建設業の許可を受けた者は、請負代金の額に制限無く、請負契約を締結することができるようになります。
こうしたメリットがある反面、許可業者として、様々な義務が課せられることとなります。
許可行政庁への届出義務
許可申請書に記載した内容について変更があった場合には、その都度、許可行政庁に、一定の届出を行う必要があります。
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標識の掲示
許可業者としての営業の形態を記載した標識を、その営業所及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に掲げなければなりません。
帳簿等の備えつけ
営業所ごとに、その営業所において締結した請負契約の内容を記載した帳簿等を備えつけなければなりません。
帳簿等については、5年間の保存(発注者から直接請け負った、新築住宅に係る請負契約については10年間)が義務づけられています。
また、発注者から直接建設工事を請け負った契約については、帳簿等に加えて、下記の書類を10年間保存しなければなりません。
1.完成図(工事目的物の完成時の状況を表した図)
2.発注者との打合せ記録(工事内容に関するものであって、当事者間で相互に交付されたもの)
3.施工体系図(作成が義務づけられている場合に限る)
適正な契約締結義務
建設業者として、適正な契約を締結することが義務づけられており、そのために、様々な規定があります。
義務づけられている項目としては、以下のようなものがあります。
着工前に書面により請負契約を締結すること
請負契約書には、一定の事項を記載すること
工事原価に満たない価額で、下請負人に、下請契約の締結を強制しないこと
工事現場における施工体制等
1.工事現場への技術者の配置
適正な施工を確保するため、すべての工事現場に、監理技術者又は主任技術者(以下、監理技術者等)を配置しなければなりません。監理技術者等は、請負代金の額が4,000万円(建築一式の場合は、8,000万円)(注1)以上の工事の場合、専任でなければなりませんので、営業所の専任技術者や他の現場の監理技術者等を配置したりすることはできません。
(注1)令和5年1月1日より、金額が引き上げられました。
2.一括下請負の禁止
一括下請負を行うことは、原則禁止されています。
一括下請負とは、自らが請け負った工事を、他人に一括して請け負わせることをいいます。
3.施工体制台帳及び施工体系図の作成
公共工事においては下請契約を結ぶ場合、民間工事においては4,500万円(建築一式の場合は、7,000万円)以上下請契約をする場合、施工体制台帳及び施工体系図の作成が義務づけられています。