【案件】
○令和6年度当初予算案・令和5年度2月補正予算案について
司会:
おはようございます。ただいまから令和6年度奈良県予算案の知事記者会見を始めさせていただきます。
本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信するとともに、配付資料もホームページに同時に掲載しております。
本日は、まず、山下知事より令和6年度奈良県予算案について発表させていただき、その後、報道機関の皆様からご質問をお受けする形で進めさせていただきます。
それでは、山下知事から発表いただきます。知事、よろしくお願いいたします。
【案件】令和6年度当初予算案・令和5年度2月補正予算案について
知事:
お手元のA4横の資料(令和6年度予算案の要点)をご覧ください。1枚めくっていただきまして、4つのポイントが記載されております。
ポイント1、予算の使い方を抜本的に見直しました。継続事業の見直しを行いまして、約21億円分の事業を廃止、見直ししております。これとは別に、事業の完了に伴う約51億円の予算の減もございます。そうした行財政改革を行いまして、令和6年度の予算の額は約5,440億円ということになりました。令和5年度の当初及び6月補正の合算後の金額と比較をいたしますと約38億円の減となっております。
続きまして、その右側(ポイント2)でございますけれども、今回予算編成に当たりまして、令和5年度に引き続きまして、県の貯金に当たる財政調整基金からの繰入れは行っておりません。今後の不測の事態に備えるために財政調整基金には手をつけておりません。
一方で、ポイント3でございますが、県債の発行を抑制しております。なるべく将来世代に負担の先送りをしないように、県債の発行を抑制したことで、県債発行残高は減少をしております。令和5年度と比較いたしまして245億円の減となっております。
それから、財政の健全性について(ポイント4)でございますが、交付税措置のない県債残高と県税収入額の比率について表に記載しており、この比率は当然低いほどいいわけでございますけれども、令和5年度は2.8倍だったのが、令和6年度は2.7倍ということになっております。ですので、新規の必要な事業は数多く盛り込んでおりますが、かといって、財政の健全性は全く損なっていないどころか、より健全な財政になっていると、そういうふうに今年度予算の特徴を申し上げることができるというふうに思っております。
2ページでございますが、一般会計予算の詳細について記載をさせていただいております。当初予算の額は5,439億8,200万円でございます。令和5年度の当初及び6月補正予算の合算額と比較いたしまして、37億5,500万円の減、パーセンテージで0.7%の減となっております。
主な増減要因についてご説明をさせていただきます。人件費は、人事院勧告の完全実施等を要因といたしまして、65億円余りの増となっております。公債費につきましては、先ほども説明したとおり、57億円の減、約58億円の減となっております。それから、社会保障関係費は、これは高齢化の進展とか、医療の高度化などに伴いまして、約49億円の増となっております。県税交付金は、約19億円の減となっております。公共事業関係でございますけれども、ならの道リフレッシュプロジェクトなどの実施によりまして、26億円余りの増となっております。その他、高校授業料の無償化で11億4,300万円、保育士の処遇改善で3億2,600万円、教員の働き方改革で1億8,500万円、それから、右のほうに行っていただきまして、県立高校トイレピッカピカ5か年計画で2億7,600万円、子供医療費の助成の拡充で9,100万円、脱炭素・水素社会の実現で3億1,600万円、大阪・関西万博関連で2億4,500万円などの増となっておりますけれども、その下のほうですね、大和平野中央田園都市構想の用地取得の予算が前年より減ったことと、同様に、五條市の県有地の用地取得の費用も減ったということなどから、トータルでは約101億円の減となっております。
右側は、一般会計予算規模の推移でございます。
右下は、歳入に関しての対前年比率でございます。
3ページ、行財政改革の取組についてご説明をさせていただきます。
事業効果の高い施策への重点化を図るために、既存事業の見直しを徹底いたしました。
まず、廃止した事業が37事業で、4億2,000万円となっております。廃止した主な事業につきましては、夏と秋に行っていました合計2回の平城京天平祭、県立工科大学の設置、それから、奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり、MIND TRAIL 奥大和、RINK LINK 天平広場、各種ジャーナルですね、何々ジャーナルという名称のついた各種ジャーナルの発行の取りやめ、みつえ高原牧場の整備、えんがわ音楽祭in洞川、奈良の仏像等の海外展示などとなっております。
見直しした事業につきましては、右のほうにまとめてございまして、近鉄奈良駅周辺の環境整備及びにぎわいイベント、リニア中央新幹線調査検討事業、これは調査、検討範囲が少し変更になったことに伴うものでございます。それから、財政状況が重症警報の対象となっている市町村に対する補助につきましては、従来の補助金を無利子貸付けに変更したことに伴って予算が減少しております。それと、ぐるっとバスに関しまして、木簡型の1日乗車券というのを県のほうで予算をかけて発行していたんですが、これをやめることで2,500万円、それから、奈良県みんなでたのしむ大芸術祭については、実施方法等を一部見直しております。それから、広報アプリ「ナラプラス」や、県のホームページのAIチャットボットにつきましては、奈良スーパーアプリへの機能統合をいたします。それから、ノンステップバスの購入補助については、EVバスの購入補助に制度転換をいたします。それから、馬見丘陵公園で実施をしております「やまと花ごよみ」などのステージイベントも一部見直しをいたします。
一方で、事業の完了に伴う予算の減が約30億円ございます。
行財政改革の取組については以上でございます。
4ページは、個々の事業の目次でございます。
5ページ以降が個々の事業の紹介でございます。既にご案内の部分につきましては割愛をさせていただきながら、説明をさせていただきます。
まず、6ページ、奈良県全体での広域受援体制を確立するための検討事業でございます。大規模かつ広範囲な災害に迅速かつ円滑に対応するため、広域防災拠点等における受援基本方針を策定してまいります。あわせて、五條市県有地における受援機能の確保の内容の検討もしてまいります。予算額は4,800万円です。
7ページは、消防学校の移転でございます。これは既に記者会見で発表をしておりますので、詳細な説明は割愛をさせていただきますけれども、現在、宇陀市にございます消防学校が老朽化が著しいと、敷地面積が狭くて、十分な訓練施設もないというようなことから、旧高田東高校に移転をするものでございます。
