ユウキレイさん
漫画家。奈良市在住。東京から奈良へ移り住み『まほろば小町ハルヒノさん』を執筆。春日大社の神鹿が女子高生の姿になり、男子高校生と一緒に奈良への知識を深めていく作品で、現在の奈良の観光ガイドブックとしても反響が広がっている。
奈良は僕にとって「まほろばの地」。
漫画を通して奈良の魅力を伝えたいです。
父親の影響で幼い頃からゲームやアニメに囲まれ育ちました。小学生になると自分でもゲームや漫画を買うようになり、お小遣いを必死に貯めて、買ったときのうれしさは今でも覚えています。「ユウキレイ」というペンネームも大好きなアニメから名付けました。
本格的に絵を描き始めたのは21歳からです。それまで落書きしか描いたことがなかったので、最初の10年間は本当に苦労しました。僕は地道に絵を描く練習が苦手だったのでひたすら漫画を描きつづけ、アシスタントやいくつかの読み切り・連載を経て、現在は奈良が舞台の漫画『まほろば小町ハルヒノさん』を連載しています。
以前は東京に住んでおり、子育てのため奈良に引っ越しました。実際に住んでみると、それまで持っていたイメージが激変。外国人観光客の多さや鹿が生活になじむ光景に驚かされました。僕はゲームやアニメと同じくらい歴史が好きなので「奈良時代の頃のお話を描いてみようかな」というメッセージとともに平城宮跡の朱雀門ひろばで遊ぶ娘の写真を添え、SNSに投稿しました。するとたまたま出版社の目にとまり、それが『ハルヒノさん』の連載につながりました。
漫画家は絵を描く以外にもネタ探し・資料集め・取材などさまざまな仕事があります。特に『ハルヒノさん』の作中では奈良のさまざまな場所が登場するので、実際に現地を取材し、雰囲気をできるだけ再現するよう心がけています。取材には子どもたちと行くこともあるので、いろいろな経験を一緒にできるのが嬉しいですね。
原稿の締め切り間際には徹夜で作業することもありとても大変ですが、自分の描いた作品を読んで楽しんでくれる人がいると思うとやりがいを感じます。漫画家を目指す人はぜひ、地元の歴史からアイデアを探してみてはいかがでしょうか。身近すぎて見落としがちですが、たくさんのネタが隠れていますよ。
前作『お稲荷JKたまもちゃん』は英語版が出版され海外でも人気が出たので、いつか『ハルヒノさん』がきっかけで奈良を知った海外の方が、漫画を片手に聖地巡礼へ来てくれたら最高です!これからも大好きな奈良の魅力を発信するため、地元に寄り添った漫画を描いていきたいです。皆さんが住む地域へ取材で伺うことがあるかもしれません。そのときは温かく迎えていただけたら嬉しいです。一緒に奈良を盛り上げていきましょう!