【発表案件】
○ぬくもりあふれる公園プロジェクト
○今年の漢字「危」
【質疑応答】
○人口減少への対策について
○今年の振り返りと来年の抱負について
○定例記者会見の配信方法について
○リニア中央新幹線について
○「地域・経済活性化基金」への積立見直しについて
○国民スポーツ大会について
○鹿苑のあり方について
○奈良マラソンについて
司会:
おはようございます。ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。また、本日配付しております記者会見資料は、奈良県のホームページに、ライブ配信と同時に掲載しております。
本日は、知事からの発表案件が2件ございます。それぞれの発表後に質疑応答の時間を取らせていただきます。
【発表案件】ぬくもりあふれる公園プロジェクト
司会:
まず、1件目の発表案件は、「ぬくもりあふれる公園プロジェクト」についてでございます。
それでは、山下知事から発表いただきます。知事、よろしくお願いいたします。
知事:
お手元の資料の表紙をめくって、1ページ目をご覧いただきたいと思います。このプロジェクトが発案された背景ですが、奈良県こども・子育て推進本部会議におきまして、各部局に子育て施策についての提案を求めました。その中で、県立公園の設備や遊具が、障がい者に配慮されておらず、また、こどもや子育て世帯も含めた誰もが使いやすいものになっていないという指摘がございました。そうした観点から、県立公園を、こども・子育て世帯をはじめ、障がい者、高齢者など、あらゆる世代にとって「ぬくもりあふれる」公園にしていこうということで、令和6年度から令和10年度の5か年で実施することを決定しましたので、今般発表させていただく次第でございます。
対象となる公園は、馬見丘陵公園、奈良公園、大渕池公園、竜田公園、大和民俗公園の5園でございます。なお、注釈に記載していますが、まほろば健康パーク、県営福祉パーク、平城宮跡歴史公園、うだ・アニマルパークにつきましては、既に上記のような対応がなされているので、今回は対象外ということにしております。また、県立橿原公苑につきましては、国民スポーツ大会の会場としての利用を見据えて、現在改修内容を検討中ですので、対象外としております。総事業費は、この5年間で約22億円で、財源は、国庫が11億円、県債が9億円、一般財源が2億円となっております。公園の改修の内容ですが、まず、1番目といたしまして、主要な園路のバリアフリー化ということで、具体的には、園路の段差解消や階段への手すりの設置等を行います。それから、全ての世代にやさしいトイレの整備ということで、便器の洋式化、ベビーチェア、おむつ交換台の設置を行います。また授乳施設につきましても設置いたします。さらに、駐車場におきまして、車椅子の優先区画やゆずりあい区画を設置して、思いやりあふれる駐車場にしていきたいと考えております。また、休憩施設を新たに設置いたします。
2ページ目以降にそのイメージを記載しております。まず、1番目の主要な園路のバリアフリー化ですが、スロープや手すりを設置いたします。馬見丘陵公園、奈良公園、竜田公園、大和民俗公園の4園で実施いたします。2番目は全ての世代にやさしいトイレの整備ということで、ベビーカーや車椅子を使用する方が使いやすいよう、段差のないトイレにするとともに、トイレの洋式化を進めてまいります。資料に記載の5園で実施いたします。
3ページ目をご覧ください。まず、3番目の授乳施設の設置でございます。こちらは、資料記載の5園で実施いたします。また、4番目のおもいやり駐車場も同様の5園で実施をいたします。5番目の休憩施設の設置は、馬見丘陵公園のみで実施いたします。
今申し上げた改修内容を一覧表にしたのが4ページ目でございます。この表を横に見ていただきますと、各公園でどの改修を実施するかご覧いただけます。例えば、馬見丘陵公園でいいますと、主要園路の改修、トイレ5施設の改修、授乳施設5箇所の設置、おもいやり駐車場6箇所の整備、休憩施設2箇所の設置。合わせて事業費は約7億円ということでございます。事業費の下にある括弧内の金額は、令和6年度の予算額でございます。表を縦に見ていただきますと、改修内容別の予算等がご覧いただけるようになっております。
それから、もう1枚、A4横の資料をご覧ください。新規事業を発表するときによく財源について聞かれますので、高校授業料無償化、県立高校トイレピッカピカ5か年計画、ならの道リフレッシュプロジェクト、ぬくもりあふれる公園プロジェクトの4つについて財源構成をまとめたものでございます。一般財源で使うのは、この4事業で合わせて15.5億円で、これまで大型プロジェクトのために地域・経済活性化基金へ積み立ててきた平均額26.7億円の範囲に収まっているという状況でございます。
1件目の発表は以上でございます。
司会:
それでは、本件につきましてご質問がございます方、挙手にてお願いをいたします。
奈良新聞さん。
記者:
これは、来年度からもう工事に着工するということでしょうか。詳しいスケジュールが分かれば教えていただけますか。
知事:
令和6年度から工事に着手します。令和6年度から令和10年度の5か年で終えるということです。
記者:
5つの内容を並行してやるということでしょうか。
知事:
そうです。
記者:
優先順位というものはあるんでしょうか。特にありませんか。
担当課:
それぞれの公園ごとにこれまでの進捗状況がありますので、その進捗状況に合わせて効率的にやっていきたいと考えております。
記者:
これらの改修を行うことで、どのような効果があるとお考えでしょうか。
知事:
子育て世代の方々からすれば、やっぱり子供を遊ばせるところというと、身近なところではまず公園だと思いますので、その子育て世代が使いやすい公園にすることで、こどもを連れていくところがないといったようなことにならないよう、快適な公園空間を提供していくということです。また、高齢者や障がい者の方々も併せて利用されますので、そうした方々にとっても使い勝手のいい、ぬくもりあふれる公園にするということで、より公園を利用する人が増えてほしいですね。利用者数が増えるとともに、利用者の満足度も上げることができればと思っております。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
NHKさん。
記者:
県立、県営の公園について、知事ご自身はこれまでどのようなイメージを持っていらして、今回のプロジェクトを進めるに当たって、どういったところを重点的にやってほしいといった思いなどはありますでしょうか。
知事:
今回のプロジェクトの対象となっている5つの園のうち、馬見丘陵公園、奈良公園、大渕池公園の3つは行ったことがあります。子育てしていたのが大分前ということもありますので、あんまり覚えていないというのもあるんですが、正直、そのときはそれほど使い勝手が悪いとか思った記憶はないんです。ただ、実際に調べてみたら、園路に段差があるとか、授乳施設が足りないとか、休憩施設がないとか、トイレが和式だとかいうことがあったようなので、やっぱりそれはアップデートしないといけないだろうなと思いました。これは職員から上がってきた提案なんですが、それはそうだろうなと思って、やりましょうというふうに申し上げました。このプロジェクトについては、私がこういうことを実体験として感じてやろうと言ったプロジェクトではありません。
記者:
先ほど、利用者を増やして、さらにその満足度も上げていくということをおっしゃいましたけれども、それによって県内に及ぼす効果、例えば子育て世代が増加するとか、具体的に期待している効果はありますでしょうか。
知事:
もちろん、子育て世代の方々に喜んでもらって、奈良県が子育てしやすい場所だと思ってもらえるようにしたいというのもありますし、やっぱりこれから高齢者がどんどん増えていきます。奈良県は健康長寿日本一というのを掲げておりますけれども、それを実現するためには、やっぱり体を動かしてもらうということがすごく重要だと思います。ですから、高齢者の方々にどんどん公園に来ていただいて、体操したり、ウオーキングしたり、あるいは高齢者同士でおしゃべりするだけでもいいと思いますが、そういうふうに公園を高齢者の方々に活用してもらうことが健康長寿日本一につながるだろうと思います。あと、障がい者の方々にとっても、必ずしも公園が障害者目線で整備されていなかった点がございますので、それを解消することで、障がい者も健常者と共に公園を利用してほしいといった思いで実施することにいたしました。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
4ページ目の表に「整備済」と記載されている箇所もありますが、これまでに何らかの計画があって、その延長線上で、基準に達していない部分を補完する計画ということでしょうか。それとも、奈良県こども・子育て推進本部会議での提案があったから、新しく整備するものなのでしょうか。
担当課:
これまでは公園ごとにいろいろ方針や計画があり、それに基づいて整備を進めてきたわけですが、そういった中で新たにプロジェクトを立ち上げたということで、こういった観点で「ぬくもりあふれる公園プロジェクト」として、5施設を対象に、授乳施設やおもいやり駐車場、バリアフリー化など、そういった内容を集約し、テーマを持って進めていくものになったという状況でございます。
記者:
今までは、公園ごとに整備の方針があったということですね。
担当課:
はい。それまでは、各施設の方針に基づいて進めていたものがあったというところでございます。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
知事:
まほろば健康パーク、平城宮跡歴史公園、うだ・アニマルパークなどは、割と新しく整備されたのでバリアフリー対応ができていたということです。県営福祉パークは、そもそもの目的が福祉なので、整備がされていました。開園した時期が古い施設は、やっぱり古いまま残っていたというところもあるんじゃないでしょうか。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
日経新聞さん。
記者:
今回の公園、道に関しても、5年とかにわたるプロジェクトの中で、使い勝手であったり、こうしてほしいという意見が県民から出ると思うんですが、そういうのをフォローアップしていったり、随時出る以外にも、聞いていこうみたいな、そういう仕組みであったりとか、受け付けるような必要性であったり、考えというのは何かありますでしょうか。
知事:
恐らく道路はすごく期待が大きくて、今後、LINEとかでの修繕要望はすごく増えると思うんですね。ですから、修繕要望が多ければ、この前、発表させていただいた予算を増やしてでも、対応していきたいと思ってるんですけど、工事を設計して発注する職員のマンパワーが足りるかという問題がございます。そこさえクリアできれば、道路については、もっともっとスピーディーに、より広範囲に多くの箇所をやりたいと私は思ってて、LINEによる通報などで、県民からの声を吸収できますので、実現できるんじゃないかと思ってるんですけど、公園のほうも、今はここにお示ししたものをする予定ですけれども、今後県民のほうから具体的な改善要望等があれば、それは随時対応していきたいと思います。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
産経新聞さん。
記者:
ぬくもりあふれる公園プロジェクトのトイレのところで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、馬見丘陵公園とかは違うかもしれないですけど、奈良公園とか、観光スポットでもあるところがあると思うんですが、今までも外国人の観光客にとっては、和式が不慣れというのがアンケートであったりするんですけども、そういった観点も考えて、整備など進める方針とかありますでしょうか。
知事:
外国人の意見とか要望を踏まえて、よりそういう要望を実現する方向で整備内容を見直す余地があるかというような意味で質問。
記者:
そうですね。今回のプロジェクトがちょっと。
知事:
どうですか、そこは。
担当課:
資料の4ページに示させていただいた各公園の箇所数等々は、基本はこれをベースに進めていきたいと思っております。個々の施設を見たときに、外国人の方に対応した工夫をどうすればいいかとかいう観点は一つ一つを見て、どんなものになるのかを確認して、進めていくということがこれから必要になってくるとは思っております。
知事:
例えば奈良公園で多言語の表示はどうなってるんですか。
担当課:
私が確認したところでは、既に整備しているところについては、後づけではあるんですけれども、外国語表示してるところもあります。ただ、それは完全ではないと思います。奈良公園内、広い区域に点在してトイレ等がございますけれども、奈良公園というのは、いわゆる外国人観光客が多い部類に入るとは思いますので、その辺りは改めて外国人という視点でも利用しやすいものになっているかどうか、それは改善が必要なものなのかどうか、その辺はまた吟味したいと思います。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
共同通信さん。
記者:
お手洗いのところを追加でなんですけれども、全ての世代や外国人というところはそうなんですが、お手洗いの整備のところで、全ての性別、男性トイレ、女性トイレとかに入りづらい方への配慮というのは、今後考えていくかとか、もう進んでますよというような現状があれば、教えていただければなと思います。
担当課:
今回の検討で、十分に考えが及んでなかったところもあります。今後、勉強させていただいて、進めさせていただけたらと思います。
記者:
ありがとうございます。
【発表案件】今年の漢字「危」
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。
2件目は、今年の漢字でございます。知事、色紙を掲げていただきまして、選定理由をよろしくお願いします。
知事:
まずは、今年の異常気象について、もっと我々日本人は危機感を持つべきではないかというのが私の認識でございます。今年の夏は、日本も世界も、観測史上最高の気温を記録しました。また、奈良県でも初めて、今年の6月に線状降水帯が発生したわけでございまして、いよいよ地球温暖化に伴う異常気象というのが、不幸なことですけど、我々がリアルに感じるようになったのが今年ではなかったかと思います。そして、皆さんもお気づきのとおり、春と秋が短い。そんな季節の移り変わりにもなってきまして、春夏秋冬の季節の移ろいが我が国の魅力の一つだろうと思ってたんですけれども、どんどん亜熱帯気候みたいになっていっているのではないかというような危機感も感じております。先日、UAEで開催されたCOP28でも、やはり計画どおりにCO2の削減が進んでいないということが改めて確認をされたわけでございまして、そういう意味で、この異常気象について、危機感を持って、脱炭素に向けた取組を加速化しなければならないと、そういう危機感を抱いてほしいということで、この漢字「危」を選んだ次第でございます。
