令和6年12月3日(火曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
奈良県観光WEBサービス「ならいこ」について
奈良県ふるさと納税(ふるさと奈良県応援寄附金)について
高齢者にやさしい奈良県づくり
医療的ケア児に対する災害時の支援~医療的ケア児が、地域で安心して暮らし続けるために~
 
【質疑応答】
「103万円の壁」見直し等に伴う税収への影響について
第3回鹿苑のあり方等検討部会について
斎藤兵庫県知事の再選に関する受け止めについて
SNSでの誹謗中傷を防止する条例の制定について

 

 

 

 

 

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。
 本日は、知事からの発表案件が4件ございます。
 1件目の発表案件は、「奈良県観光WEBサービス『ならいこ』について」でございます。
 山下知事から発表いただきます。よろしくお願いいたします。




奈良県観光WEBサービス「ならいこ」について





知事:
 おはようございます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、1点目の「奈良県観光WEBサービス『ならいこ』について」でございますが、資料を1枚めくっていただきまして、明日から観光WEBサービス「ならいこ」というウェブサイトを公開いたします。これは何かといいますと、1枚目の下のほうに記載しておりますが、奈良県への旅行を検討している方が、それぞれ興味関心のあるキーワード等を入力したり、選択することで、AIが趣味趣向に合った観光スポットや飲食店、宿泊施設等を提案し、最適な奈良の旅のプランを自動で作成してくれるというウェブサイトでございます。無料でご利用いただけます。
 もう1枚めくっていただきまして、まず、一番左ですが、複数のジャンルに分けて400か所ぐらい、コンテンツを用意しておりまして、そこから行きたい観光施設とか、食べたいものとか、泊まりたいところとか、そういったものをどんどん選んでいくということです。さらに、それを受けて、AIがその人の好みに合ったスポットなどを提案します。そこからさらにいろいろ選んでいって、最後に完了ボタンを押すと、お薦めの旅の日程が出てくるということでございます。さらに、リコメンドされた旅のプランに関係するショート動画なんかも出てくるというようなものでございまして、検索エンジンで「ならいこ」というふうに入れていただければ利用できるということです。口頭で説明するより実際動画を見ていただいたほうが分かりやすいと思いますので、前のモニターで今からその様子を映させていただきます。
(動画視聴)

知事:
 以上でございます。
 資料の3ページ目は、このウェブサイトのイメージを記載したものでございます。
 私からの説明は以上でございます。

司会:
 それでは、本件につきまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
 NHKさん。

記者(NHK):
 今回、どうしてこの観光ウェブサービスを開発されたのか、あと、ターゲット層として考えてらっしゃるところはどういった層なのかというのを教えてください。

知事:
 一般的に、旅行しようとする人は、自分でインターネット等を使ってどこに行きたいかということを調べるわけでございますが、それにはかなりの手間暇がかかるわけでございます。奈良に行きたいなと思っていても、下調べに手間暇がかかってしまって、旅行意欲が減退して、実際の訪問に至らないということもあり得るわけでございまして、そうした課題をデジタル技術で解決して、奈良県に旅行に来たいと思っている方に、その人の趣向に合うような旅のプランを簡単、迅速に提供することで、奈良県への旅行者がさらに増えるんじゃないかということを期待したわけでございます。
 ターゲット層については、特にこの年代とかいうようなことは想定しておりません。最近は、高齢者の方でもスマホを使いこなす方が増えておられますので、あらゆる世代の方に使っていただければと思っております。

記者(NHK):
 ありがとうございます。
 旅行しようとすると、下調べとかにかなり手間がかかるということで、そういった声なども受けてということなんですかね。

知事:
 そうですね。

記者(NHK):
 何か、奈良の観光の難しさなどについて声が届いていたりしたということでしょうか。

観光戦略課:
 事務局から回答させていただきます。個別のご意見というところもありますけれども、どちらかというと、やっぱり一般的に、例えばグルメサイトを見たり、予約サイトを見たり、SNSを見たりと、旅程を作成するときに非常に手間と時間かかっているというところで、今回このようなウェブサービスを開発させていただきました。

記者(NHK):
 ありがとうございます。
 こういったウェブサービスというのは、他府県でも実施しているんでしょうか。奈良県が先進的な事例になるんでしょうか。

知事:
 どうですか。

観光戦略課:
 全国的な調査を行ったわけではありませんけれども、全国的にいろいろアプリとかというのはあるとは思っていますが、この「ならいこ」は、開発元の日立製作所が培ってきたAI活用の技術とか、ノウハウとかを用いて、一から設計、開発を行っておりまして、奈良県内の観光スポットとか、宿泊施設をまとめてAIが提案してくれるということで、非常に画期的なサービスであると思っております。

記者(NHK):
 ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 まず、サービスの開始時期について、なぜこの時期のサービス開始となったのでしょうか。冬の時期というところなのか、それとも来年の万博を見据えてということもあるんでしょうか。

知事:
 サービス開始がこの時期になった理由というのは特にないというふうに思っていますが、これは、いわゆるデジタル田園都市国家構想交付金というのを活用して、令和5年度から開発を進めておりまして、このたび完成したということでございます。

記者(読売新聞):
 あと、最近、観光に関する連携協定など、多く結ばれていると思いますが、やっぱり宿泊、周遊という課題があって、その中でこういったものを活用していきたいというところが多分にあるんでしょうか。