続きまして、発達障害児(者)の支援ということでございます。これについても既に記者会見で説明をさせていただいておりますが、かいつまんでご紹介をさせていただきますと、まず、左側ですね、当事者とその家族に寄り添い、伴走する体制の充実ということで、奈良県発達障害者支援センターの相談員を5名から7名に増員をいたします。また、奈良県発達障害者支援センターに地域支援マネジャーという仕事をする人を2名配置をいたします。それから、市町村は、乳幼児健診等において発達特性を発見できるように、市町村の保健師等に対する研修を実施するものでございます。それから、真ん中は、以前の記者会見でも申し上げましたが、奈良県総合リハビリテーションセンターの小児科で発達診断の診断を受けるために、申し込みしてから受診まで約5,6か月かかるという状況を改善する必要があるという認識から、小児科医師を1名増員をいたします。それと、発達障害医療を担える小児科医の育成のために後期研修医を県総合リハビリテーションセンターに受入れをいたします。また、発達障害児の支援を行う拠点に診断前のアセスメントを行う専門職を設置をいたします。それから、右側は、ネットワークの構築事業でございまして、ネットワークの構築や市町村に対する補助を内容としております。
めくっていただきまして、9ページ、西和医療センターの移転整備、これはもう既にご案内のとおりかと思いますが、来年度は基本計画の策定と基本的な調査をしていきたいというふうに考えております。
10ページからは、奈良県の子供、若者の未来への責任ということでございまして、11ページは、子ども・子育て施策の推進ということでございます。
まず、取組方針(1)は、子供、若者の視点に立った施策の立案を推進するため、新たに子供の意見を聴取する取組を実施するものでございます。
それから、その右、取組方針(2)でございますけれども、ジェンダーギャップの解消をはじめとした社会全体の意識、構造の改革ということで、高校生等の若い世代がライフデザインを描くために必要な知識を習得できる動画を作成して、セミナー等で分かりやすく周知をしていきたいと考えております。
それから、左下(取組方針(3))でございますけれども、若い世代、独り親世帯の所得の向上ということで、まずは、独り親の就業及び自立を支援する奈良県スマイルセンターにおきまして、ワンストップ機能を強化して、幅広い支援を行ってまいります。それから、なかなか養育費の支払いを受けられないケースが多いということで、それを行政として支援する必要があるという観点から、離婚の際に養育費に関する公正証書を作成する際の費用の補助や、債務者、養育費を払う側の債務者が保証会社と保証契約を締結する場合の経費に対して、県が補助をするといったことを考えております。
取組方針(4)につきましては、仕事と家事、子育てを両立できる環境の整備ということで、子育て中の女性など、就労に踏み出せない女性に対して、有給インターンを実施することによって、女性の正規雇用を促進してまいりたいと考えております。
それから、取組方針(5)は、結婚や出産の支援ということでございますけれども、新たな新規施策といたしまして、県のほうで結婚支援コンシェルジュというのを配置をいたします。この方には、市町村などが行う婚活イベントなどの支援をしていただきたいなというふうに考えております。
それから、その下、取組方針(6)でございますけれども、昨年、橿原市で児童虐待を伴う傷害致死事件というのが発生してしまったわけでございますけれども、児童相談所職員のスキルアップの研修が必要であると考えておりまして、そのための予算を計上しております。
それから、右のほう(取組方針(7))は、保育士の処遇改善のための事業でございます。なかなか賃金と労働の質が見合っていないということで、保育士を確保するのが難しい、あるいは、給料の高い大阪に流れてしまっているというような状況がございますので、それを改善するために、市町村が民間の保育所を運営している社会福祉法人に給与加算のためのお金を給付する場合には、その2分の1を県が負担をするということでございます。その他、別のページに記載してございますけれども、学校現場の働き方改革の支援や高校授業料の無償化、それから、県立高校トイレピッカピカ5か年計画なども子ども・子育て施策の推進の一環となるものでございます。
それから、めくっていただきまして、13ページ、(取組方針(8))子供医療費の助成、これについては、既に昨年8月から市町村が高校卒業までの子供医療費の助成をする場合には、県がその2分の1を負担するという制度を実施しております。令和6年度につきましては、窓口で一旦払って、その後、各親御さんの口座にそのお金が振り込まれるという仕組みではなく、そもそも医療機関の窓口で払わなくていいという、それを現物給付方式と呼んでいますが、これを全市町村に拡大をするということでございます。現物給付方式の拡大に伴う費用の増につきましても、県のほうで補助をさせていただく予定にしております。
それから、その右(取組方針(9))は、ぬくもりあふれる公園プロジェクトということで、公園に授乳施設を設けたり、バリアフリー化を進めたりしてまいります。それから、まほろば健康パークにおきまして、障害のある人もない人も、全ての人が利用できるインクルーシブ公園の設置に向けた検討を進めてまいります。
こうした様々な施策を実施いたします。予算の規模でございますけれども、11ページに戻っていただきまして、令和6年の子ども・子育て関連施策の予算額は、合計で約72億円となっております。ちなみに、令和5年の予算は47億3,800万でございます。
それから、14ページ、これは、既にご案内のとおり、私立高校等の授業料を無償化するためのものでございますので、説明は割愛をさせていただきます。
15ページの教員の働き方改革に対する取組につきましても、既にご説明をさせていただいておりますので、説明は割愛をさせていただきますが、項目だけ述べさせていただきますと、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの数を拡充いたします。抜本的に増やしてまいります。それから、教員の業務負担軽減のための教員業務支援員の配置の促進、同様に、学力向上を目的とした学習支援員の配置の促進、そして、部活指導員の配置の促進などを実施をいたしまして、現場の先生に子供に対する指導に専念していただけるような、そんな環境を整えてまいりたいと考えております。また、15ページ(4)のところに記載してございますが、各学校で、副校長や教頭先生が大変忙しいということが指摘をされておりますので、副校長や教頭先生を支援するためのマネジメント支援員の配置も新たに実施をいたします。それとともに、学校現場では、障害者の法定雇用率をまだ達成できておりませんので、令和6年度から新たな専門チームを教育委員会の内部に設置をいたしまして、学校現場の業務内容を精査して、新たに障害者の人にやっていただけるような仕事を切り出すとともに、その切り出した仕事を長期的に障害者の方に担っていただくべく、長期的な雇用計画を策定してまいります。
16ページは、県立高校トイレピッカピカ5か年計画でございます。
