第13回定例会議(令和6年1月18日開催)

開催概要

議決事項

1 県費負担教職員定数条例等の改正について <教職員課>
2

奈良県教育委員会優秀選手賞等の受賞者について

<健康・安全教育課>
3 奈良県公立学校情報機器整備基金条例の制定について  <教育研究所>

リンクのない事項は、非公開で審議されたものです。

その他報告事項

1

令和5年度文部科学大臣優秀教職員表彰について

<教職員課>
2 「令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果」について <健康・安全教育課>
3 研修履歴の記録について <教育研究所>
4 令和5年度教職員支援に係るアンケート調査結果概要について <教育研究所>



令和5年度第13回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和6年1月18日 
 14時30分

 

<閉会>
 令和6年1月18日
 15時50分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(出席)
 田中郁子(出席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 県費負担教職員定数条例等の改正について

議決事項2 奈良県教育委員会優秀選手賞等の受賞者について

議決事項3 奈良県公立学校情報機器整備基金条例の制定について

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、田中委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和5年度第13回定例教育委員会を開催いたします。本日は、委員全員出席で、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1及び3については、議会の議決を経るべき議案についての意見の申出に関することであり、意思形成過程であるため、当教育委員会においては非公開で審議すべきものと考えます。委員の皆様にお諮りします。いかがでしょうか。」

     ※ 各委員一致で可決

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、本日の議決事項1及び3については、非公開で審議することとします。」

○吉田教育長 「議決事項2『奈良県教育委員会優秀選手賞等の受賞者』について、ご説明をお願いします。」

○新子健康・安全教育課長 「奈良県教育委員会優秀選手賞等の受賞者について、説明いたします。
 1枚目の資料は、平成29年度公布された奈良県教育委員会優秀選手賞等表彰規則です。本件は、この規則に基づき表彰されるもので、今年度は、第2条に該当する『優秀選手賞』及び第3条に該当する『特別優秀選手賞』の表彰となります。2枚目の選考要綱ですが、まず、第3条優秀選手賞の選考基準をご覧下さい。『優秀選手賞は、当該年度において第1号から第7号までに掲げる大会において優勝した個人若しくは団体又は第8号に該当するものに対して与えられるものとする。』となっています。第4条特別優秀選手賞の選考基準では、『特別優秀選手賞は、前条第1号から同条第7号までに該当する大会において3年又は4年連続して優勝した個人に対して与えられるものとする』又は『前項の規定にかかわらず、教育委員会が前項の規定による基準に相当すると認めるときは、特別優秀選手賞を与えるものとする』となっています。また、第5条選考の手続きですが、『優秀選手賞又は特別優秀選手賞の選考に当たっては、奈良県中学校体育連盟会長、奈良県高等学校体育連盟会長、奈良県高等学校野球連盟会長及び奈良県特別支援学校長会会長からの推薦に基づき行うものとする。』とあり、各団体から推薦されてきた候補者について、奈良県教育委員会優秀選手賞等審査会において選考いたしました。
 それでは、3枚目の受賞者案をご覧ください。本年度は高等学校体育連盟、中学校体育連盟、高等学校野球連盟、特別支援学校長会から推薦された、5団体と個人14名となります。受賞候補者をご確認いただきたいと思います。摘要及び選考基準は、2枚目の選考要綱第3条に基づくもので、右端の選考基準が(1)から(7)につきましては、それぞれ基準を満たしています。(8)となっている受賞候補者は、選考要綱第3条(8)その他、特に顕著な功績があると教育委員会が認める個人又は団体に該当します。
 まず、特別優秀選手賞受賞者 新体操、奈良文化高等学校 中村知花さんです。中村さんは、高校1年生時の全国高校総体(インターハイ)において、個人総合で優勝、令和4年度、5年度に関しては、新体操日本代表、通称フェアリージャパンのメンバーとして、世界選手権やワールドカップ等で活躍されました。
 続きましては、優秀選手賞です。団体の部では、次の5団体が各大会で優勝しました。天理高校第二部の卓球部男子が全国高等学校定時制通信制体育大会で、天理高校第二部のバレーボール部女子が全国高等学校定時制通信制体育大会で、天理高校第二部のバスケットボール部女子が全国高等学校定時制通信制体育大会で、五條市立五條東中学校の女子柔道部が全国中学校体育大会で、天理高等学校の軟式野球部が特別国民体育大会で優勝しております。
 続いて個人の部13名です。高等学校からは、ボクシングで県立王寺工業高等学校の堀江耀斗 さんが、全国高等学校総合体育大会のライト級にて優勝です。水泳で、天理高等学校の土谷直樹さんが、全国JOCジュニアオリンピックカップの男子100m平泳ぎで優勝しております。陸上競技では県立添上高等学校の2名が優勝しました。嶋本美海さんは、U20日本陸上競技選手権大会と全国高等学校総合体育大会の女子ハンマー投げで優勝しました。矢野結衣さんはU18陸上競技大会の女子円盤投げで優勝しております。登山(クライミング)では、橿原学院高等学校の谷井和季さんが世界大会のIFSCクライミングワールドカップ男子スピードに出場し37位となっております。谷井さんに関しては、順位は37位ですが、日本山岳・スポーツクライミング協会が定める国際競技大会派遣選手選考基準では、世代を問わず国内のトップ選手のみが選考されていることを考慮し、受賞者として相応しいと判断しました。
 中学校からは、柔道 五條市立五條東中学校の2名が全国中学校体育大会で優勝しました。堀 花寧子さんが女子57Kg級で、森田七海さんが女子63Kg級で優勝です。
 水泳から2名が優勝しております。奈良市立平城中学校の若杦朝陽さんが全国中学校体育大会 男子1500m自由形で優勝、葛城市立新庄中学校の柏田稟珠さんが特別全国障害者スポーツ大会の女子50m背泳ぎと日本パラ水泳選手権大会の女子50m自由形で優勝しております。
 テニスでは、香芝市立香芝中学校の小坂莉來さんが全国中学生テニス選手権大会の個人戦で女子シングルスで優勝しております。弓道では、橿原市立八木中学校の松村寿洸さんが全国中学生弓道大会の個人男子の部で優勝しております。
 特別支援学校からは、県立ろう学校の2名が特別全国障害者スポーツ大会で優勝しております。水泳では、羽田輝さんが50m背泳ぎで、卓球では岡田芽衣紗さんが一般の部の個人でそれぞれ優勝しています。
 本件、議決後は、2月8日に県立教育研究所におきまして、表彰式を行う予定となっています。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「当該年度の成績が基準となると規定されていますが、中村知花さんは令和3年度の優勝が選考基準となっているのは何か理由がありますか。」

