令和6年度第7回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)
概要
<開会>
令和6年8月5日
10時30分
<閉会>
令和6年8月5日
11時25分
<会議場所>
教育委員室
<委員出欠>
伊藤忠通(出席)
上野周真(出席)
田中郁子(出席)
伊藤美奈子(出席)
三住忍(出席)
議案及び議事内容
<議案>
議決事項1 令和7年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について(可決)
<議事内容>
○大石教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、田中委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和6年度第7回定例教育委員会を開催いたします。本日は、委員全員出席で、委員会は成立しております。奈良県教育委員会会議傍聴規則第2条の規定に基づきまして、1名の方が傍聴券の交付を受けられています。」
○大石教育長 「議決事項1『令和7年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択』について、ご説明をお願いします。」
○小嶌高校教育課長 「令和7年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について、説明いたします。
今年度は令和7年度に使用する県立中学校の教科用図書と、特別支援学校中学部における検定済み教科書及び文部科学省が著作の名義を有する教科用図書の採択、並びに学校教育法附則第9条の規定により、特別支援学校小学部・中学部における、一般図書、拡大教科書等の採択替えを行います。
県立中学校において、令和7年度に使用する教科用図書の採択については、資料1ページから県立青翔中学校、資料3ページから県立国際中学校の教科用図書となります。義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第13条の3の規定により、高等学校における教育と一貫した教育を施す公立の中学校において使用する教科用図書については、教育委員会は、学校ごとに教科用図書の採択を行うものとなっております。県立青翔中学校、県立国際中学校の各中学校においては、各校の実態や教育課程に基づいて教科用図書を選定しています。」
○岡田特別支援教育推進室長 「続きまして、県立特別支援学校小学部・中学部において、令和7年度に使用する教科用図書の採択について、説明いたします。
特別支援学校で使用する教科用図書は、文部科学省検定教科書、文部科学省著作教科書、学校教育法附則第9条の規定による教科用図書、いわゆる一般図書の3種類となっています。
まず、文部科学省検定教科書についてご説明します。資料6ページから特別支援学校用資料を掲載しています。9ページからは、各校中学部で使用する文部科学省検定教科書を学校ごとに一覧にまとめたものです。中学部用の教科用図書については、令和6年度が採択替えとなっています。教育効果が高まるような教科用図書を採択するため、各校において、生徒の実態に即して選定を行いました。小学部用の教科用図書については、令和5年度採択替えを行っており、同一の教科書を4年間採択することになっていますので、今年度は採択替えがありません。
次に、文部科学省著作教科書についてご説明します。資料の14ページをご覧ください。文部科学省著作教科書は、視覚障害、聴覚障害、知的障害の障害種別に応じて文部科学省が作成したもので、点字本・拡大本などです。14ページから15ページまでが視覚障害者用と聴覚障害者用、16ページから19ページが知的障害者用となっており、それぞれ学校ごとに一覧にまとめています。これらは、文部科学省検定教科書と同様に、同一の教科書を4年間採択することになっていますので、小学部においては今年度は採択替えがありません。
最後に、学校教育法附則第9条の規定による教科書、いわゆる一般図書についてご説明します。文部科学省検定教科書及び文部科学省著作教科書が適当でない場合に、これらに代えて使用することができる教科用図書のことです。採択については、児童生徒の障害の種類やその状態、また能力や特性に応じて最もふさわしい内容(文字、表現、取り扱う題材等)について留意する必要があり、このような性質から毎年採択替えを行っています。令和7年度に使用する一般図書については、各特別支援学校において選定したものを、選定審議会から意見をいただいた上で事務局で審査・検討し、一覧を作成しました。
以上の選定結果について、教科用図書選定審議会からは、適正に選定されているとの答申をいただいています。
以上です。」