知事:
 はい。もちろんそういう狙いもございます。

記者(読売新聞):
 もう1点、言語は日本語だけなんでしょうか。インバウンドを狙って、外国語環境というのもあるんでしょうか。

知事:
 英語対応をしております。

記者(読売新聞):
 言語が替わっても、操作性は変わらないんですよね。

知事:
 変わらないです。

記者(読売新聞):
 では、そこも含めて、本当に簡単に奈良を回っていただくきっかけになればというところでしょうか。

知事:
 はい。

記者(読売新聞):
 ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):
 このサービスで提案される店舗の情報はどういうところから参照しているのか、何店舗ぐらいが対象なのか、分かればお伺いしたいのですが。

知事:
 先ほど申し上げたとおり、スポットとしては400か所ですけれども、どこから参照しているか分かりますか。

観光戦略課:
 まず、我々、自治体で持っている施設のデータがあります。ただ、それだけでは足りない部分もございますので、どことは言えませんが、民間のサービスで、いろいろな宿泊施設や飲食店等を掲載しているサービスから、そういったデータを参照してきているという形になっております。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 幾つか質問させていただきたいんですけども、まず、このウェブサイトへの誘導について、検索エンジンだけだとなかなか難しいのかなと思いますが、例えば、県の公式ページから誘導できるようになってるかとか、何かそういう誘導ルートとかは想定されてますでしょうか。

知事:
 検索エンジンで、検索結果の上のほうに来るような、いわゆるSEO対策はこれからやっていきたいと思っておりますし、万博会場とか、東京にある奈良まほろば館、あるいは首都圏で開催される奈良県の観光に関するイベントでの周知を行うというようなことも考えておりますし、ターゲティング広告とか、インフルエンサーマーケティングというようなこともする予定です。ターゲティング広告というのは、ユーザーの属性やウェブサイトの閲覧履歴を基にユーザーのニーズに合った内容を表示するウェブ広告、それから、インフルエンサーマーケティングというのは、ユーチューバーが「ならいこ」を使って作成した予定を基に実際に旅行する様子を撮影し、そのユーチューバーのアカウントにて発信するようなもので、そういったことも検討しております。

記者(朝日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。
 あと、日立製作所のAIを使われているということだったんですけれども、項目を選択したら最適なプランが組まれるとかというそのメカニズムを、私たちも分かるぐらい簡単に教えていただけませんでしょうか。例えば、趣向性とかという話があったと思うんですけど、この食べ物をクリックしたらこの人はこういうものが好きなんだという、何かリンクされているものがあるのかなと気になったんですが。

観光戦略課:
 スポットを選んだ後に、年代や性別、それから、その人の気になるキーワードというところを選んでいただくんですけれども、選んだことに基づいて、その方が最終的に旅程の中に入れたかどうかというところをAIが判断をしまして、傾向を分析しながら、その人に合ったスポットというのを提案するようなアルゴリズムを組んでおります。

記者(朝日新聞):
 ありがとうございます。
 あと、先ほど、ショートムービーが作られるということをおっしゃっていたと思いますが、そのショートムービーというのは誰かが撮って用意しているということでしょうか。

知事:
 もともと用意されているショートムービーです。

観光戦略課:
 今回のこの「ならいこ」については、直感的に皆さんに触っていただけるように、写真をたくさんご用意して載せているというところがありますので、その各スポットに載せた写真をつなぎ合わせて、ショートムービーにしてるということです。当然、掲載に当たっては、全て許諾を取って掲載しております。

記者(朝日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 費用対効果について教えていただきたいんですけども、まず、事業費が幾らかということと、あわせて、ウェブサイトの利用数などの具体的な目標数値があれば教えてください。

知事:
 令和5年度に開発、設計費用として4,500万円、令和6年度に開発及びユーザー獲得の費用として6,500万円、合計で1億1,000万円の費用がかかっております。そのうち半分がデジタル田園都市国家構想交付金ということでございます。費用対効果につきましては、これによって、どれぐらいの奈良県への観光客が増えるかということが現時点で明確に予測はできませんし、どれぐらいのユーザーを獲得できるのかもちょっと分からないんで、現時点では何とも明確なことは申し上げられませんが、現在、奈良県を訪れる観光客数が年間4,500万人です。これは、コロナ前の令和元年の数字で、令和5年の数字はまだ発表されていませんが、恐らくこれに近いか、これを上回る数字になると思っております。なので、その人たちの多くがこれを利用してくれるようになって、日帰りから、1泊、あるいは2泊へというふうになれば、十分な経済効果は得られる可能性があると考えております。

記者(朝日新聞):
 旅行者数の増加については、このウェブサイトを使ったかどうかというのは基本的には関係ないと思うんですけれども、県として、このウェブサイトの利用人数について目標を設定していませんか。

知事:
 目標ですか。

記者(朝日新聞):
 はい。このウェブサイトを利用した人数です。そこから実際に旅行に行ったかどうかをはかるのは難しいんですかね。

観光戦略課:
 県としましては、令和8年度に大体80万以上のアクセスというのを目指しています。結局、利用者が実際に行ったかどうかというのは、やっぱりなかなか定量的にはかるのが難しいところがあるので、あくまでこのウェブサービスを使っていただいた方のアクセスについては、それぐらいを目指しているというようなところでございます。

記者(朝日新聞):
 先ほどの質問の中で、アルゴリズムの話がありましたけど、年代、性別、気になるキーワードで、その人の何となく趣味趣向というのをはかるAIという理解でいいんでしょうか。

観光戦略課:
 はい、さようでございます。

記者(朝日新聞):
 「気になるキーワード」というのは、どういったものでしょうか。

観光戦略課:
 お手元の資料の3ページを見ていただきたいと思いますが、一番左のキーワード選択画面というものがその人の趣味趣向を入力していただく画面になりまして、こちらに並んでいるキーワードから最大3つ選んでいただくというところが、このAIが判断するキーになってます。