17ページからは、豊かで活力ある奈良県を創る責任ということでございます。
18ページは、脱炭素社会の実現ということでございます。左側の赤字で記載しているところを説明させていただきますと、令和6年度は、(仮称)奈良県水素基本計画を策定してまいります。商用FCV等の普及を促進してまいります。また、水素利活用設備の導入支援もしてまいります。既存の工業団地での水素利活用、脱炭素化等の計画策定も実施をしていくとともに、右側の中段に書いてございますけれども、使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うRE100工業団地の推進に向けた調査を実施をいたします。
19ページは、水素の利活用促進策のメニューでございます。
それから、20ページの、この8本柱につきましては、既にご説明をさせていただきましたけれども、これに基づいて、様々な新規施策を来年度から実施をしてまいります。
21ページでございます。東京圏からの移住者に対しまして支援金を支給する事業というのは既に実施をしておりますけれども、これに加えまして、県内就職者のうち、子供さんがおられる家庭につきましては、子供さん1人につき100万円を加算をいたします。それから、企業が従業員が借りていた奨学金を肩代わりして返済をするという場合に、その企業の返済の支援をしてまいりたいと考えております。具体的には、その返済金の一部を県が負担するという制度を検討しております。それから、正規雇用を前提としたオンライン訓練や職場実習の拡充もしてまいります。
21ページの2番、RE100工業団地につきましては、既に説明しました。また、奈良県版SDGsの企業認証制度も構築してまいりたいと考えております。
それから、3番でございますが、新規施策でございます。県内投資を一層加速させるために、企業立地補助金制度を大幅に見直しいたします。具体的には、雇用要件を設けず、メニューを統合の上、上限額を1億円、または2億円から10億円に引き上げるものでございます。それから、大阪・関西万博に合わせまして、奈良県内でオープンファクトリーなども実施をしてまいりたいと考えております。
22ページをお願いをいたします。8本柱の4番目、行政対応の不満、ボトルネックの解消というところでございますけれども、これまで、企業さんが新規に工場を新設するような場合は、県庁の複数の部署に何度も足を運んで、その都度、同じ話をしなければいけないというようなことがございました。そうした不便さを緩和するため、ある企業さんの県の担当者はこの人というふうに担当者を決めまして、その担当者が庁内の関係各課の取りまとめを行うというような仕組みを新たに導入したいと考えておりまして、そのために、民間企業等で使われている顧客情報マネジメント、CRMを導入したいというふうに考えております。
それから、5番ですけれども、海外に展開するということにまだちょっと抵抗感があるというか、ハードルが高い県内企業さんもおられますので、JETROの奈良事務所内に奈良県海外展開サポートデスクというのを設置してまいりたいと考えております。
それから、重点的な外国人材の呼び込みということでございます。県内でも多くの在日外国人の方が特定技能など、あるいは技能実習などとして働いておられます。そうした人たちを支援していく必要があるということで、(1)在住外国人のニーズに合った生活環境を整備するため、アンケートを実施いたしまして、プランを策定してまいります。それから、企業への外国人材の呼び込みといたしまして、外国人留学生の県内企業への就労を支援するとともに、ベトナムの政府と提携をいたしまして、ベトナムの大学生をインターンとして奈良県内の企業で受け入れるという制度を新たに実施してまいりたいというふうに考えてございます。
7番は、事業承継に大変苦慮されている中小企業のオーナーさんが多いということで、事業承継の支援も今回新たに県で実施していきたいと考えております。
それから、23ページでございます。奈良県は、埋蔵文化財の発掘調査が必要な土地が少なくないということで、この埋蔵文化財の発掘調査に不測の時間と費用がかかるということが、道路の整備の場面、あるいは民間企業さんが工場等を新設する場合に指摘をされていたところでございます。もちろん埋蔵文化財の調査はきちんとしていかなければいけないわけでございますけれども、きちんとしつつ、迅速性を高めるという必要があるというふうに考えておりまして、抜本的にこの調査体制を充実してまいります。具体的には、橿原考古学研究所の体制を強化するため、職員を増員いたします。調査員と事務職員を増員いたします。そして、橿原考古学研究所の調査機材も拡充をしてまいります。また、発掘調査におけるDXも推進をしてまいります。また、埋蔵文化財の発掘調査の中長期の事業量を把握して公表することで、ある程度、奈良県においてどれぐらいの事業が今後2,3年の間に出てくるのかという見通しが立ちますので、それによって、発掘調査関連の民間会社の参入を促進していきたいというふうに考えてございます。こうした改革に取り組むことによって、トレンチ調査と呼ばれている調査の期間を6か月から3か月に短縮するとともに、発掘調査、これまで1年間で最大1万平米しかできてなかったのですが、これを3万平米に拡大したいというふうに考えております。
それから、24ページは、スタートアップ・プログラムでございますが、これは、既に記者発表させていただきましたので、説明は省略をいたします。
25ページは、大和平野中央田園都市構想のうちの、これは田原本町でございます。26ページは、川西町と三宅町でございます。割愛をさせていただきます。
新たな観光政策でございます。様々な事業を用意しておりますけれども、左側の中段ぐらい、宿泊施設の立地等に対する補助制度を拡充いたします。補助率を5%から10%に引き上げ、新築による開業だけではなく、既存建物の活用による新規事業も補助対象としてまいります。それから、既存宿泊施設の増改築や改装も補助対象にしてまいります。そして、補助要件である投資額を5億円以上から1億円以上に引下げをいたします。それから、既存の宿泊施設の魅力向上に取り組む宿泊施設事業者を支援するためのアドバイザーを派遣してまいります。それから、右側のほうでございますけれども、大阪・関西万博に向けました誘客促進プロモーションを実施するとともに、本年、大阪・関西万博国際参加者会議、通称、IPMという会議を奈良県コンベンションセンターで開催をいたします。
それから、28ページは、農産物の海外輸出を支援するための様々な施策でございます。大変、日本の農作物は海外で人気があるということで、既に奈良県からも果物等を中心に輸出がなされておりますので、それを拡充していきたいということでございます。
それから、29ページは、県立橿原公苑のリニューアル、既にご案内のとおりでございますので、説明は割愛をいたします。
