令和7年1月22日(水曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○多様な農業の担い手確保に関する取組
奥大和地域におけるアウトドア・スポーツツーリズムの推進について
大阪・関西万博会場での奈良県催事について
県職員からの公益通報に係る庁外窓口の設置について

【質疑応答】
奈良県・忠清南道交流推進事業について
学研高山第2工区について





司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。
 本日は、知事からの発表案件が4件ございます。それぞれの発表後に質疑応答の時間を取らせていただきます。
 1件目の発表案件は、多様な農業の担い手確保に関する取組でございます。
 山下知事から発表いただきます。よろしくお願いいたします。




多様な農業の担い手確保に関する取組




知事:
 来年度から実施します新規事業の一つでございます、多様な農業の担い手確保に関する取組についてご説明をさせていただきます。
 資料を1枚おめくりください。上段に令和5年の奈良県の農業産出額の上位5品目を記載しておりますけれども、米が87億円で一番多いです。次が柿65億円、イチゴが40億円で3位などとなっております。農業産出額のトップは米となっておりますが、その下に書いてございますとおり、耕地面積、農家戸数ともに今後さらに減少していくというふうに見込んでおります。水稲を作付しているのは、小規模農家が多いわけでございますが、そうした小規模農家の皆さんが高齢化等によって耕作放棄をするおそれが高いと考えております。これを図で説明いたしますと、左下でございますが、現在の担い手を小規模農家と集落営農組織、そして、大規模農家や法人というふうに3つに区別しております。この小規模農家がさらに減っていくと考えておりまして、その分、まず、企業の農業参入を促して、この減っていく小規模農家の代わりの担い手になっていただきたいというふうに考えてございます。その小規模農家につきましても、将来的には小規模農家が集まって、集落営農組織になると良いのですが、いきなりそうはなりませんので、小規模農家間の連携を促すということです。大規模とは到底言えませんが、中規模の事業体になっていただくことの支援をしていきたいと考えております。
 もう1枚めくってください。左側に現状というふうに書いてございますけれども、現状は、小規模農家が個々に水稲を生産している形になります。各農家の稲作経営の収支というのは、基本的に赤字でございます。耕作主の交代時期等に栽培を中止する可能性がございます。そうすると、耕作放棄地が増えるということで、サステーナブルの水田営農の推進ということを目標に、まずは、3戸以上の農業者に一つのグループになっていただいて、1グループで2ヘクタール以上の苗を育てていただくことを促す支援をしていきたいと考えております。その次の段階といたしまして、そのグループができた後は、農業機械の共同利用とか、販売額の向上、そうしたことを働きかけていきたいと考えております。といいますのが、今1軒の農家でトラクターとか田植機や稲刈り機などをそれぞれ1台ずつ保有しているというような状況でございまして、その機械の購入とか、維持、修繕の費用が非常に高くなります。しかし、そうした機械を使うのは年に、その田んぼを耕す時期や田植の時期、稲刈りの時期など限られますので、1軒で1台ずつ持つというのはもったいないと考えます。ですから、それを数軒で1台を保有していただく、あるいは、共同利用していただくというような形を取っていただければ、この小規模農家の稲作の慢性的な赤字経営体質が改善できるのではないかと思っております。そして、それがいずれ、一番右にございます大規模稲作生産組織の設立につながれば良いと考えておりまして、こういうホップ、ステップ、ジャンプの3段階で小規模農家が中規模、さらには大規模になる、そうした取組を促していきたいと思っております。下のほうに県がどういった支援するかを書かせていただいているんですけれども、まず、共同育苗をするグループに対して支援をしていきます。それから、リーダーとなる人の育成、それから、コスト低減に向けた経営改善計画の作成をしていきます。このコスト低減に向けた経営改善計画の具体的な中身というのは、さっき申し上げました機械の共同利用等でございます。それから、次、この立てていただいた経営改善計画の具現化に向けた支援といたしましては、販売単価の高い酒米の生産を支援する、あるいは、地球温暖化に対応した高温耐性品種の迅速な現場導入をすると、あるいは、機械につきましては、農業者の機械の維持管理能力の向上ということで、農業機械の長期利用や修繕費の削減が図れますように、メンテナンス講習会を開催するといったことを考えております。
 もう一つのこの担い手確保の取組の柱が企業の農業参入でございます。背景・目的のところでございますが、先ほど申し上げましたように、担い手の確保に今取り組んでいるんですけれども、なかなかうまくいかないということで、企業に農業参入していただけないかと考えたわけでございます。実際に農業参入を図る企業が全国的に増えておりますので、本県でも本格的に取り組んでまいりたいと考えております。取組イメージといたしましては、農業参入を希望する企業として、県内の中小企業とか、県外で既に農業を営んでいる県外の農業生産法人、あるいは、県内の大手企業等を考えております。そうしたところに働きかけをいたしまして、参入をしていただくんですけれども、そのためには当然農地が必要となってまいります。しかもまとまった面積の農地が必要になっていきますので、右側に書いてございますように、土地改良区やなら担い手・農地サポートセンター、市町村、市町村農業委員会等、関係機関が協力して農地情報を持ち寄って、参入意向のある企業に提供できる農地を確保していきたいと考えております。
 めくっていただきまして、具体的に来年度からの取組ですけれども、まずは、企業の農業参入の意向調査をいたします。それから、企業に使っていただく農地を調査する事業も実施していきます。具体的には土地改良区による農地調査、それから、先ほど言いました担い手・農地サポートセンターによる貸出希望農地の情報把握をしていきまして、企業の参入候補地となる農地情報シートといったものを作っていきたいと考えております。こうした準備を令和7年度はいたしまして、令和8年度から企業と農地のスピーディーなマッチングをしていきたいと考えております。

司会:
 それでは、本件についてご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。
 奈良テレビさん。

記者(奈良テレビ):
 企業への働きかけは来年度からですか、それとも、もう始められていますか。

知事:
 本格的には来年度からです。

記者(奈良テレビ):
 声を上げている企業や、大手にも声をかけたいということでしたが、その辺りはいかがですか。

知事:
 奈良で既に農業をやっている企業というのが、少ないですがございます。そうしたところにさらに参入を促すことや、県外で農業をやっている企業があるので、そちらに声をかけるということを考えておりますが、本格的にはこれからです。

記者(奈良テレビ):
 農家の方、農業者の方のグループづくりというのは、いつ頃から始められる予定で考えられていますか。

知事:
 これは、来年度からです。

記者(奈良テレビ):
 そのグループをつくってもらわないと始まらない話かと思いますが、それに向けて、県として、グループになった後ではなくて、グループに向けての支援というのは、具体的にどのように考えてらっしゃいますか。

知事:
 グループをつくってもらうための支援というようなことですか。その辺りは具体的にどうですか。

農業水産振興課:
 グループづくりに関しましては、来年度に一応公募という形を取らせてもらおうと思っています。手を挙げていただいた方々、こんなメンバーでグループを組んでいきたいです、とおっしゃっていただいた方々に、県下に4か所、農林振興事務所がございますので、そこの農学職の人間が中に入りまして、グループ化していくにおいての経営改善計画ですとか、どんな機械を今所有してらっしゃるとか、どんな栽培を今それぞれされているかなどの話合いの場を来年度させていただく中で、グループを形成していただけたらと思っております。

司会:
 ほかに質問はございますか。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 農家の支援と企業参入、両方に係る質問です。ソフト面の支援だというふうに受け止めたのですが、いわゆる補助金とか、財政的な支援というのは考えておられますか。

農業水産振興課:
 取りあえずは、グループを作っていただいたら、共同で苗作り、育苗をしていただこうと考えております。その共同の苗作りをきっかけに、様々な話合いですとか、課題を出していこうと思っていますので、県としては、その共同の苗作りに係る経費に対して何らかの補助などを検討してまいりたいと考えております。

