日常生活用具給付事業であるストーマ装具の給付事業の改善についての意見書
日常生活用具を必要とする障害者、障害児、難病患者等に対して、市町村が行う地域生活支援事業の内の必須事業の一つとして、障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした日常生活用具給付事業が行われている。
申請方法等は、市町村長に申請し、市町村による給付等の決定後に給付等を受ける制度であり、その費用負担にあっては、国が100分の50以内、都道府県が100分の25以内、利用者負担は市町村の判断によるとされている。しかし、この費用負担については現状、十分な額が国および県から負担されているとは言えず、市区町村は100分の25を大幅に超えた割合で負担をしている実情がある。そのため、第93回全国市長会議(令和5年6月7日)において、障害者福祉施策に関する提言1-(1)に、「都市自治体が障害者総合支援法等に基づく事業を安定的に運営し、都市自治体の超過負担及び自治体間格差が生じないよう国庫負担基準の見直しを含め、十分な財政措置を講じること」を重点提言として関係府省へ提出(6月30日付)されている旨が公表されている。このことからも、給付基準額の見直しは、単純に地方自治体への要望として解決するものではなく、その実現には関係府省のご協力がなくてはならないものとして、更なる積極的検討をお願いする次第である。
この事業に、消化器系、尿路系ストーマ装具の給付事業も含まれているが、オストメイト協会の調査によると1993年に国が設定した補装具基準額と現在の給付基準額がほぼ同額であり、約30年にわたり改定がされていないため、個人負担額が増加していること。また、大規模災害時の避難所における良好な生活環境の確保が必要であることを踏まえ、次の項目について改善されるよう強く要望する。
一 市町村が実施する地域生活支援事業のストーマ装具給付事業等について、市町村の実態を把握したうえで国負担の必要
額を確保されたい。
二 災害時の避難所における良好な生活環境の確保が必要であることを踏まえ、オストメイトに必要な機材、装具の公的備
蓄を進められたい。
三 福祉避難所において、オストメイトのスムーズな入所を推進されたい。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年3月25日
奈 良 県 議 会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
財務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(防災)
日常生活用具給付事業であるストーマ装具の給付事業の改善についての意見書(pdf 106KB)