令和6年度第11回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)
概要
<開会>
令和6年11月25日
14時00分
<閉会>
令和6年11月25日
15時10分
<会議場所>
教育委員室
<委員出欠>
伊藤忠通(出席)
上野周真(出席)
田中郁子(出席)
伊藤美奈子(出席)
三住忍(出席)
議案及び議事内容
<議案>
議決事項1 奈良県立高等学校入学者選抜基本方針の改定について(可決)
<議事内容>
○大石教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、田中委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和6年度第11回定例教育委員会を開催いたします。本日は、委員全員出席で、委員会は成立しております。奈良県教育委員会会議傍聴規則第2条の規定に基づきまして、1名の方が傍聴券の交付を受けられています。」
○大石教育長 「議決事項1『奈良県立高等学校入学者選抜基本方針の改定』について、ご説明をお願いします。」
○小嶌高校教育課長 「奈良県立高等学校入学者選抜基本方針の改定について、説明いたします。
ご審議をお願いする基本方針は、令和8年度以降の入学者選抜の基本方針で、令和6年3月の定例教育委員会において承認いただいたものです。7月に『2 一次選抜』の二つ目『第1希望、第2希望ともに普通科を希望することはできない』という但し書きが入っていたものを削除し、『出願は第1希望、第2希望の2校まで出願できる』に改定することを可決いただきました。この基本方針を基に、現在、各高等学校で令和8年度の選抜内容の詳細を決めるにあたり、中学生の進学動向や私学無償化の影響等について、様々な方面からご意見をいただきながら、入試制度について慎重に再検討してまいりました。その結果、『2 一次選抜』の三つ目、一次選抜の検査内容に係る部分について改定を考えております。現行では、『第1希望が全日制課程の者においては、学力検査、調査書、必要に応じて実施する実技検査及び必要に応じて提出を求める特技に関する記録の結果に基づいて選抜するものとする』とありますが、この部分を、実技検査以外に面接や作文等も実施できるように改定したいと考えております。現行の入試制度では、専門学科を設置する高校や普通科の特色あるコースを設置する高校で、2月中旬に、国語・数学・英語の3教科の学力検査と、実技検査、面接、作文、口頭試問などの学校独自検査によって、専門学科ごとに特徴をもたせた特色選抜を行っております。そこで、現行の特色選抜の流れをくみ、理科・社会の学力検査に代わる検査として実技検査だけでなく面接や作文を加えることにより、学校ごとの特色を前面に打ち出すことで、県立高校の特色化・魅力化を推進できるものと考えました。これが、改定の理由となります。
以上です。」
○大石教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○三住委員 「理科・社会に変わるものとして、実技検査・面接・作文等を実施するということですが、理科・社会の学力検査を実施した上でするのですか。それともその生徒については理科・社会の学力検査を実施しないのですか。」
○小嶌高校教育課長 「一次選抜において、全日制課程普通科以外及び特色あるコース等を設置する普通科につきまして、国語・数学・英語の3教科の学力検査と実技検査や作文、面接等を実施するという形になります。」
○三住委員 「生徒が事前に3教科で受検したいと申し出るのですか。」
○小嶌高校教育課長 「学校ごとに検査の内容を定めますので、生徒は検査の内容も考慮に入れながら受検する学校を選択します。」
○三住委員 「生徒個人が学力検査の教科数を選択するのではなく、学校ごとに検査内容を定めるということですね。」
○小嶌高校教育課長 「はい。」
○伊藤(忠)委員 「実技検査、面接、作文等の中からいくつ実施するのでしょうか。学校ごとに異なるのでしょうか。」
○小嶌高校教育課長 「学校ごとに異なります。」
○伊藤(忠)委員 「実技検査を必ず実施するのではなく、面接と作文という場合もあるのですか。」
○小嶌高校教育課長 「一つ以上を実施することになります。」
○伊藤(忠)委員 「それは、生徒が、志願する学校の実施要項を見て選ぶということですね。」
○小嶌高校教育課長 「そうなります。」