記者(朝日新聞):
 それは、来年度にそういった予算が組まれる可能性を、今、検討しているということですか。

農業水産振興課:
 そうです。グループをつくって、米を作ること自体は、令和8年になるかと思うのですが、準備するのは令和7年に育苗をするための土や、肥料など、資材をそろえていく必要がございますので、令和7年度に予算を考えております。

記者(朝日新聞):
 では、そういう取組をしようとしているグループに対しては、財政的な支援も検討していくのでしょうか。

農業水産振興課:
 検討してまいりたいと考えております。

記者(朝日新聞):
 企業参入に関しては、現時点でいかがでしょうか。

担い手・農地マネジメント課:
 企業参入につきましては、来年度は、農地情報や、意向調査というところで、企業に何か金銭的なご支援をするということは想定してございません。

記者(朝日新聞):
 参入する場合にはいかがでしょうか。

担い手・農地マネジメント課:
 実際に令和8年度以降にマッチングをさせていただくということを申し上げましたけれども、その際も、営農指導や、そういった農地に関する情報の提供、いろいろ契約の手続など、そういったお手伝い、計画づくりなどはご支援させていただきたいと思っているんですけれども、ハード面でのご支援というのは、今のところは想定しておりません。

記者(朝日新聞):
 ありがとうございます。

知事:
 先ほど奈良テレビさんからの質問で、企業の参入意向についての状況はどうかというお尋ねがあったと思いますが、昨年4月に奈良県建設業協会にアンケート調査を行ったところ、2社から参入希望があったということでございます。それから、農業参入を含む相談案件というのが県の所管課と県の出先機関である農林振興事務所のほうに、1年間で10件ほど、農業参入を含む相談がありました。既に県内で農業に参入している企業から経営規模を拡大したいといった相談も受けているということでございまして、一定のそういうニーズというのは見込まれるのかなというふうに思っております。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):
 まず、知事にお伺いしたいんですけども、この最初の現状と課題という部分で、耕地面積や農家の数が減って、耕作放棄する可能性があるところから、知事は、これによってどういうことが起こることを懸念されていますか。

知事:
 それは様々な問題が起きると思います。もちろん奈良県の米の生産高が落ちます。これは、国全体でいえば、食料自給率が落ちるということにつながりますし、当然、耕作放棄地が地域の自然や景観に与える影響というのもかなりあると思っております。また、一旦、耕作放棄地になってしまうと、田んぼに再生するというときに、非常に労力がかかります。ですから、そうならないうちに、次の人に継承するということが非常に重要だと思っております。そういった農業生産高の減少、食料自給率の減少、自然や景観への悪影響、そういったことが懸念材料でございます。

記者(毎日新聞):
 この小規模の農業者をグループ化して、最終的に大きい組織にするという取組は、これは全国的には珍しいのか、よくあることなのか、どちらでしょうか。

農業水産振興課:
 奈良県ではかなり新しく取り組むことなのですが、全国的には、例えば大阪や京都でも、支援の仕方というのは様々ですが、グループ化したところに対して何らかの支援をするというメニューを組んでらっしゃる府県もございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 時事通信さん。

記者(時事通信):
 このタイミングでされた一つの背景には、農振法の改正などが影響しているのでしょうか。いわゆる耕作放棄地をあまり出したくないというような思いがあるのでしょうか。

知事:
 以前から私は、農業を再生するためには、やはり企業の参入を促すほかないと思っておりました。小規模農家の連携事業というのは、これは原課のほうから上がってきたアイデアですが、原課も私も何とかしなければいけないという危機感を持ちつつ、どういった策があるのかを練ったのですけれども、特段、農振法の改正がきっかけということではありませんが、たまたまタイミングが合ったということです。

記者(時事通信):
 この取組自体はすごく大事なことだと思います。一方で現状、そもそも担い手不足がどうしてもあるとは思うのですが、この小規模農家支援をしていくに当たって、そもそもの担い手の支援などはどういうふうに考えられておりますか。

知事:
 それは農家全体に対する支援ということですか。

記者(時事通信):
 はい。奈良県は兼業農家が多いと思いますが、その人たちが高齢化し、結局担い手がいなければグループ化も無理ではないかと思うのですが、その辺り、どのように考えられていますか。

知事:
 イチゴや柿とかは、特にイチゴは高い値段で売れますので、割と新規参入の人がいるというふうに聞いています。しかし、若い方で米をやろうという方はなかなかおられないと聞いております。しかも、米を作っている農家の大半が兼業農家です。ですから、米の作り手自体を増やすというのはなかなか難しいですが、減少を食い止めるという手段しか今はないかもしれないと思っていまして、その減少を食い止めるための手だてが今申し上げた小規模自作農のグループ化に対する支援ということでございます。

記者(時事通信):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 NHKさん。

記者(NHK):
 改めて、この施策によって奈良県の農業がどうなってほしいかという意気込みを一言お願いできますか。

知事:
 本当に農業の置かれている現状というのは、本県に限らず、日本全体で非常に厳しい状況に置かれています。行政が何もしなければ悪化していく一方なので、少しでもそれを食い止めたい、食い止めるためにできることは何でもしていこうという、そういった意気込みの表れでございます。これで奈良県の農業産出額が減少傾向から増えるというようなことは、特に米に関しては、そうは思っていないのですが、先ほども申しましたように、何とか生産高が減少することや、耕作放棄地が増加することを食い止めたいと、そういう一心でございます。

記者(NHK):
 先ほど機械の共同利用によってコストを削減するという話があったと思いますが、これは、作付に関しても共同ですることで、資材費等を浮かせるという理解でよろしいですか。

知事:
 はい。育苗に関してはそうです。

記者(NHK):
 分かりました。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 2点お伺いしたいんですけれども、今回、耕作放棄地を減らしたいことと、増えるかもしれないというところが課題かと思うんですが、このグループ化に入らなかった場合は、入らなかったところの農家が耕作放棄地になる可能性もあるかと思いますが、そういったところに対してどうしていきますか。また、現状の耕作放棄地に対してはどうしていくお考えですか。

知事:
 グループ化せず、例えば今やっている祖父母世代の人が亡くなって、息子世代になったとします。息子というのは専業農家ではなく、それこそ公務員をしていたり、どこかにお勤めをしながら、週末に田んぼを作っているとします。そうした人が、農業をするのは割に合わないし、機械を買い換えなければいけないなら、全然元が取れないからやめるとなってしまうのは、これは仕方がないです。それを食い止めるためにこうした方法もあるということで、新たな選択肢を提案していますが、それで、耕作放棄地になってしまった場合は、担い手・農地サポートセンターというところが耕作主のいない田んぼの情報を集めて、それを耕作したいという人に貸し出す制度をしておりますので、自ら耕作することを断念した方は、この担い手・農地サポートセンターのほうに情報提供をしていただければ、一旦、この担い手・農地サポートセンターが借り上げて、耕作したいという人に貸す制度にのせることができますので、ぜひそうしていただきたいと思っております。

記者(読売新聞):
 今回、企業の農業参入を支援するということですが、これは、農業の方からすると、新たにライバルが入ってくるように受け止められるかと思いますが、その辺りについては、企業を参入することでどういったことが生まれていくか、もう少しお考えをお聞かせ願えますか。

知事:
 担い手がどんどん減っているので、企業に参入されたら困るというふうに捉える農家さんはそこまでいないのではないかと私は思っていますが、いかがですか。

担い手・農地マネジメント課:
 今回の7年度の意向調査などですね、この農地の情報の調査に当たっては、地域で企業参入を受け入れられるかどうか、そういったご意向もお伺いしながら、取組を進めていきたいと思っておりますので、そういったことにも配慮していきたいと思っております。

記者(読売新聞):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますか。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 2ページ目に、耕地面積の推移と農家戸数の推移に関して、将来に関して、減っていくだろうという見通しの図がありますけれども、現時点で何か、例えば2030年とか35年とかの予測とか試算などはあるのでしょうか。

