令和7年2月13日(木曜日)知事定例記者会見

【冒頭コメント】
流域下水道管渠の緊急点検等の結果について

【発表案件】
国民スポーツ大会を見据えた競輪場の再整備及び収益を活用した基金の創設等について
「奈良」が持つポテンシャルを最大限引き出す 産業政策のパッケージ2025
奈良県公契約条例の制度見直し ~SDGs企業認証取得による評価を導入等~
奈良県・忠清南道交流推進事業について

【質疑応答】
スペイン、イギリスへの渡航について





司会:

 お待たせいたしました。

 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。

 本日は、知事からの発表案件が4件ございますが、冒頭のお時間をいただき、下水道管渠の緊急点検結果について知事からコメントいたします。知事、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

流域下水道管渠の緊急点検等の結果について

 

 

 

 

知事:

 既に2月7日に分かった範囲で点検結果をお知らせさせていただきましたが、その後の状況について説明させていただきたいと思います。

 まず、調査の結果、下水道の管渠、つまり下水道の管そのものの異常というのは確認されませんでした。一方で、下水道管が埋設されている道路の下の空洞の調査につきましては、39か所で空洞の疑いが発見されました。この39か所のうち、2か所については、道路表面より比較的浅い位置にあり、路面陥没が発生する可能性が高いということから詳細調査を行いまして、その2か所で比較的小規模な空洞が確認されました。既にその空洞を改修するための補修工事は完了しております。残り37か所については、もう少し深いところにありますが、今後、詳細調査を実施して、空洞の有無や空洞の大きさなどを点検、確認してまいりたいと考えております。以上です。

 

司会:

 ただいまのコメントにつきまして、ご質問がございましたらお願いいたします。

 奈良テレビさん。

 

記者(奈良テレビ):

 39か所のうち2か所は浅い位置にあるので、調査をした上で、もう既に修繕、修復はされたということですが、工事をされた日付はいつになるんでしょうか。

 

知事:

 昨日、2月12日です。

 

記者(奈良テレビ):

 では、2か所については、昨日、2月12日中に修繕が終わったということですね。

 

知事:

 はい、そうです。

 

記者(奈良テレビ):

 分かりました。ありがとうございます。

 

司会:

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 2か所で小規模な空洞があったということですが、担当課から伺った限り、1か所については、開いてみたら空洞はなかったと聞いたような気がするんですが、そのあたりの事実関係はどうなんでしょうか。

 

知事:

 2か所のうち、1か所については、試掘調査の結果、異常なしということだったんですが、さらに、その試掘箇所の周辺に対象を広げて詳細な調査を実施したところ、舗装から20センチぐらい深いところの位置に空洞が発見されたということでございます。

 

記者(毎日新聞):

 初めに行った調査と、次に行った調査の規模を、それぞれお伺いしてもいいですか。規模をなぜ広げたのかというところも併せてお伺いしたいんですが。

 

下水道マネジメント課:

 最初の試掘調査でございますけども、本来、最初に現地で詳細調査をして、どこに空洞があるか、レーダーである程度確認した後で掘っていくんですが、このときは車道上でしたので、まず危険性がないかということを取りあえず確認するため、1平方メートルぐらいの狭い範囲で掘りました。そのときは異常がなかったということです。昨日、もう一度現地で、少し広範囲にハンディータイプのレーダーを走らせまして、具体的にどこに空洞があるかを詳細に調べた後で、実際に試掘したところ、隣接箇所で空洞が発見されましたので、スポークカメラを入れて確認、開削した上で埋め戻して、補修を完了しているというところでございます。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

記者(読売新聞):

 その空洞が見つかった2か所についてお伺いしたいんですけれども、さきほど比較的浅いところと説明されていた車道と歩道のところで、それぞれ1か所ずつ空洞が見つかったという理解でいいんでしょうか。

 

下水道マネジメント課:

 はい、その2か所になります。

 

記者(読売新聞):

 その見つかった2か所については、比較的小さいということでしたけども、それぞれ、どの辺りの地点でどのぐらいの規模の空洞があったのかということを、もう少し詳細に教えていただけますか。

 

下水道マネジメント課:

 まず、先ほどありました、2月7日に試掘調査を行った箇所でございますけども、その箇所につきましては、舗装面から約20センチの深さのところで、厚さ20センチ、縦90センチ、横120センチぐらいのちょっと薄い横長の空洞がございました。もう1か所、県道の歩道の箇所については、同じく舗装から約20センチの深さのところで、厚さ20センチ、縦50センチ、横60センチぐらいの、より小さな空洞が発見されまして、それぞれ埋め戻して補修を完了しているところでございます。

 

記者(読売新聞):

 埋め戻すというのは、土を入れるという理解でいいんでしょうか。

 

下水道マネジメント課:

 そのとおりです。その場所をもう少したくさん掘りまして、緩みがないかも実際にしっかり確認した上で、土をしっかりと転圧して埋め戻したという形でございます。

 

記者(読売新聞):

 素材的としては土でいいんですか。何か、コンクリートのようなものですか。

 

下水道マネジメント課:

 土でございます。

 

記者(読売新聞):

 はい、分かりました。

 

司会:

 NHKさん。

 

記者(NHK):

 八潮市の事故以降も、全国各地で陥没や水道管の破裂といった事故が相次いでいますけども、奈良県でもこういった空洞が2か所確認されたということで、不安に思っていらっしゃる県民も多いと思いますが、県民の皆さんに知事からメッセージをお願いいたします。

 

知事:

 上水道管も下水道管も敷設してから結構年数が経っているものも少なくありません。県が管理しているのは、口径の大きい、処理場の近くの部分だけでございまして、あとは基本的に市町村が管理しているところでございます。その市町村におかれましては、そういう老朽化した下水道管の更新工事については、計画的、年次的に進めていっていただきたいと思っております。上水道につきましては、奈良市と葛城市は入りませんが、今般、県で一体化されますので、企業団で既に管路の更新計画を立てており、それに従って計画的、年次的に進めてまいりますので、すぐというわけではございませんが、きちんとした計画の下で進んでいきますのでご安心いただければと思います。県が管理する口径の大きい下水道管以外は、市町村の所管なので、市町村でしっかり対応していただきたいと思っております。

 

記者(NHK):

 県としては、県が管理する下水道も管理を進めていくし、市町村は市町村で管理を進めていくということですが、今、全国的に不安が高まっている状況で、その辺りについてはどういうふうにお考えでしょうか。

 

知事:

 敷設から既に四、五十年経っているものもあって、そういう危険というのはありますが、ただ、それを県民の皆さんが事前に予測して回避行動を取るというのは実際無理ですよね。路面の下の状況は誰にも分かりませんから。ですから、それは我々行政がきちんと計画的に管路の更新などをしていかなければいけないということに尽きるかと思います。繰り返しになりますけど、上水道については、県と市町村で企業団という特別地方公共団体を設立しており、基本的に計画を立ててきちんと進めていくので、そちらについてはご安心いただきたいと思います。下水道については、今回は緊急点検ということでございましたので、県管理の部分については、国交省から示された範囲でやりましたけれども、国交省等から新たな指針、点検指針が示されるかもしれませんし、他府県の動向等もにらみまして、今後さらにしっかりと対応していきたいと思います。また、八潮市の事故の原因がはっきりした段階で、その原因となったような事象が、本県が管理する下水道管で起きてないかどうか、また改めて追加調査の必要性について検討したいと思います。市町村の所管する分については、市町村でしっかりやっていただきたいと思いますし、県も必要に応じてそういうアナウンスはしていきたいと思っております。

 

司会:

 共同通信さん。

 

記者(共同通信):

 あとの37か所については、いつ頃、調査をして、工事を行う予定でしょうか。

 

知事:

 それにつきましては、できる限り速やかに行いたいと考えておりまして、できれば今月中には終えたいと思っております。

 

下水道マネジメント課:

 今月は現地における詳細な調査をしまして、箇所ごとに道路管理者が異なりますので、その原因であるとか大きさを勘案して、補修の対応をしていきたいと考えております。

 

記者(共同通信):

 分かりました。

 陥没のおそれがあった県道と市道の2か所については、調査、改修を行ったということで、もう陥没のおそれはなくなったという理解でよろしいんでしょうか。

 

知事:

 はい、そのように認識しております。

 

記者(共同通信):

 分かりました。

 あと、これはイメージするためにお伺いしますが、例えば、市道のほうは、縦90センチ、横120センチの空洞があったということですが、その厚さというのはどういった部分なんでしょうか。

 

知事:

 その空洞の厚みということです。

 

記者(共同通信):

 高さみたいなイメージですか。

 

知事:

 はい。

 

記者(共同通信):

 県道のほうが、縦50センチ、横60センチで、厚さ20センチということですね。

 

知事:

 はい。

 

記者(共同通信):

 分かりました。以上です。ありがとうございます。

 

 

 

 

国民スポーツ大会を見据えた競輪場の再整備及び収益を活用した基金の創設等について

 

 

 

 

司会:

 それでは、発表案件のほうに移らせていただきます。

 1件目は、「国民スポーツ大会を見据えた競輪場の再整備等について」でございます。知事、よろしくお願いいたします。

 

知事:

 それでは、資料をおめくりください。県営の競輪事業でございますけれども、今後の方針というところで記載しておりますが、(1)競輪事業の存廃を議論する奈良県営競輪あり方検討委員会での「事業継続」という提言を踏まえまして、競輪事業を継続していきたいと考えております。2番目といたしまして、事業継続のために競輪場敷地全体に点在する老朽化した施設を建て替え等によって集約化していきたいと考えております。時期といたしましては、国民スポーツ大会のリハーサル大会が開催される令和12年度までの工事完了を目指したいと考えております。奈良県営競輪あり方検討委員会の25回目の委員会での議論について、そこに記載させていただいておりますけれども、10年間以上黒字を継続しており、一般会計にお金を入れてくれているということと、コロナ終息後も経営状況は堅調に推移しているということから、中長期的に競輪事業を実施することが妥当という判断でございました。事業継続での課題等でございますけれども、施設設備の老朽化、それから、社会環境の変化、つまり、インターネットで車券を買ったり、投票する人が大半になっておりますので、来場者数に対して施設規模が過大になっているという意味でございます。それから、開催形態の多様化、これは、夜間とかミッドナイト開催が増えていたり、ガールズケイリンといったものが開催されるようになっており、女子選手用の設備が不足しているといったことでございます。それから、ギャンブル等依存症対策といったことでございます。そうしたことの課題があるということを踏まえた上で、施設の再整備費用及び財源等の見込みというところでございますけれども、この老朽化した施設を集約化して、女子選手に対応した設備も新たに設け、照明機器等もきちんと整備するといったことで、整備費用としては95億円を予定しておりますが、これに税金は一切使いません。既に事業の収益金から約46億円を積み立てております。今後、令和6年から令和11年の事業収支において、約85億円の利益が発生するというふうに考えておりまして、そのうち49億円を施設整備に使いまして、残り36億円は一般会計に繰り出すという予定でございますので、県民の皆さんの税金を使うということは予定しておりません。資料には記載していませんが、ギャンブル等依存症への対策等も昨年より強化して実施しているところでございます。

 資料をおめくりください。施設整備の概要でございますけども、総事業費は、先ほど申しましたように約95億円でございます。再整備期間は令和8年度から令和11年度で、再整備の手法はDBO方式というものでございます。デザイン・ビルド・アンド・オペレーションによる一括発注でございます。スケジュールについては、その右上に記載のとおりです。再整備のイメージにつきましては、下にイメージ図がございますけれども、以前は競輪場に来場される方が多かったので、スタンドも多く設けていたわけですけど、今は実際に来場される方は本当に少ないので、競争路の北側に新スタンドと記載していますが、そこに設けるだけでございまして、現在、競走路を取り囲むように配置されているようなスタンドは設けません。1か所のみとなります。それから、選手宿舎には女子用のものがございませんので、選手宿舎の西側に新たに女子選手用の宿舎を増築する予定でございます。左側の現状図でございますけども、赤くなっている施設が耐震性がないものということで、今回解体する施設でございます。黄色の施設については、耐震性がございますので、そのまま使うということでございます。

