児童養護施設等退所者(障害のある若者)の18歳から20歳移行期に対する公的給付の創設・拡充を求める意見書
障害のある児童等に対する経済的支援として、20歳未満の障害児を監護及び養育する父母等を対象とする特別児童扶養手当と、20歳前に初診日がある障害児については20歳到達時等に支給される障害基礎年金がある。しかし、児童養護施設等を18歳で退所した障害のある若者は、家庭での養育要件を満たさず、また障害基礎年金の受給開始が原則20歳であるため途中で就労等ができなくなった場合、18歳から20歳の「無収入の空白期間」が生じやすい。児童福祉法上、必要な場合は20歳までの在所延長は可能とされているが、対象や運用には限界があり、移行期の生活の安定が確保されているとは言い難い。この空白は、生活困窮や就労・学業の断念、住まいの不安定化を招き、自立の遅れや再支援のコスト増加につながる。移行期に限定した公的給付と伴走支援を整備することは、当事者の社会的排除を防ぎ、ひいては国の財産とも言える若者を育てることに繋がる。
よって、国に対して制度の狭間に置かれる若者を支援するため次の事項を求めるよう強く要望する。
1 障害基礎年金について18歳到達時点からの前倒し支給を実現すること。または、国庫補助制度として20歳到達までの
「移行期特例給付(仮称)」を創設すること。
2 市町村が移行期支援金等の独自施策を講じる場合の財源として、特別交付税等の財政措置を講じること。
3 児童相談所・福祉事務所・年金機構・学校等の関係機関の連携を促し、申請の遅れや無受給を防止すること。
4 本人の自立準備が整うまで切れ目なく支援できる体制を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月15日
奈良県議会議長 田中 惟允
(提出先)
衆議院議長 殿
参議院議長 殿
内閣総理大臣 殿
内閣官房長官 殿
総務大臣 殿
財務大臣 殿
厚生労働大臣 殿
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