南部東部地域の振興、30ページでございますけれども、まず、定住の促進ということで、市町村や大学、研究室、民間事業者等が連携して取り組む魅力ある地域づくりに対する補助を実施してまいります。また、奥大和地域の自然を活用したアウトドア・スポーツツーリズムの推進を行ってまいります。この地域は、カヌーですとか、トレイルランニングですとか、キャンプ等々、様々なアウトドアスポーツが盛んで、京阪神地域から、あるいは、もちろん奈良県内からも多くの観光客が夏場やゴールデンウイークにはこの地域を訪問されます。さらに、その規模を拡大していくために、また、宿泊施設の利用促進につなげるためにどうしたらいいかということを検討してまいる事業でございます。
31ページ以降は、こうした3つの責任をしっかり果たすための体制の確保ということでございます。
32ページは、リニア中央新幹線の新駅の早期確定ということでございます。説明は割愛をいたします。
それから、(33ページ)道路整備の加速化ということでございますけれども、奈良県の道路整備率が、人口比較で全国47位というのはご承知のとおりかと思います。そうした状況を少しでも改善するために、令和6年度は道路建設のスピードアップを図ってまいりたいというふうに考えておりまして、まず、そのための改革1といたしまして、土地収用制度を積極的に活用してまいります。価格の点等で、何度話しをしても地権者の方と合意ができないというような場合に、それが1件、2件あるがために全体の道路工事ができず、道路の例えば4車線化の効果を県民にあまねく行き渡らせることができません。その場合には、やむを得ず土地収用手続等を使って土地の収用を図っていきたいというふうに思っております。埋蔵文化財調査の加速化は、先ほど申し上げたとおりでございます。そして、用地取得や工事に地元の方の協力が得られるなどのめどが立った事業から順次実施していきまして、選択と集中によって事業環境が整った場所の工事を進めてまいりたいと考えております。それから、右側は、国道168、169号等の南部の幹線道路の様々な工事を引き続き実施していくということと、京奈和自動車道の早期全線開通に向けた様々な事業を実施していくということでございます。
34ページは、ならの道リフレッシュプロジェクトなので、説明は割愛をさせていただきます。
35ページは、万博関連でございます。右側に赤字で記載させていただいておりますけれども、大阪・関西万博の開催に合わせまして、物づくりの現場を万博に来た国内外のお客様に見てもらおう、奈良県の産業の魅力、すばらしさについて、実際に見聞してもらおうということで、大阪・関西万博の開催に合わせまして、オープンファクトリーを奈良県内で実施していきたいと考えております。それから、その下でございますが、校外学習などで大阪・関西万博を訪れる県内の小学校、中学校、高校生に対しまして、入場料の助成をする制度を実施してまいります。
36ページは、これまでも進めてまいりました働き方改革でございます。
37ページにつきましては、組織の見直しでございます。上の囲みのところに記載させていただいておりますけれども、部の名称がちょっと長くて覚えにくいというご指摘がこれまでもございましたので、これを簡素化するために、部の名称を変更するとともに、その下に書いてございますとおり、組織の大くくり化ということで、本庁の103ある課と室を88に減らし、本庁に312ある係を277に減らすということで、組織の大くくり化を実施してまいりたいと考えております。
ちょっと長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
司会:
それでは、ご質問がございます方は、挙手にてお願いをいたします。
読売新聞さん。
記者:
まず、全体的なお話をちょっと伺えたらと思います。今回の新年度予算ですけれども、知事が特に力を入れられたポイントや、重きを置かれた観点等がありましたら、お伺いできますでしょうか。
知事:
まずは、公約の実現ということでございます。その中でも、特にこの11ページ、12ページ、13ページ、14ページ、15ページ、16ページに記載されているような、子育て支援、それから、教育の充実ということになろうかというふうに思っております。それから、あと、それと関連いたしますけれども、8ページに記載しております発達障害児(者)の支援、これも選挙公約に掲げさせていただいておりまして、それについても充実をさせていただきたいということで、かなり様々なメニューを盛り込ませていただきました。防災力の強化につきましても、これまで地域防災計画というのはあったわけでございますけれども、すぐに使えるような計画にはなっていなかったものでございますので、これをすぐ使える計画にすると。そして、今般、新たに指定をいたします県立橿原公苑の中核的広域防災拠点と、その他の広域防災拠点をどうつなげていくのかといったことも大変重要な課題でございますので、それを令和6年に、そういう体制を確立していきたいと考えております。また、3.の部分(17~30ページ)でございますけれども、奈良県の産業というのを強化していかなければなりません。奈良県の人口は1999年に145万人でピークを迎えまして、それ以後、約25年間、ずっと減少しているということでございます。やはり人口減少を食い止めるには、県内に魅力ある職場を多く創出するということが重要でございまして、そのためには、奈良県の既存の企業さんにもっともっと元気になっていただく、成長していただくとともに、県外からも魅力ある企業を誘致するということが必要となってまいりますので、その意味で、新しい産業政策のパッケージ、20ページ以下、それから、奈良のスタートアップ・プログラム、24ページ、それから、大和平野中央田園都市構想の県有地の活用、25ページ、それから、脱炭素、水素社会の実現、18ページといった施策が重要になってくるというふうに考えてございます。ほかの事業も大変重要な事業ばかりでございますけれども、公約に関連する子育て支援や教育の充実、防災、そして、奈良県の産業力の強化、そうしたことを今ご紹介させていただきました。
記者:
全体を通して、まだ予算案の段階だと思うんですが、知事から見て、この予算案の評価というところと、この新年度予算でどういった県を目指していきたいかというところをお伺いできますでしょうか。
知事:
冒頭も申し上げましたが、かなりの新規事業を盛り込んではおりますけれども、きちんと財政の健全性は確保しておりまして、財政調整基金を取り崩していない、県債の発行残高も抑制していると、また、交付税措置のない県債残高と県税収入額との比率も改善をしているということで、未来に向けた様々な投資が盛り込まれた予算でありながら、未来の世代にツケは回さないと、そういう予算になっているものと自負をしております。
それは従前から申し上げてますとおり、奈良県の持つポテンシャル、潜在力を最大限に生かして、魅力を高め、奈良県の未来を担う若者が奈良県に引き続き住んで、働いてもらえる、県外に若い人が流出しない、そんな県にしていきたいというふうに考えております。そうやってポテンシャルを生かして産業力、観光力を向上し、若い世代も県外に出ず、県内に定着することによって、高齢者を支えるための福祉の財源等も確保できるというふうに思っておりますので、未来への投資であるとともに、現在の生産年齢人口、現役世代や高齢者の皆さんの生活基盤を確保するための取組でもあると、そういう県を目指してまいりたいと考えております。
