2024年4月号
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vol.49
森を育み、未来へつなぐ
豊永林業株式会社
代表取締役
増春 雅孝(ますはるまさたか)さん
山林管理の担い手「山守」
吉野地域には山林管理に関して特有の管理制度があります。山林の所有者(山主)に代わりその山林を山守が管理するものです(山守制度)。弊社は地元・下市町の永田家が所有する山林を管理する部署が前身で、1967年に法人化しました。今でも山守として1,500haの山林を管理しています。
弊社は主に2つの作業を行っています。1つ目は苗木を植え、間伐などの手入れをし、伐採(収穫)する作業です。植えた苗木が木材として利用できるまで、50~60年という長い時間がかかります。先人が大切に育てた山林を次世代につなぐことが私たちの使命です。
2つ目は山林管理のための道をつくる作業です。山の道づくりは山に負荷をかけず、山を崩壊させないことが基本です。作業道を整備すれば車で現場を回れるため、山林の管理が効率的に行えます。また、木材の搬出時にはトラックや重機が使えるため搬出コストが抑えられます。
林業を知るきっかけに
林業は木材価格の低迷や人材不足・高齢化など多くの課題を抱えています。林業をどうやって次世代に引き継ぐかを社内で考えたときに、従来の木を伐り販売するだけではなく、まず林業を知ってもらうことが大切ではないかとの声が挙がりました。そこで、林業を知ってもらうきっかけとして、身近に置いてもらえる木工品を作ろうと、2021年に自社ブランド「rin+(リンプラス)」を立ち上げました。原料のヒノキは全て自社の山のものを使い、ヒノキの入浴剤やアロマオイルなどを販売しています。商品のアイデアは社員全員で考えています。また、黒滝村にオープンした店舗ではrin+のオリジナル商品だけでなく、吉野地域の事業者の商品も販売しています。ワークショップなども開催し、実際の消費者の反応なども確認しています。
2022年には五條市の事業者とともに木(林業)と食(農業)のコラボレーションプロジェクト「Kii STYLE」を立ち上げ、地元の木と食の良さを発信しています。これからも林業のことを知るきっかけを提供し続けます。
林業を次の世代へ
林業に関心をもってもらうため、車で山林を案内するツアーも行っています。参加者の口コミが広がり、今では全国から人が訪れるようになりました。
皆さんもぜひ吉野材の良さを知り、1つでよいので吉野材の製品を身近に置いてみてください。そしてインフルエンサーとして、吉野材の良さを広めてもらえれば嬉しいです。林業を次世代に継承するため、弊社はこれからも挑戦を続けます。
豊永林業のこだわりや企業情報について、詳しくは下記HPから!