司会:
おはようございます。ただいまから令和6年度最初の知事定例記者会見を始めさせていただきます。
本年度も定例記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信するとともに、配付資料もホームページに掲載してまいります。
本日は、知事からの発表案件が2件ございます。それぞれの発表後に質疑応答の時間を取らせていただきます。
まず、1件目の発表案件は、用地買収価格の審査体制の強化についてでございます。
山下知事から発表いただきます。よろしくお願いいたします。
知事:
お手元の資料をご覧ください。従前、この奈良県土地評価額適正審査会というもので審査の対象となっていたのは、左側に書いてございます「1つの契約で取得する土地の合計が予定価格7,000万円以上かつ、その面積が2万平米以上の案件」に限られていました。また、「当該事業を所管する部が県土マネジメント部の案件」に限られていたのですけれども、1契約で取得する面積や予定価格に限定する合理性はないのではないかというふうに考えまして、事業のために買収するまとまった土地の合計が7,000万円以上かつ、その面積が2万平米以上という形で、地権者が1人ということはあまりないので、「複数の地権者からまとまって用地を買収する場合に、その予定価格が7,000万円以上かつ、面積が2万平米以上の案件」については、これは土地評価額適正審査会にかけるということにしました。
事業所管についても県土マネジメント部の案件に限る必然性はないので、県の全ての案件に拡張するというふうに考えております。そういうことで、従前、大和平野中央プロジェクトについては、当然複数の地権者から田んぼを買っていますので、要件に当てはまらなかったのですけれども、見直し後につきましては、こういったものも土地評価額適正審査会で諮る対象になることになります。県の中央卸売市場も同様でございます。このような制度の改正を行うことで、より土地の買収価格の妥当性及び透明性を向上させていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
司会:
それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
朝日新聞さん。
記者:
まず、この変更はいつの時点から始めるのかということと、従前の審査件数は大体、年間とか、ここ数年でどれぐらいだったのかといったデータが分かればお願いいたします。
知事:
新たな運用は今年度からでございます。土地評価額適正審査会で今まで付議した案件でございますけれども、令和2年度に平城宮跡歴史公園南側整備事業という、今、大型の観光バスが止まっているところを買収した際と、令和3年度の大規模広域防災拠点整備事業、この2件でございます。
記者:
この土地買収に絡んで、まさに五條市の土地買収に関して、県議会でも知事は検証をされるべきものだという発言がありましたけれども、五條市の個別ケースについては、今後何かなさるおつもりがあれば、教えてください。
知事:
今、その用地買収の際の資料を私や担当部局の管理職が読み込んで検討しているところです。ですので、今後、委員会を立ち上げるかとかそういったことはまだ決まっていないです。
記者:
今、土地の妥当性、透明性を向上させていきたいとか、地権者が複数いたら、当然全体の価格が増えるからというお話だったと思いますが、こういう体制強化を変更した理由とか、きっかけとか、まさに五條市のことがきっかけだったのかとか、その辺りの判断の背景をもう少し詳しく教えていただけますか。
知事:
当初は、就任直後に行った予算執行査定の際に、五條市の大規模広域防災拠点の用地は、この奈良県土地評価額適正審査会に諮ったということはそのとき聞きました。大和平野中央プロジェクトもたしか総額約50億円で買っていまして、そちらはその奈良県土地評価額適正審査会では諮っていないというふうに聞いたので、それは何でですかと聞いたら、そもそも審査会に諮問する案件がこういうふうに限定されているからという説明がありました。それはあまり合理性がないですよねというような話をそのときにして、見直しを検討してくださいと担当部局に指示を出していて、その見直しの方針が固まったので、新年度から適用することにしたと、こういう経緯でございます。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。
2件目は、こども・若者委員の選任等についてでございます。
知事、よろしくお願いいたします。
知事:
以前、一度、ちらっと説明させていただいたことがあると思いますけれども、今般、新たに県が策定中の(仮称)奈良県こどもまんなか未来戦略や、今後、県が子ども・子育て施策を検討する際に、施策の当事者である若者や子供の意見を聴取し、施策に反映することができるように、こども・若者委員というのを選任することにいたしました。