記者:
組織編成、かなり見直されたと思います。今回の組織の在り方の見直しで重きを置かれたポイントを、重複する部分あるかと思いますが、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。
知事:
課や係の数が多過ぎると、県庁に入ってすぐに感じました。配属されている職員の人数が少ない課や係が多いと、ただでさえ役所の仕事は縦割りなのに、より縦割りが進んで、情報の共有というのが進みにくいという問題が生じます。隣の課の情報が伝わってこない、隣の係の情報が伝わってこない。業務の繁閑の調整もしにくい。忙しい部署はいつまでも忙しいし、それほどでもない部署はそれほどでもない。それぞれが相互に手伝わないみたいなことになりかねませんので、業務量というのは、それはいろんな事情によって変動しますので、そうした変動部分を吸収するためには、ある程度ユニットの単位が大きいほうがいいと、そういうふうな考えから、組織の大くくり化をさせていただいたということでございます。名称が非常に長いと。長い部の名前を全部空で言える職員がどれだけいるのか分かりませんけれども、もっとすぐに覚えられる、その名称を見れば、何やってる部かある程度分かるような形にすることが必要かと思い、部の名称変更にも踏み切った次第でございます。以上です。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
毎日放送さん。
記者:
先ほどご説明いただいた内容からは少し離れてしまうんですが、事前に頂いている予算資料を見ていますと、歳出の部分で、災害復旧事業費がおよそ2倍に膨れているかと思うんですけれども、この増額理由について、お話しいただける範囲でお教えいただけますでしょうか。
知事:
多分それは下北山村の事故等(国道169号の崩土)が関係していると思いますが。
担当課:
過年度の災害、令和5年度の災害が非常に大きかったものですので、それが複数年、災害復旧事業がかかりますので、令和6年度の分も増えているものでございます。
記者:
この令和5年度の分の災害のものは、つまりは下北山村の土砂崩れということで間違いありませんか。
担当課:
下北村の崩土も含みまして、夏にも大雨による被害もありましたし、今年度は災害が昨年度に比べて大きかったと思ってございます。
記者:
では、下北山村の分を含む過年度の災害復旧のために、およそ2倍の増額になっているという認識で間違いありませんか。
担当課:
はい、さようでございます。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
毎日新聞さん。
記者:
予算案の要点の資料を先ほどお示しいただいたと思いますが、五條市に整備する防災施設に関する項目は、まず確認をさせていただきたいのですが、予算案の要点の6ページに書いてある、それが五條市に関する予算の全部ということになりますでしょうか。
知事:
そうですね。五條市の県有地に備蓄倉庫と防災ヘリポートは設ける方針を決めていますけれども、非常用電源も設ける予定していますが、それ以外にどういった機能を持たせるかということを、この奈良県全体の広域受援体制を検討する中で確定していきたいと、そういうふうに考えております。
記者:
五條市県有地における受援機能確保の検討って1行書いてあると思うのですけれども、この受援機能確保の検討というのは、具体的に何でしょうか。というのは、先ほど説明をしていただいた、現状決まっているのが備蓄倉庫を造るのと、ヘリポートを造るのと、太陽光パネルと蓄電池が建設されるのは決まっているんだと思いますけれども、それ以外に何を造るかというところが、この受援機能確保の検討という具体的な中身ということになりますか。
知事:
そういうことになりますかね。
記者:
分かりました。
これは、前知事時代の計画を見直して、新しく造ることを決めましたという施設だと思うんですけれども、同じように、計画を見直して造った施設だと、資料の何ページだったかな、忘れましたが、25、6です。大和平野中央田園都市構想も見直しとかは、田原本、川西、三宅、こういう施設を造りますというのが書かれていて、それから、29ページには橿原公苑のリニューアルのことがありますけれども、これも前知事時代の計画を見直した大型事業の類いになるかと思うのですけれども、五條市に関しては、計画が固まっているのに、この1行書いてあるのみで、あまり詳細な説明みたいなものが資料にないと思ったのですが、それはどういった事情でしょうか。
知事:
まだ備蓄倉庫やヘリポート、非常用電源に加えて、どういった防災機能を持たせるかが決まってないので、決まってから予算化すると、こういうことでございます。
記者:
しかし、最低限造るもの、備蓄倉庫、ヘリポート、太陽光及び蓄電池、ここまでは決まっていることだと思いますし、その方針を変えるつもりはございませんと、昨日の説明会でも言及があったと思いますが、そこまで具体的に決まっているものを具体的に載せないというのは、どうしてなのかというところが、今後の検討次第で変わる可能性があるのでというところは分かりますけれども、ある程度、蓄電池に電気をためて、それを被災地に運ぶ、そのためのヘリポートや蓄電池、そういう立派な計画が既にあるわけで、それをもう変えるつもりがないというところまでいっているのであれば、ほかの事業と同じように詳しく書いてもいいのかなと思うのですが、その辺り、どういうふうにお考えでしょうか。
知事:
ヘリポートは100×100で、大型ヘリも駐機できるように、離発着できるような規模を考えておりますが、備蓄倉庫の規模をどれぐらいにするかというのは全然決まっておりませんし、それ以外にどういう機能を設けるかも決まっておりませんので、それらが決まってから設計費用等は計上すれば十分ではないかと考えております。内容も決まってないのに設計費用は組めないということです。
記者:
それって、細部の話だと思うんです。大体の話は決まっていると思うんですけれども、その備蓄倉庫が、例えば物すごい範囲になったりする可能性があるとか、そういうということでしょうか。
知事:
いや、物すごい範囲にはならないと思いますけどね。
記者:
だとしたら、細部の話だと思うので、もうある程度これはここまでは決まっていますという県の見解でしたら、それを予算化してしまうのが分かりやすい、県民にとっても可視化しやすいし、分かりやすいし、そのほうがいいかと思うんですけれども。
知事:
どの段階で予算化するというのはかなり技術的なことですから、今回はもうちょっと中身が煮詰まってから予算化したいと、そういうことでございますし、議会や地元の皆さんのご意見も十分踏まえて、計画をより具体化した上で予算化を図ると、こういう趣旨でございます。
記者:
分かりました。
検討中で、結構、大幅に方針転換をする可能性だってあるということになるんですかね、詳しいことを変えるつもりはないんですというのは、先ほど知事の発言があったと思いますが。
