司会:
おはようございます。ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信するとともに、配付資料もホームページに掲載しております。
本日は、知事からの発表案件が3件ございます。1件目と2件目の発表案件はまとめて発表させていただき、その後、質疑応答の時間を取らせていただきます。
1件目の発表案件は、大阪・関西万博奈良県子ども招待事業に係る意向調査の結果について、2件目の発表案件は、大阪・関西万博開幕半年前イベントについてでございます。
知事からまとめて発表いただきます。よろしくお願いします。
知事:
お集まりいただきましてありがとうございます。
まず、万博奈良県子ども招待事業に係る意向調査の結果について、ご説明させていただきます。
資料を1枚めくっていただきまして、1番の調査概要というところですが、この調査は、子ども招待事業の周知や現時点での来場の意向があるかどうかの意向把握、それから、課題の把握、ログインIDの付与、そうしたことを目的とし、実施をいたしました。調査対象は、県内の小・中・高363校でございます。回答数は、(5)に書いてございますが、281校で、回答率は約77%でございます。
この調査の結果でございますが、2番でございます。招待事業の利用予定は、82%が利用する予定、または検討中と回答しております。(3)に書いてございますが、利用を検討するに当たり必要な情報は、移動手段や会場内に関する情報、こうした情報が必要であるとのご回答をいただいております。それから、(5)で書いてございますが、今後、公式団体予約販売ウェブ、つまり団体で来場する際に、予約をしなければならないのですが、そのためのログインIDは、87%が取得したいと意向を表明しておられます。
今後につきましては、県内の学校が本事業の利用をするに当たり必要となる情報を提供するよう、博覧会協会に申し入れていきたいと考えております。それから、博覧会協会から随時提供されている校外学習に関する情報を、引き続き県から教育委員会を通じて県内学校に対して提供していきたいと考えております。
もう1枚めくっていただきますと、意向調査の結果が書いてございます。利用する予定が31%、検討中が51%、利用しないが18%でございます。その下は、小・中・高校別の回答の内容でございます。
もう1枚めくっていただきまして、来場時期につきましては、未定が42%、5月が34%となっております。利用を検討するに当たって必要な情報でございますが、移動手段に関する情報と、あるいは、昼食会場やトイレの位置などの会場に関する情報、これを十分入手して、利用するかどうか検討したいと、こういうご意向でございました。利用しないと回答された学校についての、その利用しない理由ですが、一番多かったのは、万博以外の場所に既に校外学習の場所を決めているということ、それから、引率面で不安があるというのが2番目でございました。それから、団体予約に必要なログインIDの取得希望については、87%が取得したいという意向でございました。
これが1点目でございます。
2点目の万博開幕半年前イベントにつきまして、資料を1枚めくっていただきまして、10月20日日曜日に、午後12時から17時まで、奈良県コンベンションセンターで開催をいたします。
内容は、もう1枚めくっていただきまして、子供向けのワークショップ、それから、もう1枚めくっていただきますと、大人向けのトークセッション、それから、書道のパフォーマンスというような内容になっております。
私からは以上でございます。
☆質疑応答
司会:
それでは、本件に関しましてご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
奈良新聞さん。
記者(奈良新聞):
意向調査ですけども、まず、この調査対象というのは、公立のみですか、私立も入っているのでしょうか。
知事:
私立も入っています。
記者(奈良新聞):
分かりました。
あと、改めてこの招待事業の意義を教えていただけますか。
知事:
万博は、ご案内のように、日本及び世界各国の様々な最先端の技術、知識、そうしたものを同じ場所で同時に見ることができるということでございます。ですので、そういう世界最先端の文化や知見、技術に短時間で、移動距離が少なく見られるというのが万博の意義だと考えておりますので、そこに子供さんが行くことで、いろんな刺激を受けて、自分自身の将来の進路選択の参考になるかもしれませんし、今後の社会の在り方について思いをはせる、そんな機会にもなろうかと思いますので、そうした点で意義があると考えています。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
