特集1

県民だより奈良
2024年10月号

特集ロゴ
はじまり
タイトル

日本最古の都が置かれた奈良は、さまざまな文化の「はじまりの地」です。
なかでも「食」は、シルクロードの終着点として古来の文化と渡来の文化が交流・融合し、世界に名高い日本食のルーツとして独自の食文化を築き上げました。
奈良の食文化を大切に受け継いできた人々の想いを、これからどのように次世代へつないでいくのか。
あまり知られていない奈良の食の奥深さを知り、その魅力を再発見してください。

今
これから
悠久の歴史とともに受け継がれてきた食

古都の美食は全国へ
世界に誇る日本食のルーツは
奈良にあり

 ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の食文化。そのルーツは奈良にあることをご存じですか?日本列島の中央に位置し、古くから都がおかれた奈良は、政治・経済・文化の中心地として栄え、中国や朝鮮半島からは大陸の食文化が、全国からは、さまざまな特産品がもたらされました。人々は大陸の食文化をアレンジしながら発酵や燻製(くんせい)といった流通時の保存性を高める食品加工技術を発展させていったのです。
 奈良から都が移った後も、まんじゅうや日本酒など、寺社や地域の人々によって育まれた食文化が全国各地へと広がり、日本食として定着していきました。また農業に携わる人々は、お茶など大陸から持ち込まれた作物の栽培に取り組みました。盆地や中山間地などの個性ある気候を生かしながら技術を磨き、明治時代には農業先進県としての地位を確立。その後もスイカの育種やイチゴの作型開発といった現在の農業技術の礎を築き、日本の食を支え続けています。

今も昔も、食べる人を
魅了する奈良の郷土料理
〜柿の葉寿司と三輪そうめん〜

 奈良の郷土料理である「柿の葉寿司」は、塩漬けされたサバなどの切り身を乗せた押し寿司です。海のない奈良で海産物を使った寿司が作られるようになったのは、諸説ありますが、江戸時代、熊野灘で水揚げされたサバを紀州の漁師が浜塩で締め、山を越えて奈良の吉野地域に売りに来たことがきっかけとされています。吉野の人たちは貴重な海の幸であるサバをよりおいしく、大切に食べようと工夫し、ご飯の上に乗せ、柿の葉で包んで熟成させる「柿の葉寿司」を誕生させました。以来「柿の葉寿司」は、夏祭りのごちそうとして食されるようになり、交通網・物流の発展とともに、奈良の名物として各地に広がっていったのです。

* * *

 麺は日本の食文化に欠かせない食べ物ですが、そのなかの一つ、そうめんのルーツをたどると奈良の三輪そうめんに至ります。三輪そうめん誕生は、今から1300年以上前。飢饉(ききん)と疫病に苦しむ人たちの救済を祈願した大神(おおみわ)神社の神主の次男穀主(たねぬし)が、神の啓示により、三輪の里で育てた麦と湧き水を使い細い麺を作ったのがはじまりと伝えられています。江戸時代に入ると、大神神社への参拝客やお伊勢参りの途中で訪れる旅人たちの間で評判となり、播州や小豆島など現在の産地にも手延べの技術が伝えられ、日本の夏を代表する食べものとなりました。
 三輪そうめんは今も昔ながらの手延べ製法で作り続けられています。

柿の葉寿司

柿の葉の殺菌作用を利用したハレの日の保存食として各家庭で作られてきた「柿の葉寿司」。熟成された魚の旨みとさわやかな柿の葉の香りが特徴です。

中国から来日した林浄因

三輪の恵まれた気候風土が生み出した「三輪そうめん」。江戸時代の美食カタログ『日本山海名物図会』にも三輪そうめんは日本一と掲載されています。

奈良にルーツを持つ食材・食文化の一例
まんじゅう

まんじゅう

室町時代、中国から来日した林浄因(りんじょういん)が現在の奈良市でまんじゅうを作ったのがはじまりです。

 

吉野本葛

吉野本葛

根は薬用として『古事記』に登場。その後、葛粉や葛餅などが吉野の名物になりました。

 