知事:
何度も同じことを言ってますが、備蓄倉庫やヘリポート、固定型の非常用電源、固定型の蓄電池を備えるとともに、そこに電力を、そこで蓄電池に充電をするための太陽光発電施設というのは設けますが、その方針に何ら変更はございませんが、詳細はこれから決めていきますので、詳細が決まった段階で設計費等の予算は盛り込んでいきたいと、そういうことを申し上げております。
記者:
それは、来年度の補正のどこかのタイミングとか、タイミングはちょっとまだ分からないかもしれないですが、当初ではなく、補正でということになるんですか。
知事:
それもあり得るでしょうね。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
今の質問に関連して、お願いいたします。まず、改めて確認です。五條市の受援機能の確保の検討という中に非常用電源がありますけれども、非常用電源の電源自体が太陽光ということは前提でそう考えるという、検討するという理解でよろしいでしょうか。
知事:
この非常用電源に電力を供給するものは何かという意味ですか。
記者:
はい。
知事:
太陽光を考えてます。
記者:
先ほど来、質問とかぶりますが、知事としては、この受援機能確保の検討をして、ある程度煮詰まった上で、その太陽光を整備する準備費用とか設計費用とか、事業者を公募するための準備費用というのは、その後に計上していく、補正、もしくは、再来年度の予算で計上していく、そういうお考えなんでしょうか。
知事:
太陽光については、基本的にパネルを設置するというのは民間事業者がするわけでございますので、国と民間事業者との役割分担の中で、県としてどういった予算が必要になってくるかということを検討することになろうと思います。
記者:
つまり、二元代表制の中で、この太陽光については議論をしていけばいいと思うんですけれども、最終的に例えば議員の立場から、「いや、受援機能は必要だ。ただし、太陽光はノーだ。」という場合に、新年度の予算案でこの事業費は盛り込めないよねということで、何か反対とか、そういった関連の事業費ということはあるんでしょうか。
知事:
令和6年度の当初予算に太陽光発電施設に関連する予算が含まれてるかというご質問ですか。
記者:
そうです。究極。
知事:
いや、含まれておりません。
記者:
逆に言うと、県議の立場からすると、太陽光はノーだけれども、予算案で反対できるというか、反対する案件というのはないということなんでしょうか。
知事:
そういうことですね。
記者:
もう一度確認ですけども、実際に太陽光を整備するに当たる事業費というのは、補正で盛り込むかもしれないし、さらに1年後の新年度予算、再来年度予算ということで考えておられると。
知事:
まず、順番としては、どれぐらいの防災機能を持たせるかということを検討して決めます。その上で、じゃあ、残りを太陽光発電施設に使おうということで、その段階で初めて太陽光発電施設の規模が決まってくるわけでございます。
記者:
といいますと、25ヘクタール以上というお話をされていましたけど、今後、例えば25ヘクタール以下になることもあり得るのでしょうか。
知事:
いや、防災機能はマックス10ヘクタールだと思っていますので、今考えているのは5,6ヘクタール、数ヘクタールぐらい、マックス10ヘクタールと思っています。マックス10ヘクタールを前提に25ヘクタール以上というふうに試出していますので、25ヘクタール以下になることはないと思います。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良新聞さん。
記者:
予算案の要点の1ページ目のところなんですけども、事業見直しをされたということなんですけれども、どういった観点で見直しをされたかというのを教えていただけますか。
知事:
一言で言うと、費用対効果がどれほどあるかということになろうかと思います。個別にお話をさせていただくと、天平祭につきましては、夏と秋が県主催で、春は奈良市が中心となった実行委員会が主催しているんですけれども、夏につきましては、もちろん私自身も行っているんですけれども、いろんなステージイベント等もなされておりますが、どちらかというと、出店に来たがっている家族連れやカップルがほとんどでございまして、来る人からすると、いろんな天平時代の衣装を着られた方が見られるのはいいとは思いますが、どちらかというと、夏祭り的な趣旨のほうが強いと思ったのと、みんなでたのしむ大芸術祭のステージイベントを、秋はやっていたんですけれども、このみんなでたのしむ大芸術祭のステージイベントに、有名なアーティストが来られていまして、その人の公演のときはすごい人が来ていたんですが、それ以外のイベント会場は割と閑散としていたので、もう実施してかなりの年数もたっていますし、夏も秋も、既に所期の目的は達成できたのではないかということと、昨年、県が実施した県民アンケートというのがあるんですけれども、県民アンケートでの、平城京天平祭の認知度が非常に低いということで、もう本当ごくごく一部の人にしか認識されていないのではないかというふうにデータ上は読み取れましたので、これはやめることにしたということでございます。あと、天平祭、夏と秋合わせて1億3,500万、一つのイベントで7,000万ぐらいですし、大立山まつりについても5,000万ぐらいということでございまして、費用もかなりかさむというようなことを考慮いたしました。
ちょっと全部説明すると長くかかりますので、主なものだけご説明をさせていただきました。
記者:
ありがとうございます。
観光の施策のところで、エリアごとに観光戦略を練っていくというものがあったと思いますが、その中に平城宮跡というのも含まれていましたが、知事として、平城宮跡をどういうふうに活用していきたいかというのと、事業見直しで、東と南側の整備計画が見直されましたが、その後、何か方向性というのは決まっているのか、教えてください。
知事:
この平城宮跡にどうにぎわいをもたらすのかということは、すごく重要なテーマだと思っていまして、すばらしい場所だと思いますので、どうやったら人が集まってくれるのかということを、これは令和6年度、1年間かけてじっくり考えたいと思っております。新たに観光戦略本部というのを令和6年度に立ち上げますけれども、その中に、この平城宮跡歴史公園活性化部会というのを設けまして、そこに民間事業者などに入ってもらって、どう活性化させていくかということを徹底的に議論していこうというふうに考えてございまして、その議論の中で、今回廃止した平城京天平祭や奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつりに代わる新たなイベントも検討していきたいと考えております。目指す姿としましては、利用者がお金を払ってでも来たくなるようなイベントをするというところです。この平城宮跡歴史公園で例えば物とかサービスを提供することで、税金を大量に投入しなくても、県内の人、県外の人、あるいは海外の人が来てくれるような、そういう自立的に人が集まる。自立的というのは、行政がお金を、税金を投入してイベントをしなくても、人が自然に集まってくるような、そういう人を引きつけることのできるコンテンツは何なのか、そういう人が自然に引き寄せられるような、そういう商業施設というのは何かないか、あるいは、そういうサービスを提供できるものがないか、そうしたことをちょっと令和6年度にじっくり考えていきたいなと思っておりまして、現時点では具体的な方向性というのはまだ出ておりません。
