思います。個別にどのように学習していくか、また、一番最適に学習できるツールは何なのかを教育研究所が研究しています。三住委員の仰る大学進学を意識させるような活用の仕方と伊藤(忠)委員の視点の両方兼ね合わせ、施策的にどう行っていくかはしっかり考えます。」

○三住委員 「AIはやはり重要だと思います。塾に負けないレベルのものを、いわゆる進学校だけではなく他の学校にも提供していき、勉強だけではなくスポーツなど全ての分野について、AIによって学習すればよいと思います。」

○伊藤(忠)委員 「大学進学は、共通テストから新方式になり学力以外の部分を見ましょうとなっています。そういう意味で、学力向上もあるが、先ほど教育長が言われた探究力とか、学力以外の部分も能力アップしていくこともこの取組の中に入っていると思います。進学教育は進学指導ではなく、教育のところにポイントがあります。」

○伊藤(美)委員 「今の議論とはちょっと外れてしまうかもしれませんが、昨年度生徒指導提要の改訂の作業に関わったときに、大きな方針の転換の1つとして、子どもたちに何かをさせる視点ではなく、子どもたちが自分で動くことを支えるという方向に変えていこうとなりました。そういう意味では、今回の取組は全てそこにも繋がると思います。そこで書き方になりますが、このような方向に期待されるとか、そういう時に何か具体的に子どもたちにどんな力が付けられるのか、子どもたちがどんなふうに成長していくのかが書き込まれるとよいのではないでしょうか。最初の目標に近いところにも書いてはいますが、どちらかというと教師がこうしますというスタンスが強い印象があるので、子どもたち自身がこういった力を付けるや生き方など、目指す子どもの姿が書かれていると、より説得力というか、力強い印象になると思います。」

○伊藤(忠)委員 「ここに書いてある可能性、能力を最大限に伸長するに関わってきますが、生徒たちの自主自立の方向性を引き出すところがこの特色ある教育の1つのねらいであって、学力でもスポーツ、芸術、文化でも、そのツールとしてICTを使っていきましょうとしています。最終的に集約すると探究力になるのかもしれませんが、そういうところを今回の取組の中で追求していこうということなのかなと思います。」

○伊藤(美)委員 「その辺りが、全体から見えてくればよいと思います。」

○上野委員 「非常によい検討をされてると思いますが、普通科の進学教育重点校の基準として大学入学共通テストを受験する生徒が7割以上となっていますが、どういう基準でこの数字をだしていますか。また、予定指定校として重点校、推進校それぞれありますが、共通テストを受験する生徒の割合が何割ぐらいになるのか教えて下さい。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「受験生徒の割合ですが、昨年度の奈良高等学校、郡山高等学校、畝傍高等学校の状況を見ますと、国・数・英を含めた5教科の受験の割合が7割以上受験しており、共通テストを活用した進学を考えている生徒が多いです。高田高等学校については、英語では8割から9割の生徒が受験して進路を考えていきます。このことから、7割という数字を設定しています。他の学校では、5割くらいの学校であったり、割合的にはもう少し低い学校もあるので、この7割が1つの基準となると考えます。」

○伊藤(忠)委員 「奈良県は全県1区です、全国の半分くらいは全県1区ですが、校区制をとっているところもあります。奈良県は全県1区だが、北部・中部・南部と地域性を考えて選択している事も実態に合っています。東京都は重点校、特別推進校、推進校の3段階に分けています。学校数が違いますから奈良県ではこのようには行かないと思いますが、北部・中部・南部と地域性も配慮しています。進学教育で普通科と専門学科を考えたときに、普通科を何とか活性化したいところがねらいですね。活性化という意味では、生徒たちにとって行きたい学校にして欲しいと思います。」

○吉田教育長 「私学の中高一貫教育はかなり進学実績を上げています。高校単独で進学実績を公立で上げていくためには、AI等の学習を導入しないといけないと考えます。」

○伊藤(忠)委員 「学習環境をどのように整えるかですね。義務教育と高校教育、大学をどのように接続させるかが問題で、高校教育のあり方が今問題になっています。1つの壁は受験があるからです。」