具体的には、奈良県こども・子育て支援推進会議にこども・若者委員を2名、公募により選任することといたしました。お名前等は、そこに記載されているとおりでございまして、今後の予定といたしましては、令和6年の5月中にこの奈良県こども・子育て支援推進会議の1回目の会議を開催しまして、このこども・若者委員に参加していただきたいなと思っております。
それから、(2)のところですけれども、こどもまんなかクラブというのを設置いたします。これは、目的といたしましては、子供、若者の皆さんが政策に対して意見を伝えて、政策を決めるプロセスに主体的に参画する機会を設けるというのが趣旨でございます。対象者は、令和6年4月の時点で小学校1年生から20代までで、人数の制限はなく、希望者の全員を登録したいと考えております。募集期間は、本年4月10日から4月30日まで、意見を伝える方法としては、ウェブ上でのアンケートやオンライン、対面などによる面談ということでございます。今後、具体的にこのこどもまんなかクラブに登録された方々から意見を聞く機会といたしましては、策定中の(仮称)奈良県こども未来戦略について意見を聞きたいというふうに考えております。
それから、資料の2枚目、既に奈良県こどもまんなか未来戦略の策定に向けまして、意見の聴取というのをしてきました。その結果をご説明、ご報告させていただきたいと思います。
まず、(1)学校訪問による意見聴取ですけれども、今年の1月から3月までに合計12施設を回りまして、283人から意見を聞いております。内訳は、記載のとおりでございます。意見聴取の様子なんかは、右側の写真をご覧いただきたいと思います。あと、ウェブによる意見募集も行いまして、114件の回答がございました。
この意見聴取によって得られた意見なのですけれども、3ページ、4ページに記載されているような意見がございました。その多くの意見については、ちょっと既に県のほうで事業を展開していたり、新規事業として既に予定をしているものが大半でございました。対応関係を表にしているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
司会:
それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
NHKさん。
記者:
まず、このこども・若者委員の方が2人選ばれましたけれども、この方たちに今後、県の施策を練っていく上で、どのようなことを期待されていますか。
知事:
実際に施策を利用する、あるいはその施策の便益を受けるのが子供であり、若者でございますので、そうした人たちが何を望んでいるかということが分からないまま、大人がこういうことしたら喜んでもらえるだろうとか考えて実施する施策が、実は当事者の要望と違っていたということであれば、お金をかけて実施する意味がなくなります。そういう意味で、県が行う子ども・子育て施策がより当事者のニーズに合致したものになるためには、当事者から意見や要望を聞くのが一番有効な手法であろうというふうに判断をして、実施するものでございます。
記者:
この委員さんたちに関しては、遠慮せずにどんどんお話ししてほしいというか、そういった感じでしょうか。
知事:
そうですね。はい。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
このお二人の選考の理由を改めてもう少し詳細に、この16歳、21歳とか、何かチョイスがあったのか、何か理由があれば教えてください。
知事:
選任は、そこに記載しているとおり、公募をして、1次選考が作文、2次選考が面接という形で、県の職員が採用をしておりまして、どうしてこの2人が選ばれたのかというのは、僕、分からないのですけど、何か答えられますか。
担当課:
1次選考は、400字から800字の作文でございまして、評価の項目といたしましては、適性度、理解度、客観性、主体性、意欲度というのを見させていただきました。2次選考は面接でございまして、8名から4名に1次選考で絞らせていただきまして、4名の方を面接させていただきまして、適性度、理解度、客観性、意欲度、伝達力の5段階評価で6名の県職員により評価させていただいたということでございます。いずれの方も非常に積極的にご自身のご意見をお述べいただいたというふうに感じております。以上でございます。
記者:
このこどもまんなかクラブというのは、組織の創設としては、課内に置くのですか。それとも、この会議体の中に置くのですか。どういう位置づけになるのでしょうか。
知事:
これは会議体とは別です。
記者:
また別個、第三者的なポジション、課内の中の・・・ということですか。