知事:
 どうでしょうか、事務局。

担い手・農地マネジメント課:
 現時点、そういった推測値はございません。

記者(朝日新聞):
 今回、新たな事業を立ち上げるということですが、これによって、例えば農業産出額をこれだけ上げていきたいとか、あるいは、耕地面積をこの程度の減少で維持したいとか、そういった数値目標みたいなものはあるんでしょうか。

農業水産振興課:
 すみません、農業産出額に関しましては、豊かな食と農の振興計画というのを食農部でつくっております。それで、一応年間450億円を目指すという形で目標額を上げさせていただいております。

記者(朝日新聞):
 面積に関しての維持や、目標などはないということですか。

担い手・農地マネジメント課:
 はい、農業を主にやっていただいている担い手への集積率という目標値はございます。耕地面積全体自体の目標というのはないと思っておりますが、その生産額に見合うだけの農地は必要になるのではないかというところでございます。

記者(朝日新聞):
 ありがとうございました。




奥大和地域におけるアウトドア・スポーツツーリズムの推進について




司会:
 2件目は、「奥大和地域におけるアウトドア・スポーツツーリズムの推進について」でございます。
 知事、よろしくお願いいたします。

知事:
 資料をご覧ください。「現状と課題」というところですけれども、奈良県への観光客及び宿泊客は、奈良公園エリアを中心とする北西部地域に約8割が集中しております。特に吉野を含む南部地域の観光客は、オンシーズンとオフシーズンの差が顕著でございまして、1年間を通して奥大和地域に誘客できるコンテンツの整備が必要だと考えております。宿泊客数や観光入込客数に対する北西部地域の占める割合は、資料に記載の円グラフのとおりでございます。南部地域の月別入込客数は、その右側の棒グラフのとおりでございます。こうした問題意識を背景といたしまして、奥大和地域が有する豊かな自然や世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」など、ほかの地域にはない当該地域の資源を生かして、ファミリー層や競技者層、また、外国人観光客など、国内外から幅広い誘客が見込まれるアウトドア・スポーツツーリズムというのを県が主導して推進していきたいと考えております。
 次のページをご覧ください。今年度の取組をご紹介させていただきますと、奥大和地域でアウトドアアクティビティやスポーツツーリズムを戦略的、計画的に推進するため、ロードマップの作成やモデル事業を、モンベルグループと連携して実施してまいりました。具体的な取組については、1から4で書かせていただいていますが、トレッキングやサイクリングなどのルートを奥大和地域で調査、発掘しまして、それをジャパンエコトラック奥大和としてすでに登録しております。資料をお配りしておりますが、裏表紙にジャパンエコトラック全国マップというのが掲載されています。モンベルグループのモンベルクラブという会員向けにこういう冊子を提供したり、モンベルショップに配架したりしているわけですけれども、モンベルが自らの顧客向けにこういったお勧めの場所があるということをリスト化しているんですね。これに、今年度、38番として奥大和地域が加わったということでございます。トレッキングルートが13、サイクリングルートが12、この冊子に記載されているところでございまして、モンベルのモンベルクラブの会員を中心に、これらのルートをサイクリングやトレッキングで回っていただければなと思っております。具体的には、熊野参詣道小辺路や大峯奥駈道といったルートも含まれておりますし、もちろん、山の辺の道なんかも含まれております。さらに、このジャパンエコトラックに登録された奥大和地域の普及に向けたプロモーションを実施しておりまして、デジタルスタンプラリーというのを昨年11月29日から今年1月31日まで、既に行っております。また、こういったアウトドアツーリズムに関するメディア関係者をお招きしたメディアトリップというのも既に実施しております。それから、ちょっとPRさせていただきたいのですが、この奥大和地域でアウトドア・スポーツツーリズムを推進していこうということで、3月22日の土曜日にイベントを行います。午前中、五條市内で私がカヤック体験をした後、午後、橿原文化会館において、モンベルの辰野会長を招いてのトークセッションを予定しております。ぜひ取材していただければ幸いでございます。また、人材育成プログラムというのも既に実施しております。そして、今年度中にアウトドア・スポーツツーリズム推進のための5か年のロードマップを策定いたします。その上で、令和7年度以降に奈良県とモンベルグループとの間で包括連携協定を締結したいと考えております。
 3ページ目をご覧ください。令和7年度以降、このロードマップに基づく取組を本格的に展開してまいります。そこに1から8と記載したとおり、プロモーション、オフシーズン対策、トレッキングやサイクリングなどのルート案内の充実、協力店の設置などツーリスト受け入れ体制の強化、継続的な人材育成プログラムの実施、ルートを活用したイベントの展開、ツアー会社と連携した旅行商品の造成、スポーツ合宿の誘致などでございます。
 私からは以上でございます。

司会:
 それでは、本件についてご質問がございます方はお願いします。
 奈良テレビさん。

記者(奈良テレビ):
 今回、アウトドア・スポーツツーリズムということで、この取組を推進して、どのような奥大和地域を目指していきたいと思われますか。

知事:
 奥大和地域といいますと、今までは、例えば吉野の桜、天川村の温泉、名所では、金峯山寺とか天川村の弁才天とか、非常に人気のあるスポットがありますが、どちらかというと、そういう名所旧跡とか、あるいは、温泉を巡るというような一般的な観光にとどまっていたと思います。この地域は、山も非常にたくさんありますので、そういうトレッキングとかサイクリングとかも楽しめますし、吉野川をはじめとする河川もたくさんございますので、カヌーとかカヤックとか、そうしたことができるポテンシャルが非常にある地域だと思っておりますので、冒頭に申し上げたような、オンシーズン、オフシーズンの格差をなくすために、このアウトドア・スポーツというものをもう少し売り出せないかと思った次第でございます。

司会:
 よろしいですか。
 ほかに質問はございますでしょうか。
 時事通信さん。

記者(時事通信):
 7年度以降の取組は魅力的だと思うんですけど、具体的に何か決まっていることはあるんでしょうか。

知事:
 何かありますか。

奥大和地域活力推進課:
 7年度の取組で、というところですか。7年度以降の全てですか。

記者(時事通信):
 資料に、令和7年度以降のロードマップに基づいた展開というふうに書かれていると思うんですけど、全体的に何かちょっと漠然としているなという印象がありまして、何か具体的にこういうことをやりますみたいなのがあるのかなと思いまして。

奥大和地域活力推進課:
 具体的なところは、ここの1から8の内容が盛り込まれてくるということになります。

記者(時事通信):
 分かりました。
 ちなみに、本筋から少し外れるんですけど、以前、会合で講演されたときに、奥大和の名前について、どうなんだろうみたいな話をされていた印象があって、現状、知事としてどのように思われていますか。

知事:
 奥大和というネーミングに違和感を感じている地元の方が一定数おられるということは認識していますが、現時点でこのネーミングをやめるとかいったことまでは考えておりません。