もう一つは、ロシアのウクライナ侵略に加えまして、イスラエルとハマスの武力衝突と、国際紛争を武力で解決するというようなことが頻発してきたのが昨今ではないかと思っておりまして、東アジアにおきましても、ご案内のとおり、北朝鮮が、今年、何回ミサイルを撃ったんだと、もう数え切れないぐらいミサイルを撃ったということで、やっぱり国際情勢も非常に危機的な状況になりつつあると思っておりまして、気候と国際情勢という2点からこの漢字「危」を選んだ次第でございます。
司会:
それでは、ただいまの発表案件について、ご質問がございます方は挙手にてお願いをいたします。
奈良新聞さん。
記者:
異常気象のところなんですけども、脱炭素社会への実現に向けて、県として何か取り組んでいきたいことはありますでしょうか。
知事:
来年度から、その取組を本格化させるべく、いろいろと新規事業を考えているところでございます。年明けになりますが、そう遠くない時期に発表させていただきたいと思っております。
記者:
12月議会の一般質問でもありましたけど、大規模太陽光発電施設について、何か政府要望されてたということなんですけど、何か言えることはありますか。
知事:
ちょっと今言えることはないです。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
読売新聞さん。
記者:
今年の漢字を上げられた2点、国際情勢と異常気象というところですけれども、知事が就任されてから、その漢字を絡めて感じられたこととか、県内情勢を含めて、その漢字を選ばれた理由などあったりされますか。国際情勢と異常気象のみで、その漢字を選ばれた形になりますか。
知事:
県政のこととは直接関係ないですけど、あえてこじつけるとすれば、私が当選していなければ、前知事の大型プロジェクトがそのまま進行して、奈良県の財政が危機的な状況になっていたんではないかと。それを食い止めることができたという点では、この字が関係あるかなというふうに思います。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
人口減少への対策について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、その他のご質問も含めまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いをいたします。
読売新聞さん。
記者:
本日の午後に、30年後までの地域別の推計人口が研究所から発表される予定でして、まだ詳しい数値等は発表されてないのですけれども、奈良県でもかなり厳しい人口減少が見込まれる数値となると考えられています。これまでもお話しいただいていると思うのですけれども、山下知事の人口減少への受け止めと、今後どういう対策を必要と考えられているかというのを改めてお聞かせいただけませんでしょうか。
知事:
人口減少を食い止めて、人口増加に持っていくというのは、これは私はもう不可能だろうというように思っておりまして、人口減少のスピードを緩やかにするぐらいしかできないのかなというように思っております。人口減少のもたらす大きな問題の一つは、やはり社会保障の維持が難しくなるということですよね。人口ピラミッドが逆三角形型になれば、当然若年層が、要するに生産年齢人口が高齢者世代を支えなければいけないと。当然その生産年齢人口の負担率が高くなる。社会保険料だけでは、医療、福祉、介護の財源を賄えないので、結局税金も投入していくということになって、我が国の、国や地方公共団体の財政に占める医療、福祉、介護といった予算だけがどんどんどんどん増加していくということになってしまいます。日本は先進国の中でも、医療、福祉、介護、いずれの点においてもかなりサービス水準の高い制度を実現できていると私は思っていますが、その維持が難しくなるということが一つと、労働力が不足することで日本の経済力も低下していくということで、国自体がどんどんどんどんシュリンク(収縮)していってしまうということになると思います。ただ、その流れを止めることはできないので、少子高齢化を前提とした様々な仕組みを考えていかなければいけないとは思っているのですけども、一方で、全く諦めていいのかというと、そういうわけでもないと思います。地方公共団体としてできることは、子供を産み、増やせみたいなことを国家が国民に強制するとかというのも、もともとできませんけども、結婚をしない、子供をもうけないというのも生き方ですから、何か一方の価値観を強制するのもよくないということの中で、子供を持とうとした、そういう夫婦のサポートを最大限していくということに尽きるのかなと思っておりまして、そうしたことを県としても、せめて他府県並みにはしていきたいというのが私の思いでございます。それとともに、先細っていくパイの奪い合いという面もあるのですけれども、やはりある程度、地域間競争の中で、奈良県の人口の減少を食い止めるということもしていかなければいけない。つまり、自然減と社会減をどう抑えるのかということをこれから様々な形で施策を打っていかなければならないというように思っています。