知事:
所管する課は、こども・女性課です。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、その他のご質問も含めて、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
NHKさん。
記者:
3点質問させていただきます。
まず1点目ですが、小林製薬の紅こうじ原料を使ったサプリメントで全国的に健康被害が相次いでいます。奈良県内で今把握されている被害というのはどのようなものがありますでしょうか。また、県として今後どのように対応されていくご予定でしょうか。
知事:
まず、今朝の時点で7名の被害者が確認されております。ただ、いずれの方におかれましても、現在のところ、入院等の重篤な症状はないと聞いております。県の対応ですが、まず、紅こうじ食品を使った健康食品を利用されていて、健康に不安を感じられる方がいらっしゃる場合には、最寄りの医療機関か保健所にお問合せいただきたいと思っております。もちろん、厚生労働省と消費者庁が合同で設置しているコールセンターにお電話していただいてもいいんですが、実際に医師等の意見を聞いたほうがいいと思われますので、医療機関や保健所等に相談していただければと思います。この紅こうじ食品を使った健康食品による健康被害に係る情報提供とか、不安を感じられた方がどうすべきかといった情報について、本日から、県ホームページのトップページに掲載して周知を図っているところでございます。
記者:
県内で健康被害があった7人の方については、すでに国に報告をしているということでしょうか。
知事:
7人のうち、4人の方につきましては、4月5日に大阪市と国に調査結果を回答しておりますが、残りの3人につきましては、昨日確認されたところですので、本日、大阪市と国に報告する予定でございます。
記者:
7人の男女別の人数は出していらっしゃらないでしょうか。
知事:
それは出していません。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
念のための確認ですが、被害を訴えられている7人の方は、サプリを摂取した方々ということでいいんでしょうか。
知事:
そうだと思います。そうですよね。
担当課:
要は、回収命令が出ているものを摂取された方で、申出があった方ということです。調査結果ではそういうことになっております。
記者:
この成分が含まれた食品もいろいろ出ていますよね。
担当課:
はい。成分が含まれた食品については、回収命令の対象になっていませんので、今のところ、そういう方の申出は聞いておりません。
記者:
では、今回の7人は全員、サプリを摂取された方ということですね。
担当課:
コレステヘルプという健康食品を摂取された方ということになります。
記者:
分かりました。
あと、入院はしていないということですが、どういった症状や訴えが出ているのでしょうか。
担当課:
腎機能が若干低下しているということが、はっきり分かっている方が1人いらっしゃいます。あとは、尿の泡立ちであるとか、むくみであるとか、そういった症状が出ている方がいらっしゃるということです。
記者:
全員が病院にかかっておられるというわけでもないということですか。
担当課:
そうですね、まだ病院に行っておられない方も1人いらっしゃったと思いますが、検査等はされています。また、定期的な健康診断で分かった方もいらっしゃいます。この件とは別個に、そもそも何らかの形で通院されていた方もいらっしゃるので、そういった方がかかりつけ医で検査をされて、若干、腎機能が疑わしいということで検査された方もいらっしゃいます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
産経新聞さん。
記者:
申出があった7人の方の今後のフォローや対応というのはどのようにされていくのでしょうか。
担当課:
恐らく、大きな方針については、現在、大阪市の保健所が小林製薬を管轄する保健所になりますので、そこで厚労省と相談しながら、全国的に、他府県での被害者をどういう形でフォローしていくか、方針を検討されるものと考えております。例えば、現在まだ調査中であるとか、そういった方については、奈良県でも適切にフォローしていきますので、ご安心いただければと思います。
記者:
国道169号線について、去年の12月に下北山村で崩土が発生し、その後、上北山村でも土砂崩れがありました。上北山村のほうは、現在、応急対策に着手はしていますが、実際にいつから通れるかはわからない状況です。地元での影響もかなり広がっていると思いますが、そのことについて、知事はどのようにお考えでしょうか。また、今後の取組について教えてください。
知事:
本当に、地元の皆さんにはご不便をおかけしていると思います。ただ、今後、死傷者が生じるような事故が再度起きてはいけませんので、仮復旧、本復旧に万全を期さなければならないというふうに考えておりますので、もうしばらく、ご不便を耐え忍んでいただきたいと考えております。上北山村の西原地区の状況につきましては、のり面から剥がれそうだけど下には落ちてないという、そういう土の塊の撤去を既に終えまして、天候次第ではありますが、今後おおむね2週間程度で片側交互通行での道路の開通ができる見込みでございます。あと2週間ほど我慢していただきたいと思っております。下北山村の上池原地区の仮設橋の建設も急ピッチで進めているところでございますが、ただ、こちらについては、仮設橋ができても、通行は緊急車両のみを予定しておりますので、現在迂回路として使用していただいている林道サンギリ線を、一般車両には引き続き使っていただきたいと考えております。ただ、その林道サンギリ線は、それほど整備されていない林道ですので、何らかの対応が必要であると考えておりまして、林道サンギリ線を通行する車両のための待避所の整備や、緊急時の通信環境の整備、これは具体的に言うと、携帯の電波が届かないところなので、衛星の携帯電話を何キロかごとに置いて、万が一のときはそれで電話をしてもらうといった環境の整備を整えたいと考えており、現在、下北山村と協議を進めているところでございます。上北山村の西原地区については、ちょっとご不便をおかけしますが、あと2週間待ってほしいということで、下北山村については、林道サンギリ線を使っていただくほかないかなと思っております。
記者:
この件に関して、県で、令和5年度の補正予算で観光キャンペーンを実施すると思いますが、それについては、今回の崩土でプランが変わるとかいったことはありますか。
知事:
それはありません。といいますのは、北から来るルートについては、先ほど申しましたように、2週間程度で片側交互通行ができるようになりますので、奈良方面や大阪方面からは上北山村に来ることができます。下北山村については、北からは来られないですが、南から、和歌山県、三重県からの観光客が来ることができます。こういう厳しいときであるからこそ、観光キャンペーンを実施して、誘客するということに意味があると思っておりまして、実施の予定は変えておりません。ただ、実際のキャンペーンの実施につきましては、業者に委託する関係で、実施できるとしても来月以降になると思います。
記者:
ありがとうございます。
記者:
静岡県の川勝知事が辞職する意向を示しておられまして、そのことに関して、リニアに関係する各府県や自治体のトップの方がいろいろお話をされています。リニアに関しては、奈良県でも今後、駅が決まっていって、工事が進んでいくことになりますが、今回のこの静岡県知事辞職とリニアとの関係についてお伺いできればと思います。
知事:
3月29日に行われました第2回リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議において、静岡工区の着工が6年4か月遅れているということでした。これが名古屋までの開業の遅れに直結しているということです。ですので、2027年の東京-名古屋間の開業はできないという説明がJR東海からあったというふうに認識しております。そうだとすれば、川勝知事の方針が開業の遅れに影響を与えたことは、否定できない事実であろうと思っております。今後については、未着工となっている静岡工区につきまして、モニタリング会議における議論や関係自治体との協議を着実に行っていただいて、一刻も早く課題の解決を図って、この静岡工区の着工をしていただきたいと思っております。
記者:
ありがとうございました。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
読売新聞さん。
記者:
新年度に入って10日ほどたっていますが、知事として、就任から2年度目に入り、昨年度の振り返りと今年度の方針について、こういうことをしていきたいというような思いがありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。
知事:
昨年度は、知事選挙の公約にも掲げた、前知事が進めようとしていた大型プロジェクトの見直しができましたので、それについては公約を果たすことができてよかったと思っております。買ってしまった用地の利活用という問題が残っており、大和平野の田園都市構想につきましては、県議会にご了承もいただきましたので、着実に進めていくということになると思います。五條市の県有地につきましては、修正案が可決されまして、有識者も含めた会議等でじっくり検討するようにということですので、今年度は、当初、県から出した案も含めて、有識者等の意見を聞き、議会とも調整し、五條市の県有地の土地利用について、前に進めていきたいと思っております。その他、私立高校の授業料の実質無償化とか、県立高校のトイレのピッカピッカ5か年計画ですとか、ならの道リフレッシュプロジェクトですとか、学校の先生の負担の軽減のプロジェクトですとか、発達障害児(者)の支援とか、あるいは、不妊治療の助成とか、保育士の処遇改善とか、そういう公約に掲げたソフト施策につきましては、予算が認められましたので、着実に実施をしていきたいと思っておりますし、先般行った庁議でも、その旨、部局長に指示をしたところでございます。
記者:
ありがとうございます。
昨年度で公約の実現をほとんど果たしてこられてるのかなと思いますが、今年度、さらに新たにこういうことをしていきたいということがあれば、お伺いできますでしょうか。
知事:
前知事の進めていたプロジェクトで、まだ目鼻がついてないのが、平城宮跡歴史公園の南側の土地の活用と、朱雀大路の東側の土地の活用はまだ具体的な案を示せておりません。これについては、設置予定の観光戦略本部で平城宮跡歴史公園の活性化に係る部会を立ち上げようと思って、そこを中心に、この2か所の土地の利活用を検討していきたいと思っておりますが、これは今年度の宿題だと認識しております。それ以外でやらなければいけないことは、いろいろあろうかと思いますが、引き続き行財政改革はまだまだできる余地があると思っておりますので、進めていきたいと思っておりますし、県庁の働き方・職場環境改革の取組も、これも全庁に浸透させるには、もっともっと長い時間と努力が必要だと思っておりますし、これも進めていきたいと思っております。子ども・子育て施策の推進本部の事業も今後したいという事業がいっぱいありますので、それも着実に具体化させる必要があるだろうと思っております。あと、脱炭素に関する施策も、既に発表済みのものに加えて、もっとほかにできることはないかということは検討していきたいと思っております。あと、先ほども触れましたが、県の観光施策についても、観光戦略本部を今年度早々に立ち上げて、観光戦略についても、ブラッシュアップをしていきたいと思っております。大きなところでは、今言ったようなことがテーマになるのではないでしょうか。
記者:
1年目の年は、これまでの県政を見直されて、ある意味、土台づくりの年だったのかなと思います。この2年目を山下県政としてはどういう年と位置づけますか。
知事:
従前から申し上げているとおり、奈良県には様々な可能性、潜在力があるにもかかわらず、それを十分生かし切れていないと思っておりまして、そのポテンシャルを最大限に生かすための様々な取組の旗振り役が奈良県庁であると私は認識しております。新しい奈良をつくっていく、そのホップ、ステップ、ジャンプでいいましたら、そのホップの段階ではないかなと思っております。
記者:
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者:
国民スポーツ大会のことでお伺いしますが、宮城県知事が全国知事会の会長として国スポの廃止も一つの考え方としてあるのではないかと先日、会見で話されています。知事も考え方については、いろいろ見直していくべきではないかという発言をこれまでされていたかと思いますけども、宮城県知事の発言を受けて、改めて今のお考えなどをお伺いできますでしょうか。
知事:
廃止ということがどうかについての言及は控えますけれども、恐らく国体以外でも様々なスポーツの大会って既にあるわけですよね。各競技の全国大会というようなものがある中で、全ての競技を同時期に開催して、都道府県対抗で競うという、その枠組みが、競技の在り方が今後もずっと続けていく必要があるのかという、そういう問題提起ではないかと思っておりまして、そもそも国体というのが、戦後、日本人の健康や体力がまだまだ十分ではなかったときに、体力向上や健康増進、そういう目的で始められたものであろうと認識していますので、そうすると、当初の目的というのは、ある程度既に達成されていますから、見直しの時期にあるというのは間違いないと思っております。あとは、いろんな知事さんと全国知事会とかでお話をさせていただいても、やっぱり皆さん、開催県の負担が非常に大きいということをおっしゃられますので、そういった意味で、宮城県知事がそういう問題提起をされるというのは、ある程度理解できる部分があると思っております。ただ、それがいいか悪いかということまで踏み込んで申し上げるわけではないけど、問題提起には意味があると思います。
記者:
鹿の件で、3月末に検討委員会において、ある程度殺処分方向に、範囲について見直しと、これから議論が進んでいく方向になったかと思いますけれども、知事の今の受け止めを教えていただけますでしょうか。
知事:
具体的な奈良の鹿の保護や管理の在り方については、検討会で議論されるべきものだと思っておりますけれども、これも従前、記者会見でも申し上げましたが、C地区で捕獲された鹿を全頭、鹿苑の特別柵で収容するという在り方自体に限界が来ているということは間違いないと思っておりますので、鹿の駆除の範囲の変更も含めて、何らかの対応が必要であることは、間違いないと思っております。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
駆除方針については、懸念の声も出ていて、一部報道によりますと、維新の会の串田参議院議員が参院環境委員会で昨日、懸念を表明されたともありました。県民の中に署名運動をしている方もおられるようです。動物福祉や愛護の観点からの懸念もあろうかと思いますが、やはり駆除拡大の方針を掲げるというのが、観光のシンボルでもある鹿ということで、奈良のイメージ悪化につながるのではという懸念もあるように思います。その辺りの懸念について、知事としてはどういったお言葉を発せられるか、お聞かせいただければと思います。
知事:
国会での議論については、コメントする立場にありませんが、今回議論になっているこの奈良公園及びその周辺の鹿について、情報が正しく、県民や国民の皆さんに伝わっていない部分があると思っています。検討委員会でも報告されましたが、野生の鹿がどんどんC地区などに入り込んできていて、もともとの奈良公園の鹿との交配も進んでいるという状況で、神の使いとされている奈良公園周辺の鹿が、例えばC地区やB地区も全部、神の使いの鹿だという認識をされているとしたら、それは今は状況が大きく変わってきているのではないかと思います。それは学者の先生が、たしかDNAとかで分析して、もともとの奈良公園の鹿のDNAとC地区の鹿のDNAが違ってきているというような報告がされていますので、A地区やB地区にいて、ふだん県民、市民や観光客が接している鹿と、C地区、D地区の野生の鹿はやっぱりちょっと違うと、要するに鹿というのは、全国、また、全世界に野生として生息しているのがもともとの形というか、奈良の鹿は、歴史的な経緯から天然記念物に指定されているということで、特殊性がありますけれども、もともとは鹿というのは野生動物ですから、C地区やB地区で野生の鹿がどんどんどんどん増えてきていて、農業に被害を与えているという現状をきちんと認識していただいた上で、どうするかということを考えていかないと、もちろん不必要な捕獲とか殺処分をする必要はもちろんないと思いますが、人間が野生生物と共生していくためには、例えば熊が住宅地に出たら、その熊を射殺してほしいというのは、多分誰も反対しないと思うんですよね。鹿は人間に直接の危害は与えませんけれども、農作物を荒らすという形で、農家の方には被害を及ぼすわけですから、人間と野生の動物との共存という視点を持ってこの問題について考えないと、適切妥当な解は得られないと思いますので、その辺をぜひ県民や県外の人にも理解してほしいと思います。
記者:
今のお話に関連しますと、A地区とC地区が僅か数百メートルしか離れていないところもあったりですとか、あとは、C地区にいわゆる「神鹿」が入り込んでしまうのではないか、要はふだん保護地区にいるような鹿も駆除の対象になってしまうのではないかという懸念が、地理的な問題により、残っていると思うんですけれども、今後1年間かけて駆除の方針、検討委員会で議論されていくことでもありますので、何か知事として、こういった形で議論を進めてほしいというような期待などあれば、お聞かせいただけないでしょうか。
知事:
有識者を中心とする委員会で適切な方法を見いだしていただけると思いますが、A地区、B地区の鹿は、別に個体管理されているわけではないんですよね。ですから、A地区、B地区の鹿がC地区、D地区に行って農作物を荒らした場合に、それは駆除しては駄目だとしたら、何か目印となるようなもので個体管理するしかないですよね。そういったことまでするかどうかということを検討委員会で議論することになるのではないでしょうか。そこまですべきかどうかという議論と、するとしたら、どうやってそれをするのかということを考えていくほかないと思います。
記者:
ありがとうございました。
記者:
先日、自民党が裏金問題に関連して、議員の処分を発表しました。奈良県内の参議院議員お二人の方も収支報告書に不記載があったということで公表されております。政治家のお一人として今回の問題、どう受け止めているのか、ご見識をお伺いできればと思います。
知事:
県政に関わることでもございませんし、他党のことですから、言及は控えさせていただきます。
記者:
分かりました。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