記者(時事通信):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 NHKさん。

記者(NHK):
 以前、JRと連携して南部地域にも誘客するみたいな話があったと思うんですが、あれと今回の取組が連動、連携するといったことはありますでしょうか。

知事:
 直接はないでしょうね。こういうアウトドアスポーツに行かれる方は、皆さん、車で行かれますからね。




大阪・関西万博会場での奈良県催事について




司会:
 3件目は、「大阪・関西万博会場での奈良県催事について」でございます。
 知事、よろしくお願いいたします。

知事:
 4月に開幕いたします大阪・関西万博でございますけれども、奈良県の取組が具体的にまとまってまいりましたので、まとめて紹介をさせていただきます。
 資料を1枚めくっていただきまして、奈良県は、万博における催事等を進めるために、大阪・関西万博奈良県実行委員会というのをつくっております。ここには、県のほか、県内全ての39市町村、そして、民間企業等が参画をしております。昨年4月17日に設置をいたしました。奈良県実行委員会の催事のタイトルといたしまして、「ならWeaving the Future はじまりの地から未来を紡ぐ」というタイトルを設定させていただきました。ロゴマーク等は資料に記載のとおりでございます。
 1枚おめくりください。大きく3つの催事を検討しております。まず、1が本年5月27日から29日にかけてEXPOアリーナというところで行うイベントでございます。詳細は後に説明しますけれども、ここでは、奈良県の無形文化財の祭りを披露したりするといったことを考えております。それから、屋内の建物でございます関西パビリオンの多目的エリアで4月15日から26日の間に、市町村のPRブースを設けます。ちなみに、奈良県以外の関西2府4県や関西広域連合に入っている府県は、それぞれ個別のブースを持っているんですけど、奈良県はないので、この多目的エリアを期間限定でお借りするという形になります。それから、奈良県出身の映画監督である河瀨直美さんが万博のテーマ事業プロデューサーになっておりまして、森の集会所という河瀨さんのパビリオンがございますので、そこで同じように、市町村のPR等をさせていただく予定にしております。
 詳細について、もう少し説明させていただきます。まず、1番目のEXPOアリーナ(Matsuri)での催事でございますけれども、先ほど申しましたように、5月27日、28日、29日の3日間で行います。EXPOアリーナというのは、この地図に記載の場所にございます。メインステージにおきましては、祭りのパフォーマンスをします。この詳細についてはまた次のスライドで説明いたします。それから、クラフトフェアなどの、奈良県の食を体験いただけるブースを設けたり、吉野杉を使った茶室を設けたりいたします。
 1枚おめくりください。そのステージイベントですけども、まず、奈良県で1136年から一度も途切れることなく続いている春日若宮おん祭のパフォーマンスをいたします。それから、1枚めくっていただきまして、能にちなんだパフォーマンス、それから、次のページですが、奈良県の無形民俗文化財を複数集めたステージイベントも考えております。これを全部まとめて、奈良歴史絵巻というネーミングをつけたいと考えております。それから、その次のページでございますけれども、奈良県は日本酒発祥の地でございますので、国立文化財機構の奈文研が出土した木簡を基に古酒を復元するというプロジェクトをしておりまして、その紹介をいたします。パネル展示をしたり、動画による紹介をしたり、あるいは、制作に使った道具を展示するといったことをするとともに、この復元した古酒を試飲していただくということを考えております。また、奈良酒に関するトークセッションも予定しております。それから、小ステージのほうにおきましては、次のページ、8枚目の資料ですけれども、先ほど申し上げたとおり奈良県産の吉野杉を使った茶室を会場に設けまして、これもまた奈良県の特産品である茶せんや赤膚焼のおわん等を手に取りながら、ゆったりとお茶を味わっていただくお茶席を設けます。それから、夜は、会場全体で燈花会を開催したいというふうに考えております。それから、クラフトフェアとかワークショップも実施いたします。以上がEXPOアリーナでの催事でございます。
 続きまして、9ページ目、関西パビリオンでの催事でございますが、こちらは、4月15日から4月26日の12日間でございます。これは、主に、真ん中に記載しているとおり、奈良県内の39市町村を3つのグループに分けまして、この12日間で1グループ4日間ずつPRを実施するということを考えています。さらに、もう1枚めくっていただきまして、トピック2というところですけれども、奈良県の4つの大学が連携して作成した万博BENTOというものを販売いたします。それから、奈良県が開発しました観光ウェブサービス「ならいこ」もここでPRをさせていただきたいと考えております。
 それから、河瀨館での連携事業でございますけれども、一つは、1970年の万博のときに使われたいわゆる「万博ピアノ」の展示、それを使ったコンサートを行います。それから、現在、河瀨監督が奈良県全39市町村をPRする動画というのを作成中でございまして、それをここで放映するといったことを考えております。
 私からの説明は以上でございます。

司会:
 それでは、ご質問がございます方はお願いいたします。
 奈良テレビさん。

記者(奈良テレビ):
 大阪・関西万博に訪れた方に奈良の魅力というのをどういうふうに感じてほしいのかというところを改めてお伺いしたいのと、あと、開催間近になってきましたけれども、改めて万博に向けて意気込みを教えてください。

知事:
 奈良の魅力というのは、一つは、もちろん歴史、春日若宮おん祭のような無形文化財、日本酒をはじめとする食、それから、様々な伝統工芸品、あとは、河瀨監督に撮っていただく動画でPRされるような自然や景観、そうした様々な奈良の魅力を国内外から訪れる多くのお客様に知ってもらうまたとない機会だと思っておりますので、そうした奈良の魅力を多くの皆様に届けたいと思っております。

記者(奈良テレビ):
 ありがとうございます。
 あと、EXPOアリーナメインステージの奈良県の無形民俗文化財のところで、ライブ中継カメラを入れてとあるのは、具体的にどういったものを想定されているんでしょうか。撮影しながら前で踊られるのか、それとも何か上映だけということになるのでしょうか。

知事:
 この資料にありますとおり、ステージでイベントやっているじ様子をカメラで撮影して、会場内のモニターでアップで映すとかいったことをする予定でございます。

万博推進室:
 EXPOアリーナのメインステージの後ろに、大きなLDモニターがございまして、遠くから見ておられる方にも所作であったり、特徴的な動きをしっかりと見ていただくために、ライブカメラを利用いたしまして、大型のLDモニターに映していくということで、広く奈良県の無形文化財をPRしたいと考えております。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 産経新聞さん。

記者(産経新聞):
 オープニングイベントの春日若宮おん祭は、時間的にどれぐらいのもので、どの部分を披露されるんでしょうか。

万博推進室:
 具体的な演目等は、春日大社と検討中でございまして、時間についても、その演目に応じまして変わってきますので、まだ少しお時間をいただきたいと考えているところでございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 以前に、ウズベキスタンと何かをやりたいといったことをおっしゃっていたと思うんですけど、その辺りはいかがでしょうか。

知事:
 それは、今、調整中ですよね。ちょっと状況を教えてください。

万博推進室:
 万博のこの3つの会場では、現在のところ、奈良県の情報を積極的に発信していくというところを検討しておりまして、ウズベキスタン等、海外のパビリオンとの連携事業につきましては、現在、それぞれ個別に調整中でございます。また、奈良県内でも機会がありましたら、そのPRも検討してまいりたいと考えております。

司会:
 奈良新聞さん。

記者(奈良新聞):
 EXPOアリーナのことでお伺いします。メインイベントの能楽パフォーマンスなんですけども、これはどういうものか、何か具体的に決まってれば教えていただきたいです。

万博推進室:
 奈良発祥の能ですが、ほとんどの方が能というのはどんなものかという大体のイメージは分かると思うんですけども、割と敷居が高いといいますか、伝統が長過ぎて、なかなか取っつきにくいところがあるかと思います。そこで、現代音楽だったり、映像を取り入れて、少し裾野が広げられるようなことを考えておりまして、現在、お三方といろいろ調整をしているところでございまして、具体的な内容につきましては、まだこれからでございます。

記者(奈良新聞):
 ありがとうございます。

知事:
 このために新たにつくり下ろすという感じですか。

万博推進室:
 そうです。

記者(奈良新聞):
 新しい演目のテーマとかあるんですか。

万博推進室:
 能を軸にしまして、その幽玄さをどう表現できるかというところをアドバイスもいただきながら考えていただいているところでございまして、具体的なパフォーマンスにつきましては、これから順次発表してまいりたいと考えてございます。

記者(奈良新聞):
 あと、次のページの無形民俗文化財とか奈良歴史絵巻のところで、御斎会をされるということなんですけども、大立山まつりで使っていた四神像を置いたりとかということは考えていらっしゃいますか。

万博推進室:
 大きな四神像は、さすがに会場的に置くスペース等も難しいですし、運搬の方法も限られていますので、今のところ、あの四神像を活用することは考えておりません。

