吉野川と秋野川が合流する場所にある新住の集落。下市町新住の氏神である八幡神社は、その集落から南方の急な山道を登った場所に鎮座しています。神社の秋祭りは10月15日に近い日曜日に行われます。オカリヤというのは、その年の頭家(とうや)の庭先に氏神の神霊を迎えるために建てるものです。以前は、神社の祭祀組織である宮座の右座・左座の頭家宅でそれぞれ作られていましたが、現在は氏子が班順に頭家を務めます。秋祭りの準備はオカリヤの作製も含めて全て頭家を中心に行います。
秋祭りは1カ月前のオカリヤ作りから始まります。その年の祭当番を務める頭家の庭先にオカリヤを建てますが、材料集めに丸一日、オカリヤ建てにも丸一日かかります。材料は神社から持って来た竹とヒノキの葉を使用します。オカリヤは、榊(さかき)を挿すための竹筒を囲むように4本の竹を四方に立てて中心とし、ヒノキの葉で屋根を葺き、足下には吉野川から取ってきた玉砂利を敷き詰めます。そして、周囲に竹垣と小石で囲いを作り、正面に青竹で作った鳥居を建てます。オカリヤの中心の竹筒には八幡神社の分霊を移した榊が供えられ、頭家は宵宮までの1カ月間、毎朝吉野川でくんだ水を竹筒の穴に注ぎ、榊が枯れないようにします。また、オカリヤの祭壇には神酒や米、塩を供えます。 本宮祭当日の朝、頭家がオカリヤに水を注ぎ、抜き取った榊を持って八幡神社に向かい、お祭りに参列します。こうして、1カ月間頭家の庭先で祭られていた神の分霊を本宮に納めます。本宮祭では、八幡神社の神前に餅をはじめ、山の幸や海の幸をお供えして五穀豊穣を祈ります。神前での祭典の後、子どもがミコとなってシデ振りが行われます。シデは白紙を重ねて切ったもので、拝殿の左に左座、右に右座のミコが立ち、それぞれ交互にシデを振ります。 祭りが終わると、オカリヤはその年の恵方の方角に向かって倒され、焼き払われます。
以前は多くの子どもが祭りに参加し、にぎやかなものでしたが、現在は少子高齢化の影響で祭りの参加者が減っているのが現状です。大切な祭りを継承していくための方法を日々考えていますが、その一つとして地域でサポート会を立ち上げて、オカリヤ建てなどの祭りの準備を手伝う活動を行っています。 氏神さんに対する想いを持てば、祭りも盛り上がっていくと思いますので、より多くの方にその想いを持っていただくために、今後も地域一丸となって活動を続けていきたいです。
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