○吉田教育長 「中村さんは、3年連続優秀な成績を収めたため、特別優秀選手賞を授与したということです。」

○三住委員 「優秀選手賞は当該年度だが、特別優秀選手賞は3年間を考慮するということですね。あと、令和5年度はアジアシニア選手権となっていますが、ジュニアの間違いではないでしょうか。」

○新子健康・安全教育課長 「中村選手は、すでに日本代表フェアリージャパンとして活躍しているのでシニアで間違いありません。」

○三住委員 「分かりました。すごいですね。」

○伊藤(忠)委員 「教育委員会規則で公布の日からとなっていますが、いつ公布されたのですか。」

○新子健康・安全教育課長 「平成30年1月5日となっています。」

○伊藤委員 「規則ができる前に条例か何かがあって、それに従って規則があるのですか。」

○吉田教育長 「条例はありません。」

○伊藤(忠)委員 「規則は平成30年からですか。」

○新子健康・安全教育課長 「教育委員会規則第五号が平成30年1月5日からです。要綱もそれに合わせて1月5日となっています。」

○吉田教育長 「過去、体育協会が教育委員会内にあったときにスポーツ表彰を行っていました。その後、体育協会がスポーツ振興課へ移った際に、表彰制度も知事部局となり、教育委員会にそういった表彰制度がなくなってしまいました。そこで新たに制度を作りましたが、きっかけは王寺工業高等学校のボクシング三連覇でした。三連覇に対して、当時の教育委員から何らか表彰しようじゃないかという意見が出て、今の制度ができたということですね。」

○伊藤(忠)委員 「分かりました。ありがとうございました。」

○三住委員 「全国中学校体育大会が縮小という報道がありましたが、それについて何か情報はありますか。」

○新子健康・安全教育課長 「詳しい情報はまだ入っておりません。」

○三住委員 「分かりました。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

      ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項2については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○東村教職員課長 「令和5年度文部科学大臣優秀教職員表彰について、報告いたします。
 令和5年10月11日に開催した奈良県の公立学校優秀教職員表彰選考委員会での選考の結果、令和4年度の奈良県表彰者の中から、資料の名簿に記載の5名と1団体を令和5年度の文部科学大臣優秀教職員表彰の候補者として推薦していましたが、その5名と1団体が表彰者に決定され、一昨日、表彰式が行われています。
 以上です。」