○田中委員 「この改定については、これでいいと思うのですが、検査当日の結果だけで合否を決めているのですよね。中学校3年間の学びが蓄積されていると思いますので、その部分の評価もきちんとして選抜することが大切だと思います。」
○小嶌高校教育課長 「現在もそうですが、中学校で学んできた内容は調査書で見るようにしています。令和8年度以降も同様に調査書も選抜資料の一つです。」
○大石教育長 「調査書だけでもいいのではないかということでしょうか。」
○田中委員 「そうですね。調査書の比率がどのくらいか分かりませんが、当日の検査結果がよくて合格する生徒もいるでしょうし、中学校3年間の学びの蓄積があるのにもかかわらず、当日の検査結果がふるわない生徒もいると思います。そもそも、学力は、コンスタントに積み上げることで身に付くと私は思っています。検査の在り方について、そういうもので評価ができたならば、生徒の様子がよく見えるのではないかと思います。」
○大石教育長 「学力検査と調査書点の配分、比率は高校によって決めることができるので、どちらに重きを置くかは高校によって考えられると思います。」
○田中委員 「昔は公立高校が第1希望で、私立高校が滑り止めというケースが多かったと思いますが、今は逆転気味で私立高校に行きたいという方が多くおり、公立高校の置かれている位置が変化してきていると思います。公立高校は、生徒に迎合するのではなく、むしろ憧れて行きたい学校になるよう考えていかなければならないと思います。生徒は、緊張がずっと続きますが、常日頃きちんと勉強して、それで成果が積み重なっていけば、力も身に付くと考えています。」
○大石教育長 「各学校で特色を出し、公立高校の魅力化を進め、行きたい学校にならないといけないと思います。入試の選抜資料として日頃の成果も大事なのですが、一方で、今不登校の生徒がたくさんいて、日頃の成果で選抜できない生徒も多く存在します。奈良県の場合、不登校で成績が付けられていなくても受検できるようにするシステムになっています。それらのバランスをうまくとって、各学校の特色を出しながら、選抜ができればよいなと思っています。」
○伊藤(忠)委員 「以前に議論があったと思うのですが、調査書を評価するときに、中学校何年生の成績が入るのでしょうか。」
○小嶌高校教育課長 「今現在は2年と3年です。」
○伊藤(忠)委員 「3年生は終わりまで入りますか。」
○大石教育長 「3年は2学期までです。」
○伊藤(美)委員 「特技に関する記録は、賞を貰った等の結果を記載するのですか。」
○小嶌高校教育課長 「学校での部活動、特別な活動をした結果等を記載します。」
○大石教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」
※各委員一致で可決
○大石教育長 「議決事項1については可決いたします。」
○大石教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」
○小嶌高校教育課長 「第33回奈良県産業教育フェアについて、報告いたします。
産業教育に関する専門学科や総合学科を有する学校と、産業に関わる教育活動を行っている特別支援学校や中学校が、日頃の学習成果を全県的な規模で発表する場として、令和6年11月2日に、奈良県庁回廊及び奈良公園バスターミナルのレクチャーホールにおいて開催しました。
今回のテーマは『未来への地図 社会への第一歩 咲かそう自分の輝く明日』で、産業教育を学ぶ高校生等が、自分たちの未来像を描きながら、産業教育での学びを社会人としての第一歩ととらえ、地域社会で活躍する人材として着実に成長しようという思いが込められています。
研究・体験発表、作品展示・実演、学校紹介、販売実習、体験、進路相談という内容で開催し、生徒が各ブースで作品等の説明や実演、販売、体験の運営を行い、来場された方々に対応しました。生徒は自分たちの取組を、来場された方々に丁寧に説明するなど、産業教育について広く周知できる良い機会となりました。
これからも、この奈良県産業教育フェアを通じて、新しい時代に対応する産業教育のあり方を探るとともに、多くの方々に本県の産業教育に対する理解と協力を促し、産業教育の充実に努めてまいります。
以上です。」
○辻高校教育課参事 「令和5年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』結果の概要及び令和5年度『奈良県公立学校における生徒指導の課題に関する諸調査』結果の概要について、報告いたします。