 続きまして、3ページでございますけれども、今般、この競輪事業の収益金を活用した基金を新たに設置する予定でございます。現在、競輪については、特別会計がございます。一番左側の図ですけれども、収益金は、基金に積み立てるものと翌年度に繰り越されるもののほか、一般会計に繰り出されるものがあります。一般会計の繰出額は、上のほうに記載の通り、令和5年度の実績額で4.4億円となっております。今までは、この一般会計に繰り出された競輪の収益については、特に使途を決めることなく使っていたわけでございますけれども、今般、この一般会計への繰出金のうち、原則2億円を基金に積み立てることとします。そのうち1億円はスポーツ振興に、残り1億円は文化振興に使います。そのそれぞれのお金について、まず、スポーツ振興については、新たに設置する基金、「未来へつなぐスポーツ・文化振興基金」というのに積み立てまして、国民スポーツ大会等に必要なスポーツ施設の改修や備品の購入に充てたいと思っております。体操器具とか、バスケットボールゴールなどでございます。文化振興の1億円については、5,000万円ずつ分けまして、まず、最初の5,000万円につきましては、先ほど申し上げた「未来へつなぐスポーツ・文化振興基金」に積み立てまして、文化振興を図るための備品や施設の充実に使わせていただきます。例えば、整備中の県文化会館において再オープン時に必要となる備品の購入などでございます。残りの5,000万円は、既にございます「美術品等取得基金」に積み立てまして、絵画の購入とかに充てたいと考えております。一応、2億円を原則としておりますけれども、収益状況によって積立額は変動するものでございます。

 私からの説明は以上となります。

 

司会:

 それでは、ご質問がございましたらお願いいたします。

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 新しい基金の創設のところなんですけれども、これまで一般会計で使っていたということから、基金を設立して、使う目的、使途を決めたということだと思うんですけど、その意味合い、理由は何なんでしょうか。

 

知事:

 これから国スポ、全スポがあり、そういったスポーツ事業に非常にお金がかかってまいります。それから、県立文化会館についても現在建て替え中ですし、県立美術館についてもいずれ建て替えの時期が来ます。そうした意味で、今後、スポーツ、文化の分野で非常にお金がかかってくるというのが1点と、それから、3つの責任ということを言わせていただいておりますけれども、奈良県の未来をつくる子供や若者への責任というものを果たしていく上で、やはり、こういったスポーツや文化の面で秀でた子供を育成するということは、本県の教育行政の大きな目的だと考えておりますので、そういった子供の育成、それから、子供のみならず、大人でもスポーツや文化活動が好きな人も多いので、これから高齢化に伴って、余暇活動をそういうスポーツや文化で時間を過ごす高齢者も増えていきますから、そういった高齢者の健康づくりとか、生きがいづくりとか、そうしたことにもスポーツや文化の振興が寄与していきますので、そういう目的から、今般、使途を明確化することにしたわけでございます。

 

記者(朝日新聞):

 金額ベースでいうと、前年度は4.4億円を一般会計に繰り出しているということですけれども、何かこれまでの使途の在り方に知事自身が疑問を持たれたとか、そういうマイナスな要素があったということではないんですか。

 

知事:

 そういうことではないですね。今申しましたように、スポーツ、文化に対する資金需要というのが高まるというのと、また、県民の皆さんのニーズというのも高まるので、そうしたところに充てるということで、使途をはっきりさせたほうがいいんじゃないかと思った次第でございます。

 

 

 

 

「奈良」が持つポテンシャルを最大限引き出す 産業政策のパッケージ2025

 

 

 

司会:

 それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。

 2件目は、産業政策のパッケージ2025についてでございます。知事、よろしくお願いします。

 

知事:

 産業政策のパッケージにつきましては、既に令和6年度から本格的に進めているところでございます。1枚目をご覧ください。昨年2月に取りまとめました新しい産業政策のパッケージに基づき、これまで施策を展開してまいりました。CRMと呼ばれる顧客情報管理システム等を活用しまして、施策情報を積極的に発信してまいりました。今年度の成果や企業の声などを踏まえまして、令和7年度も施策を展開していく予定にしておりますが、今般、施策の実施状況や令和7年度からの新規施策についてご説明させていただきたいと思います。

 2ページ目をご覧ください。新たな産業政策のパッケージは、この8つの柱から成っております。

 1番目、人材確保の抜本的強化でございますけれども、これまでの取組といたしまして、奈良県への移住促進に向けた取組方針というのをまとめ、これ、昨年末の記者会見で発表させていただいたところでございます。それから、働きたい、起業したいといったシニア世代のニーズに対応した高齢者向けの就業支援というのを検討してまいりました。ちなみに、65歳以上の有業率につきましては、全国平均が25.3%に対しまして、奈良県は21.9%ということで、全国平均と比べて、65歳以上の高齢者の有業率が少し低いという状況にございます。それから、県内の企業さん、どこも人手不足ということで困っておられますので、学生と企業をより深く強くつなげる取組といたしまして、県内企業を知らない中高生に県内企業の魅力を知ってもらう機会として、県内企業を訪問するバスツアーというのを実施しまして、延べ124社、延べ約2,830名の学生が参加されております。新たな取組として、既に12月25日発表しましたけれども、移住促進のための取組といたしまして、大都市圏での情報発信や相談拠点の設置やプロモーションの充実強化をしてまいります。東京と大阪で、これまで人を配置してなかったんですけど、相談ブースに人を置いたり、情報発信の内容を充実するといったものでございます。それから、定年後のキャリアチェンジを支援するため、一元的な相談窓口の設置をするなど、全庁的にこれから対応していきたいと考えております。これはまた別途発表させていただきます。バスツアーについては、引き続き実施していきます。

 4ページは、大都市圏での情報発信・相談拠点の設置に関する詳細でございます。

 5ページ、用地確保と先進的なグリーン化でございますけれども、市街化調整区域における土地利用をもう少ししやすくしてほしいという要望が、市町村や企業さんから非常に多く寄せられております。都市計画制度というのは、基本的に市街化を抑制するという趣旨でつくられた制度でございますけれども、現在は、人口減少局面なので、市街化を抑制するための都市計画制度というのが今の社会経済情勢に合致していないという状況にございます。奈良県は、比較的、商業用地、工業用地になり得る土地がまだ残っておりますが、それが非常に使い勝手が悪いというようなことがございまして、そうした問題に対応するために、市街化調整区域における土地利用の在り方について、現在、まちづくり推進局で検討しています。こちらにつきましては、また3月に発表させていただきたいと考えております。それから、企業が新たに事業用に何か土地を活用する場合、埋蔵文化財の発掘調査に予測不能な期間と費用がかかるという問題がございました。これについても既に対応しているところでございますけれども、令和6年度中を目途に中期的な発掘調査量の公表を行いまして、民間事業者の埋蔵文化財発掘調査事業への参入を促していきたいと考えております。それから、先般発表させていただいた奈良県版SDGs企業認証制度というものを構築するとともに、脱炭素戦略も今年度中に策定していきたいと考えております。新たな取組といたしましては、先般発表させていただいたSDGs企業認証制度が新規の取組となります。

