[議事概要]
(1)奈良県情報公開条例に基づく開示決定等の期限等の取扱いについての審議
当該諮問事案に係る審議を行った。
<審議内容抜粋>
(委 員 A )他府県の事例等も調べていただき、大体処理に1年を超える場合だと権利濫用による却下が視野に入ってくる
というイメージですか。
(事 務 局)そうです。
(委 員 A )こういう基準を設けておけば、通常の開示請求が権利濫用扱いになるということはないだろうということ
ですね。まずは待っていただくように説得し、それでも説得を聞かずに、新たに請求してきた場合は、
権利濫用として却下することを検討するということですね。
(事 務 局)そうです。
(委 員 A )すでに権利濫用で処理している実績のある自治体と比べて重めの要件というか、あまり権利濫用としては
処理しない方向ですよね。ここまで厳しい条件を課さないところもありますよね。
(事 務 局)繰り返しの請求ではなく、超大量の請求だけでも、濫用と処理をする所もありますが、奈良県の場合は、
繰り返し開示請求されていて、特例延長をして1年超えてという二重になっています。
(委 員 B )「正当な理由なく」とありますが、これは具体的にどういうことでしょうか。待たないこと自体が正当な
理由がないということになるのか、請求の内容自体に正当な理由はないということになるのか。
(委 員 A )どちらもあるのだろうと思います。そもそも報復目的とか事務妨害目的の人はおそらく待たずに請求をする
かもしれないし、待たないことにも理由がない。
(委 員 B )待ってくれと言ったのに待たないこと自体が、権利濫用ということもあるのですか。
(事 務 局)請求者が求めている情報が、今すぐ開示されないと、何か人の生命、財産の侵害に関わる情報なのか、
もしくは行政の何かを知りたいだけで時間的な制約がないのかも判断の理由になるかとイメージしています。
(委 員 A )正当な理由がないと判断される時というのは、開示請求そのものが事務妨害目的とか、情報を得たいという
目的で行っているとは思われない請求が繰り返され、そういう目的の人なので待ってくれと言われても
待たずに請求を繰り返す。そういう総合的な判断なのだろうなと思います。
(委 員 B )そうすると、もしも待ちますとなると、幾ら濫用的でもこの基準は使えないということですか。
(事 務 局)はい。待ちますということであれば、1年が経過してから請求していただくということになると思います。
(委 員 C )「当該主務課の事務処理が著しく困難なとき」とありますが、「困難なとき」は誰が決めるのでしょうか。
(委 員 A )ただ未決で延長期間が1年に達している場合は、すでに困難ですよね。そうすると「当該主務課の事務処理
が著しく困難なとき」という部分はいるのですかね。困難だから1年かかるので、これだと1年かかるだけ
では駄目だというふうに読めてしまう。
(事 務 局)条例上、事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合に特例延長することができる、という規定に
なっていますので、特例延長をする時点で、すでに事務の遂行に著しい支障があるという前提になります。
なので、重ねてこれを書く必要があるのかいうと、確かにないと思います。
(委 員 C )もう一つ「客観的に判断し」とありますが、事務体制は定量的に計れないので、そもそも客観的には判断
できないことから、ここは「総合的に判断する」とかの表現の方が普通ではないのかと思います。
(事 務 局)そうですね。総合的という表現に改めさせていただきたいと思います。
(委 員 A )今ご指摘いただいた点を反映させて次回は答申案という形で出るのですか。
(事 務 局)はい。
継続して審議を行うこととなった。
(2)第458号諮問事案
当該諮問事案に係る審議を行った。
第458号諮問事案 「2022年(令和4年)3月23日付「奈良県○○市○○他における建築物(施設を含む)
の都市計画法違反、建築基準法違反の実地調査並びに是正措置等の要望書」の要望に対して、
株式会社梨本商店の上記建築物(施設を含む)に対しする実施機関の実地調査並びに
是正措置等に関する一切の行政文書。」
の不開示決定に対する審査請求
(3)第500号諮問事案
当該諮問事案に係る審議を行った。
第500号諮問事案 「2023年2月20日17時過ぎ、県教育研究所別館において開示請求者に教職員課長補佐○○氏
が口頭で説明し、提示(写し)を拒否した(1)2004年まで、学校の自家用電気工作物の
点検業務を開示請求者が行うにあたっては、校長、県教委、点検業者、開示請求者の契約
(合意文書)を交わす必要があったことを規定した法的文書。(2)2005年以降上記(1)の
規制が緩和されたことを規定した法的文書。なお、(1)、(2)の法的文書には、経産省の法令
施行令施行規則の他通達、告示、内規等を含む」
の不開示決定に対する審査請求
(4)報告事項
事務局から情報公開制度の適正化に向けた制度改正について報告を行った。
<審議内容抜粋>
(委 員 B )メールでの交付は他の自治体でも行っているのですか。
(事 務 局)メールという方法や、来年度から奈良県も導入する予定なのですが、オンライン上ですべて完結させる
という方法が あります。メールではなくて、オンラインで開示請求をすれば、そのシステム上で開示決定
