意見書第4号

意見書第4号

    診療報酬のオンラインによる請求の義務化に関する意見書

 わが国は、世界第1位の長寿国となった。このことは、世界に誇れる国民皆保険制度のもと、医師、医療関係者の長年の努力により質の高い医療が提供され、国民の健康が守られてきたことによるものである。しかし、近年、医療機関はたび重なる診療報酬のマイナス改定や医師、看護師の不足などにより、その経営は厳しさを増し、危機的状況に陥るとともに、医療従事者は疲弊しており、閉院や廃院に追い込まれる状況となっている。こうした中、医療機関が保険診療を行った際に提出する診療報酬請求書・明細書(レセプト)について電子的手法を用いたオンラインによる請求の導入が決定され、レセプト作業業務を電算化していない小規模な保険医療機関等を除き、平成23年4月からは、全ての医療機関にオンライン請求が義務化されることとなった。このことにより、審査業務の効率化が進展する一方で、地域で開業している医師の中には、これに対応できず、廃院を考える医療機関等が出てくることも予想され、地域医療の崩壊につながるおそれが心配される。
 また、オンライン化に伴う個人情報等のセキュリティ対策など、実現に向けては、対応すべき課題も指摘されている。
 よって、国におかれては、地域医療を担っている保険医療機関等が、引き続き医療の提供ができるよう、オンラインシステムの導入に当たっては、一律義務化ではなく、環境整備への対応が困難な保険医療機関等にも配慮し、きめ細やかな措置をとるなど、無理のない推進を強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年3月25日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