 6ページは、奈良県版SDGs企業認証制度の概要でございます。

 3番、生産性の向上と新規事業への強力な支援でございますけれども、今年度は、宇陀市におきまして、ドローンを活用しました日用品の配送事業実験というのを20日間実施をいたしました。今後、事業化に向けて、事業者等に呼びかけて、この実証実験の結果を提供して、新規事業化を図っていきたいなと考えております。新たな取組につきましては、記載のとおりでございますけれども、まず、宿泊施設の誘致に関することで申し上げますと、宿泊施設に関するデータを取りまとめまして、事業可能性を分析した営業ツールというのを作成し、誘致を強化していきたいと考えております。それから、先ほど申しましたドローンですね、ドローンの実証実験の結果を活用して、社会実装につなげていきたいと思っております。それから、来年度の新規事業でございますけれども、省力化、業務プロセスの改善などによる生産性の向上と賃上げにつながる設備投資に対し、新たに補助をするという制度を用意しております。これは1件の上限が500万円でございます。補助率は2分の1となっております。

 8ページは、ドローンの実験の内容でございます。

 9番は、行政対応の不満、ボトルネックの解消という項目ですけれども、これにつきましては、専任担当者制度、略称「まいど!県庁です!!」というのを開始いたしまして、現在、県内60社に担当者が定期的に訪問をして、企業さんとのコミュニケーションを密にしております。それから、CRM、カスタマーリレーションシップマネジメントというシステムを活用しまして、交換した名刺をこのシステムに入力をいたしまして、県の産業施策に関する情報をこのシステムを活用して一斉にメール配信するといったこともしております。これまで、県がいろいろ企業さん向けの制度というのを用意していましたが、なかなかそういうのがあるということを企業さんに知られてなかったという、そういう反省がございまして、その制度の利用を待つという姿勢ではなくて、やっぱりプッシュ型で情報提供していくことが非常に重要であるという考えから、こうしたことをしていくものでございます。新たな取組といたしましては、専任担当者制の対象企業を追加します。現在、県庁職員1人1社ですけど、これ、1人2社担当するということで120社にしていきたいと思っております。それから、引き続き企業訪問ですね、ご用聞きについては100社程度、令和7年度で実施していきたいと考えております。

 次に、海外展開の支援でございますけれども、ジェトロ奈良に、奈良県海外展開サポートデスクというものを設置して、初心者も含めて、相談に対応しているところでございます。引き続きこの事業を進めていきたいと考えております。

 11番、重点的な外国人材の呼び込みでございますけれども、11ページ、今年度の事業で、ベトナムのホーチミン市工科大学とインターンシップ実施に関する覚書を締結いたしまして、同大学の学生を招聘し、県内企業でのインターンシップを実施いたしました。県内の企業6社に大学生10名がインターンシップを行ったということでございます。企業さんからは、非常に優秀で、卒業後、当社に就職してほしいとか、会社にとってよい刺激となったといった声が寄せられております。学生さんからも、インターンシップ先の企業に就職したい、日本での就業を体験し、人生のターニングポイントになったというような非常に肯定的なコメントが、学生さんからも企業さんからも寄せられております。来年度の取組といたしましては、シルキア奈良にございます外国人支援センターを日曜日も開所いたします。それから、在住外国人コミュニティ活動支援補助金の対象を、これを企業にも拡大していきたいと考えております。

 7番、事業承継でございますけれども、事業承継につきましては、県の事業承継・引継ぎ支援センターとの連携を強化して、専門家派遣などの取組への支援によりまして、事業承継の動きを後押ししてまいりました。令和6年度ですね、新規相談件数は193件ございまして、成約、完了件数は46件で、新たに県の補助制度として事業承継に必要な取組に対し補助金制度を創設したんですけれども、3件のご利用がありました。それから、また、県内で長年企業活動を行って、本県の経済の振興に貢献した企業を100年企業として顕彰する制度を新たに創設いたしました。本年3月下旬に表彰する予定でございます。それから、来年度以降の新たな取組といたしまして、優秀な後継候補者を受け入れる素地のある企業を県内金融機関と連携し、開拓していきたいと考えております。

 スタートアップの支援につきましては、そこに記載のとおりでございますけれども、来年度以降の新たな取組といたしまして、スタートアップが提供する製品やサービスの市場や需要の創出策として、スタートアップからの公共調達ということを応援していきたいなと思っております。具体的には、スタートアップと県内の地方公共団体や県内企業とのマッチングの機会というのを県が設けていきたいと考えております。

 14ページは、その詳細でございます。

 長くなりましたが、私から産業政策のパッケージ2025についてご説明をさせていただきました。

 

司会:

 それでは、ご質問がございましたらお願いいたします。

 日経新聞さん。

 

記者(日本経済新聞):

 4番の行政の対応のところですが、専任担当者を倍に増やすことについて、これは、会社の規模が基準なのか、あるいは、事業の技術の種を持っているとか、何か支援する強化したいところがあるかどうかという基準も含めて増やしていくということでしょうか。

 

知事:

 新たに追加する60社をどういう基準で選ぶかと、そういったご質問ですか。

 

記者(日本経済新聞):

 はい。

 

産業創造課:

 今現在、専任担当の対象としている60社も、基本的には売上高であるとか、生産力であるとか、事業規模の大きいところを対象にしておりまして、引き続きその流れで追加の企業も選択していきたいと考えております。といいますのは、できるだけ影響力の大きいところに専任が張りつくというところで考えておりまして、それ以外の、例えば小規模な事業者であるとか、企業団体とかにつきましては、個別にヒアリングをするとか、この専任担当以外の方法で、お困り事とか、意見を聞くという、そういう取組をしておりますので、こういう考え方で仕切っております。以上です。

 

記者(日本経済新聞):

 1年間、新しい産業政策を進めてきて、来年度、もう少し重点的にここを強くしたほうがいいのではないかと考えていることはありますか。

 

知事:

 今後どういう分野に力を入れていきたいかということですかね。

 

記者(日本経済新聞):

 そうですね。1年間やってみて、何か方向性はありますか。

 

知事:

 そうですね、やっぱり企業さんがお困りなのは人材確保と用地の確保、これが大きいんじゃないかと思います。行政対応の不満とかボトルネックの解消につきましては、既にある程度改善されていると思いますし、市街化調整区域の土地利用の在り方の見直しも来年度から実施しますので、ある程度それは解決に向かっているかなと思っております。ですから、企業さんのニーズが一番高いのは人材と用地の確保ですから、それについてお手伝いをしていくということでしょうかね。あと、事業承継も非常に重要な問題で、もう廃業してもいいやというようなマインドの経営者の方も少なくないので、そのマインドをどう変えるかは、なかなか難しい課題かなと思っております。