資料1は全国調査において全国と本県の結果の比較となっており、最初は国公私立全ての学校のものとなります。資料2は、資料1の全国調査の内容に合わせて本県の公立学校における調査結果をもとに作成したものです。
まず1項の暴力行為について、資料1(1)の概況をご覧ください。本県における発生件数は全国平均より低い状況が続いており、令和4年度から1.0ポイント減少しました。一方で全国平均は昨年度より上昇しており、全国的には増加の傾向が続いております。これについては、いじめの認知に伴うものや児童生徒に対する見取りの精密化により把握が増えたことが要因の1つと考えられると分析しています。資料2(2)暴力行為別で見ますと、1,000人当たりの発生件数では生徒間暴力が全国、県ともに高くなっているところです。
次の項のいじめについて、資料1(1)の概況をご覧ください。いじめの認知件数は全国的に増加傾向ですが、本県では56.0件で前年度より2.1ポイント減少し、全国平均を下回りました。(2)校種別では、小学校で1.2ポイント、中学校で3.0ポイント、高等学校で0.9ポイントの減少となっています。いじめの認知件数については、本県では平成29年度以降で7年ぶりに全国平均を下回りました。県教育委員会としましては、各学校に対して些細な兆候であっても積極的に認知し対応に繋げていくよう求めてきたところです。今回認知件数が減少し全国平均を下回ったことについては、各学校が些細なことでもいじめに発展する可能性があると捉えて早期に対応したことで、未然に防がれていると考えております。一方で、いじめの見逃しに繋がる可能性もあることから、引き続きいじめの些細な情報であっても積極的に認知し、早期の対応に繋げ、事案の重大化の防止に努めるよう各学校に求めてまいります。(4)いじめの現在の状況をご覧ください。本県においていじめが解消しているものは83.3%で前年度から2.9ポイント増加し、全国平均より5.8ポイント高くなっています。いじめが解消しているものが全国平均より高い要因としては、いじめに関するアンケートの実施や、令和3年度から毎年12月を『いじめ防止強化月間』と定め、各学校における『学校いじめ防止対策組織会議』の集中開催等の取組を依頼していることによって教員や子どもの意識が高まり、早期発見、早期対応を組織的に行えるようになってきていることが考えられます。一方で、各学校には安易に解消したと判断することなく、引き続き丁寧な見守りをお願いしているところです。資料2の3項(4)いじめ発見のきっかけでは『アンケート調査など』による発見が全国と比べても大きな割合を占めていることが分かります。
資料1の3項、『不登校』をご覧ください。(1)校種別では、小・中学校で全国平均を下回ったものの、高等学校では全国平均を大幅に上回っております。また、特に中学校では全国、県、ともに高い傾向にあります。これについては、資料2の5項の2つのグラフを見ていただきますと分かるとおり、中学校1年生の『新規不登校』が大幅に増加をしています。中学2年生では『前年度からの継続』が多くなり、総数でも増加しています。下のグラフでは、先ほど述べた出席日数が10日以下を指す緑の棒が中学2年生から大きく増加しています。対応としては、従来の支援や相談に加え、令和3年度から小学6年生や中学生を対象としたオンライン学習支援を開設し、学習へのサポートを行っていました。また、一人一台端末を活用し、校種別に『子ども支援サイト』を開設し、悩みを抱える子どもへの情報提供や、気軽に相談できる窓口等を設置し、より適切な支援に繋げるきっかけづくりにも努めています。令和5年度からは県内5市及び教育研究所内に不登校支援のための『奈良県ネットワーク型フレキシスクール《不登校支援ならネット》』を開設し、オンラインによる支援を行っているところです。
最後に資料1の4項『中途退学』をご覧ください。高等学校における中途退学率は、奈良県、全国ともに増加しております。資料2の6項(1)に、県立高等学校のデータがありますが、全日制では1.1%となっております。
以上です。」
○新子体育健康課長 「教職員のための性に関する指導ハンドブックについて、報告いたします。