も返ってくるし、開示文書も返ってくるという仕組みを構築しようとしています。まだわずかですが、
他府県では、そういうシステムを導入していると聞いています。メールで交付を行っているかどうかの
調査はしたことがないのですが、メールでの開示という方法もあるかと思います。
(委 員 B )紙の場合は、写しの交付で手数料が発生するのですか。それとも閲覧するだけで手数料がかかるのですか。
(事 務 局)写しを交付する時に手数料として徴収をします。閲覧だけだと手数料はいりません、和歌山県は閲覧だけ
でも手数料を徴収していますが、奈良県は今までも閲覧ではお金を徴収せず、写しを交付する時だけ料金
を取っています。
(委 員 C )開示の実施がなされていない案件が相当数あるということですが、なぜこんなにもあるのですか。
(事 務 局)色々なパターンがあります。開示請求をして開示決定通知書を受け取ったけれども、他から情報を入手
したのか、実施の申出がないということが法人でも個人でもあります。あとは特定の方が、実施を受けに
来ないという場合もあります。
(事 務 局)開示請求があって、開示決定しているのですが、来ないということなので、一定の事務コストが発生して
いるにもかかわらず、本来開示の実施までされるべき所がされないということなので、その費用について
は、ある程度負担していただこうというのが、今回の請求段階で300円を徴収する趣旨です。
(委 員 C )つまり、せっかく請求に対して答えようとしているにもかかわらず開示を受けないので、余計な経費が
かかっており、それも含めて、手数料に反映させたいということですね。
(事 務 局)そうです。
(委 員 D )開示請求をしたけれど見に来られない方というのは、人数としては限定されているという話でしたけれど、
それ以外の正当に開示請求をされる方に対しても請求手数料はかかることになりますよね。このことに
関して、例えば情報公開制度の趣旨等と照らし合わせた場合に、萎縮させることになってしまうのでは
ないかと思うのですが、そこに関して、どういった議論がされたのかが気になります。未実施の件数が
相当数あるということですけれど、限られた人以外の大多数の情報公開を求めている人に対しては、ただ
ハードルを上げているだけですよね。
(事 務 局)請求手数料の300円、オンライン請求だと200円ということで、非常に低廉というのが一つあります。
もう一つは開示手数料については300円に達するまでは無料としており、今まで開示の実施で300円以上を
払っている人にとっては、今までの実費負担と変わらない金額になります。
(委 員 D )写しを見るだけであれば無料だったのですよね。
(事 務 局)そうです。
(委 員 D )これからは見るだけでも300円は手数料としてかかってしまうと。
(委 員 E )オンラインだとなぜ100円安くなるのかということと、資料には送料について記載されていないのですが、
今まで送料はとってらっしゃったのか。これからはどうされるのか。最後に情報公開条例の改正の時に、
議会に対して、情報公開審査会ではこのような意見がありましたというのは、付議されるものなのか
知りたいです。
(事 務 局)まず、送料の話ですが、今までも送料は負担を求めていました。開示手数料には送料は含まれていません
ので、送料は今までと変わらないです。議会への説明の仕方は、我々もまだ検討中ですが、積極的に
審査会から意見がございませんでしたとかを言うつもりはないですが、例えば議会で質問があれば、お答え
することにはなると思います。
オンラインでは100円安い理由ですが、例えば国では、オンラインの場合は、決定通知書をオンラインで
返し、それ以外の場合は、決定通知書を郵便で送ります。この郵便代の差額というのが100円の差額という
説明です。
(委 員 D )開示請求件数を減らすために請求手数料を課すわけではないのですよね。
(事 務 局)もちろんです。
(委 員 D )そこはきちんと説明しておかないと変に邪推されてしまうという可能性があるのかなと思います。
(事 務 局)請求件数を減らすということを求めているわけではなくて、やはり一定の事務コストがかかっている中で、
一部の費用は負担していただくという趣旨です。国は手数料を取っていまして、その説明としては、この
情報公開制度は任意で請求できるものである中で、やはり請求しない人とする人の負担の公正という観点で、
やはり実際に制度を使う人には、一定の費用を負担いただくという説明になるのかなと思います。
(委 員 A )導入した後、件数がどう推移するのかは興味深いところではあります。この案件は今後どうなるのですか。
(事 務 局)次回の審査会では、条例案も出来ておりますので、改めて報告させていただきます。ご意見の方向性だけ
でも本日いただけたら、次回に意見案を用意することは可能です。
(委 員 A )委員Dからいただいた意見、開示請求件数を抑える趣旨ではないことの確認。あと、実際に制度導入後に、
件数に影響が出たかどうかの経過を観察してくださいぐらいですかね。
(委 員 D )あと、県民への丁寧な説明ですよね。
継続して審議を行うこととなった。
※ 不服申立てにおける調査審議の手続は、公開すると不開示情報が公になるおそれがあるため、
審議の内容は掲載しておりません。
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