 

 

 

 

奈良県公契約条例の制度見直し ~SDGs企業認証取得による評価を導入等~

 

 

 

 

司会:

 それでは、次の発表案件に移ります。

 3件目は、奈良県公契約条例の制度見直しについてでございます。知事、よろしくお願いします。

 

知事:

 1枚目をおめくりください。まず、公契約とは何かからご説明させていただきます。2番の、公契約とはというところに書いておりますが、まず、県が発注する建設工事の請負契約、それから、県が業務を委託する契約、県が指定管理者と公の施設の管理に関する協定を結びます。こういった県が発注者となるものを公契約と呼んでおりますが、このうち、業者選定時に総合評価方式ということで価格以外に事業者の社会的な価値の取組を評価する制度が、今申し上げている奈良県公契約条例が定めている制度でございます。総合評価落札方式とは、請負金額が大きい建設工事について、この総合評価落札方式を導入しているんですけれども、イメージとしては、価格点の満点が100とした場合、その100のうち、Cの部分で、社会的な貢献具合を新たに価格以外の評価項目として、落札者を決める制度でございます。もう少し具体的に申し上げますと、3,000万円以上の予定価格の契約と、同じく3,000万円以上の指定管理の契約、これが奈良県公契約条例の対象となります。この3,000万円以上の委託契約、そして、3,000万以上の指定管理契約に関して、平成27年4月に条例を制定いたしまして、労働条件とか、女性活躍、障害者雇用、環境、人権、そうしたことを評価項目として設定し、県発注の業者選定時に活用してきました。この10年間の実績といたしましては、250件の特定公契約を結んでおりまして、適用対象となった労働者は約6,000名となっております。

 今般、その見直しをするのですが、その次のページでございますけれども、まず、従前は、この標準配点コースというもののみがございました。今般、この標準配点コースの割合を、従前は10%でございましたが、12%に増やすということと、右側で、総合力評価コースを新たに新設しまして、先般説明した奈良県版SDGs企業認証を取得した場合には、個々の評価はせずに、満点の12点を与える制度を新設をいたします。それから、3、4で書いてございますが、新たに事業者に労働関係法令の遵守の表明を求めることと、応募する業者の事務負担を軽減するために、賃金支払い状況等報告の報告内容を減らすということで、改正を加えます。以上が奈良県公契約条例に基づく制度の見直しでございます。

 

 

 

 

奈良県・忠清南道交流推進事業について

 

 

 

 

司会:

 次の発表案件に移らせていただきます。

 4件目は、奈良県・忠清南道交流推進事業についてでございます。発表資料は今からお配りさせていただきますので、しばらくお待ちください。それでは、知事、よろしくお願いします。

 

知事:

 この間、定例記者会見におきまして、この交流事業の進捗状況について断続的にご説明させていただいておりましたが、今般、最終的な案が決まりましたので、ご説明させていただきます。

 まず、一番上でございますけれども、奈良県と忠清南道は、かつて、忠清南道に百済の都が置かれており、当時の百済と当時の大和朝廷が置かれた飛鳥が交流をしておりました。そういう歴史的、文化的に関係が深いということから、平成23年10月26日に友好提携を締結しております。令和5年の知事の相互訪問や令和6年の知事会談等を通じまして、次の項目を中心に交流を深めていくということで合意をいたしました。日韓音楽交流イベントの開催、日韓文化セミナーの開催、これは毎年相互に実施します、それから、職員の交流、eスポーツを通じた学生交流、知事が毎年交互に訪問するというものでございます。この5つについて、新たに実施していくことが決まったわけでございますが、そのうちの一つである日韓音楽交流イベントにつきましては、県の国際交流基金、これは奈良県が以前実施したシルクロード博の事業収益金を元に設置された基金でございますけれども、その基金に積み立てられているお金を活用いたしまして、令和7年度に2,900万円の予算で交流イベントを実施いたします。日程は10月24日金曜日、場所はなら100年会館大ホールとなっております。内容は、日本と韓国の伝統芸能の披露やK-POPのパフォーマンスとなっております。K-POPのパフォーマンスというのは、具体的に申しますと、日韓の高校生や大学生によるダンスパフォーマンス、それから、K-POPのプロアーティストによる演奏、歌やダンスということになります。費用は無料でございます。韓国・忠清南道から派遣されるプロアーティスト以外につきましては、そこに書いてございますとおり、韓国K-POP高校、これは忠清南道にあるんですけれども、このK-POP高校やソウル市と忠清南道にキャンパスがございますサンミョン大学、この韓国K-POP高校とサンミョン大学の高校生、大学生によるダンスのパフォーマンス、これは既に、写真がございますけれども、もう令和4年の時点でK-POP高校の高校生が奈良県に来まして、県内の高校生と交流しているという実績もございます。それから、忠南国楽団というのは忠清南道の公的な伝統芸能団体でございます。この韓国K-POP高校、サンミョン大学、それから、忠南国楽団から、この人たちはアマチュアでございますけれども、来られます。それとは別にプロのアーティストが来ます。プロのアーティストは二、三組来るという予定でございますが、まだどのアーティストになるかということは決まっておりません。それとは別に、日韓文化セミナーというのを10月25日に実施をいたします。開催場所は中南和地域を予定しております。テーマといたしましては、先ほど言いましたように、忠清南道に当時、都のあった百済と、当時、飛鳥に都のあった大和朝廷の交流、そうしたことをテーマに文化セミナーを開催する予定でございます。