記者:
平城宮跡の南側エリアについては、商業施設の誘致もというお話あったと思いますが、それはまだ今も生きているということでいいですか。
知事:
はい。ただ、具体的には誘致活動はまだしておりません。
記者:
先ほどお話あった観光戦略本部は、具体的にいつ頃立ち上げて、どういうメンバーでというのは決まっていますか。
知事:
新年度早々にはと思っていますが、メンバーの人選は、今検討しているところでございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
日経新聞さん。
記者:
水素戦略についてお尋ねしますが、知事は先日の会見でも、あるとしたら、内陸型の水素拠点を目指すということで話をされていますが、国のほうは、これから10年ぐらいで8か所ぐらいの重点拠点みたいなところを指定するという考えがあるようですけども、内陸モデルでそういう拠点の、重点支援拠点とかを目指すような考え方とかあるのでしょうか。
知事:
ちょっと私の認識では、その8か所は、湾岸地域を想定しているというふうに聞いていまして、水素を海外から輸入して、それを利用するというようなことを念頭に置いている事業ということなので、正確な認識はないですが、その8か所に入るということは、特段今は考えておりません。山梨県とか福岡県とか福島県とか、既に先行して内陸で水素の利活用に取り組んでいる自治体はございまして、奈良県はさらにそれを実験的なレベルだけではなく、ちゃんと商業利用も視野に入れた形で水素の製造、供給、そして利活用、きちんと市場が回っていくようにしたいと考えています。もちろん製造、供給も重要なんですけども、特に需要の固まりをつくり出すということが結構ポイントになると思っておりまして、それに関しては、内陸であれ、沿岸部であれ、できることですので、全国の先駆けとなるようなことができればいいなというふうに思っております。
記者:
先ほども出た、知事も視察された山梨県は製造システムの外販だったりとか、自治体との連携、ほかの自治体に売っていったりとかする中で、ほかの自治体が進めているところを取り込んだり、連携したりというような考えというのはありますでしょうか。
知事:
いや、それはもちろんでございまして、我々は後発組でございますので、先進県の様々な取組で成功しているものについては、貪欲に吸収していきたいと思っております。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
産経新聞さん。
記者:
冒頭のポイントのところに戻ってしまうんですけれども、財政のことについて、今までもいろいろ説明はいただいたことはあるかと思いますが、現在の奈良県の財政状況を知事はどういうふうにお考えでしょうか。
知事:
他の都道府県との比較で申し上げますと、平均的で、それほど財政が悪いという状況にはないと認識してます。
記者:
その中で、今回の新年度予算では、財政調整基金の取崩しをしないだったり、県債の発行を抑制することも考えたりしていると思いますが、今後の県の財政の在り方というのはどういうふうに方針で進めていくかというのを教えてください。
知事:
現時点での県財政は、、他府県と比較して平均的であると認識しておりまして、それぐらいのポジションはキープしていきたいと思っております。そんな大企業が県内にあるわけではなくて、かつ、人口も減少ぎみでございますので、県の財政が比較的健全といっても、それは結局、依存財源に頼っているわけです。東京や大阪のように、潤沢に法人関係の税収が入る、愛知県とか、そういうところとは全然違うので、今後の経済情勢等でさらに、いや、我が国の経済状態が悪くなって、税収が減る、あるいは、今後、金利が高くなれば、政府は国債の未払い額がどんどんどんどん増えていくわけですから、そうすると、今後、地方交付税が従前どおり確保されるかどうかということも、未来永劫に保障されているわけではございませんので、我が国の経済とか財政の将来的な見通しを考えますと、引き続き健全性は維持していくべきかなというふうに考えております。
司会:
よろしいでしょうか。
ほかに質問はございますでしょうか。
NHKさん。
記者:
今回のこの新年度予算案というのは、知事が就任して初めて手がけた予算だと思うんですが、この予算編成に当たって、どういったところを一番大事にされて作業をしてこられたんでしょうか。この要点の中の目次のところに、それぞれの責任という言葉がありまして、この責任をしっかり果たすためにというようなことが書いてありましたが、県民の皆さんに、今回の予算を執行することで、どういった責任を果たしていかれたいかということをお願いします。
知事:
まず、予算編成に当たって心がけたのは、きちんと公約を実行していくと、それを最優先に心がけました。その公約を実行するための財源の確保ということにつきましても、ただ単に基金を取り崩すというようなことではなく、行財政改革によって、新規施策の財源を生み出していくと、これを心がけました。この2点ですね。それと、4ページにある1.から4.の意味でございますけれども、まず、1.というのは、現在、この奈良県で暮らしている県民の皆様、それから、県内で事業を営んでいる事業者の皆様、そうした皆さんが安心して生活をできる、あるいは事業活動をできるための基盤をつくっていくということでございます。それがまず第一の前提になるとともに、2.というのは、これからの奈良県を支えていく子供たちが健やかに成長できる環境を整えていくということが、これが2.番でございます。もちろん奈良県で育った子供たちが奈良県に残ってくれればいいんですけれども、それは県外に巣立っていっても、奈良県で受けたしっかりした教育を糧に、社会の中で活躍してくれれば、それはそれでいいわけですから、きちんと子供を育て、教育するという責任を大人が果たしていく、そのためにきちんと予算を投入していくというのが2.番の施策でございます。また、3.番は、そういう現役、現在の世代、現役世代、あるいは、高齢者、また、あるいは、未来を担う子供たち、こうした人たちに十分な行政サービスを提供するためには、やっぱり奈良県という地方公共団体が元気でなければならないわけでございます。そういう元気な奈良県、とりわけ元気な産業をつくるということが目的の施策がこの3.でございます。産業というのは、もちろん工業もあれば、農業もあれば、観光もあれば、林業もあれば、あらゆる産業、あらゆるものが含まれますけれども。その1.、2.、3.をしっかりと実現していくためのベースとなるものが4.であると、こういう認識でございます。人々が安心して生活をする、あるいは、農業、工業、林業、観光、どの産業でもいいのですが、それらが健全に営まれるためには、インフラというのが非常に重要でございますので、インフラ整備をきちんとしていくとか、あるいは、そうした施策を実施していく県の職員がきちんとした職場環境で働けるということも重要でございますので、そうしたものをこの4.番の中に盛り込んでいると、そういう考え方で、新規の事業を構築、来年度の事業を構築したと、こういうふうにご理解をいただきたいと思います。