記者(朝日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 奈良テレビさん。

記者(奈良テレビ):
 改めてになりますが、このウェブサイトを利用した国内外の観光客のお客さんに、奈良県での旅行をどんなふうに楽しんでほしいか、教えてください。

知事:
 以前から申し上げているとおり、大半の観光客が奈良公園周辺に限られているという状況がございまして、もちろん奈良公園の中にも、あんまりまだ発掘、開拓されてないすばらしいスポットはあると思うんですけれども、奈良公園以外にもすばらしい観光資源が本県にはございますので、そういうところに足を伸ばしていただけるようなきっかけになればいいなと思っております。

司会:
 よろしいでしょうか。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 このアプリから宿泊につなげるというのは、どういうところからイメージされていますか。

知事:
 例えば自分が行きたいスポットやキーワードを入力して、それが日帰りでは行けないようなルートだった場合、おそらく1泊というような提案がなされてくるだろうと思います。そういう意味です。

記者(朝日新聞):
 例えば宿泊施設も入っているわけですよね。

知事:
 はい、宿泊施設も選べるようになっています。

記者(朝日新聞):
 これであれば「2泊3日のプランが良い」や、「1泊2日で行くほうが良い」というように提案をすることで宿泊にもつなげるということですか。

知事:
 そうです。行きたい人がいろんなところを選んだ結果、AIが「これは日帰りでは難しい」、「1泊2日必要だ」ということを提示してくれるものだと理解しております。




奈良県ふるさと納税(ふるさと奈良県応援寄附金)について





司会:
 それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。2件目は、奈良県ふるさと納税についてでございます。
 知事、よろしくお願いいたします。

知事:
 先日、奈良県市町村長サミットでも申し上げたのですが、奈良県は、県と市町村を合わせたふるさと納税の受入額が全国最低の47位になっておりまして、税収が他府県に流出しているという状況でございます。
 資料の8ページの表は、一番上の行が寄附金の受入額、その下が住民税の控除額で、これが県外に出ていくほうです。差し引きした金額が(3)で、そのうち(4)で示されるマイナス分の7割5分が交付税措置されますが、それを差し引いたとしてもさらに残る収入のマイナスを(3)+(4)に表示しています。ご覧いただければ分かるとおり、令和元年から交付税措置を踏まえた収支差が右肩上がりで増えておりまして、令和5年度におきましては、県に入るべき6億6,700万円の住民税が他府県に流れていると、こういう状況でございます。6億7,000万円というのは非常に大きな財源でございますので、これは何とか手を打たなければならないと考えまして、今年度から様々な取組を始めたところでございます。
 資料の1ページ目に戻っていただきまして、奈良県への観光を目的とした返礼品を追加してまいります。明日の正午から、ふるさとチョイス、楽天、ふるなびの3つのポータルサイトにおきまして、若草山の山焼きの特別観覧席がもらえる返礼品を明日から用意いたします。先着75組でございまして、1つのポータルサイト25組ずつ用意しております。寄附額は2万円で、2名分の観覧席のチケットが返礼品としてもらえるというものでございます。それ以外にも、その下に書いてございますとおり、寄附額に応じて、奈良県内の旅行に使えるクーポンを返礼品として追加しております。
 2ページ目は、さらに、県内の宿泊施設における宿泊券とかお食事券も追加しております。従前は、こういった体験型の返礼品は全くありませんでした。従前は全て物でございました。
 物につきましては、3ページ以降に記載されておりますけれども、セットを増やしましてバラエティーを豊富にしております。そこに新しく追加した返礼品の例を書いておりますが、奈良のカレーセットや、東京にある奈良県のアンテナショップである奈良まほろば館のセレクト、吉野杉のブックカバー、奈良酒飲み比べセット、四神ビールセット、フルーツサイダーセットなどでございます。先ほど紹介しました観光目的の返礼品も合わせて、100品目程度を追加しております。
 また、既存の返礼品について、寄附のしやすい金額に見直しをいたしました。詳細は4ページに記載したとおりでございます。
 それから、ポータルサイトにつきましては、以前は、ふるさとチョイスという一つのポータルサイトだけでしたが、ここに書いておりますとおり、12月から、この楽天、ふるなび、さとふる、STAYNAVI、この4つが追加されます。
 6ページ目は、寄附する際に使い道を選べるテーマを記載させていただいております。
 7ページでございますが、返礼品は、奈良県外にお住まいの方が奈良県に寄附した場合にのみ贈呈されますので、県外にお住まいのご家族やご友人にぜひ奈良県へのふるさと納税をご検討いただきたく、そうしたことを口コミでお伝えいただければと思っております。なお、奈良県にお住まいの方でも奈良県にふるさと納税をすることはできます。ただし、返礼品の贈呈はありません。
 例年、年末にかけましてふるさと納税が増えてまいりますので、この時期に発表をさせていただいた次第でございます。

司会:
 それでは、本件につきまして、ご質問がございます方はお願いします。
 共同通信さん。

記者(共同通信):
 このふるさと納税返礼品は、これまでは物だけだったということですか。

知事:
 そうです。

記者(共同通信):
 今回、宿泊施設や若草山焼きのイベントなど、こういった体験型の返礼品を用意した狙いを伺ってもいいですか。

知事:
 年間4,500万人、観光客が訪れる奈良県で観光目的の返礼品がないほうがおかしいと思っておりまして、これを追加することで、奈良県に観光に来ようとしている人が、ふるさと納税すれば旅行のクーポンがもらえるならば得だと思い、ふるさと納税も増えるといったことを期待しております。

