2023年11月号
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知事コラム
vol. 5
一 念 通 天
「一念通天(いちねんつうてん)」とは、強い信念を持って努力をすれば、どんなことでも成し遂げられるという意味です。
文化財を守っていく責任
本号で特集している通り、本県には3つの世界遺産があります。これは岩手県・鹿児島県と並ぶ全国最多で、本県が最も自慢できることの一つです。一方で、その世界遺産をはじめとする文化財を守っていく責任が本県にはあります。本県が文化財保護にかけている支出額は年約11億円で、京都府の約15億円などと共に全国平均(約4億3千万円)の2倍以上となっています(令和3年度)。しかし、これは国の宝を守るという誇りのある仕事であると共に、奈良県の観光振興にも繋がりますから、とてもやり甲斐があります。
現在、吉野町の国宝金峯山寺二王門を令和2年から9年間かけて修理しています。これは一旦全部解体した上で、傷んだ部材を修理したり、交換したりして、再度組み立て直すという途方もなく長い作業です。総事業費は約20億円で、寺、国、県、町で分担して負担しています。奈良市の国宝興福寺五重塔も令和4年から9年間かけて屋根の葺き替えを行います。こちらの総事業費は約57億円です。県は、どちらの事業にも各10名以上の職員を専属で配置しています。
県の負担は少なくないですが、未来への責任をしっかりと果たして参ります。なお、興福寺五重塔は塔を覆う工事用の屋根を建設中で、来年10月から約7年間は完全に覆われてしまいます。是非今のうちに室町時代に再建された雄大な塔の姿をご覧ください。
奈良県知事