このハンドブックの作成については、11月に作成委員会を設置、開催し、畿央大学の髙田恵美子委員長はじめ、作成委員の先生方に、作成の方向性や内容についてご協議いただき、スタートしました。その後もワーキング会議や作成委員会を開催し、原稿の作成、集約を関係各課室の協力のもと進めてまいりました。また、作成委員会のメンバーでもある畿央大学の髙田委員長、四天王寺大学の吉村委員のご指導・ご助言のもと、原稿の見直し、修正を繰り返し行い、10月開催の第3回作成委員会を経て、『教職員のための性に関する指導ハンドブック』を完成させることができました。
今回の作成に当たっては、性に関する指導について、関係各課室が持つ情報やノウハウを集約し、1冊のハンドブックにまとめ、教職員が必要なときにすぐに手に取って活用できるよう作成しました。6ページをご覧ください。今回は『包括的な視点』をもって性に関する指導に取り組めるよう、『改訂版 国際セクシュアリティ教育ガイダンス』にある8つのキーコンセプトを各校種が取り扱う領域に関連付けることが可能な内容として整理しているところが特徴となります。また、性に関する相談の支援対応事例を充実させ、必要なときに手に取って活用できるよう、より実用的なものにしました。
続いて、このハンドブックの配付及び周知についてです。各県立学校については、各校1冊の配付を予定しています。また、市町村立の小学校・中学校・高等学校等でも活用していただけるよう、奈良県教育委員会体育健康課のWebページにPDFデータを掲載します。周知については、今後、県内公立学校教職員を対象に、冊子の配付、Webページ上へのPDFデータの掲載の時期にあわせて、2月中旬から3月中旬の期間内でオンデマンド配信による研修会の開催を予定しています。研修の視聴の際には、受講者に配付したハンドブック、またはWebページのPDFデータを見ながら受講してもらうことで、ハンドブックの活用方法や学校における性に関する指導の充実に向けて、より分かりやすく学べる機会にしたいと考えています。なお、研修の講義については、本作成委員会の委員長を務めていただきました畿央大学の髙田恵美子先生に依頼しています。
以上です。」
○大石教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○伊藤(忠)委員 「産業教育フェアの参加者数は把握されていますか。」
○小島高校教育課長 「概数として1238人と把握しています。11月2日に県庁で開催しましたが、午後から大雨警報が発令され、屋外の回廊での展示等は午前中だけで終わったこともあり、例年に比べると少ない人数になっています。」
○伊藤(忠)委員 「それなりの数が来られるわけですね。内容ごとの人数把握は難しいかもしれませんが、進路相談は何件あったか分かりませんか。」
○小嶌高校教育課長 「12月9日の実行委員会で詳しい数字が出ますので、各ブースの人数は現在のところ分かりません。」
○伊藤(忠)委員 「フェアで中学生小学生が興味を持って、職業教育をするような県立高校に進学を目指してくれれば嬉しいと思います。」
○大石教育長 「去年までは橿原イオンモールが会場でした。買い物ついでに見ていただけるというメリットがある一方で、興味関心がある方が、来場者数とイコールではないというところがありました。今回はフェアを目当てに来られていたのか、それとも奈良公園の観光ついでに立ち寄られていたのか、どちらでしょうか。」
○小嶌高校教育課長 「当日、天候があまり良くなかったということもあり、中学生らしき生徒が来場しているというのは少なかったと思います。午後から来場しようと思っていた中学生もいたのかもしれないと思うと、少し残念なことになってしまいました。」
○伊藤(忠)委員 「その他報告2について、資料1で、中途退学の理由は、例年、学校生活・学業不適応と進路変更が多くを占めています。以前も聞きましたが進路変更というのは他の学校へ転学も含みますか。それと、県立高校でも中途退学の理由が学校生活・学業不適応、進路変更です。定時制と通信制では令和3年は通信制で多く、令和4年と5年は逆転して定時制が多くなっていますが理由は何ですか。また、学年別では1年生が多いですよね。定時制・通信制に入学して、1年目でつまずいて退学しています。その意味では初年時の教育の仕方、中学から高校の連続性等、定時制・通信制の場合は、多様な背景の生徒が入学してくるため、1年目でしっかり支援しないと挫折してしまうと思います。特に定時制・通信制の退学率で、最近は定時制が多くなっていることの理由については何か考えられますか。」
○辻高校教育課参事 「定時制での退学者が多い理由の把握はできていません。」
○伊藤(忠)委員 「定時制の生徒数は少ないが退学率は高くなっています。定時制高校に何らかの課題があるのかもしれません。今後検討していただければと思います。」