記者(共同通信):
奈良県はふるさと納税の受入額が全国で最低の47位ということですが、47位だった原因や理由はどのように分析されていますか。

知事:
 やはり返礼品を充実する努力をこれまで怠っていたという面と、返礼品で人気があるのは肉、魚、野菜、果物でございます。このうち、奈良県は、果物は全国に誇れる出荷額を有する柿やイチゴなどがございますが、それ以外の肉、魚、野菜は他府県と比べるともともと生産量が少ないので、返礼品にしにくいという事情もあったと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、まさに観光というのを奈良県が返礼品として追加できる、そして、人気を博することができる返礼品のメニューだと思いますので、こうしたことをこれまでしてこなかったというのは、私は行政の怠慢と言われても仕方ないのではないかと思っております。

記者(共同通信):
 最後に、そういった肉、魚、野菜がほかの県と比べると生産量が少ないということですが、そういった意味で、このふるさと納税自体の制度に対しての不公平感というのは特にないですか。

知事:
 ふるさと納税によって、ある程度、都市部から地方に税収が移転しているわけですが、地方は地方で過疎化など様々な問題を抱えておりますので、マクロの視点で見ると、交付税制度だけでは十分ではない地方の財政需要に対して、一定の役割を果たしているんではないかなとは思います。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 産経新聞さん。

記者(産経新聞):
 今回の充実によって、大体数字的にはどれぐらいを目指されていますか。

知事:
 まずは、先ほど言いましたように、令和5年度で6億6,700万円が減収しています。ですから、奈良県においてこの減収分をなくしていきたいというのが第一の目標でございます。さらに、各市町村にもこうした取組を促していきながら、先日の県市町村長サミットでも促しましたが、県と市町村合わせてふるさと納税の受入額全国最下位という状況を脱却していきたいなというふうに思っております。

記者(産経新聞):
 6億6,700万円をなくすというのは、それをプラスにするということですか。

知事:
 はい。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 今回、返礼品を追加したということですが、トータルでどのぐらい追加したかを教えていただけますか。

知事:
 3ページに記載しておりますが、観光目的の返礼品も含めまして、100品目程度を追加しております。

記者(読売新聞):
 トータルで100品目ですか。

知事:
 はい。観光と物と合わせての数字になります。

記者(読売新聞):
 分かりました。




高齢者にやさしい奈良県づくり





司会:
 それでは、3件目と4件目の発表案件に移らせていただきます。3件目は、高齢者にやさしい奈良県づくり、4件目は、医療的ケア児に対する災害時の支援でございます。
 知事からまとめて発表いただきます。よろしくお願いいたします。

知事:
 まず、高齢者にやさしい奈良県づくりに関する資料のほうをご覧ください。
 1枚めくっていただきまして、1ページ目でございますが、奈良県の高齢者福祉計画におきましては、高齢者が健康で生きがいを持って活躍し続けられるとともに、いつまでも住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる奈良県を目指すとうたっております。高齢者を取り巻く現状ですが、15歳から64歳の生産年齢人口は減少しておりまして、2040年には65歳以上の高齢者人口がピークになると予想をしております。なお、右側のほうに書いてございますが、75歳以上の高齢者人口の割合は、2040年に向けてさらに高まっていくと考えております。こうしたことから、下のほうに課題を3点列記させていただいておりますが、高齢化による介護給付費の増に加えまして、人口減少による1人当たりの介護保険料が増えることが予測されます。それから、生産年齢人口の減少に伴って、介護サービスを提供する人材が不足してくることが予測されます。介護サービスを提供する人材が不足する一方で、後期高齢者はさらに増え、介護サービスの受け手は増えていきますので、介護サービスの質、量の需要が高まっていくと予測をしております。
 具体的に数字で示したのが2ページでございまして、左上のグラフですが、これは本件の第1号被保険者1人当たりの介護給付費の経年変化です。介護給付費は年々増加しておりまして、介護保険が発足した平成12年と令和5年を比べますと、既に2倍を超えております。それから、その右側のグラフでございますが、介護保険料の基準額も年々増えておりまして、第1期でございます平成12年から平成14年は2,859円ですが、令和6年から令和8年の第9期は6,034円と2倍以上に増えております。左下ですが、介護人材の有効求人倍率につきましては、奈良県の全ての職種での有効求人倍率は1.08倍に対しまして、介護関係の職種に係る有効求人倍率は3.59倍という状況になっております。右下のグラフですが、青が今後これぐらいの介護職員数が必要になるだろうという数字でございます。オレンジの棒グラフが実際に供給されるであろう介護職員の数ということで、年々、その差が乖離していくと予測をしております。
 次は、高齢者に関する奈良県の施策について、元気な人を対象とした施策と、要介護状態になった人を対象にした施策という分類で、対策のほうを左側でまとめております。元気なうちから、あるいは、要介護状態になっても、それぞれのライフステージに応じて、住居や医療、介護サービス、生活支援などをご本人が柔軟に選択できるよう、様々な対策を講じているわけでございますが、右側の主な県の対策のうち、介護予防の充実という上から3番目と、下から2番目の介護認定、介護給付の適正化、それから、一番下の介護ロボット、ICT導入等による介護人材の確保、定着及び在宅、施設サービスの確保、これらについて、来年度から本格的に取り組んでいくということで、今回、こうした発表の機会を設けさせていただきました。
 もう1枚めくっていただきまして、介護予防の充実ですが、介護予防の取組をすることで、介護給付費の抑制につながります。県内においても、先進的な取組をしている市町村がございますので、そうした先進的な取組を全市町村で共有していただく努力をするとともに、市町村の個別のそういう介護予防事業に対して、県としてバックアップをしていくというふうに考えております。それから介護給付費の適正化については、従前から取り組んでいるのですが、令和7年度からの新しい取組といたしまして、有料老人ホーム等における過剰なサービスを盛り込むなどの不適切なケアプランの点検を市町村がする場合に県が支援をしていくということでございます。不適切と思われるケアプランの例として、そこに記載してますが、入居者の状態から見て、必要ではない介護保険サービスがケアプランに組み込まれている、あるいは、入居者の意思を確認することなく、ケアプランが作成されているといった事例が特に有料老人ホーム等において多く見られることから、ここに焦点を絞った対策をしていきたいと考えております。これにつきましても、先般の県市町村長サミットで発表をさせていただきました。
 それから、5ページ目、介護ロボット等による介護人材の確保ということで、左側のグラフにございますが、マッスルスーツや見守りセンサーといった機械によって介護をサポートするものをこれから普及させていきたいと考えております。具体的にはそういう介護ロボットやICTの導入に積極的な介護事業所を県が支援していくということです。それから、外国からの介護人材の確保ということも必要でございます。海外において、現地の学校との連携や広報を行う介護事業所が県内にございますので、支援していくということでございます。それから、施設サービスにつきましては、下のほうの青字のところですが、既存の高齢者福祉施設のうち、2040年までに施設の耐用年数が到来する施設のベッド数が1,046床ございます。こうしたことから、既存の施設について長寿命化を図る、そういう社会福祉法人等に対する支援を令和8年度から近畿で初めて実施するということでございます。

