「学校」が、未来を創る子どもたちが夢を見つけ、夢をかなえる力を身に付けられる場であるために。
そして教員が心身共に健康で、誇りとやりがいを持って働ける場であるために。
県では、子どもの視点、教員の目線に立った教育行政を行っています。その一環として進めているのが、学校のICT環境の整備や、ヤングケアラーに対する支援の強化、教員の負担軽減などの子どもや教員に寄り添う仕組みづくりです。
また、子どもたちが家庭の経済的状況にかかわらず、進路を選択できるよう高校授業料の実質無償化もスタートさせます。
どんどん進化する奈良県の学校の「今」を紹介します。
子どもたちや教員に寄り添う取り組みとして力を注いでいるのが、ハード面の充実です。県では、令和4年度から3年をかけて、県立学校の普通教室に電子黒板を導入。令和5年度からは県立高校のトイレ整備に着手しました。
また、情報・数学などの教育を重視するカリキュラムを実施し、ICTを活用した文理横断的で探究的な学びを強化しています。この取り組みを推進する学校に補助金を交付する文部科学省の「令和6年度高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に採択された県立9校、県立大附属、私立2校に対して、ハイスペックコンピュータなど先進的なデジタル機器を導入するなど必要な環境を整備します。
さらに、生徒が自発的に課題や答えを見つけていく探究的な学びや、STEAM教育※などの文理横断的な学びを推進し、デジタルなどの成長分野を支える人材を育成していきます。
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※STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つにおいて、分野の枠を超えて学ぼうとする教育指針。
電子黒板は、教員が事前に用意した画像や動画などの教材を映し出せるのはもちろん、拡大や縮小も簡単。ペンや指を使って書き込んだ内容の保存もできます。前回の授業で保存した内容を確認し、続きから授業を始められるほか、生徒の復習や授業を休んだ生徒へのフォローもできます。
また、生徒が自分のパソコンで記入した内容を、電子黒板を通してクラス全体に発表することができ、生徒同士の意見が共有しやすくなりました。
現場の先生からは、「教材の準備が簡単になったおかげでゆとりができた」、「授業の時間配分もしやすくなった」と好評を得ています。
県立橿原高等学校教諭石原 嵩さん
県立高校のトイレは、和式の便器、水を流しながら床をブラシでこすって清掃するタイル貼りが多く、「汚い」「臭い」「現代の生活様式にあっていない」と、生徒や保護者から不評でした。
そこで県では令和6年度から5年間で全県立高校のトイレの便器を洋式化し、床を乾式化することを決定。これからはトイレに行くたび感じていたストレスが軽減され、より快適に高校生活を送れるようになります。
現場の教員たちが時間的・精神的な余裕を持って子どもたちに向き合い、全ての子どもたちが生き生きと楽しく学校生活を送れるよう、県では「教師にゆとりを!こどもに笑顔を!プロジェクト」を始動。スクールカウンセラーの配置やスクールソーシャルワーカーの派遣など、さまざまな課題を抱える子どもたちへの支援充実を図ります。それとともに学習支援員・部活動指導員の拡充、教員業務支援員の全校配置といった、教員の負担軽減にも取り組みます。
また、近年問題になっているヤングケアラーに特化した取り組みも推進。ヤングケアラーの当事者である子どもが24時間メール相談できる窓口を設置し、いつでもSOSを発信できる環境を整えています。教員に対しては研修などを行い、ヤングケアラーである子どもへの支援につなげていきます。
生徒たちは平日の長い時間を学校で過ごします。学校という環境が生徒たちにさまざまな影響を与えることを考えると、電子黒板など学ぶ意欲を高めるICT環境整備や、トイレの洋式化・乾式化などの整備が進んでいくことは、本当にありがたいことです。
また、教員が生徒に向き合う時間をできるだけ確保するという喫緊の課題も、教員業務支援員などの配置が進むことで改善されるのではないかと期待しています。これからはさらに地域の方々や心理職などの専門スタッフなど、多様な人材が学校に関わることで、生徒たちを見守る体制が築かれていくことでしょう。
現在、注力しているのがヤングケアラーへの対応ですが、その認知度はまだ低く、自分がヤングケアラーであることに気づいていない子どもも少なくありません。
そこで、ヤングケアラーとはどのような子どもを指すのかを認識してもらい、頼れる場があることを知ってもらうため、専門相談窓口などの情報を記載したカードを作成し、全ての子どもに配布しています。
また、教員に対しては研修や指導用資料の配布などを行い、ヤングケアラーの早期発見や把握に努めています。ヤングケアラーである子どもに対し県や市町村と情報を共有し、行政の福祉サービスなど適切な支援につなげることで、不安や孤立感を軽減・解消し、子どもたちが健やかに育つ権利を守っていきます。
ヤングケアラー支援室 コーディネーター
沼田 守弘さん
高校授業料の実質無償化がはじまります
県内に保護者が在住し、子どもが県内の高等学校などに通う世帯を対象に、高校授業料などの実質的な無償化をスタートさせます。
年収の目安が910万円未満の世帯に対する支援額を大幅に引き上げ、年収の目安が910万円以上の23歳未満の子どもを3人以上扶養している世帯についても支援制度を新設します。
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相談窓口
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悩み・心配ごとを相談員に相談できるよ。
詳しくは学校で配布しているカードを見てね。
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【期間】
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❶基本相談日
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日曜・月曜・水曜・金曜
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❷集中相談期間
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●8月30日(金)~9/2(月曜日)
●1月5日(日)~8(水)
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この期間は
毎日相談できるよ
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【相談時間】
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18時30分~22時(受付終了は21時30分)
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「なら Cocoro レター」
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(教育研究所カウンセラー便り)が届くよ
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学校・家庭・友だち・進路などの悩みにメールで返信。
相談員からの返信を受信できるように設定しておいてね。
(返事には5日ほどかかることもあるよ。)
「ヤングケアラー」とは、家族にケアを要する人がいて、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートをしている18歳未満の子どものこと。困っていたり、悩んでいたりしたら、このアドレスに相談してね。