司会:
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 読売新聞です。2ページの下の参考にあるイベントというのは、河瀨監督から提案があって、こういった連携イベントもされるということなんでしょうか。

知事:
 河瀨監督の弟子にあたるような映画監督がすでに9つの映画を作ってるんですね。それらの映画の制作、上映に関する「NARAtive撮影地協議会」という委員会がありまして、せっかく作った映画を上映して、それでお蔵入りではもったいないので、ここで再度上映しようじゃないかというような話が、その委員会に加盟している9つの市町村長及び私の中で出てきて、それなら、河瀨監督がパビリオンを一つプロデュースされるので、そこで上映したらどうかという話になりました。今日紹介する事業には入ってないんですけど、「NARAtive撮影地協議会」の主催でそれはそれでやるんですね。それの流れの中で、この河瀨館は、ご存じのように、十津川の廃校の校舎を利用しているということもございまして、河瀨監督の奈良への思い入れというのがここで表現されてますので、ぜひ「NARAtive撮影地協議会」が行う既存の映画の上映だけではなく、もっとほかのこともできたらいいなということで、こうした事業が出てきたということでございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 関西パビリオン多目的広場の出展に関してお尋します。他県はそれぞれブースを構える中で、奈良県は多目的エリアを借りる形でということですが、面積的には他県よりも小さいのか、現時点で把握があれば教えていただけないでしょうか。

知事:
 多目的広場というのは、この関西パビリオンにブースを構えている県が個々のブースでの展示以外に多目的に使うという、そういうエリアだと認識しています。奈良県は、そういう個別のブースがないため、ここをお借りしてやりますが、使う面積は他県が使う場合と同じだと。

万博推進室:
 面積的には恐らく百数平米、正確な数字はまたご提供させていただきますけども、百数平米だったと思います。広さ的には、ほかの常設のパビリオンと遜色自体はないかなと思っています。ただ、我々は期間限定となっておるところでございます。

記者(朝日新聞):
 広さに関しては遜色ないということですが、知事としても、他県とのある種競争というか、見栄えがどうかというところもあったりすると思いますが、特に懸念は持っていらっしゃらないという感じですか。

知事:
 個別ブースがあったほうが、半年間ずっとPRできるので、それはいいなと思います。福井県は恐竜に特化したような展示をするみたいですけれども、しかし、奈良県はブースがないので、本当は個別のブースがあったらもっといろんなことができたと思いますが、期間限定でということなので、こういった形しかないかなと思っています。

記者(朝日新聞):
 これ、全体、県としての予算はどのぐらいの規模を見込まれるかというのは、現時点でお話しいただける部分はあるんでしょうか。

万博推進室:
 実行委員会予算としましては、県と市町村合わせまして、2年間で5億円の予算を計上してございます。会場催事での実施予算としましては、大体、約3億2,000万円程度を考えてございます。以上でございます。

記者(朝日新聞):
 その3億2,000万円に関して、ざっくりと内訳というか、3.2億円が大まかにこれにはこれ、これはこれみたいなふうに今ご説明は可能ですか。

万博推進室:
 契約上、一括で制作からやっていますので、どこまで詳細なところが出るかが未定でございまして、もし詳しい情報が必要でしたらご提供させていただきたいと思います。

記者(朝日新聞):
 これは知事にお伺いしたいと思うんですが、先ほど福井県は恐竜に特化してというような話もありました。今のご説明、盛りだくさんで、どう説明するか、記事も書きにくいなと思いながら聞いていたんですけれども、各県がそうやってPRをする中で、奈良県の爪跡をいかに残せるかみたいなところ、この3つの大きな軸から、知事としてはどういうことが可能なのではないかとか、どう見ていらっしゃるのかというところをもう一言いただければと思います。

知事:
 そうですね、関西パビリオンや河瀬館では、市町村のPRというのが中心になります。なので、どちらかというと少し総花的な感じになってしまうかなと思いますが、このEXPOアリーナのMatsuriでは、春日若宮おん祭をはじめとして、奈良県に古くから伝わる、そんな無形文化財とか、あるいは、非常に外国人にも人気がある日本酒に関するイベントなんかもできるので、あと、お茶ですね、お茶も奈良県が発祥の地でございますので、こういうお祭りとか、お酒、お茶といった奈良に古くから伝わる文化をこのEXPOアリーナで国内外の皆さんに印象づけることができればなと思っております。

記者(朝日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 4件目は、県職員からの公益通報に係る庁外窓口の設置についてでございます。
 知事、よろしくお願いいたします。




県職員からの公益通報に係る庁外窓口の設置について




知事:
 以前、記者会見で、公益通報の窓口を庁外に設置することを検討したいということを申し上げたと思いますけれども、それが具体化しましたので、お知らせさせていただきます。
 資料をめくっていただきまして、まず、目的といたしましては、県職員が安心して公益通報することができる環境を整備するということでございます。この安心してというのは、県庁の組織から独立しているということと、調査の客観性が担保されるということだと思っております。内容といたしましては、既にございます、庁内窓口である人事課に加えまして、新たに庁外窓口を設置いたします。これは、奈良県弁護士会所属の弁護士の事務所にお願いをいたします。知事、副知事、総務部長、人事課長等が自ら行う、あるいは、積極的に関与していることが疑われる行為について通報があった場合は、この庁外窓口の弁護士が直接調査に当たります。県職員から庁外窓口のほうに通報があった場合は、原則として、当該庁外窓口から直接通報者に調査結果を通知するというような形にいたしまして、県の組織は原則関わらないということになろうかと思います。運用開始は、今年2月1日からでございます。
 なお、近年の通報受理件数の推移をご紹介させていただきますと、令和4年が1件、令和5年がゼロで、令和6年は現時点でゼロということでございます。それから、庁外窓口の設置済都道府県につきまして、消費者庁が令和5年12月1日に調査したところ、34都道府県で設置済みということでございます。近年、兵庫県も庁外窓口を設置したということで、現在35で、奈良県が加わると36番目ということになろうかと思います。
 私からの説明は以上でございます。

司会:
 それでは、ご質問がございます方はお願いいたします。
 NHKさん。

記者(NHK):
 NHKです。この件は、兵庫県のあの問題があったから、設置を検討したという経緯でよろしいでしょうか。

知事:
 きっかけとしてはそうなります。

記者(NHK):
 こういった外部の通報窓口を設置することで、職員の方の働きやすさという点では、どういう職場環境を目指していきたいなと思いますか。

知事:
 職員の働き方の環境とは直接関係ないように思うんですけど、そういういわゆるパワハラとかセクハラとかを未然に防止する、あるいは、それが発生したときにうやむやにすることなく、きちんと調査して、責任を取ってもらうべき人には責任を取ってもらって、再発防止につなげると、そういう趣旨です。

記者(NHK):
 対象となる行為については、こういう課長級以上の、いわゆる幹部的な方の行為だけに限られますか。そのほかも入っているのでしょうか。

知事:
 まず、法令に違反する行為ということになりますので、対象は管理職には限られないと思っております。通報する人として想定しているのは、県の職員とか、県の各機関と契約を締結している事業者等が通報する主体というふうに想定をしております。公益通報の対象となる事案は、法令違反、または法令違反のおそれがある県職員の行為、あるいは、人の生命、身体、財産を害する、またはそのおそれのある県職員の行為と、この大きく2種類を対象として考えております。

記者(NHK):
 ここに例示してある内容は、あくまで例示というだけであって、別に限られるわけではなく、県職員がそういういわゆるパワハラ的な行為を行っていれば、全部が対象になるという理解でよろしいですか。

