意見書第3号
「協同労働の協同組合法(仮称)」の速やかな制定を求める意見書
現在の日本社会は、年金・医療・福祉などの基本的な社会制度は疲弊し、グローバル化による国際競争などで、労働環境にも大きな変化の波が押し寄せ、「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」「偽装請負(派遣)」などに象徴されるような働いても十分な生活が維持できない、働きたくても働く場所がないなど困難を抱える人々が増大するなど、新たな貧困と労働の商品化が広がり、社会不安が深刻さを増している。
このような中、NPOやボランティア団体など様々な非営利団体が、住みやすい地域社会の実現をめざし活動している。この一つである「協同労働の協同組合」は、「働くこと」を通じて、「人と人のつながりを取り戻し、コミュニティの再生をめざす」活動を続けている。
しかしながら、これらの活動をさらに活発にしていくためには、社会的理解や法制度を整備していく必要がある。すでに、世界の主要国では、働く仲間同士が協同し、主体性を高め合い、力を発揮し合う新しい働き方=労働者協同組合(ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ)についての法制度が整備されている。
日本でも「協同労働の協同組合」の法制度を求める取り組みが広がり、一万を超える団体がこの法制度化に賛同している。また、国会では超党派の議員連盟が立ち上がるなど法制化の検討が始まっている。
だれもが希望と誇りを持ち、仕事を通じて安心と豊かさを実感できるコミュニティをつくり、人や社会とのつながりを感じることができる協同労働は、市民主体のまちづくりを創造するものであり、働くことに困難を抱える人々自身が、社会連帯の中で仕事をおこし、社会に参加する道を開くものである。
よって、国におかれては、社会の実情を踏まえ、就労の創出、地域の再生、少子・高齢社会に対応する有力な制度として、「協同労働の協同組合法」を速やかに制定されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年3月25日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