 それから、2枚目の資料でございます。決定の経緯でございますが、県議会議員から費用削減の申入れ書がありました。さらに、屋内開催以外は認められないといった申入れ書も出されました。そうしたことを踏まえまして、忠清南道に県議会の意向を伝えましたところ、忠清南道から2つの案が示されたわけでございます。1つは、屋内開催の場合は、先ほど言いましたように、K-POPアーティスト2、3組で、それから、忠清南道内の芸術団体の派遣、それから、屋外開催の場合は、K-POPアーティストにつきましては、3組でございますが、S・A級が1組、それから、B級が男性グループ、女性グループ各1組、それから、さらにトップクラスのトロットと呼ばれる韓国の演歌の歌手5名、内訳は韓国人3名、日本人2名、それから、屋内開催の場合にも派遣される予定のK-POP高校、サンミョン大学、忠南国楽団等という内容の提案がございました。この2つの案が示されたわけでございますけれども、これを申入れ書を出された県議会議員にお示しして、県議会議員の意見を伺ったところ、案2は認められないということで、案1になったわけでございます。案2を県議会議員に提示するに当たって、開催経費につきましては、やはり2億7,000万はどうしてもかかるということでございましたので、それを県の国際交流基金からの支出額を減らすために、チケットを返礼品とするクラウドファンディングの可否について、忠清南道に問い合わせしましたが、チケットを返礼品とするクラウドファンディングというのは、有料公演との誤解を招くおそれがあるということから、認められないとお返事がございましたので、結局、案2の場合は2億7,000万かかることになります。案1の場合は約3,000万ということで、県議会議員にお示ししたところ、案1なら認められるというお返事でございましたので、そのように決定させていただいたということでございます。

 私からの説明は以上です。

 

司会:

 それでは、本件につきましてご質問がございましたらお願いします。

 共同通信さん。

 

記者(共同通信):

 確認ですが、寄附や有料化というのは、この音楽イベントに関しては全くなしということでよろしいですか。

 

知事:

 はい。ただ、自主的に寄附金とか、協賛金を寄せてくださる個人や団体があれば、それを拒否するということはございませんが、大々的に県が募ることは今のところ予定しておりません。

 

記者(共同通信):

 募らなくても向こうから打診があれば受ける場合があるということですか。

 

知事:

 はい、そうです。

 

記者(共同通信):

 分かりました。

 予算の関係でなんですけど、音楽のほうが2,900万円と文化セミナーが300万、これを令和7年度の当初予算に計上するということですか

 

知事:

 はい、そうです。

 

記者(共同通信):

 その場合、令和6年12月の補正予算で計上した2億5,000万の債務負担行為は、これは減額するということですか。

 

知事:

 そうです。

 

記者(共同通信):

 その場合はどれぐらい減額されますか。

 

知事:

 債務負担の額、全額が減額になると思います。

 

記者(共同通信):

 事務局をつくる等で45万円というのもありましたが、あれは残したままになりますか。

 

国際課:

 全額減額させていただきます。

 

記者(共同通信):

 その45万円も含めてということですか。

 

国際課:

 はい。

 

記者(共同通信):

 それがなくとも、2,900万と300万を計上すれば問題ないということですか。

 

知事:

 そうです。

 

記者(共同通信):

 それぞれ、この2,900万円と300万円の正確な額について、今分かりますか。

 

知事:

 いや、予算額としてこの2,900万円と300万円という金額でのっております。

 

記者(共同通信):

 分かりました。

 この音楽イベントについては、変わらず県外の方も来るということでよろしいですか。

 

知事:

 それをどうするかについては、まだ決めておりません。

 

記者(共同通信):

 県外の人を呼ぶか呼ばないかについても含めて決まっていないのでしょうか。

 

知事:

 まだ決めておりません。

 

記者(共同通信):

 分かりました。以上です。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 先ほど決定の経緯について教えていただいたところですが、時期的なことをもう少し詳しく教えていただきたいと思います。最終的に案1で行うと決定されたのは、いつどのような場で、でしょうか。

 

知事:

 それは、2月7日に私とキム知事がウェブで会談して最終的に決めました。

 

記者(朝日新聞):

 そのときに、結果的に大幅な計画の変更になったわけですが、忠清南道側知事、キム知事のほうからどのような受け止めがありましたか。

 

知事:

 その前の時点で、忠清南道側に県議会の意向を伝えたときには、忠清南道側は、先ほど言ったS・A級1組、それから、B級2組というトップアーティストを派遣するための予算を、忠清南道は忠清南道で、それなりに道議会議員の説得にご苦労されて、予算を認めてもらったという経緯があったので、こちらの事情でトップレベルのアーティストを派遣することができなくなることについては、大変残念な様子でございました、1回目のキム知事との会談の際はそうです。ただ、その後も私や、あるいは事務レベルで、奈良県議会の状況等を真摯に説明させていただいたところ、大変厳しい環境に置かれている我々の状況と、案1になるということについて、最終的に忠清南道側のご理解をいただいて、和やかな雰囲気で会談を終えることができました。

 

記者(朝日新聞):

 先ほど県議側からは、案1でしか認められないという意向だったということなのですが、これは、どの県議、どの会派に対して、そういうやり取りをされたのでしょうか。

 

知事:

 12月の県議会で補正予算案に賛成した、あるいは、もしくは退席した会派、自民党はその一部ですけれども、その会派の議員さんから申入れ書が出ましたので、その申入れ書を出された会派や議員さんに説明をさせていただきました。

 

記者(朝日新聞):

 では、申入れ書に名前が載っている方については、全員ご理解といいますか、案1で行うことに理解を得たというご認識でよろしいでしょうか。

 

知事:

 こちらのほうからは、県議会議員の皆さんのご意見を伺いたいということで、忠清南道から案1と案2が示されていると申し上げたのですが、そのときにすぐさまお返事をいただいたわけではなく、その後、各会派でご検討、ご議論をされて、その後、各会派の代表者等から案1とお話がございました。

 

記者(朝日新聞):

 最後に、新しい計画に基づいて、また2月議会で予算案提案されることになると思いますが、改めて知事として、この事業の意義は何かというところと、今回の代替案について、どのように県議会に理解を求めていくか、その辺りを教えていただけますでしょうか。

 

知事:

 意義については、従前から何度も繰り返しご説明させていただいておりますけれども、隣国である韓国と日本の関係というのは大変重要なものであると認識をしております。これは、政府レベルにおいても、両国政府とも同様の認識であろうというふうに思っております。その中で、日本が建国されたこの奈良において、当時、飛鳥時代において、百済等から来られた渡来人が当時の飛鳥で活躍されたゆかりから、奈良県と忠清南道は友好提携をしてきたわけでございますが、両国とも、反日世論とか、あるいは嫌韓世論を抱えております。そうした中で、未来志向で両国関係の安定的な発展を遂げていくためには、やはり若い世代の交流と相互理解というのが必要であると、これは政府もそのような認識を持っています。日本と韓国の外務大臣が会談したときも未来志向で若者の交流を進めていくことが大事だと確認されたと報道されているところでございます。今回の交流事業も、そうした趣旨から、奈良県が友好提携している忠清南道と、若者に焦点を当てた、若者が参加できるような交流イベントをすることで、伝統芸能の披露や文化セミナーに加えて、若者に非常に人気のあるK-POPのパフォーマンスを実施することにし、多くの若者がこの日韓音楽交流イベントに参加することで、日本の若者の韓国に対する理解が深まるのではないかと、考えております。