結果で、利用する、または検討中というのが82%とありますが、それぞれの校種を見ると、まだ検討中が半数ぐらいを占めている状況で、今後どういったことを取り組まれて、増やしていきたいでしょうか。
知事:
先ほどもご説明させていただきましたが、行くかどうか判断するに当たって、移動の手段や、会場に関する情報や、あるいは、3番目はモデルコース、費用などが理由となっておりますが、現時点では、まだ十分な情報がないということがありますので、そういった情報提供をしっかりやっていくというようなことや、あるいは、今後、モデルコースなども設定されていくと思いますし、今、博覧会協会でもこういう校外学習の受入れ体制をしっかりするという準備を進めております。これは、私が関西広域連合の委員会で、学校の引率の先生の不安というのがきっと校外学習をちゅうちょする要因になるだろうから、学校の先生の不安を払拭するような受入れ体制を博覧会協会で構築するように関西広域連合から申し入れるべきではないかというふうに言いまして、関西広域連合から博覧会協会にそのような申出がされて、それを受けて、今、博覧会協会で検討されておりますので、その検討が終了して、その校外学習の受入れ体制としてこういうことをやりますということが情報提供されれば、学校の先生方の不安も払拭されて、校外学習で万博に行くという学校も増えるのではないかと思っておりますし、やっぱりここに下見というのもありますが、下見をして、これならいけるなというふうに先生が思われて、決断するということもあろうかと思いますので、今後、そういった情報提供とか、あるいは、万博協会における受入れ体制の構築や、先生が実際に下見に行くことや、あるいは、新たな交通手段も今検討されているようですので、そうしたことが順次明らかになっていけば、この51%の検討中という学校の中で利用するというところが増えていくのではないかなと思っております。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
NHKさん。
記者(NHK):
現段階で利用する予定は31%という数字だと思いますが、端的にこの数字について、知事は多いと見ているか、少ないと見ているかというのはいかがですか。
知事:
そうですね、こんなものだろうと思います。やはりまだ今の段階で必ずしも判断しなければいけないわけではないので、もう少し万博の開催が差し迫ってきてからの判断で十分だと思いますので、検討中が半数を占めているというのは、十分理解できるかと思っております。
記者(NHK):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者(朝日新聞):
先ほど下見に関して言及があったかと思うんですけれども、一部報道で、下見をした上で、行かないという判断をしたところに関しては、入場料を請求するというような方針が伝えられていますけれども、その辺りに関してのお考えが何かあればお聞かせいただけないでしょうか。
知事:
すみません、それは、どこの府県の話ですか。
記者(朝日新聞):
万博協会で、教員が実際、下見をしに来た結果、行かないという判断をした場合は、その下見に関しての入場料を請求するというようなことに関して、批判が寄せられているという話があるんですが。
知事:
博覧会協会の方針については、私はコメントする立場にないと思っております。
記者(朝日新聞):
ただ、そうなると、先生方が、要は下見をしたら行かなければいけないのかというふうに思わされてしまうとしたら、そういった参加を押しとどめるような要因にもなりかねない部分もあるのかなというふうにも思ったものでしたので。
知事:
博覧会協会がどういう趣旨でそういう措置を取られているかという背景事情が分かりませんので、私が不十分な知識でコメントするのは差し控えたいと思います。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者(朝日新聞):
今後について、この調査は、来年度になるまでにもう一回調査される予定でしょうか。そもそも来年度に当たっては意向というより、実質、行くかどうかというところの数字になると思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
知事:
再度の調査をするかどうかはまだ決めていないです。
記者(朝日新聞):
あと、細かい点ですが、資料の中で、「利用しない理由」で一番多い、「万博以外の場所に既に決めている」というのは、何のことを指してるんでしょうか。
知事:
校外学習ということだと思います。
記者(朝日新聞):
校外学習の場所を別のところに決めているという理解ですね。分かりました。ありがとうございます。
司会:
時事通信さん。
記者(時事通信):
現状で既に「利用する予定」というのが3割ほどあると思うんですけども、今、報道されているようなお話とかを見ると、知事が先ほどおっしゃったように、「検討中」となるのが妥当かなと思ったりもするんですけども、もう既に、「利用する予定」が3割ほどあることについて知事はどのようにお考えですか。例えば、学校で万博の内容についてされてたりするんでしょうか。
知事:
大阪で万博が開催されるのは55年ぶりですし、小・中・高校生の時代に万博が開催されるというのは、おそらくこれが最初で最後だろうと思いますので、そういう意味合いで、子供たちを連れていって、先ほど申し上げたような世界の最先端の知識、技術、そうしたものに触れる機会を提供したいという先生が一定数いるのは、それはそれで理解はできますけどね。
記者(時事通信):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
先ほど話が出ていた「利用を検討するにあたり必要な情報」の部分に関してお伺いしたいんですが、利用しない理由などでも移動手段、会場場所、交通面での不安というのがよくあるかなと思ったのですが、小学校、中学校、高校において、例えば、南部の小学校がそういうふうに検討しているほうが多いとか、何か特色があるんでしょうか。
知事:
地域的に、ということですか。
記者(読売新聞):
地域的に、南部だからとか、北部だからとか、そういう理由があるのかなと考えたんですが、奈良県は隣県で、大阪には比較的近いと思うんですけども、それでもなお、こういう移動手段とかが理由として出てくるのは、そういう南部の学校からそういう回答が得られてるのかなと思ったんですが、分かる範囲で教えていただけませんでしょうか。
知事:
現時点で北部、南部に分けたデータの集約はしてないということなんですけれども、ご指摘のような傾向がもしかしたらあるかもしれませんので、今後、そうした北部、南部に分けた集計というのも進めていって、何か特色があれば、南部と北部で分けて、それに対して適切な対応をしてまいりたいと考えております。
記者(読売新聞):
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
NHKさん。
記者(NHK):
念のための確認ですが、この「利用を検討するにあたり必要な情報」というのは、これは、結局、この情報がないからまだ決められないという、そういう情報だという理解でよろしいですか。
知事:
はい。
記者(NHK):
分かりました。
それとあと、先ほど、結果の数字について、こんなものかなとおっしゃったと思いますが、それは、予想より多くもないし、少なくもないという数字だということでよろしいですか。
知事:
そもそも、あまり予想はしておらず、どれぐらいの数字かという予想を立てていたということではありません。
記者(NHK):
予想というか、感覚的にということですか。
知事:
結果的には、まあ、こんなもんじゃないんですかね。
記者(NHK):
多くもないし、少なくもない。
知事:
はい。
司会:
毎日新聞さん。
記者(毎日新聞):
先ほど、始まるまでにもう一回調査するかどうかについては未定ということでしたけれども、終わった後に、実際に何校行ったかを調査する意向はありますでしょうか。
知事:
それはどうですか。
万博推進室:
招待事業の支払いの仕組みとしまして、行かれました学校の実績に応じて、県で精算させていただくという形になりますので、こちらは、県で把握できるという形になっております。
記者(毎日新聞):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
それでは、3件目の発表案件に移らせていただきます。
3件目は、清酒発祥の地、奈良で初めて酒米品種の育成に成功!についてでございます。
知事、よろしくお願いします。
知事:
奈良県は清酒発祥の地でございますけれども、酒米といたしましては、主として、兵庫県の育成品種である山田錦と、愛知県の育成品種である露葉風という酒米を本県で栽培し、お酒の原料にしてきたわけでございます。県酒造組合から、奈良県独自の品種を使用したオリジナル清酒を作りたいという要望がございまして、奈良県農業研究開発センターにて、これまで酒米の育成に取り組んでこられました。取組を開始したのは平成24年と聞いております。今般、奈良県農業研究開発センターにおきまして、奈良県で初めてとなる酒米の新品種、なら酒1504(ならさけいちごーぜろよん)の育成に成功をいたしました。こちらがその新しい品種でございます。平坦地域での栽培適性が高い、他の酒米品種と比べて草丈が低いので倒れにくく栽培しやすいという特長がございます。本年4月に、農林水産省に品種登録の出願をいたしまして、8月に品種登録の出願内容が公表されたということでございます。
今後の方針といたしましては、県、県農業協同組合、県酒造組合で連携いたしまして、この新品種、なら酒1504の栽培を進めるとともに、それを使用した奈良県オリジナル清酒というのを開発して、販売していきたいと考えております。
私からの発表は以上でございます。
☆質疑応答
司会:
それでは、本件に関しまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いします。
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
この酒米の育成に成功したということで、知事のご所感をお願いできますか。
知事:
奈良県は清酒発祥の地で、酒蔵が30ぐらいあるのですが、その一方で、全国におけるシェアという意味では、京都府の伏見、兵庫県の灘、あるいは、新潟県の日本酒とか、そういうところと比べると、やっぱりシェアは少ない。もちろん根強い人気を有している日本酒の銘柄もあるわけですが、これから奈良酒をより日本全体、あるいは海外に売り込んでいくために、酒米も奈良県で作ったオリジナルの酒米であるということが一つのストーリーですよね。清酒発祥の地、奈良県で作った酒米で、それこそ昔から、江戸時代から続くような奈良県の酒蔵で作った日本酒という、このストーリーが消費者に受けるんじゃないかと思っております。そういった意味で、これを機会に、奈良酒のシェアを拡大できればと思っております。
記者(読売新聞):
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良テレビ放送さん。
記者(奈良テレビ):
育成を開始されたのは平成24年でお間違いないですか。
知事:
はい。
記者(奈良テレビ):
育成を始めたきっかけというか、動き出しみたいなストーリーがあったら教えていただきたいんですが。
知事:
酒造組合のほうから、奈良県独自の酒米を使用したオリジナルの日本酒を作りたいという要望を受けて、育成を開始したと聞いております。
記者(奈良テレビ):
この新品種のなら酒1504は、このままこの名前でいかれるのか、新たなお名前をつけられるのか。
知事:
僕もその質問を担当課にしたんですけど、このままのようです。
記者(奈良テレビ):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良新聞さん。
記者(奈良新聞):
この酒米を作った日本酒というのは、いつ頃に皆さんが手にできるようになるんでしょうか。
知事:
今年度、既に、桜井市にございます農業研究開発センターや、それ以外の水田で、このなら酒1504を栽培しております。これを収穫し来年の春には、なら酒1504を使った日本酒を販売したいと考え、現在、酒造組合と調整中でございます。
記者(奈良新聞):
酒米の開発に結構時間がかかっているような気がするのですが、通常これぐらいかかるものなんですか。
農業水産振興課:
米は基本、年1作なので、育種は結構時間がかかるものになります。雄と雌を交配させて種を出し、またそこから系統がいいかどうかを栽培してみて選抜していく。1回で出なかったら、違う品種を掛け合わせるというような作業を繰り返しますので、米の場合はやはり平均10年ぐらいはかかっているかと思います。
司会:
毎日新聞さん。
記者(毎日新聞):
なら酒1504の栽培的な特長はこの資料で把握できたのですが、このお米が酒に与える影響、味の特徴みたいなものがあれば、伺いたいのですが。
知事:
試験醸造はしています。私も飲ませていただいたんですが、結構コクがある感じかと思っております。
担当課のご意見はどうですか。
農業水産振興課:
試験的に酒造組合さんとテイスティングをさせていただきました。酒造組合の反応としては、結構切れがよく、口当たりのよいお酒、酸味は少しあるけれどもというような評価をいただいております。
記者(毎日新聞):
知事として、試飲されて、コクがあるということでしたけど、おいしい、好みとか、そういう面での。
知事:
おいしいと思います。私、辛口が好きなんで。
記者(毎日新聞):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますか。
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
吟のさとというのが交配のところにありますが、この吟のさとはどういったものでしょうか。
農業水産振興課:
吟のさとは、国の試験場が福岡県の地で育成された品種になります。
記者(読売新聞):
ありがとうございます。
司会:
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
県として、今回、このなら酒1504は、奈良オンリーワン酒米産地育成事業として開発されたという理解でよろしいんでしょうか。
農業水産振興課:
はい、そうです。
記者(読売新聞):
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。本件、よろしいでしょうか。
それでは、その他のご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
昨日の9月議会で、広域水道に関して全て可決されましたが、これまで県として主導されてきて、知事のご所感をお願いいたします。
知事:
上水道に係る施設、具体的には浄水場とか水道管、こうしたものが非常に老朽化しております。人口急増期に布設したり整備した管や施設でして、そこから40年ほど経過しており、更新していかなくてはいけないと。しかしながら、上水道事業は公営企業として市町村が営んでいるのですが、その市町村に十分な管路や浄水場の更新のためのお金がないということなので、広域化し、配水系統を見直し、浄水場も整理、統合して数を少なくして、つまり各市町村でやってたら非効率な部分を県全体でやることで、浄水場の数を減らして、管路もより短距離でいけるような管路にして、国や県の交付金を使ってこの管路更新事業を年次的に取り組んでいく、そういう事業なんですね。ですから、市町村単独ではなかなかできない事業を県一帯でやることで、老朽化した浄水場や管路の更新に道筋がつくということで、非常に意義のある事業であると認識をしております。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良新聞さん。
記者(奈良新聞):
昨日の奈良市長の定例会見で、大和西大寺の高架化事業について、事業規模が分からないと、3者での協議のテーブルになかなか着けないというお話がありましたが、それに対する受け止めをお願いします。
知事:
今朝、奈良新聞の記事、拝見させていただきまして、奈良市長が発言された内容を把握しました。全体的な印象を率直に申し上げますと、論点のすり替えと責任転嫁であると考えております。
具体的に一つ一つ申し上げさせていただきますと、奈良市が議論を拒否しているわけではないとおっしゃられたそうですが、3回目の近鉄と県、奈良市の協議会を開催したいので、ご都合のよい日程を教えてください、返事はいつまでにと文書でお願いをしているにもかかわらず、返事がないわけですよね。副知事が市長に会いたいと言っても、面談を設定していただけていない。これは拒否していると表現していいんじゃないかと私は思っています。
それから、まさか県議会で一方通行の報告がなされるとは夢にも思っていなかったと不快感を示したとあるんですが、これについては、県の安井県土マネジメント部長が奈良市の山岡総合政策部長と面談して、県議会で質問される予定である、県としては県議会で聞かれたら、経過については回答せざるを得ないということを山岡部長にお伝えしております。山岡部長からは、県議会で聞かれれば答えざるを得ないでしょうねというような回答があったと聞いております。奈良市長が山岡部長からこの話を聞いてないはずはないということなので、夢にも思っていなかったというのはちょっと事実とは違うんじゃないかと思います。