○大石教育長 「生徒数が少ないため、1人が辞めるとパーセンテージは高まります。」
○伊藤(忠)委員 「数が少ないから、伝播、影響してしまうということもあるかもしれません。数が少ないと誰か辞めると私も僕もとなる可能性もあり、気になるところです。」
○大石教育長 「定時制は私が勤めていた高校にもありましたが、多くの不登校経験者が入学しています。頑張って毎日来られるようになる子もいますが、時々休みながら何とかという子もいます。やはり無理だったというようなことはあり得ますので、できる限り丁寧な対応はしています。またいろいろな分析もお願いできればと思います。」
○伊藤(忠)委員 「定時制に比べて通信制の方が学ぶ環境、自由度が高く登校時間もいろいろです。その意味で負担が軽いこともあります。一方の定時制は昼間に働き、かなり限られた時間の中で学ばないといけませんので継続できるかどうかという状況の把握もしていただきたいと思います。」
○伊藤(美)委員 「中途退学のデータですが、県立高校に限って言うと、通信制は山辺高等学校だけですか。」
○小嶌高校教育課長 「今年度は、1年生は山辺高等学校ですが、2年生から4年生は大和中央高等学校に生徒がおります。」
○伊藤(美)委員 「県立に限らず私立も通信制がかなり増えており、転学者が多く入学しているという実感があります。その生徒たちが最後まで通っているのか気になります。最近の奈良県と全国の中途退学者数の特徴を教えてください。」
○辻高校教育課参事 「通信制につきましては、本校が奈良県にある通信制においては、その中途退学者数は奈良県の数として上がります。」
○大石教育長 「広域の通信制高校がそれに当たります。」
○辻高校教育課参事 「本校が奈良県にあり、全国にサテライト校をもつ通信制高校がありますので、その高校の生徒についてのデータも含まれます。」
○伊藤(美)委員 「分かりました。転学について、過去に何かの資料で転学者数はどこも把握していないと聞いたことありますが、転学者数は分からないでしょうか。」
○小嶌高校教育課長 「転学者は退学ではないため、中途退学者数の中に入っていません。」
○伊藤(美)委員 「実態が掴みづらいですね。不登校も高校が全国に比べると高いところが気になります。教育研究所にも高校生の居場所があったと思いますが、高校生の不登校生の居場所は難しいと思っています。義務教育ではないため、欠席日数が増えると、転学、退学せざるを得ず、本当に指導が難しいと感じます。先日大阪府教育委員会に行ったとき、教育支援センターの高校版を設置されていて、結構な人数が来ているということを聞きました。今、高校も全入とは言いませんが、かなり進学率が上がっている中で、義務教育ではないですが不登校の高校生の居場所を増やしていくことについて、考えていく必要があると思います。」
○熊谷教育研究所長 「高校生の居場所については、令和2年度から県立教育研究所に『こまどりルーム』を開設しております。高校生は多い時で4名が参加していました。中学校から継続的に参加し、現在は高校生になっている生徒もいます。不登校の現状から見るとニーズは高いのではないかと考えておりますので積極的に周知していきたいと思います。」
○伊藤(美)委員 「『こまどりルーム』に参加すると出席日数には含まれますか。小・中学校は出席日数入れることもあります。高校は難しいのでしょうか。高校生は欠席が多いと単位が取れないということで結果的に進級・卒業ができない場合もかなり多いと思っています。『こまどりルーム』の参加が単位認定という結果には繋がっていないことが、参加率の少なさの背景にあるかもしれませんので検討をお願いします。」
○大石教育長 「高校の単位認定はどのような学習をしているのかを把握していないとできないところがありますね。」
○三住委員 「定時制の生徒は昼間に仕事をしているのでしょうか。最近の人手不足で多くの仕事をさせられ学校を辞めるのか、それとも仕事も含め全体の生活が崩れて辞めていくのか、どのようなパターンで定時制の生徒が辞めていくのでしょうか。定時制の教員が、生徒がどのような仕事しているのかということも把握する中で、何らかのケアをしていければ思います。」
○小嶌高校教育課長 「定時制の生徒が会社等で就労しているケースはあまりなく、多くはアルバイトだと思います。大和中央高等学校は昼間定時制になりますので、朝あるいは昼から学校に登校するという形の定時制になります。アルバイトをしている生徒は多くいると思いますが、就労している生徒は少ないと思います。」