○大石教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○伊藤(忠)委員 「一般図書について、選定資料外からも多数選定されています。なぜこの本を選んだか選定理由が書かれてありますが、選ばれた基準はありますか。」
○岡田特別支援教育推進室長 「選定資料は県教育委員会が学校に示し、その中から一定の基準を持たせて教科書の採択を行うように指導、助言をしています。特に選定資料外から選定していることが多い県立奈良養護学校の病弱教育部門については、児童生徒の障害の実態がかなり重く、ベッドサイドの学習を実施したり、一人一人学習を行う環境が大きく異なったりしています。児童生徒の実態に即した教科書を一般図書として選ぶという趣旨から、日々どのような教材が適切であるかということを、担任の先生方が検討を重ね、より注意が向きやすいものや、児童生徒の実態に合うものを選んでいます。」
○三住委員 「学校によって特徴がありますか。」
○岡田特別支援教育推進室長 「各学校で選定する際にも、学校内で教科書選定委員会を開催して選定を行っています。児童生徒の実態や障害の種類・特性、また、学校の教育課程や教育活動、特徴等も踏まえて選定していますので、子どもたちの実態に応じた教科書の選定ということになります。」
○大石教育長 「これから入学してくる子どもたちの教科用図書はどのように考えますか。実態に応じて選定できるようにしてほしいと思います。」
○岡田特別支援教育推進室長 「はい。特別支援学校では、就学前に体験学習を重ねて就学する学校を決定していきます。子どもの実態を把握した上で、使用する教科用図書を選定していきますが、次年度2年生になるときにも、改めて児童生徒の実態を踏まえて採択することとしています。」
○大石教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」
※各委員一致で可決
○大石教育長 「議決事項1については可決いたします。」
○大石教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」
○𠮷中義務教育課長 「令和6年度全国学力・学習状況調査の調査結果の概要について、報告いたします。
この調査は、令和6年4月18日(木)に小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒を対象として実施されたものです。調査内容は、教科に関する調査、質問調査です。
まず、教科に関する調査の結果について説明します。資料1ページの『2 教科に関する調査結果の概要』をご覧ください。小学校の国語について、全国の平均正答数は9.5問、本県は9.3問です。中学校の国語について、全国の平均正答数は8.7問、本県は8.4問と、0.2から0.3問下回る結果となっています。小学校の算数については、ほぼ同じ正答数、中学校の数学は、0.1問下回る結果となっています。現状を受け止め、結果の分析を進めていきたいと考えています。
次に、資料5ページの児童生徒質問調査の結果について説明します。各質問項目の数値は、左から令和6年度の奈良県及び全国の児童生徒の肯定的回答の割合、奈良県と全国の割合の差、平成31年度から令和5年度までの奈良県の割合を示しています。また、前回調査より奈良県の肯定的回答の割合が上昇した数値には、網掛けをしています。まず、国語、算数・数学の学習に対する興味・関心等についてです。前回調査と比較して、16の質問項目のうち15項目で割合が上昇しました。しかし、全国平均との比較において、16の質問項目のうち10項目で0.5~4.6ポイント下回る結果となっています。6ページの学習指導要領の趣旨を踏まえた教育活動の取組状況について、前回調査との比較においては18の質問項目のうち10項目で肯定的回答の割合が上昇しました。7ページのICTを活用した学習状況について、全国平均との比較において、ほぼ全ての項目で0.3~5.9ポイント下回る結果となっています。8ページの児童生徒の挑戦心、自己有用感、幸福感等に関する状況について、前回調査との比較において、ほとんどの項目で肯定的回答の割合が上昇しました。質問項目『学校に行くのは楽しいと思いますか』については、小中学校ともに、コロナ禍前の平成31年度の回答状況程度まで肯定的回答の割合は上昇していますが、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後の学校で1年間過ごした児童生徒のうち、学校に行くのが楽しいと思う児童生徒と楽しいと思わない児童生徒について、学習状況等にどのような傾向が見られるか分析したものを別紙にまとめています。
別紙『児童生徒の学校適応に関する状況』をご覧ください。資料上段の1は、『学校に行くのは楽しいと思う』という質問項目に対して、『当てはまる』『どちらかといえば当てはまる』『どちらかといえば当てはまらない』『当てはまらない』と回答した児童生徒の人数、その割合、教科の平均正答率を示しています。資料上段右は、『学校に行くのは楽しいと思う』という質問項目に対して『当てはまる』『当てはまらない』と回答した児童生徒の割合の経年変化を全国と比較しながら示しています。過去9回の調査において、令和3年度調査を除き、全国と比較して大きな差は見られないと考えます。