記者:
ありがとうございます。
今年の振り返りと来年の抱負について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
漢字にもありましたけども、今年を振り返って、県政としてどういうような思いがあるのかというとこと、来年はこういうことがしたい、こういうような県政をしていきたいなど、思いがあれば教えてください。
知事:
何度もこれまでも言いましたが、私、8年前の知事選に立候補したときも、前知事のやろうとしていたプロジェクトの費用対効果に大いなる疑問を感じて、それが立候補の決断の決意の理由の一つでもあったのですけれども、今回、私が当選することで、大規模防災拠点とか、近鉄奈良線の移設とか、国体向けの、僕から言わせると非常に分不相応な大きなそういう体育施設の建設等々を止められたのはよかったなと思っております。
あとは、止めた事業の、言葉は悪いかもしれませんけど、後始末をどうつけていくかということと、その後始末に目鼻をつけた後は、奈良県の発展に向けて、県のポテンシャルを生かした奈良県づくりというのをこれから、来年は本格的にやっていきたいなというように思っています。
定例記者会見の配信方法について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
今日からカメラが増えたかなと思うのですけども、何か打ち出し、県の広報とか変えていかれるとか、何かお考えあるのでしょうか。
知事:
そうなのですか。
担当課:
カメラを何台か入れて、カメラワークを充実させたいと思う試行的な取組でございます。県民の皆様に見ていただきやすい、聞いていただきやすいようなユーチューブ配信、生配信を目指しております。その試行段階でございます。
記者:
ありがとうございます。
リニア中央新幹線について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
共同通信さん。
記者:
先日、リニアの促進大会があって、その後の囲み取材で、静岡工区の遅れで、東側の工事がなかなか進んでいない現状について、大阪府の吉村知事が、それだったら、西側を先に着工すればいいのではないかというようなご発言をされていて、三重県の一見知事も同調するような場面があったかと思うのですけれども、山下知事は、このアイデアについてはどういうように受け止めていますか。
知事:
JR東海からは、JR東海としては、名古屋までの区間と、名古屋以西を同時に工事するだけの財源も、マンパワーもないということを聞いておりまして、かつ、名古屋工区までの工事で、東京-名古屋間で実施する工事で得られた知見を、今度は名古屋以西で生かしたいということで、両方同時にやるということは考えてないということを従前から聞いていたので、気持ちは分かるのですけど、なかなかそれを言っても、JR東海が了承してくれるようなことではないので、私はあまりそれを求めようとは思いません。
記者:
そこは、やはり現実に即してといいますか、しっかり計画どおりというか、ちょっと遅れてはいますけれども、西側から始めるとかいうような考えには冷静になるべきかなというようなことでしょうか。
知事:
そうですね。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
「地域・経済活性化基金」への積立見直しについて
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
毎日新聞さん。
記者:
一番最後のページで、財源の表がありますが、これを見ると、地域・経済活性化基金への積立(見直し)額は事業執行停止で捻出した財源ということだと思うのですけれども、これは、26.7億円がまだ余地として残っているということでしたか。それとも、その26.7億円から15.5億円を引いた金額がまだ余っているということでしたか。
知事:
後者です。
記者:
まだ、十何億円ぐらいが余っているということですか。
知事:
はい。一般財源ベースではそういうことです。
記者:
分かりました。
その余った十何億円は、フルで来年度予算、使い切ってしまうのか、十何億円は浮かしたままにするつもりなのか、知事のお考えは今どちらですか。
知事:
来年度予算に盛り込む新規事業で、まだこういう形で発表できていないものがありまして、それに幾らかかるのかというのが、まだ試算中なので、明確なことは言えないのですけど、例えば新規事業に伴って必要となる一般財源が26.7億円を超えることがあるかもしれませんが、それはまたほかの行財政改革もやりますので、多少なら、ほかの行財政改革で捻出した財源を、26.7億円に上乗せすることもできますので、私としたら、新規事業のために、この26.7億円は必要なら全部使ってもいいし、足りなかったら、また別の枠組みで財源を捻出してやってもいいと思っていますし、別にこれ以下に収まるなら、それでもいいということぐらいの気持ちです。
記者:
ちなみに、何か今、試算中の事業というのは複数走っているのか、1個何かというのを考えているのか、どちらでしょうか。
知事:
主には、大規模防災拠点用地の後利用と、大和平野中央田園都市構想用地の後利用のことを念頭に置いています。
記者:
その基金の残りの額で、その2つをどうするかというところを今考えてらっしゃる。国体の整備に関してはまた別でしょうか。
知事:
それも含まれます。
記者:
なるほど。では、残りの十何億円ぐらいでどうしようかなという。
知事:
そうですね。多分残りの十何億円では足りないかもしれませんね。
記者:
何か3つ、結構大きい事業なので、十何億とかだと、それよりはオーバーするのかという気がするのですけれども。
知事:
まだそこまでの試算は多分、財政当局でもやってないと思っているのですよ。担当課でのこの事業に幾らかかるかということが、まだはっきり決まっていないので、それを財政課に要求して、財政課がまたそのやりくり考えますので、まだ分からないですね。
記者:
では、来年度予算には何らかの形は決めるということでしょうか。
知事:
決めたいと思っています。
記者:
それに向けて、また、年明け以降ということですか。
知事:
そうですね。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
国民スポーツ大会について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
国民スポーツ大会の関係についてお伺いします。まず、鴻ノ池の陸上競技場の使用について、奈良市側と協議が続いていると思いますが、進捗状況や年末や年明けの予定があれば教えてください。
知事:
今、詰めの協議をしており、そう遠くない時期にお知らせできるのではないかと思います。
記者:
6月に予算査定後執行停止し、橿原市の競技場は新設しないこととなってから、いつ頃の時期に奈良市側に鴻ノ池陸上競技場の使用をお願いしたのでしょうか。奈良市の担当部局にも聞きましたが、トップで行なったのかとのことで、あまり把握されていませんでした。
知事:
僕も今すぐには答えられませんが、発表してから、そう遠くない時期から、鴻ノ池陸上競技場を使わせてほしいとお願いして、あまり時間を置かず、事務レベルでの協議を始めたと認識しています。
記者:
この間の奈良市議会でもその質問が出ていたかと思いますが、少なく見積もっても数か月以上返答がない状況ですが、何が一番ネックになっていると、知事自身はお考えでしょうか。
知事:
たしか奈良市長さんも市議会で答弁されていたと思いますが、もともと橿原市でということで話が進んでいたので、奈良市としたら、橿原市をはじめとする他の市町村、中南和の市町村の意向をおもんぱかっておられ、奈良市がかっさらったみたいな表現をたしか市議会で答弁されていたかと思いますが、何かそういった印象を他の市町村長に与えたくないというところがあったのかもしれないと思います。
記者:
そう遠くない時期にお話しできるかもしれないということですが、使用を前提に話が前向きに進んでいるということですか。
知事:
はい、そういうふうに受け止めていただいて結構です。
記者:
ありがとうございました。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
毎日新聞さん。
記者:
国民スポーツ大会に関しては事務レベルで話が進んでいるとは何度も伺っていますが、知事と市長で話をする予定は、今のところありますでしょうか。
知事:
いろんな会合等で顔を合わせるときに少しそういった話をすることはございます。
記者:
交渉のために、どちらかがどちらかに赴くとか、そういう予定は今のところはありませんか。
知事:
今のところはありませんが、かなりハイレベルで行ったり来たりしています。
記者:
というのは、事務の中でもかなり上のほうということですか。
知事:
はい、そういうことです。
当然その報告は僕にも上がってきますし、奈良市長にも上がっていると思います。
記者:
事務レベルで完結する話なのか、最後は結局、知事と市長で話をしないと最終的に決まらないのか、その辺りはどうでしょうか。
知事:
ハイレベルで事務レベルの話が進んで、それをそれぞれのトップが報告を受けるということでまとまりそうな感じです。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