○三住委員 「大阪の公立高校は、数年前からものすごく伸びています。中高一貫でなくても高校単体で優秀な高校が実績を上げてます。参考にする部分は何かいろいろあるんじゃないでしょうか。」

○吉田教育長 「大阪府教育委員会は、それぞれの学校で行った探究の活動を10校全体で発表会をすることで刺激になったり、自分に与えられた問題を答えるのではなく、しっかり自分で課題を見つけ、それに対して、1、2年生で取り組ませて探究活動を活性化したりしたのが、功を奏したと話されていました。2月10日は、すごい発表会になるようです。それを奈良県の高校の先生に、見させていただく研修をしたいと思っています。」

○三住委員 「先生が教えるだけではなく、タブレット等で個人個人が勉強すると自信に繋がります。先生と1対1で教育する場面は今より減らして、AIやタブレットを使って自主的にいろいろ調べることと、先生から教えてもらうことを分けるようなことも発想としてあったらいのではないでしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「正に先ほどから話題になってる探究活動は、先生が教えるのではなく、先生はあくまでも、生徒自ら考えた課題について自分たちで考えて探究していく活動をサポートする役割を担います。通常の授業も、チョークアンドトークで説明していく授業から、生徒自らの活動を先生方がサポートしていくような方向に転換しようとしてます。」

○三住委員 「タブレット等で見るときに、発展もあるし基礎もあるという状況で、分かっていない人は、基礎を見て勉強ができる形にすれば、自主的に勉強することがどんどん深まっていくと思います。先生から人間的に受けられる部分をもっと探究した上で進めていくと、教育のあり方が大分変わってくると思います。」

○吉田教育長 「BYODでタブレットをもたせて、授業中に1人1人が違う自分の学力に合った内容をやっていきたいが、そこまでなかなか至ってないですね。でも、将来的にはなると思います。」

○伊藤(忠)委員 「自ら行える生徒だけではないので、自らやっていけるように探究心を芽生えさせて、これを高めていくことが必要です。それは先生の指導力もあるかと思います。最初は、先生の役割が非常に大事になってきます。先生には異動があります。これをどうするかです。固定してしまうのも問題かもしれませんが、中核教員の人事の在り方を工夫する必要があります。ある一定期間は、同じ学校にいないと継続的な指導できません。」