司会:
 質問はございますでしょうか。
 時事通信さん。

記者(時事通信):
 見直し前の大和平野の中央田園都市構想の中では、健康増進を進めて、介護保険料などを抑えていこうという狙いがあったと認識していますが、山下知事は、県として健康増進について具体的に取り組んでいきたいことなどありましたら、教えていただきたいです。

知事:
 大和平野中央田園都市構想のプロジェクトのソフト事業は今でもやっています。それは見直ししていません。健康増進のための取組ということに関しては、これは、令和7年度からやろうとしている取組なんですが、県内の企業さんに健康経営に取り組んでいただきたいと思っております。どういうことかというと、やっぱり従業員がずっと健康でいるということは、会社にとってもメリットのあることでございます。会社は、社会保険料を負担していますし、労働安全衛生法に基づいて様々な従業員の健康管理や、労災防止など、そうしたことに取り組む責務を負っておりますので、従業員の健康増進について、一定の責務と、そしてまた、メリットを有している企業さんに働きかけて、企業さんのほうでいろいろな従業員の生活習慣病防止などに取り組んでもらうようにして、そういう健康経営をしている会社を表彰すると。表彰することで、そこの会社は非常に従業員のことを大切に思っている会社なんだという、そういうPRをすることに県が関与することで、その企業にも求人の際に、健康経営を頑張っているところということで、いい人材が集まりやすいということになりますよね。そうすると、同業他社が、ほな、うちもやらなければということで、健康経営が全県的に広がっていくという、そんな好循環をイメージして、来年度から健康経営に取り組もうとする会社を支援する、そんな取組を始めたいと思っております。

記者(時事通信):
 ありがとうございます。

司会:
 共同通信さん。

記者(共同通信):
 高齢者の取組のほうですが、資料4ページ目の介護給付の適正化のところで、不適切なケアプランなどの点検を県が支援するということでしたけど、実際にこういう不適切なケアプランというのは今増加しているのか、どういった現状か伺えればと思います。

知事:
 有料老人ホームにおいては、ケアプランと事業者が手を握っていると疑われるようなケースが多いと聞いているんですが、具体的な数字はどうですか。

介護保険課:
 まだ調査しておりませんので、具体的な数字は持っておりません。

記者(共同通信):
 多いとも言い切れないんですか。

介護保険課:
 そうですね、今のところは、分からないので、入ってみて、これから調べてみたいと考えております。

知事:
 一般的にそういう傾向があるという情報はつかんでいるわけでしょ。

介護保険課:
 はい。新聞報道などで出ておりますので、そういった傾向があるということは聞いておりますが、ただ何%ぐらいというのはつかんでいないところでございます。

記者(共同通信):
 なるほど。資料に介護給付費は増加し続けておりという、そういう背景を書いていますが、その背景にこの不適切なケアプランというのはあるのかどうかもまだ分からないということなんですかね。

介護保険課:
 割合は調べてみないと分かりませんが、例えば必要がないのに車椅子のレンタルをつけていたり、訪問介護の回数をかなり多くしていたり、そういったところが分かってくれば、その辺は抑制できると考えております。