○新子健康・安全教育課長 「『令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果』について、報告いたします。
 調査につきましては、県内の小学校第5学年と中学校第2学年を対象に調査を行っています。調査内容ですが、小・中学校ともに8種目を実施しています。中学生については『20mシャトルラン』と『持久走』はどちらかを選択することとなります。あわせて、運動習慣等の質問紙調査を行っています。
 では、資料1をご覧ください。体力・運動能力の状況ですが、調査8種目それぞれの数値を10点満点で評価し、合計した体力合計点は、小学校男子・女子、中学校男子・女子の全てで全国平均を上回っています。小学校女子については、調査開始以来、初めて全国平均を上回りました。
 経年推移を見ますと、小学校男子・女子については、昨年度までの低下傾向に歯止めがかかり上昇していますが、中学校男子・女子については、令和元年度から低下傾向が続いており、特に中学校女子は、コロナ前の令和元年度と比較して大きく低下しています。
 低下傾向に歯止めがかかった要因としては、令和4年度にはコロナによる行動制限が緩和され、児童生徒の運動の実施が元に戻ってきたことが推測されます。しかし、中学校では、体力向上の取組を含めた運動の実施が十分にできていない状況が続いていることが考えられます。
 続きまして、4枚目の資料2をご覧ください。
 小学校5年生の各種目別の表となります。赤枠で囲んでいる種目は、全国平均以上となります。柔軟性の長座体前屈は、令和元年度以降、全国・奈良県ともに記録が向上しています。走能力の50m走も、コロナ前の令和元年度の水準まで記録が向上しています。上体起こし、20mシャトルランは、令和元年度と比較して記録が低く、課題であると捉えています。奈良県・全国で課題のあったソフトボールは昨年度より記録は向上しています。
 5枚目の資料3をご覧ください。中学生については、先ほどお伝えしましたが、全体的に昨年度より低下傾向となっており、特に、中学生男子の20mシャトルラン、中学生女子の持久走やハンドボール投げが過去最低値となっており、対策を検討する必要があると考えています。
 資料4以降は、運動習慣等調査の結果となります。資料4-1は、運動やスポーツをすることの好き嫌いを聞いています。小学校男子では、運動好きの児童の割合が令和4年度より増え、令和元年度の水準まで回復しました。しかし、小中男女全てで全国平均よりも運動好きの児童生徒の割合が低くなっています。資料4-2は普段の1週間の総運動量です。先の運動好きの結果と連動しますが、小中男女全てで、運動時間60分未満の児童生徒の割合が全国平均よりも高くなっています。資料4-3のテレビ・DVD・スマートフォン等の視聴時間は、小学校男子は全国平均並みとなりましたが、中学校男女とも5時間以上の割合が年々増加しています。資料4-4の睡眠時間についても、これまで同様に睡眠時間が短いという傾向が出ています。視聴時間の増加や睡眠時間の減少については、他課とも情報共有を行い、生活習慣の改善に向けて、保護者への啓発を含めて取組を検討していきたいと考えています。資料4-5については、運動・スポーツに対する意識調査となりますが、中学校での男女間での差が顕著になっています。
 最後の参考資料は、他府県のデータを示したものです。本調査の結果を踏まえて、今後も運動、スポーツ好きの子どもたちを育成するためにも、学校の体育授業の充実、指導者の授業力向上、運動習慣の確立を目指した取組の推進に努めてまいります。また、結果については、2月2日に小中学校の教員と市町村教育委員会の担当者に向けて説明会を行い、体力向上に向けた取組の充実につなげていきたいと考えています。
 以上です。」