続いて、資料中段をご覧ください。学校に行くのが楽しいと思う児童生徒と楽しいと思わない児童生徒が、自己有用感や授業改善に関する質問にどのように回答したかを調べました。左のレーダーチャートの外側の緑色の線は、学校に行くのが楽しいと思う児童のうち、自己有用感等に関する9つの質問に『当てはまる』と回答した児童の割合を示しています。内側のオレンジの線は学校に行くのが楽しいと思わない児童の割合を示しています。自己有用感等について、小中学校ともに、幸せな気持ちになることがあるにおいて、割合の差が最も大きくなっています。また、先生との関わりに関する質問において、学校に行くのが楽しいと思わない児童生徒の割合が低い傾向が見られます。右側のレーダーチャートをご覧ください。授業改善に関する取組状況において、自分に合った学びとなっているか、いわゆる個別最適な学びについての質問で、学校に行くのが楽しいと思わない児童生徒の割合が低い傾向が見られます。
最後に資料下段をご覧ください。各学校における学校適応と自己有用感等との相関関係について調べました。学校ごとの楽しいと思う児童生徒の割合と自己有用感や授業改善に関する16の質問に対して『当てはまる』と回答した割合の相関関係を比較し、小中学校に共通してより高い相関が見られたものをプロットで示しています。自己有用感等に関しては、『先生は、あなたのよいところを認めてくれている』や『普段の生活の中で、幸せな気持ちになることがある』、授業改善に関しては、『自分に合った考え方、教材、学習指導などになっていた』や『協力しながら課題の解決に取り組んでいる』といった項目と関係が見られました。
学校適応に関しては、本調査で楽しいと思わないと回答した児童生徒一人一人を当該学校の教員が支援していく必要があるとともに、学校として自己有用感の醸成や個別最適な学び、協働的な学びを推進していく必要があると考えます。今後は、調査結果の分析を進め、8月下旬に市町村教育委員会教育長を対象とした説明会、市町村教育委員会の担当者や教員等を対象に説明会を予定しています。また、本年度、県内小・中学校16校を指定し、各教科等における『指導と評価の一体化』の実現に向けたICTの活用の研究に取り組んでおり、その成果を2月に報告会で周知する予定です。加えて、小・中学校の教科等研究会と連携し、教員等の指導力向上を目的とした研修会等を実施していく予定です。調査結果を真摯に受け止め、子どもたちの学びに生かしていきたいと考えています。
以上です。」
○大石教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○伊藤(忠)委員 「前回の調査よりは改善されていますが、気になることが何点かあります。6ページの『授業では、各教科などで学んだことを生かしながら、自分の考えをまとめる活動を行っていましたか』という項目で、奈良県は全国と比較すると、肯定的回答が低くなっています。特に中学校が低くなっていますが、なぜか気になります。もう1つは、8ページの『将来の夢や目標を持っていますか』という項目の奈良県における肯定的回答において、小学校と中学校との差が大きいのは、どう考えていますか。また、全体的に、小学校より中学校の方が、全国との差が大きくなっています。これについて考えがあれば教えてください。」
○𠮷中義務教育課長 「まず1つ目のご質問について、現段階では分析できていませんが、当課で学ぶ力育成実践研究事業として『主体的・対話的で深い学び』に向けた授業改善の実践研究等を行っています。今年度は、小・中学校16校を指定して『各教科等における「指導と評価の一体化」の実現に向けたICTの活用について』をテーマに取り組んでいるところです。この実践研究を進めるとともに、県内に成果等を周知することで、奈良県の教育の充実を図りたいと考えています。今後、分析をし、改善できるよう努めてまいります。2つ目の質問についても、今後分析をし、市町村教育委員会とも連携しながら、改善できるよう努めてまいります。」
○伊藤(忠)委員 「『将来の夢や目標を持っていますか』という質問について、全国も、小学校より中学校の方が肯定的回答が低くなっています。私の考えになりますが、中学校の生徒は、成長する中で、小学校の児童よりも、多少社会のことが分かってきて、現実のことが見えてきています。そのため、今の日本社会において、『将来の夢や目標を持つ』ということが難しくなっているのではないかと思います。また、小学校より中学校の方が、教育内容も多くなってきますので、子どもたちが学び等、様々な課題を抱えているのではないかと考えます。それについては、どうですか。」