○吉田教育長 「そうですね。人事も考えないといけません。この方向性で、いただいた意見をまとめ、次回に報告していただくことでよろしいですか。他にご意見、ご質問がないようですので、ただいまの件について了承いたします。次のその他報告事項をお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和5年度全国学力・学習状況調査の調査結果の概要について、報告いたします。
 この調査は、令和5年4月18日に小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒を対象として実施されたものです。調査内容は、教科に関する調査と質問紙調査です。
 まず、教科に関する調査の結果について説明いたします。資料1ページ、表の上段の平均正答数を用いて説明をさせていただきます。小学校の国語について、全国の平均正答数は9.4問、本県の平均正答数は9.0問です。中学校の国語について、全国の平均正答数は10.5問、本県の平均正答数は10.0問と、0.4から0.5問下回る結果となっています。算数、数学、英語についても、全国の平均正答数を0.1から0.2問下回る結果となっています。現状を受けとめて、データ分析をしっかり行っていきたいと考えています。
 次に、児童生徒質問紙の調査結果について説明いたします。資料7ページをご覧ください。各質問項目の数値は、左から令和5年度の奈良県及び全国の児童生徒の割合、奈良県と全国の割合の差、及び平成30年度から令和4年度までの奈良県の割合を示しています。また、前回調査より割合が上昇した数値には網掛けをしています。まず、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に関する取組状況です。前回調査と比較して、12の質問項目のうち、例えば『授業では、課題の解決に向けて自分で考え、自分から取り組んでいた』など9項目で割合が上昇しました。ただ、全国平均との比較において、小・中学校全ての質問項目で、1.3から14.0ポイント下回る結果となっています。続いて、英語の学習状況についてです。前回調査と比較して、1項目で、割合が上昇しました。
 資料8ページをご覧ください。ICTを活用した学習状況についてです。前回調査と比較して、4項目全ての小・中学校の割合が上昇しています。挑戦心、自己有用感、幸福感等に関する状況についてです。ほとんどの項目で、前回より肯定的な回答の割合が上昇しています。
 資料9ページ、そして別紙『児童生徒の読書に関する状況』をご覧ください。4月20日の定例教育委員会におきまして、『奈良県は全国に比べて、不読率が高いのではないか』等のご意見もいただいておりましたので、読書活動の状況について説明させていただきます。本年度の児童生徒質問紙調査における、読書に関する状況に関する質問項目は3項目あり、資料上段に児童生徒の回答状況の経年変化について、直近10年間の状況を示しています。『普段全く読書をしない』児童生徒の割合や、『学校図書館等へ行かない』児童生徒の割合は、10年前と比べると、それぞれ上昇しています。また、『読書は好きですか』という質問項目に肯定的に回答した児童生徒の割合は下降しています。次に、『児童生徒の読書に関する状況と国語の学力の相関』について調べました。3つの質問項目は、それぞれ学力と弱い正や負の相関関係が見られました。上段の三つの項目の中でも、相関係数が小さかった『読書を全くしない』という不読率と学力のプロットを示しています。不読率が高い学校ほど、学力が低い傾向が見られます。市町村の不読率の状況についても調べました。令和4年度と比較して、小・中学校ともに改善が見られました。市町村では、小学校では20の市町村、中学校では21の市町村で不読率が改善しました。中でも、小・中学校ともに不読率が改善した2市において、電子図書システムの活用、学校司書の配置や図書館ボランティアの活用、学級や学校図書館への新聞配備、市立図書館と連携した読書活動の推進等の取組を聞かせていただいています。これら2市の教育委員会において、それらの取組と不読率等との関係について分析中とのことです。今後、県では不読率の改善に資する取組を調査し、好事例等について市町村教育委員会とも共有していきたいと考えています。
 今回の調査では、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に関する取組状況においては改善の傾向が見られるものの、昨年度と同様、教科に関する調査や質問紙調査の項目によっては全国平均を下回る状況が見られるため、引き続き課題意識をもって、改善に向けて取り組んでいきたいと考えています。
 今後の学ぶ力の育成に関する取組としましては、まず、8月29日に市町村教育委員会教育長を対象に、また9月中頃には市町村教育委員会の担当者を対象に説明会を開催する予定です。また、10月には教員を対象に、今年度は大学教授等の有識者による講演も含めた説明会を開催したいと考えています。今年度、当課では、県内小・中学校17校を指定し、1人1台端末の効果的な活用の在り方について研究に取り組んでおり、その成果を2月の報告会で周知する予定です。加えて、小・中学校の教科等研究会とも一層連携して、教員等の指導力向上を目的とした研修会等を実施していく予定です。調査結果を真摯に受けとめて、子どもたちの学びに生かしていきたいと考えています。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「読書についてです。子どもが主体的にするとなると、読書ではなくゲームをする方が多いように思います。子どもが主体的に読書をするというのは、難しいように思いますので、学校で10分だけ必ず本を読むというような取組をして、読書率を上げているところもあります。そうすることで、本が好きになる子どもが増えると思います。ネットで調べて得られることもありますが、本でしか得られないこともあります。また、本を読むことで、自分の考えを広げたり深めたりすることができます。短時間でも必ず読書をするという時間をつくった方がいいのではないかと思います。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「多くの小学校では、朝の時間において10分間読書であったり、読書タイムを設けたりしています。また、電子図書館等の図書を活用している学校もあり、読書活動の取組が進められているところです。」

○三住委員 「全ての小学校で読書活動をすることを推奨して、子どもが文章と触れ合う機会をつくった方がいいと思います。」

○吉田教育長 「ショートホームルームの時間は何分ありますか。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「学校によって多少時間の差はあると思います。小学校、中学校において10分から長くて15分程度かと思います。」

○吉田教育長 「ショートホームルームを朝の読書から入るというのはどうですか。」

〇熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「朝の読書から始まっている学校もあります。」

○吉田教育長 「ショートホームルームを朝の読書から始めている学校がどれくらいあるのか、まずは小学校に調査をする必要がありますね。」

○三住委員 「ネットを見たら、全国的にやっているかどうかや、それによってどんな成果を上げているかなどいろいろ分かると思います。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「一度調査をしてみます。」