知事:
 例示ってどこのことを言ってるんですか。

記者(NHK):
 ごめんなさい、2の(2)のところです。知事、副知事、総務部長、人事課長、これは例示しているだけということでしょうか。

知事:
 一般的には、基本的に内部窓口は全部の通報を受け付けます。それに加えて、要するに調査の主体となる、あるいは調査を指揮するような立場の人に不祥事があった場合には、その人たちの調査って信用できるんですかという問題があります。ですから、知事とか副知事とか総務部長、人事課というのは、直接調査に携わる、あるいは調査を指揮する立場の人なので、その人たちの行為については、その人たちが自ら調査するというのでは調査の独立性、客観性が担保されないので、外部の人に調査してもらいましょうということで、ここに例示した人たちが関わるような案件については、庁外の弁護士が直接調査しますよと、こういう趣旨でございます。

記者(NHK):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 今の点、もう一度確認なんですけども、まず、原則的には、庁外窓口に通報があったら、基本的にはそれは庁外窓口の弁護士さんが調査をすると。庁内窓口に通報があった事案のうち、(2)のような直接的な権限の人が対象だった場合は、これもすぐに庁外窓口の弁護士さんに調査をお願いすると、そういう立てつけと考えていい。

知事:
 そういう立てつけでいいですよね。

人事課:
 まず、庁外窓口に通報があった場合、2つに分けておりまして、一つは、先ほど知事が申されました、知事とか副知事とか、あるいは総務部長とか人事課長等が関与するようなものであれば、直接庁外窓口から、調査も弁護士さんに依頼します。それ以外の方については、通報は庁外窓口なんですが、調査は内部でします。調査結果は、弁護士さんに返して、調査結果については弁護士さんのほうからその通報者に返していただくという形になります。以上です。

知事:
 今の質問は、知事とか副知事とか総務部長、人事課長に関する通報が庁内窓口にあった場合はどうするのかという質問だと思いますが。

人事課:
 そのような場合は、弁護士さんと連携もさせていただくことも視野に入れております。基本的に、そういう部分については、当然、弁護士さんとも連携も視野に入れながらやっていきたいなと。そういう部分について、通常は庁外窓口に来るのかなと思っていますので、庁内窓口に来た場合は、やはり客観性とか、そういうような担保がありますので、弁護士さんと連携しながら、あるいは、ある意味で弁護士さんのほうにお願いしたいなということも視野に入れて。

知事:
 それは多分、弁護士に振ることになると思います。

記者(朝日新聞):
 通報者がどういう考えで、どこに通報するかは分からないですが、例えば知事が関与している告発があった場合は、これは弁護士の庁外にもうお願いするとはっきり言わないと、これの趣旨がよく分からなくなってくるんですが、いかがですか。

人事課:
 補足させてもらいます。庁内の窓口に通報があった場合ですけども、もちろんおっしゃるように、知事とか、庁内窓口の担当者が関わる案件であれば、それを庁内で調査していては、独立性の面で問題がありますので、そういった案件については、基本的には庁外窓口のその弁護士さんのところで調査してもらうと。それによって独立性、客観性を担保したいと考えています。

記者(朝日新聞):
 一方で、庁外窓口に寄せられた案件であっても、ここに書いてある知事とか人事課長とか関係しないものは、基本的には庁内の人事課のところで調査するということですね。

人事課:
 そうですね、そのようにしています。

記者(朝日新聞):
 分かりました。

人事課:
 庁外に相談があったものについて、全国の他府県を見ていますと、全て庁内で調査してるというところもあったんですけども、やはり知事とか副知事とか人事当局については客観性を確保すべきであるということで、本県においては、それは庁外の弁護士さんのところで調査してもらうというふうにしていまして、それが今回のこの窓口のポイントと考えていまして、このように記載しておるところです。

記者(朝日新聞):
 知事にお伺いしますが、設置は兵庫県の問題がきっかけだということで、今、委員会のほうでもまだ最終的な結論が出ていないと思いますが、兵庫県の公益通報の問題については、知事はどのような認識で見ておられるんでしょうか。

知事:
 それについては、他府県のことですから、私はコメントをする立場にないと思っています。

記者(朝日新聞):
 仮に今あったように、知事に関する内部告発的なものがあったら、それはもう外部にお願いすると、知事は一切触らないという認識でいいんでしょうか。

知事:
 奈良県はそうです。

記者(朝日新聞):
 ありがとうございます。

司会:
 共同通信さん。

記者(共同通信):
 まず、事実の確認ですが、弁護士はこの兒玉先生1人で間違いないでしょうか。

知事:
1人で人手が足りないときには、補助者が入ると聞いていまして、補助者は、古都の風法律事務所の北岡弁護士でございます。

記者(共同通信):
 この庁外窓口は、弁護士事務所ということですが、これはこのやまと法律事務所になるわけですか。

知事:
 そうですね。

記者(共同通信):
 橿原市ということですね。

知事:
 はい。

記者(共同通信):
 分かりました。
 この兒玉先生は常駐ということでよろしいですか。

知事:
 常駐というか、事務所が連絡先になります。いつでも電話を受け付けてくれるかという意味ですか。

記者(共同通信):
 この事務所に常駐しているかどうかということです。

知事:
 そうだと思いますね、もちろん裁判所に行っているときもあるでしょうけど、基本的にはここにおられると思います。

記者(共同通信):
 分かりました。
 あと、近年の受理件数が、令和4年度に1件ということですが、この数字見て、この1件というのはどのように評価するのか、多いのか、少ないのか、伺えればと思います。

知事:
 令和4年度は、私は知事ではなかったので、コメントする立場にないと思います。

記者(共同通信):
 一応この近年の通報受理件数ゼロ件か1件ということですけど、これは、うまく機能していたのかという、その見解を伺えればと思います。

知事:
 機能していなかったから少ないのか、そもそもそういう案件がなかったのか、それは分からないですよね、事実は。

記者(共同通信):
 分かりました。
 令和3年度より前というのはいかがだったんでしょうか。

人事課:
 令和3年度以前の数字は把握しておりませんので、把握している令和4年度から記載させていただいております。

記者(共同通信):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):
 すみません、1点お伺いしたいんですが、兒玉弁護士を選ばれた理由をお伺いしたいです。

知事:
 これは奈良弁護士会にしかるべき人を推薦してほしいとお願いして、奈良弁護士会が推薦された方です。

司会:
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 他府県では、こういった弁護士の方にお願いする場合に関して、任期を設けられているようなんですけど、今回は何年も続けるみたいな形なんでしょうか。

人事課:
 任期について今時点であらかじめ決めているわけではないですけど、基本的に、毎年度予算措置を講じてということになりますから、基本、年度ごとにやっていきます。窓口がなくなることとはあまり考えていないので、人をどうするかということについては、あまり長くなり過ぎると、例えば行政との関係ということもあると思いますので、一定の期間は見て交代というのも考えていかないといけないのかなと思っていますが、そこは、今後検討していきたいと思っております。




奈良県・忠清南道交流推進事業について




記者(読売テレビ):
 県のK-POP問題についてお伺いをします。先月、県議会でも賛成多数で可決をしたかと思いますが、その後、開催地を奈良公園から変更するという報道もあったかと思います。その辺り、実際に開催地を変更するという話があるのか、あるいは、変更するのであれば、どういった理由で変更をされるのか、現状の県のご認識をお願いいたします。

知事:
 賛成した議員から提出された申入れ書には、奈良公園に限らず、奈良県内の適地を幅広く検討することと、再検討することというふうに書いてございますので、その申入れの趣旨に従って、屋内も含めて、開催地を検討しているところでございます。