○栢木教育研究所長 「研修履歴の記録について、報告いたします。
 令和4年8月に、『改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について(通知)』が文部科学省から通知され、『研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン』が策定されました。この中で、教師の資質向上のための取組の記録が『研修履歴』、資質の向上に関する指導・助言等が『対話に基づく受講奨励』と位置付けられました。
 教職員の資質向上に生かす研修履歴と、対話に基づく受講奨励は、教職員が自らの学びを振り返るとともに、学校管理職等が研修の奨励を含む適切な指導・助言を行うことにより、一人一人の教職員が自らの専門職性を高める営みと自覚し、主体的に研修等を行うためのものです。
 県教育委員会では、これらの取組を通して本県教職員の主体的かつ効果的な資質向上・能力開発を図っていきます。そのため、教職員の資質向上に役立てる研修履歴の効果的な記録のための『研修履歴活用アプリ』を開発しました。A3の配布資料にある図は、次世代型教職員研修システムの概略を示しています。次世代型教職員研修システムの特徴は、研修履歴活用アプリを活用する多くの場面で教職員と管理職とが対話を行うことができるところです。また、A4の配布資料は、研修履歴活用アプリを用いた研修履歴の記録までの流れを簡潔にまとめたものです。
 研修履歴活用アプリを活用する次世代型教職員研修システムは、研修受講後にリフレクションしたり、研修履歴を可視化することもできます。また、Web上の動画配信プラットフォームを活用したオンデマンドコンテンツの充実も図りながら、次世代型教職員研修システムを利活用することで、教職員が自らの強みやさらに伸ばしたい分野が明確となり、学び続ける意欲の喚起に役立つことを期待しています。この次世代型教職員研修システムは令和6年度からの運用を目指して開発を進めており、令和5年度は研修履歴活用アプリを使った研修履歴の記録のみを行います。
 以上です。」

○栢木教育研究所長 「令和5年度教職員支援に係るアンケート調査結果概要について、報告いたします。
 令和5年11月20日から12月3日まで、e-netアカウントを持つ奈良県公立学校に勤める全教職員対象に行いました。
 令和5年8月28日に開催された『中央教育審議会初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会』においてとりまとめられた『教師を取り巻く環境整備ついて取り組むべき施策』では、取組の具体策の一つ『学校における働き方改革の実効性の向上等』において、教職員のメンタルヘルス対策や保護者への対応について言及されています。『令和5年度教職員支援に係るアンケート調査』は、県教育委員会として現状を把握し、具体的な支援策を検討することを目的として実施しました。
 回答者数、回答率はご覧の通りです。
 2ページから3ページは、アンケート項目になっております。集計は、校種別と年代別に行い、特徴的なものを次ページからまとめました。
 4ページは、問5『強いストレスを感じたことがある項目』についてまとめたものです。全体的に、『生徒指導』『業務の量』『保護者との関係』の三つについて強いストレスを感じていること、管理職では、『保護者との関係』に加えて、『地域社会、地域住民との関係』に対しての割合が高く、管理職以外の教職員では、中学校高等学校は『部活動指導』、特別支援学校は『同僚との関係』についても、ストレスを感じる機会が多いことがわかりました。また、年代別の結果から、『生徒指導』『業務の量』『保護者との関係』以外の項目において、20代では『学習指導』『部活動指導』が、30代では『校務分掌の仕事』『部活動指導』、40代は『校務分掌の仕事』『同僚との関係』『地域社会、地域住民との関係』、50代では、『地域社会、地域住民との関係』の割合が比較的高く、キャリアステージに応じてストレスを感じる項目が変化していくことが見えてまいりました。
 5ページでは、問6『事務的な仕事に関するストレス』についてまとめたものです。4分の3の教職員がストレスを感じたことがあり、かつ、『書類や報告書の作成』『各種調査アンケートの回答』に対するストレスが大きいことがわかりました。特別支援学校においては、『文書・データの整理』や『児童生徒の記録』への管理職以外の教職員の回答が多く、他校種と異なる結果となりました。
 6ページは問7と7-A『保護者対応に対するストレスについて』と『ストレスに感じる保護者からの要求』について、具体的に尋ねた結果でございます。こちらについても、4分の3の教職員が保護者への対応にストレスを感じたことがあり、かつ、『児童生徒の接し方や生徒指導に対する要求等が多い』『本来学校が担うべきことではないことに対する要求が多い』に回答が集中しています。また、ここには示していませんが、管理職においては、『教職員の指導力に関する要求等が多い』についても高い値を示しています。
 7ページは、問7-Bストレス『保護者対応を軽減するサポート』についてで、『弁護士にいつでも相談できる体制確立』『困難な保護者への対応について、学校としての組織的な体制の確立』『学校から保護者への協力要請や注意喚起』の回答数が多く、管理職においては『弁護士相談』が、管理職以外の教職員では、『困難な保護者対応について、学校としての組織的な体制の確立』が、どの校種も最も高い値を示しました。自由記述では、スクールロイヤー、カウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用、スクールロイヤーの配置等の教員以外のスタッフの活用、警察との連携、クレームに対する外部委託、学校外の相談窓口の設置、保護者対応に関する支援体制の確立等についての記述が多く、保護者側の意識を変えられる取組や教員の加配を希望する等の、県や市町村教育委員会に対する要望も多く見られました。
 8ページでは、問8『専門機関等(弁護士等)への相談方法』について尋ねた結果でございます。『対面』が多いですが、他の方法については大きな差はなく、どの方法も有効であると考えております。年代別に見ますと、『フォーム等』については年代が上がるにつれて減少し、逆に『対面』の割合が増えています。『オンライン』については、60代以上を除いて各年代に差が見られないことから、方法を複数設ける等の工夫をしながら、相談できる体制の確立を目指す必要があるのではないかと考えております。今後もこの対応等については、検討してまいりたいと考えております。
 以上です。」

吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「教職員支援に係るアンケート調査の件で、弁護士等への相談とありますが、どのような弁護士をイメージしているのでしょうか。ある自治体で行っている具体的な取組を聞いたところ、子どもの権利委員会という子供や親側の権利を守るという委員会が学校側の相談を受けているということになっていて、若干矛盾しているのです。クレーマー的なものであれば、子供側の弁護士ではなくクレーマー対策的な弁護士に依頼することもあるかと思います。
 そこで提案なのですが、何とか予算をつけて、子供側、保護者側が弁護士に相談するような無料相談窓口、クレーマーの人が相談できる窓口も作ってはどうかと思います。先生からの相談は先生用の窓口で受け、弁護士は連携せずに別の弁護士で両方の窓口をつくるというのがいいと思います。その理由は、いろいろ事件を扱っていると過度な要求をする人と話をする場合があるのですが、その人は複数の場所で無料相談を受けていて、これは無理だと弁護士から聞いているのです。表面的には無茶苦茶なことを言う人も腹の中では無理と言われていて、その人側の味方である弁護士が押さえてくれると言うこともあるからです。先生は先生側の弁護士に相談するというように両側の制度にすることを検討していただければと思います。」

○栢木教育研究所長 「委員が言われたご意見については、現在県教委の方では教職員側ということですが、総括的に考える必要があると思いますので、奈良県PTA協議会や奈良県高等学校PTA協議会に、そういうご意見もあったということでお話をさせていただきたいと思います。」

○吉田教育長 「過度な要求をする保護者側が弁護士に相談するでしょうか。」

○三住委員 「結構しています。そういう人は、それは無理だと言われていても言います。事前にあちらこちらで無料相談を受けていることが多く、自分の主張は無理だなと思っていることが多いのです。ですから学校や教育委員会の対応について不満のある人が、弁護士に無料で相談できるよう予算をつけるといいと思います。正当な相談の場合も無茶苦茶な相談の場合もありますが、正当な問題ならば正当な権利の保護のために何らかの対応をします。無茶を言っている場合は、これ無茶ですよとなります。県教委が、先生側だけの窓口を設置すると、親側は自腹でどこかの弁護士に行かないといけないということになってしまいます。大した量の相談はないと思いますから、いじめや教師の体罰など親御さんからの相談を、教育委員会や学校に言っても解決しないという場合の窓口として、両方の窓口をつくってもらって、親御さんも自腹で弁護士に相談に行くのではなくて、子供側にも親切な弁護士と相談してもらうのがいいのではないかと思います。」

○吉田教育長 「多いのはいじめ問題ですが、いじめられた生徒の保護者はいじめた生徒から教育を受ける権利を奪えと言います。『学校から外してほしい。自分の子供がいじめられたから、いじめた者を学校から出せ。』というものです。でも、そんなことできないですよね。」

○三住委員 「そのような相談に行ったときに、『そんなことできません。あなたの言っていることは無理ですよ。』と弁護士が説得してくれるのではないかと思います。」

○吉田教育長 「その人が相談に行かれたらそうなりますが、一緒に相談に行くことにはなかなかなりません。」

○三住委員 「同じ弁護士は両方に対応できませんから、子供側親側の立場の相談を受ける弁護士と先生側からの相談を受ける弁護士の窓口を設けるといいと思います。」

○吉田教育長 「先生の相談というよりも、被害者側の立場にたったとき被害者が言ってくるのは、『加害者を学校から外してくれ。教室から外してくれ。』と、そうした要求を保護者がしてきます。そうした場合、学校は、弁護士に相談するとやっぱりそれは無理と言われましたということを伝えることで、ある程度納得させることができると思います。」