 

記者(朝日新聞):

 もう一つの質問、県議会にどのように改めて理解を、代替案について理解を求めていかれるのかのご認識もお願いします。

 

知事:

 今言ったような趣旨で実施する大変意義深い事業でございますし、予算規模も音楽交流イベントで2,900万ということで、当初より大幅に圧縮した9分の1程度になっておりますから、十分ご理解いただけるのではないかと考えております。

 

記者(朝日新聞):

 ありがとうございます。

 

知事:

 読売新聞さん。

 

記者(読売新聞):

 今回の案になると、二、三組程度のK-POPアーティストということですが、これは先ほどから言うS・A、B級の方は来られないということでもう決まったのでしょうか。

 

知事:

 どのランクのアーティストが来るか正式な連絡は忠清南道からは受けておりませんが、従前も、この場で申し上げましたが、やはり1,500人規模であれば、S・A級やB級というレベルは難しいのではないかと私どもは想像しております。

 

記者(読売新聞):

 具体的に舞台装置など、変わる状況だとは思いますが、それに対して向こうからの所感は得られていないということですか。

 

知事:

 1,500人規模を前提にトップアーティストを送ることは検討しておらず、屋外で9,000人ということを前提に検討していたため、誰を送るかということの検討はこれからと聞いています。アーティストが決まらないと、どういった舞台装置が必要なのかも決まらないということで、アーティスト名及び舞台装置がどうなるかについてもまだ決まっておりませんが、いずれにしても予算は2,900万円しかありませんので、舞台装置については、その中で考えることになるかと思います。

 

記者(読売新聞):

 音楽交流イベントですが、従来言っていた2億7,000万円というのは、現在の2,900万円とする部分に当たるのであって、(2)のほうの分は新たに考えられた事業ということなんですか。それとも前々から奈良公園の中で、それぞれイベントを行う中に含まれていたものの一つがそういったセミナーだったのでしょうか。

 

知事:

 もともと文化セミナーもする予定でございました。一番最初に発表したときは、いつどこでどんなテーマでやるということが決まってなかったので、2億7,000万円には含まれていなかったのですが、今般具体化しましたので、これについても、この場を借りて、新たにご説明させていただいたと、こういう経緯でございます。

 

記者(読売新聞):

 大幅に舞台装置とかの部分が減らされ減額になったかと思うのですが、改めてこういった減額することになったのは、申入れがあったためで、韓国側からの案、2つありましたけども、そこも県議会に受け入れられず、予算を通すためにはこういった案でしか難しかったということなんでしょうか。

 

知事:

 はい、おっしゃるとおりです。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

記者(NHK):

 忠清南道からの2つの案の提示ですが、具体的にいつ提示を受けられたか、分かりますでしょうか。

 

知事:

 先方との信頼関係を損なってもいけませんので、経緯につきましては、詳細な説明は控えさせていただきます。

 

記者(NHK):

 この提示は、キム知事から知事が直接提示を受けられたのか、事務レベルでの提示だったのか、その辺り、いかがですか。

 

知事:

 キム知事の意向を受けて、事務レベルで提示がございました。

 

記者(NHK):

 案1、案2、それぞれK-POPアーティストとあるんですけど、案1のK-POPアーティストも、いわゆるプロのアーティストの方という理解でよろしいですか。

 

知事:

 はい、そうです。

 

記者(NHK):

 右側のS・A、B級というのはちょっと難しいと先ほど知事もおっしゃられましたが、そうなると、この下のトップクラスのトロットというのが想定されてくるのですか。

 

知事:

 トロットというのは分野が違うので、トロットは今回は来ません。だから、K-POPで、恐らくS・A級とか、B級に達しないレベルのアーティストが来るんじゃないかと思います。そのように想像していますけども、ひょっとしたらB級ぐらいが来てくれるのかもしれませんが、いずれにしてもまだ誰が来るかというのは決まっておりません。

 

記者(NHK):

 いつぐらいまでにその辺り、向こう側から提示来るような見通しありますでしょうか。

 

知事:

 いや、その見通しもまだありません。

 

記者(NHK):

 いずれにしろプロのアーティストの方が来られるということで、費用もかなり圧縮されているのは十分承知しているんですけども、全員アマの方であれば、もっと費用は圧縮できたのかと思うのですが、プロの方を入れるというのは、向こう側か、奈良県側の要望だったのか、どちらでしょうか。

 

知事:

 いや、K-POPアーティスト二、三組の派遣費用は忠清南道側が負担しますので、プロが来ることによる追加の費用負担というのは基本的にはございません。

 

記者(NHK):

 この2,900万円の内訳って分かりますでしょうか。

 

知事:

 それは今後の入札等にも支障が生じますので、公表は控えさせていただきたいと考えております。

 

記者(NHK):

 2,900万円というのは、奈良県側の会場の用意ですか。K-POP広報などでしょうか。道内の芸術団体の派遣費用は韓国側でしたか。

 

知事:

 そうです。韓国から来られるプロ、アマの派遣費用、交通費、宿泊費、ギャラ等は全て忠清南道側の負担でございます。

 

記者(NHK):

 奈良県側の受入れ体制の費用といった部分だけで2,900万円ということでよろしいですか。

 

知事:

 そうです。

 

記者(NHK):

 1枚目でK-POPのパフォーマンスで内容が書いてあるのですが、これはコンサートという理解でよろしいですか。

 

知事:

 高校生、大学生は、ダンスと聞いています。

 

国際課:

 アマの方に関しましては、コンサートというよりは、ダンスパフォーマンスをやっていただくような内容を想定しております。プロの方に関しましては、もちろんコンサート的な、何曲か歌って踊っていただくような内容になるのかなと考えておりますが、その点につきましても、アーティストが決まらないと最終的に確定はございませんので、今は想定しているといった範疇でございます。

 

記者(NHK):

先ほど県議会議員の方の反応というのをおっしゃっていましたが、知事としてこういう形になったというのを改めて受け止めをお願いいたします。

 

知事:

 楽しみにしておられた方も多くて、S・A級やB級のアーティストが来られれば、非常に喜ばれる県民の皆さんもおられたとは思いますが、県の最終意思決定機関は県議会でございますので、県議会の意向を踏まえて、こうなったということでございます。全くできないよりは、規模を縮小した形で開催することで、ひとまずよかったなと思っております。一方、このイベントの開催に関して否定的な意見をお持ちの方もおられますので、そうした皆さんの意向も、予算規模が9分の1に圧縮されるということで、一定得られるのではないかと考えております。

