意見書第1号

意見書第1号

    障害者虐待防止に関する法律の早期制定を求める意見書

 家庭において介護が必要な障害者を放置したり、施設内で障害者に暴力を振るうなどの虐待が全国で発生している。
 また、本県においては住み込み就労をしていた知的障害者が長年にわたって障害基礎年金を横領されるという大橋製作所事件が発生した。
 障害者自立支援法の施行により、障害者の地域移行及び就労移行への支援は、これまで以上に重点が置かれ、ノーマライゼーションの実現に向けて、様々な施策が実施されているところである。
 しかしながら障害者が地域において安心して暮らし、働き続けることのできる社会をつくり、真のノーマライゼーションを実現するためには、障害者の権利がしっかりと守られる環境が整備されなければならないことは、多くの言を要さないところである。
 子どもや高齢者に対する虐待防止については、児童虐待防止法や高齢者虐待防止法が制定され、その結果、虐待を発見した者の通告義務により早期発見と対応、さらには養護者への支援対策が可能になるなど、虐待防止と救済対策が大きく前進したところである。
 一方、障害者については、過去に知的障害者施設で発生した虐待事件等を契機に各方面で防止対策の取り組みが行われたものの、法制化には至っていない。
 権利侵害は、軽度のものから連続的に悲劇的なものとなっていく場合が多く、初期の段階で対応することが大切であるが、家庭や施設などの閉ざされた場所で行われる障害者に対する虐待は、顕在化し難いことから、虐待の早期発見や通報の義務化など、虐待防止の機運を高め、社会全体として虐待防止に取り組むための法整備が強く望まれるところである。
 よって、国におかれては、障害者への虐待という重大な権利侵害は決して許されないという理念を明確にし、障害者の虐待防止と救済に実効ある規定を盛り込んだ、障害者虐待防止に関する法律を早期に制定するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年3月25日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