記者(共同通信):
 分かりました。今回、この適正化を支援していくというのは、この一般的な傾向から見て、課題だと考えていたからということでよろしいですか。

知事:
 はい。




医療的ケア児に対する災害時の支援





知事:
 続きまして、医療的ケア児に対する災害時の支援についてご説明させていただきます。
 資料の1枚目でございますが、まず、医療的ケア児というのはどういった子供さんを指しているかといいますと、医学の進歩を背景といたしまして、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃瘻等を使用してたんの吸引や経管栄養など、医療的ケアを日常的に必要としている、そういう児童のことでございまして、全国で医療的ケア児は約2万人います。
 資料3ページ目、県内にどれぐらいいるかといいますと、345人おります。これは、40歳未満の方の数でございますけれども、そのうち、18歳以下が213人となっております。医療的ケア児につきましては、在宅で生活されているわけですけれども、医療機器の非常用電源の確保とか、医療材料の確保が必要でございまして、災害のときに、非常用電源とか、あるいは医療材料のストックがないと、たちまち医療機器が使えなくなってしまいます。そうしますと、本当に命に直結する事態になるわけでございまして、その備えが必要だと考えてございます。それから、最近、様々な自然災害が増えておりますので、災害時の支援体制がより求められていると認識しております。県では、これまでも様々な取組を進めてきたわけですけれども、今後は、病院や民間企業等とも連携しながら、こうした医療的ケア児が災害の際に本当に生命を継続できないような、そうした最悪の事態にならないような対策をこれから講じていきたいと考えております。これまでの取組といたしましては、医療的ケア児の災害の備えというパンフレットを作っております。これを作成して配付したり、また、医療的ケア児の支援をしている医療機関等に非常用の電源装置を備え置き、それを患者さんに貸し出すというような制度をしているところがあります。
そういう医療機関を県が支援したり、またご家庭で非常用電源装置を買う際に、市町村が支援をしており、その市町村を県が支援するといったことをこれまでやっております。

 それから、資料4ページ目、今後何をするかということでございますけれども、拡充と新規というところだけご紹介させていただきますと、今、市町村が取り組んでいる個別避難計画の作成を支援していく、これはこれまでからやっておりますが、より強化していきます。それから、病院や医療機器メーカー等と連携した安否確認体制の検討、それから、民間企業との連携による医療機器への電源確保に向けた検討、それから、拡充という部分で、医療的ケア児への訪問診療等参入促進のための研修会の開催、それから、公助の部分で、小児・周産期災害医療コーディネーターの育成とDMATとの連携体制の構築などでございます。
 この新規の事業について説明をさせていただきます。資料5ページ目をご覧ください。この図に描いているとおり、医療機器メーカーは医療的ケア児が在宅で生活するために必要な機器を作っているんですけれども、それを病院が借りて、患者さんに提供します。医療機器の設置やメンテナンスについては、業者さんが直接、患者さんを支援するということを実施しているわけでございます。常日頃そうやって業者さんと患者さんがメンテナンス等を通じてコミュニケーションをしておりますので、発災時に、業者さんが患者さんに安否確認を行うという体制になっておりまして、その安否確認をした結果の情報が病院や厚生労働省に提供されているわけでございますが、その情報がこれまで県には提供されておりませんでしたので、新たに病院から県にそういう安否確認の情報を提供していただいて、県が市町村にその情報を提供するといった体制を構築していきたいと考えております。
 それから、停電時に電源を供給するために電気自動車を活用できないかということを考えておりまして、既に本県は、トヨタと三菱自動車との間で災害時における電気自動車の貸与に関する協定を締結しているわけでございますけれども、この協定をこの医療的ケア児に対する支援にも拡大するなど、連携体制を構築していきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。

司会:
 それでは、ただいまの2件につきまして、ご質問がございます方はお願いいたします。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 朝日新聞です。医療的ケア児に対する災害時の支援で、資料5ページの新たな取組で、新たに県と市町村にも情報が共有されるということだと思いますが、これは、万が一の時というか、どういうことをメリットとしてこういうことをしようとしてるんでしょうか。

知事:
 こういう情報が県に来ることで、県として速やかに患者さんや家族を支援すると、そういう支援をするためには、まず、情報が来ないと支援できませんので、そのための情報取得を容易にするための取組ということでございます。

記者(朝日新聞):
 つまり万が一、患者さんの安否だとか、何か助けが必要だというような情報が入ったら、市町村なり県なりが速やかに支援できるようにするという理解でしょうか。

知事:
 そうです。例えばこの業者からの情報で、あるAという患者さんの家が停電しているということであれば、先ほどトヨタや三菱自動車と電気自動車を借りる協定を結んでいると申し上げましたが、県がトヨタや三菱に電話して、Aさんの家にすぐ行ってくださいというようなことができるようにしたいと、こういうことでございます。

記者(朝日新聞):
 ありがとうございます。

司会:
 産経新聞さん。

記者(産経新聞):
 今の新しい連携の部分で、それぞれいつからそういう体制に入るのでしょうか。

知事:
 電気自動車を災害時にご提供いただく協定は、既に令和4年にそういう協定を結んでいますが、これを、先ほど言いましたような医療的ケア児の支援に使うとかいうことの交渉を、令和7年度にしていきたいと、こういうことでございます。あと、業者さんから今、病院や厚生労働省に行っている、非常時の安否確認の情報を病院から県に提供してもらうことも現在はそういう体制になっていないので、令和7年度に病院と協議して、そういう情報をもらえるような体制を構築していきたいと思っております。

記者(産経新聞):
 いずれも令和7年度内にできる予定でしょうか。

知事:
 はい。

記者(産経新聞):
 分かりました。




「103万円の壁」見直し等に伴う税収への影響について





司会:
 それでは、その他のご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
 時事通信さん。

記者(時事通信):
 103万円の壁についてお聞きします。国会では、103万円の壁引上げについて議論がされていますが、各地の首長からは様々な賛否の声が上がっています。奈良県知事として、どのようにお考えでしょうか。

知事:
 本県で、基礎控除の額が103万円から178万円に拡大された場合の減収について試算をしたところ、県民税については174億、それから、市町村民税については261億ということで、合計、県と市町村合わせて435億円減少すると見込んでおりますので、何らの減収対策も講じなければ、本当に宮城県の村井知事もおっしゃっていましたけども、もう予算が組めないということになりかねないと思っております。当然、こういう減収に対しては、地方交付税が拡充されるとか、臨時財政対策債が発行されるとか、そうしたことで、総務省のほうで減収分の手当てはされるだろうとは思いますが、臨財債というのは、国債を発行するということになりますので、必ずしも安定的な財源とは言えないわけでございます。そうしますと、やはり中長期的に考えて、安定した地方財源を確保するという観点からすると、もしもこの基礎控除を上げるのであれば、ちゃんと恒久的な財源措置を同時に講じてもらわないと、地方公共団体としては非常に不安であると思っております。何らそういう恒久対策が講じられないまま、基礎控除の額だけが引き上げられるということであれば、容認はできないなと思っております。