 

知事:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

記者(読売新聞):

 案1のほうで、奈良県の中で、なら100年会館に決定していることですが、屋内開催で幾つか会場候補地あったかと思うのですが、なら100年会館に決まった経緯とか、理由、どういう観点からこの会場が選ばれたみたいな説明をお願いできますか。

 

知事:

 なら100年会館大ホールは県内で最も収容人数が多いということです。

 

記者(読売新聞):

 一番収容人数が多いので、なら100年会館になったということですか。

 

知事:

 はい、そうです。

 

司会:

 奈良テレビさん。

 

記者(奈良テレビ):

 交流イベントの件ですが、K-POPパフォーマンスじゃない、日本と韓国の伝統芸能の披露とありますが、現時点で日本の伝統芸能の披露というのは何を考えてらっしゃるか決まっていたら教えてください。

 

国際課:

 それにつきましては、現時点で未定でございます。

 

司会:

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 文化セミナーについてですが、研究者を招いて文化的な理解を深めるのか、パネル展示とかをするのか、どういうイメージのものを想像すればいいですか。

 

知事:

 案の段階でございますけれども、基調講演とパネルディスカッションといった形を考えております。

 

記者(朝日新聞):

 基調講演は韓国の学者さんとかを招くんですか。

 

知事:

 日本の方を予定しています。

 

国際課:

 付け足しなんですが、忠清南道からも、韓国からも専門家の方に来ていただき、基調講演という形になるか分かりませんが、お話をしていただく予定にしております。

 

記者(朝日新聞):

 このサンミョン大学から来る学生も、ダンス部ですか。

 

知事:

 そうですね、はい。

 

記者(朝日新聞):

 何人くらい、いらっしゃるんですか。

 

国際課:

 正確な人数につきましては、7日に決まったばっかりですので、韓国側から聞いてない段階でございます。

 

司会:

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 無料開催を維持した理由をお伺いしたいです。

 

知事:

 費用が圧縮されたということと、S・A級とか、B級ではないので、お金を取るというのはどうかなと思いました。

 

記者(毎日新聞):

 県側の負担の2,900万円についてですが、これは舞台設営費だけなのか、それとも、伝統芸能とかを呼ぶのにもお金はかかってくるという認識でいいですか。

 

知事:

 舞台設営とか、事務費、それから広報に関する費用、人件費、警備費等々でございます。伝統芸能等に関しましては、基本的にボランティアでの出演を予定していますので、そういう人たちに対する出演料は含まれておりません。

 

国際課:

 その点につきましても未定ですので、そういう想定をしているだけであって、交通費であるとか必要な経費はかかってきますので、そういったものの負担は一定程度かかると考えております。

 

司会:

 時事通信さん。

 

記者(時事通信):

 10月24日になったということなんですけども、平日の金曜日というのは何か理由がありますか。日本の高校生も参加すると思うのですが。

 

知事:

 高校生が参加できるように夕方以降の開催を念頭に置いておりますが、会場の空き状況と、キム知事が来県されますのでキム知事の日程、そうしたものを加味してこの日に決定したということでございます。

 

記者(時事通信):

 国際交流基金の話ですが、圧縮はかけられまだ余っている状況かと思うのですが、今後、国際交流基金をどういうふうに使っていきたいと考えておられますか。

 

知事:

 これまで国際交流基金が取り崩されて使われた実績がなかったのですが、今後は、国際交流事業に積極的に活用していきたいと考えております。

 

司会:

 そのほか質問はよろしいでしょうか。

 読売新聞さん。

 

記者(読売新聞):

 観覧するのは1,500人ということですが、誰を対象にとか、県民、県外の割合などは、今後ということでよろしかったでしょうか。

 

知事:

 はい、そうです。

 

司会:

 そのほか、よろしいでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 プロアーティストというのは、韓国の方だけで、日本の方はいらっしゃらないということですか。

 

知事:

 はい、現時点では韓国の方のみを予定しております。

 

 

 

 

スペイン、イギリスへの渡航について

 

 

 

 

司会:

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 先日、スペインに行かれて、FCバルセロナの誘致もされてきたと聞いております。改めて、現地でどういうお話、トップセールスをされたのか。先方からはどういう返答があったのか、その辺り、聞かせていただけますでしょうか。

 

知事:

 バルサアカデミーの幹部の皆さんと打合せをさせていただきました。日本でバルサレジデンスアカデミーを設置する、その候補地を奈良県にするということについては、非常に前向きな意向を示していただきました。

 

記者(朝日新聞):

 具体的には、今後どういうふうに進めていかれるんですか。前向きというのがどの程度の前向きさかというのは、なかなか計り知れないところですが。

 

知事:

 今後は、具体的にいつ頃の開設を目指すのか、そのためにどういったことをしていくのか、そうしたことを奈良県と、バルサアカデミーとの間で詰めていって、一定時期にある程度、かなり具体のレベルにまで合意形成ができれば、どこかの時点で契約書なり、覚書等にサインする、そんな流れになるんじゃないかなと思っております。

 

記者(朝日新聞):

 知事の認識としては、不測の事態が生じない限りは、今後、バルサアカデミーがあそこに来てくれるというご認識なんでしょうか。

 

知事:

 もちろん確約はできませんが、現時点では非常によい感触を得ているということでございます。

 

記者(朝日新聞):

 先方から奈良に来られるメリットとか、インセンティブ的なものでおっしゃっていたことはありますか。もしくは、こういう条件だったら来るよとか。

 

知事:

 関西という日本の地理的に中心地であるということとか、既に3か所奈良県にバルサアカデミーがあるということ、奈良クラブというJリーグも存在するということ、川西町長も一緒に行ったのですが、奈良県や川西町が非常に前向きでサポートが期待できる、そうした4点から奈良県での開設について高く評価していただいているという認識を持ちました。

 

記者(朝日新聞):

 知事としては、具体化するための一番の課題があるとすれば、それは何でしょうか。

 

知事:

 具体化するための課題ですか。それはどういうスキームとか、費用負担で進めるのかということが今後の課題になってくると思います。県と先方との費用負担ですね。

 

司会:

 発表案件以外もございましたら、この場でお願いします。その他、質問はよろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

 

知事:

 ありがとうございました。

 

 

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

 

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