◆ 諮 問「特定年月日及び特定文書記号番号個人情報部分開示決定で開示された対応状況報告書(県政情報センタ
ーの窓口閉鎖)」の不訂正決定に対する審査請求についての諮問事案
◆ 諮問実施機関 奈良県知事
◆ 事案の経過 (1)訂正請求 令和4年8月12日
(2)決定 令和4年9月9日付けで不訂正決定
(3)審査請求 令和4年12月9日
(4)諮問 令和5年6月14日
(5)答申 令和6年10月1日
◆ 訂正を求める個人情報の内容
「特定年月日及び特定文書記号番号個人情報部分開示決定で開示された対応状況報告書(県政情報センターの窓
口閉鎖)」のうち、「回答の有無」欄の記載の一部
<不訂正理由>
訂正を求める内容は個人情報に該当しないため。
◆ 審議会の結論
実施機関の決定は妥当である。
<判断理由>
実施機関では、相談広聴対応要領を定め、県民等からの問合せや意見等に的確に対応し、県の施策や事業の推進に活用す
るとともに、庁内の広聴情報の共有化、県民等の県政への理解促進を図っている。
当該相談広聴対応要領では、実施機関である広報広聴課で受けた県民等からの意見、要望又は苦情について、趣旨が不明
又は不明確なもの及び営利目的なものを除き、担当機関等へ通知することとしている。
また、通知を受けた担当機関等は、広報広聴課から通知後の対応状況報告を求められた場合、すみやかに広報広聴課へ報
告することとなっている。
本件訂正請求に係る個人情報が記載された行政文書は、当該相談広聴対応要領に基づき、実施機関が審査請求人から受け
た意見等を担当機関等に通知した後、担当機関等から実施機関に報告された対応状況報告書である。
当該行政文書には審査請求人の氏名、住所、性別等は記載されていないが、広報広聴課から対応状況報告を求めて意見等
を担当機関等へ通知した場合は、意見等に整理番号を付しており、対応状況報告書についても、この整理番号の紐付けによ
り審査請求人から受けた意見等に係るものであることを特定できるため、当該整理番号が審査請求人の個人情報に当たると
して開示されたものである。
条例第26条第1項は、個人情報訂正請求権を規定するが、この解釈運用基準によれば、「訂正請求の対象となる個人情
報は、実施機関が行った開示決定に基づき開示を受けた自己情報及び第24条第3項の規定により開示を受けた自己情報に
限られるという趣旨である。」としており、個人情報訂正請求権の対象は、あくまで個人情報そのものであることを前提と
している。
個人情報が記録されている行政文書については、当該行政文書の中に自己を本人とする保有個人情報以外の情報がある場
合であっても、当該個人情報のみを特定して開示するのではなく、当該個人情報以外の情報を含めた行政文書全体を、不開
示とすべき部分を除き開示する運用がなされている。したがって、開示された行政文書に記載された情報すべてが個人情報
に当たるわけではない。本件の場合においても、審査請求人が訂正を求める「休憩時間に県政情報センターの窓口を閉鎖し
ているという事実はなく、」という記載は、休憩時間における県政情報センターの窓口の開閉状況に係る内容であり、審査
請求人が訂正を求められる自己の個人情報には当たらない。
よって、本件訂正請求に対し、訂正を求める対象が、条例第26条第1項に規定する訂正を請求することができる個人情
報には当たらないとして不訂正決定を行った実施機関の判断は是認できる。