読売新聞さん。
記者:
メガソーラーについてなんですけれども、他県のことで恐縮なんですが、鹿児島県で蓄電池を備えたメガソーラーの発電所が大規模な火災が発生しました。今週から火災の実況見分をスタートさせているんですけれども、今回、改めて危険性が現れた部分ではないのかなと思う部分もあります。知事として、今回の火災についてのご意見ですとか、五條市県有地で予定されているメガソーラーの設置についての計画変更ですとか、検討のし直しというようなお考えがありましたら、お伺いできますでしょうか。
知事:
太陽光ソーラーパネルや送電線に固有の技術的な問題から起きた火災であれば、教訓にしなければならないと思いますけれども、火災の原因も分かってない中で、1件火災があったから太陽光発電が全部駄目みたいな、そういう議論ではないと思います。火災といっても様々あります。建物も燃えるし、山火事もあるわけですから、1件火災があったからといって、太陽光発電施設を設置する考えが変わるというようなことはありません。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
司会:
毎日新聞さん。
記者:
県の防災計画に関してですが、4月から有識者会議を開くとのことですが、具体的な日程とか、今後の流れというのは決まっているんでしょうか。
知事:
今、委員の人選等を進めている段階でございまして、我々の希望としては、今月中に第1回目の会合を開催したいと思っております。
記者:
どういった選考基準で人選されているかを、ご参考でお伺いできますか。
知事:
基本的には、奈良県地域防災計画検討委員会という既存の委員会の委員さんを中心に人選をしております。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者:
1日の辞令交付式の席で、知事は飲みニケーション推進派というふうにおっしゃいましたけれども、その言葉の真意をもう少しお伺いできればと思います。
知事:
昨今言われてるように、お酒を強要するとかいうことは絶対あってはいけないと思います。ただ、人と人が親しくなるとか、打ち解けるためには、飲食を共にするというのは非常に重要だと私は思っております。かつ、職場内でゆっくり話をする機会というのは、普段の平日の日中になかなかないと思いますので、仕事が終わった後などに、各課とか、係の人たちがご飯を食べに行ったり、飲みに行ったりして、コミュニケーションするということは、僕は仕事にもすごく役に立つし、特に若い職員が育っていく上で重要な機会になると思って、申し上げました。
記者:
あの場でも、上から誘われたらなるべく断らずというような言い方をされていたかと思うんですけれども、知事がそのように言ってしまうと、一つの見方ですけれども、若い方にしてみれば断りにくくなってしまう面もあるのではないかなと、心配になってしまったんですが、その辺りはいかがですか。
知事:
飲みに行くとか、行かないとかいうのは、公務とか、業務で行くわけじゃないですから、断る自由はあると思います。ただ、そういったコミュニケーションの効用を説くことすらいけないのかと感じます。県庁の仕事は一人でできるわけじゃないですから、全てチームプレーなんですよね。チームプレーは、基本的な信頼関係がないとうまくいかないというのは、これは誰に聞いても否定はしないと思います。チームプレーをする上で、人間関係が重要であるということも、紛れもない事実であって、その人間関係を構築する上で、平日の日中のみならず、終業後のご飯を食べに行くとか、お酒を飲みに行くとかいう機会が意味がありますよということを言うことまで否定されるのかと、はっきり申し上げまして、そういう言葉狩りみたいな風潮自体に問題があると思います。別に飲みたくない人はウーロン茶飲んでたらいいわけですし、ただ、上司がその場で飲め、飲めとか、そういうふうに強要するのはよくないと思いますよ。そういう場に行くこと、参加することが、仕事をうまく進める上で、あるいは人間形成の上で、先輩とか上司から話を聞くということが一つの意味があるんじゃないですかというのは、社会人の先輩として私は申し上げたわけで、知事がそういうふうに言ったから、断りにくくなるとか、それはちょっと過剰な反応じゃないですかね。
記者:
知事ご自身の今年度の飲みニケーションの進め方はどうお考えですか。
知事:
私自身の飲みニケーションの進め方ですか。部長会とかで、年に2、3回はそういう機会を設けたいなと思っております。
記者:
ありがとうございました。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
幹事社さん、よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。