近くというのは、今年中はあり得ますか。
知事:
今年中かもしれないし、来年かもしれません。それはまだ分かりません。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
時事通信さん。
記者:
トップ同士が話はしないということでしたが、協定書を結ぶというようなことは特にしなくてもいいのでしょうか。
知事:
そのことも含めて、今協議しています。
記者:
橿原市さんへの返答もしかるべきと前におっしゃっていましたが、今どうなっていますか。
知事:
それは、鴻ノ池陸上競技場で決まる前後にはお話をしたいなと思っています。
記者:
橿原市さんと特段話をしているわけではないということですか。
知事:
橿原市さんからは、以前要望書を頂いていて、それに対する返事をしていない状況です。鴻ノ池陸上競技場に正式に決まれば、それに対する返事もしないといけないと思っています。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
鹿苑のあり方について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記:
鹿の件でお伺いします。昨日、鹿苑の在り方検討部会がスタートしました。内部告発から始まって、今ここに至っているということで、改めて知事のお考えを伺えますでしょうか。
知事:
公益通報という形で、本件が明らかになって、県と市がそれぞれ調査をして、問題点を認識して、有識者や農家を含む利害関係者の人にも入ってもらい、検討部会を立ち上げて、議論が始まったことは、私は大きな前進だと思っております。昨日も申し上げましたが、天然記念物が人と共存しているというのが奈良公園の鹿でございますので、そこから生じる様々な問題を解決していくには、我々人間が知恵を出し、譲歩すべきところは譲歩し、何らかの結論を見いだしていかなければいけないと思っております。そういう意味で、公益通報がきっかけで、こういう形になったのは、もちろん特別柵で寿命を全うできなかった雄の鹿には大変申し訳ないと思いますし、また鹿や鹿のファンに対しての思いも申し訳ない気持ちではございますけれども、公益通報をきっかけに問題解決に向けて動き出したこと自体は、私はよかったと思っています。
記者:
昨日の冒頭のご挨拶を伺っておりますと、鹿苑の環境そのものの改善というよりは、枠組みの在り方から議論してほしいというところに思いが強くにじんでいるように感じました。その枠組み自体への現時点でのお考えはどういったものでしょうか。
知事:
そうですね。昨日、委員長も言っておられたようですが、方向性としては、捕獲、駆除の範囲を広げていくことにならざるを得ないのではないでしょうか。
記者:
知事として、殺処分の頭数が増えていくということに関しては、ある程度仕方がないというお考えでしょうか。
知事:
そうですね。
奈良マラソンについて
記者:
奈良マラソンについてお伺いします。スターターを務められてから、自ら走られたご感想をお願いします。
知事:
奈良マラソン、フルマラソンの出場は5回目なので、スターターをするから今年はやめておこうという発想もなかったので、例年どおり走らせていただきました。大会の実行委員長という立場でもあったので、沿道の皆さんにボランティアありがとうございますと声をかけながら、走らせていただきましたが、改めて、本当に多くの大会関係者、ボランティア、そしてまた、沿道の応援の皆さん、県民の皆さんのこのイベントに対する協力があってこそ、実現できているイベントなんだなということを改めて認識しました。ボランティアの数が今年は従前と比べるとあまり集まりがよくなかったという問題もありまして、ですから、もっともっとこのイベントへの県民の皆さんの協力を今後は幅広く呼びかけていかなければいけないと思っております。
記者:
運営の面で変更点が幾つかあり、メダルの無償配付がなくなったことですとか、あとは、給水が足りなかったのではといった、幾つか参加者の方から残念なお声もあったかと思います。総括としていかがですか。
知事:
そうですね。メダルは人によって要る要らないというのが分かれてまして、マラソンにたくさん出ている人からすると、別にメダルは要らないという人も多いし、初めて出る人はやはりメダルあったほうがいいなという人もおられます。一方で、メダルをやめたことで値下げできたという面もありますので、希望者のニーズをどう反映させていくか、来年に向けて検討したいと思います。
給水の問題は、想定以上に暑く、あんなに早くなくなるというのは、多分実行委員会の事務局も把握してなかったんですが、やはり最後の最後で水がなくなるというのは、本当にランナーにとってすごく大変なことで、脱水症状を起こすことにもつながるので、来年以降は絶対あってはならないと思っています。
記者:
ありがとうございました。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。