○三住委員 「でもそれは先生が弁護士と相談するということですよね。弁護士は常にどちらかの立場、味方なのです。中立にはなり得ません。いろいろな被害者の親御さんから言われた先生については、先生の立場から妥当な意見を見るのです。被害者の親は子供の権利を守る弁護士の方に相談します。」

○吉田教育長 「生徒指導にもそうした両方の立場で相談できる相談業務というものがあります。」

○栢木教育研究所長 「生徒が相談できるということに関しては、少し考えさせていただかないといけないかと思います。ただ、最初の段階で、子供はいじめを受けた段階で、その被害状況によって弁護士に相談に行かれているというお話もあると思うのです。」

○三住委員 「あると思います。でもそれは自腹で相談される部分ですね。被害者側として相談されたときは、本当に被害者となる行為をされている場合と、無茶苦茶を言っている場合などいろいろあります。本当に被害を受けている場合も相談をしてきちんとしたアドバイスを受ける、無茶苦茶を言っている場合は無理ですよとアドバイスを受ける。無茶苦茶言っているときのために、先生は先生側の弁護士にクレーマーをとめるような相談をする。それぞれ別の弁護士というイメージです。どちらかの被害の代弁者であるという考えであって、中間的に妥当な解決を目指すということではありません。両方とも主張することによってどこかで中間的な解決ができるという発想です。」

○吉田教育長 「教員サイドの立場だけじゃなくて、被害を受けている保護者にも、法律相談ができるように両方の窓口を設置するわけですね。スクールロイヤー制度の制度設計についてどう考えますか。」

○上島教育次長 「どんな制度設計にしても予算が関わってきます。言われているような制度設計ができるかということも含めて検討が必要だと考えます。」

○吉田教育長 「教員の相談なので教育委員会として予算を使えますが、被害者の相談に対して行政としてそこにお金を出せるかどうかが問題ですね。双方違う弁護士に相談するということは、検討させていただきます。」

○三住委員 「今申しました両方の窓口というのは少し後回しにして、まずは先生側の窓口を設置するということについての意見なのですが、スクールロイヤーと言うとすべてが丸く収まるというのではなく、両方の妥当性を求めているとやはり違うところが出てくると思います。どちらの立場にあるかを明確にする必要があるため、教員側の立場にたった弁護士に相談しなくてはいけないと思います。」

○伊藤(忠)委員 「体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について、感想ですけども、小学5年生と中学2年生を比較すると睡眠時間が1時間以上少なくなっていますよね。原因ははっきり分かりませんが、活動の範囲や量が増えるから睡眠時間が少なくなるのかと想像しますが、こんなに減るのかと驚いています。
 また、研修履歴の記録について、教職員の主体的な資質向上能力開発ということを目指しているということですが、教職員の方が主体的、自主的に研修を受けていくのは良いのですが、全員がそうでないかもしれない。指導助言等で対話に基づく受講奨励に従ってくれない場合はどうするのですか。おそらく対話されるのは管理職が当たると思いますが、対話がうまくいかないと機能しないのではないでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「初めての取組ですので、自ら学ぶ教職員を育てるという理解について、管理職に対してもう少ししっかりと研修を進めたいと思っています。ただ、管理職から強制的な研修の受講ということになると問題になりますので、今後検討します。」

○伊藤(忠)委員 「ハラスメント問題もそうですが、管理職の研修も必要となりますので、よろしくお願いします。」

○伊藤(美)委員 「この研修の件で、対話というのは『研修を受けなさい』という対話ですか。それとも研修を受けた後にリフレクションし、共有するという対話ですか。」

○栢木教育研究所長 「両方となっています。研修を受ける時にも、受ける研修を管理職は見ることができますので、それに対する管理職への相談も含めています。管理職は、研修を受けた後に承認することにもなっており、そのような対話になっています。」

○伊藤(美)委員 「実は今日の午前に大学でハラスメント研修会があり、私達もかなり強制的に受けないと駄目ということだったので、これが自主的かと感じていたところです。でもある程度強制しないと、なかなか忙しい中で研修を受けることが難しい場合もありますので、どのようにしたら自主的に参加していただけるかが大事なところです。私の経験から言うと、研修をする内容がポイントで、この前も面白く作ってある映像を見て研修をすることがありました。その内容に面白いなとか、役に立つということがあったので、受ける側だけでなくその内容の検討も併せてしていただけるとありがたいと思います。」