記者(時事通信):
 そもそもこの引上げの議論については、いかがでしょうか。

知事:
 引上げの趣旨は、国民民主党の玉木代表がおっしゃっていたように、手取りを増やすとか、あるいは、働き控えをなくそうということなので、そういう国民に対するメリットがあるということで、国民民主党が主張されたこと自体は、一定の理解はできるかなとは思います。

記者(時事通信):
 分かりました。ありがとうございます。




第3回鹿苑のあり方等検討部会について





記者(毎日新聞):
 昨日の鹿苑のあり方等検討部会について伺います。3月の検討委員会で、C地区について、駆除も視野に入れた議論をするという話が出て、それについては1年かけて議論していくとなったと思います。昨日の部会では、まだできる対策があるということで、駆除を視野に入れた方針を一旦見直すという形になりました。去年末に知事が、鹿苑の特別柵内への収容頭数が多く過密になっている問題で、駆除範囲を広げざるを得ないという趣旨の話をされていたと思うのですが、この結果を受けての受け止め、考えの変化があれば伺いたいです。

知事:
 そもそも鹿苑の特別柵で収容されていた鹿というのは、農作物に対して被害を与えた鹿が生け捕りにされて、終身、あそこで暮らすことを余儀なくされていたわけです。農作物の被害が減れば、そうやって捕獲される鹿も減るわけでございます。川上町で農作物の被害が極めて多く、駆除されて鹿苑に収容される鹿のうち7割が川上町で捕獲されており、川上町での鹿害対策が、柵が低かったり、抜け道があったりとかで必ずしも十分ではなかったということなので、その対策を講じて、農作物の被害が軽減されて、駆除される鹿も減るのであれば、それで初期の目的は達成できるわけです。そうしたことをまずトライした上で、緩衝地区における駆除の必要性を判断するという、こういう2段階のアプローチを取られたと思っています。有識者会議のほうで事実を基に新たな対応策を考えられたと認識していますので、それは尊重したいと思います。

記者(毎日新聞):
 昨日の部会を見て、現状でまだできることがあるというのが判明したのが、駆除を視野に入れるという方針を発表してからだったと思うのですけど、先にやっておくべきかなとも思ったのですが、その辺について、どう考えでしょうか。

知事:
 鹿苑の特別柵での鹿の収容状態がよくないという愛護会の獣医師の情報提供によって、このことがクローズアップされたのですが、あの段階において、実際どこの地区の農作物被害が大きくて、駆除される鹿が主にどこで捕まえられるかという情報がなかったんだと思います。常日頃からそこまで調べておけばよかったのではないかとおっしゃりたいのかもしれませんが、奈良公園室の限られた人材と、奈良の鹿愛護会もそんなに人数が多くないので、そこまでの科学的な調査ができてなかったのは、今から言えばできたんじゃないかと言われるかもしれませんが、そこまで求めるのは酷かなと思います。

記者(毎日新聞):
 当初の対応が何かすぐやらないといけないみたいな感じで飛び出してしまって、早く結論を急ぎ過ぎたのかなという印象を受けたんですが、そういうわけでもないということですか。

知事:
 言い方としては、C地区での駆除も選択肢の一つとして有識者会議で検討しましょうということだったと思います。その視野も入れて、有識者会議で検討したが、もうちょっとマイルドな方法があるんじゃないかということが分かったんで、それからチャレンジしてみるというのは、有識者会議を設置してじっくり検討したことの成果じゃないのかなと思っています。必ず最初からC地区での駆除をやると決めていたわけではないので、いろいろ事実を掘り起こして、有識者が集まって議論して、こういうマイルドな方法もあるよ、じゃあ、こっちから先にやりましょうねというのは、ご理解いただきたいですね。

記者(毎日新聞):
 一旦、駆除可能エリアの拡大を見送ったということになると思うのですが、完全に断念ではないという認識ですか。

知事:
 はい、そうです。

記者(毎日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。




斎藤兵庫県知事の再選に関する受け止めについて
SNSでの誹謗中傷を防止する条例の制定について






司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 時事通信さん。

記者(時事通信):
 兵庫県の斎藤知事の再選について、知事としての意見、所見などがありましたら、お聞かせいただければと思います。

知事:
 X等でも書いておりますけれども、元播磨県民局長の自殺の原因が何かということが明確に分からないまま、斎藤知事のパワハラによるんだ、あるいは、告発があった際の初期対応に問題があったということで、百条委員会が設置されて、いろいろと県議会の皆さんから追及され、マスコミの皆さんもそうしたトーンで報道をされたということについては、当初から偏った形で議論や報道がなされているんじゃないかということは思っておりました。しかも、百条委員会の結論が出る前に不信任を出して、それで失職になったわけですけれども、それもちょっと拙速だったんじゃないのかなと思っています。ですから、選挙の結果、県民の皆さんがそうしたことを踏まえても、斎藤知事の実績を評価されて、当選されたということで、大変すばらしかったと思っております。

