茅原のトンドは、高さ6mを超える雌雄の松明を燃やす、巨大な松明行事です。トンドは竹や藁(わら)を束ね、正月飾りや注連縄(しめなわ)などを火で焚き上げる行事で、五穀豊穣や地域の安寧を願って全国的に行われています。中でも御所市内には茅原のトンドを中心に、朝顔のような逆円錐(えんすい)の形をした特徴的なトンドが数多く見られます。 吉祥草寺は役行者(えんのぎょうじゃ)(修験道(しゅげんどう)の開祖とされる人物)が誕生した寺院と伝えられており、茅原のトンドは修験道との関わりが深いとされています。
昔は雄の松明を作る玉手地区、雌の松明を作る東寺田地区、松明を支える杭などを立てる茅原地区と3つの地区が役割を分担していました。昭和38年に東寺田が抜けてからは、茅原が雌の松明を作っています。 トンド作りの準備は年明けから始まります。玉手では、毎年1月3日に松明の芯になる柴を集め、寺の倉庫に運び入れます。1月6日には吉祥草寺で催される節会(せちえ)でトンド行事の申し合わせがあり、トンドの大きさやトンド作りの日程、注意事項などが申し渡されます。節会の翌日からは茅原の婦人有志によって浄財集めが行われます。行事直前の日曜日にトンド作りが始まり、まず茅原が雌雄2本のトンドを支える杭を境内に設置し、雌のトンドを組み立てます。行事当日の朝からは、玉手が雄のトンドを作ります。 14日の19時半頃、玉手・茅原双方の地区を出発した行列が吉祥草寺の近くで合流し、手打ちをして出会いの式を行います。そして一行は修験者に先導され吉祥草寺を目指します。20時頃、吉祥草寺境内に入場し、修験者たちが般若心経を唱える中、火付け役が雄、雌の順でその年の恵方の方角から松明に点火します。約30分後、燃え尽きたトンドを確認して両区長が白い扇を上げて終了の合図を出します。トンドの残り火で灯明(とうみょう)(神仏に供える火)をあげ小豆がゆを炊いて食べると一年間無病息災であるといわれており、参拝者たちは火が消えないよう火縄を回しながら家に持ち帰ります。
茅原のトンドは1300年以上続いていますが、行事に参加する人、特に若い人が年々減っていることが課題です。現状、解決策を模索中ですが、今後は学生の力を借りたり、地域外からも参加者を募集したりするなどの取り組みが必要だと考えています。 地域に根差して古くから受け継いできた行事ですので、今後も伝統をつなぐためにも、皆さんの力を借りながら一丸となって活動を続けていきたいと思います。
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