大和茶

大和茶

弘法大師が中国から種を持ち帰り、佛隆寺(宇陀市)に植え、栽培が始まったと言われています。

 

大和茶

刀根早生柿(とねわせがき)

1980年に品種登録。通常よりも収穫期が早いことから全国の柿産地に広がりました。

 

大和茶

日本酒

500年以上前、奈良の正暦寺で近代酒造技術が確立し、清酒発祥の地となりました。

さまざまな食の楽しみ方

オーベルジュで食を楽しむ

 近年、県内に続々と誕生しているオーベルジュは、地元ならではの食材を堪能できる宿泊施設付きレストラン。奈良の豊かな風土を生かした独創的な料理を、美しい自然や歴史的景観とともにじっくりと楽しむことができます。
 県では、「ぐるっとオーベルジュ」をキャッチフレーズとして、ジャンルもさまざまなオーベルジュをHPやガイドブックで紹介し、地域のにぎわいづくりや周遊滞在型の観光、ガストロノミーツーリズムを推進しています。

ならのオーベルジュガイド
「ならのオーベルジュガイド」はこちら▼
仕切罫

イベントで食を楽しむ

奈良フードフェスティバルシェフェスタ

シェフェスタHPはこちら▼

 奈良フードフェスティバル「シェフェスタ」は、県産食材の魅力をより多くの人に知ってもらうことを目的に開催される県内最大級の食のイベント。「食で地域を元気にするプロジェクト」のパイオニアとして広く認知されています。
 大人気の「シェフズキッチン」では、県内を中心とした人気シェフが県産食材を使って腕を振るう一流の料理が続々登場。奈良公園の心地よい風を感じながら、奈良の食をお楽しみください。

ならのオーベルジュガイド
食を伝えゆく未来の担い手を育てる

 「美食の国」として世界から高い評価を得ている日本の食文化を支えるのは、食と農の担い手です。実践オーベルジュ棟やセミナーハウスを備えた「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」では、全国に先駆け、食と農の担い手育成だけでなく、両者を横糸でつなぐ実学教育を実施。未来の担い手を育成するとともに、奈良の食文化の継承と発展、地域活性化に取り組んでいきます。

なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)

詳しくはこちら▼

公開
講座

“伝説の家政婦”タサン志麻さんがNAFICにやってくる!

11月23日(祝)13時30分~
NAFIC附属セミナーハウス(桜井市高家)
【定員】 100人(抽選)
【対象】 飲食サービス業に従事している人、食に関心がある人
詳しくはこちら▼
URL www3.pref.nara.jp/nafic/dd.aspx?moduleid=1067&BlogCategory=1010

奈良の県産食材・特産品と
県産食材を食べられる店舗の紹介サイト

奈良コレ

奈良コレはこちら▼

URL nara-kore.jp

 「奈良コレ」は県産食材をもっと活用したくなる、奈良の食をもっと楽しめる奈良の食の魅力発信サイトです。特産品や郷土料理の紹介はもちろん、県内飲食店情報も充実しているので、ぜひアクセスしてみてください。

ポイント 1

県産食材・特産品・郷土料理を紹介

大和野菜やフルーツなどのカテゴリやキーワードで食材や特産品を検索することができ、それらの歴史や特徴、レシピも紹介しています。
郷土料理の紹介もあります。

ポイント 2

県産食材や郷土料理を食べられる店舗を紹介

県産食材や郷土料理を食べられる県内の店舗を検索できます。店舗情報のほか、食べられる県産食材、郷土料理、こだわりメニューなども紹介しています。

店舗の紹介サイト
県豊かな食と農の振興課
電話 0742‐27‐7401
FAX 0742‐26‐6211
県民だより奈良
2024年10月号

特集ロゴ
はじまり
タイトル

日本最古の都が置かれた奈良は、さまざまな文化の「はじまりの地」です。
なかでも「食」は、シルクロードの終着点として古来の文化と渡来の文化が交流・融合し、世界に名高い日本食のルーツとして独自の食文化を築き上げました。
奈良の食文化を大切に受け継いできた人々の想いを、これからどのように次世代へつないでいくのか。
あまり知られていない奈良の食の奥深さを知り、その魅力を再発見してください。