記者:
それに関連してなんですが、この縦長の政策集(令和6年度奈良県政策集)の資料の中ほどぐらいから、それぞれの事業に関して、6年度、7年度、8年度、合計3年間でこういったことをしていくというのが矢印で示されているんですけれども、この3年間を示したということの意味合いは、知事の任期中にはここまでやりますよということを県民に意思表示したというものなのか、それとも、単に向こう3年間でこれくらい進めますよということなのか、どちらでしょうか。
知事:
正直言いまして、作成に、私は全然関与してませんで、職員が作ったので、どういう思いで3か年にしたのかというのはよく分からないんですが、それは私の任期を超えることまでここに書くのはおかしいので、前者の意味でご理解いただければというふうに思います。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良テレビさん。
記者:
少し重複することもあるんですけれども、今回の予算は、先ほど冒頭でかなりの新規事業を盛り込んでいるけれども、大体健全化を図ったということ、また、その財源の確保は行財政改革を行うことを心がけたとおっしゃっていましたが、こういった計画事業の見直しと廃止で令和6年度予算案を編成したということに対しての評価を改めてお聞かせ願えますか。
知事:
やはり予算の無駄遣いというのは、私はあってはならないというふうに思っておりますので、既存事業に対する不断の見直しというのは今後も緩めることなく実施をしていきたいと考えております。民間はもっとシビアにお金の使い方を考えると私は思います。どうしても役所はちょっと甘くなりがちであると思っておりますので、不断の事業見直しをきちんとやれば、基金を取り崩すとかいうことをせずとも、十分な財源は確保できると、そういう考え方でございますので、そういった政治理念に基づいて、今回の予算も組みましたし、今後もそうしていくだろうというふうに思います。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
まず、見直しのところでお伺いしたいのですが、現時点でいろいろ見直されてきて、まだ知事の中で、当初の頃に、天理のなら歴史芸術文化村などが見直しを示唆されていたかと思うんですけども、その辺りについても今後また検討されていく可能性はあるんでしょうか。それとも、一旦、昨年6月については、終わりということになるのでしょうか。
知事:
天理のなら歴史芸術文化村については、既に営業を開始しており、立派な建物もできていますので、あとは、どう効率的、効果的に運営していくか、これはまだ今の体制が100%正しいというふうに証明されたわけでもございませんし、改善する余地はあるだろうというふうに思っております。その運営をどうしていくかということが今後の課題になるんじゃないかなというふうに思っております。
記者:
バスターミナルなど、既にできてしまったものはということですか。それとも、なら歴史芸術文化村に限った話でしょうか。
知事:
バスターミナルにつきましても、奈良県コンベンションセンターにつきましても、要するにあとはどうやって来場者数を増やして、有効に活用するかということだろうと思います。バスターミナルは、今、どんどんどんどんインバウンドも増えてますので、使いようによっては、もっと多くのお客様に利用してもらえるような施設になり得る可能性は十分あるだろうというふうに思っております。そうしたことに向けて、ここに書いてないのかもしれないですが、新規に自動販売機を設置したり、自動両替機を設置したりというようなことを来年度、もう一部、既にやった分もあるかもしれませんが、その自動販売機の設置とか、自動両替機の設置をしていきたいと思ってますし、比較的利用されてない、パソコンだけあるスペース、分かりますかね、スターバックスのちょっと奥のところの何か観光情報を検索するようなスペースなんですけれども、あそこをもうちょっと有効利用できないかなと思っていまして、その有効活用策は今探っているところでございます。
記者:
ありがとうございます。ということは、まだ見直しのところでいろいろ考えていかれるということでしょうか。
知事:
はい。奈良県コンベンションセンターもいろいろと利用客数増のための施策を考えていまして、これも来年度から実施予定なんですが、利用日まで3か月を切った段階で、予約の入っていない施設については、半額にするという新制度の運用を、今進めています。
記者:
ありがとうございます。
公約のところの話ですが、知事のトップセールスでふるさと納税を推進します、というような話があったかなと思うんですけども、特に当初予算では主立ってはそういうのは盛り込まれなかった理由はありますか。
知事:
公約に書いたのは、企業版ふるさと納税だったというふうに認識していますけれども、これをどうやって企業版ふるさと納税等を増やしていくかというのは、まだ私のほうも手がつけられていないテーマでございまして、令和6年度にまた職員と知恵を絞って、どういう方策があるか検討したいんですけども、結構ちらほら企業版ふるさと納税で納税してくださっている企業さんがありますので、それをどうやって増やすかということが課題かなと思っております。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
先ほど話が出た観光に関する戦略本部のことなんですけども、来年度は、世界遺産に向けた藤原京のところもポイントになってくるのかなとは思うんですけども、予算には主立ってあまり書かれてない、観光戦略本部とかで検討されていくという、何か方向性やお考えがありますか。
世界遺産登録に向けた戦略の中で、本部も関わってくるのか、主立った予算のところにあんまり明記されてないように見受けられたので、今後どうされていくお考えなのかなと・・・。
知事:
飛鳥藤原の世界遺産登録に関しては、もう何をやらなければいけないかというのは大体分かっています。文化審議会から示された様々な宿題をどう確実にこなしていくかということに尽きますので、これについては、観光戦略本部で議論するほどのことではないかなと思ってます。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして令和6年度奈良県予算案の知事記者会見を終了させていただきます。
この後、引き続き、知事会見がございます。副知事、部局長の皆様はご退席ください。よろしくお願いします。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。