○栢木教育研究所長 「研修については、今後変えていく全国的な動きがあります。例えば、大学の先生による2時間の講義で終わるという研修ではなく、事前に時間のある時に自分で研修をするオンデマンド研修を行い、集合した時に学校現場の内容について教員同士で協議し、学んだことを持ち帰って実践し、次の研修で集合した時に成果の報告をするという研修が今後増えていきます。講義による研修がいけない訳ではないですが、自ら学ぶ実践的な研修が主流になっていきますので、今検討しているところです。」

○伊藤(美)委員 「是非検討していただきたいです。研修が役に立ち、興味をもつことができる内容であると先生方もきっと積極的に受けていただけると思います。
 次に、体力・運動能力、運動習慣等調査についてですが、このデータは非常に貴重だと思います。年度比較や発達の度合いを比較したりもできます。例えば、睡眠時間とスクリーンタイムや運動時間をクロス集計できれば、その背景にあるものが見えてくるのではないか、因果関係とまではいかずとも関連性は見えてくるのかと思ったので、分析方法を工夫して、このデータを生かしてほしいと思います。」

○吉田教育長 「研修履歴システムは、奈良県独自で作っています。アプリ開発をGIGAスクール運営支援センターで行っています。国もシステムを作っていますが、県独自で作るということで開発に少し時間がかかっています。悉皆の研修や研究所で行う初任者研修、中堅教諭等資質向上研修も受講申込した時から研修履歴に流れるように、先生方の負担が軽減できるようシステム化しています。教科等研究会の研修等も入力するのですね。」

○栢木教育研究所長 「はい、します。」

○吉田教育長 「そのような研修も入れたらよいと言っています。研究所や大学での研修だけでなくて、例えば教科等研究会で他府県に行って研修したことも入れるのですか。」

○栢木教育研究所長 「本人が研修だと考え、管理職との対話の中で了解が得られれば研修として入ります。」

○吉田教育長 「英語の先生が外国へ行った研修も入るのですか。」

○栢木教育研究所長 「管理職が職務研修として認めたら入ります。」

○吉田教育長 「このようにある程度柔軟に考えています。例えば、小学校の先生に特別支援学校教諭の二種免許状を取ってもらうために計画的に認定講習を受けてもらうということであれば、二種免許状を取得するための職免研修も記録することができます。管理職は、教職員個人がどのような研修をしているかについて見ることができ、市町村教育委員会も見ることができます。新しく来た管理職は、所属校の先生がどのような研修を今まで受けているかということは見ることができます。」

○田中委員 「保護者の対応について、クレーマーという言葉がすごく頭に残ってしまうのですが、うちの会社はクレーマーという形では言っておらず、『お申し出』情報という形の表現にしています。クレーマーと言うと何かこう全て悪いというイメージが働いてしまうためです。
 それともう一つ、先ほどから保護者の方といろいろ軋轢があってとありますが、そのストレスの中に事務的な仕事のストレスも結構書いてありますよね。この保護者の対応については、例えばサポートであれば1番から6番まで具体的に出ていますが、反対に事務的な部分の仕事、書類作成等で出す側からの整理をやっておかないと、受ける方は本当に大変だと思います。この前もお話したと思いますが。これはどちらかと言うと本当に物理的に、『これは前にしたからこれをこうやって一緒にしたらいいのではないですか。』とか、『これとこれとはここでわかりますよ。』とかやっている人が見ていかないといけないと思います。このようなアンケートは、実は他にすごく似ているものがあるような気がして仕方がないです。そういう改善は出す側と受ける側の両方の中でうまく整理できたら、ちょっとでも軽減できるのではないかというふうに感じるのですが、いかがでしょうか。」

○栢木教育研究所長 「今回はそのメンタルヘルスという教職員支援ということで考えたのですが、例えば特別支援学校の管理職のデータの中で、事務的な作業は非常に他の校種よりも多いというグラフが出ておりました。実際、特別支援学校は事務仕事が非常に多いという声も聞いており、そういう情報も得ながら、ご意見を受けとめてまいりたいというふうに思っています。」

○伊藤(忠)委員 「ちょっと別の視点からお話します。今書類や文書の整理の話があるのですが、これはおそらく教職員の働き方改革に関係があり、今どんどん学校内に事務処理等でICTが導入されていますよね。すべてパソコンでデータや文章を打ち込んで整理していかなくてはならなくなり、この辺りのところもストレスを感じる一因かもしれないなと思います。実際パソコンを使ってデータ処理や文書管理していくということは全ての方がするのですが、比較的若い教職員に比べ、年齢の高い教職員の方はしんどいということもあるかと思うのですが。そのあたりの改善ができないかなという気がします。」

