文化財保存事務所の仕事

文化財保存事務所の仕事 
 奈良県には、先人たちのたゆまない努力により守り伝えられてきた貴重な文化財が数多く残されています。

 奈良県文化財保存事務所は、文化財所有者からの委託を受け、国宝、重要文化財などの文化財建造物の調査や修理を行っています。

 文化財修理の設計を行う建築技師、木工事を担当する大工が正職員として働いています。文化財の修理工事専門の建築技師などを採用している都道府県は少なく、奈良県のほかは京都府、滋賀県など、文化財建造物が集中している地域のみです。現在、5つの出張所となら歴史芸術文化村において、職員が常駐して保存修理を行っています。

 

係名 電話番号 主な業務
事業係 0742-27-9864
0742-27-9865
・文化財建造物保存修理事業に関すること
・建造物保存修理の受託契約及び工事施工に伴う諸契約に関すること
・庶務全般に関すること

 

文化財建造物の保存修理ってどんなことをするの?

 大切な文化財を守り、後世に受け継ぐためには、適切な時期に修理を行う必要があります。文化財建造物の修理の特徴としては、

(1) 解体前および解体中に仕様などの調査を行うこと

(2) 建物に使用されている材料や仕様はできる限り残すこと

(3) 修理の内容や、調査で分かったことなどを記録に残すこと

などが挙げられます。文化財建造物そのものの継承に加えて、その建造物の建築技法などを後世に残していくために、大切なことです。

 修理の流れは大まかに下記のように進められます。どの工程についても、文化財を傷つけないよう丁寧に解体し、組み立てるときはできるだけ元の仕様に戻します。この工程に加え、近年は必要に応じて耐震診断も行い、地震に耐えられるように耐震補強工事も行っています。

◆保存修理の流れ(解体修理の場合)

(1)調査・記録・仕様決定:破損状況を調査し、修理仕様を決定します

(2)仮設工事:修理用の覆屋(素屋根)を建設します

(3)解体:屋根から順番に解体します

(4)基礎工事:基壇(きだん)や礎石などの基礎を直します

(5)修繕・新材加工:傷んだ部材を補修します

(6)木部組立:修繕した部材を元通りに組み立てます

(7)屋根工事:瓦・檜皮(ひわだ)などで屋根を葺きます

(8)左官工事:土壁などの壁を塗ります

(9)塗装工事:建物に塗装したり、絵を修復します

(10)建具工事等:建具の修理や、畳を張り替えます

(11)竣工:覆屋を解体し、全ての工事が完了します

 

 奈良県ホームページでは、現在保存修理中の文化財や、過去に保存修理を行った文化財について紹介しております。

  ⇒現在の修理案件・修理済み案件