それから、事業費が1,000億円かそれを超えるのか想定もつかない段階で、負担割合も決めず協議に乗ってというのはおかしい、事業規模を明確にしてくれという、そういう発言の趣旨をこの質問が示しているんだろうと思いますが、実際、令和3年3月に、県と奈良市と近鉄で、この高架化を前提とする事業をやっていきましょうということで協議会を設置するための確認書を締結してるわけなんですよね。その際は、前知事時代の平城宮跡内から近鉄奈良線を移設するという案だったわけです。想定事業費が約2,000億円だったと認識をしております。その時点で、国と近鉄の負担以外の行政側の負担、この行政側の負担というのは、県と奈良市で負担するわけですけども、その負担割合というのは、その時点で決まってなかったんですよ。負担割合が決まってなかった段階で、平城宮跡内から近鉄線を移設するという前知事時代の約2,000億円の事業について、一緒に協議してやりましょうという合意をしていたにもかかわらず、今になって、負担割合が決まらないから協議もできないというのは、矛盾するのではないかと思います。今よりももっと費用のかかる事業を前提に、県と奈良市の負担割合については、特段明確な合意はせずに、協議しましょうということで、前知事の時代に協議してきたわけですよね。それが、平城宮跡内から近鉄線を移設するということはやめて、総事業費としては2,000億円の半分ぐらいで済むだろうという想定をしてるわけですけども、その段階で、負担割合が決まってないから協議はできないというのは、私からすると、令和3年3月の合意は何だったんだと言いたくなるわけでございます。
それから問題の根幹にあるのは、奈良市内の中心部にしっかりとした南北道がないこととおっしゃってまして、奈良市が整備してきた大和中央道の敷島工区が完成し、そこから近鉄奈良線以南の若葉台工区も市がやれば、南北の幹線ができるので、大和西大寺駅周辺に集まる車の流れが変わって、交通量が減るんじゃないか。それを会見で言われたということなんですが、県で、大和西大寺駅周辺の車の流れ、車の終着点、踏切を渡る車がどこを目的地としているかという調査をしたのですが、要するに大和西大寺駅周辺にある施設に行くことを目的として踏切を通っているわけなんです。ご案内のように、大和西大寺駅周辺には、ならファミリーのような大きな商業施設もございますし、塾とか予備校、幼稚園、そうしたものもございますし、最近はオフィスビルもできてきて、南側にロータリーができて、非常に新しい建物が建ってます。北側は狭いところにいっぱいいろんな建物が張りついてるわけで、そこを目指していく車が踏切を通っているわけですから、大和西大寺駅とあやめ池の間に南北の道路を抜いたからといって、大和西大寺駅周辺に流れてくる車の数が減るとは到底思えないんです。だから、奈良市の案は客観的事実を踏まえてないとこれまで協議では申し上げていますが、奈良市の考えに県は乗ってこないというような表現をされてるようですが、乗ってこないのではなく、奈良市の案には無理がありますということを、客観的な事実を示しているにもかかわらず、奈良市長がそれに固執されているというのが実情でございまして、奈良市の示した案に対して、無理ですよ、乗れませんよということはちゃんと理由を示して言っているので、奈良市の提案に合理性があるにもかかわらず、県が協議を拒否しているような、そういう物の言い方はどうかと思います。
あとボールは県にある、奈良市も乗れるような案を考えてほしいと投げかけていると言っているんですが、そのような申出を受けたことはございません。副知事を奈良市に行かせましたが、トップはトップ同士だとおっしゃっておられるのですが、副知事が行くのが失礼なんだったら、私が奈良市役所まで行きますので、ぜひお会いして、この点についてお話合いをさせていただきたいと思っております。以上です。
記者(奈良新聞):
このままだと膠着状態になると思うのですが、打開していこうというお気持ちはありますか。
知事:
打開はしたいですけれどもね。令和3年3月時点では負担割合は決まらないまま協議すると言ったのに、どうして今になって、負担割合が決まらなかったら協議もできないのかと、私はこれは変説だと思っています。ですから、やっぱり奈良市長にちょっと考え直してもらわない限りは、なかなかこの協議は進まないかなと思います。
記者(毎日新聞):
総理大臣が替わられて、所信表明演説で、地方こそ成長の主役と言っておられたと思いますが、知事としての受け止めをお伺いします。
知事:
地方創生に関する交付金でしたかね、それを倍増するというようなお話がございました。それは、地方公共団体としては大変歓迎をいたしております。
記者(毎日新聞):
どういうことを期待されますか。
知事:
そうですね、これは全国知事会の提言にもありますけれども、東京一極集中と人口減少に因果関係があるかないかというのが、全国知事会で議論になりまして、小池都知事は、それは因果関係がないと言われたんですけど、他府県の知事は、いや、それは関係あるだろうというふうに言ってまして、それはどういう意味かというと、やはり東京都が一番合計特殊出生率が低いわけです。そうすると、若い方がどんどんどんどん都会、東京都に吸い寄せられていけば、データ上は、あまり出生がされない、子供が生まれないということになります。そういう意味で、沖縄県とかは一番合計特殊出生率高かったと思いますけども、やはり人口が東京都に一極集中することで、人口減少に歯止めがかからないというのは、一定、社会的な因果関係があるのではないかなと私は少し思っています。ですから、やはり東京一極集中を是正するための指令塔をちゃんと設けてくれと。そして、この少子化の問題に本腰を入れてほしいと。そのための指令塔を政府に設置してほしいということを全国知事会から国に申し入れておりますので、それについてしっかりと取り組んでいただきたいなと思っております。
記者(時事通信):
9月議会に関してお伺いします。アリーナについて、新駅周辺のほうに設置の可能性もあるというお話があったと思いますが、まず、現在、どういう状況か、改めて説明していただけますか。
知事:
議会でも答弁させていただいたように、新駅西側か、橿原公苑内かということで、そのメリット、デメリットを2つの案で比較して、よりメリットの大きいほうにしたいと、その作業を今進めているところでございまして、12月の県議会で、どちらにするかを発表したいと思っております。
記者(時事通信):
仮に新駅方面になった場合、防災の観点でいうと、物資輸送拠点になるんでしょうか。
知事:
はい。
記者(時事通信):
(物資輸送拠点が)移動することになるかなと思いますが、あの3つでスケールメリットだというお話との整合性は大丈夫なんでしょうか。
知事:
橿原公苑と医大新駅は近いですから、物資輸送拠点が橿原公苑内ではなくって、医大新駅になることのデメリットはそんなに大きくないと認識しています。
記者(時事通信):
どちらでも防災という観点の意味での拠点は大丈夫ということですね。
知事:
はい。
記者(時事通信):
県有地の南部中核拠点について、議会でもいろいろご説明されていましたが、現状、太陽光発電に関する必要性は感じられているという認識で合っていますか。
知事:
はい。
記者(時事通信):
その後、住民の皆さんが意向を尊重されているというお話があった一方で、2月の五條市の説明会のときには、条例自体に対しても違憲の可能性があるという言及があったかなと思いますが、知事として、条例を踏まえた現状のご認識をどういうふうに考えていますか。
知事:
私は、憲法29条に違反している可能性が高いと思っていますが、しかし、これは司法判断を経ておりませんので、最高裁でそういう判例が確定すれば、その時点で条例は違憲無効ということになりますが、現時点では有効ですから、県が主体となって太陽光発電施設を整備するに当たって、同じ地方公共団体の条例を無視して手続を進めるというわけにはいきませんので、現実的に考えれば、あの条例にのっとって整備するということになれば、現時点では地域住民の同意は得られておりませんので、地域住民の理解が得られないような太陽光発電施設の設置は非常に困難であると、そういうふうに認識しております。
記者(時事通信):
分かりました。
その条例に対して提訴をするみたいな話は特に考えていないという感じでしょうか。
知事:
今、我が国は憲法裁判所がないので、ただ単純にその条例が憲法違反かどうかというような訴訟は今できないんです。ですから、例えばある民間事業者が五條市で50キロワット以上の太陽光発電施設を設置しようと計画しました。地元説明会をしたけど、地元の同意が得られませんでした。得られなかったけれど、市に許可申請を出しました。不許可になりましたというときに、市の不許可処分の前提となった五條市の条例が憲法に違反するということで提訴することはできるんですけど、今、我が国はその司法制度は、具体的な案件がないと、憲法判断を求めることができませんので現時点では難しいということです。
記者(時事通信):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。
知事:
ありがとうございました。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。