○𠮷中義務教育課長 「委員がおっしゃるように、様々な要因があると考えます。今年度から、キャリア教育の一環として、県内の各企業様のご協力で20数社の企業訪問を行い、子どもたちのキャリア形成に必要な資質・能力の育成に取り組んでいます。今後とも、中学生が夢や目標をもてるような取組を進めていきたいと思います。」
○伊藤(忠)委員 「よろしくお願いします。」
○三住委員 「先程の『授業では、各教科などで学んだことを生かしながら、自分の考えをまとめる活動を行っていましたか』の項目についてですが、まずは一人一人が自分の考えをもつということが大切だと思います。自分の考えというのは、他者とは違う新たな考えだけではなく、他者と同じで、私もそう思うといった考えや他者の考えを参考に自分の考えをつくりだすこともあると思います。こういった多様な考えを、自分の考えとして捉えることが必要だと思います。」
○田中委員 「今、オリンピックが行われていますよね。以前と比べると、本当に自由に自己表現ができることが、すばらしいと思います。例えば、スケートボードの選手たちを見ていますと、主体性があり、自分たちで試行錯誤しながら演技をつくりあげているのが伝わってきます。こういった取り組む姿勢を、学習の中にも取り入れていけたら、もっとよい環境ができるのではないかと思いました。」
○伊藤(美)委員 「先程から議論に出ています小学生と中学生の違いであるとか、いくつか気になることがあります。私自身も、ここ10年くらい奈良県の小・中・高校生に対してアンケートをしています。その中に、自己肯定感についての項目がありますが、この結果を見ると、小学生は高いですが、中学生、高校生となるにつれて、低くなる傾向がはっきりと出ています。これは、世界で見てもそのような結果になっており、やはり思春期は下がるのかなと感じたところです。思春期と言われる時期には、小学生にはなかったような、自分を見つめるであるとか、人の目が気になるといったことが出てきます。その結果、他者と比較したり、また、受験があったりと、様々な要素が重なって、中学生、高校生は、自己否定や自己嫌悪に陥りやすい状況になるのかなと、今回の結果からも見ていて思いました。ただ、自己肯定感が下がって当然とか、下がるのがよいわけではなく、上がってほしいと思いますし、それに加えて、何が自己肯定感を支えているのかを、教育の中で考えるのが大切だと思います。
また、追加資料で『学校に行くのは楽しいと思う』という項目に、『当てはまる』『どちらかといえば当てはまる』『どちらかといえば当てはまらない』『当てはまらない』の4段階と児童生徒の平均正答率の相関結果を見ますと、全然違いますよね。これを見ると、学校の楽しさというのは、かなり学力を左右するのではないかと感じたところです。他の項目においてもいろいろと相関を見ていただくことで、子どもたちの学校の楽しさや自己肯定感は、何が支えているのかが見つけられるのではないかと思いました。その辺りも今後分析していただいて、結果を聞かせていただけたらと思います。」
○𠮷中義務教育課長 「今後も、様々な視点から分析をし、子どもたちのいわゆる非認知能力を伸ばしていきたいと考えています。」
○大石教育長 「7ページのICTの活用状況について、奈良県では端末をいち早く取り入れて5年くらい経ちますが、全国に比べると、活用状況が低くなっています。割と進んでいると思っていたのですが、このような結果になっているのはなぜですか。」
○𠮷中義務教育課長 「現在、ICTの活用状況についても分析を進めているところです。子どもたちの資質・能力の育成につながるような、ICTの活用の在り方について、研究を進めていきたいと考えています。」
○大石教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」
○大石教育長 「その他連絡・報告事項はありませんか。」
○上野委員 「異常な暑さが続いていて熱中症の危険があります。私の職場でも屋外に出るような作業の場合、中止をしたりしています。今、夏休みで部活動をしていて、特に運動部などは危険だと思うのですが、一定の基準に達すると原則禁止などの対応をしているのでしょうか。教えてください。」
○新子体育健康課長 「県としましては、熱中症対策ガイドラインを令和4年度に出しています。その中で、国が示している暑さ指数によって活動の内容を考えてもらうということを各学校に伝えています。例えば、ガイドラインでは暑さ指数が31を超えた場合には、運動は原則中止となっています。実際には、部活動であれば時間帯を工夫したり休憩を入れたりするなどして、試合を控えている生徒の事情も考慮して、熱中症対策を十分に講じた上で実施しています。
以上です。」
○大石教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」
※各委員一致で承認
○大石教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」