中学校の教員として約20年働いてきた。教え子たちの多くは成人し、大学進学や就職、家庭を持ったなどの話をどこからともなく聞いたときは、うれしく思った。そして、時の過ぎる早さに驚かされた。 先日、教え子たちと食事をする機会があった。思い出話で盛り上がり楽しい時間を過ごさせてもらった。当時のことを笑顔で話す教え子たちの姿を見ていると、楽しいこともあったが、日々の忙しさで生徒たちとじっくり関わることができていたのかと自問自答していた。そんなことを考えていると、1人の教え子が、担任であった私がかけた言葉について、感謝の念を伝えてきた。正直、10年ほど前のことではっきりと覚えていなかったが、感謝され、うれしさを感じた反面、言葉の持つ力に怖さを感じた。意識していなくても、自分の言葉で救われる人がいる。当然、逆も然りだろう。最近は、SNS上での言葉のやりとりで、相手の心や体まで傷つけてしまうことがある。言葉には大きな力がある。自分の言葉の先には生身の人間がいることを忘れず、相手の気持ちや立場を考えて発していこうと思う。
スマホアプリ「マチイロ」でも電子書籍版がご覧になれます。 詳しくはこちら
電子書籍ポータルサイト「奈良ebooks」でもご覧になれます。 詳しくはこちら