記者(読売テレビ):
 まだ代替地が決まったという段階ではないということですか。

知事:
 はい、まだ決まっておりません。

記者(読売テレビ):
 今、候補地などの選定を進めていらっしゃるということですか。

知事:
 そうですね。

記者(読売テレビ):
 韓国側との交渉は現段階としてはどのくらい進んでいるか、どのような話をしているか伺えますでしょうか。

知事:
 忠清南道側とどこがふさわしいかとか、あるいは、経費節減の方法としてどういう方法があるかといったことは協議をして進めております。

記者(読売テレビ):
 現在も協議中で、何かが決まったという段階ではないということですかね。

知事:
 はい、まだ何も決まっておりません。

記者(読売テレビ):
 今後の方針としては、どういうふうにしたいみたいなところ、県としてのご意向などありますでしょうか。

知事:
 寄附を募るとか、開催地を変更するとかいった形で、議員からの申入れ書の趣旨に従った形で開催できるように今鋭意努力しているところでございます。

記者(読売テレビ):
 分かりました。
 忠清南道の担当者の方が実際に県に来られたという事実はありますでしょうか。

知事:
 あります。

記者(読売テレビ):
 そのとき、どのようなお話があったとかというのは教えていただけますか。

知事:
 そのときも、どうやったら経費を節減できるかということについて、開催場所の変更や、あるいは、寄附のスキームとか、そうしたことを協議させていただきました。

記者(読売テレビ):
 分かりました。
 最後に、奈良公園ではなくなるというのが確定したわけでもないということですね、今もまだ検討中ですか。

知事:
 はい。奈良公園の可能性もあります。

記者(読売テレビ):
 承知しました。ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 以前の知事定例記者会見で、昨年2月にトップ会談をして決まったと経緯を説明いただいているんですが、そもそもこの話は、県からこの事業をやろうと提案されたのか、それとも、忠清南道側からそういう話があったのか。また、交流イベントも奈良ではなくて韓国でするとか、いろいろ考えられる要素があると思うのですが、どのようにして奈良公園でああいう形で国際交流イベントをしようとなったのか、もう少し経緯を説明、お願いできますか。

知事:
 今年が日韓国交正常化60周年という節目の年でありまして、ユン大統領になってから、日韓関係が非常によくなったということです。ユン大統領の所属している国民の力という政党に忠清南道の知事も所属しており、知事としても、この日韓の友好親善というのをより強力に進めていきたい、今までやってきた交流事業をさらにステップアップさせたいという申入れがございまして、具体的には既に実施していますけど、奈良県の高校生がeスポーツの分野で韓国の高校生と交流するために韓国に行ったりしています。それ以外にも、様々な友好親善事業をするのですが、その一環で日本でこういう日韓音楽交流イベントをしようということになりました。

記者(読売新聞):
 その申入れというのはいつあったんでしょうか。

知事:
 申入れは、その2月だったんじゃないですかね。

記者(読売新聞):
 トップ会談より前にそういう話が先に進められていたということですか。

知事:
 事務レベルではその前にあったと思いますけれども、実際に僕が知事と話したのはその2月だったと思います。

記者(読売新聞):
 その申入れがあって、国際交流事業をやろうということになったというところまで理解できたんですが、K-POPのアーティストライブが非常に大きな話題になっていますけど、そこからなぜ、このような形になったのか、事業の中身についてはどのように決まっていったんでしょうか。

知事:
 奈良県でも日韓交流のイベントというのは、荒井前知事の時代からもたくさんやっているんですよね。県主催でもやっているし、民団主催で歴史の道というイベントを毎年やっています。今年度は100年会館でやっていまして、そのときもK-POPのアーティストが出演しているんです。日本のアーティストも出演したんでしたっけ。

国際課:
 はい。日本のアーティストも出演しています。

知事:
 11月初旬に100年会館で、日本のアーティストとK-POPのアーティストが民団主催の音楽イベントをやっていて、そのときもすごい人が来たということだったんですよ。開会前から若い人が行列をなしていたと聞いていまして、そのようにK-POPというのが若い人たちに非常に人気があるということで、これからの日韓関係を担っていくのは若い世代ですから、若い世代の人に来てもらえるようなイベントは何か検討していく中で、K-POPということが上がってきたと、そういうふうに認識しております。

記者(読売新聞):
 分かりました。
 K-POPとかにしようという方向性が定まったのはいつ頃なんでしょうか。

知事:
 それは、2月のときだと思います。

記者(読売新聞):
 具体の中身もということですかね。

知事:
 そういうことができないかなという話を私とキム知事の間でしました。

記者(読売新聞):
 その時点でも奈良公園でやろうみたいな話になっていたんでしょうか。

知事:
 そのときは開催場所は決まっていないです。

記者(読売新聞):
 開催場所については、県のほうから提案されたのでしょうか。それとも、韓国側から屋外の奈良公園でやりたいみたいな要望があったんでしょうか。

知事:
 韓国でも日本でも有名なK-POPのアーティストということになると、アーティストの格というのがあるので、1万人ぐらいは入れるところでないと派遣できないという話がありました。奈良県では、最大1,500人収容できる100年会館の大ホールが一番大きいので、そうすると屋外の会場を探すしかないということでございまして、平城宮跡も検討したのですが、あそこは遺構があり、ステージは設けられないので、奈良公園になった、こういう経緯でございます。1万人規模でないと、K-POPのアーティストは派遣できないというオーダーは忠清南道からあって、それが集められる場所はどこかということを本県で検討した結果、奈良公園しかないと、こういうふうになったということです。

記者(読売新聞):
 その1万人規模というところは、先ほど会場の選定もまた再度検討されているということですけれども、その辺りの規模感も変えずにということなんでしょうか。

知事:
 いや、規模感を変えないと経費は節減できないので、規模感を縮減した形での開催方法についても協議しています。

記者(読売新聞):
 有料化についてはどのような検討が進んでいますでしょうか。

知事:
 有料化についても、最初から有料という形にするのか、クラウドファンディング的な形での有料化にするのか、そうした複数の手法について今検討しています。

司会:
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 昨日の一部報道であった、奈良県として、奈良公園ではなくて、屋内ホールでの開催の方針を固めて、そういうふうにしてくれと申し入れたというのは、そこまで確定した話ではないということでいいのでしょうか。

知事:
 屋内でしかできませんというような言い方ではなくて、屋内も含めて、開催経費を安くできるような手法を協議、検討していると、そういうことです。

記者(朝日新聞):
 つまり、経費節減の手法として、屋内という選択肢もあるということを提示されたということですか。

知事:
 はい、おっしゃるとおりです。

記者(朝日新聞):
 奈良公園での開催というのもまだ選択肢の一つではあるということですか。

知事:
 はい、そうです。

記者(朝日新聞):
 この間の会見でおっしゃったトップ会談をウェブでやられた後に、忠清南道の担当の方がこちら来られて、奈良公園以外も見られたということなんでしょうか。

知事:
 奈良公園以外も行かれましたね。

記者(朝日新聞):
 屋内のホールですか。

知事:
 屋内も屋外も行きましたけど、まだ決定してないので、そこの言及は控えさせていただきます

記者(朝日新聞):
 有料化について、入場料、観覧料として取るか、クラウドファンディング方式という話で、クラウドファンディングというのは、どういうものを想定しておりますでしょうか。

知事:
 一定額以上の寄附を募ってその返礼品というような形で、ふるさと納税みたいな形をイメージしていただいたらいいと思うんですけど、返礼品的な形でチケットを渡すというようなやり方も含めて検討しています。

司会:
 毎日新聞さん。

記者(毎日新聞):
 1万人ぐらい入れる場所じゃないとアーティストを派遣できないという話があったとおっしゃったと思うのですが、このまま規模を縮小した際に、アーティストを呼べなくなる可能性があるということも知事としては是とされるのかどうかをお伺いしたいです。

知事:
 屋内ということになれば、1,500人しか入れませんので、そうすると超人気のあるK-POPのアーティストは派遣できないと言われる可能性はあるかなと思っています。

記者(毎日新聞):
 言われた場合、知事としてはどう判断されるおつもりなのかという点はいかがでしょうか。

知事:
 最終的には、これは私の判断じゃなくて、申し入れされた議員さんの判断になると私は思っています。というのは、私が幾らこうしてほしいと言っても、予算が通らなければイベントは開催できませんので、この案件については、もう賛成された議員さんに最終決定権があると私は認識しています。