○大石教育長 「卒業した後には社会で適応していかないといけません。学校が夜ですので、昼間寝てしまうことが多いため、定時制の生徒にはできるだけアルバイトに行くようにという指導はしています。」
○三住委員 「生活を安定させ、短時間でもいいから働いてリズムを作るということですね。」
○大石教育長 「不登校の生徒も多いので、コミュニケーションを取るのが苦手な生徒もいます。初めは辞めたりもしますが、それでも徐々にできるようになり、3年生ぐらいになると少し継続して勤められるようになってきたという生徒もいます。ただアルバイトの場合、職場への訪問は難しい現状もあり、勤務の状況把握はあまり進められていないと思います。」
○三住委員 「色々な職場もありますから、アルバイトの悩みを先生が聞いてあげるような体制はありますか。」
○大石教育長 「生徒自身もよく分かっていないところもあるため、いいように利用されたりしてしまわないよう、労働基準法などについて説明するようなパンフレットもあります。」
○三住委員 「いじめの分析で、加害者数の分析はされていないのでしょうか。加害者が複数の場合は、重大事案になりやすいと考えています。」
○辻高校教育課参事 「それについての明確なデータは持ち合わせていません。」
○三住委員 「私は天理市のいじめ対策に関わっていますが、加害者数などは常に把握しています。より注意深く扱うことが必要なので、できることならば、加害者数の把握をされた方がいいのではないかと思います。重大事案の防止に繋がると考えます。また、いじめの対応について、加害者側がどのような理由で行為に及んでしまったのかを分析しながら解消していく必要があると考えます。当然被害者を守ることが必要ですが、加害者側の状況の調査も必要だと思います。」
○辻高校教育課参事 「この調査では加害側の状況や行為に及んだ理由までは調べていません。しかし学校の対応としては、なぜそのような行動に至ったのかということは、確実に調べた上で指導していると認識しています。」
○大石教育長 「今回は国の調査項目に沿っての報告ですので、今後、機会がありましたらご意見についてお伝えしていければと思います。」
○伊藤(忠)委員 「教職員のための性に関する指導ハンドブックについて、1ページ目の指導の取扱いの後段の方で、今、情報化社会が進展していて、性・薬物に関する情報の入手が容易になっている。それに従って3ページの基本的な考え方の中には、性に関する情報等を正しく選択し、適切に行動できるように指導すると書かれています。また、5ページの社会的側面にも同じように、性情報への適切な対処や行動の選択が必要であると書かれている。これを学校の中で、各教科、道徳科、総合的な学習(探究)の時間等で指導するとありますが、奈良県ではどのように進められていますか。」
○新子体育健康課長 「基本的には、性教育については、体育や保健体育の授業の中で取り扱うことが多いですが、性情報の適切な対処や行動の選択となりますと、例えば特別活動など、教育活動全体の中で、どのように位置付けて指導するかということになりますので、今回のこのハンドブックの中では、小学校、中学校、高校におきまして、それをどの内容で取り扱うことができるかを例に挙げています。」
○伊藤(忠)委員 「実際、SNS等で間違った情報を入手したり、そこから知り合った友達と問題が生じたり、インターネットの情報が正しいと思い込む可能性があるので、そこはしっかり子どもたちに注意喚起をする機会が必要だと思います。」
○三住委員 「各学校に1冊ということでしたが、もっと簡易なもので全員の先生が見て概略的に把握するためのハンドブックをさらにまとめたものが別にありますか。」
○新子体育健康課長 「この性に関する指導ハンドブックの中身は、簡易にまとめることがなかなか難しいものですが、今回は、ハンドブックということで、非常に多岐にわたる内容を、できる限りポイントを整理し、まとめたものになっております。活用しやすいようにということをイメージして作らせていただきました。」
○三住委員 「量が多いと普段は読まず、問題があったときしか読まないですね。先生ならば誰もが押さえておくべき基本的な内容を1,2ページに短くまとめて、皆さんに読んでおいてくださいというものがあればよいと思います。」
○大石教育長 「各学校1冊ですけれども、先程の話では、データ上で確認できるのですね。」