○吉田教育長 「昔と違って大体もうExcelを使うようになっていますが、逆に人事評価の目標管理シートはまだ手書きでやっており、管理職が画面に一覧で見えるようになっておらず、紙に印刷して渡すということで行っています。ちょっとそこは遅れていますよね。」

○伊藤(忠)委員 「DXが必要ですね。」

○吉田教育長 「そうですね。デジタル化した方がいいですね。」

○伊藤(忠)委員 「デジタルと紙ベースが両方あると、余計にしんどいのではないですか。」

○吉田教育長 「そうですね。デジタルに一本化できたら楽なこともありますし、紙は紙で残しておかないといけない部分もありますよね。」

○三住委員 「先ほどの保護者対応でのストレスを軽減させる組織的対応という話ですが、これは学校だけを考えておられるのか、それとも教育委員会も一緒の連携的な組織的対応を考えているのでしょうか。ある学校でいろいろと問題があり、学校の対応がまずいということで問題が大きくなった事例がありました。教育委員会や学校は組織的に動いているのですが、そのやり方がまずく、それで学校側の先生を処分するとかしないとかという話も若干出たりするのですね。学校はやはり教育委員会と組織的に対応し、例えばこういうふうに動くけれども、教育委員会はそれを承認しているという状態であるべきと考えます。そうしないと学校は頑張っているけれども、後でまずかったら処分だというのは、学校は気の毒だと思います。学校がすることに対して、校長が教育委員会に話をつなぎながらするのが組織的対応だと思います。常に学校の大きな問題は教育委員会に相談し、後で処分するだけが教育委員会というのは違っていて、学校側の相談を聞いて最終的な結論からこういう方針でやりますよということを共有し、学校側は保護者のクレームに対してこれはできませんという方針を立てたとすると、その方針は教育委員会が承認しているのだという裏付けがあると学校は自信持って動けると思います。学校に任せたきりで、後で問題があったら処分だというようではだめだと思います。教育委員会は最終的にはそのやる方針について責任を持つというようなことをすべきだと私は思っています。」

○吉田教育長 「そうですね。おっしゃる通りだと思います。アンケート結果を見ても、保護者対応のストレスを軽減する取組・サポートに『組織的対応の確立』と回答した数が多いですね。」

○山内教育次長 「このアンケートについて言えば、小さなグラフの方で管理職と管理職以外に分けたグラフがありますけれども、管理職以外がすごく高いことから校内の組織のイメージを持って答えておられると思うのですが、委員がおっしゃる通り、管理職にとっては、管理機関である私どもとの連携というのを含めて組織的に対応できるかだと思います。」

○吉田教育長 「生徒指導の関係で何か問題があれば、教育委員会と一緒になって危機管理的なチームを作って対応していますね。」

○山内教育次長 「チームを派遣するという制度はあります。場合によっては、警察の方も入っていただいて。」

○吉田教育長 「教育研究所の危機管理支援チームが担当しています。ある意味では、個人対応みたいなものになります。例えば中部の高等学校では生徒指導担当者はAという個人が担当していたら、そのAさんがその生徒指導でこんなことが起こっているとかいうことを、指導助言しています。三住委員がおっしゃったような教育委員会との連携の取り方は、指導主事との連携なのかっていう話ですね。例えば、今学校では大概がいじめで問題が生じています。教育委員会として考えないといけませんね。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」

○山内教育次長 「チームを派遣するという制度はあります。場合によっては、警察の方も入っていただいて。」

○吉田教育長 「教育研究所の危機管理支援チームが担当しています。ある意味では、個人対応みたいなものになります。例えば中部の高等学校では生徒指導担当者はAという個人が担当していたら、そのAさんがその生徒指導でこんなことが起こっているとかいうことを、指導助言しています。三住委員がおっしゃったような教育委員会との連携の取り方は、指導主事との連携なのかっていう話ですね。例えば、今学校では大概がいじめで問題が生じています。教育委員会として考えないといけませんね。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」

 

非公開議案

議決事項1 県費負担教職員定数条例等の改正について

議決事項3 奈良県公立学校情報機器整備基金条例の制定について

 非公開にて審議

 

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」