司会:
 読売新聞さん。

記者(読売新聞):
 賛成された県会議員さんのほうからの申入れというのがあったと伺っており、例えば屋外での開催を中止することといった文言なども入っているようなんですけども、その辺りも踏まえた協議をされているということでしょうか。

知事:
 その申入れの趣旨も踏まえて、忠清南道と最終的な交渉というか、協議をしているという状況でございます。

記者(読売新聞):
 交渉の中で、忠清南道としてはアーティストが決まっているとか、こういったものとかというのはまだ提示は受けてないということでしょうか。

知事:
 アーティストの提示は受けておりません。

司会:
 朝日新聞さん。

記者(朝日新聞):
 ネットでも大きな反発があったりもしていて、その中には韓国へのヘイトと取れるような発言もあるかと思いますし、知事にもそういった発言が投げつけられているかと思います。こうした状況自体、知事はどうご覧になってらっしゃいますか。

知事:
 非常に残念だと思っています。

記者(朝日新聞):
 その意味でも友好親善を図る意義自体はあるんだろう思うのですが、現時点で賛成した議員に最終決定権があるとおっしゃいました。こういう日韓交流事業自体への意義とか、意欲というのは、知事は現時点でどう思ってらっしゃるのか、お聞かせいただけないでしょうか。

知事:
 Xにも書きましたが、建国のときから大陸や韓半島の影響を受けて日本という国はできているわけですよね。遣隋使や遣唐使が派遣されたり、あるいは、渡来人と呼ばれる方が日本に来て、大陸や韓半島のほうが当時は技術や文明が進んでいましたので、そうしたものを取り入れて日本という国ができたという経緯があって、当時は大和朝廷の本拠地は飛鳥にあったり、藤原京にあったりしたわけでございます。やっぱりそういった意味で、我が国の建国の地であって、その頃から韓半島と交流のあった奈良県が交流を続けるという意義は、非常に大きいんじゃないかなと思っております。そういう歴史的な背景とともに、ユン大統領が就任後、日韓関係が非常によくなりました。今、韓国で政権が交代するのかどうかよく分かりませんけれども、いずれにしても、韓国の政権がどうなろうとも、今の我が国の置かれた安全保障の環境なども考えれば、日韓関係というのは非常に重要だと私は思ってまして、政府も同じ考えだと思っています。この前、岩屋外相と韓国の外相が会談をされて、日韓の友好親善というのはこれからも続けていきましょうと、特にその会談の中でも、これから若者の交流を進めていかなくてはいけないということが確認されたわけなので、そういう意味でも、日本の若者に非常に人気があるK-POPを中心とした音楽交流イベントを7世紀から韓半島と交流がある奈良県でやるというのは、非常に意味があるんじゃないかなと思ってます。

記者(朝日新聞):
 ユン大統領が逮捕されて、韓国は政情不安抱えているわけですが、それ自体がこの事業の継続において影響を与える可能性というのはあるのかといったあたり、現時点ではどう見てらっしゃいますか。

知事:
 それはないというふうに忠清南道に確認しています。

記者(朝日新聞):
 忠清南道側が、それは関係なく、進めたいという意欲を持っておられるということですか。

知事:
 そのような意向を表明されました。

記者(朝日新聞):
 今回、県会議員の方たちからいろいろな形で申入れが示されているわけですけれども、忠清南道側はそれに対して理解を示してくださっているということなのか、理解を得るよう県として努力しているというところなのか、この協議が今どういった状態なのかというところをもう少しご説明いただければなと思うんですが、いかがでしょうか。

知事:
 12月議会で一部の予算と債務負担行為が可決はされましたけれども、もう一回、2月の議会で予算を可決してもらわないと、このイベントはそもそも実施できないということ、賛成議員からも経費節減を求める申入れ書が提出されていて、経費節減に関して、その賛成した議員が納得いただけるような案を示さない限りは、2月の議会で予算が否決されるおそれが高いということ、よって、経費節減について、ご理解、ご協力を賜りたいと、こういうことをお伝えしていまして、一定、奈良県が置かれた状況については、ご理解はいただいているとは思っております。やはりK-POPのコンサートを派遣するに当たって、規模感というのが非常に重要だということです。規模感とステージの造りですね。大きなステージを造って大型モニターを配置して、レーザー光線で盛り上げる、これがK-POPの有名なアーティストのコンサートには必須ということを聞いています。それを屋外でやろうとすると、2億7,000万ぐらいはかかってしまうんですよね。その規模感が前提なので、忠清南道側としても、屋内での開催というのについては非常に問題があるという意向ではないかなと思っています。

記者(朝日新聞):
 それをやろうと思うと、屋外になるとのことですが、ただ、現時点では、奈良公園でやるとなると、これだけ反発も大きい中で、より警備も厳重なものにしなければならないとか、懸念される点も多いと思うのですが、現実的にはもう奈良公園でやるのはかなり難しいと見ていらっしゃるんでしょうか。

知事:
 多額の経費がかかる分をクラウドファンディングのような形の寄附金収入で賄えるということであれば、県会議員の皆さんが賛成していただけるのかどうか、最終的にはそういうことだと思います。




学研高山第2工区について




記者(朝日新聞):
 昨年末のことになるのですが、生駒市の高山第2工区の一部地区で土地区画整理事業の準備組合が設立され、事業開始の一歩手前というところまで来たと思います。これまで知事は議会答弁等で、生駒市から具体的な事業内容が示されれば、県も協力していきたいと述べておられるのですが、実際に、どういう時期に県としての協力の在り方を視野に入れておられるのか、お考えを教えていただけますでしょうか。

知事:
 令和4年10月に立ち上げられた学研高山地区第2工区事業推進会議に県は参加しております。それと生駒市が進めるまちづくりを実現していくとなると、奈良県が定めた関西文化学術研究都市の建設に関する計画を変更しなければなりません。この計画は288ヘクタールのほとんど全てを住宅地にし、2万4,000人の規模のまちにするというような案だったのですが、生駒市が考えている案はそういう案ではなく、産業集積を図るということを考えられてます。まず、この県の計画を変更するということについて、県が動かないといけないと考えております。それから、土地区画整理事業というスキームでやられると聞いていまして、その土地区画整理事業の認可権者が奈良県なので、これについても、生駒市や土地区画整理組合等と協力して、認可に向けた作業をしていく、こういうことになろうかと思っております。

記者(朝日新聞):
 この事業は知事が生駒市長だったときに、財政面等の懸念からURとか、当時の県との折り合いがつかず、頓挫した経緯があると思います。今おっしゃったように、当時のニュータウン計画とか、大学誘致計画と、今の生駒市が進める企業立地中心の計画というのは、大分中身が異なっていると思うのですが、一方で大きな開発計画という点では同じかと思います。今、知事が見ておられて、現計画に対して、県にとっての将来的なメリットと、逆に進めていく上で考慮すべきリスクみたいなものを併せて教えていただきたいです。

知事:
 学研高山地区第2工区は、大阪府に非常に近いという優位性があると思ってます。交通の便に関していいましても、国道163号線がかなり整備されてきていまして大阪市内への車でのアクセスもいいし、けいはんな線が学研奈良登美ヶ丘まで来てますので電車のアクセスもいいということですから、産業用地としてのポテンシャルは非常に高いと思ってます。奈良県は、人口減少を少しでも防ぐために、そういう企業の集積を図っていかなくてはいけないと考えています。その企業集積を図る場所として非常に有望な場所ですので、そういう意義もあると考えております。リスクにつきましては、その土地が売れ残るというリスクだと思います。これは土地区画整理組合が最終的にリスクテイクするということになると思いますので、保留地が販売できて、事業収支が合うようなスキームを組合で考えられるのではないかと認識しています。

記者(朝日新聞):
 分かりました。ありがとうございます。

司会:
 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。




※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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