北朝鮮によって拉致されているすべての日本人の速やかな救出を求める意見書
北朝鮮による拉致被害者は、政府認定の17名のほか、拉致の疑いが排除できない特定失踪者と言われる方々が相当数存在しているが、平成14年10月に5名の方々の帰国が実現し、平成16年5月と7月にそのご家族が帰国して以来、何ら進展が見られていない。
北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国に対する重大な主権侵害であるとともに、断じて許すことのできない人権侵害である。北朝鮮によって拉致された日本人の多くは未だ帰国できない状況にあるが、拉致被害者の帰国を待ち望むご家族の高齢化が進み、遂には再会が叶わず亡くなられる事例も出ている。有本恵子さんの母・有本嘉代子さんは令和2年2月3日に、父・有本明弘さんは本年2月15日に、横田めぐみさんの父・横田滋さんが令和2年6月5日にそれぞれ最愛の家族との再会を果たすことなく逝去された。この悲惨で取り返しのつかない厳しい現実を直視し、我が国としては一刻も早く北朝鮮からすべての日本人拉致被害者を救出しなければならない。
また、警察庁によれば、横田めぐみさんは中学校の下校途中に北朝鮮工作員によって連れ去られ、田中実さんは北朝鮮の指示を受けた日本国内の勤務先飲食店の店主の巧妙な誘いによって海外へ連れ出され、その後北朝鮮に送り込まれたとされている。拉致事件が日本国内の身近な場所で発生した事実を極めて深刻に捉え、奈良県としても国と連携し、拉致問題の早期解決に向けた啓発活動や再発防止に全力で取り組む決意を表明する。
以上を踏まえて、奈良県議会は、国会及び政府に対し、北朝鮮からすべての日本人拉致被害者を救出するとともに、今後二度とこのような悲劇が起こらないよう、国際社会との連携の強化や必要な法的整備をはじめとする再発防止に全力で取り組むよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年7月2日
奈良県議会議長 田中 惟允
(提出先) 衆議院議長 殿
参議院議長 殿
内閣総理大臣 殿
内閣官房長官(兼拉致問題担当大臣) 殿
総務大臣 殿
法務大臣 殿
外務大臣 殿
国土交通大臣 殿
防衛大臣 殿
国家公安委員会委員長 殿
警察庁長官 殿
海上保安庁長官 殿
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