今
これから
悠久の歴史とともに受け継がれてきた食

古都の美食は全国へ
世界に誇る日本食のルーツは
奈良にあり

 ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の食文化。そのルーツは奈良にあることをご存じですか?日本列島の中央に位置し、古くから都がおかれた奈良は、政治・経済・文化の中心地として栄え、中国や朝鮮半島からは大陸の食文化が、全国からは、さまざまな特産品がもたらされました。人々は大陸の食文化をアレンジしながら発酵や燻製(くんせい)といった流通時の保存性を高める食品加工技術を発展させていったのです。
 奈良から都が移った後も、まんじゅうや日本酒など、寺社や地域の人々によって育まれた食文化が全国各地へと広がり、日本食として定着していきました。また農業に携わる人々は、お茶など大陸から持ち込まれた作物の栽培に取り組みました。盆地や中山間地などの個性ある気候を生かしながら技術を磨き、明治時代には農業先進県としての地位を確立。その後もスイカの育種やイチゴの作型開発といった現在の農業技術の礎を築き、日本の食を支え続けています。

今も昔も、食べる人を
魅了する奈良の郷土料理
〜柿の葉寿司と三輪そうめん〜

 奈良の郷土料理である「柿の葉寿司」は、塩漬けされたサバなどの切り身を乗せた押し寿司です。海のない奈良で海産物を使った寿司が作られるようになったのは、諸説ありますが、江戸時代、熊野灘で水揚げされたサバを紀州の漁師が浜塩で締め、山を越えて奈良の吉野地域に売りに来たことがきっかけとされています。吉野の人たちは貴重な海の幸であるサバをよりおいしく、大切に食べようと工夫し、ご飯の上に乗せ、柿の葉で包んで熟成させる「柿の葉寿司」を誕生させました。以来「柿の葉寿司」は、夏祭りのごちそうとして食されるようになり、交通網・物流の発展とともに、奈良の名物として各地に広がっていったのです。

* * *

 麺は日本の食文化に欠かせない食べ物ですが、そのなかの一つ、そうめんのルーツをたどると奈良の三輪そうめんに至ります。三輪そうめん誕生は、今から1300年以上前。飢饉(ききん)と疫病に苦しむ人たちの救済を祈願した大神(おおみわ)神社の神主の次男穀主(たねぬし)が、神の啓示により、三輪の里で育てた麦と湧き水を使い細い麺を作ったのがはじまりと伝えられています。江戸時代に入ると、大神神社への参拝客やお伊勢参りの途中で訪れる旅人たちの間で評判となり、播州や小豆島など現在の産地にも手延べの技術が伝えられ、日本の夏を代表する食べものとなりました。
 三輪そうめんは今も昔ながらの手延べ製法で作り続けられています。

柿の葉寿司

柿の葉の殺菌作用を利用したハレの日の保存食として各家庭で作られてきた「柿の葉寿司」。熟成された魚の旨みとさわやかな柿の葉の香りが特徴です。

中国から来日した林浄因

三輪の恵まれた気候風土が生み出した「三輪そうめん」。江戸時代の美食カタログ『日本山海名物図会』にも三輪そうめんは日本一と掲載されています。

奈良にルーツを持つ食材・食文化の一例
まんじゅう

まんじゅう

室町時代、中国から来日した林浄因(りんじょういん)が現在の奈良市でまんじゅうを作ったのがはじまりです。

 

吉野本葛

吉野本葛

根は薬用として『古事記』に登場。その後、葛粉や葛餅などが吉野の名物になりました。

 

大和茶

大和茶

弘法大師が中国から種を持ち帰り、佛隆寺(宇陀市)に植え、栽培が始まったと言われています。

 

大和茶

刀根早生柿(とねわせがき)

1980年に品種登録。通常よりも収穫期が早いことから全国の柿産地に広がりました。

 