記者(時事通信):
 一方、ネット上では誹謗中傷であったり、真偽不明の情報が蔓延したりですと、いろいろ課題が残る選挙だったとも言われています。斎藤知事は、SNSでの誹謗中傷抑止の条例制定を検討しているというような報道もありましたが、奈良県のほうでそういった条例を制定する意向や知事としての意見をお聞かせください。

知事:
 ネットでの誹謗中傷があるというのは、今回の兵庫県知事選挙に始まったことではなくて、私も生駒市長の頃から、さんざん悪口を書かれていましたし、生駒市のホームページに「殺す」というようなことも書き込まれて、実際に生駒署が動いたというようなこともありました。斎藤知事の対立候補に対するそういう誹謗中傷があっただけではなくて、斎藤知事に対しての誹謗中傷もたくさんあったわけですから、SNSの誹謗中傷のせいで選挙結果がゆがめられたというようなことをテレビでおっしゃられる識者やコメンテーターもおられますが、それはちょっとおかしいんじゃないかと私は思っております。
 SNSの誹謗中傷に関する条例制定についてでございますが、今、国のほうで、プロバイダ責任制限法が、情報流通プラットフォーム対処法という法律に名称が変更の上、令和6年5月に改正されました。兵庫県知事選挙の前でございますけれども、インターネット上の誹謗中傷への対策を強化するということで、法改正が行われまして、改正法は、その法成立の1年以内、ですから、来年5月までに施行されると聞いております。その法律に基づくガイドラインというのが制定される予定だと聞いておりまして、このガイドラインにおいて、削除の申出があった場合の対応の迅速化や、この法律に基づく運用の透明化を図るための削除基準の策定、公表、それから、削除した場合の発信者への通知、こうしたことについて、ガイドラインを制定して、施行されるということでございます。県では、現時点で他の府県や関係機関と連携しながら、実効性のある制度になるように、このガイドラインの策定をきちんとやってほしいと国に働きかけているところでございます。まずは、この法律が施行されて、どれぐらい実効性があるのか、それを見極めた上で、条例の制定ということについては検討すべき課題かなと思っております。といいますのも、こういうSNSの誹謗中傷とかいうのは、なかなか都道府県単位で行えるものではございませんので、本来であれば、こういう法律によって全国一律に規制するべきではないかと思います。

記者(時事通信):
 首長によって、公職選挙法が想定していない、選挙活動の項目についての改正や、情報リテラシー教育の強化を訴える方もいらっしゃるのですが、この2つについてはいかがですか。

知事:
 公職選挙法が非常に古いということは、今、指摘されているとおりだと思っています。ネット選挙がしばらく前に解禁されましたが、それ以外の規定については、昭和ぐらいの社会を背景として法律ができていますので、私は改正が必要ではないかと思っております。情報リテラシーということについては、テレビや新聞の報道やSNSの投稿、そうしたものに対して、批判的な目で見られるような、国民がそうなれるようにするための教育は一定必要ではないかと思っております。

記者(時事通信):
Xのほうでは、既存メディアについて、知事も様々投稿されていますが、改めて真意をお伺いできればと思うのですが。

知事:
 生駒市長を9年やって、奈良県知事を1年半やっていますけれども、メディアの皆さんの報道が一面的であるということは、常日頃から感じております。その一方で、特に兵庫県における告発文書のことがあってからの報道というのは、バランスを欠いていたのではないかと思っております。

記者(時事通信):
 SNSとの比較というところも含めて、もっとこうあるべきという話があればお聞かせいただきたいんですが。

知事:
 兵庫県の例に関して申しますと、元播磨県民局長の自殺の原因というのは、それが斎藤知事の初期対応にあったかどうかというのは、断定されてなかったわけですよね。今パソコンの中身云々といったことも議論されておりますが、そうしたことも含めて、自殺の原因というのがはっきりしないまま、斎藤知事のせいという感じで報道されたというのは、ちょっといき過ぎな点があったのではないかと感じています。事実を見極めた上で、あるいは、自殺の原因というのは、こういうこともある、こういうこともあるので、斎藤知事の初期対応だけが原因ではないという、そういうバランスの取れた報道をすべきだったのではないかと思います。

記者(時事通信):
 SNSでの盛り上がりというのは、どういうふうに考えてらっしゃいますか。

知事:
 SNSを使って有権者が選挙を含む政治に対して発言するというのは、有権者の政治に対する関心が高まるので、それはいいことじゃないんですか。これまで投票率が低いと言われていた10代とか20代の投票率が兵庫県知事選挙ではアップしたわけですから、若い人たちの投票率が低いのが問題だ、問題だって、政府もメディアの皆さんもこれまで言ってきたわけですから、それがSNSで盛り上がったことで投票率が上がったということは、非常によかったのではないかなと思います。

司会:
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 知事のXでのご発言は知事としてのXの運用なのか、個人としてのご意見、どういう意見で受け止めればいいんでしょうか。

知事:
 分類は難しいですね。私は山下真という個人でもあり、奈良県知事の山下真でもあり、日本維新の会奈良県総支部の支部長でもあり、そうしたものが全てミックスされた主体として投稿させていただいております。

記者(朝日新聞):
 県内でも、例えばヘイトスピーチに関する条例についても議論が進んでいると思うんですけども、系統は違うかもしれないんですけども、それとの関連、それに対する影響とかというものは何かお考えになっているところはありますか。

知事:
 今、県のほうで、県と市町村と関係団体の3者が協力して、いわゆる不当な差別のようなインターネット上への書き込みについてのパトロールをしています。そのパトロールの対象は、そういう差別落書きに限定されているのですが、ヘイトスピーチと言われるような外国人を排斥するような言論なども、今後、パトロールの対象に含めていくといった運用は考えられるかなと私は思っております。

司会: ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。




※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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