○新子体育健康課長 「はい。データをWebページに載せ、できるだけ使いやすいように、まずタイトルを上げながら、そのタイトルをクリックすれば、そのページに移動するような形で、見やすいものにしたいと考えております。」
○伊藤(忠)委員 「それはダウンロードできますか。」
○新子体育健康課長 「はい。ダウンロードできます。」
○大石教育長 「なかなか量が多いので読まないのではないかというご指摘があるわけですが、研修会等も考えていただいているのですね。」
○新子体育健康課長 「はい。これを来年の1月から2月に配付する予定になっておりますが、2月中旬から3月中旬にかけまして、オンデマンドの形式になりますがこのハンドブックを活用した研修会を開催する予定です。」
○大石教育長 「そういう研修の機会を通して、読まない人にも分かってもらうということですね。」
○三住委員 「被害の申告があったときの対応等も記載されていますが、この被害を訴えるということは、子どもにとってかなりハードルが高いと思います。先生に相談できる子どもはいいですが、できなくて悩んでいる子ども用のページを作っていただければ相談に繋がると思います。相談しにくい状況をまず相談しやすいように、子どもが見ることができるページを作ってあげ、本当に悩んでいる子どもに、まずそこにアクセスしてもらえるようにできたらよいと思うのですが、どうでしょうか。」
○新子体育健康課長 「これは教職員用ですが、参考資料39~40頁に、いろいろな相談窓口等の連絡先を載せておりますので、教職員には、これを活用しながら生徒たちにも示していただき、相談する場合はこのような窓口があることを指導していただくよう、研修でも伝えてまいりたいと思います。」
○三住委員 「被害を受けている子どもが見ることができるページを作って、少しでもよい方向に向くようにして欲しいと思います。インターネットには悪いサイトもあるので、正しい情報を載せて被害を訴えることができるサイトを今後検討いただければと思います。」
○大石教育長 「このハンドブックを見ておりますと、いろいろな授業場面で指導していただける感じもありますが、そういうところも含めて検討をお願いします。」
○伊藤(美)委員 「このハンドブックを読ませていただきましたが、丁寧に書いていただき、具体的な事例や相談窓口も載せていただいていますので、本当に有効に活用していただけるとよいなと思いながら読ませていただきました。事例がいくつかあるのですが、これは多分、性に関する指導ハンドブックだから、そういう配慮のもとにされたことなのだろうなと思うのですが、子どもの性別や教員の性別が全く分からない形になっています。多分、中身を見たら女の子であろうとか、男の子であろうというのは分かるのですが、ここで男女が一切、書かれていないのはやっぱりジェンダーへの配慮があるということですか。」
○新子体育健康課長 「今回の作成委員会へは、いろいろな担当課からも課長を含めて委員に入っていただきました。その中で、ご意見もいただきながら、今回は男女の別は入れない形にさせていただきました。」
○伊藤(美)委員 「そういう配慮だという理由があれば、納得はできるのですが、例えば33ページの事例5で、被害者に対して相談を受けた教職員に関する記載があるのですが、この教職員もどのような教職員かとか、性別がここにもありません。例えば、女の子ならばやっぱり女性の教員が聴くとか、カウンセラーや養護教諭を頼った方がよいのかなど、そういった配慮もあり得ると思います。聴き方については結構書いてくださっていますが、性別もできれば同性の人がよいかなと思います。トランスジェンダーの方たちへの配慮により、性別を聞かないというのが教育現場では一般化しつつあり、性別はない方がいいという考え方もあり得ると思いますので、委員会の中でそういう意図があってのことであれば全く反対はしませんが、読んでいると、これはどちらかなとか、どういう人が聴くのかなというのが、もう少し具体的である方がイメージをしやすいかという印象を受けました。」
○大石教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項については了承いたします。」
○大石教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」
※各委員一致で承認
○大石教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」