大和茶

日本酒

500年以上前、奈良の正暦寺で近代酒造技術が確立し、清酒発祥の地となりました。

さまざまな食の楽しみ方

オーベルジュで食を楽しむ

 近年、県内に続々と誕生しているオーベルジュは、地元ならではの食材を堪能できる宿泊施設付きレストラン。奈良の豊かな風土を生かした独創的な料理を、美しい自然や歴史的景観とともにじっくりと楽しむことができます。
 県では、「ぐるっとオーベルジュ」をキャッチフレーズとして、ジャンルもさまざまなオーベルジュをHPやガイドブックで紹介し、地域のにぎわいづくりや周遊滞在型の観光、ガストロノミーツーリズムを推進しています。

ならのオーベルジュガイド
「ならのオーベルジュガイド」はこちら▼
仕切罫

イベントで食を楽しむ

奈良フードフェスティバルシェフェスタ

シェフェスタHPはこちら▼

 奈良フードフェスティバル「シェフェスタ」は、県産食材の魅力をより多くの人に知ってもらうことを目的に開催される県内最大級の食のイベント。「食で地域を元気にするプロジェクト」のパイオニアとして広く認知されています。
 大人気の「シェフズキッチン」では、県内を中心とした人気シェフが県産食材を使って腕を振るう一流の料理が続々登場。奈良公園の心地よい風を感じながら、奈良の食をお楽しみください。

ならのオーベルジュガイド
食を伝えゆく未来の担い手を育てる

 「美食の国」として世界から高い評価を得ている日本の食文化を支えるのは、食と農の担い手です。実践オーベルジュ棟やセミナーハウスを備えた「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)」では、全国に先駆け、食と農の担い手育成だけでなく、両者を横糸でつなぐ実学教育を実施。未来の担い手を育成するとともに、奈良の食文化の継承と発展、地域活性化に取り組んでいきます。

なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)

詳しくはこちら▼

公開
講座

“伝説の家政婦”タサン志麻さんがNAFICにやってくる!

11月23日(祝)13時30分~
NAFIC附属セミナーハウス(桜井市高家)
【定員】 100人(抽選)
【対象】 飲食サービス業に従事している人、食に関心がある人
詳しくはこちら▼
URL www3.pref.nara.jp/nafic/dd.aspx?moduleid=1067&BlogCategory=1010

奈良の県産食材・特産品と
県産食材を食べられる店舗の紹介サイト

奈良コレ

奈良コレはこちら▼

URL nara-kore.jp

 「奈良コレ」は県産食材をもっと活用したくなる、奈良の食をもっと楽しめる奈良の食の魅力発信サイトです。特産品や郷土料理の紹介はもちろん、県内飲食店情報も充実しているので、ぜひアクセスしてみてください。

ポイント 1

県産食材・特産品・郷土料理を紹介

大和野菜やフルーツなどのカテゴリやキーワードで食材や特産品を検索することができ、それらの歴史や特徴、レシピも紹介しています。
郷土料理の紹介もあります。

ポイント 2

県産食材や郷土料理を食べられる店舗を紹介

県産食材や郷土料理を食べられる県内の店舗を検索できます。店舗情報のほか、食べられる県産食材、郷土料理、こだわりメニューなども紹介しています。

店舗の紹介サイト
県豊かな食と農の振興課
電話 0742‐27‐7401
FAX 0742‐26‐6211
※「県民だより奈良」は県内の各家庭にお届けしています。
 市町村窓口、県の施設などにも配置しています。
※点字と声による「県民だより奈良」も発行していますので、必要な方は県広報広聴課へご連絡ください。
 県では、経費削減のために、「県民だより奈良」の裏表紙に有料広告を掲載しています。
 広告の申込・お問い合わせは、株式会社キョウエイアドインターナショナル大阪支社(TEL:06-4797-8251)まで

お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報制作係 TEL : 0742-27-8326 / 
FAX : 0742-22-6904
デジタル広報係 TEL : 0742-27-8056
県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327 / 
FAX : 0742-22-8653
相談ならダイヤル TEL : 0742-27-1100

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