○吉田教育長 「調査をして、県としてどう読書活動を推奨するかを考えてくださいね。よろしくお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「はい。」

○吉田教育長 「学力調査の生徒の質問紙についてです。『どちらかといえば当てはまる』と『当てはまる』で今まで集計してきましたが、『どちらかといえば当てはまらない』という回答はどう考えますか。」

○伊藤(美)委員 「どういう言葉で定義するかというのは、いろんな議論があります。『当てはまる』があって、真ん中に『どちらとも言えない』、そして『当てはまらない』があります。その中で、違いが出るように、『どちらかというと当てはまる』と、『どちらかというと当てはまらない』を加えて5段階に設定されてるのではないかと思います。」

○吉田教育長 「国は『当てはまる』、『どちらかといえば当てはまる』、『どちらかといえば当てはまらない』、『当てはまらない』の4つで調査をしています。県では、前の二つを足して比べていますが、『当てはまらない』と回答した子どもに着目しなくてもいいのかと思ったのですが、どうですか。現在のやり方では、『当てはまらない』と回答した子どもをどうケアできるのかなと思ったのですが。」

○伊藤(美)委員 「そうですね。」

○吉田教育長 「『当てはまらない』と回答した子どものケアをすることが必要ではないかと思います。」

○伊藤(美)委員 「もしデータがあるのなら、勉強に苦戦している子どもが自己有用感とか幸福感がどうなっているのかなど、もう少しクロスしたような分析ができると、どのようなサポートをしていったらいいのかが見えると思います。
 それと、資料の8ページを見ると、『自分の考えをまとめる活動を行っていた』や『先生や学校にいる大人にいつでも相談できる』など、確かに昨年度よりは上がっていますが、全国と比べると下回っている項目がいくつかあります。そういった一つ一つの項目について、もっと深掘りしてみたいと思います。それをするためには、このパーセンテージだけではなく、その子どもたちは他の質問にはどう答えているのかなど、クロスして分析ができればと思います。また、そうすることで、パーセンテージだけでは見えない部分が見えてきて、この後の策に有効になるのではないかと思います。」

○吉田教育長 「『当てはまらない』を選ぶことは分かるけれど、『どちらかといえば当てはまらない』を選ぶのは、どうなのですか。」

○伊藤(美)委員 「一人一人がどう考えてるかは分かりませんが、真ん中でもないし当てはまらないでもないからこの辺りかなといったように、尺度上の位置付けで答えてくれているのだろうと私は考えて結果を見ています。」

○吉田教育長 「『当てはまらない』と回答している子どもがいれば、なぜと教員は考えます。『どちらかといえば当てはまらない』と回答した子どもについては、そこまで着目しないのではないかと思います。『当てはまらない』と回答した子どもについて、着目し支援をするべきだと思ったので、お聞きしました。」

○伊藤(美)委員 「『当てはまらない』と回答している子どもがどんな子なのか知りたいですね。」

○吉田教育長 「例えば学力との関係がどのようになっているかとかを知りたいですね。」

○伊藤(忠)委員 「子どもの考え方だと思います。積極的と消極的、楽観的と悲観的、それは多分、学校生活を含めて普段の生活の中で自己有用感が関連しているのではないかと思います。」

○伊藤(美)委員 「クロス集計したらいろいろ見えてきます。」

○吉田教育長 「市町村教育委員会教育長を集めた説明会でどのような資料を提示しますか。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「もう少し分析を加えてクロス集計したものを付けたいと考えています。今おっしゃっていただいた『読書活動』、『自分から考えて、取り組んでいく』というところが総じて、弱いように思います。その辺りをクロス集計してまいります。」

○吉田教育長 「よく考えて分析してくださいね。よろしくお願いします。」

○吉田教育長「他にご意見、ご質問がないようですので、ただいまの件について了承いたします。」

 

非公開議案

議決事項2 令和5年度奈良県社会教育委員の選任について

 非公開にて審議

 

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」